特許第6094558号(P6094558)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6094558
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】フロー電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/36 20100101AFI20170306BHJP
   H01M 4/58 20100101ALI20170306BHJP
   H01M 4/505 20100101ALI20170306BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20170306BHJP
   H01M 8/08 20160101ALN20170306BHJP
   H01M 8/18 20060101ALN20170306BHJP
【FI】
   H01M10/36 A
   H01M4/58
   H01M4/505
   H01M4/62 Z
   !H01M8/08
   !H01M8/18
【請求項の数】19
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-220246(P2014-220246)
(22)【出願日】2014年10月29日
(65)【公開番号】特開2016-85955(P2016-85955A)
(43)【公開日】2016年5月19日
【審査請求日】2015年12月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】特許業務法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂田 二郎
【審査官】 市川 篤
(56)【参考文献】
【文献】 特表2014−524124(JP,A)
【文献】 特表2014−500604(JP,A)
【文献】 特表2011−524074(JP,A)
【文献】 特表2014−500599(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/001787(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/183028(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/08
H01M 8/18
H01M 10/00−10/0587
H01M 10/36
H01M 12/06
H01M 12/08
Japio−GPG/FX
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体活物質と、メディエータを溶解した水溶液系のメディエータ含有電解液と、を含む電極組成物と、
前記電極組成物のうちの少なくともメディエータ含有電解液を流動させて集電体に接触させる送液部と、
を有する正極及び負極の少なくとも一方を備え、
前記メディエータは、前記固体活物質の酸化還元電位との差が0.5V以下の範囲にある酸化還元電位を有する物質であるか、前記固体活物質の酸化還元電位よりも低い低電位側酸化還元電位と固体活物質の酸化還元電位よりも高い高電位側酸化還元電位とを有する物質であるかのいずれか1以上である、
フロー電池。
【請求項2】
前記メディエータは、ポリオキソメタレートである、
請求項1に記載のフロー電池。
【請求項3】
前記メディエータは、ケイバナドモリブデン酸、リンバナドモリブデン酸及びケイタングステン酸からなる群より選ばれる1以上である、請求項1又は2に記載のフロー電池。
【請求項4】
前記固体活物質は、リン酸鉄リチウム、リン酸バナジウムナトリウム、リチウムマンガネート、リン酸チタンリチウム及びリン酸チタンナトリウムからなる群より選ばれる1以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のフロー電池。
【請求項5】
前記電極組成物は正極の電極組成物であり、前記メディエータはケイバナドモリブデン酸及びリンバナドモリブデン酸の少なくとも一方であり、前記固体活物質は、リン酸鉄リチウム、リン酸バナジウムナトリウム、リチウムマンガネートからなる群より選ばれる1以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のフロー電池。
【請求項6】
前記電極組成物は負極の電極組成物であり、前記メディエータはケイバナドモリブデン酸及びケイタングステン酸の少なくとも一方であり、前記固体活物質はリン酸チタンリチウム及びリン酸チタンナトリウムの少なくとも一方である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のフロー電池。
【請求項7】
前記電極組成物は正極及び負極の電極組成物であり、前記正極及び前記負極において前記メディエータはケイバナドモリブデン酸である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のフロー電池。
【請求項8】
前記メディエータは、前記固体活物質の酸化還元電位との差が0.18V以下の範囲に酸化還元電位を有するものである、
請求項1〜7のいずれか1項に記載のフロー電池。
【請求項9】
前記メディエータは、前記固体活物質の酸化還元電位よりも低い低電位側酸化還元電位と、前記固体活物質の酸化還元電位よりも高い高電位側酸化還元電位と、を有するものである、
請求項1〜8のいずれか1項に記載のフロー電池。
【請求項10】
前記メディエータは、充放電曲線において充放電プラトーを示さず傾斜した電位を示す請求項8又は9に記載のフロー電池。
【請求項11】
前記電極組成物は正極及び負極の電極組成物である、請求項1〜10のいずれか1項に記載のフロー電池。
【請求項12】
前記電極組成物は正極及び負極の電極組成物であり、前記正極及び前記負極において前記メディエータが同種である、請求項1〜11のいずれか1項に記載のフロー電池。
【請求項13】
前記電極組成物は正極の電極組成物であり、負極は金属亜鉛を備えている、請求項1〜5のいずれか1項に記載のフロー電池。
【請求項14】
前記電極組成物は、pHが3以上11以下である、請求項1〜13のいずれか1項に記載のフロー電池。
【請求項15】
前記送液部は、前記メディエータ含有電解液を流動させて前記集電体に接触させる、請求項1〜14のいずれか1項に記載のフロー電池。
【請求項16】
前記送液部は、前記電極組成物を流動させて前記集電体に接触させる、請求項1〜14のいずれか1項に記載のフロー電池。
【請求項17】
前記電極組成物は、導電材を含まない、請求項1〜16のいずれか1項に記載のフロー電池。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれか1項に記載のフロー電池であって、
ケースと、
前記ケースの内部を正極室と負極室とに分離するセパレータと、
前記正極室に配設された正極集電体と、
を備え、
前記送液部は、前記電極組成物のうち少なくともメディエータ含有電解液を流動させて前記正極集電体に接触させる、フロー電池。
【請求項19】
請求項1〜18のいずれか1項に記載のフロー電池であって、
ケースと、
前記ケースの内部を正極と負極とに分離するセパレータと、
前記負極に配設された負極集電体と、
を備え、
前記送液部は、前記電極組成物のうち少なくともメディエータ含有電解液を流動させて前記負極集電体に接触させる、フロー電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロー電池に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電池の活物質を含む電解液を循環させて充放電を行うフロー電池が知られている。フロー電池は、低コスト、安全、長寿命といった多くのメリットがあるため、体積容量面での制約の少ない大規模定置型電池として実用化されている。しかしながら、その充放電容量が活物質の溶解度で決まるため、電気容量が比較的低いことがあった。そこで、充放電容量を高めるため、固体活物質を電解液中に分散させることが提案されている(例えば、特許文献1,3,4及び非特許文献1〜3参照)。また、水溶性のメディエータを用いたレドックス燃料電池が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5211775号
【特許文献2】特表2014−500604号公報
【特許文献3】特表2014−500599号公報
【特許文献4】特表2014−513857号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Qizhao Huang, et al., Phys. Chem. Chem. Phys., 15, 1793(2013).
【非特許文献2】Mihai Duduta, et al., Adv., Energy Mater., 1, 511(2011).
【非特許文献3】Z. Li, et al., B1-397, Prime2012要旨集、Honolulu, HI 2012年10月7-12日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1や、非特許文献1,2では、固体活物質を非水系の電解液中に分散させたものについて検討されている。非水系の電解液を用いたものでは水分を嫌うため、水分の影響を受けないような構成が必要であり、そうした構成を必要としない水溶液系の電解液を用いたものが望まれていた。また、特許文献2の電池は、燃料電池であり、フロー電池とは原理的に異なるものであった。また、特許文献3,4や、非特許文献3では、固体活物質を水溶液系の電解液中に分散させたものについて検討されているが、充放電容量が小さいことがあった。このため、水溶液系の電解液を用いたものにおいて、充放電容量をより高めることが望まれていた。
【0006】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、水溶液系のものにおいて、充放電容量をより高めることができるフロー電池を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するために、本発明者らは、固体活物質と、メディエータを溶解した水溶液系のメディエータ含有電解液とを含む電極組成物を調整し、これを用いてフロー電池を作製したところ、水溶液系のものにおいて充放電容量をより高めることができることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明のフロー電池は、
固体活物質と、メディエータを溶解した水溶液系のメディエータ含有電解液と、を含む電極組成物と、
前記電極組成物のうちの少なくともメディエータ含有電解液を流動させて集電体に接触させる送液部と、
を有する正極及び負極の少なくとも一方を備えたものである。
【発明の効果】
【0009】
このフロー電池では、充放電容量をより高めることができる。こうした効果が得られる理由は、以下のように推察される。例えば、電極組成物は、固体活物質の他にメディエータ含有電解液を含むため、固体活物質と集電体とが直接接触しなくても、メディエータを介して、電子の授受すなわち酸化還元反応が可能となる。このため、固体活物質による充放電容量を高める効果をより高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】フロー電池10の構成の概略を示す説明図。
図2】フロー電池110の構成の概略を示す説明図。
図3】実験例1のメディエータ含有電解液及び固体活物質のCV。
図4】実験例1の充放電波形。
図5】実験例1の容量増加の様子を示すグラフ。
図6】実験例1,2の充放電電流変化時の各極の電圧変化を示すグラフ。
図7】実験例1,2の充放電電流変化時のセルの電圧変化を示すグラフ。
図8】実験例2のメディエータ含有電解液及び固体活物質のCV。
図9】実験例2の充放電波形。
図10】実験例2の充放電波形。
図11】実験例3の充放電波形。
図12】実験例4のメディエータ含有電解液及び固体活物質のCV。
図13】実験例4の充放電波形。
図14】実験例5の充放電波形。
図15】実験例6の充放電波形。
図16】実験例6の充放電波形。
図17】実験例6の充放電波形。
図18】実験例7のH4+x[SiVxMo12-x40](x=0)のCV。
図19】実験例7のH4+x[SiVxMo12-x40](x=1)のCV。
図20】実験例7のH4+x[SiVxMo12-x40](x=2)のCV。
図21】実験例7のH4+x[SiVxMo12-x40](x=3)のCV。
図22】実験例7のH4+x[SiVxMo12-x40](x=4)のCV。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のフロー電池は、正極及び負極の少なくとも一方が、固体活物質と、メディエータを溶解した水溶液系のメディエータ含有電解液と、を含む電極組成物と、前記電極組成物のうちの少なくともメディエータ含有電解液を流動させて集電体に接触させる送液部と、を備えている。このフロー電池は、例えば、ケースと、ケースの内部を正極室と負極室とに分離するセパレータとを備えたものとしてもよい。こうしたものにおいて、正極室には正極集電体が配設され、送液部が、電極組成物のうち少なくともメディエータ含有電解液を流動させて正極室内に送液することによって正極集電体に接触させるものとしてもよい。また、負極室には負極集電体が配設され、送液部が、電極組成物のうち少なくともメディエータ含有電解液を流動させて負極室内に送液することによって負極集電体に接触させるものとしてもよい。また、この両方としてもよい。なお、ここでいう正極、負極は、2種の電極の電位差で決まるものであり、本発明の電極組成物を用いる電極が対極に対し貴な電圧であれば正極、卑な電圧であれば負極となる。以下、こうしたフロー電池について具体的に説明する。
【0012】
本発明のフロー電池において、固体活物質は、水系電解液中で充放電可能な電圧域にあるものであれば、特に限定されるものではない。例えば、リン酸鉄リチウム(LiFePO4)、リン酸バナジウムナトリウム(Na32(PO43)、リチウムマンガネート(LiMn24)、リン酸チタンリチウム(LiTi2(PO43)、リン酸チタンナトリウム(NaTi2(PO43)、ピロリン酸チタン(TiP27)、バナジウム酸リチウム(LiV24)などの、無機系の活物質を好適に用いることができる。このうち、リン酸鉄リチウム、リン酸バナジウムナトリウム、リチウムマンガネートは、正極の固体活物質に好適であり、リン酸鉄リチウムやリン酸バナジウムナトリウムがより好適である。また、リン酸チタンリチウム、リン酸チタンナトリウム、ピロリン酸チタン、バナジウム酸リチウムは、負極の固体活物質に好適であり、リン酸チタンリチウム、リン酸チタンナトリウムがより好適である。固体活物質としては、無機系活物質に限らず、キノン系やポリアニリンなどの導電性高分子など水に不溶か難溶な有機系活物質としてもよい。
【0013】
この固体活物質の形状は限定されるものではなく、メディエータとの接触面積を多くできるものとして、粒子状や繊維状、シート状、多孔質状などとすることができる。例えば、粒子状とする場合には、10mm〜0.1mmのサイズとしてもよい。粒子状の固体活物質は、例えば、固体活物質とバインダー(結着材)とを混練し塊状にしたものを、粉砕したものとしても良い。バインダーとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、或いはポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、エチレン−プロピレン−ジエンマー(EPDM)、スルホン化EPDM、天然ブチルゴム(NBR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリロニトリル(PAN)等を単独で、あるいは2種以上の混合物として用いることができる。固体活物質とバインダーとの比率は、例えば、質量比で99:1〜90:10の範囲などとしてもよい。また、固体活物質としては、例えば、その表面をカーボン被覆したものを用いてもよい。カーボン被覆によって、固体活物質成分の電解液への溶解が防止でき、劣化防止の効果が期待される。カーボン被覆の方法は、特に限定されるものではないが、固体活物質の表面を炭素源となる物質で被覆し、その後、不活性雰囲気下で焼成してもよい。炭素源としては、有機化合物としてもよく、例えば、スクロースのような糖化合物としてもよい。不活性雰囲気としては、アルゴン雰囲気や窒素雰囲気などが挙げられる。
【0014】
本発明のフロー電池において、メディエータは、固体活物質と集電体との間の電子の授受を媒介する。メディエータは、水溶性の酸化還元物質であれば特に限定されないが、分子量が大きいもの(例えば分子量が1000以上など)であることが好ましく、例えば、ポリオキソメタレート(ポリ酸)であることが好ましい。分子量が大きいものでは、セパレータを通過しにくく、対極側への拡散によるクロスコンタミネーションが生じにくいからである。ポリオキソメタレートは、イソポリ酸でもよいし、ヘテロポリ酸でもよいが、ヘテロポリ酸が好ましい。ヘテロポリ酸としては、例えば、ケイバナドモリブデン酸(H4+x[SiVxMo12-x40](0≦x≦4))、リンバナドモリブデン酸(H3+x[PVxMo12-x40](0≦x≦4))、ケイタングステン酸(H4[SiW1240])などが挙げられる。ポリオキソメタレートは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。メディエータがケイバナドモリブデン酸である場合、上記一般式中のxの値は1.5以上3.5以下であることが好ましい。こうしたものでは、pH3〜pH10.5という広いpHの範囲で再現性良く動作可能である。また、メディエータがケイバナドモリブデン酸である場合、上記一般式中のxの値は、3.5以上であるものとしてもよい。こうしたものでは、pH11以上の強アルカリ域で安定に動作可能である。
【0015】
このメディエータは、固体活物質の酸化還元電位に近い酸化還元電位(標準電位)を有するか、固体活物質の酸化還元電位を挟むような複数の酸化還元電電位を有する(固体活物質の酸化還元電位よりも低い低電位側酸化還元電位と固体活物質の酸化還元電位よりも高い高電位側酸化還元電位とを有する)ものとすることが好ましい。こうしたものでは、分極が生じにくく、エネルギーロスを低減できる。特に、水溶液系電解液を用いた電池では、セル電圧が1V前後と低いことから、分極の低減の効果は、非水系電解液を用いた電池よりも相対的に大きくなる。例えば、分極が大きいと、送液部(送液ポンプ等)の駆動エネルギーすら確保できない状況になり得る。また、1種のメディエータで、固体活物質の酸化反応にも還元反応にも対応できるため、複数種のメディエータを用いる必要がない。ここで、固体活物質の酸化還元電位に近い酸化還元電位とは、固体活物質の酸化還元電位との差が0.5V以下の範囲にある酸化還元電位としてもよく、0.18V以下の範囲にある酸化還元電位とすることが好ましく、0.12V以下の範囲にある酸化還元電位とすることがより好ましい。メディエータは、固体活物質の酸化還元電位を挟むような複数の酸化還元電位を有する場合も、固体活物質の酸化還元電位に近い酸化還元電位を有することがより好ましい。また、メディエータは、酸化還元において傾斜電位を示すものであることが好ましい。なお、傾斜電位を示すとは、充放電曲線において、明瞭な充放電プラトーを示さない、別の表現をすれば、サイクリックボルタモメトリー(CV)でシャープな酸化還元ピークを示さない擬似容量キャパシタ的な挙動を示すことと同義である。傾斜電位を示す範囲としては、例えば、上述した固体活物質の酸化還元電位に近い酸化還元電位の範囲としてもよいし、上述した固体活物質の酸化還元電位を挟むような複数の酸化還元電位の間の範囲としてもよい。なお、上述したポリオキソメタレートは、固体活物質の酸化還元電位に近い位置に固体活物質の酸化還元電位を挟むような複数の酸化還元電位を有する。
【0016】
本発明のフロー電池において、電極組成物は、正極の電極組成物であるものとしてもよいし、負極の電極組成物であるものとしてもよいし、正極及び負極の電極組成物であるものとしてもよい。正極の電極組成物である場合には、メディエータがケイバナドモリブデン酸及びリンバナドモリブデン酸の少なくとも一方であり、固体活物質がリン酸鉄リチウム、リン酸バナジウムナトリウム及びリチウムマンガネートからなる群より選ばれる1以上であることが好ましい。また、負極の電極組成物である場合には、メディエータがケイバナドモリブデン酸及びケイタングステン酸の少なくとも一方であり、固体活物質がリン酸チタンリチウム及びリン酸チタンナトリウムの少なくとも一方であることが好ましい。正極及び負極の電極組成物である場合も同様である。この場合、正極の電極組成物と負極の電極組成物とは、メディエータが同種でもよいし、異種でもよいが、同種であることが好ましい。同種であれば、セパレータを通過して対極側へ拡散したとしても、同種であるため、クロスコンタミネーションによる問題などを生じにくいからである。同種の場合、メディエータとしては、ケイバナドモリブデン酸が好適である。ケイバナドモリブデン酸は、正負極固体活物質の酸化還元電位に近く、且つ、それら電位をそれぞれ挟むように複数の酸化還元電位を示し、且つ、ブロードな傾斜電位を示す。また、固体活物質が安定に動作する弱酸性から弱アルカリ性域で安定に動作する。これらのことから、ケイバナドモリブデン酸は、正極にも負極にも用いることのできる好適なメディエータであるといえる。
【0017】
本発明のフロー電池において、電極組成物が正極の電極組成物である場合、負極は金属亜鉛を備えているものとしてもよい。この場合、負極は、負極電解液として、硝酸塩、硫酸塩などを備えているものとしてもよい。硝酸塩としては、硝酸亜鉛、硝酸リチウム、硝酸ナトリウムなどが挙げられる。硫酸塩としては、硫酸亜鉛、硫酸リチウム、硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0018】
本発明のフロー電池において、電極組成物は、pHが3以上11以下であることが好ましい。こうした範囲では、固体活物質が安定に動作するとともに、負極での水素発生、正極での酸素発生を抑制することができる。また、電極組成物は、バッファー(緩衝剤)を含むものとすることが好ましい。こうすれば、充放電時に、酸素発生や水素発生などの副反応により生じるpH変化を抑制できる。バッファーは、所望のpHに応じて適宜選択すればよく、例えば、フタル酸系のバッファー、リン酸系のバッファーや酢酸系のバッファーなどを用いることができる。
【0019】
本発明のフロー電池において、電極組成物は、導電材を含むものとしてもよい。導電材としては、例えば、天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛)や人造黒鉛などの黒鉛、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンウィスカ、ニードルコークス、炭素繊維、金属(銅、ニッケル、アルミニウム、銀、金など)などの1種又は2種以上を混合したものを用いることができる。なお、電極組成物は、導電材を含まないものとすることが好ましい。本発明のフロー電池では、メディエータを含むため、導電材を用いなくても、固体活物質と集電体との間の電子の授受が円滑に行われる。
【0020】
本発明のフロー電池において、集電体としては、カーボンペーパー、アルミニウム、銅、チタン、ステンレス鋼、ニッケル、鉄、白金、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラスなどのほか、接着性、導電性及び耐酸化(還元)性向上の目的で、アルミニウムや銅などの表面をカーボン、ニッケル、チタン、銀、白金、金などで処理したものも用いることができる。集電体の形状については、箔状、フィルム状、シート状、ネット状、パンチ又はエキスパンドされたもの、ラス体、多孔質体、発泡体、繊維群の形成体などが挙げられる。集電体の厚さは、例えば1cm〜500μmのものが用いられる。なお、本願では集電体と称したが、本願における集電体は、フロー電池においては電極と称されることがある。
【0021】
本発明のフロー電池において、送液部は、電極組成物のうち、固体活物質を含まないメディエータ含有電解液を流動させて集電体に接触させるものとしてもよいし、固体活物質とメディエータ含有電解液を含む電極組成物を流動させて集電体に接触させるものとしてもよい。この送液部は、例えば、送液ポンプとしてもよい。正極電極組成物や負極電極組成物は、送液ポンプを用いて所定量、流通させればよく、その所定流量は、電池スケールに合わせて適宜設定することができる。また、送液部は、正極室、送液ポンプ(循環ポンプ)、正極リザーバ容器に接続された循環経路を備え、正極電極組成物のうち少なくとも正極メディエータ含有電解液を循環させるものとしてもよい。また、送液部は、負極室、送液ポンプ(循環ポンプ)、負極リザーバ容器に接続された循環経路を備え、負極電極組成物のうち少なくとも負極メディエータ含有電解液を循環させるものとしてもよい。また、この両方としてもよい。
【0022】
本発明のフロー電池において、セパレータは、イオン透過能を有し、かつ、正極の電極組成物と負極の電極組成物とが混じり合うクロスコンタミネーションを防止する機能を有するものであれば、特に限定されず、例えば、イオンを伝導可能なイオン伝導性高分子膜(イオン交換膜)や、イオン伝導性固体電解質膜、ゲル膜、微多孔膜などを用いることができる。イオン伝導性高分子膜としては、例えば、炭素−フッ素からなる疎水性テトラフルオロエチレン骨格とスルホン酸基を持つパーフルオロ側鎖から構成されるパーフルオロカーボン材料(テトラフルオロエチレン−パーフルオロビニル共重合体)などが挙げられる。より具体的には、例えば、ナフィオン(ナフィオンは登録商標)などが挙げられる。また、イオン伝導性固体電解質膜としては、例えば、カチオン伝導性ガラス(酸化物系ガラス)などが挙げられる。
【0023】
本発明のフロー電池は、正極又は負極が、固体活物質の酸化還元電位に保たれた場合に、ネルンストの式で求められる、メディエータ酸化還元体の少量種濃度と流量とから求まる反応種電荷量以下に、メディエータ含有電解液又は電極組成物の流量及び電流値を制御して駆動することが好ましい。以下、この点について説明する。固体活物質とメディエータ間の酸化還元反応が早い場合には、固体活物質近傍での溶液の電位は固体活物質の電位になる。溶液中のメディエータの酸化還元種の比率はネルンストの式に従い、濃度が決定され、例えば、一電子系で固体活物質とメディエータとの酸化還元電位の差が0.12Vの時には、少量種の濃度は1%あるが、0.2Vでは約0.04%とごくわずかになる。したがって、充放電電流が、少量種の酸化もしくは還元で賄えるより低い場合は、充放電電圧は、固体活物質電位に近い電圧を示す。このため、少量種の濃度と液流量とから求まる反応可能電荷量以下に電流値を抑えて、メディエータの電位が固体活物質のそれより高い場合は還元電流を、低い場合は酸化電流を制御すれば分極発生を低減できる。賄えない場合には、固体活物質の酸化還元電位の反対側にメディエータが他の酸化還元電位を持たない場合には充電もしくは放電反応が停止してしまう。反対側に酸化還元電位がある場合にはその電位に近づき、電位が固体活物質のそれより離れている場合はその分、分極が大きくなる。なお、以上説明したように電流依存性はメディエータ含有電解液又は電極組成物の流量と少量種の濃度で決定される。流量を高めるとポンプのエネルギーロスにつながるため、なるべく小流量で大電流が取れるよう少量種の濃度が高い、即ち固体活物質との酸化還元電位差の小さなメディエータが好適となる。したがって、少量種の濃度が0.1%以上となるよう酸化還元電位差が0.18V以下が、さらに好ましくは1%以上となるよう酸化還元電位差が0.12V以下が好適である。他の方法としては、サイクリックボルタモメトリー(以下CVと略す)でみて、酸化還元ピークがブロードで、酸化還元電位が明瞭でなく、酸化還元が傾斜電位を示す場合、別の表現をすれば、擬似容量キャパシタ的な明瞭な充放電プラトーを示さない場合は、メディエータの少量種の濃度変化に対応する電圧変化が鈍くなり、固体活物質の酸化還元電位近傍での動作が可能となる。メディエータの酸化還元ピークがブロードになるのは、近い電位の複数の酸化還元が重畳したメディエータがその一例である。フロー電池は、レドックスフロー電池としてもよい。
【0024】
図1は、本発明の一実施形態であるフロー電池10の構成の概略を示す説明図である。フロー電池10は、ケース12と、このケース12の内部を正極室14と負極室16とに分離するセパレータ18と、正極室14に配置された正極集電体20と、負極室16に配設された負極集電体50とを備えている。このフロー電池10では、正極室14と正極リザーバ容器30との間に正極側循環経路32を備え、この正極側循環経路32の途中に正極側循環ポンプ38が取り付けられている。また、負極室16と負極リザーバ容器60との間に負極側循環経路62を備え、この負極側循環経路62の途中に負極側循環ポンプ68が取り付けられている。正極リザーバ容器30は、その内部に正極メディエータ含有電解液22と正極固体活物質24とを含む正極電極組成物26を貯留しており、フィルタ31によって正極固体活物質24の流出を防止している。また、負極リザーバ容器60は、その内部に負極メディエータ含有電解液52と負極固体活物質54とを含む負極電極組成物56を貯留しており、フィルタ61によって負極固体活物質54の流出を防止している。また、フロー電池10は、その電流や電圧を測定するための回路80を備えている。この回路80は、正極室14の出口36に接続された参照電極81(例えばAg/AgCl参照電極)と正極集電体20との間の電位差(カソード電圧)を測定する電圧計83を備えている。また、負極室16の出口66に接続された参照電極84(例えばAg/AgCl参照電極)と負極集電体50との間の電位差(アノード電圧)を測定する電圧計86を備えている。また、正極集電体20と負極集電体50との間を流れる電流を測定する電流計87や、外部入出力装置89と並列に設けられ正極集電体20と負極集電体50との間の電位差(セル電圧)を測定する電圧計88を備えている。
【0025】
このフロー電池10では、正極側循環ポンプ38により正極メディエータ含有電解液22を循環させて正極集電体20に接触させると共に、負極側循環ポンプ68により負極メディエータ含有電解液52を循環させて負極集電体50に接触させながら、充放電を行う。このとき、回路80により各電圧や電流を測定し、その値に基づいて、循環する各メディエータ含有電解液22,52などの流速を調整することもできる。
【0026】
以上説明した実施形態のフロー電池では、充放電容量をより高めることができる。こうした効果が得られる理由は、以下のように推察される。例えば、電極組成物は、固体活物質の他にメディエータ含有電解液を含むため、固体活物質と集電体とが直接接触しなくても、メディエータを介して、電子の授受すなわち酸化還元反応が可能となる。このため、固体活物質による充放電容量を高める効果をより高めることができ、高出力も期待できる。なお、メディエータ含有電解液に代えて、カーボンなどの非水溶性の導電材を用いる場合、導電性確保のために多量の導電材が必要となる。カーボンを混入させ、粒子間の電気的接触を保とうとすると粘度が上昇する。粘度上昇に伴い、そのスラリーを流すための圧力が高くなるため、ポンプの消費エネルギーが上昇する。特に、水系のように電圧が低い場合には、大電流が取れないとポンプすら動かせないことなる。一方、流動性を高めるために分散剤等で粘度を低下させると抵抗が上昇する。このように粘度を低下させれば、導電性や容量が低下し蓄電エネルギーが低下するため、やはりポンプの消費エネルギーを確保することは難しくなる。
【0027】
また、上述した実施形態のフロー電池では、水系電解液を用いるため、非水系の電解液を用いるものに比してより安全で、よりコストを低減できる。また、液相系の酸化還元物質をメディエータとして用いることによって、固体間の電気的な接触が困難な系においても、集電体とメディエータ、メディエータと固体活物質の電子の授受すなわち酸化還元が可能となる。この時、メディエータ含有電解液の電位は固体活物質の電位となり、ネルンストの式に従って、その電位に応じたメディエータの酸化還元種の濃度が決定される。すなわち、固体活物質とメディエータの酸化還元電位を近くし、且つ、充電も放電も可能となるよう固体活物質の電位と極めて近くするか、複数の酸化還元電位を有し、且つ固体活物質の酸化還元電位を挟む形のメディエータとすることにより、分極を小さくし、大電流が取れるようにすることができる。
【0028】
また、上述した実施形態のフロー電池では、電極組成物のうち、メディエータ含有電解液のみを流動させたため、電極組成物全体を流動させる場合に比して、流動物の粘度が低い。このため、電極組成物全体を流動させる場合よりも、送液圧力を低くすることができ、ポンプ駆動エネルギーを低減でき、効率がよい。
【0029】
なお、本実施形態において、正極では、正極リザーバ容器30、正極側循環経路32及び正極側循環ポンプ38が本発明の送液部に相当し、負極では、負極リザーバ容器60、負極側循環経路62及び負極側循環ポンプ68が本発明の送液部に相当する。
【0030】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0031】
例えば、上述したフロー電池10では、正極リザーバ容器30は、フィルタ31を備えたものとしたが、フィルタ31を備えないものとしてもよい。この場合、正極メディエータ含有液22だけでなく、固体活物質24をも含む、正極電極組成物26が、循環経路32を流動する。この正極電極組成物26は、例えば、正極メディエータ含有電解液22に正極固体活物質24が懸濁したスラリーとして流動する。同様に、負極リザーバ容器60は、フィルタ61を備えたものとしたが、フィルタ61を備えないものとしてもよい。
【0032】
例えば、上述したフロー電池10では、正極と負極の両方が、各極固体活物質24,54と、各極メディエータ含有液22,52と、を含む電極組成物26,56と、各極電極組成物26,56のうち少なくとも各極メディエータ含有電解液22,52を流動させて各極集電体20,50に接触させる各極送液部40,70と、を備えた構成を有するものとしたが、これに限定されない。例えば、正極のみがこうした構成を有するものとしてもよいし、負極のみがこうした構成を有するものとしてもよい。図2は、正極のみがこうした構成を有する、本発明の他の実施形態であるフロー電池110の構成の概略を示す説明図である。フロー電池110において、フロー電池10と同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。このフロー電池110では、負極室16には、例えば亜鉛板などの負極電極150が配置されている。また、循環経路はなく、硝酸亜鉛や硝酸リチウムなどの負極電解液155が、負極室16の入口64から供給される。なお、負極電解液155は、負極室16の入口64と出口66とを結ぶ循環経路を介して循環させてもよい。また、負極電解液155は、負極室16の入口64から供給するのではなく、負極室16内に貯留してもよい。
【実施例】
【0033】
以下では、フロー電池を具体的に作製した例について、実験例として説明する。なお、本発明は、以下の実験例に限定されるものではない。
【0034】
[実験例1]
(フロー電池の作製)
実験例1では、図1のように構成されたフロー電池を作製した。正極の電極組成物において、固体活物質としてリン酸鉄リチウム(LiFePO4、以下LFPと略す。宝泉社製SLFP−PD60)を、メディエータとしてケイバナドモリブデン酸(H6[SiV2Mo1040]・29H2O、以下SiVMoと略す。日本無機化学工業製)を用いた。また、負極の電極組成物において、固体活物質としてリン酸チタンリチウム(LiTi2(PO43、以下LTPと略す。)を、メディエータとして、正極と同じSiVMoを用いた。なお、LTPとしては、以下のように作製したものを用いた。まず、チタンイソプロポキシド、酢酸リチウム、リン酸一アンモニウムを所定量混ぜた後、加水分解した固形物を、Ar雰囲気下700℃で24時間加熱焼成した。その後、焼成粉末表面をスクロースで表面被覆し、Ar雰囲気下700℃で焼成して表面カーボン被覆したものを用いた。
【0035】
実験例1の電池は、具体的には、以下のように作製した。まず、固体活物質としてのLFP95質量部とバインダーとしてのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)5質量部とを混練し塊状にした。これをミキサーにかけて粉砕し、篩で1mm〜0.5mmのサイズの粒子を選別し、これを正極固体活物質粒子とした。また、固体活物質としてLTPを用いた以外は正極と同様にして、負極固体活物質粒子を得た。また、水酸化リチウム及び0.1Mフタル酸バッファーでpHを4.65に調整した、10質量%SiVMoの3M硝酸リチウム水溶液を作製し、これを正極用及び負極用のメディエータ含有電解液とした。
【0036】
次に、図1に示すフロー電池を以下のように組み立てた。まず、ケース内に、イオン交換膜と、イオン交換膜を介して対向する正極電極及び負極電極と、を配設した。イオン交換膜としてはLiイオン交換したナフィオン膜(ナフィオンは登録商標)を用い、正極電極及び負極電極としてはいずれも厚さ3mm、4cm2のカーボンフェルトを用いた。次に、正極側のリザーバ容器内に、上述した正極固体活物質粒子(LFP)2g及びメディエータ含有電解液18mLを投入し、負極側のリザーバ容器内にメディエータ含有電解液18mLを投入した。なお、各リザーバ容器には、あらかじめ、固体活物質粒子の流出を防止するフィルタを配設し、固体活物質粒子がフロー電池内を流動しないように構成した。
【0037】
(サイクリックボルタモメトリー)
メディエータ含有電解液及びLFP、LTPについて、サイクリックボルタモメトリーを行った。具体的には、メディエータ含有電解液のCVは、上記組成のメディエータ含有電解液を用い、作用極を直径3mmのグラッシーカーボン電極、対極は白金ワイヤ、参照極は飽和KClのAg/AgCl電極とし、窒素雰囲気下、掃引速度20mV/secでCV評価した。LFP及びLTPに関しては、LFP又はLTPを80質量部に、導電助剤としてケッチェンブラックを10質量部、バインダーとしてPTFE10質量部を混練したものを5mgとり、ステンレスメッシュに挟み込んだ電極を用い評価した。その他の条件はメディエータ含有電解液のCVと同じとした。実験例1のメディエータ含有電解液、LFP、LTPのサイクリックボルタモグラム(CV)を図3に示す。図3より、LFP、LTPの酸化還元電位(標準電位)は飽和塩化カリウムの銀/塩化銀電極に対し、それぞれ0.265V,−0.695Vであることが求まった。
【0038】
図3より、メディエータ(SiVMo)含有電解液は、LFPの酸化還元電位(標準電位0.265V)より高電位側に標準電位を有するブロードな酸化還元ピーク(酸化ピーク/還元ピーク/標準電位=0.412V/0.336V/0.374V)と、LFPの酸化還元電位より低電位側に標準電位を有するブロードな酸化還元ピーク(酸化ピーク/還元ピーク/標準電位=0.283V/0.101V/0.192V)を有することがわかった。各酸化還元ピークの標準電位は、LFPの標準電位に対する電位差が0.11V、−0.07Vであり、LFPの酸化還元電位に近いことがわかった。また、その間がブロードで傾斜電位を示すことがわかった。また、図3より、メディエータ(SiVMo)含有電解液は、LTPの酸化還元電位(標準電位−0.695V)より高電位側に標準電位を有するブロードな酸化還元ピーク(酸化ピーク/還元ピーク/標準電位=−0.499V/−0.643V/−0.571V)と、LTPの酸化還元電位よりも低電位側に標準電位を有するブロードな酸化還元ピーク(酸化ピーク/還元ピーク/標準電位=−0.689V/−0.811V/−0.75V)を有することがわかった。各酸化還元ピークの標準電位は、LTPの標準電位に対する電位差が0.12V、−0.06Vであり、LTPの酸化還元電位に近いことがわかった。また、その間がブロードで傾斜電位を示すことがわかった。なお、pHを変化させてCVを測定したところ、SiVMo液はpH3−10.5の広いpH域で安定に動作することも確認した。一方、pH1以下ではLFPは比較的早期に劣化し、酸化還元ピークを示さなくなった。
【0039】
(充放電試験)
まず、上述したフロー電池を用い、正極及び負極のそれぞれについてメディエータ含有電解液をローラーポンプでフロー電池内に流速30mL/分で流動させ、電流50mAで充放電を行った。その後、負極側のリザーバ容器内に、上述した負極固体活物質粒子(LTP)1gを投入し、引き続き、充放電を行った。
【0040】
図4に、実験例1の充放電波形を示した。負極をみると、LTP投入前では負極側の電位(銀/塩化銀基準)変化はプラトーを示さずキャパシタ的な傾斜電位を示した。これに対して、LTP投入後には一定のプラトーを充放電とも示すようになり、容量も大幅に増大した。図5に、実験例1の容量増加の様子を示した。17サイクル以降は、100mAhの充電容量規制で放電容量をみたものである。LTPの仕込み量は約120mAhであるので、100mAh容量規制下では全量充電はできないが、少なくとも50%のLTPは利用されていることが分かった。またクーロン効率も高かった。図6,7には、充放電電流変化時の各極及びセルの電圧変化を示した。図6,7を見てわかるように、50mAの大電流を流した場合でも、正極、負極の分極は0.11Vと文献1に比べ大幅に小さい。また、膜抵抗分のロスが重畳しているセル電圧をみても分極は0.55Vと小さい。これは固体活物質とメディエータの電位差が小さいことに加え、傾斜電位を示す効果と推察された。以上のことから、正負極共通メディエータを用い固体活物質を含有させることによって、非常に優れた充放電が可能なフロー電池が構築できたことが分かった。また、両極のメディエータを同じものとしたことから、正負極メディエータのクロスコンタミネーションを防止する効果もあると推察された。
【0041】
[実験例2]
(フロー電池の作製)
実験例2では、図1のように構成されたフロー電池を作製した。正極の電極組成物において、固体活物質としてLFPを、メディエータとしてリンバナドモリブデン酸(H5[PV2Mo1040]・31H2O、以下PVMと略す。日本無機化学工業製)を用いた。また、負極の電極組成物において、固体活物質としてLTPを、メディエータとしてケイタングステン酸(H4[SiW1240]・24H2O、以下SiWOと略す。日本無機化学工業製)を用いた。
【0042】
実験例2の電池は、具体的には、以下のように作製した。正極固体活物質粒子(LFP)及び負極固体活物質粒子(LTP)を、実験例1と同様にして得た。また、水酸化リチウム及び0.1Mフタル酸バッファーでpHを4.90に調整した、10質量%PVMの3M硝酸リチウム水溶液を作製し、これを正極用のメディエータ含有電解液とした。また、水酸化リチウム及び0.1Mフタル酸バッファーでpHを4.9に調整した、10質量%SiWOの3M硝酸リチウム水溶液を作製し、これを負極用のメディエータ含有電解液とした。その他の構成は実験例1と同じとした。
【0043】
(サイクリックボルタモメトリー)
正極用メディエータ含有電解液及び負極用メディエータ含有電解液について、実験例1と同様にサイクリックボルタモメトリーを行った。実験例2の正極用メディエータ含有電解液、負極用メディエータ含有電解液及び上述したLFP、LTPのCVを図8に示す。
【0044】
図8より、正極用メディエータ(PVM)含有電解液は、LFPの酸化還元電位(標準電位0.265V)より高電位側に標準電位を有するブロードな酸化還元ピーク(酸化ピーク/還元ピーク/標準電位=0.420V/0.293V/0.357V)と、LFPの酸化還元電位より低電位側に標準電位を有するブロードな酸化還元ピーク(酸化ピーク/還元ピーク/標準電位=0.232V/0.179V/0.205V)を有することがわかった。各酸化還元ピークの標準電位は、LFPの標準電位に対する電位差が0.09V、−0.06Vであり、LFPの酸化還元電位に近いことがわかった。また、その間がブロードで傾斜電位を示すことがわかった。また、図8より、メディエータ(SiWO)含有電解液は、LTPの酸化還元電位より高電位側に標準電位を有する明瞭な酸化還元ピーク(酸化ピーク/還元ピーク/標準電位=−0.346V/−0.417V/−0.382V)と、LTPの酸化還元電位よりも低電位側に標準電位を有する明瞭な酸化還元ピーク(酸化ピーク/還元ピーク/標準電位=−0.729V/−0.851V/−0.815V)を有することがわかった。各酸化還元ピークの標準電位は、LTPの標準電位に対する電位差が0.31V、−0.12Vであり、LTPの酸化還元電位に比較的近いことがわかった。
【0045】
(充放電試験)
実験例1と同様に充放電試験を行った。図9,10に、実験例2の充放電波形を示した。LTP投入前の充放電波形である図9では、負極の波形は充放電時ともほぼ同じ電位にCVで見られた酸化還元電位に対応した複数のプラトーが明確に確認された。これに対して、LTP投入後には、図10に示すようにプラトー波形となった。充放電電流変化時の各極及びセルの電圧変化を上述した図6、7に示した。固体活物質との電位差が大きな負極側を見ると、放電時20mA以上で分極が大きくなる様子が分かった。電位差及びメディエータ濃度、流速から求まるSiWO酸化体の量に対応する電流値は15mAであり、その付近で変曲しているものと推察された。したがって、電流値を電位差・濃度・流速から求まる電流値以下に制御すれば分極をより低減できると推察された。
【0046】
[実験例3]
(フロー電池の作製)
実験例3では、図2に示すように構成されたフロー電池を作製した。正極の電極組成物において、実験例2と同様、固体活物質としてLFPを、メディエータとしてPVMを用いた。負極では、電極組成物を用いず、負極電解液として1M硝酸リチウム+1M硝酸亜鉛水溶液を用いた。また、電極として金属亜鉛板を用いた。
【0047】
実験例3の電池は、具体的には、以下のように作製した。正極固体活物質粒子(LFP)及び正極用のメディエータ(PVM)含有電解液を、実験例2と同様にして得た。また、1M硝酸リチウム+1M硝酸亜鉛水溶液を調製し、これを負極電解液とした。
【0048】
次に、図2に示すフロー電池を以下のように組み立てた。まず、ケース内に、イオン交換膜と、イオン交換膜を介して対向する正極電極及び負極電極と、を配設した。イオン交換膜としてはLiイオン交換したナフィオン膜を用い、正極電極としては4cm2のカーボンフェルトを用い、負極電極としては金属亜鉛板を用いた。次に、正極側のリザーバ容器内に、メディエータ含有電解液18mLを投入し、図示しない負極側の電解液タンク内に上記負極電解液を投入した。なお、正極側のリザーバ容器には、あらかじめ、固体活物質粒子の流出を防止するフィルターを配設し、固体活物質粒子がフロー電池内を流動しないように構成した。
【0049】
(充放電試験)
まず、上述したフロー電池を用い、正極では、メディエータ含有電解液をローラーポンプでフロー電池内に流速30mL/分で流動させ、負極では、負極電解液をローラーポンプでフロー電池内に流速30mL/分で流動させ、充放電を行った。その後、正極側のリザーバ容器内に上述した正極固体活物質粒子(LFP)2gを投入し、引き続き、充放電を行った。なお、LFP投入後も、電極組成物のうちメディエータ含有電解液のみを流動させた。
【0050】
図11に、実験例3の充放電波形を示した。正極において、LFP投入前に比べてLFP投入後では容量が大幅に増加しており、負極が金属亜鉛でも動作することが分かった。また、実験例3では亜鉛の分極が比較的大きかったが、それを低減できれば、フロー電池の放電電圧をより高めることができると推察された。
【0051】
[実験例4]
(フロー電池の作製)
実験例4では、図1のように構成されたフロー電池を作製した。正極の電極組成物において、固体活物質としてリン酸バナジウムナトリウム(Na32(PO43、以下NVPと略す。)を、メディエータとしてPVMを用いた。また、負極の電極組成物において、固体活物質としてリン酸チタン酸ナトリウム(NaTi2(PO43、以下NTPと略す)を、メディエータとしてSiWOを用いた。なお、ここで用いたNVPとしては、バナジウムアセチルアセトナト、酢酸ナトリウム、リン酸一アンモニウムを所定量混ぜ反応させた後、濃縮生成した固形分を、Ar雰囲気下940℃3時間熱処理したものを用いた。また、ここで用いたNTPは、酢酸リチウムの代わりに酢酸ナトリウムを用いた以外は、上述したLTPと同様に作製した、表面カーボン被覆したものを用いた。
【0052】
実験例4の電池は、具体的には、以下のように作製した。正極固体活物質粒子(NVP)及び負極固体活物質粒子(NTP)を、実験例1と同様にして得た。また、水酸化ナトリウム及び0.15Mリン酸バッファーにてpHを3.0に調整した、10質量%PVMの3M硝酸ナトリウム水溶液を作製し、これを正極用のメディエータ含有電解液とした。また、水酸化ナトリウムと0.15Mリン酸バッファーにてpHを3.6に調整した、10質量%SiWOの3M硝酸ナトリウム水溶液を作製し、これを負極用のメディエータ含有電解液とした。イオン交換膜としてはNaイオン交換したナフィオン膜を用いた。その他の構成は実験例1と同じとした。なお、実験例4では、負極側のリザーバ容器内に、充放電試験当初から、負極固体活物質粒子(NTP)1gを投入し、一方、正極側のリザーバ容器内には、充放電試験当初には、正極固体活物質粒子(NVP)を投入しなかった。
【0053】
(サイクリックボルタモメトリー)
正極用メディエータ含有電解液、負極用メディエータ含有電解液及びNTPについて、実験例1と同様にサイクリックボルタモメトリーを行った。実験例4の正極用メディエータ含有電解液、負極用メディエータ含有電解液、及び上述したNVP、NTPのCVを図12に示す。図12より、NVP、NTPの酸化還元標準電位は、それぞれ0.478V、−0.764Vであった。
【0054】
また、図12より、正極用メディエータ(PVM)含有電解液は、NVPの酸化還元電位(標準電位0.478V)の近くに標準電位を有するブロードな酸化還元ピーク(酸化ピーク/還元ピーク/標準電位=0.428V/0.364V/0.396V)を有することがわかった。酸化還元の標準電位は、NVPの標準電位に対する電位差が−0.08Vであり、NVPの酸化還元電位に近いことがわかった。また、図12より、メディエータ(SiWO)含有電解液は、NTPの酸化還元電位(標準電位−0.764V)の近くに標準電位を有するブロードな酸化還元ピーク(酸化ピーク/還元ピーク/標準電位=−0.768V/−0.921V/−0.804V)を有することがわかった。酸化還元の標準電位は、NTPの標準電位に対する電位差が−0.04Vであり、NTPの酸化還元電位に比較的近いことがわかった。
【0055】
(充放電試験)
まず、上述したフロー電池を用い、正極及び負極のそれぞれについてメディエータ含有電解液をローラーポンプでフロー電池内に流速30mL/分で流動させ、充放電を行った。その後、正極側のリザーバ容器内に、上述した正極固体活物質粒子(NVP)1gを投入し、引き続き、充放電を行った。
【0056】
図13に、実験例4の充放電波形を示した。NVP投入前に比して、NVP投入後には、充放電とも容量が増大することが分かった。このことから、Liイオンを用いた系だけではなく、Naイオンを用いた系でも、また、NVPを正極活物質として用いても、メディエータ含有電解液と固体活物質との酸化還元電位の電位差が小さければ、良好に動作することが分かった。
【0057】
[実験例5]
(フロー電池の作製)
混合電解液の影響を見るため、実験例5では、負極の電極組成物において、固体活物質としてLTPに代えてNTPを用い、正極及び負極の電極組成物において、3Mの硝酸リチウムに代えて6MのLi0.5Na0.5NO3を用いた以外は、実験例2と同様にフロー電池を作製した。なお、実験例5では、充放電試験当初から、負極側のリザーバ容器内に、負極固体活物質粒子(NTP)1gを投入した。
【0058】
(充放電試験)
実験例2と同様に充放電試験を行った。図14に、実験例5の充放電波形を示した。負極での作動イオンがナトリウム、正極での作動イオンがリチウムと、各極で作動イオンが異なる混合電解液を用いた場合でも、良好な動作が確認できた。
【0059】
[実験例6]
(フロー電池の作製)
実験例6では、図1のように構成されたフロー電池において、正極のリザーバ容器に固体活物質粒子の流出を防止するフィルターを配設せず、メディエータ含有電解液のみならず、固体活物質粒子も含む電極組成物がフロー電池内を流動するものを作製した。なお、ここでは、正極の固体活物質粒子として、バインダーを用いずにLFP(宝泉社製、直径5±2μm)粉末をそのまま用いた。その他の構成については、正極の電極組成物において、固体活物質としてのLFPを2gから5質量%に変更し、正極電極をカーボンフェルトに代えて多孔質ステンレスを用いた以外は、実験例5と同様にフロー電池を作製した。なお、実験例6では、充放電試験当初には、正極用メディエータ(PVM)含有電解液に代えてPVMを含まない正極用電解液(LFPスラリー)を用い、充放電試験の途中でPVMを添加して正極用メディエータ含有電解液とした。
【0060】
(充放電試験)
実験例5と同様に充放電試験を行った。図15〜17に、実験例6の充放電波形を示した。PVM無しではほとんど充放電できなかったものが、PVM添加によって大幅に容量が増加した(図15参照)。また、PVMのみでは10mAh/gの容量であったものが(図16参照)、LFPスラリーにPVMを加えたものでは、容量制限50mAh/gでも充放電できており(図17参照)、大幅に容量が増加することが分かった。これらのことから、固体活物質粒子も流動させるタイプの電解液を用いた場合にも、メディエータ添加することで容量が増大することがわかった。
【0061】
[実験例7]
実験例7では、実験例1のSiVMoのバナジウム組成の影響を検討するため、pHを変化させながら、H4+x[SiVxMo12-x40]においてx=0,1,2,3,4に変化させた化合物について、CV 評価を行った。図18〜22に、実験例7のH4+x[SiVxMo12-x40]のCVを示した。メディエータとして機能するのに必要な、0〜0.7V領域及び−0.3〜−0.9V領域の酸化還元ピークに対するpHの影響をみたところ、pH3〜pH10の弱酸から弱アルカリ領域でより再現性よく働くのは、x=2,3であることがわかった。x=0,1ではpH6以上になると全領域の酸化還元ピークが消失し、x=4では逆にpH5.5以下で−0.5V〜−0.9Vの領域での還元ピークが消失し不可逆反応が起きると推察された。但し、x=4はpH11以上の強アルカリ域では安定に働いた。以上のことから、電解液をpH3〜10の弱酸性から弱アルカリ性の広いpH領域で使用する正負極同一メディエータとしてはH4+x[SiVxMo12-x40]においてx=2,3であるものがより適していることが分かった。また、アルカリ下で安定な活物質を用いる場合には、強アルカリで安定なx=4であるものがより適していることが分かった。
【0062】
[実験例8]
実験例8では、メディエータを入れずに実験例1〜3と同様の操作を行ったが、充放電はできなかった。
【0063】
[実験例9]
実験例9では、メディエータを入れずLFPスラリーを流す実験例6の系において、LFPのスラリーの導電性が向上するようにケッチェンブラック0.75質量部を混ぜたスラリーを用いて、充放電試験を行った。この実験例では、電流を2mAと小さくしても充放電はほとんどできず、容量も0.1mAh以下と小さかった。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、エネルギー産業、例えば電池産業の分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0065】
10 フロー電池、12 ケース、14 正極室、16 負極室、18 セパレータ、20 正極集電体、22 正極メディエータ含有電解液、24 正極固体活物質粒子、26 正極電極組成物、30 正極リザーバ容器、31 フィルタ、32 正極側循環経路、34 入口、36 出口、38 正極側循環ポンプ、50 負極集電体、52 負極メディエータ含有電解液、54 負極固体活物質粒子、56 負極電極組成物、60 負極リザーバ容器、61 フィルタ、62 負極側循環経路、64 入口、66 出口、68 負極側循環ポンプ、80 回路、81 参照電極、83 電圧計、84 参照電極、86 電圧計、87 電流計、88 電圧計、89 外部入出力装置、110 フロー電池、150 負極電極、155 負極電解液。
図1
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