【実施例】
【0036】
以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の記載に限定されるものではない。
[硫酸相対粘度(η
r)]
試料0.25gを濃度98wt%の硫酸100mlに溶解し、オストワルド型粘度計を用いて25℃での流下時間(T1)を測定した。引き続き、濃度98wt%の硫酸のみの流下時間(T2)を測定した。T2に対するT1の比、すなわちT1/T2を硫酸相対粘度とした。
[アミノ基量]
試料1gを50mLのフェノール/エタノール混合溶液(フェノール/エタノール=80/20)に、30℃で振とう溶解させて溶液とし、この溶液を0.02Nの塩酸で中和滴定し要した0.02N塩酸量を求めた。また、上記フェノール/エタノール混合溶媒(上記と同量)のみを0.02N塩酸で中和滴定し要した0.02N塩酸の量を求める。そしてその差から試料1gあたりのアミノ基量を求めた。
[融点(Tm)]
パーキンエルマー社製示差走査型熱量計DSC−7型を用い、試料10mgを昇温速度15℃/分にて測定して得た示差熱量曲線において吸熱側に極値を示すピークを融解ピークと判断し、極値を与える温度を融点Tm(℃)とした。なお複数の極値が存在する場合は高温側の極値を融点とした。
[黄化度(YI)]
スガ試験機(株)製のカラーコンピューターを用いてペレットのYI値を測定した。該測定方法はJIS K 7105(プラスチックの光学的特性試験方法)に従って測定した。
【0037】
なお、実施例、比較例では、当該実施例・比較例で得たポリアミド樹脂組成物のYIを無添加ポリアミドのYIに比較したとき、低減した値が3以上の場合をexcellent、1.5以上3未満の場合をgood、1.5未満をbadと評価した。
参考例1(リジン脱炭酸酵素の調整)
E.coli JM109株の培養は以下のように行った。まず、この菌株をLB培地5mlに1白金耳植菌し、30℃ で24時間振とうして前培養を行った。
【0038】
次に、LB培地50mlを500mlの三角フラスコに入れ、予め115℃、10分間蒸気滅菌した。この培地に前培養した上記菌株を植え継ぎ、振幅30cmで、180rpmの条件下で、1N塩酸水溶液でpHを6.0に調整しながら、24時間培養した。こうして得られた菌体を集め、超音波破砕および遠心分離により無細胞抽出液を調製した。これらのリジン脱炭酸酵素活性の測定を定法に従って行った(左右田健次,味園春雄,生化学実験講座, vol.11上, P.179−191(1976))。
【0039】
リジンを基質とした場合、本来の主経路と考えられるリジンモノオキシゲナーゼ、リジンオキシダーゼおよびリジンムターゼによる転換が起こり得るので、この反応系を遮断する目的で、75℃で5分間、E.coli JM109株の無細胞抽出液を加熱した。さらにこの無細胞抽出液を40%飽和および55%飽和硫酸アンモニウムにより分画した。こうして得られた粗精製リジン脱炭酸酵素溶液を用いて、リジンから1,5−ペンタンジアミンの生成を行った。
参考例2(1,5−ペンタンジアミンの製造)
50mM リジン塩酸塩(和光純薬工業(株)製)、0.1mM ピリドキサルリン酸(和光純薬工業(株)製)、40mg/L−粗精製リジン脱炭酸酵素(参考例1で調製)となるように調製した水溶液1,000mlを、0.1N塩酸水溶液でpHを5.5〜6.5に維持しながら、45℃で48時間反応させ、1,5−ペンタンジアミン塩酸塩を得た。この水溶液に水酸化ナトリウムを添加することによって1,5−ペンタンジアミン塩酸塩を1,5−ペンタンジアミンに変換し、クロロホルムで抽出して、減圧蒸留(1,066.58Pa、70℃)することにより、1,5−ペンタンジアミンを得た。
参考例3(1,5−ペンタメチレンジアミン・アジピン酸塩の50wt%水溶液の調製)
参考例2で製造した1,5−ペンタメチレンジアミン576.4gを、イオン交換水1,400g中に溶解した水溶液を、氷浴に浸して撹拌しているところに、823.6gのアジピン酸((株)カーク製)を少量ずつ添加していき、中和点近傍では40℃のウオーターバスで加温して内温を33℃とし、pHが8.32の1,5−ペンタメチレンジアミン・アジピン酸塩の50重量%水溶液2,800gを調整した。
参考例4(1,5−ペンタメチレンジアミン・セバシン酸塩の40wt%水溶液の調製)
参考例2で製造した1,5−ペンタメチレンジアミン469.9gを、イオン交換水2,100g中に溶解した水溶液を、氷浴に浸して撹拌しているところに、930.1gのセバシン酸((株)カーク製)を少量ずつ添加していき、中和点近傍では40℃のウオーターバスで加温して内温を33℃とし、pHが7.80の1,5−ペンタメチレンジアミン・セバシン酸塩の40重量%水溶液3,500gを調整した。
(実施例1)
参考例3で得た1,5−ペンタメチレンジアミン・アジピン酸塩の50wt%水溶液に、化合物(b)として:N,N’−ビス(ホルミル)−N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,6−ヘキサンジアミン(“Uvinul”(登録商標)4050 FF、BASF社製)を表1記載の割合で、螺旋帯撹拌翼をもった撹拌機と熱媒ジャケットを装備した内容積5Lのバッチ式重合缶に仕込んだ(原料調整工程)。
【0040】
次に重合缶内を密閉化し、充分に窒素置換した後に熱媒を加熱して水溶液を濃縮した(濃縮工程)。このとき缶内温度を200℃、缶内圧力(ゲージ圧)を0.2MPaに制圧しながら、水溶液中の原料の濃度が85wt%となるまで濃縮した。缶内の水溶液の濃度は留出水量から判断した。
【0041】
そして濃縮が終了して熱媒温度を290℃まで上昇させ、缶内圧力(ゲージ圧)1.7MPaに到達するまで昇圧した(昇圧工程)。この後缶内圧力(ゲージ圧)を1.7MPaで制圧し、缶内温度が255℃となるまで維持した(制圧工程)。さらに熱媒温度を286.5℃に変更し、50分間かけて大気圧まで放圧した(放圧工程)。さらに缶内圧力(ゲージ圧)を−13kPaまで減じ30分間維持して重合反応を停止した(減圧工程)。その後缶内に0.5MPa(絶対圧)の窒素圧をかけ、重合により得られたポリアミド樹脂組成物を直径約3mmのストランド状に押し出し、長さ約4mmにカッティングし、ペレットを得た(吐出工程)。得られたポリアミド樹脂組成物の硫酸相対粘度(η
r)は2.68、アミノ末端基量は5.73×10
−5mol/g、Tmは254℃であった。
(実施例2〜6)
実施例1に示す原料調整工程にて、耐熱安定剤:N,N’−ビス(ホルミル)−N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,6−ヘキサンジアミン(“Uvinul”(登録商標)4050 FF、BASF社製)を表1記載の各割合で同様の重合缶に仕込んだ。その後の操作は実施例1と同様の方法にてポリアミド樹脂組成物を得た。
(実施例7〜12)
実施例1に示す原料調整工程にて用いた耐熱安定剤のかわりに、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(商品名:トリアセトンジアミン、デグサ・ヒュルス社製)を表1記載の各割合で同様の重合缶に仕込んだ。その後の操作は実施例1と同様の方法にてポリアミド樹脂組成物を得た。
(実施例13)
参考例3で得た1,5−ペンタメチレンジアミン・セバシン酸塩の40wt%水溶液に、耐熱安定剤:N,N’−ビス(ホルミル)−N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,6−ヘキサンジアミン(“Uvinul”(登録商標)4050 FF、BASF社製)を表1記載の割合で、螺旋帯撹拌翼をもった撹拌機と熱媒ジャケットを装備した内容積5Lのバッチ式重合缶に仕込んだ(原料調整工程)。
【0042】
次に重合缶内を密閉化し、充分に窒素置換した後に熱媒を加熱して水溶液を濃縮した(濃縮工程)。このとき缶内温度を200℃、缶内圧力(ゲージ圧)を0.2MPaに制圧しながら、水溶液中の原料の濃度が85wt%となるまで濃縮した。缶内の水溶液の濃度は留出水量から判断した。
【0043】
そして濃縮が終了して熱媒温度を280℃まで上昇させ、缶内圧力(ゲージ圧)1.7MPaに到達するまで昇圧した(昇圧工程)。この後缶内圧力(ゲージ圧)を1.7MPaで制圧し、缶内温度が255℃となるまで維持した(制圧工程)。さらに熱媒温度を275℃に変更し、50分間かけて大気圧まで放圧した(放圧工程)。さらに缶内圧力(ゲージ圧)を−29kPaまで減じ30分間維持して重合反応を停止した(減圧工程)。その後缶内に0.5MPa(絶対圧)の窒素圧をかけ、重合により得られたポリアミド樹脂組成物を直径約3mmのストランド状に押し出し、長さ約4mmにカッティングし、ペレットを得た(吐出工程)。得られたポリアミド樹脂組成物の硫酸相対粘度(η
r)は2.60、アミノ末端基量は4.41×10
−5mol/g、Tmは215℃であった。
(実施例14)
実施例13に示す原料調整工程にて用いた耐熱安定剤のかわりに、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(商品名:トリアセトンジアミン、デグサ・ヒュルス社製)を表1記載の各割合で同様の重合缶に仕込んだ。その後の操作は実施例13と同様の方法にてポリアミド樹脂組成物を得た。
(実施例15)
実施例1に示す原料調整工程にて、ポリマー構成比がN56/N66=95:5となるように1,5−ペンタメチレンジアミン・アジピン酸塩とアジピン酸・ヘキサメチレンジアミン塩を仕込み、耐熱安定剤:N,N’−ビス(ホルミル)−N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,6−ヘキサンジアミン(“Uvinul”(登録商標)4050 FF、BASF社製)を表1記載の各割合で同様の重合缶に仕込んだ。その後の操作は実施例1と同様の方法にてポリアミド樹脂組成物を得た。
(実施例16)
実施例1に示す原料調整工程にて、ポリマー構成比がN56/N66=95:5となるように1,5−ペンタメチレンジアミン・アジピン酸塩とアジピン酸・ヘキサメチレンジアミン塩を仕込み、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(商品名:トリアセトンジアミン、デグサ・ヒュルス社製)を表1記載の各割合で同様の重合缶に仕込んだ。その後の操作は実施例1と同様の方法にてポリアミド樹脂組成物を得た。
(実施例17)
実施例1に示す原料調整工程にて、ポリマー構成比がN56/N6=95:5となるように1,5−ペンタメチレンジアミン・アジピン酸塩とε−カプロラクタムを仕込み、耐熱安定剤:N,N’−ビス(ホルミル)−N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,6−ヘキサンジアミン(“Uvinul”(登録商標)4050 FF、BASF社製)を表1記載の各割合で同様の重合缶に仕込んだ。その後の操作は実施例1と同様の方法にてポリアミド樹脂組成物を得た。
(実施例18)
実施例1に示す原料調整工程にて、ポリマー構成比がN56/N6=95:5となるように1,5−ペンタメチレンジアミン・アジピン酸塩とε−カプロラクタムを仕込み、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(商品名:トリアセトンジアミン、デグサ・ヒュルス社製)を表1記載の各割合で同様の重合缶に仕込んだ。その後の操作は実施例1と同様の方法にてポリアミド樹脂組成物を得た。
(実施例19)
実施例13に示す原料調整工程にて、ポリマー構成比がN510/N66=95:5となるように1,5−ペンタメチレンジアミン・セバシン酸塩とアジピン酸・ヘキサメチレンジアミン塩を仕込み、耐熱安定剤:N,N’−ビス(ホルミル)−N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,6−ヘキサンジアミン(“Uvinul”(登録商標)4050 FF、BASF社製)を表1記載の各割合で同様の重合缶に仕込んだ。その後の操作は実施例1と同様の方法にてポリアミド樹脂組成物を得た。
(実施例20)
実施例13に示す原料調整工程にて、ポリマー構成比がN510/N66=95:5となるように1,5−ペンタメチレンジアミン・セバシン酸塩とアジピン酸・ヘキサメチレンジアミン塩を仕込み、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(商品名:トリアセトンジアミン、デグサ・ヒュルス社製)を表1記載の各割合で同様の重合缶に仕込んだ。その後の操作は実施例1と同様の方法にてポリアミド樹脂組成物を得た。
(実施例21)
実施例13に示す原料調整工程にて、ポリマー構成比がN510/N6=95:5となるように1,5−ペンタメチレンジアミン・セバシン酸塩とε−カプロラクタムを仕込み、耐熱安定剤:N,N’−ビス(ホルミル)−N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,6−ヘキサンジアミン(“Uvinul”(登録商標)4050 FF、BASF社製)を表1記載の各割合で同様の重合缶に仕込んだ。その後の操作は実施例1と同様の方法にてポリアミド樹脂組成物を得た。
(実施例22)
実施例13に示す原料調整工程にて、ポリマー構成比がN510/N6=95:5となるように1,5−ペンタメチレンジアミン・セバシン酸塩とε−カプロラクタムを仕込み、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(商品名:トリアセトンジアミン、デグサ・ヒュルス社製)を表1記載の各割合で同様の重合缶に仕込んだ。その後の操作は実施例1と同様の方法にてポリアミド樹脂組成物を得た。実施例1〜22で得たポリアミド樹脂組成物の組成および特性を表1、表2に示す。なお、表1、表2中、耐熱剤として用いた、ヒンダードアミン系(1)(“Uvinul”(登録商標)4050 FF)の化合物名は、N,N’−ビス(ホルミル)−N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,6−ヘキサンジアミンであり、ヒンダードアミン系(2)(商品名:“TAD”)の化合物名は、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンである。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
(比較例1)
実施例1に示す原料調整工程にて、耐熱安定剤:N,N’−ビス(ホルミル)−N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,6−ヘキサンジアミン(“Uvinul”(登録商標)4050 FF、BASF社製)を無添加で同様の重合缶に仕込んだ。その後の操作は実施例1と同様の方法にてポリアミド樹脂組成物を得た。
(比較例2〜6)
実施例1に示す原料調整工程にて、耐熱安定剤の種類と各割合で表2記載のとおりに変更し、同様の重合缶に仕込んだ。その後の操作は実施例1と同様の方法にてポリアミド樹脂組成物を得た。
(比較例7)
実施例13に示す原料調整工程にて、耐熱安定剤の種類と各割合で表2記載のとおり同様の重合缶に仕込んだ。その後の操作は実施例13と同様の方法にてポリアミド樹脂組成物を得た。
(比較例8)
実施例1に示す原料調整工程にて、ポリマー構成比がN56/N66=95:5となるように1,5−ペンタメチレンジアミン・アジピン酸塩とアジピン酸・ヘキサメチレンジアミン塩を仕込み、耐熱安定剤の種類と各割合で表2記載のとおり同様の重合缶に仕込んだ。その後の操作は実施例1と同様の方法にてポリアミド樹脂組成物を得た。
(比較例9)
実施例1に示す原料調整工程にて、ポリマー構成比がN56/N6=95:5となるように1,5−ペンタメチレンジアミン・アジピン酸塩とε−カプロラクタムを仕込み、耐熱安定剤の種類と各割合で表2記載のとおり同様の重合缶に仕込んだ。その後の操作は実施例1と同様の方法にてポリアミド樹脂組成物を得た。
(比較例10)
実施例13に示す原料調整工程にて、ポリマー構成比がN510/N66=95:5となるように1,5−ペンタメチレンジアミン・セバシン酸塩とアジピン酸・ヘキサメチレンジアミン塩を仕込み、耐熱安定剤の種類と各割合で表2記載のとおり同様の重合缶に仕込んだ。その後の操作は実施例13と同様の方法にてポリアミド樹脂組成物を得た。
(比較例11)
実施例13に示す原料調整工程にて、ポリマー構成比がN510/N6=95:5となるように1,5−ペンタメチレンジアミン・セバシン酸塩とε−カプロラクタムを仕込み、耐熱安定剤の種類と各割合で表2記載のとおり同様の重合缶に仕込んだ。その後の操作は実施例13と同様の方法にてポリアミド樹脂組成物を得た。
(比較例12〜14)
アジピン酸・ヘキサメチレンジアミン塩の53重量%水溶液に、耐熱安定剤を表2記載の割合で、螺旋帯撹拌翼をもった撹拌機と熱媒ジャケットを装備した内容積5Lのバッチ式重合缶に仕込んだ(原料調整工程)。
【0047】
次に重合缶内を密閉化し、充分に窒素置換した後に熱媒を加熱して水溶液を濃縮した(濃縮工程)。このとき缶内温度を200℃、缶内圧力(ゲージ圧)を0.2MPaに制圧しながら、水溶液中の原料の濃度が85wt%となるまで濃縮した。缶内の水溶液の濃度は留出水量から判断した。
【0048】
そして濃縮が終了して熱媒温度を290℃まで上昇させ、缶内圧力(ゲージ圧)1.7MPaに到達するまで昇圧した(昇圧工程)。この後缶内圧力(ゲージ圧)を1.7MPaで制圧し、缶内温度が255℃となるまで維持した(制圧工程)。さらに熱媒温度を285℃に変更し、50分間かけて大気圧まで放圧した(放圧工程)。さらに缶内圧力(ゲージ圧)を−13kPaまで減じ30分間維持して重合反応を停止した(減圧工程)。その後缶内に0.5MPa(絶対圧)の窒素圧をかけ、重合により得られたポリアミド樹脂組成物を直径約3mmのストランド状に押し出し、長さ約4mmにカッティングし、ペレットを得た(吐出工程)。
(比較例15〜17)
ε―カプロラクタムの94重量%水溶液に、耐熱安定剤を表2記載の割合で、螺旋帯撹拌翼をもった撹拌機と熱媒ジャケットを装備した内容積5Lのバッチ式重合缶に仕込んだ(原料調整工程)。
【0049】
次に重合缶内を密閉化し、充分に窒素置換した後に熱媒温度を265℃まで上昇させ、缶内圧力(ゲージ圧)1.0MPaに到達するまで昇圧した(昇圧工程)。この後缶内圧力(ゲージ圧)を1.0MPaで制圧し、缶内温度が255℃となるまで維持した(制圧工程)。さらに熱媒温度を255℃に変更し、40分間かけて大気圧まで放圧した(放圧工程)。さらに缶内圧力(ゲージ圧)を常圧で90分間維持して重合反応を停止した(常圧工程)。その後缶内に0.5MPa(絶対圧)の窒素圧をかけ、重合により得られたポリアミド樹脂組成物を直径約3mmのストランド状に押し出し、長さ約4mmにカッティングし、ペレットを得た(吐出工程)。比較例1〜17で得たポリアミド樹脂組成物の組成および特性を表3、表4に示す。なお、表3、表4中、耐熱剤として用いた、ヒンダードアミン系(1)(“Uvinul”(登録商標)4050 FF)の化合物名は、N,N’−ビス(ホルミル)−N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,6−ヘキサンジアミンであり、ヒンダードアミン系(2)(商品名:TAD)の化合物名は、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンであり、ヒンダードアミン系(3)(“TINUVIN”(登録商標)770) の化合物名は、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケートであり、ヒンダードアミン系(4)(“TINUVIN”(登録商標)144) の化合物名は、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドリキシフェニル]メチル]ブチルマロネートであり、ヒンダードアミン系(5)(“TINUVIN”(登録商標)765) の化合物名は、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケートであり、ヒンダードアミン系(6) の化合物名は、N,N’,N’’,N’’’-テトラキス−(4,6−ビス−(ブチル−N(−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミンであり、ヒンダードフェノール系(“Irganox”(登録商標)1330) の化合物名は、3,3’,3’’,5,5’,5’’−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a’’−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾールである。
【0050】
【表3】
【0051】
【表4】