【実施例】
【0023】
<導電ペーストの準備>
導電ペーストとして、銀粉末を含む以下の10種類の銀ペーストを準備した。
〔試料A−1〕
銀粉末53.0重量%、ブチラール樹脂(積水化学工業製BH−Sと積水化学工業製KS−5を1:1で混合したもの)を樹脂固形量15重量%としてベンジルアルコールに溶解したワニス30.0重量%及びプロピレングリコールメチルエーテルアセテート17.0重量%を、三本ロールミルを用いて混練攪拌することにより銀ペーストA−1を調製した。
〔試料A−2〕
銀粉末53.0重量%、ブチラール樹脂(KS−5)を樹脂固形量15重量%としてベンジルアルコールに溶解したワニス30.0重量%及びプロピレングリコールメチルエーテルアセテート17.0重量%を、三本ロールミルを用いて混練攪拌することにより銀ペーストA−2を調製した。
〔試料A−3〕
銀粉末53.0重量%、ブチラール樹脂(BH−S:KS−5=1:1)を樹脂固形量15重量%としてベンジルアルコールに溶解したワニス30.0重量%、アクリル樹脂(大成ファインケミカル製8AT−935)1.0重量%及びプロピレングリコールメチルエーテルアセテート16.0重量%を、三本ロールミルを用いて混練攪拌することにより銀ペーストA−3を調製した。
〔試料A−4〕
銀粉末53.0重量%、ブチラール樹脂(KS−5)を樹脂固形量15重量%としてベンジルアルコールに溶解したワニス30.0重量%、アクリル樹脂(8AT−935)1.0重量%及びプロピレングリコールメチルエーテルアセテート16.0重量%を、三本ロールミルを用いて混練攪拌することにより銀ペーストA−4を調製した。
〔試料A−5〕
銀粉末42.0重量%、フェノール樹脂(群栄化学工業製PL−4222)9.5重量%、ブチラール樹脂(KS−5)を樹脂固形量15重量%としてベンジルアルコールに溶解したワニス30.0重量%、エポキシ樹脂(新日鐵化学製エポトートYR207)1.0重量%及びプロピレングリコールメチルエーテルアセテート17.5重量%を、三本ロールミルを用いて混練攪拌することにより銀ペーストA−5を調製した。
〔試料A−6〕
銀粉末71.0重量%、エポキシ変性ポリオール樹脂(DIC製エピクロンH−201BT60)5.5重量%、ブロック化イソシアネート(DIC製D−550)7.5重量%及びターピネオール16.0重量%を、三本ロールミルを用いて混練攪拌することにより銀ペーストA−6を調製した。
〔試料A−7〕
銀粉末73.5重量%、メラミン樹脂(三井化学製ユーバン20SE60)9.0重量%、エポキシ樹脂(長嶋特殊塗料製R−53)4.0重量%、硬化促進剤(キングインダストリーズ製Nacure5225)1.0重量%及びターピネオール12.5重量%を、三本ロールミルを用いて混練攪拌することにより銀ペーストA−7を調製した。
〔試料A−8〕
銀粉末53.0重量%、ポリビニルアセテート樹脂(日本合成化学製PV−500)を樹脂固形量15重量%としてベンジルアルコールに溶解したワニス30.0重量%及びプロピレングリコールメチルエーテルアセテート17.0重量%を、三本ロールミルを用いて混練攪拌することにより銀ペーストA−8を調製した。
〔試料A−9〕
銀粉末53.0重量%、ポリエチレンビニルアセテート樹脂(日本ユニカー製NUC−3160)を樹脂固形分15重量%としてベンジルアルコールに溶解したワニス30.0重量%及びプロピレングリコールメチルエーテルアセテート17.0重量%を、三本ロールミルを用いて混練攪拌することにより銀ペーストA−9を調製した。
〔試料A−10〕
銀粉末66.5重量%、スチレンブタジエン樹脂24.0重量%(藤倉応用化工製SBR−5)及びプロピレングリコールメチルエーテルアセテート9.5重量%を、三本ロールミルを用いて混練攪拌することにより銀ペーストA−10を調製した。
【0024】
<導電体層の分析>
準備した各試料をスクリーン印刷法によりアルミナ基板上に塗布して、乾燥及び/又は硬化後の膜厚が約20μmの導電体層を形成し、その後、前述した方法で水素結合性成分値γ
h2と分散力成分値γ
d2を算出した。その結果を表1に示す。また樹脂成分中の水酸基の有無は、日本分光製FT−IRフーリエ変換赤外線分光光度計6200を用い、水酸基の吸収スペクトル3500cm
−1付近のピークの有無によって判定し、表1中にその結果を併記した。
【0025】
【表1】
【0026】
<カーボンペーストの準備>
カーボンペーストとして、グラファイト粉末を含む以下の3種類のグラファイトペーストを準備した。
〔試料G−1〕
グラファイト粉末4.8重量%、ポリエチレンビニルアセテート樹脂32.5重量%(NUC−3160)及びプロピレングリコールメチルエーテルアセテート62.7重量%を、ボールミルを用いて混練攪拌することによりグラファイトペーストG−1を調製した。
〔試料G−2〕
グラファイト粉末8.3重量%、ノボラックエポキシ樹脂12.5重量%(新日鐵化学製YDF−2001)、硬化剤2.2重量%(長嶋特殊塗料製ハードナ―N)及び2−ブトキシエタノール77.0重量%を、ボールミルを用いて混練攪拌することによりグラファイトペーストG−2を調製した。
〔試料G−3〕
グラファイト粉末6.3重量%、ブチラール樹脂4.0重量%(BH−S:KS−5=1:1)及びプロピレングリコールメチルエーテルアセテート89.7%を、ボールミルを用いて混練攪拌することによりグラファイトペーストG−3を調製した。
【0027】
<カーボン層の分析>
準備した各試料をスプレーコート法によりアルミナ基板上に吹きつけて、乾燥及び/又は硬化後の膜厚が約20μmのカーボン層を形成した。その後、前述した方法により水素結合性成分値γ
h1と分散力成分値γ
d1を算出した。その結果を表2に示す。また前述した方法により判定した樹脂成分中の水酸基の有無を、表2に併記した。
【0028】
【表2】
【0029】
<カーボン層と導電体層の組合せに関する実験>
準備した導電ペーストとカーボンペーストを組合せ、ESR値に対する影響が最も大きい接触抵抗を計測した。
【0030】
〔実験例1〕
アルミナ基板上に試料G−1のグラファイトペーストを用いて厚さ約20μmのカーボン層を形成し、その上に、試料A−1の銀ペーストを用いて1mm×20mmの細線形状パターンを等間隔に複数個形成した後、150℃で60分間の乾燥及び/又は硬化によって試料基板を作成した。また、同様にして同じ試料基板を計50個準備した。
【0031】
準備した50個の試料基板に対し、TLM(Transmission Line Model)法に基づき接触抵抗を測定した後、−55℃〜125℃の熱負荷試験を300回繰り返し行った。こうしてヒートサイクル試験を経た50個の試料基板に対し、再度、接触抵抗を測定した。
得られたデータから以下の「変動係数(CV値)」と「接触抵抗変化率」を算出した。
〔式2〕 〔変動係数(CV値)〕=〔ヒートサイクル試験後の接触抵抗値の標準偏差〕÷〔ヒートサイクル試験後の接触抵抗値の平均値〕×100
〔式3〕 〔接触抵抗変化率(%)〕=(〔ヒートサイクル試験後の接触抵抗値の平均値〕÷〔ヒートサイクル試験前の接触抵抗値の平均値〕×100)−100
変動係数(CV値)が大きければ大きいほど、熱衝撃による接触抵抗の変化(ひいてはESRの変化)のばらつきが大きく、また接触抵抗変化率が大きければ大きいほど、熱履歴による接触抵抗の劣化(ひいてはESRの劣化)が大きいことを意味している。なお、接触抵抗変化率がマイナスであるものは、熱履歴によってオーミックコンタクトが向上したことを意味している。
【0032】
実験例1で得られた「変動係数(CV値)」と「接触抵抗変化率」を表3に記載した。なお表3に、試料A−1、試料G−1で使用した樹脂成分中の水酸基の有無の組合せ、水素結合性成分値の差Δγ
h(=γ
h2−γ
h1)、更に参考として分散力成分値の差Δγ
d(=γ
d2−γ
d1)を併記した。
【0033】
【表3】
【0034】
〔実験例2〜30〕
表3に記載されている試料の組合せで、実験例1と同様の試験と測定を行った。その結果を表3に併記した。
【0035】
<評価・検討>
表3中に*が付与されている例は本発明の範囲外である。
同表から明らかなように、導電体層、カーボン層のどちらか一方だけでも水酸基を有していない場合は、熱履歴により接触抵抗が上昇しているのに対し、共に水酸基を有している場合は接触抵抗が下がるか、上昇した場合でも1%未満に収まっている。
また、水素結合性成分値の差Δγ
hの絶対値が3以下の場合、変動係数CV値は3.5以下であり、熱履歴によるばらつきが非常に抑えられているが、Δγ
hの絶対値が3を越えると変動係数CV値が急激に上昇する。