【文献】
谷口和弘、他,耳は口ほどにものを言う?−外耳の動きを入力情報とする常時装用型インタラクティブメディアの提案−,機能材料,2009年 8月 5日,第29巻、第9号,第65−72頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記出力部として、眠気予防効果、リラクゼーション効果および治療効果の少なくともいずれか1つの効果をもたらす生体刺激をユーザに対して与える刺激出力部を備えていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の耳装着型装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。なお、以下の特定の項目(実施形態)における構成について、それが他の項目で説明されている構成と同じ場合、その説明を省略する場合がある。また、説明の便宜上、各項目に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、適宜その説明を省略する。
【0011】
〔実施形態1〕
本発明に係る一実施形態について、
図1〜
図12に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0012】
<耳装着型装置1の概要>
図1は、本発明の一実施形態に係る耳装着型装置1における、ユーザ100の耳110と対向する領域の反対側の領域を表す概略図である。
図2は、耳装着型装置1における、ユーザ100の耳110と対向する領域を表す概略図である。
図3は、ユーザ100が耳装着型装置1を装着した状態を示す外観図である。
図4は、ユーザ100の耳110の基本構造を示す模式図である。
【0013】
(耳装着型装置1の構成)
図1および
図2に示すように、耳装着型装置1は、保持本体部1a(保持部)、クリップ部1b(保持部)、皮膚ガスセンサ1c(情報取得部)、小型バッテリー1dおよび身体状態情報通信部1eを備えている。耳装着型装置1は、
図3に示すように、クリップ部1bをユーザ100の左側の耳110に引っ掛けることでユーザ100に装着される。そして、ユーザ100の脈波、咀嚼、血圧、皮膚色および歩行等の身体運動を示す各種の身体状態情報(各種情報)を情報取得部(皮膚ガスセンサ1c以外図示せず)により取得し、後述する充電装置10(外部装置)に身体状態情報通信部1eより送信する。
【0014】
なお、耳装着型装置1は、クリップ部1bをユーザ100の右側の耳110に引っ掛けるような構造であってもよい。または、耳装着型装置1を一対作製して、ユーザ100の両側の耳110に装着されるようにしてもよい。また、耳装着型装置1による取得対象となる身体状態情報としては、上記の他に、ユーザ100の血中酸素、体温および傾き等の身体状態を示す情報が含まれてもよい。また、耳装着型装置1は、身体状態情報以外の情報を取得してもよい。例えば、ユーザ100の部屋における室温、湿度あるいは明るさ、ユーザの周囲に存在する電磁波、第三者の身体状態情報、地震情報、火災情報等の情報を取得してもよい。換言すれば、耳装着型装置1の情報取得部が取得する「各種情報」とは、耳装着型装置1の置かれた環境に関わる情報(例えば、上述の身体状態情報、室温、湿度、明るさ、電磁波等々を示す情報)を意味している。さらに、身体状態情報の送信先である外部装置としては、充電装置10の他、例えば、スマートフォンおよびタブレット端末等の携帯端末、パーソナルコンピュータ等であってもよい。
【0015】
また、身体状態情報通信部1eについては、その機能を実現するブロックを
図1において示している。当該ブロックは、あくまで耳装着型装置1が身体状態情報通信部1eを備えているという点を明確にするために図示しており、身体状態情報通信部1eに係る形状や搭載(配置)位置等の物理的構成を示すものではない。すなわち、身体状態情報通信部1eは、前述の機能を実行するICチップ等を、保持本体部1aやクリップ部1bの任意の位置に搭載することにより実現される。
【0016】
保持本体部1aは、皮膚ガスセンサ1c以外の各種センサ(情報取得部)、光発電パネル(発電素子)およびLED光源(身体状態情報通信部1e)を保持する。また、保持本体部1aの形状は薄板状であり、その厚さ方向と略平行な方向から保持本体部1aを見た場合、その形状は略O字型になっている。そして、ユーザ100の耳珠周辺の部位に対向する保持本体部1aの領域の面積が、他の領域の面積に比して小さくなっている(
図3および
図4参照)。
【0017】
保持本体部1aにおける、ユーザ100の耳110と対向する領域(以下、「裏側の領域」と記載する)の反対側の領域(以下、「表側の領域」と記載する)には、光発電パネルおよびLED光源が搭載される(ともに図示せず)。また、保持本体部1aの裏側の領域には、例えば、脈波センサ、咀嚼センサ、血圧センサ、皮膚色センサ、皮膚センサおよび加速度センサ(全て情報取得部)が搭載される(全て図示せず)。
【0018】
光発電パネルは、後述する充電装置10から可視光を照射されることによって光発電する。そして、光発電で得られた電力をクリップ部1bに備えられた小型バッテリー1d(
図2参照)に供給することで、小型バッテリー1dが充電される。光発電パネルは、薄型および軽量であり、その耐用年数も従来型のバッテリーに比して長いことから、耳装着型装置1のさらなる小型化および軽量化を図ることができる。また、ユーザ100は耳装着型装置1を頻繁に充電する必要がなく、長時間安定した状態で耳装着型装置1を使用することができる。さらに、光発電パネルは、保持本体部1aにおける表側の領域、すなわち、ユーザ100の耳110と対向する領域の反対側の領域に搭載されていることから、裏側の領域の搭載される場合に比して光を受光し易くなっている。それゆえ、短時間で効率よく充電できる耳装着型装置1を提供することができる。
【0019】
なお、小型バッテリー1dは、必ずしも光発電パネルによって充電される必要はなく、例えば、光発電パネルに代えて太陽光発電パネルを搭載して、太陽光によって充電されてもよい。また、光発電パネルに代えて、例えば、振動発電あるいは熱発電を行う発電素子を用いて小型バッテリー1dを充電してもよい。さらに、光発電パネル等の発電素子は、例えば、保持本体部1aの裏側の領域に搭載されてもよい。換言すれば、保持部(保持本体部1aおよびクリップ部1b)のいずれかの領域に発電素子が備えられていればよい。
【0020】
身体状態情報通信部1eは、充電装置(外部装置)10との間で光無線通信を行うための光源として、LED光源(無線通信部、図示せず)を備えている。LED光源は、充電装置10に向けて赤外光を放射する光無線通信により、充電装置10に各種の身体状態情報を送信する。また、耳装着型装置1が充電可能状態であることを示す充電可能情報および耳装着型装置1の充電が完了したことを示す充電完了情報も、充電装置10に送信する。充電可能状態の詳細については後述する。なお、身体状態情報通信部1eは、充電装置10およびその他の外部装置から各種情報を受信してもよい。
【0021】
一般に、光無線通信は、電波による無線通信に比して消費電力が少ないため、省エネルギーかつ低コストである。また、光無線通信は、電波による無線通信に比して、一度の多くの情報を送信することができるとともに通信速度も速い。その点、耳装着型装置1は、充電装置10との間で光無線通信を行うため、省エネルギーかつ低コストな耳装着型装置1を実現することができる。また、耳装着型装置1は、一度に多数の身体状態情報を高速で充電装置10に送信することができる。さらには、光無線通信に、他の波長域の光に比して指向性が強く情報の秘匿性の高い、なおかつ人体に安全な赤外光を用いていることから、ユーザ100のプライバシーおよび健康に配慮した耳装着型装置1を実現することができる。
【0022】
また、各種センサが検知した身体状態情報は、最終的に充電装置10に送信されることから、刻々と検知される身体状態情報の全てを耳装着型装置1の方で記憶しておく必要がない。そのため、耳装着型装置1に備えられるメモリ(図示せず)の容量が小さくて済むことから、安価なメモリを使用することができ、低コスト化を実現することができる。
【0023】
なお、光無線通信を行う光源としては、LED光源以外に、例えばレーザー光源を用いてもよい。また、身体状態情報通信部1e(無線通信部)による通信方法として、光無線通信以外に、例えば、Bluetooth(登録商標)、または電波を用いた無線通信等を採用してもよい。
【0024】
脈波センサは、例えば光を照射することで、ユーザ100の脈波を検知するものである。咀嚼センサは、ひずみセンサまたは光センサで構成され、耳110の皮膚の動きを該ひずみセンサまたは該光センサで検知することでユーザ100の咀嚼を検知する。なお、ひずみセンサまたは光センサを備えた耳装着型装置1には、スイッチ機能を持たせることも可能である。例えば、ひずみセンサまたは光センサによって耳110の皮膚の動きを検知した場合、その検知結果を耳装着型装置1に備えられた作動制御部(音楽プレーヤーやスマートフォン等の情報処理端末の作動を制御する部材;図示せず)に送信する。そして、検知結果を受信した作動制御部が、情報処理端末を作動させるための作動指令を該情報処理端末に送信することにより、情報処理端末のスイッチがONとなって該情報処理端末を作動させることができる。この時、情報処理端末が例えば携帯型音楽プレーヤーだとすれば、当該プレーヤーにて再生される音を、耳装着型装置1におけるスピーカから聞き取ることも可能となる。また、後述するように耳装着型装置1は複数のセンサを備えることが可能であることから、複数のひずみセンサ、または複数の光センサをそれぞれ耳110の異なる部位に配置することで、あるいは複数のひずみセンサと複数の光センサとを併用して、それぞれ耳110の異なる部位に配置することで、耳110の皮膚の動きを精度高く検知することができる。作動制御部は、耳装着型装置1が備えている必要はなく、例えば特定のサーバが作動制御部を備えていてもよい。血圧センサは、例えば光を照射することで、ユーザ100の血圧を検知するものである。皮膚色センサは、ユーザ100の皮膚の色の変化を検知するものであり、例えば、超小型カメラ等を用いることができる。皮膚センサは、ユーザ100の皮膚状態を検知し、イオン選択性電界効果トランジスタを用いたペーハーセンサで構成される。加速度センサは、ユーザ100の身体運動を検知するものである。
【0025】
なお、上記各種センサは、保持本体部1aの裏側の領域内であれば任意に搭載してもよい。但し、一般に、ヒトの脈波および咀嚼を検知するのに適した耳の部位は耳珠周辺であることから、脈波センサおよび咀嚼センサについては、
図4に示すようなユーザ100の耳珠周辺に対向するように搭載されることが好ましい。また、保持本体部1a上に搭載されるセンサは、上記のものに限定されない。例えば、赤外光を照射することでユーザ100の血中酸素量を検知する血中酸素センサ、熱電対または光センサによりユーザ100の体温を検知する体温センサ、ユーザ100の傾きを検知する各速度センサ等を保持本体部1a裏側の領域に搭載してもよい。
【0026】
皮膚ガスセンサ1cは、ユーザ100の皮膚から放出される皮膚ガスを検知するものであり、クリップ部1bにおける裏側の領域かつ先端部付近に搭載される(
図2参照)。一般に、耳の裏側周辺の領域は通気性が悪く、皮膚ガスが溜まりやすい。そのため、皮膚ガスセンサ1cを、
図5に示すような耳110の裏側周辺の領域内に位置させるために、上記のような皮膚ガスセンサ1cのクリップ部1bにおける配置とした。小型バッテリー1dは、耳装着型装置1を構成する各部に電力の供給を行うものであり、クリップ部1bにおける裏側の領域に搭載される(
図2参照)。なお、小型バッテリー1dは、クリップ部1bにおける表側の領域に搭載してもよい。
【0027】
(耳装着型装置1の外観)
上述のように、耳装着型装置1は、略O字型の保持本体部1aとクリップ部1bとで、その外観が構成されている。このような外観は、複数の種類の身体状態情報を精度高く測定する上で効果的であるのと同時に、ユーザ100および耳装着型装置1を見た者が心地良く感じるものとなっている。
【0028】
すなわち、耳装着型装置1の外観は、
図6に示すように、生け花の流線形を模したものとなっている。具体的には、保持本体部1aの領域A
1が生け花の「体」に対応し、領域A
2が「真」に対応し、領域A
3が「副」に対応する(
図1参照)。一般に、生け花の流線形は、見る者に自然の持つ穏やかな美しさを感じさせることからリラクゼーションの効果がある。そのため、耳装着型装置1は、単に機能的に優れたものであるだけでなく、その外観において、ユーザ100の心理面にも良い影響を与える視覚的効果があるものとなっている。
【0029】
なお、耳装着型装置1の外観は、生け花の流線形を模したものである必要はない。換言すれば、保持本体部1aおよびクリップ部1bを含む保持部の形状が、少なくともユーザ100の耳介部から対珠までの領域の一部をユーザ100の耳輪に沿って覆っていればよい。
【0030】
(保持本体部1aの形状)
上述のように、保持本体部1aは、その厚さ方向と略平行な方向から保持本体部1aを見た場合の形状が略O字型になっている。換言すれば、保持本体部1aは、少なくともユーザ100の耳介部から対珠までの領域の一部をユーザ100の耳輪に沿って覆うとともに、ユーザ100の外耳道に対応して開口する開口領域が形成された形状となっている。
【0031】
保持本体部1aの形状を上記のようにすることで、ユーザ100の耳110について、外耳道の開口部周辺以外のほぼ全ての領域を保持本体部1aによって覆うことができる。したがって、保持本体部1aの形状は、複数の種類のセンサを搭載したり、特定の情報を取得するセンサを複数の箇所に搭載したりするのに適したものとなっている。そのため、耳装着型装置1は、複数の種類の情報および高精度の情報を測定することができる。
【0032】
また、保持本体部1aの形状を上記のようにすることで、保持本体部1aはユーザ100の耳珠まで覆うことができる。一般に、ヒトの脈波および咀嚼を検知する部位として耳珠周辺の領域が適している。そのため、保持本体部1aにおけるユーザ100の耳珠周辺の領域と対向する領域に脈波センサおよび咀嚼センサを搭載することで、精度高くユーザの脈波および咀嚼を検知することができる。
【0033】
また、保持本体部1aはユーザ100の外耳道に対応して開口する開口領域が形成されていることから、耳装着型装置1の装着は、ユーザ100が周囲の音を聞き取る上で妨げとはならない。そのため、例えば、耳装着型装置1を装着した状態で、さらにヘッドフォンあるいはイヤホンなどの音出力機器等を装着して音楽鑑賞等を楽しむことができる。また、ユーザ100は、耳装着型装置1を装着していないときと同様の状態で周囲の音が聞こえるので、装着時の違和感を低減できるとともに、装着時におけるユーザ100の安全性を確保することができる。
【0034】
また、上述のように、ユーザ100の耳珠周辺の部位に対向する保持本体部1aの領域の面積が、他の領域の面積に比して小さくなっている。保持本体部1aの形状をこのようにすることで、耳装着型装置1を装着した状態でさらに音出力機器等の外部機器を装着した場合に、該外部機器のケーブルが保持本体部1aに引っ掛かって浮き上がる程度を低減することができる。そのため、耳装着型装置1を装着した状態でも違和感なく外部機器を装着することができる。
【0035】
なお、保持本体部1aの形状はO字型に限定されない。例えば、
図7に示すように、保持本体部1aの厚さ方向と略平行な方向から該保持本体部1aを見た場合に、その形状が略円弧型になるように成形してもよい。保持本体部1aの形状を略円弧型とすることにより、略O字型形状の場合に比して少ない量の材料で保持本体部1aを作製することができ、耳装着型装置1の軽量化および低コスト化を実現することができる。耳装着型装置1の軽量化・小型化の観点からは、例えば
図17の(a)に示すように、保持本体部1aが、耳110における耳輪の一部のみを挟み込むような形状・大きさであってもよく、この場合、保持本体部1aに体温センサ(熱電対または光センサを用いる)または脈波センサ(LED等によって光を放射する)を保持本体部1aの裏側に(表側であってもよい;図示せず)保持させることにより、ユーザ100の体温または脈波を検知することができる。また、保持本体部1aの形状を、例えば、ユーザ100の対珠から耳垂を経て耳珠までの領域が開放されるような形状にすれば、外部機器をさらに装着した場合でも、そのケーブルが保持本体部1aに引っ掛かることがない。そのため、ユーザ100は、耳装着型装置1を装着した状態で、さらに外部機器を違和感なく装着することができる。
【0036】
ここで、耳装着型装置1に略円弧型の保持本体部1aを採用するのであれば、例えば、
図8に示すような形状の保持本体部1aを採用することが好ましい。
図8に示す保持本体部1aは、耳輪に対応する領域から流線形状の突起部が突出していることもあり、全体として
図7に示す保持本体部1aより生け花の流線形に近い形状となっている。このような形状の保持本体部1aを採用することで、ユーザ100は、該保持本体部1aにおける領域B1が生け花の「体」に対応し、領域B2が「真」に対応し、上記突起部に対応する領域B3が「副」に対応することをより強く認識できる。それゆえ、ユーザ100は、
図8に示す保持本体部1aを見ることにより、生け花の流線形をより一層イメージできることから、リラクゼーション効果をより得ることができる。
【0037】
また、例えば、保持本体部1aの厚さ方向と略平行な方向から該保持本体部1aを見た場合に、保持本体部1aの形状が略円盤型になるように成形してもよい。すなわち、ユーザ100の外耳道に対応して開口する開口領域が存在しない形状であってもよい。保持本体部1aの形状を略円盤型とすることにより、センサおよび光発電パネルを搭載できる領域は最大化する。そのため、省エネルギー、多種類かつ高精度の情報の取得に最適な耳装着型装置1を実現することができる。なお、この場合、例えば、保持本体部1aにおけるユーザ100の外耳道に対応する領域付近にイヤホン型の音出力部を設けることにより、耳装着型装置1に音出力装置としての機能を持たせることもできる。
【0038】
以上のように、保持本体部1aの形状には、いくつかのバリエーションを持たせることができる。換言すれば、各種センサ(情報取得部)および保持本体部1a(保持部)により構成される形状が、少なくともユーザ100の耳介部から対珠までの領域の一部をユーザ100の耳輪に沿って覆う形状になっていればよい。さらに付言すれば、保持本体部1aは、少なくともユーザ100の耳介部から対珠までの領域の一部をユーザ100の耳輪に沿って覆う形状であればよい。
【0039】
<充電装置10の概要>
図9は、充電装置10の外観図である。
図10は、充電装置10の主要部を示す概略図である。
【0040】
(充電装置10の構成)
図9に示すように、充電装置10は壺型であり、ケース部10aと蓋部10bとで構成される。但し、充電装置10は壺型である必要は必ずしもなく、例えば、ケース部10aのみの構成であってもよい(ケース部10aの外形についても、ユーザ100の好みに応じて任意に設計変更してよい)。充電装置10は、ケース部10a内に収納された耳装着型装置1に後述する第2可視光を照射することで、該耳装着型装置1を充電する。
図10に示すように、ケース部10a内には、第1LED光源10c(光源部)、第2LED光源10d(光源部)、受信部10e、送信部10f、基板10gおよび装置支持部10hが収容配置されている。なお、基板10gにおけるケース部10aの底面と対向する面(以下、「下面」と記載する)上には、記憶部(図示せず)および光源制御部(光源部、図示せず)が実装されている。また、基板10gとケース部10aの底面との間の領域には、バッテリー(図示せず)が配置されている。なお、バッテリーは、ケース部10aの外部に配置され、該ケース部10aとコンセント等で接続されていてもよい。以下、説明の便宜のため、蓋部10bからケース部10aの底面に向かう方向を下方向、その反対方向を上方向とする。
【0041】
第1LED光源10cは、第2LED光源10dに比して弱い放射強度の第1可視光(第1の光)を耳装着型装置1に対して放射する。耳装着型装置1は、第1可視光を受光することで、自装置が後述する装置支持部10h上で支持されている状態、すなわち充電可能状態であることを認識する。第2LED光源10dは、第1LED光源10cに比して強い放射強度の第2可視光(第2の光)を耳装着型装置1に対して放射する。耳装着型装置1は、第2可視光を受光することで光発電パネルが発電し、充電される。このような構成を採用することにより、充電装置10は、耳装着型装置1への第1可視光の照射による充電可能情報の受信を契機として、第2可視光を照射することによって耳装着型装置1を充電することができる。また、例えば、第1の光を「蛍の光」に対応させ、第2の光を「全力発光」に対応させれば、充電時においてユーザ100に与える視覚的効果に優れた充電装置10を提供することができる。また、第1の光および第2の光の組み合わせについて、「蛍の光」および「全力発光」の組み合わせだけでなく、発光強度、波長、点灯周期等を適宜設定すれば、ユーザ100の嗜好に適合させることができる。
【0042】
また、
図10に示すように、第1LED光源10cについては、3基でワンセットとして基板10gの略四隅に計12基配置されている。第2LED光源10dについては、基板10gにおける第1LED光源10cのセットとセットとの間に、基板10gの側面に略沿って計4基配置されている。なお、各光源の基数および基板10g上における配置については、上記場合に限定されない。例えば、基板10g上に第1LED光源10cのみ複数基配置し(第2LED光源10dのみの配置でもよい)、第1LED光源10cが第1可視光および第2可視光の両方を放射するようにしてもよい。また、LED光源に代えて、例えば、レーザー光源を光源部の光源として採用してもよい。換言すれば、耳装着型装置1が充電可能状態であることを認識し、かつ、光発電パネルによって充電されるような光源の基数、配置および種類であればよい。
【0043】
受信部10eは、耳装着型装置1から送信された身体状態情報を受信する。記憶部は、受信部10eが受信した身体状態情報および各種の制御プログラム等を記憶する。記憶部は、例えばハードディスク、フラッシュメモリなどの不揮発性の記憶装置によって構成される。送信部10fは、記憶部が記憶している身体状態情報をスマートフォン(外部通信機器)50に送信する。送信方法としては、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信
を採用する。なお、身体状態情報の送信先である外部通信機器として、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等を用いる場合には、WiFi(登録商標、wireless fidelity)通
信、赤外線通信および音波等の既存の無線通信を採用してもよい。また、受信部10e、記憶部および送信部10fは、身体状態情報以外でも、耳装着型装置1から送信された各種情報であればそれぞれの機能を発揮する。
【0044】
第1LED光源(光源部)10c、第2LED光源(光源部)10d、受信部10eおよび送信部10fは、基板10gの上面上に実装される。なお、記憶部、光源制御部およびバッテリーの配置は上記場合に限定されず、例えば、記憶部、光源制御部およびバッテリーの少なくともいずれかが、基板10gの上面上に実装されてもよい。
【0045】
装置支持部10hは、その上側の面上に耳装着型装置1を置くことによって、該耳装着型装置1を支持する。装置支持部10hは、耳装着型装置1が第1LED光源10cおよび第2LED光源10dから放射される各可視光を受光できるように、綿製になっている。また、装置支持部10hは、ケース部10aの内部を覆うように、第1LED光源10cおよび第2LED光源10dの上方に配置される。なお、装置支持部10hは綿製に限定されず、透光性を有し、かつ、耳装着型装置1の重力に耐え得る程度の強度を有する材料で作製されたものであればよい。また、装置支持部10hとして、例えば、ジルコニアまたはクリスタル等を第1LED光源10cおよび第2LED光源10dの上方に敷き詰めてもよい。
【0046】
光源制御部は、第1LED光源10cおよび第2LED光源10dの点灯を制御する。具体的には、ケース部10a内に耳装着型装置1が収納されていない状態、およびケース部10a内に耳装着型装置1が収納されてから受信部10eが充電可能情報を受信するまでの間は、光源制御部は、第1LED光源10cが第1可視光を比較的小さな周波数で点滅するように制御する。例えば、第1LED光源10cは、「蛍が放つ光」のように、ゆっくりと弱く光が点いたり消えたりする。一方、第2LED光源10dは、光源制御部によって消灯状態となるように制御されている。
【0047】
次に、受信部10eが充電可能情報を受信した場合、光源制御部は、第1LED光源10cを消灯し、代わりに第2LED光源10dが第2可視光を連続して放射するようにその点灯を制御する。そして、耳装着型装置1の充電が完了し、受信部10eが充電完了情報を受信した場合、光源制御部は、第2LED光源10dを消灯して、第1LED光源10cが再び第1可視光による点滅を行うようにする。
【0048】
なお、光源制御部による第1LED光源10cの点灯制御は、上記の場合に限定されない。例えば、本実施形態のように第1可視光が点滅するのではなく、連続点灯してもよい。また、例えば、ケース部10aの開口部が蓋部10bによって塞がれている間は全ての光源を消灯状態にしておく。そして、ユーザ100が蓋部10bを取り外した場合に、ケース部10aにおける蓋部10bとの接触部上に設けられた圧力センサが、蓋部10bの取り外しを検知し、その検知情報に基づいて第1LED光源10cを点滅させてもよい。そして、ユーザ100が上記開口部上に蓋部10bを置いた場合、再び全ての光源を消灯状態にしてもよい。
【0049】
さらに、例えば、上記圧力センサを装置支持部10hにおける上側の面上に設け、前記面上に耳装着型装置1が置かれた場合に第1LED光源10cの点滅を開始させてもよい。なお、耳装着型装置1が装置支持部10hにおける上側の面上に置かれるまでは、全ての光源を消灯状態にしておく。そして、ユーザ100が耳装着型装置1を把持する等によって、耳装着型装置1と装置支持部10hとが離間した場合、再び全ての光源を消灯状態にしてもよい。このように、第1LED光源10cについても消灯状態の期間を設けることで、充電装置10の消費電力をより抑制することができる。
【0050】
(充電装置10の外観)
なお、本実施形態のように、充電装置10の外形を壺型とし、第1LED光源10cから放射される第1可視光を「蛍が放つ光」のように点滅させることで、充電装置10の外観は、ユーザ100の心理面にも良い影響を与える視覚的効果があるものとなっている。すなわち、充電装置10を見たユーザ100は、その骨董品のような外形と柔らかで優しい光とによって癒されるだけでなく、心地良さを感じることができ、リラクゼーション効果を得ることができる。この効果は、例えば、充電装置10の表面に模様を付することにより、第1可視光の屈折、反射と相まって一層高まる。
【0051】
<耳装着型装置1と充電装置10とスマートフォン50との間における各種情報の送受信>
図11は、耳装着型装置1と充電装置10とスマートフォン50との間で各種情報の送受信を行っている様子を模式的に示した図である。
図11に示すように、充電装置10の装置支持部10hによって支持された耳装着型装置1は、光発電パネルで第1可視光を受光すると、LED光源から赤外光を放射することによって充電可能情報を充電装置10に送信(光無線通信)する。また、光発電パネルで第2可視光を受光すると、耳装着型装置1は、充電を開始するとともに、LED光源から赤外光を放射することによってメモリに記憶しておいた身体状態情報を充電装置10に送信(光無線通信)する。すなわち、光発電パネルは、発電素子としての機能を有するとともに、耳装着型装置1と充電装置10との間で行われる光無線通信における、受信部(光無線通信受光部)としての機能も有する。このように、自装置の充電と充電装置10への身体状態情報の送信とを並行して行うことにより、耳装着型装置1のバッテリー容量を小さくすることができ、小型バッテリー1dの耳装着型装置1への搭載が実現される。
【0052】
次に、充電装置10は、記憶部に記憶しておいた身体状態情報を、スマートフォン50のユーザ操作によって該スマートフォン50に送信する。なお、スマートフォン50は、受信した身体状態情報に基づいて、統計値または平均値の算出等各種のデータ処理を行う。そして、前記データ処理後の身体状態に関する2次情報をスマートフォン50のメモリに記憶させる。
【0053】
なお、身体状態情報は、耳装着型装置1から直接スマートフォン50に送信されてもよい。また、上記2次情報は、充電装置10に送信されて記憶部に記憶された後、充電装置10から耳装着型装置1に送信されてもよいし、スマートフォン50から直接耳装着型装置1に送信されてもよい。さらに、耳装着型装置1および充電装置10をスマートフォン50によって操作可能とし、該スマートフォン50のユーザ操作によって、身体状態情報の送受信、または耳装着型装置1および充電装置10の各種機能の設定変更等を行ってもよい。
【0054】
<耳装着型装置1および充電装置10における各種情報の処理方法>
次に、
図12を用いて、耳装着型装置1および充電装置10における各種情報の処理方法について説明する。
図12は、上記処理方法を示すフローチャートである。
図12に示すように、まず、耳装着型装置1に備えられた皮膚ガスセンサ1cその他の各種センサは、ユーザ100の複数の身体状態を検知し、身体状態情報としてメモリに送信する(ステップ100、以下、「S100」と略記する;身体状態検知工程)。
【0055】
次に、充電のために、充電装置10の装置支持部10hに耳装着型装置1を支持させた後、耳装着型装置1は光発電パネルによって第1可視光の受光を検知する(S101;第1可視光検知工程)。そして、耳装着型装置1は、自装置が充電可能状態であることを認識するとともに、LED光源から赤外光を放射することで充電可能情報を充電装置10の受信部10eに送信する(S102;充電可能情報送信工程)。
【0056】
次に、受信部10eが受信した充電可能情報は、光源制御部に送信される。そして、光源制御部は、充電可能情報を受信することにより、点滅していた第1LED光源10cを消灯するとともに、第2LED光源10dが第2可視光による連続点灯を行うよう第2LED光源10dの点灯を制御する(S103;第2可視光点灯工程)。そして、光発電パネルが第2可視光を受光することにより、耳装着型装置1の充電が開始する。また、光発電パネルが第2可視光を受光することにより、耳装着型装置1は、メモリに記憶していた身体状態情報を充電装置10の受信部10eに送信する(S104;充電/身体状態情報送信工程)。受信部10eが受信した身体状態情報は記憶部に送信され、該記憶部に記憶される(S105;記憶工程)。
【0057】
次に、耳装着型装置1の充電が完了した場合(S106(充電終了判定工程)でY)、耳装着型装置1は、LED光源から赤外光を放射することで充電完了情報を充電装置10の受信部10eに送信する(S107;充電完了情報送信工程)。一方、耳装着型装置1の充電が完了していない場合(S106でN)、耳装着型装置1は、自装置の充電が完了したか否かを再び判定する。
【0058】
次に、受信部10eが受信した充電完了情報は、光源制御部に送信される。そして、光源制御部は、充電完了情報を受信することにより、連続点灯していた第2LED光源10dを消灯するとともに、第1LED光源10cが再び第1可視光による点滅を行うよう第1LED光源10cの点滅を制御する(S108;点滅状態復帰工程)。
【0059】
<効果>
以上のように、本実施形態によれば、保持部(保持本体部1aおよびクリップ部1b)は、少なくともユーザ100の耳介部から対珠までの領域の一部をユーザ100の耳輪に沿って覆う形状となっている。したがって、例えば、ユーザ100の外耳道の開口部周辺を覆う形状に比して、保持部におけるユーザ100の耳110と対向する領域の面積が広い。そのため、例えば、上記領域に複数の種類のセンサを搭載することにより、これらのセンサの数に対応した複数の種類の情報を取得することができる。また、例えば、上記領域の複数箇所に同一種類のセンサを搭載することにより、特定の情報を精度高く取得することができる。そのため、耳装着型装置1は、複数の種類の情報を精度高く充電装置10に送信することができる。
【0060】
また、本実施形態によれば、充電装置10は、耳装着型装置1を充電しつつ、該装置から送信された身体状態情報を一旦記憶部に記憶した上でスマートフォン50に送信することができる。そのため、耳装着型装置1に容量の小さいバッテリーを用いることができことから、耳装着型装置1の小型化、軽量化および低コスト化に資する。さらに、身体状態情報は記憶部に記憶しておくことができることから、その分耳装着型装置1のメモリ容量を小さくでき、このことによっても耳装着型装置1の低コスト化に資する。
【0061】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、
図13および
図14に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
図13は、本発明の一実施形態に係る耳装着型装置2の主要部を示す概略図である。
図14の(a)は、耳装着型装置2が備えるメモリへの画像特徴データAの記憶方法を示すフローチャートである。
図14の(b)は、装着後に耳装着型装置2が行う、位置補正の方法を示すフローチャートである。
【0062】
<耳装着型装置2の概要>
図13に示すように、本実施形態に係る耳装着型装置2は、小型カメラ2a(位置特定部)、画像特徴抽出部2b(位置特定部)、位置補正決定部2c、基準位置判定部2dおよび振動部200(刺激出力部、駆動部)をさらに備えている点で、実施形態1に係る耳装着型装置1と異なる。なお、図面の理解を容易にするため、小型カメラ2a、画像特徴抽出部2b、位置補正決定部2cおよび基準位置判定部2dについては、これらの機能を実現するブロックを模式的に
図13に示している。すなわち、
図13における「小型カメラ2a」、「画像特徴抽出部2b」、「位置補正決定部2c」、「基準位置判定部2d」に係る4つのブロックは、これら4つの構成要素に係る物理的構成および配置を図示しているものではない。
【0063】
小型カメラ2aは、耳装着型装置2の装着位置に対応する耳110の皮膚を撮影するものであり、保持本体部1aにおけるユーザ100の耳110と対向する領域、すなわち、保持本体部1aの裏側の領域に搭載される。ここで、装着位置とは、ユーザ100が耳装着型装置2を装着した後のある時点における、ユーザ100の耳110に対する耳装着型装置2の相対位置をいう。なお、小型カメラ2aは、クリップ部1bの裏側の領域に搭載してもよい。
【0064】
画像特徴抽出部2bは、小型カメラ2aによって撮影された、ある時点における耳110の皮膚の画像に基づいて、その画像の特徴を示す画像特徴データを抽出する。画像特徴データとしては、例えば、画像における特徴(「輝度」、「彩度」、「色相」、シミまたは小さな傷等の「輪郭」の画像内における位置または範囲等)を示す一般的な画像特徴量を用いればよい。
【0065】
位置補正決定部2cは、画像特徴抽出部2bによって抽出された画像特徴データに基づいて、耳装着型装置2を基準位置に移動させるか否かを決定する。基準位置判定部2dは、画像特徴抽出部2bによって抽出された画像特徴データに基づいて、耳装着型装置2が基準位置に移動したか否かを判定する。ここで、基準位置とは、ユーザ100が耳装着型装置2を装着するのに適した、ユーザ100の耳110に対する耳装着型装置2の相対位置をいう。また、ユーザ100の好みの装着位置(基準位置)に対応する耳110の皮膚を小型カメラ2aで撮影し、得られた画像から画像特徴抽出部2bによって抽出した画像特徴データ(以降の説明において、“画像特徴データA”と記載する)は、あらかじめ耳装着型装置2のメモリ(図示せず)に記憶させておいてもよいし、耳装着型装置2の外部のメモリに記憶させてもよい。
【0066】
なお、画像特徴抽出部2b、位置補正決定部2cおよび基準位置判定部2dも小型カメラ2aと同様、保持本体部1aの裏側の領域に搭載される(クリップ部1bの裏側の領域に搭載してもよい)。あるいは、画像特徴抽出部2b、位置補正決定部2cおよび基準位置判定部2dは、保持本体部1aまたはクリップ部1bの表側の領域に搭載してもよい。但し、光発電パネルを配置する領域の確保、耳装着型装置2の外観等を考慮すれば、保持本体部1aの裏側の領域に画像特徴抽出部2b、位置補正決定部2cおよび基準位置判定部2dを搭載するのがより好適である。
【0067】
振動部200は、位置補正決定部2cによって耳装着型装置2を基準位置に移動させると決定された場合に、耳装着型装置2が基準位置に移動するように振動(駆動)するものであり、バイオメタル201、振動棒202およびバネ203を備える。また、振動部200は、基準位置判定部2dによって耳装着型装置2が基準位置に移動した旨の判定がされた場合に、その振動を終了する。振動部200は、保持本体部1aの外周部における、ユーザ100の耳介部周辺に対応する領域に搭載されているが、例えば、保持本体部1aの裏側の領域に搭載されてもよい。換言すれば、振動部200は、保持部(保持本体部1aおよびクリップ部1b)のいずれかの領域に備えられていればよい。
【0068】
バイオメタル201は、Ti−Ni系の形状記憶合金を原料として作製された、ファイバ型のアクチュエータである。電流を流すことによって自己発熱し、強い力で収縮するとともに、電流を止めることによって元の長さまで伸びる。したがって、バイオメタル201に例えばパルス電流を流すことによって、バイオメタル201は収縮および伸長を繰り返す。
【0069】
バイオメタル201は、保持本体部1aにおける外周面の法線方向に対して傾斜するように、保持本体部1aの外周面および振動棒202における前記外周面と対向する部分に取り付けられる。換言すれば、バイオメタル201は、保持本体部1aの厚さ方向と略平行な方向から見た場合、略山型状に連なった状態で保持本体部1aおよび振動棒202に取り付けられる(
図13参照)。バイオメタル201をこのように取り付けることで、例えば、上記外周面の法線方向と略平行に取り付ける場合に比して、使用するバイオメタル201の長さが長くなる。そして、長さが長くなった分、バイオメタル201の収縮量および伸長量も増大するので、振動時における振動棒202の振幅が大きくなり、強い振動を得ることができる。そのため、消費電力を抑制しつつ、確実に耳装着型装置2を移動させることができる。なお、上記のようなバイオメタル201の取り付けは一例にすぎず、例えば、バイオメタル201の上記法線方向に対する傾斜角度は任意に変更できる。また、バイオメタル201が上記法線方向と略平行になるように取り付けられてもよい。
【0070】
振動棒202は、保持本体部1aの厚さ方向と略平行な方向から見た場合に略円弧型であり、かつ、金属製または樹脂製の棒である。振動棒202が保持本体部1aの略径方向に振動することによって耳装着型装置2も振動し、該耳装着型装置2が基準位置に移動する。振動棒202の形状を略円弧型とすることで、例えば、保持本体部1aの外周部を全て覆う略O字型に比して少ない材料で作製でき、耳装着型装置2の軽量化および低コスト化を図ることができる。
【0071】
また、振動棒202は、ユーザ100の耳介部周辺の部位と接触するため、振動棒202の振動が直接ユーザ100の耳110に伝わる。したがって、バイオメタル201に流す電流の大きさ、バイオメタル201の取り付け方を適宜変更することで、振動棒202に、耳110およびその周辺の血流が良くなる程度の刺激(生体刺激)を与える振動を発生させることができる。そして、この振動によって耳110の調子が良くなり、ユーザ100にリラクゼーション効果がもたらされる。この場合、振動部200は、耳装着型装置2を基準位置まで移動させる駆動部としての機能のみならず、リラクゼーション効果をもたらす生体刺激を発生させる生体刺激部としての機能をも有する。それゆえ、装着した状態でユーザ100が心地良さを感じつつ、複数の種類の情報を精度高く取得できる耳装着型装置2を提供することができる。
【0072】
バネ203は、保持本体部1aに対して振動棒202を振動可能な状態で保持する。バネ203は、等間隔で4個、保持本体部1aにおける外周面の法線方向と略平行に、保持本体部1aの外周面および振動棒202における前記外周面と対向する部分に取り付けられる。なお、バネ203の個数は任意に変更できる。
【0073】
なお、振動部200の配置については上記場合に限定されず、例えば、ユーザ100の耳垂周辺に対応する位置に搭載してもよい。また、振動棒202の形状も略円弧型に限定されず、例えば、保持本体部1aの厚さ方向と略平行な方向から見た場合の形状が略O字型であり、保持本体部1aの外周面全体を覆う形状であってもよい。換言すれば、各種センサ(情報取得部)、振動部200(出力部)および保持本体部1a(保持部)により構成される形状が、少なくともユーザ100の耳介部から対珠までの領域の一部をユーザ100の耳輪に沿って覆う形状になっていればよい。
【0074】
また、振動部200以外の駆動部によって耳装着型装置2を基準位置に移動させてもよい。例えば、保持本体部1aの裏側の領域に、複数の小型タイヤを搭載し、同じく前記裏側の領域に搭載された複数の小型モータによって該複数の小型タイヤを回転させることで、耳装着型装置2を基準位置に移動させてもよい。さらに、振動部200の他、例えば、後述する温熱部(熱の強弱)、噴霧部(香水等による香りの発生)、磁気発生部(磁力の強弱)あるいは部位押圧部(押圧力の強弱)を刺激出力部として用いることにより、ユーザ100に対してリラクゼーション効果および治療効果の少なくともいずれか一方をもたらす生体刺激を与えるようにしてもよい。さらに、刺激出力部としてLEDを用いてもよい。具体的には、
図17の(b)に示すように、複数のLEDを保持本体部1aの裏側の領域全面に亘って配置し、複数のLEDから放射された赤外光を、ユーザ100の外耳道を通じて脳の松果体に照射させることにより、ユーザ100に不快な刺激を与えることなくユーザ100の眠気を予防する効果が得られる。これにより、耳装着型装置1は、例えば、車両運転用の事故予防装置としても機能させることができる。換言すれば、耳装着型装置1は、出力部として、眠気予防効果、リラクゼーション効果および治療効果の少なくともいずれか1つの効果をもたらす生体刺激をユーザに対して与える刺激出力部を備えていればよい。
【0075】
<耳装着型装置2における位置補正方法>
位置補正を行うために、耳装着型装置2をユーザ100が基準位置に装着した状態で、画像特徴データAを耳装着型装置2のメモリに記憶させる。具体的には、
図14の(a)に示すように、ユーザ100の好みの装着位置に耳装着型装置2を装着し、その位置に対応する耳110の皮膚を小型カメラ2aで撮影する。得られた画像データは、画像特徴抽出部2bに送信される(S200;基準位置撮影工程)。そして、画像特徴抽出部2bは、受信した画像データから画像特徴データAを抽出する(S201;基準位置特定工程)。抽出された画像特徴データAはメモリに送信され、該メモリに記憶される(S202;基準位置記憶工程)。
【0076】
次に、実際の位置補正方法について説明する。
図14の(b)に示すように、まず、ある時点における耳装着型装置2の装着位置において、小型カメラ2aにより撮影された耳110の皮膚に係る画像データを画像特徴抽出部2bに送信する(S210;第1装着位置撮影工程)。次に、画像特徴抽出部2bは、受信した画像データから画像特徴データBを抽出し、該画像特徴データBを位置補正決定部2cに送信する(S211;第1装着位置特定工程)。ここで、“画像特徴データB”とは、ある時点における耳装着型装置2の装着位置において、小型カメラ2aにより撮影された画像データから抽出された画像特徴データのことをいう。
【0077】
次に、上記画像特徴データBを受信した位置補正決定部2cは、画像特徴データAをメモリから呼び出し、両者を比較する。そして、画像特徴データBにより示される画像特徴量と、画像特徴データAにより示される画像特徴量との差が所定の閾値以上であった場合、位置補正決定部2cは、耳装着型装置2の基準位置への移動を決定する(S212(基準位置移動決定工程)でY)。そして、前記決定結果を受信した振動部200は振動を開始し、耳装着型装置2は基準位置への移動を開始する(S213;基準位置移動工程)。一方、画像特徴データAおよび画像特徴データBのそれぞれにより示される画像特徴量の差が閾値より大きかった場合(S212でN)、位置補正決定部2cは、改めて画像特徴データを抽出し、その画像特徴データに基づいて、耳装着型装置2を基準位置へ移動させるか否かを再び判断する。
【0078】
S213の後、小型カメラ2aは、再び耳110の皮膚を撮影し、取得した画像データを画像特徴抽出部2bに送信する(S214;第2装着位置撮影工程)。画像特徴抽出部2bは、受信した画像データから画像特徴データ(以降、“画像特徴データB´”と記載する)を抽出し、該画像特徴データB´を基準位置判定部2dに送信する(S215;第2装着位置特定工程)。そして、画像特徴データB´を受信した基準位置判定部2dは、画像特徴データAをメモリから呼び出し、両者を比較する。そして、画像特徴データB´により示される画像特徴量と、画像特徴データAにより示される画像特徴量との差が閾値より少ない場合、基準位置判定部2dは、耳装着型装置2が基準位置に移動したと判定する(S216(基準位置判定工程)でY)。そして、上記判定結果を受信した振動部200は振動を終了する(S217;振動終了工程)。一方、S216における判断ステップで、画像特徴データAおよび画像特徴データB´のそれぞれにより示される画像特徴量の差が閾値よりも大きな場合(S216でN)、基準位置判定部2dは、改めて画像特徴データを抽出し、その時点の画像特徴データに基づいて、耳装着型装置2の基準位置への移動を終了させるか否かを再び判定する。
【0079】
<効果>
以上のように、本実施形態によれば、振動部200は、位置特定部(小型カメラ2aおよび画像特徴抽出部2b)によって特定された装着位置に基づいて、位置補正決定部2cが耳装着型装置2を基準位置に移動させると決定した場合、耳装着型装置2が基準位置に移動するように振動する。そのため、耳装着型装置2は、その装着位置が基準位置に来るように適宜位置修正されることから、ユーザ100は、快適な状態を保ちながら耳装着型装置2を装着することができる。
【0080】
〔実施形態3〕
<耳装着型装置1および2への出力部の搭載>
耳装着型装置1および2には、例えば、これらの保持本体部1aに各種物理量を出力する出力部(図示せず)をさらに搭載してもよい。出力部を備えることによって、耳装着型装置1および2は、バリエーション豊富でなおかつユーザ100の身体状態に的確に整合した機能をユーザ100に提供することができる。それゆえ、リラクゼーション効果および治療効果の少なくともいずれか一方(眠気予防効果、リラクゼーション効果および治療効果の少なくともいずれか1つの効果)をユーザ100に与えつつ、複数の種類の情報を精度高く取得できる耳装着型装置1および2を実現することができる。出力部としては、例えば、スピーカ(物理量;「音」)、LED(物理量;「光」)、温熱部(物理量;「熱」)、噴霧部(物理量;「匂い」)、磁気発生部(物理量;「磁力」)および部位押圧部(物理量;「力」)等が想定される。
【0081】
なお、各種センサ(情報取得部)、出力部および保持本体部1a(保持部)により構成される形状が、少なくともユーザ100の耳介部から対珠までの領域の一部をユーザ100の耳輪に沿って覆う形状になるように、上記の各出力部のいずれかを保持本体部1a上に搭載する。
【0082】
スピーカは、身体状態情報の内容を音声に変換してユーザに伝達するものであり、骨伝導スピーカで構成されてもよい。また、スピーカは、耳装着型装置1および2に備えられた受信部(図示せず)が外部装置(ラジオ、スマートフォン、パーソナルコンピュータ等)から受信した情報を音声に変換してユーザ100に伝達してもよい。
【0083】
さらに例えば、耳装着型装置1および2の保持本体部1aに、情報取得部としてマイク(各種情報;「音声」)を保持させてスピーカおよびマイクを併用することにより、耳装着型装置1および2を、同時通訳用の端末としても機能させることができる。具体的には、ユーザが発話したときの音声をマイクが集音してその音声情報を特定のサーバに送信し、当該サーバは音声情報に基づいて、ユーザの発話内容を所望の言語に翻訳する。そして、サーバから送信された翻訳後の音声情報を上記の受信部が受信し、スピーカが翻訳後の音声情報を音声に変換してユーザ100に伝達してもよい。
【0084】
なお、情報取得部としてのマイクを、例えば、充電装置10のケース部10aの内部に配置して、スピーカを備えた耳装着型装置1または2と充電装置10とを併用することにより、両者を音声認識用デバイスとして構成してもよい。具体的には、耳装着型装置1または2を装着したユーザ(“第1ユーザ”とする)は、当該装置に備えられたマイクに対して発話する。そして、当該マイクで集音された音声に係る音声情報をサーバに送信し、当該サーバから当該音声情報を充電装置10のスピーカに送信し出力する。このようにしてスピーカに出力された音声を第1ユーザとは別のユーザ(“第2ユーザ”とする)が聞き取ることによって、第1ユーザの発話内容が第2ユーザに伝わる。また、第2ユーザの発話内容を充電装置10に設けられたマイクにより集音し、集音された音声情報をサーバ経由で送信して、耳装着型装置1または2のスピーカに出力すれば、第2ユーザの発話内容が第1ユーザに伝わる。このようにして、耳装着型装置1または2と、充電装置10との両者を音声認識用デバイスとして構成し、第1ユーザと第2ユーザとの通話を実現できる。もちろん、耳装着型装置1または2と、充電装置10との間の音声情報の送受信において、サーバを経由することは必須ではなく、耳装着型装置1または2と、充電装置10との間で音声を直接送受信してもよい。
【0085】
また、耳装着型装置1または2、充電装置10の作動制御、あるいはこれらの装置が備えている各種機能の設定を、ユーザ100の音声入力により行ってもよい。具体的には、ユーザ100は、充電装置10に備えられたマイクに対して所望する充電装置10の作動・機能の内容を発話する。充電装置10は、当該マイクで集音された音声に係る音声情報を光源制御部・機能設定部(機能設定部について図示せず)に送信する(サーバを経由してもよい)。そして、光源制御部は、受信した音声情報に基づいて、第1LED光源10cおよび第2LED光源10dの点灯をユーザ100が所望する点灯態様になるよう制御する。また、機能設定部は、受信した音声情報に基づいて、充電装置10が備えている各種機能のうち、ユーザ100が所望する機能が作動するように設定する。
【0086】
また、耳装着型装置1または2を装着したユーザ100が、当該装置に備えられたマイクに対して所望する作動・機能の内容を発話し、当該マイクで集音された音声に係る音声情報に基づいて、耳装着型装置1または2の駆動部・刺激出力部の作動をユーザ100が所望する態様に制御し、あるいはユーザ100が所望する機能を果たす駆動部等が作動するように設定してもよい。
【0087】
さらに、例えば、耳装着型装置1または2を装着したユーザ100が、当該装置に備えられたマイクに対して発話することで、所望する充電装置10の作動・機能を設定できるように構成してもよい。具体的には、耳装着型装置1または2は、当該マイクで集音された音声に係る音声情報を充電装置10に送信する(サーバを経由してもよい)。充電装置10は、受信した音声情報に基づいて、例えば光源制御部によって第1LED光源10cおよび第2LED光源10dの点灯をユーザ100が所望する点灯態様になるよう制御し、あるいは機能設定部によって充電装置10が備えている各種機能のうち、ユーザ100が所望する機能が作動するように設定する。一方、ユーザ100が充電装置10に向けて発話し、充電装置10のマイクが集音した音声に係る音声情報をユーザ100が装着している耳装着型装置1または2に送信することで、当該装置の作動制御・機能設定を行ってもよい。
【0088】
また、耳装着型装置1または2、充電装置10の少なくともいずれかと送受信可能な情報処理端末(音楽プレーヤー、スマートフォン等)の作動制御・機能設定を、ユーザの音声入力により行ってもよい。具体的には、例えば、ユーザ100が、耳装着型装置1に向けて自信が所望する当該装置の作動・機能の内容を発話する。そして、当該マイクで集音された音声に係る音声情報を、耳装着型装置1から情報処理端末に送信する(サーバを経由してもよい)。さらに、当該耳装着型装置1から当該音声情報を受信した情報処理端末を、当該音声情報に基づいてユーザ100が所望する作動態様になるよう制御し、あるいは情報処理端末が備えている各種機能のうち、ユーザ100が所望する機能が作動するように設定する。なお、耳装着型装置2と情報送受信が可能な情報処理端末、充電装置10と情報送受信が可能な情報処理端末について、それぞれ上述の作動制御・機能設定を行ってもよい。
【0089】
LEDは、可視光または赤外光を放射し、様々な光を放射するLEDを複数搭載することで、色彩鮮やかなイルミネーションとしての機能および光治療機能を持たせることができる。温熱部は、ユーザ100の耳110を温めるものであり、電熱線またはペルティエ素子により構成される。温熱部は、ユーザ100の身体状態に応じてその発熱を制御できるようにしてもよい。噴霧部は、耳装着型装置1および2に備えられた液体格納部(図示せず)に格納された液体(例えば、香水等)を耳110周辺に噴霧する。噴霧部は、ユーザ100の身体状態に応じて液体の噴霧量および成分構成を制御できるようにしてもよい。
【0090】
磁気発生部は、電流が流れることによってユーザ100の耳110周辺に磁場を発生させる。ユーザ100の身体状態に応じて磁場の大きさが変化するよう、磁気発生部に流れる電流値を制御できるようにしてもよい。部位押圧部は、ヒトの耳およびその周辺の部位における、「ツボ」に相当する部位と対向するように配置され、当該部位を押圧する。ユーザ100の身体状態に応じて押圧力の大きさを制御できるようにしてもよい。この部位押圧部による「ツボ」に相当する部位の押圧によって、治療効果のみならずリラクゼーション効果、さらにはダイエット効果などのいわゆる「耳ツボ効果」を得ることができる。なお、「耳ツボ効果」は、部位押圧部以外の他の出力部によっても得ることができる。例えば、振動部200による振動、LEDによる光の照射または温熱部による熱の伝導などを利用することによっても「耳ツボ効果」は得られる。
【0091】
<充電装置10への処理部の配置>
充電装置10には、例えば、ケース部10aの内部に、記憶部に記憶された身体状態情報に基づいて、ユーザ100の所望する身体状態に関するデータを算出する処理部を収容配置してもよい。処理部としては、例えば、CPU(Central Processing Unit、図示せず)を用いることができる。充電装置10に備えられたバッテリーは、耳装着型装置1および2に備えられた小型バッテリー1dに比して大型であるため、処理部をさらに収容配置することにより、充電装置10において複雑かつ大量のデータ処理が可能となる。
【0092】
なお、上記身体状態に関するデータとしては、例えば、特定の身体状態情報における数か月間の平均値、特定の身体状態情報の数か月分のデータをグラフ化したもの、複数の身体状態情報から導かれた発症可能性のある病気の一覧表等が想定される。
【0093】
<女性のための健康支援システムへの適用>
耳装着型装置1および2、並びに充電装置10は、例えばスマートフォン50またはパーソナルコンピュータとともに使用することで、女性のための健康支援システムを構築することができる。
【0094】
具体的には、咀嚼センサで検知されたユーザ(女性)100の咀嚼に基づいて、ユーザ100の食事時間を測定する。また、皮膚センサでユーザ100の皮膚状態を定点検知し、皮膚状態の時間変化を測定および分析する。そして、食事時間および皮膚状態の測定データは、耳装着型装置1および2のメモリに記憶させる。前記メモリに記憶させた測定データは、充電装置10に送信してもよいし、スマートフォン50等に直接送信してもよい。また、上記測定データの収集および管理、データ統計処理は、充電装置10で行ってもよいし、スマートフォン50等で行ってもよい。
【0095】
このような健康支援システムを構築することで、ユーザが機器操作に疎い女性であっても、容易に食事時間および皮膚状態の測定データを収集、管理等できるとともに、適切にダイエットを行っているかが容易に把握できる。また、ジルコニアまたはクリスタルを散りばめる等して、耳装着型装置の外観をジュエリー感覚でお洒落にしたり、充電装置を宝石箱型にしたりすることで、女性ユーザにとってより一層親しみやすい健康支援システムを提供できる。
【0096】
〔実施形態4〕
本発明の他の実施形態について、
図15に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
図15の(a)は、本発明の一実施形態に係る耳装着型装置3の保持本体部およびクリップ部を示す概略図である。
図15の(b)は、上記保持本体部等によって保持されるセンサ等の機能を実現する、機能ブロックの一例を示す模式図である。
図15の(c)は、上記センサ等を保持した状態の耳装着型装置3の一例を示す概略図である。
【0097】
<耳装着型装置3の概要>
本実施形態に係る耳装着型装置3は、各種センサ3e(情報取得部)、小型バッテリー1d、各種アクチュエータ3f(出力部)および各種装飾部品3gが、
図15の(a)に示す保持本体部1a上およびクリップ部1b上に着脱自在に搭載されている点で、実施形態1〜3に係る耳装着型装置1および2と異なる。
【0098】
なお、15の(a)に示された略O字型の保持本体部1aおよびクリップ部1bの形状はあくまで一例であり、例えば、保持本体部1aがユーザ100の耳110の全体を覆うような略円盤型の形状となってもよい(図示せず)。換言すれば、各種センサ3e(情報取得部)、各種アクチュエータ3f(出力部)および保持本体部1a(保持部)により構成される形状が、少なくともユーザ100の耳介部から対珠までの領域の一部をユーザ100の耳輪に沿って覆う形状であればよい。
【0099】
各種センサ3eとしては、例えば、実施形態1にて説明した脈波センサ等を用いることができる。また、各種アクチュエータ3fとしては、例えば、マッサージ効果のある振動が発生する振動部、実施形態3にて説明したスピーカ等を用いることができる。さらに、各種装飾部品3gとしては、例えば人工ダイヤ等を用いることができる。
【0100】
ここで、
図15の(b)が、各種センサ3e、小型バッテリー1d、各種アクチュエータ3fおよび各種装飾部品3gの機能を実現する機能ブロックを模式的に示している点については、
図13等と同様である。また、本実施形態で示した各種センサ3e等以外でも、例えば、通信機能、記憶機能、演算機能および制御機能等を有する各種部品を、保持本体部1a上およびクリップ部1b上に着脱自在に搭載してもよい。
【0101】
耳装着型装置3は、例えば
図15の(c)に示すような位置に各種センサ3e等を配置し、保持本体部1a等によって保持することにより、ユーザ100の所望する機能および外観を有する装置となる。なお、
図15の(c)に示された各種センサ3e等の種類、配置および個数はあくまで一例であり、ユーザ100の好み、耳装着型装置3の用途等に応じて、保持本体部1aおよびクリップ部1bの任意の位置に、任意の種類および個数の各種センサ3e等を搭載することができる。
【0102】
<効果>
以上のように、本実施形態に係る耳装着型装置3は、ユーザ100の好み、各耳装着型装置の用途等に応じて様々な種類のセンサおよびアクチュエータを選択し、搭載等することができる。すなわち、ユーザ100が自由自在にカスタマイズできる耳装着型装置を実現することができる。
【0103】
〔実施形態5〕
本発明の他の実施形態について、
図16に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0104】
図16の(a)は、本発明の一実施形態に係る耳装着型装置4の保持本体部およびクリップ部を示す概略図である。
図16の(b)は、耳装着型装置4に備えられるセンサ等の機能を実現する、機能ブロックの一例を示す模式図である。
図16の(c)は、上記センサ等を電気的に接続した状態の耳装着型装置4の一例を示す概略図である。
図16の(d)は、耳装着型装置4の保持本体部によって覆われる、ユーザの耳の部位を示す模式図である。
【0105】
<耳装着型装置4の概要>
本実施形態に係る耳装着型装置4は、保持本体部1aに代えて保持本体部4aを備えている点で、実施形態1〜4に係る耳装着型装置1〜3と異なる。また、本実施形態に係る耳装着型装置4は、各種センサ3e、小型バッテリー1dおよび各種アクチュエータ3fが互いに連接されている点でも、実施形態1〜4に係る耳装着型装置1〜3と異なる。さらに、本実施形態に係る耳装着型装置4は、各種センサ3e、小型バッテリー1dおよび各種アクチュエータ3fが、保持本体部4a上およびクリップ部1b上に着脱自在に搭載されている点で、実施形態1〜3に係る耳装着型装置1および2と異なる。
【0106】
保持本体部4aは、
図16の(a)および(d)に示すように、ユーザ100の耳輪脚の一部を覆う形状および大きさとなっている。なお、
図16の(a)に示された保持本体部4aの形状および大きさはあくまで一例であり、例えば、ユーザ100の耳輪脚の一部に加えて耳珠の一部をも覆うような形状となってもよい(図示せず)。
【0107】
ここで、
図16の(b)が、各種センサ3e、小型バッテリー1d、各種アクチュエータ3fおよび各種装飾部品3gの機能を実現する機能ブロックを模式的に示している点については、
図15の(b)と同様である。
【0108】
図16の(c)に示すように、まず、各種センサ3e、小型バッテリー1dまたは各種アクチュエータ3fのいずれか1つを保持本体部4aによって保持する。そして、保持本体部4aによって保持された部品を起点として、ユーザ100が選択した他の各種センサ3e等を順次連接する。さらには、各種センサ3e等に対して着脱自在に取り付け可能な各種装飾部品3gをユーザ100の好みの位置に取り付けることで、耳装着型装置4を実現することができる。
図16の(c)では、互いに連接された複数の各種センサ3e等からなる構造体4hが略O字型の形状をしている。
【0109】
なお、
図16の(c)に示された各種センサ3e等の種類、配置および個数はあくまで一例であり、任意の種類および個数の各種センサ3e等を、ユーザ100の好み、耳装着型装置4の用途等に応じて適宜連接することができる。また、本実施形態では、保持本体部4aは1つの部品しか保持しないものの、保持本体部4aが複数の部品を保持できるような構造になっていてもよい。
【0110】
さらに、構造体4hの形状および大きさもユーザ100の好み、耳装着型装置4の用途等に応じて適宜変更することができる。すなわち、各種センサ3e、各種アクチュエータ3fおよび保持本体部4aが連接されてなる構造体4hの形状が、少なくともユーザ100の耳介部から対珠までの領域の一部をユーザ100の耳輪に沿って覆う形状であればよい。
【0111】
<効果>
本実施形態に係る耳装着型装置4の効果は、実施形態4に係る耳装着型装置3と同様である。
【0112】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。なお、本発明に係る耳装着型装置は、ユーザの耳に装着される耳装着型装置であって、各種情報を取得する情報取得部および各種物理量を出力する出力部の少なくとも1つを保持する保持部を備え、上記保持部は、少なくとも上記ユーザの耳介部から対珠までの領域を上記ユーザの耳輪に沿って覆う形状である耳装着型装置としても表現できる。