(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
  冷媒を圧縮する圧縮機構と、前記圧縮機構を駆動する電動モータと、前記圧縮機構及び前記電動モータを収容するハウジングと、前記ハウジングの外周に設けられ、締結手段によって対象物に固定される取付部が形成された支持部材と、を備えた電動圧縮機において、
  前記ハウジングは、突部を有し、前記支持部材は、凹部を有し、
  前記突部は、
  前記電動モータから離れるにしたがい互いの距離が近くなるように傾斜した一対の外壁面と、
  前記一対の外壁面の間で延設する先端面と、を有し、
  前記凹部は、
  底面と、
  前記底面から、前記電動モータから離れる方向に向かって延設する一対の第1内壁面と、
  前記第1内壁面から、前記電動モータに近づく方向に向かって延設するとともに前記電動モータに近づくにしたがって互いの距離が離れるように傾斜する一対の第2内壁面と、を有し、
  前記支持部材は、前記ハウジングから離間して設けられ、
  前記突部は、前記凹部内が、前記底面と前記先端面との間の空間を挟んで2つの収容空間に分割されるように、前記凹部内に配置され、
  前記2つの収容空間には、前記圧縮機構の駆動前の状態において、前記第1内壁面と対向し、かつ、前記第1内壁面及び前記第1内壁面と前記第2内壁面の境界から離間するように別体の防振材が各々設けられ、
  前記支持部材は、前記突部及び前記凹部が前記防振材を介して係合されることにより、前記ハウジングを支持し、
  前記収容空間における前記防振材の充填率は、前記圧縮機構を駆動することで高くなることを特徴とする電動圧縮機。
  冷媒を圧縮する圧縮機構と、前記圧縮機構を駆動する電動モータと、前記圧縮機構及び前記電動モータを収容するハウジングと、前記ハウジングの外周に設けられ、締結手段によって対象物に固定される取付部が形成された支持部材と、を備えた電動圧縮機において、
  前記ハウジングは、一対の第1の突部を有し、
  前記支持部材は、第2の突部を有し、
  前記支持部材は、前記ハウジングから離間して設けられ、
  前記第2の突部は、前記一対の第1の突部間に前記第2の突部を挟んで2つの収容空間が形成されるように配置され、
  前記2つの収容空間には、前記圧縮機構の駆動前の状態において、前記一対の第1の突部または前記第2の突部から離間するように別体の防振材が各々設けられ、
  前記支持部材は、前記防振材を介して前記ハウジングを支持し、
  前記収容空間における前記防振材の充填率は、前記圧縮機構を駆動することで高くなることを特徴とする電動圧縮機。
  前記収容空間及び前記収容空間に収容される前記防振材は、前記ハウジングの外周面を全周にわたり覆うように設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電動圧縮機。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1の実施形態)
  以下、第1の実施形態に係る電動圧縮機を
図1〜
図8に基づいて説明する。
  
図1及び
図2に示すように、電動圧縮機10は、車両のエンジンルーム等に配置され、車室内の温度調整を行う空調装置に適用されている。
  電動圧縮機10は、圧縮機構11と、電動モータ12と、圧縮機構11及び電動モータ12を収容するハウジング13と、締結手段としてのボルト14によって対象物15に固定される取付部が形成された2つの支持部材28、29とを備えている。
  
図1に示すように、電動圧縮機10が取り付けられる車両のフレームやエンジン等の対象物15には、横方向(電動圧縮機10側)に突出する2つの突出部15Aが設けられている。突出部15Aの垂直な面(電動圧縮機10の取付部に対向する面)には、ボルト14を螺合するための4つのねじ孔(図示せず)が形成されている。
 
【0017】
  ハウジング13は、一方の端部(
図2の紙面左側)が開口する第1ハウジング17と、第1ハウジング17の一方の端部側を閉塞する第2ハウジング18とからなり、筒状に形成されている。ハウジング13は、圧縮機構11及び電動モータ12を収容する密閉空間13Aを有している。第1ハウジング17及び第2ハウジング18は、鉄材やアルミ材等の金属材料により形成されている。
 
【0018】
  密閉空間13Aには、圧縮機構11が設けられている。圧縮機構11は、主に第1ハウジング17の内周面17Bに固定された固定スクロール11Aと、固定スクロール11Aに対向配置された可動スクロール11Bとを備えている。固定スクロール11Aと可動スクロール11Bとは、噛合して両者間に圧縮室11Cを形成している。
  第1ハウジング17内には、駆動軸12Aが収容されている。駆動軸12Aは、他方の端部(
図2の紙面右側)が軸受12Bに支持され、一方の端部(
図2の紙面左側)が軸受12Cに支持されている。
 
【0019】
  密閉空間13Aにおける圧縮機構11よりも第1ハウジング17の内底面17C側には、電動モータ12が配置されている。第1ハウジング17の内周面17Bにはステータ12Dが固定されている。ステータ12Dには、図示しない駆動回路から三相交流が供給されるようになっている。ステータ12Dの内側には駆動軸12Aに固定されたロータ12Eが設けられている。ロータ12Eは、ステータ12D内でステータ12Dに供給される電流によって回転駆動される。電動モータ12は、駆動軸12A、ステータ12D及びロータ12Eによって主に構成されている。
 
【0020】
  第1ハウジング17の内底面17Cには、吸入口19が設けられている。吸入口19は図示しない配管を介して外部冷媒回路に接続されている。
  第2ハウジング18と固定スクロール11Aとの間には、吐出室20が形成されている。第2ハウジング18の内底面18Aには、吐出口21が設けられている。吐出口21は図示しない配管を介して外部冷媒回路に接続されている。
  
図2に示すように、電動モータ12が回転して圧縮機構11を作動させると、圧縮機構11は、吸入口19を介して外部冷媒回路より冷媒を吸入し、圧縮する。そして、圧縮機構11は、吐出口21を介して外部冷媒回路に圧縮した冷媒を吐出する。
 
【0021】
  図2に示すように、第1ハウジング17の外周面17Aには、4個のリブ22〜25が円周方向に延在して形成されている。リブ22〜25は、第1ハウジング17の外周面17Aの全周にわたり外径方向に突出して形成されている。第1ハウジング17の他方の端部側に位置する2個のリブ22、23によって凹部26が形成されている。凹部26は、2個のリブ22、23の内壁面22A、23A及びリブ22、23間に位置する第1ハウジング17の外周面17Aの一部(底面26A)により形成される。第1ハウジング17の一方の端部側に位置する2個のリブ24、25によって凹部27が形成されている。凹部27は、2個のリブ24、25の内壁面24A、25A及びリブ24、25間に位置する第1ハウジング17の外周面17Aの一部(底面27A)により形成される。凹部26、27は、圧縮機構11及び電動モータ12が位置する部位の第1ハウジング17の外周面17Aに設けられている。
 
【0022】
  図1に示すように、支持部材28、29は、第1ハウジング17の外周面17Aを全周にわたり覆うように設けられている。支持部材28は、凹部26に対応する位置に配置され、支持部材29は、凹部27に対応する位置に配置されている。支持部材28、29は同一形状を有している。支持部材28、29は、第1支持部材30及び第2支持部材31よりそれぞれ形成されている。第1支持部材30及び第2支持部材31は、それぞれ半円筒形状とされており、互いに組み合わされることにより円筒状の支持部材28、29を構成する。第1支持部材30及び第2支持部材31は、互いに同一形状である。第1支持部材30の内周面30Aには、内径方向に突出する凸部30Bが形成されている。同様に、第2支持部材31の内周面31Aには、内径方向に突出する凸部31Bが形成されている(
図4参照)。凸部30B、31Bは、支持部材28、29に設けられた突部に相当する。第1ハウジング17の凹部26、27内には、第1支持部材30及び第2支持部材31の凸部30B、31Bが配置される。第1支持部材30及び第2支持部材31は、防振性を有する材料、例えば、樹脂又は、繊維強化樹脂等から形成されている。
 
【0023】
  第1支持部材30の円周方向の両端部には、それぞれ第1取付部30Cが第1支持部材30の外周面の接線方向に突設されている。第2支持部材31の円周方向の両端部には、それぞれ第2取付部31Cが第2支持部材31の外周面の接線方向に突設されている。
図3及び
図4に示すように、第1取付部30Cには、金属製の補強部32がインサート成形され、補強部32に貫通孔32Aが形成されている。同様に、第2取付部31Cにも、金属製の補強部32がインサート成形され、補強部32に貫通孔32Aが形成されている。第1支持部材30と第2支持部材31とが組み合わされると、第1取付部30Cと第2取付部31Cとの貫通孔32Aが同軸で連通する。同軸で連通された貫通孔32Aにボルト14をそれぞれ挿入し、対象物15への第1支持部材30及び第2支持部材31の取り付けが行われる。
 
【0024】
  図2及び
図3に示すように、第1ハウジング17の凹部26と第1支持部材30の凸部30Bとによって、分割された2つの収容空間35、36が形成されている。収容空間35、36は、凹部26と凸部30Bによって形成されるとともに、凸部30Bを挟んで両側に形成されている。
  収容空間35は、第1支持部材30の内周面30A及び凸部30Bのリブ22側の側面30Dと、第1ハウジング17のリブ22の内壁面22A及び凹部26の底面26Aとにより囲まれた空間により形成され、断面矩形の形状を有している。
  収容空間36は、第1支持部材30の内周面30A及び凸部30Bのリブ23側の側面30Eと、第1ハウジング17のリブ23の内壁面23A及び凹部26の底面26Aとにより囲まれた空間により形成され、断面矩形の形状を有している。
 
【0025】
  図3に示すように、第1ハウジング17の凹部27と第1支持部材30の凸部30Bとによって、分割された2つの収容空間37、38が形成されている。収容空間37、38は、凹部27と凸部30Bによって形成されるとともに、凸部30Bを挟んで両側に形成されている。
  収容空間37は、第1支持部材30の内周面30A及び凸部30Bのリブ24側の側面30Dと、第1ハウジング17のリブ24の内壁面24A及び凹部27の底面27Aとにより囲まれた空間により形成され、断面矩形の形状を有している。なお、収容空間37は、収容空間35と同等の形状を有している。
  収容空間38は、第1支持部材30の内周面30A及び凸部30Bのリブ25側の側面30Eと、第1ハウジング17のリブ25の内壁面25A及び凹部27の底面27Aとにより囲まれた空間により形成され、断面矩形の形状を有している。なお、収容空間38は、収容空間36と同等の形状を有している。
 
【0026】
  図4に示すように、第1ハウジング17の凹部26と第2支持部材31の凸部31Bとによって、分割された2つの収容空間39、40が形成されている。収容空間39、40は、凹部26と凸部31Bによって形成されるとともに、凸部31Bを挟んで両側に形成されている。
  収容空間39は、第2支持部材31の内周面31A及び凸部31Bのリブ22側の側面31Dと、第1ハウジング17のリブ22の内壁面22A及び凹部26の底面26Aとにより囲まれた空間により形成され、断面矩形の形状を有している。
  収容空間40は、第2支持部材31の内周面31A及び凸部31Bのリブ23側の側面31Eと、第1ハウジング17のリブ23の内壁面23A及び凹部26の底面26Aとにより囲まれた空間により形成され、断面矩形の形状を有している。
 
【0027】
  図4に示すように、第1ハウジング17の凹部27と第2支持部材31の凸部31Bとによって、分割された2つの収容空間41、42が形成されている。収容空間41、42は、凹部27と凸部31Bによって形成されるとともに、凸部31Bを挟んで両側に形成されている。
  収容空間41は、第2支持部材31の内周面31A及び凸部31Bのリブ24側の側面31Dと、第1ハウジング17のリブ24の内壁面24A及び凹部27の底面27Aとにより囲まれた空間により形成され、断面矩形の形状を有している。なお、収容空間41は、収容空間39と同等の形状を有している。
  収容空間42は、第2支持部材31の内周面31A及び凸部31Bのリブ25側の側面31Eと、第1ハウジング17のリブ25の内壁面25A及び凹部27の底面27Aとにより囲まれた空間により形成され、断面矩形の形状を有している。なお、収容空間42は、収容空間40と同等の形状を有している。
  第1支持部材30及び第2支持部材31は、互いに組み合わされることにより、収容空間35と収容空間39とが連通し、収容空間36と収容空間40とが連通する。また、収容空間37と収容空間41とが連通し、収容空間38と収容空間42とが連通する。そして、それぞれ円筒状の収容空間を形成する。
 
【0028】
  収容空間35〜38内には、それぞれ第1防振材33が設けられている。収容空間39〜42内には、それぞれ第2防振材34が設けられている。
  凸部30B、31B及び凹部26、27が第1防振材33及び第2防振材34を介して係合されることにより、第1支持部材30及び第2支持部材31が第1ハウジング17を支持している。
  
図2及び
図3に示すように、第1防振材33は、収容空間35〜38にそれぞれ1個ずつ湾曲した状態で収容されている。
図4に示すように、第2防振材34は、収容空間39〜42にそれぞれ1個ずつ湾曲した状態で収容されている。
 
【0029】
  図3及び
図4に示すように、第1防振材33及び第2防振材34は、径方向に圧縮変形した状態で装着されている。このとき収容空間35〜42においては、第1防振材33及び第2防振材34との間に隙間がある状態で装着されている。第1防振材33及び第2防振材34は、弾性を有するゴム材より形成され、具体的には、耐熱性及び耐久性の少なくとも一方を有する材料、例えばシリコンゴム又はエチレンプロピレンゴムより形成される。第1防振材33及び第2防振材34は、断面矩形の棒状の部材である。第1防振材33及び第2防振材34は、互いに組み合わされることにより、第1ハウジング17の外周面17Aを全周にわたり覆うように設けられている。
 
【0030】
  電動圧縮機10には、第1支持部材30及び第2支持部材31から構成された2つの支持部材28、29が装着され、それぞれ2箇所ずつ計4箇所で対象物15に固定される。
  第1支持部材30及び第2支持部材31がボルト14により対象物15に固定された状態においては、第1支持部材30及び第2支持部材31は第1防振材33及び第2防振材34を介して第1ハウジング17を支持している。すなわち、第1支持部材30及び第2支持部材31と第1ハウジング17とは、接触せず、第1防振材33及び第2防振材34を介して間接的に連結した状態にある。
 
【0031】
  電動圧縮機10の振動の振幅に応じて、各収容空間35〜42における第1防振材33及び第2防振材34の充填率は変化する。例えば、電動圧縮機10の振動の振幅が小さい場合には、各収容空間35〜42における第1防振材33及び第2防振材34の充填率は100%未満となるように設定されている。このとき収容空間35〜42と第1防振材33及び第2防振材34との間には隙間がある状態であり、第1防振材33及び第2防振材34は収容空間35〜42において変形可能な状態にある。すなわち、収容空間35〜42は、防振材が充填されるとともに、収容空間35〜42における防振材の充填率を変更できるように構成されている。また、収容空間35〜42は、防振材の充填率の減少によって隙間が生じることを許容している。
  電動圧縮機10の振動の振幅が大きい場合には、各収容空間35〜42における第1防振材33及び第2防振材34の充填率は増加する方向に変更され、100%となる。このとき収容空間35〜42と第1防振材33及び第2防振材34との間には隙間が無い状態であり、第1防振材33及び第2防振材34は収容空間35〜42において変形不能な状態にある。
  なお、収容空間における防振材の充填率とは、収容空間の容積に占める防振材の体積の割合のことを指す。例えば、軸心mを通る断面で考えたときに、収容空間の断面積S1に対して防振材の占める断面積S2とすれば、充填率H=S2/S1×100%で表すことができる。充填率100%未満とは、
図5(a)に示すように、収容空間の断面積S1に対して第1防振材33の断面積S2が小さく(S1>S2)、第1防振材33が収容空間35、36において変形可能な状態(隙間がある状態)を云う。また、充填率100%とは、
図5(b)に示すように、収容空間35、36の断面積S1に対して第1防振材33の断面積S2が同等(S1=S2)となり、第1防振材33が収容空間35、36いっぱいに埋められて変形不能な状態(隙間が無い状態)を云う。
 
【0032】
  また、電動圧縮機10の振動の振幅に応じて、各収容空間35〜42に対応して収容される第1防振材33及び第2防振材34の充填率Hが変化し、充填率100%となったときには、第1防振材33及び第2防振材34の共振周波数はずれる。
  なお、防振材の固有振動数をF0とすると、防振材は固有振動数F0で最も強く振動し、振幅大となる。すなわち、防振材が固有振動数F0と同じ周波数の振動(入力振動)を電動圧縮機から受けた場合には、振動が増幅され大きな振動が発生する。これを共振といい、その周波数を共振周波数F0と云う。防振材の固有振動数F0と共振周波数F0とは一致している。
 
【0033】
  次に、電動圧縮機10の製造方法について説明する。
  まず、第1工程では、予め収容空間35〜42における充填率Hが異なる複数の防振材が用意される。
  次に、第2工程では、複数の防振材の中から、電動圧縮機10の振動の振幅に対して固有振動数がずれている第1防振材33及び第2防振材34を選択する。すなわち、電動圧縮機10の振動の振幅に対して各収容空間35〜42における第1防振材33及び第2防振材34の充填率が100%となるような防振材を選択する。このとき防振材の固有振動数はF0からずれる。
  次に、第3工程では、選択した防振材を収容空間35〜42に充填し、支持部材28、29をハウジング13に組み付ける。
 
【0034】
  次に、上記構成を有する電動圧縮機10についてその作用説明を行う。
  
図5(a)、
図5(b)では、電動圧縮機10の振動の振幅と充填率Hの関係を模式的に示している。ここでは、収容空間35、36に収容される第1防振材33について説明する。
  
図5(a)に示すように、電動圧縮機10の振動の振幅が小さい場合には、ハウジング17を介して第1防振材33に作用する荷重K1は小さいので、第1防振材33の変形は小さく収容空間35、36における第1防振材33の充填率は100%未満となる。(S1>S2)すなわち、収容空間35、36において第1防振材33との間に隙間が形成され、第1防振材33の非接触面が充分に確保され、第1防振材33の剛性は低く抑えられる。
 
【0035】
  一方、
図5(b)に示すように、電動圧縮機10の振動の振幅が大きい場合には、ハウジング17を介して第1防振材33に作用する荷重K2は大きいので、第1防振材33の変形は大きく収容空間35、36における第1防振材33の充填率は100%となる。(S1=S2)すなわち、収容空間35、36において第1防振材33との間に隙間が形成されず、第1防振材33は変形不能な状態となり、第1防振材33の非接触面が無くなり、第1防振材33の剛性は高くなる。
 
【0036】
  ところで、電動圧縮機10の振動の振幅と防振材の充填率H及び防振材のばね定数の関係は、
図6に示すグラフで表される。なお、
図6において、電動圧縮機の振動の振幅と防振材の充填率Hの関係は実線で示す特性曲線で表し、電動圧縮機の振動の振幅と防振材のばね定数の関係は破線で示す特性曲線で表している。
  防振材の充填率Hは、電動圧縮機の振幅が大きくなると次第に増加し、振幅P0で100%となる。また、防振材のばね定数は、振幅P0以下では一定の値を維持するが、振幅P0に近づくと急激に上昇する。防振材のばね定数と剛性(物体の変形のしにくさ)とは比例し、ばね定数が大きくなると防振材の剛性は高くなり、逆に、防振材のばね定数が小さくなると剛性は低くなる。
  防振材の固有振動数F0は、防振材の剛性およびばね定数と比例の関係にあり、剛性が高くなると固有振動数F0は上昇し、剛性が低くなると固有振動数F0は低下する。また、防振材の固有振動数F0は、防振材の質量と反比例の関係にあり、質量が小さくなると固有振動数F0は上昇し、質量が大きくなると固有振動数F0は低下する。
 
【0037】
  図7には、防振材の振動伝達特性を示している。
図7では横軸を周波数とし、縦軸を振幅としている。実線で示す特性Q1は、本実施形態の振動伝達特性を表し、破線で示す特性Q2は、充填率Hを考慮しない従来の振動伝達特性を表している。
  電動圧縮機10より、周波数F0に振動成分を有する入力振動Rが加えられると、共振周波数F0で電動圧縮機10は大きく振動し、振幅が増大する。ところで、本実施形態の場合には、共振周波数F0での電動圧縮機10の振幅の増大により、収容空間35、36における第1防振材33の充填率Hは100%となることによって、第1防振材33の剛性が高くなり、第1防振材33の共振周波数F0は共振周波数F1へとずれて共振周波数が変化する。共振に伴う振幅の増大により第1防振材33の充填率Hが100%となり、共振周波数F0が共振周波数F1へとずれる一連の動きは、瞬時に行われるので、周波数F0における共振現象は発生せず、特性Q1で示すように電動圧縮機10の振動の振幅は小さくなる。振動が収まると、収容空間35、36における第1防振材33の充填率Hは100%未満となり、第1防振材33の共振周波数はF1よりF0に戻る。
  一方、従来の場合には、充填率Hを考慮した設計がなされておらず、防振材の充填率Hは100%未満と考えられるので、共振周波数F0はずれることはなく、特性Q2で示すように共振周波数F0で電動圧縮機は大きく振動し、振幅が増大する。
 
【0038】
  第1支持部材30及び第2支持部材31の凸部30B、31Bは、ハウジング17の外周面17Aを全周にわたり覆うように設けられており、第1ハウジング17の凹部26、27は、ハウジング17の外周面17Aに全周にわたり設けられている。凸部30B、31B及び凹部26、27によって形成される収容空間35〜42、並びに、各収容空間35〜42に収容される第1防振材33及び第2防振材34は、ハウジング17の外周面17Aを全周にわたり覆うように設けられている。
  
図8(a)、
図8(b)では、共振に伴う電動圧縮機10の振動(振幅)と防振材の充填率の関係を模式的に示している。ここでは、収容空間35、36に収容される第1防振材33及び、収容空間39、40に収容される第2防振材34について説明する。
図8(a)、
図8(b)では、軸心mを中心とした外周面17A上の対向する位置にある収容空間35、36及び収容空間39、40を示している。なお、
図8(a)、
図8(b)は、
図1において電動圧縮機10を水平方向に切断したときの部分断面図である。
 
【0039】
  図8(a)に示すように、共振に伴い電動圧縮機10から径方向の大きな振動(振幅大)が加わり、ハウジング17を介して第1防振材33及び第2防振材34に作用する荷重K3は、
図8(a)に示す矢印の方向で水平方向に作用するものとする。このとき、収容空間35、36における荷重K3が最も大きく作用する一部の領域では、第1防振材33の充填率Hは低くなり100%未満となる。一方、収容空間39、40における荷重K3が最も大きく作用する一部の領域では、第2防振材34の充填率Hは高くなり100%となる。なお、収容空間39、40における荷重K3が最も大きく作用する一部の領域では、第2防振材34は荷重K3を直接受けている状態にある。
  すなわち、共振周波数F0における共振に伴う電動圧縮機10の振幅の増大により、収容空間39、40の一部の領域では、第2防振材34の充填率Hは高くなり100%となることにより、第2防振材34の剛性が高くなり、第2防振材34の共振周波数F0は共振周波数F1へとずれて共振周波数が変化する。このことにより、周波数F0における共振現象は発生せず、電動圧縮機10の振動の振幅は小さくなる。
 
【0040】
  図8(b)に示すように、共振に伴い電動圧縮機10から径方向の大きな振動(振幅大)が加わり、ハウジング17を介して第1防振材33及び第2防振材34に作用する荷重K4は、
図8(b)に示す矢印の方向で水平方向に作用するものとする。なお、荷重K4は荷重K3と大きさは同じで作用方向が反対である。このとき、収容空間35、36における荷重K4が最も大きく作用する一部の領域では、第1防振材33の充填率Hは高くなり100%となる。一方、収容空間39、40における荷重K4が最も大きく作用する一部の領域では、第2防振材34の充填率Hは低くなり100%未満となる。なお、収容空間35、36における荷重K4が最も大きく作用する一部の領域では第1防振材33は荷重K4を直接受けている状態にある。
  すなわち、共振周波数F0における共振に伴う電動圧縮機10の振幅の増大により、収容空間35、36の一部の領域では、第1防振材33の充填率Hは高くなり100%となることにより、第1防振材33の剛性が高くなり、第1防振材33の共振周波数F0は共振周波数F1へとずれて共振周波数が変化する。このことにより、周波数F0における共振現象は発生せず、電動圧縮機10の振動の振幅は小さくなる。
  このように、電動圧縮機10における共振に伴う径方向の大きな振動が、上下方向、左右方向を含め径方向のどの方向に作用しても、円周方向における収容空間の一部の領域で防振材の充填率が100%となることにより、電動圧縮機10の大きな振動を全周にわたり抑制することが可能である。
 
【0041】
  第1の実施形態に係る電動圧縮機10によれば以下の効果を奏する。
(1)第1防振材33及び第2防振材34の共振周波数(固有振動数)F0とした場合に、電動圧縮機10の振動の振幅に応じて各収容空間35〜42における第1防振材33及び第2防振材34の充填率Hを変化させることにより、第1防振材33及び第2防振材34の共振周波数F0をずらす(入力振動の周波数と異ならせる)ことが可能であり、周波数F0における共振による電動圧縮機10の大きな振動(振幅大)を防止することが可能である。よって、電動圧縮機10の振動の振幅に対して固有振動数がずれた防振材を用いることにより、電動圧縮機の振動を抑制することが可能である。
(2)電動圧縮機10の振動の振幅が小さい場合には、各収容空間35〜42における第1防振材33及び第2防振材34の充填率Hは100%未満で、第1防振材33及び第2防振材34が収容空間35〜42において変形可能な状態にあり、第1防振材33及び第2防振材34の剛性は低く抑えられ、共振周波数はF0のままである。一方、電動圧縮機10の振動の振幅が大きい場合には、各収容空間35〜42における第1防振材33及び第2防振材34の充填率Hは100%で、第1防振材33及び第2防振材34が収容空間35〜42において変形不能な状態にあり、第1防振材33及び第2防振材34の剛性は高くなり、第1防振材33及び第2防振材34の共振周波数はF0よりF1へずれる。よって、周波数F0における共振による電動圧縮機10の大きな振動(振幅大)を防止することができる。
(3)各収容空間35〜42及び各収容空間35〜42に収容される第1防振材33及び第2防振材34は、ハウジング17の外周面17Aを全周にわたり覆うように設けられている。よって、電動圧縮機10における共振に伴う径方向の大きな振動が、上下方向、左右方向を含め径方向のどの方向に作用しても、円周方向における収容空間の一部の領域で防振材の充填率が100%となることにより、電動圧縮機10の大きな振動を全周にわたり抑制することが可能である。
(4)電動圧縮機10の製造方法は、予め収容空間35〜42における充填率Hが異なる複数の防振材を用意した後で、複数の防振材の中から、電動圧縮機10の振動の振幅に対して固有振動数がずれている防振材を選択し、選択した防振材を収容空間35〜42に充填し、支持部材28、29をハウジング13に組み付ければ良い。このように、電動圧縮機10の振動の振幅に対して固有振動数がずれた最も適切な防振材を選択できる。
 
【0042】
(第2の実施形態)
  次に、第2の実施形態に係る電動圧縮機50を
図9〜
図10に基づいて説明する。
  この実施形態は、第1の実施形態における第1ハウジング17の外周面17Aに形成される凹部26、27並びに、第1支持部材30及び第2支持部材31の内周面に形成される凸部30B、31Bに代えて、第1ハウジング17の外周面17Aに凸部を形成し、第1支持部材及び第2支持部材の内周面に凹部を形成したものであり、その他の基本構成は共通である。
  従って、ここでは説明の便宜上、先の説明で用いた符号を一部共通して用い、共通する構成についてはその説明を省略し、変更した個所のみ説明を行う。
 
【0043】
  図9に示すように、第1ハウジング17の外周面17Aには、凸部51が円周方向に延在して形成されている。凸部51は、第1ハウジング17の外周面17Aの全周にわたり外径方向に突出して形成されている。
  凸部51は、凸部51の基部(外周面17A側)から先端側へ向けて幅が狭くなる形状(先細りとなった形状)を有し、外周面17Aに対して傾斜した一対の外壁面51A及び外壁面51Bを有している。凸部51の先端には、外周面17Aと平行な先端面51Cが形成されている。凸部51は、ハウジング13に設けられた突部に相当する。
 
【0044】
  第1支持部材52及び第2支持部材(図示せず)は、第1ハウジング17の外周面17Aを全周にわたり覆うように配置されている。第1支持部材52及び第2支持部材は、面対称な形状を有している。第1支持部材52及び第2支持部材は、半円筒形状とされている。第1支持部材52及び第2支持部材は、互いに組み合わされることにより筒状の支持部材を構成する。
 
【0045】
  図9に示すように、第1支持部材52の内周面には、凹部53が円周方向に延在して形成されている。凹部53は、第1支持部材52の内周面の全周にわたり外径方向に向けて凹んだ形状である。
  凹部53は、凹部53の底部側から開口側へ向けて幅が広くなる形状(末広がりとなった形状)を有している。凹部53の底部側には底面54が形成され、底面54の軸方向の一方の側には、底面54に連設された3つの内壁面55、56、57が形成されている。内壁面55は底面54に連設されると共に、底面54に対して外径方向に屈曲して形成されている。内壁面56は内壁面55に連設されると共に、内壁面55に対して内径方向に直角に屈曲して形成されている。内壁面57は内壁面56に連設されると共に、内壁面56に対して内径方向に屈曲して形成されている。
 
【0046】
  底面54の軸方向の他方の側には、底面54に連設された3つの内壁面58、59、60が形成されている。内壁面58は底面54に連設されると共に、底面54に対して外径方向に屈曲して形成されている。内壁面59は内壁面58に連設されると共に、内壁面58に対して内径方向に直角に屈曲して形成されている。内壁面60は内壁面59に連設されると共に、内壁面59に対して内径方向に屈曲して形成されている。
  底面54を中心として内壁面55と内壁面58とが対応し、内壁面56と内壁面59とが対応し、内壁面57と内壁面60とが対応している。底面54と、底面54の両側に連設された内壁面55、56、57及び内壁面58、59、60により、凹部53が形成されている。
  なお、第2支持部材は、第1支持部材52と同等の形状を有しており、説明を省略する。
 
【0047】
  第1支持部材52の凹部53と第1ハウジング17の凸部51とは、互いに係合するように配置されている。第2支持部材の凹部と第1ハウジング17の凸部51とは、互いに係合するように配置されている。
  第1支持部材52及び第2支持部材は、防振性を有する材料、例えば、樹脂、繊維強化樹脂等から形成されている。
  
図9に示すように、第1支持部材52の円周方向の両端部には、それぞれ第1取付部61が第1支持部材52の外周面の接線方向に突設されている。
 
【0048】
  第1取付部61には、金属製の補強部62がインサート成形され、その補強部62に貫通孔62Aが形成されている。第1支持部材52と第2支持部材とが組み合わされると、第1取付部61と第2取付部(図示せず)との貫通孔62Aがそれぞれ同軸で連通する。同軸で連通された貫通孔62Aにボルト14を挿入し、対象物15への取り付けが行われる。
 
【0049】
  図9に示すように、第1ハウジング17の凸部51に対して第1支持部材52の凹部53を係合するよう配置したとき、第1ハウジング17の凸部51と第1支持部材52の凹部53とによって、分割された2つの収容空間63、64が形成されている。収容空間63、64は、凸部51を挟んで両側に形成されている。
  収容空間63は、第1支持部材52の内壁面55、56、57と、第1ハウジング17の凸部51の外壁面51Aとにより囲まれた空間により形成されている。なお、収容空間63においては、内壁面56と外壁面51Aとが対向し、平行に配置されている。また、内壁面56及び外壁面51Aは、内壁面55と直交して配置されている。
  収容空間64は、第1支持部材52の内壁面58、59、60と、第1ハウジング17の凸部51の外壁面51Bとにより囲まれた空間により形成されている。なお、収容空間64においては、内壁面59と外壁面51Bとが対向し、平行に配置されている。また、内壁面59及び外壁面51Bは、内壁面58と直交して配置されている。
 
【0050】
  収容空間63,64内には、それぞれ第1防振材65が設けられている。
  第1防振材65は、収容空間63、64にそれぞれ1個ずつ湾曲した状態で収容されている。
  第1防振材65は、径方向に圧縮変形した状態で装着されている。このとき収容空間63、64においては、第1防振材65との間に隙間がある状態で装着されている。第1防振材65は、弾性を有するゴム材より形成され、具体的には、耐熱性及び耐久性の少なくとも一方を有する材料、例えばシリコンゴム又はエチレンプロピレンゴムより形成される。
  第1防振材65は、断面矩形の板状の部材より形成され、内周側の内周面65Aと、外周側の外周面65Bと、側面65Cと、側面65Cの反対側に突出形成される2つの突出面65D、65Eとを有している。内周面65Aと外周面65Bとは平行に形成され、内周面65A及び外周面65Bは側面65Cと直角となるように形成されている。
 
【0051】
  収容空間63内に収容される第1防振材65は、内周面65Aが、凸部51の外壁面51Aと当接するよう配置され、外周面65Bが、凹部53の内壁面56と当接するよう配置されて、突出面65D、65Eが第1ハウジング17の外周面17A側となるように配置される。
  収容空間64内に収容される第1防振材65は、内周面65Aが、凸部51の外壁面51Bと当接するよう配置され、外周面65Bが、凹部53の内壁面59と当接するよう配置されて、突出面65D、65Eが第1ハウジング17の外周面17A側となるように配置される。
 
【0052】
  電動圧縮機50の振動の振幅に応じて、収容空間63、64における第1防振材65の充填率Hは変化する。例えば、電動圧縮機50の振動の振幅が小さい場合には、収容空間63、64における第1防振材65の充填率Hは100%未満となるように設定され、電動圧縮機50の振幅が大きい場合には、収容空間63、64における第1防振材65の充填率Hは100%となるように設定されている。
  また、電動圧縮機50の振動の振幅に応じて、収容空間63、64に対応して収容される第1防振材65の充填率Hが変化し、充填率100%となったときには、第1防振材65の共振周波数はずれる。
 
【0053】
  次に、上記構成を有する電動圧縮機50について、
図10(a)、
図10(b)を用いて作用説明を行う。
  
図10(a)に示すように、電動圧縮機50の振動の振幅が小さい場合には、ハウジング17を介して第1防振材65に作用する荷重K5は小さいので、第1防振材65の変形は小さく収容空間63、64における第1防振材65の充填率Hは100%未満となる。すなわち、収容空間63、64において第1防振材65との間に隙間が形成され、第1防振材65の非接触面が充分に確保され、第1防振材65の剛性は低く抑えられる。
 
【0054】
  一方、
図10(b)に示すように、電動圧縮機50の振動の振幅が大きい場合には、ハウジング17を介して第1防振材65に作用する荷重K6は大きいので、第1防振材65の変形は大きく収容空間63、64における第1防振材65の充填率Hは100%となる。すなわち、収容空間63、64において第1防振材65との間に隙間が形成されず、第1防振材65は変形不能な状態となり、第1防振材65の剛性は高くなる。このとき、第1防振材65は強く圧縮されることにより、幅方向と直交する方向に大きく変形し、側面65Cが内壁面55と当接すると共に、突出面65Dが内壁面57と当接する。但し、突出面65Eはどことも接触していない。
 
【0055】
  電動圧縮機50より、周波数F0に振動成分を有する入力振動Rが加えられると、共振周波数F0で電動圧縮機50は大きく振動し、振幅が増大する。ところで、本実施形態の場合には、共振周波数F0での電動圧縮機50の振幅の増大により、収容空間63、64における第1防振材65の充填率Hは100%となることによって、第1防振材65の剛性が高くなり、第1防振材65の共振周波数F0は共振周波数F1へとずれて共振周波数が変化する。共振に伴う振幅の増大により第1防振材65の充填率Hが100%となり、共振周波数F0が共振周波数F1へとずれる一連の動きは、瞬時に行われるので、周波数F0における共振現象は発生せず、電動圧縮機50の振動による振幅は小さくなる。振動が収まると、収容空間63、64における第1防振材65の充填率Hは100%未満となり、第1防振材65の共振周波数はF1よりF0に戻る。
  なお、第2の実施形態に係る電動圧縮機50による作用効果については、第1の実施形態における(1)〜(4)と同等であり、説明を省略する。
 
【0056】
  なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく発明の趣旨の範囲内で種々の変更が可能であり、例えば、次のように変更しても良い。
○  第2の実施形態では、第1防振材65は断面矩形の板状の部材より形成され、側面65Cの反対側に突出形成される2つの突出面65D、65Eを有するとして説明したが、突出面65D、65Eに代り側面65Cと平行な面で形成された断面四角形状のものでも良い。この場合には、収容空間の形状も断面四角形状となる。
○  ハウジング及び支持部材には、一方に突部、他方に凹部を有し、ハウジング及び支持部材の間には、突部及び凹部によって収容空間が形成され、収容空間内に防振材が設けられておれば、どのような形状のものでも適用可能である。例えば、防振材は全周ではなく一部に設けられていても良い。また、防振材の形状は、板状或いは棒状のものに限定されるものではなく、収容空間の形状に合せてさまざまなバリエーションが考えられる。例えば、防振材の形状は、円筒状、長円形状、円形状、多角形状でも良い。
○  第1及び第2の実施形態では、共振に伴う大きな振動が加わったとき、防振材の充填率が100%となり固有振動数がずれる防振材を使用するとして説明したが、使用されるシステムの条件(車種、場所など)によって、共振周波数における振動の大きさ(共振倍率)は定まっている。よって、使用されるシステム毎に充填率Hが異なる防振材を選択可能である。
○  第1及び第2の実施形態において、防振材におけるゴム材の材質や剛性(ばね定数)を変更して固有振動数を変更したゴム材を使用しても良い。すなわち、車両に応じて防振材の材質や剛性(ばね定数)を変更しても良く、また同一車両でも取り付ける場所により防振材の材質や剛性(ばね定数)を変更しても良い。この場合には、共振周波数が車両及び取り付け場所によって異なり、車両及び取り付け場所に応じた防振材のカスタマイズが必要となる。