特許第6094715号(P6094715)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6094715エアフィルタ濾材、フィルタパック、およびエアフィルタユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6094715
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】エアフィルタ濾材、フィルタパック、およびエアフィルタユニット
(51)【国際特許分類】
   B01D 39/16 20060101AFI20170306BHJP
   B01D 46/52 20060101ALI20170306BHJP
   D04H 3/016 20120101ALI20170306BHJP
   D04H 3/07 20120101ALI20170306BHJP
【FI】
   B01D39/16 A
   B01D39/16 E
   B01D46/52 A
   D04H3/016
   D04H3/07
【請求項の数】7
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2016-147301(P2016-147301)
(22)【出願日】2016年7月27日
(65)【公開番号】特開2017-35684(P2017-35684A)
(43)【公開日】2017年2月16日
【審査請求日】2016年7月27日
(31)【優先権主張番号】特願2015-157738(P2015-157738)
(32)【優先日】2015年8月7日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】村上 千鶴
(72)【発明者】
【氏名】原 聡
(72)【発明者】
【氏名】阪野 竜巳
【審査官】 目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−185154(JP,A)
【文献】 特開2014−184360(JP,A)
【文献】 特表2009−531554(JP,A)
【文献】 特表2009−545681(JP,A)
【文献】 特開平11−131353(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D39/00−39/20
B01D46/00−46/54
D04H1/00−18/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
充填率が5%以上15%以下であって、
厚みが0.35mm以上0.70mm以下であって、
繊維径分布における1.0μm未満と1.0μm以上にそれぞれピークを有し、
1.0μm未満の小繊維径の繊維は、平均繊維径が0.1μm以上0.8μm未満であり、
1.0μm以上の大繊維径の繊維は、平均繊維径が1.2μm以上3.0μm未満であり、
前記小繊維径の繊維と前記大繊維径の繊維の体積比(前記小繊維径の繊維:前記大繊維径の繊維)が、30:70〜80:20である、
主捕集層
を有しており、
引張伸度が10%以上である、
エアフィルタ濾材。
【請求項2】
前記小繊維径の繊維径の幾何標準偏差は、3.0以下であり、
前記大繊維径の繊維径の幾何標準偏差は、3.0以下である、
請求項1に記載のエアフィルタ濾材。
【請求項3】
エアフィルタ用濾材は、
空気を流速5.3cm/秒で通過させたときの圧力損失が30Pa以上55Pa以下であり、
粒子径0.4μmのNaCl粒子を含む空気を流速5.3cm/秒で通過させたときの前記粒子の捕集効率が75%以上であり、
個数中位径0.25μmのポリアルファオレフィン粒子を含む空気を流速5.3cm/秒で連続通風し、圧力損失が250Pa分だけ上昇したときの前記ポリアルファオレフィン粒子の保塵量が5.0g/m以上である、
請求項1または2に記載のエアフィルタ濾材。
【請求項4】
前記主捕集層が、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、およびポリエチレンからなる群より選択される一種または二種以上により構成されている、
請求項1からのいずれか1項に記載のエアフィルタ濾材。
【請求項5】
前記主捕集層は、気流を通過させる方向における下流側半分が上流側半分よりも前記小繊維径の繊維が多く存在している、
請求項1からのいずれか1項に記載のエアフィルタ濾材。
【請求項6】
請求項1からのいずれか1項に記載のエアフィルタ濾材を備え、
前記エアフィルタ濾材は、厚み方向に突出した凸部が複数形成されており、
前記エアフィルタ濾材が山折りおよび谷折りが交互に繰り返されたジグザグ形状に加工されて構成されているフィルタパック。
【請求項7】
請求項1からのいずれか1項に記載のエアフィルタ濾材または請求項に記載のフィルタパックと、
前記エアフィルタ濾材または前記フィルタパックを保持する枠体と、
を備えたエアフィルタユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアフィルタ濾材、フィルタパック、およびエアフィルタユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば、特許文献1(特開2008−049333号公報)に記載のように、ガラス繊維から構成されたガラス濾材であって、いわゆる中性能のエアフィルタ濾材が提案されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
エアフィルタ濾材は、広い濾材面積を確保するために、山折りと谷折りを交互に行うプリーツ加工によってジグザグ形状に形状加工され、枠体に保持されてエアフィルタユニットとして用いることができる。
【0004】
ここで、エアフィルタユニットに組み込まれた濾材は、隣り合う山折り部分あるいは谷折り部分の間隔(プリーツ間隔)を使用時の風圧がかかった状態においても、空気の流路を確保する観点から、できるだけ保つことが好ましい。
【0005】
これに対して、例えば、山折りまたは谷折りによって向かい合う2つの対向面のそれぞれにおいてエンボス加工によって凸部を形成し、当該凸部同士を当接させることで、プリーツ間隔を保つことが考えられる。
【0006】
ところが、このようなエンボス加工による凸部は、例えば、表面に複数の凹凸が形成された金型の対で、濾材を両側から挟み込むようプレスすることによって形成される。したがって、例えば、従来のガラス繊維から構成されたガラス濾材のように硬くてもろい材質の濾材は、エンボス加工によって膜構造が破壊され、潰れやすいため、エンボス加工を行うことが困難である。
【0007】
本発明の課題は、上述した点に鑑みてなされたものであり、エンボス加工可能な材質によって構成した場合であっても長寿命化させることが可能なエアフィルタ濾材、フィルタパック、およびエアフィルタユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1観点に係るエアフィルタ濾材は、主捕集層を有している。主捕集層は、充填率が5%以上15%以下である。主捕集層は、厚みが0.35mm以上0.70mm以下である。主捕集層は、繊維径分布における1.0μm未満と1.0μm以上にそれぞれピークを有している。主捕集層の1.0μm未満の小繊維径の繊維は、平均繊維径が0.1μm以上0.8μm未満である。主捕集層の1.0μm以上の大繊維径の繊維は、平均繊維径が1.2μm以上3.0μm未満である。小繊維径の繊維と大繊維径の繊維の体積比(小繊維径の繊維:大繊維径の繊維)が、30:70〜80:20である(境界の値を含む)。エアフィルタ濾材は、引張伸度が10%以上である。
【0009】
ここで、小繊維径の繊維と大繊維径の繊維の体積比については、主捕集層の気流の通過方向における上流側から下流側までの間の任意の位置で当該体積比の数値範囲内となるものとする。
【0010】
このエアフィルタ濾材では、引張伸度が10%以上であるため、凸部を形成させるエンボス加工を行った場合であっても、繊維の破壊が生じにくい。また、このエアフィルタ濾材の主捕集層は、充填率が5%以上15%以下であり、厚みが0.35mm以上0.70mm以下であるため、いわゆる中性能程度の捕集効率(70%以上)を達成することが可能になっている。また、このエアフィルタ濾材の主捕集層は、厚みが0.35mm以上0.70mm以下であり、十分に薄く構成されているため、山折り谷折りによるプリーツ加工を行いやすい(仮に、通気性支持材を用いた場合であっても、プリーツ加工を行いやすい)。
【0011】
以上の前提において、このエアフィルタ濾材の主捕集層は、繊維径分布において1.0μm未満のピークと1.0μm以上のピークを有しており、小繊維径と大繊維径についてそれぞれ特定の幾何平均を有するだけでなく、小繊維径の繊維と大繊維径の繊維の体積比の割合を特定のバランスとしたことで、濾材の目詰まりを生じにくくし、長寿命化させること(保塵量を増大化させること)が可能となっている。
【0012】
付記のエアフィルタ濾材は、上流捕集層と、主捕集層と、を備えている。主捕集層は、上流捕集層に対して気流の下流側に配置されている。エアフィルタ濾材の引張伸度は、10%以上である。上流捕集層の粒子径0.4μmのNaCl粒子を含む空気を流速5.3cm/秒で通過させたときの粒子の捕集効率は、5%以上50%以下である。上流捕集層の厚みは、0.15mm以上0.45mm以下である。上流捕集層の繊維径分布のピークは、1つである。上流捕集層の平均繊維径は、1.0μm以上2.0μm以下である。主捕集層の充填率は、5%以上15%以下である。主捕集層の厚みは、0.26mm以上0.56mm以下である。主捕集層は、繊維径分布における1.0μm未満と1.0μm以上にそれぞれピークを有している。主捕集層の1.0μm未満の小繊維径の繊維は、平均繊維径が0.1μm以上0.8μm未満である。主捕集層の1.0μm以上の大繊維径の繊維は、平均繊維径が1.2μm以上3.0μm以下である。小繊維径の繊維と大繊維径の繊維の体積比(小繊維径の繊維:大繊維径の繊維)が、30:70〜80:20である(境界の値を含む)。
【0013】
ここで、小繊維径の繊維と大繊維径の繊維の体積比については、主捕集層の気流の通過方向における上流側から下流側までの間の任意の位置で当該体積比の数値範囲内となるものとする。
【0014】
このエアフィルタ濾材では、引張伸度が10%以上であるため、凸部を形成させるエンボス加工を行った場合であっても、繊維の破壊が生じにくい。また、このエアフィルタ濾材では、捕集効率が5%以上50%以下であり厚みが0.15mm以上0.45mmであり平均繊維径が1.0μm以上2.0μm以下であるという特定の上流捕集層を、充填率が5%以上15%以下であり厚みが0.15mm以上0.45mm以下である主捕集層と組み合わせて用いることで、いわゆる中性能程度の捕集効率(70%以上)を達成することが可能になっている。また、このエアフィルタ濾材は、上流捕集層の厚みが0.15mm以上0.45mm以下であり、主捕集層の厚みが0.26mm以上0.56mm以下であり、十分に薄く構成されているため、山折り谷折りによるプリーツ加工を行いやすい(仮に、通気性支持材を用いた場合であっても、プリーツ加工を行いやすい)。
【0015】
以上の前提において、このエアフィルタ濾材は、繊維径分布において1.0μm未満のピークと1.0μm以上のピークを有しており、小繊維径と大繊維径についてそれぞれ特定の幾何平均を有するだけでなく、小繊維径の繊維と大繊維径の繊維の体積比の割合を特定のバランスとしたことで、濾材の目詰まりを生じにくくし、長寿命化させること(保塵量を増大化させること)が可能となっている。
【0016】
観点に係るエアフィルタ濾材は、第1観点係るエアフィルタ濾材であって、小繊維径の繊維径の幾何標準偏差は、3.0以下であり、大繊維径の繊維径の幾何標準偏差は、3.0以下である。
【0017】
このエアフィルタ濾材では、より長寿命化させることが可能となる。
【0018】
観点に係るエアフィルタ濾材は、第1観点または第2観点に係るエアフィルタ濾材であって、エアフィルタ用濾材は、空気を流速5.3cm/秒で通過させたときの圧力損失が30Pa以上55Pa以下である。また、エアフィルタ用濾材は、粒子径0.4μmのNaCl粒子を含む空気を流速5.3cm/秒で通過させたときの粒子の捕集効率が75%以上である。さらに、エアフィルタ用濾材は、個数中位径0.25μmのポリアルファオレフィン粒子を含む空気を流速5.3cm/秒で連続通風し、圧力損失が250Pa分だけ上昇したときのポリアルファオレフィン粒子の保塵量が5g/m以上である。
【0019】
このエアフィルタ濾材では、中性能のエアフィルタ濾材を長寿命化させることが可能となる。
【0020】
観点に係るエアフィルタ濾材は、第1観点から第観点のいずれかに係るエアフィルタ濾材であって、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、およびポリエチレンからなる群より選択される一種または二種以上により構成されている。
【0021】
このエアフィルタ濾材では、汎用的な材料を用いて長寿命化を図ることが可能になる。
【0022】
観点に係るエアフィルタ濾材は、第1観点から第観点のいずれかに係るエアフィルタ濾材であって、主捕集層は、気流を通過させる方向における下流側半分が上流側半分よりも小繊維径の繊維が多く存在している。
【0023】
ここで、気流を通過させる方向における下流側半分が上流側半分よりも小繊維径の繊維が多く存在するか否かは、主捕集層における上流側半分と下流側半分の任意の箇所を電子顕微鏡で見た場合に単位体積当たりに存在する小繊維径の繊維(1.0μm未満の繊維)の本数の大小により把握することができる。
【0024】
このエアフィルタ濾材では、気流の上流側における目詰まりを生じにくくすることで、更なる長寿命化を図ることができる。
【0025】
観点に係るフィルタパックは、第1観点から第観点のいずれかに係るエアフィルタ濾材を備えている。エアフィルタ濾材は、厚み方向に突出した凸部が複数形成されている。フィルタパックは、エアフィルタ濾材が山折りおよび谷折りが交互に繰り返されたジグザグ形状に加工されて構成されている。
【0026】
なお、「フィルタパック」は、特に限定されるものではないが、例えば、フラットなシート状のものではなく、山折りおよび谷折りを交互に行うことで折り畳まれたジグザグ形状であり、任意の枠体に収容可能となるように整形されているものであってよい。
【0027】
このフィルタパックは、エアフィルタ濾材において厚み方向に突出した凸部が複数形成されているため、山折りおよび谷折りが交互に繰り返されたジグザグ形状に加工された状態で、隣接する面同士の間隔を確保しやすくなっている。これにより、使用時における風圧による変形を抑制させ、性能を十分に発揮させることが可能になっている。
【0028】
観点に係るエアフィルタユニットは、第1観点から第観点のいずれかに係るエアフィルタ濾材または第7観点に係るフィルタパックと、エアフィルタ濾材またはフィルタパックを保持する枠体と、を備えている。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係るエアフィルタ濾材、フィルタパック、またはエアフィルタユニットによれば、エンボス加工可能な材質によって構成した場合であっても長寿命化させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本実施形態に係るエアフィルタ濾材の層構成を示す概略断面図である。
図2】変形例に係るエアフィルタ濾材の層構成を示す概略断面図である。
図3】本実施形態のフィルタパックの外観斜視図である。
図4】本実施形態のエアフィルタユニットの外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、一実施形態を例に挙げて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0032】
以下、エアフィルタ濾材(以降、単に濾材ともいう)、フィルタパック、エアフィルタユニット、およびエアフィルタ濾材の製造方法について、実施形態を例に挙げて説明する。
【0033】
(1)エアフィルタ濾材
図1に、本実施形態に係るエアフィルタ濾材1の概略断面図を示す。
【0034】
エアフィルタ濾材1は、気体中の塵を捕集するエアフィルタ濾材であって、主捕集層30を有している。
【0035】
エアフィルタ濾材1は、主捕集層30を自立可能に支えるために、通気性支持材10を備えていてもよい。ここで、通気性支持材10は、主捕集層30に対して気流の上流側に設けられていてもよいし、下流側に設けられていてもよい。図1に示す例では、通気性支持材10は、主捕集層30に対して気流の上流側に設けられている。また、通気性支持材10は、主捕集層30に対して気流の上流側だけでなく、気流の下流側にも設けられていてもよい。
【0036】
以下、各層および各層間の関係について具体的に説明する。
【0037】
(2)主捕集層
主捕集層30は、エアフィルタ濾材において捕集効率に最も貢献している層であり、充填率が5%以上15%以下であって、厚みが0.35mm以上0.70mm以下であって、繊維径分布における1.0μm未満と1.0μm以上にそれぞれピークを有する層である。ここで、主捕集層30の繊維径分布において、1.0μm未満の繊維径を有する繊維を小繊維径の繊維とし、1.0μm以上の繊維径を有する繊維を大繊維径の繊維とする。主捕集層30は、1.0μm未満の小繊維径の繊維について、平均繊維径が0.1μm以上0.8μm未満であり、0.3μm以上0.7μm未満であることがより好ましい。また、主捕集層30は、1.0μm以上の大繊維径の繊維について、平均繊維径が1.2μm以上3.0μm未満であり、1.3μm以上2.9μm未満であることがより好ましい。さらに、主捕集層30は、小繊維径の繊維と大繊維径の繊維の体積比(小繊維径の繊維:大繊維径の繊維)が、30:70〜80:20である(境界の値を含む)。
【0038】
主捕集層30は、充填率が5%以上15%以下であって、厚みが0.35mm以上0.70mm以下であるため、いわゆる中性能程度の捕集効率(70%以上)を達成することが可能になっている。なお、主捕集層30の充填率は、5%以上10%以下であることがより好ましい。
【0039】
主捕集層30は、厚みが0.35mm以上0.70mm以下であり、十分に薄く構成されている。このため、通気性支持材10を用いた場合であっても、エアフィルタ濾材1全体の厚みを十分に薄くすることが可能になり、山折り谷折りによるプリーツ加工を行いやすい。
【0040】
主捕集層30は、繊維径分布において1.0μm未満のピークと1.0μm以上のピークを有している。
【0041】
主捕集層30は、1.0μm未満の繊維径を有する小繊維径の繊維と、1.0μm以上の繊維径を有する大繊維径の繊維と、の両方を有しており、小繊維径の繊維の平均繊維径は0.1μm以上0.8μm未満であり十分に細いため粒子を捕捉しやすく、大繊維径の繊維の平均繊維径は1.2μm以上3.0μm未満であり十分に太いため小繊維径の繊維同士の間に介在して小繊維径の繊維の間隔を確保して粒子を捕捉しておくための空間を確保しやすいため、エアフィルタ濾材1としての目詰まりを抑制させ、保塵量を増大させることが可能になっている。
【0042】
特に、主捕集層30では、0.1μm以上0.8μm未満の平均繊維径を有する小繊維径の繊維について幾何標準偏差が3.0以下であることが好ましく、1.2μm以上3.0μm未満の平均繊維径を有する大繊維径の繊維について幾何標準偏差が3.0以下であることが好ましい。そして、このような小繊維径の繊維と大繊維径の繊維の体積比(小繊維径の繊維:大繊維径の繊維)が30:70〜80:20となっているため、小繊維径の繊維による粒子を捕捉する機能と、大繊維径の繊維による空間を確保する機能と、の両方を適度に得ることが可能となるため、中性能のエアフィルタの捕集効率を達成しつつも長寿命化(保塵量の増大化)が可能になっている。
【0043】
なお、主捕集層30は、気流の上流側から下流側に掛けて、小繊維径の繊維と大繊維径の繊維の体積比が一様となるように構成されていてもよいが、さらに寿命を長くする観点からは、「小繊維径の繊維:大繊維径の繊維」の比が30:70〜80:20である範囲内において、気流の上流側について小繊維径の繊維が粗であり気流の下流側について小繊維径の繊維が密となるように構成されていてもよい。これにより、主捕集層30の気流の上流側における目詰まりを生じにくくさせることができ(上流側での早期の目詰まりを抑制し)、大繊維径の繊維が確保した空間について気流の方向の全域にわたって十分に利用することが可能になるため、さらに寿命を長くすることが可能になる。特に限定されないが、例えば、主捕集層30の気流方向における下流側半分が上流側半分よりも小繊維径の繊維が多く存在するように構成されていてもよい。ここで、小繊維径の繊維が多く存在するか否かは、上流側半分と下流側半分の任意の複数箇所を顕微鏡で見た場合に単位体積当たりに存在する小繊維径の本数によって把握するようにしてもよい。
【0044】
主捕集層30は、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアミド(PA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、およびポリエチレン(PE)からなる群から選択される1種もしくは2種以上によって90質量%以上が構成されていてもよいし、100質量%が構成されていてもよい。これらのポリマーから主として構成された場合には、引張伸度を十分に大きく確保することができるため、エアフィルタ濾材1をエンボス加工する場合であっても、濾材構造の破壊を抑制し、エンボス加工による凸部を形成させることが可能になる。
【0045】
主捕集層30について空気を流速5.3cm/秒で通過させたときの圧力損失は、25Pa以上55Pa以下であることが好ましく、下限については30Pa以上であってもよく、上限については42Pa以下であることがより好ましい。
【0046】
また、主捕集層30について粒子径0.4μmのNaCl粒子を含む空気を流速5.3cm/秒で通過させたときの上記粒子の捕集効率が、70%以上であることが好ましく、75%以上であることがより好ましい。主捕集層30の捕集効率の上限は特に限定されないが例えば85%である。
【0047】
さらに、主捕集層30について個数中位径0.25μmのポリアルファオレフィン粒子を含む空気を流速5.3cm/秒で連続通風し、圧力損失が250Pa分だけ上昇したときの上記ポリアルファオレフィン粒子の保塵量が、5.0g/m以上であることが好ましく、6.0g/m以上であることがより好ましい。
【0048】
上記の小繊維径の繊維と大繊維径の繊維を有する主捕集層30の製造方法は、特に限定されるものではなく、例えば、公知のメルトブロー法によって製造することができる。
【0049】
メルトブロー法による不織布の製造方法の原理は、例えば、U.S NAVAL RESEARCH LABORATORY (Report No. 5265, February, 11, 1959)にも報告されており、特開昭50−46972号公報や、報文Melt Blowing-A One-Step Web Process for New Nonwoven Products (Vol 56, No. 4 April 1973, Tappi Journal誌)にも詳述されている。これによれば、一定の孔径を有するノズルがダイス先端に一定のピッチをおいて多数設置され、そこから吐出された溶融ポリマーが高温のジェット気流中で紡糸され、比較的均一な直径をもつ極細繊維からなる不織布を形成することができる。その構成繊維径は、メルトブロー法の製造条件、たとえば支配的因子として、ポリマー吐出温度、吐出量、エアー量などの変更によって、任意に変更できる。そして、その繊維径は比較的均一であり、繊維径の分布を狭くすることが可能である。なお、熱カレンダーロールによって圧密して不織布の有効径を小さくすることもできる。そして、例えば、特許第3753522号に記載されるような、特定の範囲の異なる孔径をもつノズル孔を配置したノズルピースを用いることによって、メルトブロー時の紡糸繊維径分布を変えた場合には、直径の異なる繊維が適度に混合分散した不織布をメルトブロー時において同時一体的に形成することができる。上記主捕集層30の製造においては、例えば、小繊維径の繊維を生じさせる小さな孔のノズルと、大繊維径の繊維を生じさせる大きな孔のノズルと、を用いて、ノズルからの単位時間当たりのポリマーの吐出量、ポリマーの吐出温度(ポリマーの溶融粘度と対応)、加熱された空気の吹き出し速度等を調節することにより、繊維径を調節し、特定の幾何平均、幾何標準偏差および体積比を有する不織布を得ることができる。なお、気流の上流側と下流側で粗密傾斜を設ける場合には、例えば、特許第5362561号公報に記載のように、独立した2系統のノズル(小繊維径用と大繊維径用)を用い、メルトブロー時において、小さな孔のノズルから吐出させる小繊維径の繊維の量と、大きな孔のノズルから吐出させる大繊維径の繊維の量と、の割合を変化させるようにしてもよい。
【0050】
(3)通気性支持材
通気性支持材10は、主捕集層30と共に用いられ、主捕集層30だけでは自立困難な場合であっても、エアフィルタ濾材1として自立させることが可能になる。
【0051】
通気性支持材10は、主捕集層30に対して、例えば、気流の上流側に配置することができる。
【0052】
通気性支持材10の材質及び構造は、特に限定されないが、例えば、不織布、織布、金属メッシュ、樹脂ネットなどが挙げられる。なかでも、強度、捕集性、柔軟性、作業性の点からは熱融着性を有する不織布が好ましい。不織布は、構成繊維の一部または全てが芯/鞘構造を有する不織布、低融点材料からなる繊維の層と高融点材料からなる繊維の層の2層からなる2層不織布、表面に熱融着性樹脂が塗布された不織布が好ましい。このような不織布としては、例えば、スパンボンド不織布が挙げられる。また、芯/鞘構造の不織布は、芯成分が鞘成分よりも融点が高いものが好ましい。例えば、芯/鞘の各材料の組み合わせとしては、例えば、PET/PE、高融点ポリエステル/低融点ポリエステルが挙げられる。2層不織布の低融点材料/高融点材料の組み合わせとしては、例えば、PE/PET、PP/PET、PBT/PET、低融点PET/高融点PETが挙げられる。表面に熱融着性樹脂が塗布された不織布としては、例えばPET不織布にEVA(エチレン酢酸ビニル共重合樹脂)が塗布されたもの、PET不織布にオレフィン樹脂が塗布されたものが挙げられる。
【0053】
不織布の材質は、特に限定されず、ポリオレフィン(PE、PP等)、ポリアミド、ポリエステル(PET等)、芳香族ポリアミド、またはこれらの複合材などを用いることができる。
【0054】
通気性支持材10は、加熱により通気性支持材10の一部が溶融することで、或いはホットメルト樹脂の溶融により、アンカー効果を利用して、或いは反応性接着剤等の接着を利用して、主捕集層30に接合することができる。
【0055】
通気性支持材10の目付は、例えば、50g/m以上150g/m以下あることが好ましく、50g/m以上100g/m以下あることが好ましい。
【0056】
通気性支持材10の厚みは、例えば、0.6mm以下であることが好ましく、0.5mm以下であることがより好ましく、0.2mm以上であってよい。
【0057】
通気性支持材10は、上述した主捕集層30と比較すると、圧力損失、捕集効率および保塵量のいずれも極めて低く、実質的に0とみなすこともできるものであってもよい。
【0058】
通気性支持材10の空気を流速5.3cm/秒で通過させたときの圧力損失は、例えば、10Pa以下であることが好ましく、5Pa以下であることがより好ましく、1Pa以下であることがさらに好ましい。
【0059】
通気性支持材10の粒子径0.4μmのNaCl粒子を含む空気を流速5.3cm/秒で通過させたときの粒子の捕集効率は、例えば、実質的に0あるいは略0とみなすことができるものであってもよい。
【0060】
(4)濾材全体
エアフィルタ濾材1の全体の引張伸度は、10%以上である。このエアフィルタ濾材1は、引張伸度が1%程度のガラス繊維と比較して引張伸度が大きいため、凸部を形成させるエンボス加工を行った場合であっても、繊維の破壊が生じにくい。
【0061】
エアフィルタ濾材1の全体の厚みが、例えば、1.5mm以下であることが好ましく、1.2mm以下であることがより好ましく、1.1mm以下であることがさらに好ましく、1.0mm以下であることがよりいっそう好ましく、0.3mm以上であってよい。エアフィルタ濾材1の全体としての厚みを薄く構成することにより、山折り谷折りによるプリーツ加工を行いやすい。
【0062】
なお、通気性支持材10と主捕集層30とが積層されたエアフィルタ濾材1の全体について、圧力損失および捕集効率は、実質的に、主捕集層30の圧力損失や捕集効率と等しい。これは、通気性支持材10が、圧力損失や捕集効率に実質的に寄与しないためである。
【0063】
エアフィルタ濾材1の全体について空気を流速5.3cm/秒で通過させたときの圧力損失は、30Pa以上55Pa以下であることが好ましく、下限については35Pa以上であってもよい。
【0064】
また、エアフィルタ濾材1の全体について粒子径0.4μmのNaCl粒子を含む空気を流速5.3cm/秒で通過させたときの上記粒子の捕集効率が、70%以上であることが好ましく、75%以上であることがより好ましい。エアフィルタ濾材1の全体の捕集効率の上限は特に限定されないが例えば85%である。
【0065】
エアフィルタ濾材1の全体のPF値は、12以上18以下であることが好ましく、14以上18以下であることがより好ましい。
【0066】
さらに、エアフィルタ濾材1の全体について個数中位径0.25μmのポリアルファオレフィン粒子を含む空気を流速5.3cm/秒で連続通風し、圧力損失が250Pa分だけ上昇したときの上記ポリアルファオレフィン粒子の保塵量は、一般的なガラス繊維から構成されたガラス濾材の保塵量と同程度またはそれ以上の保塵量を実現することができ、長寿命化させることができるという観点から、5.0g/m以上であることが好ましく、6.0g/m以上であることがより好ましい。特に、一般的なガラス濾材の保塵量ではなく、ガラス繊維の繊維径について幾何平均が0.5μm程度の小繊維径と幾何平均が1.1程度の大繊維径との2つの繊維径のピークを持たせたガラス濾材の保塵量と同程度の保塵量を確保できる観点から(ガラス濾材の比較例参照)、エアフィルタ濾材1の全体の保塵量が保塵量は6.6g/m以上であることがさらに好ましい。エアフィルタ濾材1の全体の保塵量の上限は特に限定されないが、例えば15.0g/mである。
【0067】
(5)変形例
図2を参照して、本実施形態のエアフィルタ濾材1の変形例について説明する。
【0068】
上記エアフィルタ濾材1では、気流の上流側から順に、任意の通気性支持材10と、主捕集層30と、を備えた2層構造の濾材の例を主として説明した。
【0069】
これに対して、例えば、図2に示すような3層構造のエアフィルタ濾材2としてもよい。
【0070】
エアフィルタ濾材2は、エアフィルタ濾材1と類似の主捕集層30と、主捕集層30よりも気流の上流側に配置された上流捕集層20と、を備えている。エアフィルタ濾材2は、上記エアフィルタ濾材1と同様に、さらに任意の通気性支持材10を備えていてもよく、通気性支持材10は、気流の最上流側、主捕集層30と上流捕集層20の間、気流の最下流側のいずれに配置されていてもよい。図2に示すエアフィルタ濾材2では、気流の最上流側に配置されている。
【0071】
エアフィルタ濾材2の主捕集層30は、厚みが0.26mm以上0.56mm以下である点で、上記エアフィルタ濾材1の主捕集層30とは異なるが、他の物性については、同様である。エアフィルタ濾材2では、主捕集層30の上流側の上流捕集層20において粒子の一部を捕捉することができるため、中性能程度の捕集効率を達成するための主捕集層30側において求められる負荷を小さくすることができ、厚みを小さくすることができている。また、エアフィルタ濾材2の主捕集層30は、上流捕集層20と積層された状態で、仮に、通気性支持材10を用いた場合であっても、山折り谷折りによるプリーツ加工を行いやすい程度に薄く形成されている。
【0072】
上流捕集層20について粒子径0.4μmのNaCl粒子を含む空気を流速5.3cm/秒で通過させたときの粒子の捕集効率は、5%以上50%以下であり、10%以上50%以下であることがより好ましい。上流捕集層20の捕集効率が低すぎると、主捕集層30の捕集負荷が高くなってしまい塵による目詰まりが早期に生じてしまう。また、上流捕集層20の捕集効率が高すぎると上流捕集層20自体の目詰まりが無視できなくなり、やはり早期に目詰まりが生じてしまう。
【0073】
上流捕集層20の厚みは、0.15mm以上0.45mmである。上流捕集層20の厚さが0.45mmを超える場合、エアフィルタユニット60の構造に起因した圧力損失(構造抵抗)が大きくなってしまう。
【0074】
上流捕集層20の平均繊維径は、1.0μm以上2.0μm以下である。平均繊維径が1.0μmより小さい場合には、捕集効率は上昇するが、繊維が密な配置となるため、上流捕集層20における圧力損失が大きく上昇してしまう。一方、平均繊維径が2.0μm以上の場合には、捕集効率を維持するために目付を大きくすると、上流捕集層20の厚さが厚くなってしまい、上流捕集層20における圧力損失が上昇してしまう。なお、この場合の上流捕集層20の目付は、例えば5g/m以上50g/m以下であることが好ましい。繊維径は、小さすぎれば繊維間隔が密になり上流捕集層20の自体の目詰まりも無視できなくなり、また大きければ単位繊維あたりの捕集効率が低下するので、上流捕集層20に必要な捕集効率を得るためには目付、厚みが大きくなってしまい構造抵抗が大きくなってしまうので好ましくない。
【0075】
上流捕集層20の繊維径の幾何標準偏差は、2.5以下であることが好ましく、2.0以下であることがより好ましい。幾何標準偏差が大きすぎると、単位繊維あたりの捕集効率が低い繊維の割合が増え、上流捕集層20に必要な捕集効率を得るためには目付、厚みを大きくする必要が出てくるためである。
【0076】
上流捕集層20の空気を流速5.3cm/秒で通過させたときの圧力損失は、10Pa以上20Pa以下であることが好ましい。
【0077】
上流捕集層20は、特に限定されないが、メルトブローン法、エレクトロスピニング法、海島法およびこれらのハイブリット法の1つにより製造された繊維材料で構成された不織布あるいは繊維層構造体であることが好ましい。ハイブリット法には、例えば、メルトスピニング法あるいはエレクトレットブローン法が含まれる。海島法は、例えば、複数の吐出口から吐出させることで繊維を構成する場合において、吐出経路によって原料に違いを設け、一部の原料によって海部分を構成させ、他の異なる原料によって島部分を構成させ、断面が海島構造となるようにする方法である。ここで、海島の二成分または複数成分のポリマーを紡糸し、後加工にて海成分を溶かすことで、島部分を残して繊維とすることができる。なお、吐出経路による原料の組み合わせにより、かさ密度やストレッチ性等を調節することが可能である。
【0078】
上流捕集層20の繊維材料の材質は、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアミド(PA)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリフッ化ビリニデン(PVdF)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリウレタン(PU)、およびこれらの混合物等が挙げられる。
【0079】
(6)用途の例
エアフィルタ濾材は、例えば次のような用途に用いられる。
【0080】
円筒カートリッジフィルタ(産業用)、フィルタ(産業用)、掃除機用フィルタ(掃除機用)、ガスタービン用カートリッジフィルタ(ガスタービン向け互換品用)、クーリングフィルタ(電子機器筐体用)等の分野;
一般空調用(ビル・商業施設・学校用等)、空気清浄機用フィルタ等の分野
(7)フィルタパック
次に、図3を参照して、本実施形態のフィルタパックについて説明する。
【0081】
図3は、本実施形態のフィルタパック40の外観斜視図である。
【0082】
フィルタパック40は、上記説明したエアフィルタ濾材(例えば、エアフィルタ濾材1やエアフィルタ濾材2等)を備えている。フィルタパック40のエアフィルタ濾材は、山折りおよび谷折りが交互に繰り返されたジグザグ形状に加工(プリーツ加工)された加工済み濾材である。プリーツ加工は、例えば、ロータリー式折り機によって行うことができる。濾材の折り幅は、特に限定されないが、例えば25mm以上280mm以下である。フィルタパック40は、プリーツ加工が施されていることで、エアフィルタユニットに用いられた場合の濾材の折り込み面積を増やすことができ、これにより、捕集効率の高いエアフィルタユニットを得ることができる。
【0083】
なお、プリーツ加工される前のエアフィルタ濾材1やエアフィルタ濾材2には、プリーツ加工された際の山折りまたは谷折りによって向かい合う2つの隣接対向面のそれぞれに突起(凸部)を形成させるためのエンボス加工が施される。なお、エンボス加工時の突起の形成は、向かい合う2つの対向面のうちの一方だけであってもよい。これにより、プリーツ加工された状態で向かい合う2つの隣接対向面の間隔を、各突起同士が当接することで、もしくは、1つの突起が他方の対向面の面に当接することで、プリーツ間隔を保つことができる。なお、エンボス加工の手法は特に限定されないが、例えば、表面に複数の凹凸が形成された金型の対で、濾材を両側から挟み込むようプレスすることで行われる。
【0084】
なお、フィルタパック40は、濾材のほか、エアフィルタユニットに用いられた場合のプリーツ間隔を保持するためのスペーサ(不図示)をさらに備えていてもよい。スペーサの材質は特に限定されないが、ホットメルト樹脂を好ましく用いることができる。
【0085】
(8)エアフィルタユニット
次に、図4を参照して、エアフィルタユニット60について説明する。
【0086】
図4は、本実施形態のエアフィルタユニット60の外観斜視図である。
【0087】
エアフィルタユニット60は、上記説明したエアフィルタ濾材またはフィルタパックと、エアフィルタ濾材またはフィルタパックを保持する枠体50と、を備えている。言い換えると、エアフィルタユニットは、濾材が枠体に保持されるように作製されてもよいし、フィルタパック40が枠体50に保持されるように作製されてもよい。図4に示すエアフィルタユニット60は、フィルタパック40と枠体50を用いて作製したものである。
【0088】
枠体50は、例えば、板材を組み合わせてあるいは樹脂を成形して作られ、フィルタパック40と枠体50の間は好ましくはシール剤によりシールされる。シール剤は、フィルタパック40と枠体50の間のリークを防ぐためのものであり、例えば、エポキシ、アクリル、ウレタン系などの樹脂製のものが用いられる。
【0089】
フィルタパック40と枠体50とを備えるエアフィルタユニット60は、平板状に延在する1つのフィルタパック40を枠体50の内側に収納するように保持させたミニプリーツ型のエアフィルタユニットであってもよく、平板状に延在するフィルタパックを複数並べて枠体に保持させたVバンク型エアフィルタユニットあるいはシングルヘッダー型エアフィルタユニットであってもよい。
【0090】
一方、濾材と枠体とを備えるエアフィルタユニットは、濾材を交互に折り返した波型形状にするとともに、交互に折り返されて形成された濾材の谷部に、例えばコルゲート加工されたセパレータが配置されたセパレータ型のエアフィルタユニットであってもよい。
【0091】
(9)エアフィルタ濾材の製造方法
次に、本実施形態のエアフィルタ濾材の製造方法について説明する。
【0092】
図1に示す2層構造のエアフィルタ濾材1における各層の積層方法は、特に限定されない。例えば、加熱による主捕集層30の一部溶融又はホットメルト樹脂の溶融によるアンカー効果を利用して、或いは反応性接着剤等を用いた接着を利用して、主捕集層30と通気性支持材10とを一体化させることができる。
【0093】
図2に示す3層構造のエアフィルタ濾材2における各層の積層方法は、特に限定されない。例えば、加熱による主捕集層30や上流捕集層20の一部溶融又はホットメルト樹脂の溶融によるアンカー効果を利用して、或いは反応性接着剤等を用いた接着を利用して、主捕集層30と上流捕集層20と通気性支持材10とを一体化させることができる。
【0094】
(10)各パラメータの定義および測定方法
以下に、各パラメータの定義および測定方法について説明する。
【0095】
(目付)
目付は、4.0cm×12.0cmの長方形にカットした試料を精密天秤にて測定した質量(g)を面積(0.0048m)で除した値とした。
【0096】
(繊維充填率)
次式に従って、濾材の繊維充填率を求めた。
【0097】
繊維充填率(%)=(濾材の目付)/(濾材の厚み)/(原料の比重)×100
(平均繊維径、および、繊維径の幾何標準偏差)
走査型電子顕微鏡(商品名:SU8020、HITACHI社製)を用いて、5000倍の倍率で撮影した電子顕微鏡写真において、任意の25μm×20μmの領域を観察し、縦横直交する直線を引いて、各直線にクロスする繊維の直径すべてを定規で測定し、縮尺換算して繊維径(nm)を求める。次に、求めた繊維径の累積頻度分布を、対数確率紙において、横軸に繊維径、縦軸に累積頻度を採って対数正規プロットし、累積頻度が50%となる値を平均繊維径(メディアン径)とした。繊維径の分布を表す幾何標準偏差は、上述の対数正規プロットの結果から、累積頻度50%の繊維径と累積頻度84%の繊維径を読み取り次の式より算出して得られる値とした。幾何標準偏差[−]=累積頻度84%繊維径/累積頻度50%繊維径
(繊維間隙間)
エアフィルタの目詰まりのし易さを示すパラメータとして繊維間隙間を次式により算出した。
【0098】
繊維間隙間(μm)=d50(√(π/4α)−1)
50=平均繊維径(μm)
α=充填率(−)
π=円周率
(圧力損失)
濾材の測定サンプルを、直内径113mm(有効濾材面積100cm)のフィルタホルダにセットし、濾材透過風速を5.3cm/秒になるよう流量計で調整した。そして、この時のサンプル濾材の上下流で生じる圧力損失をマノメータで測定した。
【0099】
(粒子径0.4μmNaCl粒子の捕集効率)
JIS B9928 附属書5(規定)NaClエアロゾルの発生方法(加圧噴霧法)記載の方法に準じて、アトマイザーで発生させたNaCl粒子を静電分級器(TSI製3071A)で0.4μmの単分散粒子に分級した後、α線放射線源であるアメリシウム241上を通過させて粒子の帯電状態を大気塵と同じ平衡帯電状態とした。圧力損失の測定と同一のフィルタホルダに測定試料である濾材をセットした後、濾材の上流側に0.4μmNaCl粒子を導入し、この粒子径0.4μmNaCl粒子を含む空気を流速5.3cm/秒で通過させたときの上下流の粒子数を凝縮粒子計数器(TSI製3022A)で測定した。捕集効率は次式で算出した。
【0100】
捕集効率(%)=(1−(CO/CI))×100
CO=下流側0.4μmNaCl粒子の粒子数
CI=上流側0.4μmNaCl粒子の粒子数
(PF値)
濾材の圧力損失及び捕集効率(粒子径0.4μmのNaCl粒子の捕集効率)とから、次式に従いPF値を求めた。PF値はエアフィルタ濾材の捕集性能の大小を示す指標として過去から使用されている値であり、性能が良いほどPF値が大きくなる。
【0101】
PF値={−log((100−捕集効率(%))/100)}/(圧力損失(Pa)/1000)
なお、100−捕集効率(%)の値は、透過率(%)として知られる値である。
【0102】
(保塵量)
JIS B9928 附属書5(規定)NaClエアロゾルの発生方法(加圧噴霧法)記載の方法に準じて、アトマイザーで発生させたNaCl粒子をα線放射線源であるアメリシウム241上を通過させて粒子の帯電状態を大気塵と同じ平衡帯電状態とした。圧力損失の測定と同一のフィルタホルダに測定試料である濾材をセットした後、濾材の上流側にNaCl粒子を導入し、フィルタの圧力損失が初期値から+250Pa上昇するまでNaCl粒子の負荷を継続した。NaCl粒子の負荷前後の濾材重量測定から次式によって保塵量を算出した。
【0103】
保塵量(g/m)=(MI−MO)/A
MO=NaCl粒子負荷前の試験濾材重量(g)
MI=NaCl粒子負荷後の試験濾材重量(g)
A=有効濾材面積(100cm=0.01m
(厚み)
ABSデジマチックインジケータ(ミツトヨ社製、ID−C112CX)をゲージスタンドに固定し、測定対象に0.3Nの荷重をかけたときの厚さの値を読み取った。
【0104】
なお、貼り合わせにより得られるエアフィルタ濾材の厚みは、通気性支持材10、主捕集層30、上流捕集層20に対して圧力が加わるため、各厚みの単純な合計にはならず、各厚みの単純な合計の85%以上100%以下の範囲、より具体的には87%以上95%以下の範囲に収まることになる。
【0105】
(引張伸度)
JIS L 1913(2010)に記載の伸び率(ISO法)の試験方法に準拠して、引張伸度を求めた。ここで、この試験方法は、ISO 9073―3を基にしている。また、装置は荷重およびつかみ間隔を自動記録できる装置の付いた定速伸長形引張試験機で、JIS B 7721に規定する精度を有するものを使用した。初めに、試料から幅が50±0.5mmで、つかみ間隔を200mmにできる長さ(例えば300mm)の試験片を試料の端から100mm以上離れた位置で、かつ、均等に離れた位置から、たて方向およびよこ方向にそれぞれ5枚採取する。次に、試験片を初荷重で引張試験機につかみ間隔を200±1mmで取り付ける。ただし、初荷重は、試験片を手でたるみが生じない程度に引っ張った状態とする。この試験片に100±10mm/minの引張速度で,試験片が切断するまで荷重を加える。試験片の最大荷重時の強さを0.1Nまで測定するとともに,最大荷重時の伸びを1mmまで測定し、この伸びから伸び率を求める。当該伸び率の平均値を、たて方向およびよこ方向のそれぞれについて求め、その平均を0.5%単位に丸めた値を、引張伸度とした。
【実施例】
【0106】
以下、実施例、比較例および参考例を示して、本発明を具体的に説明する。
【0107】
なお、実施例、比較例および参考例で示す例は、いずれもエアフィルタ濾材1についての例およびその物性を示しており、山折り谷折りされて得られるフィルタパック40やエアフィルタユニット60ではなくその物性(圧力損失)でもない。
【0108】
(実施例1、3、4、7−10、比較例1、2、4−12)
図1に示す2層構造のエアフィルタ濾材1について、表1に示す物性を備える通気性支持材10と主捕集層30とをラミネート装置を用いて熱融着により接合し、実施例1、3、4、7−10の各エアフィルタ濾材を得た。
【0109】
実施例3、4の主捕集層は、実施例1からすれば、主として小繊維径の繊維と大繊維径の繊維の体積比が変更された例である。
【0110】
実施例7の主捕集層は、実施例1からすれば、主として充填率が小さく変更された例である。
【0111】
実施例8の主捕集層は、実施例1からすれば、主として充填率が大きく変更された例である。
【0112】
実施例9の主捕集層は、実施例1からすれば、主として小繊維径の繊維の平均繊維径が大きく変更された例である。
【0113】
実施例10の主捕集層は、実施例1からすれば、主として大繊維径の繊維の平均繊維径が大きく変更された例である。
【0114】
比較例1は、大繊維径の繊維を有しておらず小繊維径の繊維のみで構成された主捕集層を用いた例である。
【0115】
比較例2は、繊維径のピークが1つだけである例であり、大繊維径と小繊維径の中間の平均繊維径を有する繊維で構成された主捕集層を用いた例である。
【0116】
比較例3は、小繊維径の繊維と大繊維径の繊維を有するガラス繊維から構成されたガラス濾材の例である。
【0117】
比較例4、5の主捕集層は、実施例1からすれば、主として小繊維径の繊維の幾何平均が変更された例である。なお、比較例4、5では、エアフィルタ濾材の全体における捕集効率として中性能程度の捕集効率が確保されるように、主捕集層の厚みが調節されている。
【0118】
比較例6の主捕集層は、実施例1からすれば、主として小繊維径の繊維の幾何平均が変更された例である。なお、比較例6では、小繊維径の繊維の幾何平均が比較例4と同様である主捕集層を用いつつ、中性能程度の捕集効率を確保するための主捕集層の厚みの調整は行わなかった(実施例1と同様とした)場合の例である。
【0119】
比較例7の主捕集層は、実施例1からすれば、主として小繊維径の繊維の幾何平均および小繊維径の繊維と大繊維径の繊維の体積比が変更された例である。
【0120】
比較例8の主捕集層は、実施例1からすれば、主として小繊維径の繊維の幾何平均および大繊維径の繊維の幾何平均がいずれも大きく変更された例である。
【0121】
比較例9の主捕集層は、実施例1からすれば、主として小繊維径の繊維の幾何平均および大繊維径の繊維の幾何平均がいずれも小さく変更された例である。
【0122】
比較例10の主捕集層は、比較例9の例に対して圧力損失を低減させるために大繊維径の繊維の体積比を増大させた例である。
【0123】
比較例11の主捕集層は、比較例10の例に対して圧力損失をさらに低減させるために充填率を下げつつ厚みも下げた例である。
【0124】
比較例12の主捕集層は、実施例1からすれば、主として充填率が小さく変更された例である。
【0125】
参考例、実施例5、6、11、比較例13)
図2に示す3層構造のエアフィルタ濾材2について、表1に示す物性を備える通気性支持材10と主捕集層30と上流捕集層20とをラミネート装置を用いて熱融着により接合し、参考例、実施例5、6、11、比較例13の各エアフィルタ濾材を得た。
【0126】
実施例5の主捕集層は、参考例からすれば、主として上流捕集層の捕集効率が小さく変更された例である。
【0127】
実施例6の主捕集層は、参考例からすれば、主として上流捕集層の捕集効率が大きく変更された例である。
【0128】
実施例11の主捕集層は、実施例5よりもさらに上流捕集層の捕集効率を小さくした例である。
【0129】
比較例13の主捕集層は、参考例からすれば、主として上流捕集層の捕集効率が大幅に大きく変更された例である。
【0130】
なお、上述の実施例、参考例および比較例において「通気性支持材」が設けられているものについては、ポリエステル100%で構成され、サーマルボンド法で得られた市販の不織布を通気性支持材として用いた。
【0131】
また、実施例、参考例および比較例において「上流捕集層」が設けられているものについては、ポリプロピレン100%で構成され、MFR800g/10分であるものを上流捕集層として用いた。
【0132】
さらに、「主捕集層」については、ポリプロピレン100%で構成されたものを用いた。主捕集層のうち小繊維径については、流動性が高いもの(MFR1800g/10分)を用いた。また、主捕集層のうち大繊維径については、流動性が低いもの(MFR800g/10分)を用いた。なお、繊維径の太さは、樹脂の吐出量、エアーの速度、エアーの温度を変えることにより調節可能である。
【0133】
なお、ポリプロピレンのMFR(メルトフローレート)は、ASTM D−1238に準拠して、温度230℃、荷重2.16kgの条件下で測定して得られる値である。
【0134】
各実施例、参考例、各比較例のエアフィルタ濾材(フィルタパックやエアフィルタユニットとする前の状態のもの)について、各エアフィルタ濾材の作製に用いられた各材の物性と合わせて、以下の表1〜表6に示す
【0135】
【表1】
【0136】
【表2】
【0137】
【表3】
【0138】
【表4】
【0139】
【表5】
【0140】
【表6】
【0141】
表から分かるように、主捕集層が小繊維径の繊維のみで構成されている比較例1や繊維径のピークが1つだけである比較例1、2では目詰まりが早期に生じ、保塵量が少ないのに対して、主捕集層において小繊維径の繊維と大繊維径の繊維を適度なバランスで設けた実施例1−11では、保塵量を大きくすることができていることが分かる。
【0142】
特に、実施例1−11、参考例では、エンボス加工が可能となるように構成した場合であっても(引張伸度が10%以上となるように構成した場合であっても)、比較例3で示す小繊維径の繊維と大繊維径の繊維とを有するガラス繊維から構成されるガラス濾材の保塵量と同程度またはそれ以上の保塵量を確保することができていることが分かる。
【0143】
実施例3、4によれば、実施例1等と比べて大繊維径と小繊維径の混合体積比率が小さい場合であっても大きい場合であっても、小繊維径の繊維:大繊維径の繊維が30:70〜80:20の範囲であれば、性能に問題が生じないことが分かる。
【0144】
実施例7、8によれば、実施例1等と比べて、主捕集層の充填率が小さい場合であっても大きい場合であっても、主捕集層の充填率が5〜15%の範囲であれば、性能に問題が生じないことが分かる。
【0145】
なお、実施例9と比較例4と比較例6を比べると、小繊維径の繊維の幾何平均の大きさが適当である場合には問題無いが、小繊維径の繊維の幾何平均が大き過ぎると、中性能程度の捕集効率を確保するために主捕集層の厚みが大きくなりすぎるか(比較例4)、または、中性能程度の捕集効率を確保できないか(比較例6)、のいずれかとなってしまうことが分かる。
【0146】
また、実施例10によれば、実施例1等と比べて、大繊維径の繊維の幾何平均が大きい場合であっても、大繊維径の繊維の幾何平均が3.0μm以下であれば、性能に問題が生じないことが分かる。
【0147】
さらに、比較例5によれば、小繊維径の繊維の幾何平均が小さ過ぎると、やはり、目詰まりが早期に生じ、保塵量が少なくなってしまうことが分かる。
【0148】
また、比較例7によれば、小繊維径の繊維の幾何平均が大き過ぎる場合には、たとえ当該小繊維径の繊維の混合体積比率が大きかったとしても、中性能程度の捕集効率を確保することができないことが分かる。
【0149】
また、比較例8によれば、小繊維径の繊維の幾何平均も大繊維径の繊維の幾何平均もいずれも大き過ぎる場合には、やはり、中性能程度の捕集効率を確保することができないことが分かる。
【0150】
また、比較例9によれば、小繊維径の繊維の幾何平均も大繊維径の繊維の幾何平均もいずれも小さ過ぎる場合には、中性能程度の捕集効率を確保できるものの、圧力損失が大きくなり過ぎてしまい、早期に目詰まりしてしまうことで、十分な保塵量を確保することができないことが分かる。
【0151】
なお、比較例10では、比較例9と比べて小繊維径の繊維の混合体積割合が低いために比較例9と比べると圧力損失を小さくすることができているが、依然として圧力損失が大き過ぎ、早期に目詰まりし、十分な保塵量を確保できていないことが分かる。
【0152】
さらに、比較例11では、比較例10と比べて主捕集層における充填率が低く、厚みも薄いために、比較例10と比べるとさらに圧力損失を小さくすることができているが、依然として十分な保塵量を確保できていないことが分かる。
【0153】
また、比較例12は、主捕集層における充填率が最も小さい場合であるが、主捕集層の厚みが十分にあるにもかかわらず、捕集効率を十分に確保できていないことが分かる。
【0154】
また、参考例によれば、集塵負荷の一部を上流捕集層に担わせつつ、主捕集層の厚みを薄めに設計した場合であっても、十分に保塵量を高めることが可能になることが分かる。
【0155】
また、実施例3、4、11によれば、参考例と比べて、上流捕集層の捕集効率が小さい場合であっても大きい場合であっても、上流捕集層の捕集効率が5〜50%の範囲内であれば、性能に問題が生じないことが分かる。
【0156】
なお、比較例13によれば、参考例と比べて、上流捕集層の捕集効率が大き過ぎる場合には、濾材全体としての圧力損失が大きくなりすぎてしまうことが分かる。
【符号の説明】
【0157】
1 エアフィルタ濾材
2 エアフィルタ濾材
10 通気性支持材
20 上流捕集層
30 主捕集層
40 フィルタパック
50 枠体
60 エアフィルタユニット
【先行技術文献】
【特許文献】
【0158】
【特許文献1】特開2008−049333号公報
図1
図2
図3
図4