(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、
図1〜
図6を参照して、この発明を腕時計に適用した一実施形態について説明する。
この腕時計は、
図1に示すように、腕時計ケース1を備えている。この腕時計ケース1の上側開口部には、時計ガラス2がパッキン2aを介して取り付けられており、この腕時計ケース1の下部には、裏蓋3が防水パッキン3aを介して取り付けられている。
【0013】
また、この腕時計ケース1の内部には、
図1に示すように、時計モジュール4が設けられている。さらに、この腕時計ケース1の側部には、
図1に示すように、スイッチ装置5が設けられている。このスイッチ装置5は、時計モジュール4のモード切替や時刻修正などを行うためのものであり、巻真6、操作部材7、ロック部8、緩衝部材9、外装部材10、および取付部材11を備えている。
【0014】
この場合、腕時計ケース1の側部には、
図1に示すように、腕時計ケース1の内部と外部とに貫通する貫通孔1aが設けられている。この貫通孔1aの外端部には、貫通孔1aの内径よりも大きい径の座ぐり部1bが設けられている。また、この貫通孔1a内には、金属製の筒状部材12が嵌め込まれている。
【0015】
この筒状部材12は、
図1に示すように、貫通孔1a内に嵌着して腕時計ケース1の内部に突出する小径筒部12aと、貫通孔1aの座ぐり部1bから腕時計ケース1の外部に突出する大径筒部12bとを備えている。この筒状部材12の小径筒部12aと大径筒部12bとの境界部には、貫通孔1aの座ぐり部1bに嵌着するフランジ部12cが設けられている。
【0016】
また、この筒状部材12の大径筒部12bにおける外周面、つまり腕時計ケース1の貫通孔1aから外部に突出した箇所の大径筒部12bの外周面には、
図1に示すように、ロック部8の雄ねじ部13が設けられている。さらに、この筒状部材12の内周面には、
図1に示すように、複数のパッキン溝15が設けられており、これら複数のパッキン溝15には、防水パッキン14がそれぞれ取り付けられている。
【0017】
スイッチ装置5の操作部材7は、
図1〜
図5に示すように、筒状部材12の内径よりも少し小さい小径の円筒状に形成された操作軸部17と、この操作軸部17の外端部に円筒状に形成された操作頭部18とを有し、これらが金属で一体に形成されている。この操作頭部18は、
図1に示すように、その内部が筒状部材12の大径筒部12bが挿入する大きさの中空状に形成されている。
【0018】
すなわち、この操作頭部18は、
図1に示すように、その内部の軸方向の長さ(深さ)が、腕時計ケース1から外部に突出した筒状部材12の大径筒部12bの長さよりも少し長く形成されている。また、この操作頭部18における腕時計ケース1側に位置する内周には、筒状部材12に設けられたロック部8の雄ねじ部13が螺合する雌ねじ部19が設けられている。この雌ねじ部19は、操作部材7が腕時計ケース1に向けて押し込まれた状態で、雄ねじ部13に螺合するように構成されている。
【0019】
これにより、ロック部8は、
図1に示すように、筒状部材12の外周に設けられた雄ねじ部13と、操作頭部18の内周に設けられた雌ねじ部19とからなり、操作部材7が腕時計ケース1内に向けて押し込まれて雌ねじ部19が雄ねじ部13に接近した際に、操作頭部18の回転によって雌ねじ部19が雄ねじ部13に螺合し、操作部材7を押し込んだ状態でロックするように構成されている。
【0020】
この場合、操作頭部18と操作軸部17との間における奥部には、
図1〜
図3に示すように、ゴムリング16が配置されている。このゴムリング16は、筒状部材12の大径筒部12bの外端部によって操作頭部18と操作軸部17との間における奥部に押し込まれ、この状態で筒状部材12の大径筒部12bの端部によって操作頭部18と操作軸部17とに弾力的に押し付けられるように構成されている。
【0021】
また、この操作頭部18における腕時計ケース1側に位置する外周部には、
図1〜
図5に示すように、四角形状の係合鍔部20が径方向に突出して設けられている。この係合鍔部20は、
図6(a)に示すように、四角形の各角部20aの先端が操作頭部18の中心軸を中心とする円弧に沿って切り取られた形状に形成されている。また、この操作頭部18における腕時計ケース1の外部側に位置する外端部には、頭壁部21が設けられている。この頭壁部21の外面には、操作軸部17の外径とほぼ同じ大きさの円板状の突起部22が操作軸部17に対応して形成されている。
【0022】
一方、操作部材7の操作軸部17は、
図1〜
図5に示すように、筒状部材12の内部に挿入する円筒状に形成されている。この操作軸部17は、操作頭部18の頭壁部21における内面の中心部に腕時計ケース1側に向けて突出して設けられている。この操作軸部17は、筒状部材12の長さよりも少し短い長さで形成されている。これにより、操作軸部17は、操作部材7が押し込まれてロック部8でロックされた状態のときに、筒状部材12内から腕時計ケース1の内部に突出しないように構成されている。
【0023】
この操作軸部17の内部には、
図1〜
図3に示すように、腕時計ケース1側に位置する断面四角形状の角孔部17aと、この角孔部17aから操作頭部18側に位置する断面円形状の円形孔部17bとが、軸方向に沿って設けられている。この場合、円形孔部17bは、角孔部17aの内面に内接する円形状に形成されている。
【0024】
また、この操作軸部17の内部には、
図1〜
図3に示すように、巻真6の外端部が取り付けられる巻真取付部23が、その軸方向に沿って移動可能に設けられている。この巻真取付部23は、操作軸部17の角孔部17a内に移動可能に挿入する連動軸部23aと、この連動軸部23aの外側端部に設けられて操作軸部17の円形孔部17b内に移動可能に挿入するガイド軸部23bとを備えている。
【0025】
この場合、巻真取付部23の連動軸部23aとガイド軸部23bとの境界部には、
図1〜
図3に示すように、摺動鍔部23cが径方向に突出して設けられている。この摺動鍔部23cは、四角形の角板状に形成され、操作軸部17の角孔部17a内に移動可能に挿入され、この状態で操作軸部17の回転と共に回転して、その回転を巻真取付部23に伝達して巻真6を回転させるように構成されている。
【0026】
この場合、摺動鍔部23cは、
図1〜
図3に示すように、腕時計ケース1の内部側に位置する操作軸部17の角孔部17aの端部に設けられたストッパ片17cに接離可能に当接することにより、操作軸部17内から腕時計ケース1の内部側に抜け出さないように構成されている。
【0027】
また、巻真取付部23のガイド軸部23bは、
図1〜
図3に示すように、円形孔部17bの内径よりも十分に細く形成されている。このガイド軸部23bの外周面と円形孔部17bの内周面との間には、コイルばね24が配置されている。このコイルばね24は、一端部が巻真取付部23の摺動鍔部23cに弾接し、他端部が操作軸部17の円形孔部17bの奥部(
図2(b)では右端部)に弾接し、この状態で操作軸部17を筒状部材12内から押し出す方向に向けて付勢するように構成されている。
【0028】
これにより、操作部材7は、
図1に示すように、巻真6によって巻真取付部23が固定されている状態で、コイルばね24のばね力に抗して操作頭部18が押し込まれると、コイルばね24が操作頭部18と巻真取付部23の摺動鍔部23cとの間で圧縮されて、操作軸部17が腕時計ケース1の内部に向けて筒状部材12内を移動し、操作頭部18が腕時計ケース1に接近するように構成されている。
【0029】
また、この操作部材7は、
図1に示すように、巻真6によって巻真取付部23が固定され、かつ操作軸部17が筒状部材12内に押し込まれて、操作頭部18が腕時計ケース1に接近してロック部8によってロックされた状態で、操作軸部17に対するロック部8のロックが解除されると、
図2(b)および
図3に示すように、コイルばね24のばね力によって巻真取付部23が操作軸部17を押し出し、操作頭部18が腕時計ケース1から外部に押し出されて突出するように構成されている。
【0030】
さらに、この操作部材7は、
図1〜
図3に示すように、操作頭部18が押し込まれた状態においても、また操作頭部18が押し出された状態においても、操作頭部18を回転させると、この操作頭部18と共に操作軸部17が回転し、この回転が操作軸部17の角孔部17aに挿入された巻真取付部23の摺動鍔部23cによって巻真取付部23に伝達され、この巻真取付部23の連動軸部23aの回転によって巻真6を回転させるように構成されている。
【0031】
一方、操作部材7の操作頭部18には、
図1〜
図5に示すように、緩衝部材9が操作頭部18と外装部材10との間に位置している。この緩衝部材9は、ウレタンゴムやシリコーンゴム、またはエラストマなどの弾性を有する合成樹脂からなり、操作頭部18の外周面に密着する緩衝筒部25と、操作頭部18の外端部である頭壁部21に密着する緩衝板部26とを備えている。
【0032】
この緩衝部材9の緩衝筒部25は、
図1〜
図5に示すように、操作頭部18の外周に位置し、円筒形状に形成されている。すなわち、この緩衝筒部25は、その内径が操作頭部18の外径とほぼ同じ大きさで、その軸方向の長さが操作頭部18の係合鍔部20から頭壁部21までの長さよりも短く形成されている。
【0033】
この緩衝筒部25には、
図3〜
図5に示すように、その軸方向に沿う複数のスリット溝28が円周方向に所定間隔で設けられている。スリット溝28は、緩衝部材9が弾性変形する際の逃げ部である。これにより、緩衝筒部25は、操作頭部18に装着された状態で、軸方向に弾性変形するほか、複数のスリット溝28によって円周方向にも弾性変形するように形成されている。
【0034】
この場合、腕時計ケース1側に位置する緩衝筒部25の端部と操作頭部18の係合鍔部20との間には、
図1〜
図3に示すように、防塵内用のゴムリング27が配置されている。このゴムリング27は、その内径が操作頭部18の外径とほぼ同じで、外径が緩衝筒部25の外径とほぼ同じ大きさに形成されている。
【0035】
また、緩衝部材9の緩衝板部26には、
図1〜
図5に示すように、その軸方向に貫通する挿入孔29が、操作部材7の操作軸部17に対応して設けられている。挿入孔29は、緩衝部材9が弾性変形する際の逃げ部である。これにより、緩衝板部26は、操作頭部18に装着された状態で、軸方向に弾性変形するほか、面方向である径方向にも弾性変形するように形成されている。
【0036】
この場合、緩衝板部26の挿入孔29内には、
図1および
図2(b)に示すように、操作頭部18に設けられた円板状の突起部22が挿入されている。突起部22は、その外径が緩衝板部26の挿入孔29の内径よりも小さく形成されている。また、この突起部22は、その軸方向の突出長さが挿入孔29の深さ、つまり緩衝板部26の厚みよりも小さく形成されている。
【0037】
外装部材10は、
図1〜
図5に示すように、金属で形成され、緩衝部材9の外周に取り付けられるにように構成されている。すなわち、この外装部材10は、緩衝部材9の緩衝筒部25の外周に取り付ける円筒部30と、緩衝部材9の緩衝板部26の外面に取り付ける頭壁部31とを有し、これらが金属で一体に形成されている。
【0038】
円筒部30は、
図1および
図2(b)に示すように、その内径が緩衝筒部25の外径と同じ大きさで、軸方向の長さが緩衝筒部25の軸方向の長さよりも長く形成されている。すなわち、この円筒部30は、その軸方向の長さが、緩衝部材9の緩衝板部26から腕時計ケース1側に位置する操作部材7の操作頭部18の端部までの長さと同じ長さに形成され、これにより緩衝部材9および操作部材7の操作頭部18を覆うように構成されている。
【0039】
また、この円筒部30の内周面には、
図6(b)に示すように、操作頭部18の係合鍔部20が軸方向に移動可能な状態で嵌合する嵌合部32が形成されている。この嵌合部32は、操作頭部18の外径よりも少し大きい円形孔に形成され、この円形孔の縁部に四角形状の係合鍔部20の各角部20aがそれぞれ係合する係合凹部32aが設けられた構成になっている。
【0040】
このため、操作部材7と外装部材10とは、操作頭部18の係合鍔部20の各角部20aが円筒部30の嵌合部32の各係合凹部32aに係合した状態で、操作頭部18の係合鍔部20が円筒部30の嵌合部32に嵌合することにより、外装部材10の回転が操作部材7の操作頭部18に伝わり、操作部材7が外装部材10と共に回転するように構成されている。
【0041】
取付部材11は、
図1〜
図5に示すように、金属製のリング状に形成されている。この取付部材11は、外装部材10の円筒部30内に固定され、操作頭部18の係合鍔部20が腕時計ケース1側に向けて当接し、この状態で外装部材10が操作頭部18に対して軸方向に変位するように構成されている。この場合、腕時計ケース1側に位置する外装部材10の円筒部30の端部には、カシメ加工によって取付部材11を固定するカシメ部30aが設けられている。
【0042】
これにより、取付部材11は、
図1〜
図3に示すように、外装部材10の円筒部30内の端部に配置され、この状態で円筒部30のカシメ部30aをカシメ加工することにより、円筒部30内に固定されるように構成されている。また、この取付部材11は、緩衝部材9の弾力によって操作頭部18の係合鍔部20が押し当てられ、この状態で外装部材10が腕時計ケース1側に向けて変位するように構成されている。
【0043】
この場合、操作部材7の操作頭部18の頭壁部21に設けられた突起部22と外装部材10の頭壁部31との間には、
図1に示すように、第1の隙間S1が設けられている。また、外装部材10の円筒部30の端部と腕時計ケース1の外面との間には、第2の隙間S2が設けられている。
【0044】
第1の隙間S1は、
図1に示すように、第2の隙間S2よりも広く設定されている。これにより、外装部材10は、外部から衝撃を受けて緩衝部材9が弾性変形した際に、外装部材10の円筒部30の端部が腕時計ケース1の外面に当接しても、外装部材10の頭壁部31が操作部材7の操作頭部18の突起部22に当接しないように構成されている。
【0045】
ところで、巻真6は、
図1に示すように、操作部材7の操作軸部17内にスライド可能に設けられた巻真取付部23の連動軸部23aに取り付けられ、この状態で腕時計ケース1内に設けられた時計モジュール4内に延出されて配置されている。この巻真6は、操作部材7の操作頭部18が押し込まれてコイルばね24が圧縮し、筒状部材12の雄ねじ部13に操作部材7の雌ねじ部19が螺合して、操作部材7がロックされた状態のときに、時計モジュール4のスイッチが動作しない状態を維持するように構成されている。
【0046】
また、この巻真6は、
図1に示すように、操作部材7の操作頭部18を回転させて筒状部材12の雄ねじ部13に対する操作部材7の雌ねじ部19の螺合が解除され、操作部材7の操作頭部18がコイルばね24のばね力によって押し出された状態のときにも、時計モジュール4のスイッチが動作しない状態を維持するように構成されている。
【0047】
さらに、この巻真6は、
図1に示す状態で、操作部材7に対するロック部8のロックが解除されて操作部材7が押し出され、この状態で操作部材7の操作頭部18が更に引き出されると、操作頭部18の引き出し操作に伴って引き出される方向に移動し、これにより通常の時計モードを時刻修正モードに切り替え、この状態で操作頭部18を回転させると、その回転に伴って回転し、この回転に応じて時刻修正を行うように構成されている。
【0048】
次に、このような腕時計のスイッチ装置5の作用について説明する。
このスイッチ装置5を使用する場合には、
図1に示す状態で、操作部材7の操作頭部18に設けられた外装部材10を摘まんで回転させる。すると、操作頭部18が回転し、この回転に伴って操作部材7の雌ねじ部19が回転し、操作部材7に対するロック部8のロックが解除される。
【0049】
すなわち、外装部材10の円筒部30内に設けられた嵌合部32に、操作部材7の操作頭部18に設けられた係合鍔部20が嵌合し、かつ嵌合部32の係合凹部32aに係合鍔部20の各角部20aが係合していることにより、外装部材10を摘まんで回転させると、外装部材10の回転が操作頭部18に伝達されて操作頭部18が回転すると共に、操作部材7の操作軸部17も同時に回転する。
【0050】
このように操作頭部18が回転すると、この操作頭部18の雌ねじ部19が回転するので、筒状部材12の雄ねじ部13に対する雌ねじ部19の螺合が解除されて、雌ねじ部19が雄ねじ部13から離脱する。これにより、操作部材7に対するロック部8によるロックが解除される。
【0051】
このように、操作部材7に対するロック部8のロックが解除されると、操作部材7の操作軸部17内に設けられたコイルばね24のばね力によって操作部材7の操作軸部17が腕時計ケース1の外側に向けて押し出される。このときには、巻真6が軸方向に移動しないため、巻真6の巻真取付部23も操作軸部17の移動に伴って移動せず、停止した状態を維持する。
【0052】
このため、巻真取付部23の摺動鍔部23cが、操作軸部17の移動に伴って操作軸部17の角孔部17a内を腕時計ケース1側に向けて相対的に移動し、操作軸部17のストッパ部17cに当接する。また、巻真取付部23のガイド軸部23bは、操作軸部17の移動に伴って操作軸部17の角孔部17a内に向けて相対的に移動する。
【0053】
このように操作軸部17が筒状部材12内を腕時計ケース1の外側に向けて移動すると、操作頭部18が腕時計ケース1から離れて外部に突出する。この状態で、外装部材10を回転させて操作頭部18を介して巻真6を回転させても、時計モジュール4のスイッチは動作しない。そして、操作頭部18を更に引き出すと、これに伴って操作軸部17が移動して巻真取付部23を腕時計ケース1の外部側に移動させるので、巻真6が引き出される。
【0054】
このときには、巻真6の引き出し動作によって、時計モジュール4のスイッチが動作し、時計モードが通常の時計モードから時刻修正モードに切り替わる。この状態で、外装部材10を回転させて操作頭部18を回転させると、その回転に伴って巻真取付部23が回転し、この巻真取付部23の回転によって巻真6が回転し、この巻真6の回転に応じて時刻修正が行われる。
【0055】
一方、このスイッチ装置5を使用しない場合には、まず、操作部材7の操作頭部18をコイルばね24のばね力に抗して押し込んで、時計モードを通常の時計モードに切り替える。この状態で、操作頭部18をコイルばね24のばね力に抗して更に押し込んで、腕時計ケース1の外面に接近させる
【0056】
すると、操作頭部18の雌ねじ部19が筒状部材12の雄ね
じ部13に接近して螺合可能になる。この状態で、外装部材10を回転させて操作頭部18を回転させると、
図1に示すように、操作頭部18の雌ねじ部19が筒状部材12の雄ね
じ部13に螺合する。これにより、操作部材7が押し込まれた状態でロック部8によってロックされる。
【0057】
このときには、操作部材7の操作頭部18の頭壁部21に設けられた突起部22と外装部材10の頭壁部31との間に、第1の隙間S1が設けられると共に、外装部材10の円筒部30の端部と腕時計ケース1の外面との間に、第2の隙間S2が設けられる。この場合には、第1の隙間S1は、
図1に示すように、第2の隙間S2よりも広く設定されている。
【0058】
この状態で、外装部材10が外部から衝撃を受けた際には、操作部材7がロック部8によって腕時計ケース1の筒状部材12にロックされているため、外装部材10によって緩衝部材9が圧縮されて弾性変形する。すなわち、外装部材10がその軸方向に衝撃を受けると、緩衝部材9の緩衝板部26が軸方向に圧縮されると共に、緩衝部材9の緩衝筒部25がゴムリング27と共に軸方向に圧縮される。これにより、外部からの衝撃が操作部材7に直接伝わることがなく、緩衝部材9で緩和されるので、操作部材7およびロック部8の破損を防ぐことができる。
【0059】
この場合、外装部材10に強い衝撃が加わった際には、緩衝部材9が圧縮されて弾性変形しても、緩衝部材9によって衝撃を吸収しきれないことがある。このときには、外装部材10が緩衝部材9の圧縮変形に伴って軸方向に変位し、外装部材10の円筒部30の端部が腕時計ケース1の外面に当接する。しかし、このときには、外装部材10の頭壁部31が操作部材7の操作頭部18の突起部22に当接することがない。このため、外装部材10が強い衝撃を受けても、その衝撃が操作部材7に直接伝わることがない。
【0060】
すなわち、操作部材7の操作頭部18の頭壁部21に設けられた突起部22と外装部材10の頭壁部31との間に設けられた第1の隙間S1が、外装部材10の円筒部30の端部と腕時計ケース1の外面との間に設けられた第2の隙間S2よりも広く設定されている。このため、外装部材10が強い衝撃を受けて緩衝部材9で吸収しきれなくても、外装部材10の円筒部30の端部が腕時計ケース1の外面に当接するため、衝撃が操作部材7に直接伝わることがない。これにより、操作部材7およびロック部8の破損を防ぐことができる。
【0061】
また、外装部材10が軸方向と交差する斜め方向から衝撃を受けた際には、緩衝部材9が軸方向に圧縮変形するほかに、円周方向にも弾性変形することにより、斜め方向からの衝撃が緩衝部材9によって緩和されるので、斜め方向からの衝撃が操作部材7に直接伝わることがない。
【0062】
すなわち、緩衝部材9の緩衝筒部25には、その軸方向に沿う複数のスリット溝28が円周方向に所定間隔で設けられているので、緩衝筒部25がその軸方向に弾性変形するほか、複数のスリット溝28によって円周方向にも弾性変形する。このため、外装部材10が軸方向と交差する斜め方向から衝撃を受けても、その衝撃が緩衝部材9で緩和され、操作部材7に直接伝わることがないので、操作部材7およびロック部8の破損を防ぐことができる。
【0063】
このように、この腕時計のスイッチ装置5によれば、貫通孔1aを有する腕時計ケース1と、この腕時計ケース1の貫通孔1aに挿入される操作軸部17および外端部の操作頭部18を有する操作部材7と、この操作部材7に取り付けられ、操作軸部17の軸方向に変位し、操作部材7と共に回転する外装部材10と、この外装部材10と操作部材7との間に位置する緩衝部材9と、を備えていることにより、外部からの衝撃を緩衝部材9で緩和することができるので、耐衝撃性を高めることができる。
【0064】
すなわち、この腕時計のスイッチ装置5によれば、外装部材10が外部から衝撃を受けると、その衝撃を緩衝部材9によって緩和することができる。このため、外部からの衝撃が直接、操作部材7に伝わらないようにすることができるので、外部からの衝撃によって操作部材7が破損するのを防ぐことができ、これにより耐衝撃性を高めることができる。このため、腕時計ケース1の外面に外装部材10の周囲を囲むガード部を設ける必要がなく、腕時計ケース1がその外観的およびデザイン的な制約を受けないので、デザイン的な自由度が増す。
【0065】
この場合、緩衝部材9の外周部つまり緩衝部材9の緩衝筒部25には、その軸方向に沿う複数のスリット溝28が円周方向に所定間隔で設けられていることにより、緩衝部材9が操作部材7の軸方向に弾性変形するほか、複数のスリット溝28によって緩衝部材9の緩衝筒部25を円周方向にも良好に弾性変形させることができる。このため、外部からの衝撃が外装部材10に軸方向と交差する斜め方向から加わっても、その衝撃を緩衝部材9によって確実にかつ良好に緩和することができる。
【0066】
また、緩衝部材9の軸方向に位置する端部つまり緩衝部材9の緩衝板部26には、その軸方向に貫通する挿入孔29が操作部材7の操作軸部17に対応して設けられていることにより、緩衝部材9の緩衝板部26が操作部材7の軸方向に弾性変形するほかに、挿入孔29によって緩衝板部26をその面方向である径方向にも弾性変形させることができるので、外部からの衝撃を緩衝部材9の緩衝板部26によって確実にかつ良好に緩和することができる。
【0067】
このように、緩衝部材9は、その緩衝筒部25に複数のスリット溝28が円周方向に所定間隔で設けられ、かつ緩衝板部26に挿入孔29が設けられていることにより、外部からの衝撃が外装部材10に軸方向と交差する斜め方向から加わっても、また外部からの衝撃が外装部材10に軸方向に加わっても、その衝撃を緩衝部材9によって確実にかつ良好に緩和することができるので、腕時計ケース1の外面に外装部材10の周囲を囲むガード部を設ける必要がなく、腕時計ケース1がその外観的およびデザイン的な制約を受けないので、デザイン的な自由度を増すことができる。
【0068】
また、このスイッチ装置5では、操作部材7の操作頭部18の外周部に四角形状の係合鍔部20が設けられ、外装部材10の内周面に係合鍔部20が軸方向に移動可能に嵌合する嵌合部32が設けられているので、操作頭部18の係合鍔部20が外装部材10の嵌合部32に嵌合することにより、操作部材7の操作頭部18と外装部材10との間に緩衝部材9が介在されていても、外装部材
10の回転を操作部材7に確実にかつ良好に伝達することができ、これにより外装部材
10と共に操作部材を確実に回転させることができる。
【0069】
この場合、操作頭部18の係合鍔部20が四隅に角部20aを有する四角形状に形成され、嵌合部32が操作頭部18の外径よりも少し大きい円形孔に形成され、この円形孔の縁部に係合鍔部20の各角部20aがそれぞれ係合する係合凹部32aが設けられているので、操作頭部18の係合鍔部20が外装部材10の嵌合部32に嵌合した際に、係合鍔部20の各角部20aを嵌合部32の係合凹部32aに嵌合させることができ、これにより外装部材
10の回転を操作部材7に確実にかつ良好に伝達することができる。
【0070】
また、このスイッチ装置5では、外装部材10を操作頭部18に対して軸方向に変位するように取り付ける取付部材11が外装部材10の内周に固定され、この取付部材11に操作頭部18の係合鍔部20が腕時計ケース1側に向けて当接することにより、外装部材10を操作頭部18に対して軸方向に変位するような状態で確実にかつ良好に取り付けることができる。
【0071】
このため、外装部材10が外部から衝撃を受けて緩衝部材9が弾性変形して衝撃を緩和する際に、外装部材10を操作頭部18に対して軸方向に確実にかつ良好に変位させることができる。また、弾性変形した緩衝部材9が元の状態に弾性復帰する際にも、外装部材10を操作頭部18に対して軸方向に確実にかつ良好に変位させることができる。これにより、取付部材11に操作頭部18の係合鍔部20を確実に腕時計ケース1側に向けて当接させることができるので、操作頭部18が外装部材10内から抜け出さないようにすることができる。
【0072】
この場合、腕時計ケース1側に位置する外装部材10の円筒部30の端部には、カシメ加工によって取付部材11を固定するカシメ部30aが設けられ、このカシメ部30aをカシメ加工することにより、取付部材11を外装部材10の内周に固定することができるので、直接カシメ部30aに操作頭部18の係合鍔部20を当接させる場合に比べて、取付強度が高く、かつ操作部材7に対する外装部材10の摺動性を確保することができる。
【0073】
さらに、このスイッチ装置5では、操作部材7を腕時計ケース1に向けて押し込んだ状態でロックするロック部8を備えているので、スイッチ装置5を使用しないときに、ロック部8によって操作部材7を腕時計ケース1に対して確実にロックすることができ、これにより不用意にスイッチ装置5がスイッチ動作するのを防ぐことができると共に、外装部材10が外部から衝撃を受けても、その衝撃によって操作部材7が軸方向に動くのを防ぐことができる。
【0074】
すなわち、このロック部8は、腕時計ケース1の貫通孔1aに嵌め込まれた筒状部材12に設けられた雄ねじ部13と、操作部材7の操作頭部18の内周に設けられた雌ねじ部19とを有し、筒状部材12の雄ねじ部13に操作頭部18の雌ねじ部19が螺合することにより、腕時計ケース1に対して操作部材7を確実にロックすることができる。
【0075】
このため、スイッチ装置5が不用意にスイッチ動作せず、外部から衝撃を受けても操作部材7が軸方向に動くのを確実に防ぐことができる。このように、操作部材7を腕時計ケース1に対してロックしても、外装部材10が外部から衝撃を受けても、緩衝部材9によって衝撃が緩衝させてロック部8に直接伝わることがないので、ロック部8の破損を防ぐことができる。
【0076】
また、このスイッチ装置5では、緩衝部材9の挿入孔29に挿入して外装部材10の内面に接近する突起部22が操作部材7に設けられ、この突起部22と外装部材10の内面との間に第1の隙間S1が設けられ、外装部材10と腕時計ケース1の外面との間に第2の隙間S2が設けられ、第1の隙間S1が第2の隙間S2よりも広く形成されているので、外装部材10が外部から強い衝撃を受けても、その衝撃が操作部材7に直接伝わらないようにすることができる。
【0077】
すなわち、操作部材7の突起部22と外装部材10の内面との間に設けられた第1の隙間S1が、外装部材10の円筒部30の端部と腕時計ケース1の外面との間に設けられた第2の隙間S2よりも広く設定されていることにより、外装部材10が強い衝撃を受けて、その衝撃を緩衝部材9で吸収しきれないときに、外装部材10の円筒部30の端部が腕時計ケース1の外面に当接して、外装部材10が操作部材7の突起部22に当接するのを防ぐことができ、これにより強い衝撃が操作部材7に直接伝わることがないので、操作部材7およびロック部8の破損を防ぐことができる。
【0078】
なお、上述した実施形態では、腕時計ケース1の貫通孔1aに筒状部材12を嵌め込み、この筒状部材12が腕時計ケース1から突出する大径筒部12bの外周に雄ねじ部13を形成した構成である場合について述べたが、これに限らず、例えば腕時計ケース1の外面に筒状部を貫通孔1aと同一軸上に対応させて一体に形成し、この筒状部の外周面に雄ねじ部を形成した構成であっても良い。
【0079】
この場合には、腕時計ケース1の筒状部を通して貫通孔1a内に操作部材7の操作軸部17を挿入させ、この状態で操作頭部18を腕時計ケース1内に向けて押し込んで回転させることにより、上述した実施形態と同様、操作頭部18の雌ねじ部19を筒状部の雄ねじ部13に螺合させて、操作部材7を腕時計ケース1に対してロックすることができる。このため、別部品としての筒状部材12が不要となるので、部品点数を削減することができる。
【0080】
また、上述した実施形態では、操作部材7の操作頭部18に四角形状の係合鍔部20を設け、外装部材10の内周面に係合鍔部20が嵌合する嵌合部32を設け、この嵌合部32に係合鍔部20の各角部20aが係合する係合凹部32aを設けた場合について述べたが、これに限らず、例えば係合鍔部を三角形、五角形、六角形などの多角形状に形成し、嵌合部を多角形状の係合鍔部が嵌合する多角形状に形成しても良く、また係合鍔部を楕円形状に形成し、嵌合部を楕円形状の係合鍔部が嵌合する楕円形状に形成しても良い。このように構成しても、上述した実施形態と同様、外装部材10の回転を操作部材7に確実にかつ良好に伝えることができる。
【0081】
さらに、上述した実施形態では、操作部材7を腕時計ケース1に向けて押し込んだ状態でロックするロック部8が、筒状部材12に設けられた雄ねじ部13と、操作部材7の操作頭部18に設けられて雄ねじ部13が螺合する雌ねじ部19と、で構成されている場合について述べたが、これに限らず、例えば先行文献と同様、操作頭部18に取り付けられて複数の係合凸部を有するリング部材と、腕時計ケース1の外部に突出して設けられてリング部材の係合凸部を係脱可能にロックする複数の係止溝部と、を備えた構成の簡易型のロック部であっても良い。
【0082】
なおまた、上述した実施形態およびその各変形例では、腕時計に適用した場合について述べたが、必ずしも腕時計である必要はなく、例えば懐中時計、トラベルウオッチ、目覚まし時計、置き時計などの各種の時計に適用することができるほか、必ずしも時計である必要はなく、例えば携帯電話機、携帯情報端末機などの各種の電子機器にも適用することができる。
【0083】
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明は、これに限られるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0084】
(付記)
請求項1に記載の発明は、貫通孔を有するケースと、このケースの前記貫通孔に挿入される軸部を有する操作部材と、この操作部材に取り付けられ、前記軸部の軸方向へ変位し、前記操作部材と共に回転する外装部材と、前記操作部材と前記外装部材との間に位置する緩衝部材と、を備えていることを特徴とするスイッチ装置である。
【0085】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のスイッチ装置において、前記緩衝部材には、前記緩衝部材が形状変化する際の複数の逃げ部が設けられていることを特徴とするスイッチ装置である。
【0086】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のスイッチ装置において、前記操作部材の外周には非円形状の係合鍔部が設けられており、前記外装部材の内周には、前記係合鍔部が軸方向に移動可能に嵌合する嵌合部が設けられていることを特徴とするスイッチ装置である。
【0087】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のスイッチ装置において、前記外装部材を取り付ける取付部材は、前記外装部材を前記操作部材に対して軸方向に変位するように取り付けられ、前記外装部材の内周に固定され、前記操作部材の前記係合鍔部と当接することを特徴とするスイッチ装置である。
【0088】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれかに記載のスイッチ装置において、前記操作部材をロックするロック部を備えていることを特徴とするスイッチ装置である。
【0089】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5のいずれかに記載のスイッチ装置において、前記操作部材と前記外装部材の内面との間には第1の隙間が設けられ、前記外装部材と前記ケースの外面との間には第2の隙間が設けられ、前記第1の隙間が前記第2の隙間よりも広く形成されていることを特徴とするスイッチ装置である。
【0090】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜請求項6のいずれかに記載されたスイッチ装置を備えていることを特徴とする時計である。