特許第6094883号(P6094883)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6094883
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】まくらぎ連結装置
(51)【国際特許分類】
   E01B 3/18 20060101AFI20170306BHJP
【FI】
   E01B3/18
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-123911(P2013-123911)
(22)【出願日】2013年6月12日
(65)【公開番号】特開2014-240585(P2014-240585A)
(43)【公開日】2014年12月25日
【審査請求日】2015年12月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】506183085
【氏名又は名称】佐藤 泰生
(74)【代理人】
【識別番号】100078709
【弁理士】
【氏名又は名称】浅賀 一樹
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 泰生
【審査官】 須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−299633(JP,A)
【文献】 特開2002−275802(JP,A)
【文献】 特開平09−165702(JP,A)
【文献】 特開2000−085043(JP,A)
【文献】 特開平06−284542(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第01420112(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01B 3/00
E01B 3/16
E01B 3/18
E01B 3/20
E01B 3/22
E01B 3/32
E01B 3/38
E01B 3/44
E01B 3/46
E01B 3/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦まくらぎ位置にレールを載置する角筒状の縦まくらぎ用の第1の鋼板製筒を形成し、前記第1の鋼板製筒に間隔をおき、しかもレール長手方向との直角位置に複数個の第2の鋼板製筒を一体形成し、前記第1・第2の鋼板製筒を上面板、両側面板、前後板および下面板で形成し、前記各第2の鋼板製筒に横まくらぎを遊挿するとともに前記各第2の鋼板製筒の両端にスペーサーを密に装着し、また前記各第2の鋼板製筒内の横まくらぎの周囲に不透水性の第1液体接着剤を注入かつ充填・硬化させてなる密嵌筒部を形成することを特徴とするまくらぎ連結装置。
【請求項2】
第2の鋼板製筒の両側面板および下面板を不透水性の薄板で接着することを特徴とする請求項1のまくらぎ連結装置。
【請求項3】
間隔をおいて配置した複数個の第2の鋼板製筒を前後板で結合してなる第1の鋼板製連結筒の箱部分内に不透水性かつ発泡性の有機液体を注入かつ発泡させてなる充填材を充填することを特徴とする請求項1のまくらぎ連結装置。
【請求項4】
上面板および下面板が、それぞれ両端部を「I」字形また中間部を「十」字形に一体形成した鋼板であることを特徴とする請求項1のまくらぎ連結装置。
【請求項5】
第2の鋼板製筒および第1の鋼板製連結筒の箱部分の各下面板、両側面板、前後板の外面に不透水性の薄板を接着し、しかも前記薄板を一体形成することを特徴とする請求項3のまくらぎ連結装置。
【請求項6】
まくらぎが断面凸状若しくはL字状であり、第2の鋼板製筒の切欠上部にアングルを取付けて挿通孔を形成することを特徴とする請求項1のまくらぎ連結装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は鉄道用まくらぎの連結装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から下記特許文献1等で示すように枠形まくらぎ構造が知られている。なお本明細書で枠形まくらぎ構造とは窓枠形のみならず、横まくらぎを縦まくらぎの外方まで延長する、いわゆる跳ね出し部を有する梯子段形のものも含むものである。
【0003】
従来例では縦まくらぎと両端の横まくらぎに挿通孔を穿設し、前記挿通孔に棒状の鋼材を貫挿し、まくらぎ外部でナット締めしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−279603
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】なし
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来例によると前記棒状の鋼材の両端やワッシャ、ナットがまくらぎの外方にあるので、バラスト中の水、土砂およびこれらに含まれる酸類など、腐食性をもつ物質と直接、接触することによって腐食が発生する欠点がある。
【0007】
また従来例では信号ケーブル等をレール下部の横まくらぎに沿って通す場合の防護策が講じられていない。
【0008】
本発明は前記従来例の欠点を解消することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の手段は、縦まくらぎ位置にレールを載置する角筒状の第1の鋼板製筒を形成し、前記第1の鋼板製筒に間隔をおき、しかもレール長手方向との直角位置に複数個の第2の鋼板製筒を一体形成し、前記第1・第2の鋼板製筒を上面板、両側面板、前後板および下面板で形成し、前記各第2の鋼板製筒に横まくらぎを遊挿するとともに前記各第2の鋼板製筒の両端にスペーサーを密に装着し、また前記各第2の鋼板製筒内の横まくらぎの周囲に不透水性の第1液体接着剤を注入かつ充填・硬化させてなる密嵌筒部を形成することを特徴とするものである。
【0010】
本発明の第2の手段は、前記第1の手段において、第2の鋼板製筒の両側面板および下面板を不透水性の薄板で接着することを特徴とするものである。
【0011】
本発明の第3の手段は、前記第1の手段において、間隔をおいて配置した複数個の第2の鋼板製筒を前後板で結合してなる第1の鋼板製連結筒1の箱部分内に不透水性かつ発泡性の有機液体を注入かつ発泡させてなる充填材を充填することを特徴とするものである。
【0012】
本発明の第4の手段は、前記第1の手段において、上面板および下面板が、それぞれ両端部を「I」字形また中間部を「十」字形に一体形成した鋼板であることを特徴とするものである。
【0013】
本発明の第5の手段は、前記第3の手段において、第2の鋼板製筒および第1の鋼板製連結筒の箱部分の各下面板、両側面板、前後板の外面に不透水性の薄板を接着し、しかも前記薄板を一体形成することを特徴とするものである。
【0014】
本発明の第6の手段は、前記第1の手段において、まくらぎが断面凸状若しくはL字状であり、第2の鋼板製筒の切欠上部にアングルを取付けて挿通孔を形成することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の第1の手段によれば、第2の鋼板製筒内の横まくらぎが接する面を不透水性の液体接着剤を注入かつ充填・硬化させてなる密嵌筒部で囲んで接着しているので、バラスト中において水、土砂の接触が防止され、腐食防止効果がある。
【0016】
本発明の第2の手段によれば、前記第1の手段の効果に加え、第2の鋼板製筒の外面におけるバラストに接する面に不透水性の薄板を接着しているので、鋼板製筒の外周自体が水、土砂の接触を免れ、より腐食防止効果が大きい。
【0017】
本発明の第3の手段によれば、前記第1の手段の効果に加え、鋼板製連結筒の箱部分内が不透水性の発泡剤によって充填されているから、何らかの理由で前記連結箱内に水、土砂が浸入しようとしてもこれを防ぐことができる。
【0018】
本発明の第4の手段によれば、第1の手段による効果に加え、第1、第2の鋼板製筒を極めて容易に製造することができる。
【0019】
本発明の第5の手段によれば、第3の手段による効果に加え、第2の鋼板製筒のみならず第1の鋼板製連結筒つまりすべてのまくらぎ連結装置の水、土砂の接触を免れ、さらに腐食防止効果が大きい。
【0020】
本発明の第6の手段によれば、第1の手段による効果に加え、信号用のケーブルや鋼棒等を挿通孔に通して、これらを確実に防護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の平面図である。
図2】同上の一部を欠いたA−A断面図である。
図3】同上の部分拡大断面図である。
図4】B−B拡大断面図である。
図5】本発明の分解斜視図である。
図6】本発明の他の実施態様の部分斜視図である。
図7】同上のC−C拡大断面図である。
図8】同上のD−D拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1図5で示すように縦まくらぎ位置aにレールR1を載置可能な角筒状の第1の鋼板製筒1を形成し、縦まくらぎ位置aと横まくらぎ位置bとの直交位置に角筒状の第2の鋼板製筒1a、1a、1a・・・を複数個、間隔をおいて形成する。具体的には前記間隔において第2の各鋼板製筒1a、1a、1a・・・を前後板41、41で一体的に連結して第1の鋼板製連結筒1の箱部分4、4、4・・・と、いわゆる跳び出し部を有する梯子段形の枠形まくらぎ構造を形成し、縦まくらぎ用の第1の鋼板製筒1上にレールR1をタイプレートR3を介して載置する。図中、符号R2はレール締結装置である。
【0023】
各第1、2の鋼板製筒1、1aは図5の部材で形成する。上面板10および列車荷重をバラストに伝達する下面板12をそれぞれ両端部を「I」字形また複数の中間部を「十」字形に一体的に形成する。
【0024】
これを具体的に説明すると、上面板10のうちレール長手方向に位置する部分がレールR1の載置部分となり、上面板10のレール長手方向位置に注入孔4aを穿ち、前記上面板10のレール長手方向と直交する短冊状部分をまくらぎ2の挿入の際の上面板10とし、前記各短冊状部分にも注入孔51、51を穿つ。
【0025】
下面板12の形状も注入孔4a、51、51を有さない点を除いて上面板10と同一である。
【0026】
各上面板10と下面板12とを間隔を有する垂直板から成る側面板11、11を介して溶接し、図2・3で示す各第2の鋼板製筒1aを形成し、各鋼板製筒1a、1a、1a・・・の間隔に垂直板から成る前後板41、41を介して溶接し、図3・4で示す各鋼板製連結筒1の箱部分4、4、4を形成する。
【0027】
図1で示すように相対峠する鋼板製筒1a、1aに例えばコンクリート製の横まくらぎ2を図3で示すように遊挿し、図4で示すように各鋼板製筒1aの両端にウレタン等の合成ゴム等によるスペーサー14、14を嵌入し、横まくらぎ2と鋼板製筒1aとの均等な隙間に注入孔51から例えば発泡ウレタン樹脂などの不透水性かつ発泡性の有機液体材料による接着剤を注入かつ充填・硬化させて密嵌筒部3(図3で明示)を形成し、各鋼板製筒1aの上面板10を除く外周面(両側面板11、11、第1下面板12)および箱部分4の上面板10を除く外周面(前後板41、下面板12)にゴム板等の不透水性薄板6(図5で明示)を一体的に接着する。
【0028】
さらに図4で示すように各箱部4内に注入孔4aから不透水性かつ発泡性の有機液体を注入かつ発泡させてなる充填材5を充填する。
【0029】
図6〜8は前記の本発明の変形例であり、レールR1下部を通す例えばコンクリート製の横まくらぎ2に信号用ケーブルCや鋼棒等を防護するために配置する手段を有するもので、まくらぎ2自体を断面凸状に形成し、各鋼板製筒1a内に挿通したまくらぎ2の切欠両上部13,13に形成される空間にアングル7、7を取付けて挿通孔8、8を形成し、信号用ケーブルCや鋼棒をアングル7、7に収容して使用するものであり、例えば鋼棒の場合、これを転てつ器のフロントロッド若しくは転てつ棒にするなど、多くの使用が可能となる。
【0030】
なお前記変形例ではまくらぎ2自体を断面凸状に形成したが、まくらぎ2を図8の仮想線で示すように断面L字状にして挿通孔8を一方にしてもよい。
【0031】
前記両発明の形態とも基本的な原理は同一であり、変形例については最初の本発明と同一符号を付けてその詳細な説明を省略する。
【符号の説明】
【0032】
a 縦まくらぎ位置
b 横まくらぎ位置
R1 レール
R2 レール締結装置
1 第1の鋼板製筒
1a 第2の鋼板製筒
2 横まくらぎ
3 密嵌筒部
4 箱部分
5 充填材
6 薄板
7 アングル
8 挿通孔
10 上面板
11 両側面板
12 下面板
13 切欠上部
14 スペーサー
41 前後板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8