(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下において、電気機器等の構成の説明の便宜上、上下左右等の方向を適宜使用する場合があるが、電気機器等の各構成の位置関係を限定するものではない。
【0013】
<1.パワーコンディショナ装置>
本実施形態においては、電力変換装置の一例として、パワーコンディショナ装置を例にとって説明する。
【0014】
図1に示すように、本実施形態のパワーコンディショナ装置1は、外郭を構成する筐体3を有する。なお、
図1では内部構造を示すために筐体3を想像線で示している。筐体3の内部には、プリント基板5(基板の一例)と、プリント基板5を支持固定するプリント基板支えブラケット7が収容されている。プリント基板5の一方側(この例では上側)の面である表面9(第1の面の一例)には、複数の電子部品が実装されている。複数の電子部品には、2つの端子台11,13(第1の電子部品の一例)と、端子台11に近接する位置(この例では後側に近接する位置)に配置されたDC側サージ抑制回路15及びAC側サージ抑制回路17等が含まれる。なお、プリント基板5の表面9には上記以外の電子部品も実装されるが、
図1では図示を省略している。
【0015】
端子台11は系統連系に関わる端子台であり、端子台13は自立運転に関わる端子台である。ここで「系統連系」とは、太陽光発電で発電した電力と商用電源とを接続することをいい、「自立運転」とは、商用電源の停電時に太陽光発電で発電した電力を使用することをいう。なお、詳細は後述するが、プリント基板5の表面9とは反対側(この例では下側)の面である裏面19(第2の面の一例)には、端子台11,13の熱を検出する複数の温度ヒューズ21(温度センサの一例)が設けられている。
【0016】
<2.太陽光発電システム>
次に、
図2を用いて、パワーコンディショナ装置1を備えた太陽光発電システム23のシステム構成の一例について説明する。
【0017】
図2に示すように、太陽光発電システム23は、太陽電池アレイ25と、接続箱27と、パワーコンディショナ装置1と、分電盤29と、電力センサユニット31とを有する。
【0018】
太陽電池アレイ25は、直流発電装置である複数の太陽電池モジュール25a,25bを有する。なお、
図2は太陽電池モジュールの数が2である場合を一例として示しているが、太陽電池モジュールの数は1でもよいし、3以上でもよい。接続箱27は、太陽電池アレイ25からの配線を2本の配線にまとめる。パワーコンディショナ装置1は、接続箱27を介して供給される太陽電池アレイ25からの直流電力を交流電力に変換する。分電盤29は、パワーコンディショナ装置1の出力側に設けられ、電力センサユニット31は、分電盤29を流れる電力を検出する。このように構成される太陽光発電システム23は、太陽電池アレイ25で発電した電力を商用電源系統33に逆潮流させることができる。
【0019】
パワーコンディショナ装置1は、端子台11と、フィルタ回路35と、DC−DCコンバータ37と、系統連系インバータ39と、フィルタ回路41と、系統連系リレー43と、DC側サージ抑制回路15と、AC側サージ抑制回路17と、温度ヒューズ21と、制御部45とを備えている。なお、
図2では自立運転に関わる構成(端子台13を含む)の図示を省略している。
【0020】
端子台11には、太陽電池アレイ25からの配線が接続されるとともに、分電盤29等への配線が接続される。フィルタ回路35は、太陽電池アレイ25から端子台11を介して供給される直流出力電力の電気的雑音を抑える。DC−DCコンバータ37は、フィルタ回路35が出力する直流出力電圧を昇圧する。系統連系インバータ39(直流電力を交流電力に変換する電子部品の一例)は、DC−DCコンバータ37からの直流出力電圧を商用電源系統33の周波数に対応した交流電力に変換する。フィルタ回路35は、系統連系インバータ39から出力される交流電力の電気的雑音を抑える。系統連系リレー43は、パワーコンディショナ装置1と商用電源系統33との接続をON/OFFする。
【0021】
DC側サージ抑制回路15は、端子台11とフィルタ回路35との間に設けられ、太陽電池アレイ25からの配線を介した雷等のサージを抑制する。AC側サージ抑制回路17は、端子台11と系統連系リレー43との間に設けられ、商用電源系統33からの配線を介した雷等のサージを抑制する。温度ヒューズ21は、プリント基板5の裏面19において端子台11,13に対応する位置に設けられ、端子台11,13の温度が所定値以上になった時に断線する。制御部45は、温度ヒューズ21の断線を検出した場合に、DC−DCコンバータ37及び系統連系インバータ39に停止信号を出力して動作を停止させ、端子台11,13の過熱保護等を図る。
【0022】
図示は省略するが、DC側サージ抑制回路15及びAC側サージ抑制回路17は、例えばバリスタ、ヒューズ、アレスタ等の電子部品(第2の電子部品の一例)を備えた回路構成とすることができる。
【0023】
<3.パワーコンディショナ装置の内部構造>
次に、
図3を用いて、パワーコンディショナ装置1の内部構造の一例について説明する。なお、
図3では端子台11,13以外のプリント基板実装部品の図示を省略している。
【0024】
図3に示すように、パワーコンディショナ装置1は、プリント基板5と、プリント基板支えブラケット7と、温度ヒューズカバー47等を内部に有する。プリント基板5は例えば略矩形状であり、温度ヒューズカバー47を間に挟んで、例えば略矩形状のプリント基板支えブラケット7の上方に載置され固定される。
【0025】
プリント基板5の表面9における端部近傍、この例では右側前方の角部近傍に、端子台11,13が配置されている。端子台11は、複数の端子、この例ではDC側の入力端子49,51、アース端子53,55、及びAC側の出力端子57,59,61を有する。入力端子49,51には、接続箱27でまとめられた太陽電池アレイ25からの直流電力を入力するための2本の配線が接続される。アース端子53,55には、2本のアース配線が接続される。出力端子57,59,61には、直流電力を変換して生成した交流電力を分電盤29へ出力するためのU相、O相及びW相の3本の配線が接続される。
【0026】
端子台13は、複数の端子、この例ではAC側の出力端子63,65を有する。出力端子63,65には、自立運転時の交流電力を非常用コンセントへ出力するための2本の配線が接続される。なお、本実施形態では、端子台11と端子台13とを別体としているが、一体としてもよい。
【0027】
端子台11,13は、配線の固定にネジが使用されない、いわゆるスクリューレス型の端子台である。これにより、例えばネジの締め込み不足や緩み等に起因した端子の発熱を防止できる。端子台11は、絶縁材料(例えば樹脂)で構成された筐体67を有しており、筐体67の前部には各端子に対応する位置にそれぞれ配線挿入用の開口69が形成されている。同様に、端子台13は、絶縁材料(例えば樹脂)で構成された筐体71を有しており、筐体71の前部には各端子に対応する位置にそれぞれ配線挿入用の開口73が形成されている。
【0028】
端子台11の各端子49,51,53,55,57,59,61は、略同一構造を有する。後述の
図7に示すように、例えば端子61は、レバー75と、板ばね77と、導電板79とを有する。レバー75は、筐体67に対して回動可能に設けられる。レバー75が下方に押し下げられると、開口69から挿入された電線85(リード線等の導体部分)は、板ばね77の弾性力により導電板79に押し付けられ、電線85と導電板79との接触状態が保持される。一方、レバー75が上方に押し上げられると、板ばね77による電線85の導電板79に対する押圧が解除され、電線85が開放される。
【0029】
導電板
79は、例えば銅などの導電性の高い金属材料から構成されている。導電板79は、その下部に複数(この例では各端子ごとに4本)の導電ピン87を一体に備える。導電ピン87は、プリント基板5を表面9から裏面19に貫通して、裏面19に形成された導体パターン89にはんだ91により電気的に接続される。このように、各端子ごとに設けられた複数の導電ピン87がプリント基板5に貫通して固定されることにより、端子台11はプリント基板5に固定される。つまり、導電ピン87は、端子台11をプリント基板5に固定する固定部材として機能すると共に、端子台11の導電板79とプリント基板5の裏面19に形成された導体パターン89とを電気的に接続する導電部材として機能する。
【0030】
なお、図示は省略するが、端子台13の各端子63,65も、上記端子61と同様の構造である。但し、本実施形態では、端子63,65の導電ピンの数は各々1本ずつとなっている(後述の
図8参照)。なお、各端子の導電ピンの数は特に限定されるものではない。
【0031】
温度ヒューズカバー47は、プリント基板5の裏面19側に配置され、複数の温度ヒューズ21を保持する。温度ヒューズカバー47は、絶縁材料(例えば樹脂)で構成され、端子台11,13の表面9上での設置面積に略対応する大きさの例えば矩形板状に形成されている。温度ヒューズカバー47は、プリント基板支えブラケット7のカバー設置領域93に、プリント基板5に取り付けられる面である(プリント基板5の裏面19に対向する面である)基板取付面47aが上側となるように取り付けられる。カバー設置領域93は、プリント基板支えブラケット7のベース板95における端子台11,13に対応する位置に、温度ヒューズカバー47等の形状に応じた凹部として形成されている。
【0032】
プリント基板支えブラケット7は、例えば略矩形状のベース板95と、ベース板95の周囲を囲む壁部97とを有する。ベース板95の四隅には、ボス99が設けられている。これらボス99のねじ穴に、プリント基板5の四隅の対応する位置に形成された穴部5aに挿通された図示しないねじがねじ込まれることで、プリント基板5がプリント基板支えブラケット7に取り付けられる。また、ベース板95には、カバー設置領域93以外の領域に、ガイドポスト101と、複数の支持突起103が設けられている。ガイドポスト101は、プリント基板5に設けられた図示しない穴部を貫通することで、プリント基板5を位置決めする。複数の支持突起103は、プリント基板5の裏面19に接触することで、ベース板95とプリント基板5との間に温度ヒューズカバー47の設置スペースを確保しつつプリント基板5を支持する。
【0033】
また、プリント基板支えブラケット7は、温度ヒューズ21用のコネクタ123を保持するホルダ104を右端部に備える。
図1に示すように、コネクタ123の弾性片123aが弾性変形しつつホルダ104に係合することにより、コネクタ123はホルダ104に対して下方から容易に着脱することが可能である。
【0034】
<4.温度ヒューズカバーの詳細構造>
次に、
図4乃至
図6を用いて、温度ヒューズカバー47の詳細構造の一例について説明する。
【0035】
図4乃至
図6に示すように、温度ヒューズカバー47は、前端部に前方に向かって突出した複数(この例では2つ)の突片105を備えると共に、基板取付面47aとは反対側の面である(プリント基板支えブラケット7のベース板95に対向する面である)反対面47bの後部に下方に向かって突出した複数(この例では3つ)の突片107を備える。温度ヒューズカバー47は、突片105がプリント基板支えブラケット7のカバー設置領域93の前端部に形成された係合孔109に挿入され、突片107がカバー設置領域93の後部に形成された係合孔111に挿入されることにより、プリント基板支えブラケット7に取り付けられる。
【0036】
温度ヒューズカバー47は、複数(この例では4つ)の温度ヒューズ21を保持している。各温度ヒューズ21は、温度ヒューズカバー20の後部に左右方向に沿って配置される。温度ヒューズ21は、感温部113と、感温部113から導出された2本のリード線115とを有し、感温部113が扁平な矩形状に形成されたいわゆるラジアルタイプの温度センサである。なお、ラジアルタイプ以外の温度ヒューズ(例えばアキシャルタイプ等)を使用してもよい。
【0037】
図4に示すように、温度ヒューズカバー47は、各温度ヒューズ21の感温部113を上方側、すなわちプリント基板5の裏面19側に露出させつつ、4つの温度ヒューズ21を保持する。感温部113の上面は温度ヒューズカバー47の基板取付面47aから若干量突出しており、プリント基板5の導体パターン89との接触の確実性を向上させている。
【0038】
4つの温度ヒューズ21のうち、最も左側に位置する温度ヒューズ21Aは、入力端子49,51に対応する位置に配置されている。温度ヒューズ21Aの右側に位置する温度ヒューズ21Bは、出力端子57,59に対応する位置に配置されている。温度ヒューズ21Bの右側に位置する温度ヒューズ21Cは、出力端子59,61に対応する位置に配置されている。4つの温度ヒューズ21のうち最も右側に前後方向に対して斜めに配置された温度ヒューズ21Dは、出力端子63,65に対応する位置に配置されている。なお、本実施形態において各温度ヒューズ21A〜21Dを区別しない場合には、単に「温度ヒューズ21」と称する。
【0039】
温度ヒューズカバー47の後部には、基板取付面47a側から見て凹んだ形状且つ反対面47b側から見て突出した形状である複数(この例では4つ)の収容部117(第1位置決め部の一例)が形成されている。各収容部117は、温度ヒューズ21の各々の感温部113をプリント基板5の裏面19側に露出させつつ収容し、所定の位置にそれぞれ位置決めする。また
図6に示すように、各収容部117の前側に隣接する位置には、温度ヒューズカバー47を貫通する導出穴119が形成されており、温度ヒューズ21の2本のリード線115は導出穴119から温度ヒューズカバー47の反対面47b側に導かれる(後述の
図7も参照)。
【0040】
図4に示すように、温度ヒューズカバー47の基板取付面47aの各端子に対応する位置には、複数の凹部120a,120bが形成されている。凹部120aは端子台11の導電ピン87に対応した位置に形成されており、凹部120bは端子台13の導電ピン87に対応した位置に形成されている。これら凹部120a,120bにより、後述の
図7に示すように、プリント基板5の裏面19から突出する複数の導電ピン87及びはんだ91と温度ヒューズカバー47との接触を回避しつつ、各温度ヒューズ21の感温部113を裏面19に接触させることができる。
【0041】
図6に示すように、4つの温度ヒューズ21A〜21Dは、隣り合う温度ヒューズ21の片方のリード線115同士が接続されることで直列に接続されており、両端の温度ヒューズ21A,21Dの片方のリード線115がそれぞれコネクタリード線121a,121bを介してコネクタ123に接続される。リード線115同士は接続部125により接続される。接続部125では、例えば被覆から剥き出した導体同士を同一方向に突出させて重ね合わせてスリーブ等を用いたかしめで結合されるか、例えば被覆から剥き出した導体同士を対向方向に突出させて重ね合わせてスリーブ等を用いたかしめで結合される。
【0042】
図5及び
図6に示すように、温度ヒューズカバー47の反対面47bには、例えば略L字状の複数のフック部127(第3の位置決め部の一例)が形成されている。各フック部127は、対応する温度ヒューズ21の各々のリード線115を内側に引っ掛けて保持することにより、リード線115の配線経路を所定の位置にそれぞれ位置決めする。また、反対面47bには、例えば略四角形状の枠の一部を構成する複数の保持枠129(第2の位置決め部の一例)が形成されている。各保持枠129は、対応する接続部125を内側に収容して保持することにより、接続部125をプリント基板5の裏面19側を被覆しつつ所定の位置にそれぞれ位置決めする。これらフック部127及び保持枠129は、温度ヒューズカバー47と一体成形されてもよいし、別体として設けてもよい。
【0043】
<5.熱伝導部材>
次に、
図7及び
図8を用いて、端子台11,13と温度ヒューズ21との間に配置された熱伝導部材の構成の一例について説明する。
図7は、端子台11の右側の端面部分においてプリント基板5、プリント基板支えブラケット7及び温度ヒューズカバー47等を切断した断面図である。また、
図8は、プリント基板5の裏面19に形成された導体パターン89と温度ヒューズ21との位置の対応関係を表す説明図である。
【0044】
図7に示すように、端子台11の端子61の導電板79は、その下部に複数(この例では4本)の導電ピン87を一体に備えており、これらの導電ピン87は、プリント基板5を貫通して裏面19に形成された導体パターン89にはんだ91により電気的に接続されている。そして、各温度ヒューズ21の感温部113は、導体パターン89に接触するように配置されている。一般に、導電ピン87や導体パターン89は導電性の高い金属材料(例えば銅)で構成され、はんだ91も例えばスズを主成分とする合金で構成されるので、熱伝導率が高い。このため、例えば端子61において電線85の被覆材の噛み込み等に起因して導電板79が発熱した場合には、導電ピン87、はんだ91及び導体パターン89が熱伝導部材となって、その熱が温度ヒューズ21Cの感温部113に効率良く伝熱される。端子台11の他の端子49,51,53,55,57,59や、端子台13の端子63,65についても同様である。
【0045】
つまり、プリント基板5において、温度ヒューズ21は端子台11,13が実装される表面9とは反対側である裏面19に配置されるので、端子台11,13から物理的には遠い位置に配置されるが、導電ピン87、はんだ91及び導体パターン89を含む熱伝導部材により効率良く伝熱できるので、温度ヒューズ21は端子台11,13の各端子に熱的には近い位置に配置されている、と言うことができる。
【0046】
なお、はんだ91及び導体パターン89が、第1の電子部品と温度センサとの間に配置された第1の熱伝導部材の一例であり、導電ピン87が、プリント基板を貫通して裏面ではんだにより固定される第2の熱伝導部材の一例である。
【0047】
前述のように、温度ヒューズ21は、プリント基板5の裏面19において端子台11,13に対応する位置に配置されている。ここで、「対応する位置」の定義について説明する。ある電子部品がプリント基板の第1の面に配置されている場合に、上記第1の面とは反対側の面を第2の面というとき、上記電子部品に「対応する位置」とは、上記第1の面における上記電子部品の配置領域に対応する第2の面の領域の範囲内の位置である。より詳細には、例えば、上記電子部品に「対応する位置」とは、上記第1の面または上記第2の面に平行な方向において上記電子部品の配置領域に重複する領域を含む、上記第2の面の領域の範囲内の位置である。本実施形態において、端子台に対応する位置は、
図8に示すように、表面9における端子台11,13の配置領域に対応する裏面19の領域の範囲内の位置である。より詳細には、例えば、端子台に対応する位置は、表面9または裏面19に平行な方向において端子台11,13の配置領域に重複する領域を含む、裏面19の領域の範囲内の位置である。
【0048】
温度ヒューズ21A,21B,21C,21Dは、端子台11,13の各端子の種別ごとに対応する位置にそれぞれ配置されている。すなわち、温度ヒューズ21AはDC側の入力端子49,51に対応する位置、温度ヒューズ21BはAC側の出力端子57,59に対応する位置、温度ヒューズ21CはAC側の出力端子59,61に対応する位置、温度ヒューズ21Dは自立運転に係るAC側の出力端子63,65に対応する位置にそれぞれ配置されている。
【0049】
具体的には、温度ヒューズ21Aの感温部113は、入力端子49と電気的に接続される導体パターン89と、入力端子51と電気的に接続される導体パターン89の両方に接触するように、それらに跨って配置されている。これにより、温度ヒューズ21Aは入力端子49,51の熱をそれぞれ検出できる。また、温度ヒューズ21Bの感温部113は、出力端子57と電気的に接続される導体パターン89と、出力端子59と電気的に接続される導体パターン89の両方に接触するように、それらに跨って配置されている。これにより、温度ヒューズ21Bは出力端子57,59の熱をそれぞれ検出できる。また、温度ヒューズ21Cの感温部113は、出力端子59と電気的に接続される導体パターン89と、出力端子61と電気的に接続される導体パターン89の両方に接触するように、それらに跨って配置されている。これにより、温度ヒューズ21Cは出力端子59,61の熱をそれぞれ検出できる。同様に、温度ヒューズ21Dの感温部113は、出力端子63と電気的に接続される導体パターン89と、出力端子65と電気的に接続される導体パターン89の両方に接触するように、それらに跨って配置される。これにより、温度ヒューズ21Dは出力端子63,65の熱をそれぞれ検出できる。
【0050】
なお、温度ヒューズ21の配置態様は上記に限定されるものではない。例えば、上記ではアース端子53,55に電気的に接続される導体パターン89上には温度ヒューズ21は配置されていないが、アース端子に対しても温度ヒューズ21を配置してもよい。また、上記では1つの温度ヒューズ21が複数の端子に対応するように配置されているが、温度ヒューズ21を各端子ごとに配置してもよい。
【0051】
<6.パワーコンディショナ装置の製造方法>
上記構成であるパワーコンディショナ装置1は、概略次のようにして組み立てられる。まず、上記端子台11,13の熱を検出する複数の温度ヒューズ21が、温度ヒューズカバー47に取り付けられる。具体的には、
図6に示すように、複数の温度ヒューズ21が互いに直列に接続されると共に、コネクタ123とも接続される。その後、各温度ヒューズ21の感温部113が、温度ヒューズカバー47の反対面47b側から収容部117にそれぞれ挿入されて、プリント基板5の裏面19側に露出される。また、各リード線115がフック部127にそれぞれ引っ掛けられると共に、各接続部125が保持枠129にそれぞれ保持される。
【0052】
次に、複数の温度ヒューズ21の各々がプリント基板5の裏面19において複数の端子の各々に対応する位置にそれぞれ配置されるように、温度ヒューズカバー47がプリント基板5の裏面19側に配置される。具体的には、上記のようにして温度ヒューズ21が取り付けられた温度ヒューズカバー47が、プリント基板支えブラケット7のカバー設置領域93に基板取付面47aが上側となるように取り付けられる。このとき、コネクタ123がホルダ104に装着される。その後、温度ヒューズカバー47を間に挟むように、プリント基板5が表面9が上側となるようにプリント基板支えブラケット7上に取り付けられる。なお、プリント基板5の表面9には端子台11,13を含む複数の電子部品が予め実装されている。
【0053】
その後、組み上げられたプリント基板支えブラケット7、温度ヒューズカバー47及びプリント基板5等が筐体3に収容されて、パワーコンディショナ装置1が製造される。
【0054】
<7.実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態のパワーコンディショナ装置1は、プリント基板5と、プリント基板5の表面9に配置された端子台11,13と、プリント基板5の表面9とは反対側の面である裏面19に配置され、端子台11,13の熱を検出する温度ヒューズ21とを有する。ここで、仮にプリント基板の表面に端子台と温度ヒューズの両方を配置する構成の場合、表面におけるその他の部品の配置が制約を受ける可能性があり、基板の設計の自由度が低下するという課題がある。また、温度ヒューズと、導体パターンあるいはその他の部品との絶縁距離を確保するため、基板の設計の自由度が低下するという課題がある。さらに、温度ヒューズが端子台から離れることにより、熱検出精度が下がる課題がある。本実施形態では、温度ヒューズ21が裏面19側に配置されるので、上記課題が解決され、温度ヒューズ21が表面9の電子部品配置へ及ぼす影響を低減でき、プリント基板5の設計の自由度を向上できると共に、熱検出精度を上げることができる。
【0055】
また、本実施形態では特に、端子台11,13と温度ヒューズ21との間に、はんだ91及び導体パターン89が配置される。これにより、次の効果を奏する。
【0056】
すなわち、はんだ91及び導体パターン89により、表面9に配置された端子台11,13の熱を裏面19に配置された温度ヒューズ21に効率よく伝熱させることができる。つまり、熱伝導部材として機能するはんだ91及び導体パターン89によって温度ヒューズ21を端子台11,13に熱的に近い位置に配置することができる。その結果、温度ヒューズ21による検出精度(感熱精度)を向上できるので、過熱保護等の機能の確実性を向上できる。
【0057】
また、本実施形態では特に、温度ヒューズ21が、プリント基板5の裏面19において導体パターン89上に配置されている。これにより、次の効果を奏する。
【0058】
すなわち、一般にプリント基板5に形成される導体パターン89は熱伝導率の高い銅等により形成されるので、導体パターン89を熱伝導部材として利用することにより、別途熱伝導部材を設ける必要がなくなり、部品数やコストの増大を抑えつつ良好な熱伝導性を確保できる。また、導体パターン89は裏面19において所定の面積を有する平面状に形成されるので、熱伝導部材と温度ヒューズ21との間の伝熱面積を拡大できる。また、温度ヒューズ21の配置の自由度を向上できる効果もある。
【0059】
また、本実施形態では特に、温度ヒューズ21は、プリント基板5の裏面19において端子台11,13に対応する位置に配置されている。これにより、端子台11,13と温度ヒューズ21との物理的な距離を小さくできるので、熱抵抗を低減でき、温度ヒューズ21による検出精度(感熱精度)をより向上できる。
【0060】
また、本実施形態では特に、端子台11,13は、プリント基板5を貫通して裏面19ではんだ91により固定される導電ピン87を有する。導電ピン87は導電材料で構成されるので、熱伝導率も比較的高い。このため、導電ピン87を熱伝導部材として利用することにより、別途熱伝導部材を設ける必要がなくなり、部品数やコストの増大を抑えつつ良好な熱伝導性を確保できる。
【0061】
また、本実施形態では特に、端子台11,13をプリント基板5に固定する固定部材としての導電ピン87を熱伝導部材として利用する。これにより、固定部材と熱伝導部材とを兼用できるので、部品数やコストの増大を抑えつつ良好な熱伝導性を確保できる。
【0062】
また、本実施形態では特に、端子台11,13とプリント基板5の裏面19に形成された導体パターン89とを電気的に接続する導電部材としての導電ピン87を熱伝導部材として利用する。これにより、導電部材と熱伝導部材とを兼用できるので、部品数やコストの増大を抑えつつ良好な熱伝導性を確保できる。
【0063】
また、本実施形態では特に、はんだ91及び導体パターン89が金属材料で構成されている。一般に金属材料は熱伝導率が高いので、温度ヒューズ21による検出精度(感熱精度)をより向上できる。
【0064】
また、本実施形態では特に、温度ヒューズ21で熱を検出する検出対象となる電子部品が複数の端子を備えた端子台11,13であり、温度ヒューズ21は、裏面19において端子に対応する位置に配置されている。これにより、次の効果を奏する。
【0065】
すなわち、一般に端子台においては、例えばネジ式端子台ではネジの締め込み不足や緩み等に起因して、また例えばスクリューレス端子台では電線の被覆の噛み込み等に起因して、端子が発熱する場合があり、端子が所定温度以上となった場合にパワーコンディショナ装置の動作を停止する等により、端子台の過熱保護が図られる。このとき、例えば温度ヒューズ等の温度センサを内蔵した端子台を用いる場合には、各パワーコンディショナ装置に対応した専用品の端子台を使用することとなり、コストが増大する。また、端子台はそのパワーコンディショナ装置の専用品となるので、部品の汎用性も低い。
【0066】
本実施形態では、温度ヒューズ21を端子台11,13に対して外付けするので、端子台11,13には汎用品を用いることが可能となり、コストを低減できる。また、外付けの温度ヒューズ21を異なる端子台間で使い回すことが可能となるので、部品の汎用性を向上できる。
【0067】
他方、例えば温度ヒューズを端子台の表面に取り付ける等によって外付けする構成も考えられるが、この場合にはその配置スペースによりプリント基板の表面の電子部品配置が制約を受ける可能性がある。また、表面に例えばノイズ源となるインバータ回路等の電子部品(スイッチング素子等)が配置される場合には、温度ヒューズの検出信号がそのノイズの影響を受ける可能性がある。
【0068】
本実施形態では、温度ヒューズ21がプリント基板5の裏面19に配置されるので、上述のようにプリント基板5の設計の自由度を向上できると共に、温度ヒューズ21を系統連系インバータ39等のノイズ源となる電子部品から物理的に遠ざけることができるので、検出信号へのノイズの影響を低減できる。
【0069】
また、本実施形態では特に、端子台11,13の熱を検出する温度センサが感温部113を備えた温度ヒューズ21であり、感温部113は裏面19において端子に対応する位置に配置されている。これにより、次の効果を奏する。
【0070】
すなわち、端子台11,13の熱を検出する温度センサとしては、例えば温度ヒューズやサーミスタ等が考えられる。仮にサーミスタを用いる場合、検出箇所が複数の場合にはそれぞれを並列な回路として個別に抵抗値を検出することとなり、回路構成が複雑となる。
【0071】
本実施形態では温度センサとして温度ヒューズ21を用いるので、検出箇所が複数の場合でも、複数の温度ヒューズ21を直列に接続して導通が遮断されたか否かを検出すればよく、回路構成を簡素化できる。
【0072】
また、例えば温度ヒューズを内蔵した端子台を用いる場合、端子台をプリント基板5にはんだ付けする際の熱により内蔵した温度ヒューズが切れる可能性があるが、本実施形態では端子台11,13をプリント基板5に固定した後に温度ヒューズ21を取り付けることができるので、端子台11,13の取り付け時の熱により温度ヒューズ21が切れるのを防止できる。
【0073】
また、本実施形態では特に、パワーコンディショナ装置1は、プリント基板5の裏面19に配置され、複数の温度ヒューズ21を保持する、絶縁材料で構成された温度ヒューズカバー47を有し、温度ヒューズカバー47は、温度ヒューズ21の感温部113を裏面19側に露出させ、複数の温度ヒューズ21のリード線115同士が接続される接続部125の裏面19側を被覆するように、複数の温度ヒューズ21を保持する。これにより、次の効果を奏する。
【0074】
すなわち、温度ヒューズ21を含む制御系統の電気回路は、端子台11,13を含む電源系統の電気回路から絶縁する必要がある。特に、温度ヒューズ21のリード線115同士が接続される接続部125では導体が被覆から露出されるので、導電ピン87やはんだ91が設置され導体パターン89等が形成される裏面19との間で絶縁を確保するのが好ましい。
【0075】
温度ヒューズカバー47は、温度ヒューズ21の感温部113を裏面19側に露出させる一方で、リード線115の接続部125についてはその裏面19側を被覆する。これにより、感温部113による熱の検出機能を確保しつつ、接続部125と裏面19との絶縁を確保することができる。したがって、パワーコンディショナ装置1の信頼性を向上できる。
【0076】
また、端子台11,13の種類に応じて温度ヒューズカバー47を用意すれば、汎用の温度ヒューズ21を異なる端子台間で使い回すことができる。温度ヒューズカバー47は温度ヒューズ内蔵型端子台に比べて大幅に安価となるので、各パワーコンディショナ装置1に対応した専用の温度ヒューズ内蔵型端子台を用いる場合に比べて、コストを大幅に低減できる。
【0077】
また、本実施形態では特に、温度ヒューズカバー47は、複数の温度ヒューズ21の各々の感温部113を所定の位置にそれぞれ位置決めする複数の収容部117と、複数の接続部125を裏面19側を被覆しつつ所定の位置にそれぞれ位置決めする複数の保持枠129と、複数の温度ヒューズ21の各々のリード線115の配線経路を所定の位置にそれぞれ位置決めする複数のフック部127とを有する。
【0078】
これにより、各温度ヒューズ21の感温部113や接続部125、リード線115の配線経路を所定の位置に位置決めすることができる。これにより、感温部113による検出精度や絶縁の信頼性、各温度ヒューズ21の保持の確実性を向上できる。
【0079】
また、本実施形態では特に、パワーコンディショナ装置1は、プリント基板5の表面9において、端子台11に近接して配置されたDC側サージ抑制回路15及びAC側サージ抑制回路17を構成するバリスタ、ヒューズ、アレスタ等の電子部品を有する。これにより、次の効果を奏する。
【0080】
すなわち、例えば落雷等により発生するサージ(過電流や過電圧)を抑制するサージ抑制回路は、パワーコンディショナ装置1の内部の回路保護の観点から、サージが外部から入力される端子台11の近傍に配置されるのが好ましい。
【0081】
本実施形態では、前述のように温度ヒューズ21を裏面19側に配置することによりプリント基板5の設計の自由度を向上できることから、サージ抑制回路15,17を構成する電子部品を端子台11に近接して配置することが可能である。これにより、サージの抑制効果を高めることができる。
【0082】
また、前述したように、本実施形態のパワーコンディショナ装置1は、端子台11,13の熱を検出する複数の温度ヒューズ21を温度ヒューズカバー47に取り付け、当該温度ヒューズカバー47をプリント基板5の裏面19側に配置することにより製造される。
【0083】
本実施形態によれば、温度ヒューズカバー47をプリント基板5に対して着脱することで、複数の温度ヒューズ21を一度に着脱することができるので、温度ヒューズ21の取り付け及び取り外しの作業性を向上できる。
【0084】
<8.変形例>
なお、開示の実施形態は、上記に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を説明する。
【0085】
(8−1.プリント基板支えブラケットを使用しない場合)
上記実施形態では、プリント基板5を支持するプリント基板支えブラケット7に温度ヒューズ21を設置した温度ヒューズカバー47を取り付けることで、プリント基板5の裏面19側に温度ヒューズ21を配置したが、プリント基板支えブラケット7を使用せずに、温度ヒューズカバーをプリント基板5の裏面19側に直接固定してもよい。本変形例の一例を
図9に示す。
図9において、前述の
図3等と同様の構成については同一の符号を付して適宜説明を省略する。
【0086】
図9に示すように、本変形例の温度ヒューズカバー131は、表面131aの四隅に立設された連結具133を有する。連結具133は、
図9中の拡大図に示すように、例えば円柱135の上端に円錐台状の係合突起137を有する中実の柱体である。連結具133は、係合突起137の上端から円柱135の上部にかけて切欠き状の溝139が形成されており、溝139によって係合突起137に弾性が付与されている。
【0087】
本変形例では、温度ヒューズカバー131がプリント基板5の裏面19側に直接取り付けられることにより、温度ヒューズ21がプリント基板5の裏面19側に配置される。具体的には、温度ヒューズカバー131の四隅の連結具133が、プリント基板5の端子台11,13の設置領域の四隅に形成された貫通穴141に裏面19側から挿入される。このとき、連結具133は、係合突起137が弾性変形することにより貫通穴141を通過し、係合突起137の下面143がプリント基板5の貫通穴141の周囲の表面9に係合することで、プリント基板5に連結される。これにより、温度ヒューズカバー131に設置した温度ヒューズ21をプリント基板5の裏面19において端子台11,13に対応する位置に配置することができる。温度ヒューズカバー131が取り付けられたプリント基板5は、パワーコンディショナ装置1の筐体3内に設けられた適宜の支持部材により支持される。
【0088】
温度ヒューズカバー131の上記以外の構成は、前述の温度ヒューズカバー47と同様である。
【0089】
本変形例によれば、プリント基板支えブラケット7が不要となるので、パワーコンディショナ装置1をよりコンパクトにすることができる。
【0090】
(8−2.その他)
以上では、温度ヒューズにより熱を検出する電子部品が端子台である場合を一例として示したが、検出対象となる電子部品はこれに限定されるものではない。例えば、コンデンサ、スイッチング素子、リアクトル、CPU等、発熱する電子部品であれば何でもよい。特に、リレー(系統連系リレー43等)やコネクタ等の、接続不良等の原因により予知されない発熱が突発的に生じる電子部品の場合に有効である。
【0091】
また以上では、電子部品の熱を検出する温度センサとして温度ヒューズを用いる場合を一例として示したが、温度ヒューズ以外の温度センサ(例えばサーミスタ等)を使用してもよい。
【0092】
また以上では、電力変換装置がパワーコンディショナ装置である場合を一例として示したが、これに限定されるものではない。例えば、インバータ装置やコンバータ装置等の他の電力変換装置でもよく、さらには、モータやロボット等を制御する制御装置等、電子部品が配置されたプリント基板を備えた電気機器であればよい。
【0093】
なお、以上の説明において、「垂直」「平行」「平面」等の記載がある場合には、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「垂直」「平行」「平面」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に垂直」「実質的に平行」「実質的に平面」という意味である。
【0094】
また、以上の説明において、外観上の寸法や大きさが「同一」「等しい」「異なる」等の記載がある場合は、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「同一」「等しい」「異なる」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に同一」「実質的に等しい」「実質的に異なる」という意味である。
【0095】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0096】
その他、一々例示はしないが、上記実施形態や各変形例は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。