(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6094628
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】熱交換器
(51)【国際特許分類】
F28F 9/00 20060101AFI20170306BHJP
F28F 1/32 20060101ALI20170306BHJP
F25B 39/02 20060101ALI20170306BHJP
F28D 1/047 20060101ALI20170306BHJP
F28F 19/00 20060101ALI20170306BHJP
【FI】
F28F9/00 331
F28F1/32 W
F25B39/02 G
F25B39/02 J
F28D1/047 Z
F28F19/00 511Z
F28F1/32 Y
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-118968(P2015-118968)
(22)【出願日】2015年6月12日
(65)【公開番号】特開2017-3210(P2017-3210A)
(43)【公開日】2017年1月5日
【審査請求日】2015年12月28日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成27年3月18日に本田技研工業株式会社において本願発明の「熱交換器」を使用して工事を行った。
(73)【特許権者】
【識別番号】391007242
【氏名又は名称】三菱重工冷熱株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100163212
【弁理士】
【氏名又は名称】溝渕 良一
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100156535
【弁理士】
【氏名又は名称】堅田 多恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【弁理士】
【氏名又は名称】林 道広
(74)【代理人】
【識別番号】100201259
【弁理士】
【氏名又は名称】天坂 康種
(74)【代理人】
【識別番号】100102738
【弁理士】
【氏名又は名称】岡 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100116757
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 英雄
(74)【代理人】
【識別番号】100123216
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 祐一
(72)【発明者】
【氏名】高信 純一郎
(72)【発明者】
【氏名】松浦 寛
(72)【発明者】
【氏名】臼杵 重樹
【審査官】
庭月野 恭
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−238354(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3107032(JP,U)
【文献】
特開2001−227842(JP,A)
【文献】
米国特許第05020587(US,A)
【文献】
特公平06−012230(JP,B2)
【文献】
特開昭54−125565(JP,A)
【文献】
特開平03−075498(JP,A)
【文献】
特開2008−075885(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 1/32,9/00
F28D 1/047
F25B 39/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィン同士の間に隙間を設けて複数配設したフィン群と、該フィン群を貫通して内部に冷却媒体を流し、被冷却流体の流れ方向に複数列配設した伝熱管と、該伝熱管に接続されるヘッダと、を備える熱交換器であって、前記複数列配設した伝熱管の各列の最下段より下方に配設され、前記フィン群を貫通して内部に冷却媒体を流さない少なくとも1段の疑似管体を備えることを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
前記疑似管体は、前記伝熱管と同サイズ、同材質の管からなることを特徴とする請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記疑似管体は、内周面が開放された中空管体からなることを特徴とする請求項1または2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記疑似管体は、前記ヘッダとの間に設けられる非接続部により冷却媒体が遮断されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の熱交換器。
【請求項5】
前記疑似管体は、栓体により冷却媒体が遮断されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の熱交換器。
【請求項6】
前記疑似管体は、該疑似管体同士を接続するベント管により冷却媒体が遮断されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の熱交換器。
【請求項7】
前記疑似管体は、前記複数列配設した伝熱管の各列の最下段より下方に複数段配設されることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伝熱管の腐食による冷却媒体の漏れを防止できる熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フィン同士の間に隙間を設けて複数配設したフィン群に複数の伝熱管を貫設し、該複数の伝熱管に接続されるヘッダを介して冷却媒体を供給することにより、前記フィン間を流れる被冷却流体を冷却する熱交換器が知られている。
【0003】
たとえば、特許文献1の熱交換器においては、フィン間を流れる被冷却流体は冷却される過程で、該被冷却流体に含まれる水蒸気が凝縮してフィンに結露水となって付着する。フィンに付着した結露水はフィン上部からフィン下部へ流れ落ち、ドレン管に集められ排水される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−84047号公報(第3ページ、
図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の熱交換器にあっては、被冷却流体が流れるフィン群の前後方向は開放されているが、フィン群の上下側面は熱交換器のフレームに接触、保持されている。したがって、フィン群上部から流れる結露水はフィン群下部側面の端部から下方に排出されず、フィン群の前後方向から排出される。このため、結露水はフィン群から容易に排出できず、結露水は、フィン群の下部側のフィン間に常時滞留する状態となってしまう。
【0006】
特に、腐食性物質を含む被冷却流体を冷却する場合には、フィン群の下部側に配設された伝熱管は腐食性物質を含む結露水に常に曝され、該伝熱管は腐食により冷却媒体の漏れが発生するという問題がある。
【0007】
また、耐食性の高い材料から構成される伝熱管を使用して、熱交換器の耐食性を高めることも考えられるが、耐食性の高い材料を使用した熱交換器にあっては熱交換器のコストが上昇してしまうという問題がある。
【0008】
本発明は、耐食性の高い材料を使用することなく伝熱管の腐食による冷却媒体の漏えいを防止することができる熱交換器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明の熱交換器は、
フィン同士の間に隙間を設けて複数配設したフィン群と、該フィン群を貫通して内部に冷却媒体を流
し、被冷却流体の流れ方向に複数列配設した伝熱管と、
該伝熱管に接続されるヘッダと、を備える熱交換器であって、前記
複数列配設した伝熱管の
各列の最下段より下方に配設され、前記フィン群を貫通して内部に冷却媒体を流さない少なくとも
1段の疑似管体を備えることを特徴としている。
この特徴によれば、フィン群の下方に配設される疑似管体の周囲に結露水が滞留して疑似管体が腐食しても、疑似管体には冷却媒体が流れないので冷却媒体が漏れることがない。
【0010】
本発明の熱交換器は、
前記疑似管体は、前記伝熱管と同サイズ、同材質の管からなることを特徴としている。
この特徴によれば、伝熱管をフィン群に組立てる工程と同じ工程で、疑似管体をフィン群に組立てることができる。
【0011】
本発明の熱交換器は、
前記疑似管体は、内周面が開放された中空管体からなることを特徴としている。
この特徴によれば、疑似管体はフィンにより伝熱管につながっているので、疑似管体外周面や疑似管体部分のフィンも伝熱面として利用して伝熱効率を上げることができる。
【0012】
本発明の熱交換器は、
前記疑似管体は、前記ヘッダとの間に設けられる非接続部により冷却媒体が遮断されることを特徴としている。
この特徴によれば、疑似管体とヘッダとの間の非接続部によって、疑似管体への冷却媒体の流れが遮断されるので、腐食よる冷却媒体の漏えいを防ぐことができる。
【0013】
本発明の熱交換器は、
前記疑似管体は、栓体により冷却媒体が遮断されることを特徴としている。
この特徴によれば、栓体によって疑似管体への冷却媒体の流れが遮断されるので、腐食よる冷却媒体の漏えいを防ぐことができる。
【0014】
本発明の熱交換器は、
前記疑似管体
は、該疑似管体同士を接続するベント管により冷却媒体が遮断されることを特徴としている。
この特徴によれば、フィン群の外側に突出する部分を流れる被冷却流体の流動抵抗をほぼ均一にして、効率よく熱交換することができる。
【0015】
本発明の熱交換器は、
前記疑似管体は、前記
複数列配設した伝熱管の
各列の最下段より下方に複数段配設されることを特徴としている。
この特徴によれば、結露水の量に応じて疑似管体の段数を調整して、熱交換器の寿命を延ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】(a)は
図1の熱交換器の左側面図、(b)はA−A断面図、(c)はB−B断面図である。
【
図3】実施例2における熱交換器の正面一部断面図及び一部拡大図である。
【
図4】実施例1の変形例で、(a)は熱交換器の側面図、(b)はC−C断面図、(c)はD−D断面図である。
【
図5】実施例1のさらなる変形例で、(a)は熱交換器の側面図、(b)はE−E断面図、(c)はF−F断面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0017】
実施例1に係る熱交換器を
図1及び
図2を参照して説明する。先ず
図1の符号10は、本発明の適用された熱交換器である。
【0018】
図1及び
図2に示されるように、熱交換器10は、本発明のフィンとしてのプレートフィン11a、11a、…同士の間に隙間を設け、複数配列してなるフィン群11、該フィン群11を貫通する複数の伝熱管12、12、…、入口ヘッダ15及び出口ヘッダ16から主に構成される。
【0019】
本実施例の熱交換器は14段×6列の冷却コイルから構成され、フィン群11を構成するプレートフィン11a、11a、…も、1段あたりn=6個の孔17が上下にm=14段所定の間隔で予め加工されている。該孔17、17、…に後述する伝熱管12、12、…が挿入され、該伝熱管12、12、…は拡管されることによって、フィン群11と伝熱管12、12、…とは密着して熱接触する。また、フィン群11のフィン群上部側面11b、フィン群下部側面11cは、それぞれフレーム18のフレーム上板18a、フレーム下板18bにより覆われており、該フレーム18及びプレートフィン11a、11a、…同士の間に設けられた隙間によって、被冷却流体の流路が構成される。
【0020】
つぎに伝熱管12、12、…について説明する。説明のため、以下、
図2において、フィン群11の孔17に関し、最下段右端を孔17(1、1)、最下段左端を孔17(1、6)、最上段右端を孔17(14、1)、最上段左端を孔17(14、6)とし、下からm段目で、右からn番目の孔17(m、n)に挿入される伝熱管を伝熱管12(m、n)と記載する。また、後述するように、1段目の孔17(1、1)から孔17(1、6)、及び2段目の孔17(2、1)から孔17(2、6)に挿入される伝熱管12は冷却媒体を流さない疑似管体14として機能するため、孔17(1、1)、…、孔17(1、6)に挿入される伝熱管12を疑似管体14(1、1)、…、疑似管体14(1、6)、また、孔17(2、1)から孔17(2、6)に挿入される伝熱管を疑似管体14(2、1)、…、疑似管体14(2、6)と記す。
【0021】
図1及び
図2(a)、(c)に示されるように、伝熱管12(3、1)、…、伝熱管12(14、1)は入口ヘッダ15に接続され、また、伝熱管12(3、6)、…、伝熱管12(14、6)は出口ヘッダ16に接続され、さらに、同一段の隣接する伝熱管同士はU字状のベンド管12b、12b、…を介して接続され、伝熱コイル13として構成される。伝熱コイル13は熱交換器10の熱交換器として機能する。
【0022】
また、
図1及び
図2(b)に示されるように、入口ヘッダ15は、疑似管体14(1、1)及び疑似管体14(2、1)に接続されないため、入口ヘッダ15は3段目の伝熱管12(3、1)と接続可能な位置から上方に延設されている。同じく、出口ヘッダ16も疑似管体14(1、6)及び疑似管体14(2、6)に接続されないため、出口ヘッダ16は3段目の伝熱管12(3、6)と接続可能な位置から上方に延設されている。さらに1段目の疑似管体14(1、2)から疑似管体14(1、5)まで、及び2段目の疑似管体14(2、2)から疑似管体14(2、5)までは、ベンド管12b、12b、…によって接続されていない。
【0023】
このように構成された伝熱コイル13の冷却媒体の流れについて説明する。冷却媒体往管(図示せず)から
図1の矢印→の向きに冷却媒体は入口ヘッダ15の入口フランジ15aを介して入口ヘッダ15内に流入する。該冷却媒体は、該入口ヘッダ15に接続される伝熱管12(3、1)、…、伝熱管12(14、1)に分岐し、ベンド管12b、12b、…によって接続された各段の伝熱管を流れ、伝熱管12(3、6)、…、伝熱管12(14、6)から流出して出口ヘッダ16で合流する。該合流した冷却媒体は出口ヘッダ16の出口フランジ16aから
図1の矢印←の向きに冷却媒体復管(図示せず)へ流出する。
【0024】
一方、入口ヘッダ15は疑似管体14(1、1)及び疑似管体14(2、1)と、また出口ヘッダ16は疑似管体14(1、6)及び疑似管体14(2、6)と接続されていないので、疑似管体14(1、1)、…、疑似管体14(1、6)、及び疑似管体14(2、1)、…、疑似管体14(2、6)には冷却媒体が流れない。
【0025】
このように構成された熱交換器10の作用効果について説明する。
【0026】
フィン群11のフィン群上部側面11b、フィン群下部側面11cは、それぞれフレーム18のフレーム上板18a、フレーム下板18bにより覆われており、フィン群前面11d及びフィン群後面11eが開放されている。したがって、フィン群11の隙間を流れる被冷却流体が冷却される過程で、フィンに付着した結露水はフィン間を上部から下部へ流れ落ち、フィン群前面11dの下部及びフィン群後面11eの下部から流れ出る。したがって、フィン群11のプレートフィン11a、11a、…の表面全体から流れ落ちる結露水のほとんどは、疑似管体14が配設されるフィン群11の下部から積極的に排出される。この結果、疑似管体14(1、1)、…、疑似管体14(1、6)、及び疑似管体14(2、1)、…、疑似管体14(2、6)は腐食されやすくなるが、該疑似管体14には冷却媒体が流れないので、腐食による冷却媒体の漏れは発生しない。
【0027】
このように、フィン群11の下部にあらかじめ冷却媒体の流れない疑似管体14を設け、該疑似管体14を配設したフィン群11下部から結露水を排出するようにしたので、腐食性物質を含んだ結露水に常に曝される場合であっても、3段目以上の伝熱コイル13の伝熱管12は結露水に曝されることなく冷却媒体が漏れることがない。
【0028】
なお、フィン群11の1段目の孔17(1、1)から孔17(1、6)まで、2段目の孔17(2、1)から孔17(2、6)までに伝熱管12、12、…を配設せずに、腐食による冷却媒体の漏れを防止することが考えられる。しかし、フィン群11に伝熱管12、12、…を設けない空隙部分を拡げると、当該空隙部分を流れる被冷却流体の流動抵抗が小さくなり、この空隙部分に多くの被冷却流体が熱交換せずに流れ、冷却効率が低下しまう。これに対し、本発明の熱交換器10は、伝熱コイル13の最下段である3段目伝熱管12よりも下方に疑似管体14が設けられるので、該熱交換器10を流れる被冷却流体の流動状態をほとんど変えることなく、冷却媒体の漏れを防止できる。
【0029】
また、疑似管体14は、フィン群11を介して伝熱コイル13の伝熱管12に機械的及び熱的に接続状態にあり、伝熱コイル13の伝熱管12内の冷却媒体にも熱伝導されるため、一定の伝熱効果を有している。さらに、疑似管体14は、伝熱管12と同じ外径、内径、材質のものが使用され、フィンにより伝熱管12につながっているので、疑似管体外周面や疑似管体部分のフィンも伝熱面として使用できるので、伝熱効率を向上させることができる。なお、疑似管体14は、非接続部12c、12cによってその両端部が開放されているが、該両端部に加え、中央部に開放部を設け、疑似管体14内にも被冷却流体が流れるようにして疑似管体14の内面も伝熱面として利用してもよい。
【0030】
また、疑似管体14は耐食性の高い材料を使用することなく、伝熱管12と同じ外径、内径、材質のものを使用して腐食よる冷却媒体の漏れを防止できる。また、疑似管体14を拡管してフィン群11に固定する際にも、同じ工具を使用して、同じ工程で行うことができる。
【実施例2】
【0031】
次に、実施例2に係る熱交換器20につき、
図3を参照して説明する。実施例2の熱交換器20は、実施例1の熱交換器10と入口ヘッダ15、出口ヘッダ16の構造が異なる。なお、前記実施例に示される構成部分と同一構成部分に付いては同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0032】
熱交換器20は、フィンとしてのプレートフィン21a、21a、…同士の間に隙間を設け、複数配列してなるフィン群21、該フィン群21を貫通する複数の伝熱管22、22、…、入口ヘッダ25及び出口ヘッダ26から主に構成される。
【0033】
伝熱管22、22、…の両端は入口ヘッダ25の内側板25a、出口ヘッダ26の内側板26aを貫通して固定される。入口フランジ25bから流入した冷却媒体は、入口ヘッダ25と出口ヘッダ26との間に配設された伝熱管22、22、…を往復して、フィン群21及びび伝熱管22、22、…の周りを流れる被冷却流体と熱交換して出口フランジ25cから流出する。
【0034】
このように構成された熱交換器20においては、フィン群21の下部2段に配設される健全な伝熱管22、22、…を予め栓体29、29、…により閉塞し、冷却媒体が流れない疑似管体24として機能させる。このように構成することにより、フィン群21の下部2段に配設される伝熱管22、22、…は栓体29、29、…により冷却媒体の流れが遮断されるので、フィン群21の下部2段に配設される伝熱管22、22、…の腐食により孔が発生しても、冷却媒体の漏れを防止することができる。
【0035】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0036】
たとえば、
図4に示されるように、熱交換器30は、1段目と2段目の伝熱管12、12、…と入口ヘッダ15及び出口ヘッダ16と間に非接続部12c、12c、…を設け、1段目の疑似管体14(1、1)、…、疑似管体14(1、6)、及び2段目の疑似管体14(2、1)、…、疑似管体14(2、6)を構成してもよい。このように通常の熱交換器に非接続部12c、12c、…設けるのみで、冷却媒体の漏れを防止することができる熱交換器30とすることができる。
【0037】
また、
図5に示されるように、1段目の疑似管体14(1、1)、…、疑似管体14(1、6)同士、及び2段目の疑似管体14(2、1)、…、疑似管体14(2、6)同士をすべてベンド管12b、12b、…によって接続して、冷却媒体の流れない疑似管体14としてもよい。このように冷却媒体を流す伝熱管12、12、…、冷却媒体を流さない疑似管体14、14、…に関係なく、フィン群11の外側に突出する部分をベンド管12b、12b、…によって接続することで、フィン群11の外側に突出する部分を被冷却流体が流れるときの段方向の流動抵抗をほぼ均一にして、効率よく被冷却流体を冷却することができる。なお、
図5において、1段目の疑似管体14(1、1)、…、疑似管体14(1、6)の一部、又は2段目の疑似管体14(2、1)、…、疑似管体14(2、6)の一部をベンド管12b、12b、…によって接続して疑似管体14を構成してもよい。
【0038】
例えば、上記実施例においては、疑似管体14、24、44は伝熱管12と同じ外径、内径、材質のものを使用したが、疑似管体14、24、44として伝熱管12だけでなく、鉄、銅、亜鉛等の中実棒を使用してもよい。特にフィン群11、21の下部2段に少なくとも1本の亜鉛棒を配設することで、イオン化傾向の高い亜鉛棒が犠牲となって腐食し、冷却水を遮断する伝熱管の本数を低減しつつ腐食による冷却媒体の漏えいを防止できる。
【0039】
また、上記実施例においてはフィン群11、21の下部2段に疑似管体14、24、44を配設したが、結露水の発生量に応じて疑似配管の段数を1段または3段に変更して、結露水に曝される疑似管体14、24の段数を調整して、熱交換器の寿命を長くすることができる。
【0040】
さらに、実施例1においては、入口ヘッダ15及び出口ヘッダ16と1段目の伝熱管12及び2段目の伝熱管12との間に非接続部12c、12c、…を設けた。しかし、これに限らず、伝熱管12に換えて中実棒を使用して、該中実棒を入口ヘッダ15及び出口ヘッダ16に接続して、腐食による冷却媒体の漏えいを防止してもよい。
【符号の説明】
【0041】
10 熱交換器
11 フィン群
11a プレートフィン(フィン)
12 伝熱管
12c 非接続部
14 疑似管体
15 入口ヘッダ(ヘッダ)
16 出口ヘッダ(ヘッダ)
20 熱交換器
21 フィン群
21a プレートフィン(フィン)
22 伝熱管
24 疑似管体
25 入口ヘッダ(ヘッダ)
26 出口ヘッダ(ヘッダ)
29 栓体
30 熱交換器
40 熱交換器