(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
3,5−ジメチル−1−アダマンタンアミン(以下「メマンチン」とも記す。)は、N−メチル−D−アスパラギン酸(以下「NMDA」とも記す。)拮抗剤であり、アルツハイマー型認知症治療剤として使用されている。本剤は、NMDA受容体に対する低親和性の反競合性電気依存性拮抗剤として作用する。具体的には、本剤は、生理学的な神経興奮により生じる一過性の高濃度グルタミン酸に対してはNMDA受容体から遊離し、正常な神経伝達や長期増強(LTP)形成に影響しないが、持続的な低濃度のグルタミン酸刺激に対しては、その神経興奮毒性に保護的に作用する。また、本剤は、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤とは別の作用機序を持つことから、ドネペジルとの併用も可能である。そのため本剤はアルツハイマー型認知症治療の幅を広げる可能性がある。
【0003】
本剤を合成する方法としては、例えば、以下のとおり様々な方法が提案されている。
【0004】
非特許文献1は3,5−ジメチル−1−アダマンタノールをアセトニトリル及びトリフルオロ酢酸と反応させることにより、1−アセトアミド−3,5−ジメチルアダマンタンを合成する方法を開示する。
【0005】
特許文献1はアミノアダマンタン類の合成法を開示する。本合成法は以下の工程を含む。(a1)アダマンタン類を臭素化し、ブロモアダマンタン類を合成後、加水分解を行い、アダマンタノール類を合成、単離する工程。(a2)アダマンタノール類をアセトアミドアダマンタン類に変換する工程。(a3)アセトアミドアダマンタン類を脱アセチル化し、アミノアダマンタン類を取得する工程。
【0006】
特許文献2はアダマンタン類を有機ニトリル化合物、濃硫酸及びカルボカチオン化合物と有機溶媒中で反応させ、1−アミドアダマンタン類を合成する方法を開示する。
【0007】
特許文献3は溶媒に有機酸を用いることで攪拌性を改善したメマンチン塩酸塩の合成法を開示する。本合成法は以下の工程を含む。(b1)1−ハロ−3,5−ジメチルアダマンタンをニトリル及び濃硫酸と有機酸中で反応させる工程。(b2)(b1)で得た反応液に水を加え1−アセトアミド−3,5−ジメチルアダマンタンを結晶として得る工程。(b3)(b2)で得た1−アセトアミド−3,5−ジメチルアダマンタンを塩基とアルコール中で反応させる工程。(b4)(b3)で得た反応液を抽出後、塩酸を加え、メマンチン塩酸塩を晶析によって得る工程。
【0008】
特許文献4はメマンチン塩酸塩のワンポットでの合成法を開示する。本合成法は以下の工程を含む。(c1)1,3−ジメチルアダマンタンをアセトニトリル及び酸と反応させることにより1−アセトアミド−3,5−ジメチルアダマンタンを合成する工程。(c2)(c1)で合成した1−アセトアミド−3,5−ジメチルアダマンタンを単離することなく、アルコール溶媒中で塩基と反応させることによりメマンチンを合成する工程。(c3)(c2)で得たメマンチンにアルコール溶媒に溶解させた塩酸を加える工程。(c4)(c3)の溶液にエステル系溶媒を加えてメマンチン塩酸塩を取得する工程。
【0009】
特許文献5はメマンチン塩酸塩のワンポットでの合成法を開示する。本合成法は以下の工程を含む。(d1)1−ハロ−3,5−ジメチルアダマンタンをリン酸及びニトリルと反応させる工程。(d2)(d1)で得た1−アセトアミド−3,5−ジメチルアダマンタンを単離することなく、メマンチン塩酸塩を合成する工程。
【0010】
特許文献6はメマンチンのワンポットでの合成法を開示する。本合成法は以下の工程を含む。(e1)1−ブロモアダマンタン類をアセトアミド及び無機酸と溶媒中で反応させる工程。(e2)(e1)で得た1−アセトアミドアダマンタン類を有機溶媒を用いて抽出する工程。(e3)(e2)で得た溶液に塩基及びジエチレングリコールを加えて反応させメマンチンを得る工程。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上記先行技術文献に記載の方法は、以下のような課題がある。
【0014】
非特許文献1に記載の方法は、3,5−ジメチル−1−アダマンタノールに対して5mol当量のアセトニトリル及び8mol当量のトリフルオロ酢酸を使用しており、大量の廃棄物を産生する。
【0015】
特許文献1に記載の方法は、有害な臭素をアダマンタン類に対して8mol当量用いている。また、ブロモアダマンタン類に対して14mol当量のアセトニトリル及び28mol当量の濃硫酸を使用しており、大量の廃棄物を産生する。
【0016】
特許文献2に記載の方法は、アダマンタン類に対して27mol当量の濃硫酸を使用しており、大量の廃棄物を産生する。
【0017】
特許文献3に記載の方法は、1−ハロ−3,5−ジメチルアダマンタンの合成において有害なハロゲンを用いている。また、(b1)において1−ハロ−3,5−ジメチルアダマンタンに対して15mol当量のアセトニトリル、13mol当量の濃硫酸及び21mol当量の酢酸を使用しており、大量の廃棄物を産生する。
【0018】
特許文献4に記載の方法は、(c1)において1,3−ジメチルアダマンタンに対して12mol当量のアセトニトリル及び24mol当量の濃硫酸を使用しており、大量の廃棄物を産生する。また、(c1)で得た1−アセトアミド−3,5−ジメチルアダマンタンを有機溶媒を用いて抽出後、アルコール溶媒へと溶媒置換を行っているため、工程が増加し非効率である。
【0019】
特許文献5に記載の方法は、1−ハロ−3,5−ジメチルアダマンタンの合成において有害なハロゲンを用いている。また、(d1)において1−ハロ−3,5−ジメチルアダマンタンに対して5mol当量のアセトニトリル及び4mol当量のリン酸を使用しており、大量の廃棄物を産生する。(d1)で得た1−アセトアミド−3,5−ジメチルアダマンタンを1−ブタノールを用いて抽出後、共沸脱水を行っているため、工程が増加し非効率である。
【0020】
特許文献6に記載の方法は、1−ブロモアダマンタン類の合成において有害なハロゲンを用いている。また、(e1)において1−ブロモアダマンタン類に対して6mol当量のアセトアミドを用いており、大量の廃棄物を産生する。(e1)で得た1−アセトアミドアダマンタン類をトルエンを用いて抽出後、トルエンを減圧留去しジエチレングリコールへ溶媒置換を行っているため、工程が増加し非効率である。
【0021】
以上のように従来のメマンチンの合成法は、以下1)〜3)に示す課題がある。
1)1−アミド−3,5−ジメチルアダマンタン合成の際にアダマンタン類に対して過剰量の酸及びニトリルを用いるため、酸及びニトリル由来の大量の廃棄物を産生すること。
2)1−ハロ−3,5−ジメチルアダマンタンの合成を行う場合、有害なハロゲンを用いること。
3)1−アミド−3,5−ジメチルアダマンタンを有機溶媒で抽出後、アルコール溶媒へ溶媒置換を行うため工程数が増加し非効率であること。
【0022】
さらに、従来のメマンチンの合成法は、以下4)〜6)に示す課題がある。
4)1−アミド−3,5−ジメチルアダマンタン合成の際にアダマンタン類に対して過剰量の酸及びニトリルを用いるため、副生成物が増加し、収率が低下すること。
5)1−アミド−3,5−ジメチルアダマンタン合成における反応熱以外に、ニトリル及び濃硫酸の反応熱、反応停止時の濃硫酸の水和熱などの発熱があるため工業的に実施する際は安全性に問題があること。
6)1−アミド−3,5−ジメチルアダマンタン合成の際に反応液の攪拌性が不良となることで反応速度が低下し、不純物が増加するため、収率が低下すること。
【0023】
このため、有害なハロゲンを用いる1−ハロ−3,5−ジメチルアダマンタンの合成工程を含まず、また、1−アミド−3,5−ジメチルアダマンタンの合成反応において、アダマンタン類に対する酸及びニトリルの使用量を低減することにより、副生成物を抑制し収率を向上させると共に酸及びニトリル由来の廃棄物を大幅に低減させ、1−アミド−3,5−ジメチルアダマンタンの合成反応における反応液の攪拌性を良好とすることにより収率を向上させ、1−アミド−3,5−ジメチルアダマンタンの合成反応後、加水分解反応を行う際に溶媒置換を行わない工業的に安全で経済的、効率的なメマンチンの合成法が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0024】
かかる実状に鑑み、本発明者らは、鋭意検討を行った結果、以下に示す特徴を有するメマンチンの製造方法を見出した。
1)1−アミド−3,5−ジメチルアダマンタンの合成反応において、3,5−ジメチル−1−アダマンタノールを基質とすることでアダマンタン類に対する酸及びニトリルの使用量を大幅に低減し、過剰量の試薬を用いることによる副生成物の生成を抑制できること、1−アミド−3,5−ジメチルアダマンタン合成反応時、反応停止時の除熱が容易となること、酸及びニトリル由来の廃棄物を大幅に低減し、コスト、環境への負荷の低減が可能となること。
2)1−アミド−3,5−ジメチルアダマンタンの合成反応を有機溶媒中で行うことにより、アダマンタン類の反応液への溶解性、反応性を損なうことなく、反応液の攪拌性が向上すること。
3)1−アミド−3,5−ジメチルアダマンタンの合成反応終了後、水を加えて反応を停止し、得られた1−アミド−3,5−ジメチルアダマンタンを含む溶液にアルコール溶媒及び無機塩基を加え1−アミド−3,5−ジメチルアダマンタンの加水分解を行うことで溶媒置換を行うことなくメマンチンを得ることができ、製造工程を簡略化できること。
【0025】
すなわち、本発明は、以下の通りである。
[1]
以下の工程(i)〜(iii)を含む3,5−ジメチル−1−アダマンタンアミンの製造方法:
(i)3,5−ジメチル−1−アダマンタノールを有機溶媒中で酸及びニトリルと反応させて反応液を得る工程、
(ii)前記工程(i)で得られた反応液に水を加えて1−アミド−3,5−ジメチルアダマンタンを得る工程、
(iii)前記工程(ii)で得られた1−アミド−3,5−ジメチルアダマンタンをアルコール含有溶媒及び無機塩基の存在下で加水分解する工程。
[2]
前記工程(i)で用いる有機溶媒が疎水性である[1]記載の製造方法。
[3]
前記工程(i)で用いる有機溶媒が、脂肪族炭化水素及び芳香族炭化水素からなる群より選ばれる1種以上の有機溶媒を含む[1]又は[2]記載の製造方法。
[4]
前記工程(iii)で用いるアルコール含有溶媒が1価の直鎖1級アルコールから選ばれる1種以上のアルコールを含む[1]〜[3]のいずれか記載の製造方法。
[5]
前記工程(iii)で用いるアルコール含有溶媒が1−ブタノール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、1−ヘプタノール及び1−オクタノールからなる群より選ばれる1種以上のアルコールを含む[1]〜[4]のいずれか記載の製造方法。
[6]
前記工程(i)において、3,5−ジメチル−1−アダマンタノールに対する酸のモル比が1〜10である[1]〜[5]のいずれか記載の製造方法。
[7]
前記工程(i)において、3,5−ジメチル−1−アダマンタノールに対するニトリルのモル比が1〜10である[1]〜[6]のいずれか記載の製造方法。
[8]
前記工程(i)で用いる酸が、硫酸、硝酸、リン酸、トリフルオロ酢酸及びトルエンスルホン酸からなる群より選ばれる1種以上の酸を含む[1]〜[7]のいずれか記載の製造方法。
[9]
前記工程(i)で用いる酸が濃硫酸を含む[1]〜[8]のいずれか記載の製造方法。
[10]
前記工程(i)で用いるニトリルが、メタンニトリル、アセトニトリル及びプロピオニトリルからなる群より選ばれる1種以上のニトリルを含む[1]〜[9]のいずれか記載の製造方法。
[11]
前記工程(iii)で用いる無機塩基が水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムを含む[1]〜[10]のいずれか記載の製造方法。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、有害なハロゲンを用いる1−ハロ−3,5−ジメチルアダマンタンの合成工程を含まず、また、1−アミド−3,5−ジメチルアダマンタンの合成反応において、アダマンタン類に対する酸及びニトリルの使用量を大幅に低減することにより、副生成物を抑制し収率を向上させると共に酸及びニトリル由来の廃棄物を大幅に低減させ、1−アミド−3,5−ジメチルアダマンタン合成時の反応液の攪拌性を良好とすることにより収率を向上させ、1−アミド−3,5−ジメチルアダマンタンの合成反応後、溶媒置換を行うことなく加水分解反応を行うことが可能であるメマンチンの合成法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態(以下「本実施形態」とも記す。)について詳細に説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はその実施の形態のみに限定されない。
【0028】
本実施形態は、例えば、下記反応式(A)で示される様に、(i)下記式1で示される3,5−ジメチル−1−アダマンタノール(以下、DMAOと略すことがある)を有機溶媒中で酸及びニトリルと反応させて反応液を得る工程と、(ii)前記工程(i)で得られた反応液に水を加えて下記式2で示される1−アミド−3,5−ジメチルアダマンタン(以下、AMDAと略すことがある)を得る工程と、(iii)前記工程(ii)で得られた1−アミド−3,5−ジメチルアダマンタンをアルコール含有溶媒及び無機塩基の存在下で加水分解する工程を含む下記式3で示される3,5−ジメチル−1−アダマンタンアミンの製造方法である。
【化1】
【0029】
<工程(i)>
工程(i)では、上記式1で示される3,5−ジメチル−1−アダマンタノール及びニトリルを有機溶媒中に溶解させ、得られた溶液に酸を添加し反応を行って反応液を得ることが好ましい。次に、後述の工程(ii)において工程(i)で得られた反応液に水を加えることで、上記式2で示される1−アミド−3,5−ジメチルアダマンタンが生成する。
【0030】
原料として使用する3,5−ジメチル−1−アダマンタノールは工業的、あるいは試薬として入手可能なものが何ら制限なく使用できる。その製法としては、特に限定されないが、例えば1,3−ジメチルアダマンタンの空気酸化などが知られている。具体的には、特に限定されないが、例えば3,5−ジメチル−1−アダマンタノールは1,3−ジメチルアダマンタンを原料としてJournal of the American Chemical Society; vol. 122; 30; (2000); p.7390−7391に記載の方法に従い取得する例が挙げられる。本製法で得られる原料を使用することで、有害なハロゲン化物の使用を避けることができ、安全面、環境面からも好適である。
【0031】
工程(i)で使用する酸を具体的に例示すると、特に限定されないが、例えば、硫酸、硝酸、塩酸、リン酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸又はトリフルオロメタンスルホン酸等が挙げられる。これらの酸は複数混合して用いても構わない。工程(i)で使用する酸としては、特に硫酸、硝酸、リン酸、トリフルオロ酢酸及びトルエンスルホン酸からなる群より選ばれる1種以上を含むことが好ましく、濃硫酸を含むことがより好ましい。このような酸を使用することにより、反応速度が向上する傾向にあり、好ましい。
【0032】
工程(i)において、3,5−ジメチル−1−アダマンタノールに対する酸のモル比は、好ましくは1〜10であり、より好ましくは2〜5であり、さらに好ましくは2〜3である。工程(i)において、酸の使用量が前記上限値以下であると、副生成物が抑制され収率が向上すると共に酸由来の廃棄物を大幅に低減させることができ、かつ経済的であり、また、酸の使用量が前記下限値以上であると、反応が十分に進行し、完結する傾向にある。
【0033】
工程(i)で使用するニトリル(RCN)のRは、水素、アルキル基、アリール基又はアラルキル基のいずれかであれば構わない。具体的には、前記アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基であることが好ましく、前記アリール基としてはフェニル基等の炭素数6〜10のアリール基であることが好ましく、アラルキル基としては、ベンジル基等の炭素数7〜12のアラルキル基であることが好ましい。
【0034】
工程(i)で使用するニトリルの具体例としては、特に限定されないが、例えば、メタンニトリル、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンジルニトリル、ビニルアセトニトリル等が挙げられる。工程(i)で使用するニトリルは、好ましくはメタンニトリル、アセトニトリル及びプロピオニトリルからなる群より選ばれる1種以上のニトリルを含み、より好ましくはアセトニトリルを含む。このようなニトリルを使用することにより、ニトリル由来の廃棄物の量を低減でき、好ましい。
【0035】
工程(i)において、3,5−ジメチル−1−アダマンタノールとニトリルとの反応は量論反応であるため、ニトリルの使用量としては、3,5−ジメチル−1−アダマンタノール1molに対して1mol当量以上とすることが好ましい。工程(i)において、3,5−ジメチル−1−アダマンタノールに対するニトリルのモル比は、好ましくは1〜10であり、より好ましくは1〜4であり、さらに好ましくは1〜2である。工程(i)において、ニトリルの使用量が前記上限値以下であると、副生成物が抑制され収率が向上すると共にニトリル由来の廃棄物を低減させることができる。
【0036】
工程(i)では有機溶媒を用いることによって反応液の粘性の増大や攪拌性が不良となることを防ぐことが出来、また除熱をすることが可能である。該有機溶媒としては、水と分離可能であり、反応を阻害せず、3,5−ジメチル−1−アダマンタノール及び1−アミド−3,5−ジメチルアダマンタンを溶解させる有機溶媒が何ら制限なく使用できる。ただし、工程(i)に用いる有機溶媒としては、工程(i)の反応に関与するニトリルは除かれる。
【0037】
工程(i)で使用出来る有機溶媒を具体的に例示すると、特に限定されないが、例えば、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化脂肪族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;クロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素類;ジイソプロピルエーテル、1,4−ジオキサン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル類;ジメチルカーボネート等のカーボネート類等が挙げられる。工程(i)で用いる有機溶媒としては、好ましくは、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素及びエーテル類から選ばれる1種以上である。工程(i)で用いる有機溶媒としては、疎水性であることがより好ましく、脂肪族炭化水素及び芳香族炭化水素からなる群より選ばれる1種以上の有機溶媒を含むことがさらに好ましい。工程(i)で用いる有機溶媒として特に好ましくは、高沸点であり、後述の工程(iii)の1−アミド−3,5−ジメチルアダマンタンの加水分解反応時にアルコール溶媒との混合溶媒として使用し易いトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類である。中でも、工程(i)で用いる有機溶媒としてトルエンを用いると、1−アミド−3,5−ジメチルアダマンタンの収率が向上し、さらに、後述の工程(iii)の加水分解反応の前に溶媒置換を行う必要が無く、製造工程を簡略化することができる。
【0038】
なお、工程(i)において、上記有機溶媒は、1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0039】
工程(i)において、有機溶媒の使用量は、特に制限は無いが、好ましくは3,5−ジメチル−1−アダマンタノールに対して1〜50重量倍であり、より好ましくは1〜20重量倍であり、さらに好ましくは1〜3重量倍である。有機溶媒の使用量を前記範囲とすることにより、有機溶媒の量が多過ぎることなく、1バッチの単位容積あたりの収量が十分で経済的であり、また有機溶媒の量が少なすぎることなく反応液の攪拌性、除熱が良好となって好ましい。
【0040】
工程(i)での反応温度としては、特に制限は無いが、好ましくは0℃〜100℃、より好ましくは0℃〜70℃の範囲である。工程(i)での反応温度を前記範囲とすることにより温度が高すぎることがなくなり副生成物が抑えられ、温度が低すぎることなく反応速度が好適である。
【0041】
工程(i)での反応時間も、特に制限は無く、酸、ニトリル、有機溶媒の使用量により異なるため一概には決められないが、通常2〜24時間あれば十分である。
【0042】
<工程(ii)>
工程(ii)は、前記工程(i)で得られた反応液に水を加えて1−アミド−3,5−ジメチルアダマンタンを得る工程である。工程(ii)で得られる1−アミド−3,5−ジメチルアダマンタンは、上記式2で示される化合物であることが好ましい。上記式2中、Rは、上述のニトリル(RCN)のRと同義である。
【0043】
工程(ii)において、加える水の量は、前記工程(i)における酸の使用量に対して、好ましくは3〜10重量倍であり、より好ましくは3〜5重量倍であり、さらに好ましくは3〜4重量倍である。加える水の量を前記範囲とすることにより、水の量が多すぎることなく、1バッチの単位容積あたりの収量が好適となって経済的であり、また水の量が少なすぎることなく分液性が良好となり好ましい。
【0044】
<工程(iii)>
工程(iii)は、前記工程(ii)で得られた1−アミド−3,5−ジメチルアダマンタンをアルコール含有溶媒及び無機塩基の存在下で加水分解する工程である。
【0045】
具体的には、(iii)工程において、例えば、前記工程(ii)で得られた反応液にアルコール溶媒を添加後、水相を分離することで1−アミド−3,5−ジメチルアダマンタンの混合溶媒溶液を得ることができる。また他の具体例としては、例えば、前記工程(ii)で得られた反応液の水相を分離後、得られた有機相にアルコール溶媒を添加することで1−アミド−3,5−ジメチルアダマンタンの混合溶媒溶液を得ることができる。
【0046】
その後、例えば、前記得られた混合溶媒溶液に無機塩基を加え1−アミド−3,5−ジメチルアダマンタンを加水分解させることにより、上記式3で示されるメマンチンを得ることができる。また他の具体例としては、例えば、上記得られた有機相から単離した上記式2で示される1−アミド−3,5−ジメチルアダマンタンを無機塩基及びアルコール溶媒存在下で加水分解させることにより、上記式3で示されるメマンチンを得ることもできる。本加水分解反応は用いるアルコール含有溶媒が低沸点の場合においてもオートクレーブを用いて加圧下で行うことにより実施が可能である。
【0047】
工程(iii)で用いるアルコール含有溶媒としては、アルコール溶媒を含んでいれば特に限定されないが、上記工程(i)で用いた有機溶媒とアルコール溶媒との混合溶媒であることが好ましい。このようなアルコール含有溶媒であると、工程(iii)の加水分解反応の前に溶媒置換を行う必要が無く、製造工程を簡略化することができる。
【0048】
工程(iii)で使用できるアルコール溶媒の種類を具体的に例示すると、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、シクロヘキサノール、2−エチル−1−ヘキサノール等の炭素数1〜10の1価のアルコール溶媒;エチレングリコール、プロピレングリコール等の炭素数2〜10の2価のアルコール溶媒等が挙げられる。工程(iii)で用いるアルコール溶媒は、好ましくは1−ブタノール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール等の1価の直鎖1級アルコールである。特に、工程(iii)で用いるアルコール含有溶媒が、直鎖1級アルコールとトルエンとの混合溶媒である場合、工程(iii)の加水分解により得られるメマンチンの収率が飛躍的に向上する。
【0049】
なお、工程(iii)において、上記アルコール溶媒は、1種単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0050】
工程(iii)において、これらのアルコール溶媒の使用量は、前記工程(i)に用いた有機溶媒の使用量に対して、好ましくは0.5〜10重量倍、より好ましくは1.0〜5.0重量倍であり、さらに好ましくは1.0〜2.0重量倍である。工程(iii)において、アルコール溶媒の使用量が前記上限値以下であると、1バッチの単位容積あたりの収量が大きくなり経済的であり、また、アルコール溶媒の使用量が前記下限値以上であると、反応液の操作性が良好となる傾向にある。
【0051】
工程(iii)において、有機相と水相とを分離する分液操作を行う場合、分液操作の回数は好ましくは2〜5回、より好ましくは2〜3回である。分液操作の回数を前記範囲とすることにより、経済的であり、酸を十分に洗浄することができ、好ましい。
【0052】
工程(iii)で用いる無機塩基を具体的に例示すると、特に限定されないが、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウムなどが挙げられる。工程(iii)で用いる無機塩基は、好ましくは、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムである。
【0053】
工程(iii)において、該無機塩基の使用量は、1−アミド−3,5−ジメチルアダマンタンに対して、好ましくは4〜20mol当量であり、より好ましくは4〜10mol当量である。無機塩基の使用量を前記範囲とすることにより、経済的であり、反応速度が好適となり好ましい。
【0054】
工程(iii)での反応温度としては、好ましくは100℃〜160℃の範囲であり、より好ましくは120℃〜140℃の範囲である。工程(iii)での反応温度を前記範囲とすることにより、温度が高過ぎることなく副生成物が抑えられ、温度が低すぎることなく反応速度が好適となり、好ましい。
【0055】
工程(iii)での反応時間は無機塩基、有機溶媒、アルコール溶媒の使用量により異なるため一概には決められないが、好ましくは18〜30時間であり、より好ましくは18〜24時間である。
【0056】
<その他の工程>
次に本実施形態の製造方法は、前記工程(iii)の加水分解反応で得られた反応液に水を加えた後、分液操作により水相を分離してメマンチン溶液を得る工程(iv)を含むことが好ましい。
【0057】
工程(iv)において、前記工程(iii)の加水分解反応で得られた反応液に加える水の量は、該反応液に対して、好ましくは0.5〜10重量倍、より好ましくは0.5〜5.0重量倍であり、さらに好ましくは0.5〜2.0重量倍である。工程(iv)において、水の使用量を前記範囲とすることにより、水の量が多すぎることなく、1バッチの単位容積あたりの収量が好適となり経済的であり、また水の量が少なすぎることなく分液性が良好となって好ましい。
【0058】
工程(iv)において、分液操作回数は、2〜5回、好ましくは2〜3回が好適である。この範囲とすることにより、経済的であり、また水酸化ナトリウムを十分洗浄することが出来て好ましい。
【0059】
本実施形態の製造方法は、上記工程(iv)において得られるメマンチン溶液に塩酸を添加し、メマンチン塩酸塩を得る工程(v)を含むことが好ましい。前記工程(v)で得られたメマンチン塩酸塩の単離精製方法としては、特に制限は無く公知の方法が採用される。例えば、前記工程(v)で得られたメマンチン塩酸塩を含む溶液を濃縮後に析出する結晶をろ過や遠心分離することにより、メマンチン塩酸塩を単離精製することも可能である。好ましくは、前記工程(v)で得られたメマンチン塩酸塩を含む溶液を濃縮後、貧溶媒を加え晶析を行い、析出する結晶を濾過することにより、メマンチン塩酸塩を単離精製することが好適である。
【実施例】
【0060】
次に、本発明を実施例および比較例により具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの例によって制限されるものではない。
【0061】
反応追跡、メマンチン塩酸塩製品分析は以下に示す分析条件で行った。分析装置:SHIMADZU GC−2014、カラム:TC−1701(30m×0.25mmI.D.,0.50μm film)、キャリアーガス:He、1.61mL/分、注入口:180℃(split1:50)、検出器:FID、280℃、オーブン:80℃(5分)−20℃/分−280℃(5分)、注入量:1.0μL
【0062】
[実施例1]
300mL丸底フラスコに、3,5−ジメチル−1−アダマンタノール:10.00g(55.5mmol)、アセトニトリル:4.55g(110.9mmol)、及びトルエン:25.00gを加えて混合液を得た。なお、3,5−ジメチル−1−アダマンタノールは、Journal of the American Chemical Society(vol.122、30、2000)のp.7390−7391に記載の方法に従い製造した。次に、前記フラスコ中の混合液に、97%濃硫酸:11.00g(108.8mmol)を23分かけて滴下し、得られた反応液を21℃で2時間攪拌して反応を継続した。反応液において、3,5−ジメチル−1−アダマンタノールの消失をガスクロマトグラフィー(GC)にて確認後、反応液に水:33.66gを加え反応を停止して、1−アセトアミド−3,5−ジメチルアダマンタンを含むトルエン溶液(2相溶液)を得た。この2相溶液に1−ヘキサノール:25.01gを加えて分液操作を2回行い、2相溶液から水相を除去して、1−アセトアミド−3,5−ジメチルアダマンタンを含む溶液を得た。得られた溶液に水酸化ナトリウム:8.71g(217.75mmol)を加え、得られた反応液を126℃で18時間攪拌して1−アセトアミド−3,5−ジメチルアダマンタンの加水分解を行った。反応液において、1−アセトアミド−3,5−ジメチルアダマンタンの消失とメマンチンの生成とをGCで確認後、反応液に水:67.21gを加え反応を停止して、メマンチンを含む溶液を得た。その後、得られた溶液の分液操作を3回行い、該溶液から水相を分離してメマンチンを含む溶液を得た。得られたメマンチンを含む溶液に37%塩酸:5.61g(56.93mmol)を加えメマンチン塩酸塩を形成した。その後、メマンチン塩酸塩を含む溶液の濃縮を行った。濃縮後の溶液:56.10gに酢酸エチル:224.40gを加え、20℃で晶析を行った。析出した結晶を濾過後、酢酸エチル:40.00gで3回洗浄した。洗浄後、得られた結晶を60℃、6時間真空乾燥させ、メマンチン塩酸塩を無色の結晶として10.45g得た(収率:87.3%、GC純度:100.0%)。
【0063】
[実施例2]
外径30mm試験管に、3,5−ジメチル−1−アダマンタノール:1.00g(5.50mmol)、アセトニトリル:0.46g(11.1mmol)、及びメシチレン:9.61gを加えて混合液を得た。その後、前記試験管中の混合液に、97%濃硫酸:1.12g(11.1mmol)を滴下し、得られた反応液を30℃で3時間攪拌して反応を継続した。その後、反応液に水:6.09gを加え反応を停止させ、反応液から水相を洗浄除去することで1−アセトアミド−3,5−ジメチルアダマンタンを含むメシチレン溶液を得た(反応収率:80.4%)。その後、得られた溶液に水酸化ナトリウム(NaOH):0.71g、及び1−ヘキサノール:9.61gを加え、得られた反応液を、130℃、18時間攪拌することにより、1−アセトアミド−3,5−ジメチルアダマンタンの加水分解を行った。その後、該反応液において、メマンチンの生成をGCにて確認した(反応収率:96.2%)。
【0064】
[実施例3]
外径15mm試験管に、3,5−ジメチル−1−アダマンタノール:0.09g(0.50mmol)、アセトニトリル:0.25g(6.0mmol)、及びトルエン:0.87gを加えて混合液を得た。その後、前記試験管中の混合液に、パラトルエンスルホン酸:0.19g(1.00mmol)を加え、得られた反応液を70℃で24時間攪拌して反応を継続した。その後、反応液に水:1.00gを加え反応を停止させ、反応液から水相を洗浄除去することで1−アセトアミド−3,5−ジメチルアダマンタンを含むトルエン溶液を得た(反応収率:64%)。その後、得られた溶液に水酸化ナトリウム(NaOH):0.052g、及び1−ヘキサノール:0.82gを加え、得られた反応液を、126℃、18時間攪拌することにより、1−アセトアミド−3,5−ジメチルアダマンタンの加水分解を行った。その後、該反応液において、メマンチンの生成をGCにて確認した(反応収率:96%)。
【0065】
[実施例4〜11]
実施例1と同様の方法によって得られた1−アセトアミド−3,5−ジメチルアダマンタンを含むトルエン溶液を、水を用いて洗浄した。その後、外径15mm試験管に、前記溶液から、1−アセトアミド−3,5−ジメチルアダマンタン(基質):0.28g(1.3mmol)、及びトルエン:0.69gを分取し、1−アセトアミド−3,5−ジメチルアダマンタンを含むトルエン溶液を得た。得られた溶液に、それぞれ水酸化ナトリウム:0.20g(5.0mmol)、及び表1に示す各アルコール溶媒:0.69gを加え、得られた反応液を溶媒還流条件で24時間攪拌することにより、1−アセトアミド−3,5−ジメチルアダマンタンの加水分解を行った。その後、GCを用いて反応液の分析を行った。その結果を表1に示した。
【0066】
【表1】
【0067】
[実施例12〜20]
実施例1と同様の方法によって得られた1−アセトアミド−3,5−ジメチルアダマンタン:0.28g(1.3mmol)を含むトルエン溶液から、1−アセトアミド−3,5−ジメチルアダマンタンを単離した。外径15mm試験管において、得られた1−アセトアミド−3,5−ジメチルアダマンタンに、表2に示すような重量比の溶媒を加えて溶液を得た。得られた溶液:(2.77g)に水酸化ナトリウム:0.20g(5.00mmol)を添加して、得られた反応液を表2に示すような液温で加熱し、24時間攪拌することにより、1−アセトアミド−3,5−ジメチルアダマンタンの加水分解を行った。その後、GCを用いて反応液の分析を行った。反応収率は標品を用いた絶対検量法により求めた。その結果を表2に示した。
【0068】
【表2】
【0069】
[比較例1]
外径15mm試験管に、3,5−ジメチル−1−アダマンタノール:0.090g(0.50mmol)、アセトニトリル:0.041g(1.00mmol)を加えて混合液を得た。その後、前記試験管中の混合液に、97%硫酸:0.10g(1.00mmol)を加え、得られた反応液を70℃で3時間攪拌したところ、反応物が固化し、攪拌困難となった。
【0070】
[実施例21〜42並びに比較例2及び3]
実施例1と同様の方法によって得られた1−アセトアミド−3,5−ジメチルアダマンタンを含むトルエン溶液から水相を除去して有機相を得た。次に、外径15mm試験管において、得られた1−アセトアミド−3,5−ジメチルアダマンタン(基質)を含む有機相に、表3に示すような基質濃度となるようにアルコール溶媒等を加えて溶液を得た。得られた溶液に、表3に示すとおり無機塩基を添加して、反応液を得た。得られた反応液を表3に示すような反応温度で24時間還流することにより、1−アセトアミド−3,5−ジメチルアダマンタンの加水分解を行った。その後、GCを用いて反応液の分析を行った。その結果を表3に示した。
【0071】
【表3】
【0072】
[実施例43〜54]
実施例1と同様の方法によって得られた1−アセトアミド−3,5−ジメチルアダマンタンを含むトルエン溶液から水相を除去して有機相を得た。次に、外径15mm試験管において、得られた1−アセトアミド−3,5−ジメチルアダマンタン(基質)を含む有機相に、表4に示すような基質濃度となるようにアルコール溶媒を加えて溶液を得た。得られた溶液に、表4に示すとおり無機塩基を添加して、反応液を得た。得られた反応液を表3に示すような反応温度で24時間加熱することにより、1−アセトアミド−3,5−ジメチルアダマンタンの加水分解を行った。その後、GCを用いて反応液の分析を行った。その結果を表4に示した。
【0073】
【表4】
【0074】
[参考例1〜3]
外径15mm試験管に、3,5−ジメチル−1−アダマンタノール:0.09g(0.5mmol)、アセトニトリル:0.04g(1mmol)、及び、表5に示す種類の有機溶媒:1.0mLを加えて混合液を得た。なお、3,5−ジメチル−1−アダマンタノールは、Journal of the American Chemical Society(vol.122、30、2000)のp.7390−7391に記載の方法に従い製造した。次に、前記試験管中の混合液に、97%濃硫酸:0.1g(1mmol)を滴下し、得られた反応液を70℃で24時間攪拌して反応を継続した。その後、GCを用いて反応液の分析を行った。その結果を表5に示した。
【0075】
【表5】
【0076】
[参考例4〜33]
外径15mm試験管に、3,5−ジメチル−1−アダマンタノールに対して、表6に示すとおりのモル当量でアセトニトリルを加え、さらに表6に示す重量倍で有機溶媒を加えて混合液を得た。なお、3,5−ジメチル−1−アダマンタノールは、Journal of the American Chemical Society(vol.122、30、2000)のp.7390−7391に記載の方法に従い製造した。次に、前記試験管中の混合液に、表6に示すとおりに硫酸を滴下し、得られた反応液を表6に示すとおりの反応温度及び反応時間で攪拌して反応を継続した。その後、GCを用いて反応液の分析を行った。その結果を表6に示した。
【0077】
【表6】
なお、表6中、DMA−tolは、下記化学式で表される化合物を示す。
【化2】