(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記スクリーンは、前記交差方向移動手段により前記光源及び前記投射レンズを移動可能な範囲において、前記プロジェクタから投射される映像の全域が投射される形状とすることを特徴とする請求項1に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
前記交差方向移動手段は、前記上り勾配又は前記下り勾配の角度が大きい程、前記光源及び前記投射レンズの移動量をより大きくすることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
前記交差方向移動手段は、前記カーブの旋回半径が小さい程、前記光源及び前記投射レンズの移動量をより大きくすることを特徴とする請求項7に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係るヘッドアップディスプレイ装置について具体化した一実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0013】
先ず、本実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置(以下、HUDという)1の構成について
図1を用いて説明する。
図1は本実施形態に係るHUD1の車両2への設置態様を示した図である。
【0014】
図1に示すようにHUD1は、車両2のダッシュボード3内部に設置されており、内部にプロジェクタ4やプロジェクタ4からの映像が投射されるスクリーン5を有する。そして、スクリーン5に投射された映像を、後述のようにHUD1が備えるミラーやフレネルレンズを介し、更に運転席の前方のフロントウィンドウ6に反射させて車両2の乗員7に視認させるように構成されている。尚、スクリーン5に投射される映像としては、車両2に関する情報や乗員7の運転の支援の為に用いられる各種情報がある。例えば障害物(他車両や歩行者)に対する警告、ナビゲーション装置で設定された案内経路や案内経路に基づく案内情報(右左折方向を示す矢印等)、現在車速、案内標識、地図画像、交通情報、ニュース、天気予報、時刻、接続されたスマートフォンの画面、テレビ番組等がある。
【0015】
また、本実施形態のHUD1では、フロントウィンドウ6を反射して乗員7がスクリーン5に投射された映像を視認した場合に、乗員7にはフロントウィンドウ6の位置ではなく、フロントウィンドウ6の先の遠方の位置にスクリーン5に投射された映像が虚像8として視認されるように構成される。尚、乗員7が視認できる虚像8はスクリーン5に投射された映像であるが、ミラーを介するので上下方向は反転する。また、フレネルレンズを介することによってサイズも変更する。
【0016】
ここで、虚像8を生成する位置、より具体的には乗員7から虚像8までの距離(以下、生成距離という)Lについては、HUD1が備えるミラーやフレネルレンズの形状や位置、光路に対するスクリーン5の位置等によって適宜設定することが可能である。特に、本実施形態では後述のようにスクリーン5の位置を光路に沿って前後方向に移動可能に構成する。その結果、生成距離Lを適宜変更することが可能となる。例えば生成距離Lを2.5m〜20mの間で変更することが可能である。
【0017】
次に、
図2を用いてHUD1のより具体的な構成について説明する。
図2は、本実施形態に係るHUD1の内部構成を示した図である。
【0018】
図2に示すようにHUD1は、プロジェクタ4と、スクリーン5と、反射ミラー10と、ミラー11と、フレネルレンズ12と、制御回路部13と、CANインターフェース14とから基本的に構成されている。
【0019】
ここで、プロジェクタ4は光源としてLED光源を用いた映像投射装置であり、例えばDLPプロジェクタとする。尚、プロジェクタ4としては液晶プロジェクタやLCOSプロジェクタを用いても良い。また、プロジェクタ4は映像を投射する為の投射レンズ15を備えているが、本実施形態では投射レンズ15は第1投射レンズ16と第2投射レンズ17の2つの投射レンズから構成され、それぞれ異なる映像を投射可能に構成する。ここで、
図3はプロジェクタ4が備える第1投射レンズ16及び第2投射レンズ17を示した図である。
【0020】
図3に示すように第1投射レンズ16及び第2投射レンズ17は、一の円形状のレンズを上下方向に分割した分割形状を有する。更に、下方にある第2投射レンズ17は、光路に沿って前後方向に移動可能に構成されている。一方、第1投射レンズ16の位置は固定とする。具体的には、第2投射レンズ17の背面側にあるレンズ駆動モータ18を駆動させることによって、
図4に示すように第2投射レンズ17を光路に沿って前後方向に移動させることが可能となる。特に、本実施形態では、後述のようにスクリーン5を光路に沿って前後方向に移動させる場合において、第2投射レンズ17から投射される映像の焦点を移動後のスクリーン5の位置に一致させる為に、第2投射レンズ17も追従して移動させる構成とする。
【0021】
また、レンズ駆動モータ18はステッピングモータからなる。そして、HUD1は、制御回路部13から送信されるパルス信号に基づいてレンズ駆動モータ18を制御し、第2投射レンズ17の位置を設定位置に対して適切に位置決めすることが可能となる。
【0022】
更に、本実施形態に係るプロジェクタ4は、上記投射レンズ15と内蔵された光源19とが一体に、光路に対して交差する方向に沿って移動可能に構成されている。具体的には、
図5に示すようにプロジェクタ4に対してアクチュエータや回路基板を含む駆動機構26が設置されており、駆動機構26を駆動することによってプロジェクタ4を、投射レンズ15や光源19を一体にして光路に対して交差する方向に沿って移動する。特に本実施形態では鉛直方向と水平方向に夫々移動可能に構成されている。その結果、プロジェクタ4はスクリーン5に対して映像を投射する範囲を変更することが可能となる。
【0023】
一方、スクリーン5は、プロジェクタ4から投射された映像が投射される被投射媒体であり、例えばフレネルスクリーンや拡散型スクリーン等が用いられる。また、本実施形態ではスクリーン5は、第1スクリーン20と第2スクリーン21の2枚のスクリーンから構成される。ここで、
図6は第1スクリーン20と第2スクリーン21をそれぞれ示した図である。
【0024】
図6に示すように第1スクリーン20は、上方に映像が投射される被投射エリア22を有しており、通常時においては
図7に示すようにプロジェクタ4の第1投射レンズ16から投射された映像が表示される。一方、第2スクリーン21は、下方に映像が投射される被投射エリア23を有しており、通常時においては
図7に示すようにプロジェクタ4の第2投射レンズ17から投射された映像が表示される。即ち、第1スクリーン20と第2スクリーン21にはプロジェクタ4から映像が跨って投射される。また、前記したように本実施形態ではプロジェクタ4が光路に対して交差する方向に移動可能に構成されており、その結果、第1投射レンズ16から投射された映像の一部が第2スクリーン21に投射されたり、第2投射レンズ17から投射された映像の一部が第1スクリーン20に投射される場合もある(
図10参照)。また、被投射エリア22、23は、プロジェクタ4を移動可能な範囲において、プロジェクタ4から投射される映像の全域が投射されるように設計されている。
【0025】
また、第1スクリーン20と第2スクリーン21は、
図2及び
図7に示すように被投射エリア22、23が重ならないように、光路に沿って前後方向に所定間隔で並べて配置される。従って、本実施形態では虚像8は、第1スクリーン20に投射された映像の虚像(以下、第1虚像8Aという)と、第2スクリーン21に投射された映像の虚像(以下、第2虚像8Bという)から構成されることとなる。
【0026】
また、第2スクリーン21は、光路に沿って前後方向に移動可能に構成されている。一方、第1スクリーン20の位置は前後方向に対して固定とする。具体的には、第2スクリーン21の背面側にあるスクリーン前後駆動モータ24を駆動させることによって、
図8に示すように第1スクリーン20と第2スクリーン21との間の距離を変更し、第2スクリーン21を光路に沿って前後方向に移動させることが可能となる。その結果、第2スクリーン21に投射された映像の虚像である第2虚像8Bが生成される位置(具体的には乗員7から第2虚像8Bまでの距離である生成距離L2)を変更することが可能である。尚、生成距離L2は、ミラー11から第2スクリーン21までの距離に依存する。即ち、生成距離L2は、ミラー11から第2スクリーン21までの距離に応じて長短を変更される。例えば、ミラー11から第2スクリーン21までの距離が長くなると生成距離L2が長くなり、ミラー11から第2スクリーン21までの距離が短くなると生成距離L2が短くなる。
【0027】
例えば、第2スクリーン21をプロジェクタ4側(ミラー11までの距離が長くなる側)に移動させると、生成距離L2が長くなる(即ち、乗員7からはより遠くに第2虚像8Bが視認されるようになる)。一方、第2スクリーン21をプロジェクタ4と反対側(ミラー11までの距離が短くなる側)に移動させると、生成距離L2が短くなる(即ち、乗員7からはより近くに第2虚像8Bが視認されるようになる)。尚、第1スクリーン20の位置は前後方向に対して固定であるので、第1スクリーン20に投射された映像の虚像である第1虚像8Aが生成される位置(具体的には乗員7から第1虚像8Aまでの距離である生成距離L1)は固定である。従って、生成距離L2を変更することによって、第1虚像8Aから第2虚像8Bまでの距離(|L2−L1|)が変更されることとなる。
【0028】
従って、仮に第1スクリーン20と第2スクリーン21が光路に沿ってミラー11から同距離にある場合には、車両2の前方の同位置に第1虚像8Aと第2虚像8Bが生成されることとなるが、第1スクリーン20と第2スクリーン21がミラー11から光路に沿って異なる距離にある場合には、
図9に示すように第1虚像8Aと第2虚像8Bとがそれぞれ異なる位置に生成されることとなる。また、
図6及び
図7に示すように、第1スクリーン20の被投射エリア22は、第2スクリーン21の被投射エリア23よりも上方に位置するように各スクリーンは配置されるが、ミラー11によって映像が上下反転されるので、光路に対して交差する方向を基準にして、第2虚像8Bが第1虚像8Aの上方に生成されることとなる。
【0029】
また、前記したように本実施形態ではプロジェクタ4が光路に対して交差する方向に移動可能に構成されている。その結果、
図10に示すように、プロジェクタ4の位置によって、第1スクリーン20や第2スクリーン21に対してプロジェクタ4からの映像が投射される範囲(以下、投射範囲という)が変更される。そして、変更された投射範囲に応じて、第1虚像8A及び第2虚像8Bのサイズや生成位置についても変更されることとなる。尚、詳細については後述する。
【0030】
そして、HUD1は、基本的に第1スクリーン20と第2スクリーン21とで異なる種類の映像(例えば、第1スクリーン20には車両の現在車速の映像、第2スクリーン21には案内情報や警告情報の映像)を投射する。従って、
図10の上図のように投射レンズとスクリーンが1対1の関係にある場合には、投射レンズ毎に投射する映像の種類を変更する。一方で、
図10の下図のように一の投射レンズが複数のスクリーンに対して投射する場合には、一の投射レンズから投射対象となるスクリーン毎に異なる種類の映像を投射する。
【0031】
また、スクリーン前後駆動モータ24はそれぞれステッピングモータからなる。そして、HUD1は、制御回路部13から送信されるパルス信号に基づいてスクリーン前後駆動モータ24を制御し、第2スクリーン21の前後位置を設定位置に対して適切に位置決めすることが可能となる。
【0032】
一方、反射ミラー10は、
図2に示すようにプロジェクタ4から投射された映像を反射して光路を変更し、スクリーン5へと投射する反射板である。
【0033】
また、ミラー11は、
図2に示すようにスクリーン5からの映像光を反射させて、フロントウィンドウ6を介して、乗員7の前方に虚像8(
図1参照)を投影する投影手段である。ミラー11としては、球面凹面鏡や、非球面凹面鏡、若しくは投影映像の歪みを補正するための自由曲面鏡が用いられる。
【0034】
また、フレネルレンズ12は、
図2に示すようにスクリーン5に投射された映像を拡大して虚像8を生成する為の拡大鏡である。そして、本実施形態に係るHUD1では、スクリーン5に投射された映像を、ミラー11やフレネルレンズ12を介し、更にフロントウィンドウ6に反射させて乗員7に視認させることによって、フロントウィンドウ6の先の遠方の位置にスクリーン5に投射された映像が拡大され、虚像8として乗員に視認される(
図1参照)。
【0035】
また、制御回路部13は、HUD1の全体の制御を行う電子制御ユニットである。ここで、
図11は本実施形態に係るHUD1の構成を示したブロック図である。
【0036】
図11に示すように制御回路部13は、演算装置及び制御装置としてのCPU31、並びにCPU31が各種の演算処理を行うにあたってワーキングメモリとして使用されるRAM32、制御用のプログラムのほか、後述の虚像生成処理プログラム(
図12参照)等が記録されたROM33、ROM33から読み出したプログラムや後述の位置設定テーブルを記憶するフラッシュメモリ34等の内部記憶装置を備えている。また、制御回路部13は、プロジェクタ4、レンズ駆動モータ18、スクリーン前後駆動モータ24、駆動機構26とそれぞれ接続され、プロジェクタ4や各種モータの駆動制御を行う。
【0037】
また、CAN(コントローラエリアネットワーク)インターフェース14は、車両内に設置された各種車載器や車両機器の制御装置間で多重通信を行う車載ネットワーク規格であるCANに対して、データの入出力を行うインターフェースである。そして、HUD1は、CANを介して、各種車載器や車両機器の制御装置(例えば、ナビゲーション装置48、AV装置49等)と相互通信可能に接続される。それによって、HUD1は、ナビゲーション装置48やAV装置49等の出力画面を投影可能に構成する。
【0038】
続いて、前記構成を有するHUD1においてCPU31が実行する虚像生成処理プログラムについて
図12に基づき説明する。
図12は本実施形態に係る虚像生成処理プログラムのフローチャートである。ここで、虚像生成処理プログラムは車両のACCがONされた後に実行され、車両の乗員であるユーザに視認可能な虚像を生成するとともに、車両の進行方向前方の道路形状に基づいてプロジェクタ4の移動を行うプログラムである。尚、以下の
図12にフローチャートで示されるプログラムは、HUD1が備えているRAM32やROM33に記憶されており、CPU31により実行される。
【0039】
先ず、虚像生成処理プログラムではステップ(以下、Sと略記する)1において、CPU31は、プロジェクタ4へと信号を送信し、プロジェクタ4による第1スクリーン20及び第2スクリーン21への映像の投射を開始する。ここで、プロジェクタ4により投射される映像としては、車両2に関する情報や乗員7の運転の支援の為に用いられる各種情報がある。例えば障害物(他車両や歩行者)に対する警告、ナビゲーション装置で設定された案内経路や案内経路に基づく案内情報(右左折方向を示す矢印等)、現在車速、案内標識、地図画像、交通情報、ニュース、天気予報、時刻、接続されたスマートフォンの画面、テレビ番組等がある。
【0040】
特に本実施形態では、第1スクリーン20に投射する映像は、車両の現在車速の映像とする。また、第2スクリーン21に投射する映像は、ナビゲーション装置で設定された案内経路に基づく案内情報の映像とする。尚、本実施形態では、
図2に示すように第1スクリーン20の下方に第2スクリーン21が配置される。従って、ミラー11によって反射された結果、第2スクリーン21に投射された映像の虚像である第2虚像8Bは、第1スクリーン20に投射された映像の虚像である第1虚像8Aの上方に生成されることとなる。
【0041】
従って、
図13に示すように、フロントウィンドウ6の下縁付近で且つフロントウィンドウ6の前方に、第1虚像8Aとして現在車速を示す数値が生成され、乗員から視認可能となる。また、フロントウィンドウ6の中央付近で且つフロントウィンドウ6の前方に、第2虚像8Bとして案内矢印が生成され、乗員から視認可能となる。ここで、第1スクリーン20は位置が固定であることから第1虚像8Aが生成される位置(具体的には乗員7から第1虚像8Aまでの距離である生成距離L1)も固定であり、乗員7から2.5m前方の位置とする。尚、生成距離L1は、2.5m以外としても良い。但し、生成距離L1を長くし過ぎると、第1虚像8Aが路面に埋め込まれることとなるので、2m〜4m程度であることが好ましい。
【0042】
尚、
図13に示す例では第1虚像8Aとして現在車速の映像を表示させる構成としているが、それ以外の情報、例えば案内標識、地図画像、交通情報、ニュース、天気予報、時刻、接続されたスマートフォンの画面、テレビ番組等の車両からの距離を変位させる必要が無い情報の映像についても表示させる構成としても良い。そして、生成距離L1を適切な距離(例えば2.5m)に固定することによって、路面に埋め込まれるような不自然な虚像が生成されることを防止できる。更に、車両の乗員は第1虚像8Aを視認する際に視線移動を極力少なくすることが可能であり、運転時の負担をより少なくすることが可能となる。
【0043】
一方、第2虚像8Bが生成される位置は、車両から生成距離L2前方の位置となるが、生成距離L2はHUD1の規格によって決定された範囲内で任意に設定及び変更することが可能である。特に、本実施形態では2.5mm〜20mmの範囲内で設定、変更可能とする。また、生成距離L2は第2スクリーン21に投射する映像(即ち第2虚像8B)の内容に基づいて適宜設定することが望ましい。
【0044】
例えば、
図13に示すように第2虚像8Bとして右左折を示す案内矢印を表示する場合には、乗員7から右左折対象となる交差点60までの距離をナビゲーション装置から取得した車両位置や地図情報に基づいて算出し、算出した距離を生成距離L2に設定する。本実施形態に係るHUD1は、前記したように第2スクリーン21を光路に沿って前後方向に移動させることによって生成距離L2を変更することが可能である(
図9参照)。従って、CPU31は乗員7から生成距離L2だけ離れた位置に第2虚像8Bが生成されるように第2スクリーン21の位置を制御する。その結果、第2虚像8Bが生成される位置は、乗員7から設定された生成距離L2前方の位置(
図13に示す例では右折対象となる交差点60の位置)となる。従って、乗員7が視認する前方の風景と第2虚像8Bの位置を対応させることが可能となり、乗員7は、第2虚像8Bを視認する際にも視線移動を極力少なくすることが可能である。尚、その後に車両が移動することによって乗員7から右左折対象となる交差点までの距離が変化すれば、それに伴って生成距離L2も変更するように構成する。また、第2スクリーン21が移動すると、第2投射レンズ17から投射された映像の焦点を第2スクリーン21上に合わせる為に第2投射レンズ17についても移動する。
【0045】
以下に、
図14を用いて第2スクリーン21及び第2投射レンズ17の位置の制御についてより詳細に説明する。ここで、第2スクリーン21及び第2投射レンズ17の位置は、
図14に示すようにプロジェクタ4の光源19の光路52に沿って移動可能に構成される。そして、ミラー11から第2スクリーン21までの距離に生成距離L2が依存するので、第2スクリーン21の位置は、ミラー11から第2スクリーン21までの距離が設定された生成距離L2に対応する距離となるように決定される。尚、第2スクリーン21の位置の決定にはフラッシュメモリ34に記憶された位置設定テーブルが用いられる。位置設定テーブルは、
図15に示すように生成距離L2毎に、該生成距離L2に第2虚像8Bを生成する為の第2スクリーン21の位置が規定されている。
【0046】
一方、第2投射レンズ17の位置は、第2投射レンズ17から投射された映像の焦点を第2スクリーン21上に合わせる位置に決定される。即ち、生成距離L2を長くする為に第2スクリーン21が光路に沿ってミラー11から離間する方向(即ち第2投射レンズ17に近づく方向)に移動すれば、第2投射レンズ17は光路に沿ってその逆方向である第2スクリーン21に近づく方向へと移動することとなる。一方、生成距離L2を短くする為に第2スクリーン21が光路に沿ってミラー11へ近づく方向(即ち第2投射レンズ17から離間する方向)に移動すれば、第2投射レンズ17は光路に沿ってその逆方向である第2スクリーン21から離間する方向へと移動することとなる。即ち、設定された生成距離L2に基づいて、光路52における第2スクリーン21の位置が先ず決定され、決定された第2スクリーン21の位置に基づいて、光路52における第2投射レンズ17の位置が決定されることとなる。また、第2投射レンズ17と第2スクリーン21は、光路52に沿って互いに異なる方向に移動することとなる。尚、位置設定テーブルには、第2スクリーン21の位置に対応付けて第2投射レンズ17の位置についても予め規定されており、第2投射レンズ17の位置の決定には位置設定テーブルが用いられる。
【0047】
その結果、例えば生成距離L2を長く変更する為に、第2スクリーン21を第2投射レンズ17側に移動させた場合であっても、第2スクリーン21の移動に伴って第2投射レンズ17も第2スクリーン21側に移動することにより投射される映像の焦点を第2スクリーン21上に合わせた状態を維持できる。それによって、第2スクリーン21を移動させた後においても鮮明な映像を投射することが可能となる。
【0048】
次に、S2においてCPU31は、CANインターフェース14を介してナビゲーション装置48と通信を行うことにより、ナビゲーション装置48に記憶された地図情報から車両の進行方向前方の道路形状を取得する。
【0049】
続いて、S3においてCPU31は、車両の現在位置と前記S2で取得した車両の進行方向前方の道路形状に基づいて、車両の進行方向前方(即ち乗員7の視線方向)に勾配があるか否か判定する。尚、車両の現在位置情報はナビゲーション装置48等から取得する。
【0050】
そして、車両の進行方向前方(即ち乗員7の視線方向)に勾配があると判定された場合(S3:YES)には、S4へと移行する。それに対して、車両の進行方向前方(即ち乗員7の視線方向)に勾配が無いと判定された場合(S3:NO)には、S12へと移行する。
【0051】
S4においてCPU31は、前記S2で取得した車両の進行方向前方の道路形状に基づいて、車両の進行方向前方(即ち乗員7の視線方向)にあると判定された勾配の勾配方向(上り又は下り)と勾配角度を取得する。そして、取得された勾配方向と勾配角度に基づいて、プロジェクタ4の光源19と投射レンズ15を一体に光路に交差する方向に移動させる移動方向と移動量を決定する。具体的には、勾配角度が大きい程、移動量を大きくするように決定する。また、移動方向は、上り勾配であれば地表面に対して生成される虚像の位置が上方(地表面から離れる方向)へ移動する方向とし、本実施形態では鉛直下向き方向とする。逆に、下り勾配であれば地表面に対して生成される虚像の位置が下方(地表面に近づく方向)へ移動する方向とし、本実施形態では鉛直上向き方向とする。
【0052】
次に、S5においてCPU31は、前記S4で決定された移動方向に同じく決定された移動量だけプロジェクタ4の光源19と投射レンズ15を一体に移動させる為に必要な駆動機構26のアクチュエータの駆動量を決定する。
【0053】
その後、プロジェクタ4による映像の投射は継続した状態で、S6においてCPU31は、前記S5で決定された駆動量で駆動機構26のアクチュエータを駆動させる為の駆動信号を駆動機構26へと送信する。その結果、プロジェクタ4の光源19と投射レンズ15が一体に光路に交差する前記S4で決定された移動方向へと移動を開始する。
【0054】
例えば、車両の前方に上り勾配がある場合には、
図16に示すようにプロジェクタ4が光路に対して交差する鉛直下方へ移動し、それに伴ってプロジェクタ4により第1スクリーン20及び第2スクリーン21に対して映像を投射する投射範囲61についても下方へと移動する。尚、
図16では特に第1スクリーン20と第2スクリーン21とが同位置にある場合を例に挙げて説明する。そして、投射範囲61が移動した結果、第1スクリーン20及び第2スクリーン21に投射された映像に基づいて生成される第1虚像8A及び第2虚像8Bの生成位置が変更される。具体的には、第1虚像8A及び第2虚像8Bが生成される位置が地表面に対してそれぞれ上方へ移動する。その結果、第1虚像8A及び第2虚像8Bの下端部が地面内に埋め込まれることを防止できる。
尚、第1スクリーン20及び第2スクリーン21に対して投射された映像は、反射ミラー10によって反射されるので、生成される虚像は第1スクリーン20及び第2スクリーン21に対して投射された映像と上下左右がそれぞれ反転した像となる。但し、
図16〜
図19は説明を容易にする為に上記反転を考慮しない図とする。
【0055】
また、車両の前方に下り勾配がある場合には、
図17に示すようにプロジェクタ4が光路に対して交差する鉛直上方へ移動し、それに伴ってプロジェクタ4により第1スクリーン20及び第2スクリーン21に対して映像を投射する投射範囲61についても上方へと移動する。尚、
図17では特に第1スクリーン20と第2スクリーン21とが同位置にある場合を例に挙げて説明する。そして、投射範囲61が移動した結果、第1スクリーン20及び第2スクリーン21に投射された映像に基づいて生成される第1虚像8A及び第2虚像8Bの生成位置が変更される。具体的には、第1虚像8A及び第2虚像8Bが生成される位置が地表面側にそれぞれ移動する。その結果、第1虚像8A及び第2虚像8Bが地表面から大きく離れることを防止できる。
【0056】
続いて、S7においてCPU31は、プロジェクタ4の光源19と投射レンズ15の移動が完了したか否かを判定する。具体的には、前記S6で駆動信号を送信した駆動機構26から駆動を完了したことを示す信号を受信した場合に、プロジェクタ4の光源19と投射レンズ15の移動が完了したと判定する。
【0057】
そして、プロジェクタ4の光源19と投射レンズ15の移動が完了したと判定された場合(S7:YES)には、S8へと移行する。それに対して、プロジェクタ4の光源19と投射レンズ15の移動が完了していないと判定された場合(S7:NO)には、移動が完了するまで待機する。
【0058】
続いて、S8においてCPU31は、車両の現在位置と前記S2で取得した車両の進行方向前方の道路形状に基づいて、車両の進行方向前方(即ち乗員7の視線方向)にある勾配が終了したか否か判定する。
【0059】
そして、車両の進行方向前方(即ち乗員7の視線方向)にある勾配が終了したと判定された場合(S8:YES)には、S9へと移行する。それに対して、車両の進行方向前方(即ち乗員7の視線方向)にある勾配が終了していないと判定された場合(S8:NO)には、継続して第1スクリーン20及び第2スクリーン21への映像の投射を行う。
【0060】
S9においてCPU31は、プロジェクタ4の光源19と投射レンズ15の位置を、前記S6及びS7の移動を行う前の位置へと戻す為に必要な駆動機構26のアクチュエータの駆動量を決定する。
【0061】
続いて、プロジェクタ4による映像の投射は継続した状態で、S10においてCPU31は、前記S9で決定された駆動量で駆動機構26のアクチュエータを駆動させる為の駆動信号を駆動機構26へと送信する。その結果、プロジェクタ4の光源19と投射レンズ15とが一体に前記S6及びS7と逆方向へと移動を開始する。
【0062】
続いて、S11においてCPU31は、プロジェクタ4の光源19と投射レンズ15の移動が完了したか否かを判定する。具体的には、前記S10で駆動信号を送信した駆動機構26から駆動を完了したことを示す信号を受信した場合に、プロジェクタ4の光源19と投射レンズ15の移動が完了したと判定する。
【0063】
そして、プロジェクタ4の光源19と投射レンズ15の移動が完了したと判定された場合(S11:YES)には、当該虚像生成処理プログラムを終了する。それに対して、プロジェクタ4の光源19と投射レンズ15の移動が完了していないと判定された場合(S11:NO)には、移動が完了するまで待機する。
【0064】
一方、S12においてCPU31は、車両の現在位置と前記S2で取得した車両の進行方向前方の道路形状に基づいて、車両の進行方向前方(即ち乗員7の視線方向)にカーブがあるか否か判定する。尚、車両の現在位置情報はナビゲーション装置48等から取得する。
【0065】
そして、車両の進行方向前方(即ち乗員7の視線方向)にカーブがあると判定された場合(S12:YES)には、S13へと移行する。それに対して、車両の進行方向前方(即ち乗員7の視線方向)にカーブが無いと判定された場合(S12:NO)にはS1へと戻り、第1スクリーン20及び第2スクリーン21に対する映像の投射を継続して行う。
【0066】
S13においてCPU31は、前記S2で取得した車両の進行方向前方の道路形状に基づいて、車両の進行方向前方(即ち乗員7の視線方向)にあると判定されたカーブの旋回方向(右方向又は左方向)と旋回半径を取得する。そして、取得された旋回方向と旋回半径に基づいて、プロジェクタ4の光源19と投射レンズ15を一体に光路に交差する方向に移動させる移動方向と移動量を決定する。具体的には、旋回半径が小さい程、移動量を大きくするように決定する。また、移動方向は、虚像が生成される位置が、カーブの旋回方向へ移動する方向とする。即ち、右旋回であれば地表面に沿って生成される虚像の位置が右方へ移動する方向であり、本実施形態では水平右方向(光路の進行方向に対して右方向)とする。逆に、左旋回であれば地表面に沿って生成される虚像の位置が左方へ移動する方向であり、本実施形態では水平左方向(光路の進行方向に対して左方向)とする。
【0067】
次に、S14においてCPU31は、前記S13で決定された移動方向に同じく決定された移動量だけプロジェクタ4の光源19と投射レンズ15を一体に移動させる為に必要な駆動機構26のアクチュエータの駆動量を決定する。
【0068】
その後、プロジェクタ4による映像の投射は継続した状態で、S15においてCPU31は、前記S14で決定された駆動量で駆動機構26のアクチュエータを駆動させる為の駆動信号を駆動機構26へと送信する。その結果、プロジェクタ4の光源19と投射レンズ15が一体に光路に交差する前記S13で決定された移動方向へと移動を開始する。
【0069】
例えば、車両の前方に右旋回のカーブがある場合には、
図18に示すようにプロジェクタ4が光路に対して交差する水平右方(光路の進行方向に対して右方向)へ移動し、それに伴ってプロジェクタ4により第1スクリーン20及び第2スクリーン21に対して映像を投射する投射範囲61についても右方へと移動する。尚、
図18では特に第1スクリーン20と第2スクリーン21とが同位置にある場合を例に挙げて説明する。そして、投射範囲61が移動した結果、第1スクリーン20及び第2スクリーン21に投射された映像に基づいて生成される第1虚像8A及び第2虚像8Bの生成位置が変更される。具体的には、第1虚像8A及び第2虚像8Bが生成される位置が地表面に沿ってそれぞれ右方へ移動する。その結果、第1虚像8A及び第2虚像8Bが壁や建物等の障害物に埋め込まれることなく、旋回する車両の進行方向に生成することが可能となる。
【0070】
また、車両の前方に右旋回のカーブがある場合には、
図19に示すようにプロジェクタ4が光路に対して交差する水平左方(光路の進行方向に対して左方向)へ移動し、それに伴ってプロジェクタ4により第1スクリーン20及び第2スクリーン21に対して映像を投射する投射範囲61についても左方へと移動する。尚、
図19では特に第1スクリーン20と第2スクリーン21とが同位置にある場合を例に挙げて説明する。そして、投射範囲61が移動した結果、第1スクリーン20及び第2スクリーン21に投射された映像に基づいて生成される第1虚像8A及び第2虚像8Bの生成位置が変更される。具体的には、第1虚像8A及び第2虚像8Bが生成される位置が地表面に沿ってそれぞれ左方へ移動する。その結果、第1虚像8A及び第2虚像8Bが壁や建物等の障害物に埋め込まれることなく、旋回する車両の進行方向に生成することが可能となる。
【0071】
続いて、S16においてCPU31は、プロジェクタ4の光源19と投射レンズ15の移動が完了したか否かを判定する。具体的には、前記S6で駆動信号を送信した駆動機構26から駆動を完了したことを示す信号を受信した場合に、プロジェクタ4の光源19と投射レンズ15の移動が完了したと判定する。
【0072】
そして、プロジェクタ4の光源19と投射レンズ15の移動が完了したと判定された場合(S16:YES)には、S17へと移行する。それに対して、プロジェクタ4の光源19と投射レンズ15の移動が完了していないと判定された場合(S16:NO)には、移動が完了するまで待機する。
【0073】
続いて、S17においてCPU31は、車両の現在位置と前記S2で取得した車両の進行方向前方の道路形状に基づいて、車両の進行方向前方(即ち乗員7の視線方向)にあるカーブが終了したか否か判定する。
【0074】
そして、車両の進行方向前方(即ち乗員7の視線方向)にあるカーブが終了したと判定された場合(S17:YES)には、S18へと移行する。それに対して、車両の進行方向前方(即ち乗員7の視線方向)にあるカーブが終了していないと判定された場合(S17:NO)には、継続して第1スクリーン20及び第2スクリーン21への映像の投射を行う。
【0075】
S18においてCPU31は、プロジェクタ4の光源19と投射レンズ15の位置を、前記S15及びS16の移動を行う前の位置へと戻す為に必要な駆動機構26のアクチュエータの駆動量を決定する。
【0076】
続いて、プロジェクタ4による映像の投射は継続した状態で、S19においてCPU31は、前記S18で決定された駆動量で駆動機構26のアクチュエータを駆動させる為の駆動信号を駆動機構26へと送信する。その結果、プロジェクタ4の光源19と投射レンズ15とが一体に前記S15及びS16と逆方向へと移動を開始する。
【0077】
続いて、S20においてCPU31は、プロジェクタ4の光源19と投射レンズ15の移動が完了したか否かを判定する。具体的には、前記S19で駆動信号を送信した駆動機構26から駆動を完了したことを示す信号を受信した場合に、プロジェクタ4の光源19と投射レンズ15の移動が完了したと判定する。
【0078】
そして、プロジェクタ4の光源19と投射レンズ15の移動が完了したと判定された場合(S20:YES)には、当該虚像生成処理プログラムを終了する。それに対して、プロジェクタ4の光源19と投射レンズ15の移動が完了していないと判定された場合(S20:NO)には、移動が完了するまで待機する。
【0079】
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係るHUD1によれば、プロジェクタ4を介して夫々映像を第1スクリーン20及び第2スクリーン21に投射し、第1スクリーン20及び第2スクリーン21に投射された映像を車両2のフロントウィンドウ6に反射させて車両の乗員7に視認させることによって、車両の乗員7が視認する映像の虚像を生成する。また、駆動機構26を駆動させることによって、プロジェクタ4の光源19と投射レンズ15とを、光路に対して交差する方向に沿って一体に移動させ、第1スクリーン20及び第2スクリーン21に対して映像が投射される範囲を変更し(S6、S15)、第1スクリーン20及び第2スクリーン21に対して映像が投射される範囲に応じた位置に虚像を生成するので、ユーザの視線方向前方において虚像が利用できる範囲が限定される状況においても、利用できる虚像の範囲が狭くなることを防止することが可能となる。従って、スクリーンへ映像を投射する範囲において実質的に虚像を生成する領域として使用できない領域が生じることを可能な限り抑え、スクリーンをより効果的に使用して虚像を生成することが可能となる。
【0080】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば、本実施形態ではHUD1によって車両2のフロントウィンドウ6の前方に虚像を生成する構成としているが、フロントウィンドウ6以外のウィンドウの前方に虚像を生成する構成としても良い。また、HUD1により映像を反射させる対象はフロントウィンドウ6自身ではなくフロントウィンドウ6の周辺に設置されたバイザー(コンバイナー)であっても良い。また、プロジェクタ4としてはLEDを光源とするプロジェクタ以外のプロジェクタを用いても良い。
【0081】
また、本実施形態では車両2に対してHUD1を設置する構成としているが、車両2以外の移動体に設置する構成としても良い。例えば、船舶や航空機等に対して設置することも可能である。また、アミューズメント施設に設置されるライド型アトラクションに設置しても良い。その場合には、ライドの周囲に虚像を生成し、ライドの乗員に対して虚像を視認させることが可能となる。
【0082】
また、本実施形態では、プロジェクタ4の装置全体を移動させることによって、光源19と投射レンズ15とを一体に移動させる構成としているが、プロジェクタ4の装置全体は移動させずに、光源19と投射レンズ15のみを一体に移動させる構成としても良い。
【0083】
また、本実施形態では、光源19と投射レンズ15を移動させる方向を光路と交差する方向であって水平方向又は鉛直方向としているが、斜め方向に移動させる構成としても良い。
【0084】
また、本実施形態では、第2スクリーン21のみを光路に沿って前後方向に移動可能に構成しているが、第1スクリーン20についても移動可能に構成しても良い。同様に、第1投射レンズ16についても移動可能に構成しても良い。その場合には、第1虚像8Aの生成距離L1について変更可能となる。また、第2スクリーン21のみを光路に沿って前後方向に移動可能に構成し、第2投射レンズ17については位置を固定する構成としても良い。
【0085】
また、本実施形態では、スクリーンを第1スクリーン20と第2スクリーン21の2枚のスクリーンから構成し、プロジェクタ4のレンズを第1投射レンズ16と第2投射レンズ17の2つのレンズから構成しているが、スクリーンとレンズの数は1対又は3対以上としても良い。また、プロジェクタ4のレンズは一のみとし、スクリーンのみ複数枚から構成されるようにしても良い。尚、一のスクリーンのみから構成する場合は、虚像の生成位置を分割できないので、複数のスクリーンにより構成した場合よりも本願発明を適用するメリットがより大きくなる。また、一のスクリーンのみから構成され、且つ該スクリーンの位置が固定される場合には、ユーザから虚像までの距離が固定されることとなるので、特にメリットが大きい。
【0086】
また、本発明に係るヘッドアップディスプレイ装置を具体化した実施例について上記に説明したが、ヘッドアップディスプレイ装置は以下の構成を有することも可能であり、その場合には以下の効果を奏する。
【0087】
例えば、第1の構成は以下のとおりである。
スクリーンは、交差方向移動手段により光源及び投射レンズを移動可能な範囲において、プロジェクタから投射される映像の全域が投射される形状とすることを特徴とする。
上記構成を有するヘッドアップディスプレイ装置によれば、光源と投射レンズとを移動させた場合であっても、移動後の投射レンズから投射された全ての映像をスクリーン上に表示することが可能であり、投射された全ての映像に基づいて適切に虚像を生成することが可能となる。
【0088】
また、第2の構成は以下のとおりである。
虚像を視認するユーザの視認方向の道路形状を取得する道路形状取得手段を有し、交差方向移動手段は、道路形状取得手段により取得された道路形状に基づいて、光源及び投射レンズを移動させることを特徴とする。
上記構成を有するヘッドアップディスプレイ装置によれば、ユーザの視認方向に勾配やカーブ等の特殊な道路形状が形成されている場合であっても、該道路形状に応じて虚像が生成される位置を適切に変更することによって、生成された虚像を用いた適切な案内を行うことが可能となる。
【0089】
また、第3の構成は以下のとおりである。
交差方向移動手段は、道路形状取得手段により取得された道路形状に基づいて、ユーザの視認方向に上り勾配があると判定された場合に、虚像生成手段により虚像が生成される位置が、地表面に対して上方へ移動する方向へと光源及び投射レンズを移動させることを特徴とする。
上記構成を有するヘッドアップディスプレイ装置によれば、ユーザの視認方向に上り勾配がある場合であっても、虚像が生成される位置を地表面から離れる方向へと変更することによって、生成された虚像の一部が地面内に埋め込まれることを防止できる。
【0090】
また、第4の構成は以下のとおりである。
交差方向移動手段は、道路形状取得手段により取得された道路形状に基づいて、ユーザの視認方向に下り勾配があると判定された場合に、虚像生成手段により虚像が生成される位置が、地表面に対して下方へ移動する方向へと光源及び投射レンズを移動させることを特徴とする。
上記構成を有するヘッドアップディスプレイ装置によれば、ユーザの視認方向に下り勾配がある場合であっても、虚像が生成される位置を地表面側へと変更することによって、虚像を地表面から大きく離れることのない適切な位置に生成することが可能となる。
【0091】
また、第5の構成は以下のとおりである。
交差方向移動手段は、上り勾配又は下り勾配の角度が大きい程、光源及び投射レンズの移動量をより大きくすることを特徴とする。
上記構成を有するヘッドアップディスプレイ装置によれば、上り勾配や下り勾配の角度に応じて虚像が生成される位置を変更することが可能となる。従って、生成された虚像の一部が地面内に埋め込まれることを防止できるとともに、虚像の位置を必要以上に上方へ位置させることがなく、ユーザに視認し易い位置に虚像を生成することが可能となる。
【0092】
また、第6の構成は以下のとおりである。
交差方向移動手段は、道路形状取得手段により取得された道路形状に基づいて、ユーザの視認方向にカーブがあると判定された場合に、虚像生成手段により虚像が生成される位置が、カーブの旋回方向へ移動する方向へと光源及び投射レンズを移動させることを特徴とする。
上記構成を有するヘッドアップディスプレイ装置によれば、ユーザの視認方向にカーブがある場合であっても、虚像が生成される位置をカーブの旋回方向へと変更することによって、生成された虚像の一部が壁や建物等に埋め込まれることなく、且つユーザの進行方向に表示させることが可能となる。
【0093】
また、第7の構成は以下のとおりである。
交差方向移動手段は、カーブの旋回半径が小さい程、光源及び投射レンズの移動量をより大きくすることを特徴とする。
上記構成を有するヘッドアップディスプレイ装置によれば、カーブの旋回半径に応じて虚像が生成される位置を変更することが可能となる。従って、生成された虚像の一部が壁や建物等に埋め込まれることを防止できるとともに、虚像の位置を必要以上に旋回方向へ位置させることがなく、ユーザに視認し易い位置に虚像を生成することが可能となる。