(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
射出成形機の金型により成形されたスプール、ランナー、ゲート及び製品部で構成された配管部材成形品の少なくとも前記ランナーと前記製品部とをチャックで把持し、前記成形品を前記金型から前記射出成形機外へ取り出す取り出し機と、該取り出し機と連動して前記ゲートの一部を一次切断する切断部を有する一次ゲートカット機と、一次切断後に前記製品部に残ったゲート残部を二次切断する二次ゲートカット機とを備えたことを特徴とする配管部材のゲート自動切断装置。
前記一次ゲートカット機が、前記切断部を前記チャックの垂直軸方向に対して旋回及び昇降させる駆動部を備えたことを特徴とする請求項1に記載の配管部材のゲート自動切断装置。
【背景技術】
【0002】
製鉄、化学工場、半導体工場等の化学パイプライン、水族館、給水設備、浄水設備と排水処理施設等で使用される樹脂製の配管部材は、金型を用いた射出成形機にて生産される。射出成形機では、射出成形機のノズルから射出された溶融プラスチック材料が金型のスプール、ランナーを経て、製品部を成形するための空間(キャビティ)へ流入する。キャビティへの流入口であるゲートは、ランナーと比較して幅が狭い制限ゲートが通常用いられる。このような射出成形品は、一般的に、型開き後、取り出し機を用いて金型から取り出した後に、スプール、ランナーをゲート部分で切断(ゲートカット)して製品側から分離する必要がある。このゲートカットは作業者が手作業により行う場合の他、例えばロボットハンドにエアーニッパーを装備してなるゲートカット装置を用いて行う場合がある。
【0003】
例えば、ロボットハンドにエアーニッパーを装備してなるゲートカット装置として、射出成形品を把持ロボットのハンドにより把持し、その動作範囲内に配置されたニッパーによりゲートを切断する装置が先に提案されている(特許文献1参照)。また、ランナーに複数の製品部を有する成形品を保持するチャックユニットを移動制御してニッパー部材の切断可能位置まで成形品を移送し、ニッパー部材をゲート位置に応じて回転させて切断するゲート切断装置が先に提案されている(特許文献2参照)。
【0004】
一方、配管部材の成形品の中でプラスチック材料の流動性が必要なものに対しては、
図6(a)に示すように、スプール62、ランナー63、ゲート64及び複数の製品部61とから構成され、いわゆるオーバーラップゲート方式で成形品6が生産されている。このオーバーラップゲート方式は、ゲート64の一端が製品部61に重なりあう複雑なゲート形状であり、
図6(b)に示すように、一次切断65だけではゲート残部641が発生するため、二次切断66を要する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された装置では、把持ロボットがひとつだけしか設けられておらず、成形品の一部しか把持できないため、上述した複数の製品部を有する成形品のゲートを切断すると、把持されていない部分が落下するという問題があった。また、特許文献2に記載された装置は、ゲートに対して一方向のみを切断し、把持された複数の製品部とゲートを切り離すだけであり、
図6(b)に示すように、二次切断、若しくは2つの異なる方向に切断を要するゲート形状には、適用できないという問題があった。そのため、依然として配管部材成形品のゲートを切断する作業は、一次切断、もしくは二次切断のいずれか一方の作業に、特許文献1や特許文献2に開示されている装置を用い、他方の作業を人手により行われている現状である。また、成形品や製品部を装置等へ供給する作業等も、人手を介して行われている現状である。
【0007】
本発明は、上記のような従来技術の課題に鑑みなされたものであり、配管部材のゲート切断作業に際し、作業者の労力を軽減することができると共に、迅速且つ確実に2つの異なる方向のゲート切断を行うことができる配管部材のゲート自動切断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このため本発明は、射出成形機の金型により成形されたスプール、ランナー、ゲート及び製品部で構成された配管部材成形品の少なくとも前記ランナーと前記製品部とをチャックで把持し、前記成形品を前記金型から前記射出成形機外へ取り出す取り出し機と、該取り出し機と連動して前記ゲートの一部を一次切断する切断部を有する一次ゲートカット機と、一次切断後に前記製品部に残ったゲート残部を二次切断する二次ゲートカット機とを備えたことを第1の特徴とする。
【0009】
また、前記一次ゲートカット機が、前記切断部を前記チャックの垂直軸方向に対して旋回及び昇降させる駆動部を備えたことを第2の特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、以下の優れた効果を有する。
(1)配管部材成形品の取り出しからゲート切断作業までを自動化することにより、人手を介すことがないため、製品部の生産所要時間を短縮することができると共に、作業者の労力を軽減、作業の安全性を確保することができる。
(2)一次ゲートカット機と二次ゲートカット機は、個別に設けられているため、単純なゲート形状から複雑なゲート形状まで切断することができる。また、一次ゲートカット機と二次ゲートカット機の切断方向を異ならせることで、2つの異なる方向にゲートを切断できる。
(3)二次ゲートカット機は、製品搬送兼押し付け部により、押し付けながら拘束して切断するため、精度よく切断できる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、
図1〜
図6を参照して、本発明の第一の実施形態である配管部材のゲート自動切断装置について説明する。
【0015】
本発明に係る配管部材のゲート自動切断装置1は、
図6(a)に示すような、スプール62、ランナー63、ゲート64及び複数の製品部61で構成された配管部材の成形品6を分離切断するゲート自動切断装置であり、
図1に示すように、射出成形機3の金型から成形品6を射出成形機3外へ取り出す取り出し機2と、取り出し機2と連動してゲートの一部を切断する切断部であるニッパー41を有する一次ゲートカット機4と、一次切断後に製品部61に残ったゲート残部641を二次切断する二次ゲートカット機5とから構成される。
【0016】
図1、
図2を参照して、ゲート自動切断装置1の一次工程である一次切断に関する動作を説明する。尚、文中の括弧付番号は、
図2に示した括弧付番号と対応している。取り出し機2は、
図1に示すように、その先端に、成形品6を把持する複数のチャック21がチャック支持部22を介して備えており、射出成形機3の上方を水平方向に横行及び走行可能、また上下方向へ昇降可能とされている。チャック支持部22は、内部に旋回可能な回転ユニットが設けられており、チャック21は、
図6に示すスプール62、ランナー63及び製品部61を夫々把持するよう構成されている。また、チャック21は、様々なサイズの被チャック材に対応できるよう、把持範囲を拡縮可能に設けられている。
図2に示すように、取り出し機2は、所定の待機位置から射出成形機3へ向かって下降(1)後、射出成形機3内で成形品に向かって前進(2)し、成形品6をチャック21にて確実に把持(3)した後、後退(4)し上昇(5)して、射出成形機3内から成形品6を取り出す。
【0017】
取り出し機2は、一次ゲートカット機4の上方へ向かって走行(6)し、停止後、一次ゲートカット機4に向かって下降(7)し、所定の位置で停止する。そして取り出し機2の下方に位置する一次ゲートカット機4が、把持されている成形品6のゲートカット位置に応じて、ニッパー41を旋回し、把持された成形品6と共にチャック21が下降してランナーとゲートの切り離し(8)を行う。この動作を製品部61の個数分繰り返す。ゲートカット位置は、
図6(b)に示す一次切断65の箇所となり、成形品6は、スプール62、ランナー63及びゲート64の一部と、ゲート残部641の付いた複数の製品部61とに切り分けられる。この際、取り出し機2の走行動作や、チャック支持部22の旋回動作により、ゲートカット位置が一次ゲートカット機4の上方に位置するよう調整される。一次ゲートカット機4は、
図1に示すように、エアーシリンダーからなる昇降制御部421と、サーボモーターと減速機からなる回転制御部422とからなる駆動部42と、回転制御部422の先端に2本のブレード411からなるニッパー41とを有しており、前述した動作を可能としている。また、その制御は取り出し機2と連動しており、取り出し機2がニッパー41の上方まで走行(6)したことを検知して一次ゲートカット機4が旋回動作を開始すると共に取り出し機2の下降動作(7)が行なわれ、ゲート切断動作(8)を行ない、その後、取り出し機2が上昇(9)動作を完了したことを検知することで、一次ゲートカット機4が下降動作するように設定されている。これにより、ニッパー41は、ゲート切断時にのみ上昇し、切断後は下降するため、ニッパー41と取り出し機2や把持された成形品6との干渉が防止される。
【0018】
次に取り出し機2は、製品部61の形状を固化させるため、製品部61を冷却する工程へと進む。取り出し機2は、自然空冷槽7の上方へ向かって走行(10)し、停止後、自然空冷槽7へ向かって下降(11)し、所定の位置で停止する。停止後、取り出し機2に備えられた複数のチャック21は、複数の製品部61の把持を順次解除し、自然空冷槽7内の定められた位置へ製品部61を順次配置(12)する。配置完了後、チャック21に把持されたままのスプール62及びランナー63を排出するため、取り出し機2は、上昇(13)して回収容器(図示せず)等が配置された所定の位置へ走行(14)、下降(15)し、複数のチャック21がスプール62及びランナー63の把持を解除して排出する(16)。
【0019】
取り出し機2は、上昇(17)し再度自然空冷槽7の上方へ向かって走行(18)し停止する。製品部61が自然空冷槽7内に配置されて所定の冷却時間を経過した後に、取り出し機2は、自然空冷槽7へ向かって下降(19)し、自然空冷槽7内の複数の製品部61をチャック21により再度把持して上昇(21)し、複数の製品部61を自然空冷槽7から取り出す。
【0020】
取り出し機2は、二次ゲートカット機5に向かって走行(22)し、二次ゲートカット機5が有する製品部受け511の上方で停止し、いずれかひとつの製品部61が製品部受け511の上方に位置するようチャック支持部22が旋回(23)する。取り出し機2が下降(24)し、チャック21が製品部61の把持を一つだけ解除(25)して製品部61を一つだけ製品部受け511へ排出して受け渡す。製品部受け511は、製品部61をセンサーにより検知すると、定位置から下降して受け取った製品部61を反転させ、上昇して再度定位置に戻る。定位置に戻った成形品受け511の上方に位置するチャック支持部22は、次の製品部61が製品部受け511の上方に位置するよう再度旋回(23)し、次の製品部61のチャック21が把持を解除して製品部61を一つだけ製品部受け511へ排出(25)して受け渡す。このようにチャック21が把持している製品部61の個数分だけ、旋回(23)と排出(25)を繰り返し、製品部受け511へ製品部61を順次受け渡していく。チャック21に把持されていた製品部61が全て受け渡されると、取り出し機2は、上昇(26)し、所定の待機位置へ走行(27)して、次の成形品6の受け取りに備える。以上のように、取り出し機2が射出成形機3から成形品6を取り出し、一次ゲートカット機4により1次切断を行い、二次ゲートカット機5へ製品部61を受け渡すことで、ゲート自動切断装置の一次工程は構成されている。
【0021】
次に、
図2〜
図5を参照して、ゲート自動切断装置1の二次工程である二次ゲートカット機5に関する動作及び構造について説明する。概略の動作としては、取り出し機2から受け取った製品部61を反転させて搬送し、一次切断後の製品部61に残ったゲート残部641を切断する。二次ゲートカット機5は、
図4、
図5に示すように、土台となる基部55の上部に、反転部51と、一次搬送エリア52と、二次搬送エリア53と、操作部57を有し、基部55の最下部には車輪等を設けて可搬性を有している。
【0022】
反転部51は、基部55上に設けられた2本のスライドレール515と、これらスライドレール515間の上部に設けられた製品部受け511と、製品部受け511を挟持し下方向に90°反転可能とするエアーシリンダー(反転駆動部)513と、エアーシリンダー(反転駆動部)513及び製品部受け511をスライドレール515に沿って昇降可能とする昇降駆動部512とで構成されている。
図4に示すように、製品部受け511は、搬送方向(
図4中矢印方向)に向かって下方に傾斜した勾配の角度Xを設けた板体であり、製品部受け511に載置された製品部61が、ゲート残部641の自重により傾斜した製品部受け511の載置面を滑り、ゲート残部641が搬送方向側を自然と向くことを可能としている。角度Xは、製品部61の全品種に適応させるため、搬送方向に向かって−20°>X>−10°が好ましい。また、滑落防止のため、製品部受け511の端部には係止片514が設けられている。このように構成された反転部51により、製品部受け511は、
図2に示すように、下降し、下方向へ90°反転し、製品部61を180°反転させた状態で一次搬送エリア52へ送り出す。角度Xは−20°より大きいと製品部61を受けたとき製品部61落下を防止し、−10°より小さいと傾斜面をスムーズに滑ることが可能となる。
【0023】
一次搬送エリア52では、
図2に示すように、180°反転した製品部61のゲート残部641の位置を安定させて二次搬送エリア53へ搬送する。一次搬送エリア52は、
図3に示すように、プッシャー部521を有しており、プッシャー部521は、反転した製品部61を側面から押して搬送するプッシャー522と、プッシャー522を前後移動可能とするプッシャー駆動部523と、ゲート残部641が嵌るよう基部上面(搬送面)551に設けられ搬送方向を規制可能とする溝部524とから構成されている。プッシャー522は、製品部61を押して安定的に搬送することが出来る形状であれば、製品部61に接する部分の形状はV字状又は半円状などのように中央部分が窪んだ形状に形成されていればよい。プッシャー駆動部523はプッシャー522を前後に繰り返して突き出すよう制御している。また、一次搬送エリア52の基部上面(搬送面)551は、
図5に示すように、溝部524に向かって傾斜した路となっており、反転した反動でゲート残部641が溝部524から外れても、搬送中に自ずと溝部524へ寄せられる寄せ機構を有している。これらの構成により、搬送される製品部61を搬送方向の中心寄りに位置させ、反転後、製品部61の底面に位置するゲート残部641を搬送方向の中心位置に導いて安定させ、二次搬送エリア53へ搬送することを可能としている。
【0024】
二次搬送エリア53では、
図2に示すように、製品部61を搬送すると共に上部から押し付けて、ゲート残部641の切断(二次切断)を行う。切断時には、製品部61の押圧を増して搬送面に押し付けてゲート残部641を確実に切断し、製品部61を排出する。二次搬送エリア53は、
図3、4に示すように、基部55の上部に設けられた搬送兼押し付け機531と、基部上面(搬送面)551に設けられたゲート残部用溝56と、ゲート残部用溝56に鋸刃541の一部を突出させて設けられた二次切断部54とを有しており、安全のため搬送兼押し付け機531は、耐衝撃性に優れた樹脂又はガラス及び窓枠で囲まれている。二次搬送エリア53内の基部上面(搬送面)551は、一次搬送エリア52側に搬送方向の中心に向けて複数のガイドレール58が設けられており、一次搬送エリア52内で溝部524にゲート残部641が嵌らない、若しくは嵌っていたゲート残部641が溝部524から外れた際に、再度ゲート残部641をこれらのガイドレール58に当接させて搬送方向の中心寄りとさせる。これらガイドレール58の搬送方向側の基部上面(搬送面)551には、ゲート残部用溝56が設けられており、その溝幅は、位置調整されたゲート残部641が十分に通過できるよう、ゲート残部の幅より大きく設けられている。
【0025】
搬送兼押し付け機531は、
図4に示すように、製品搬送兼押し付け部532と、製品搬送兼押し付け部532を製品部61に押し付ける押し付け駆動部533と、製品搬送兼押し付け部532及び押し付け駆動部533を前後に摺動可能とさせる製品搬送部534及び搬送駆動部535とから構成されている。製品搬送兼押し付け部532は、
図4、
図5に示すように、段差のある凸形状に形成され、凸形状の先端部を下方向に向けて設けられている。そのため、製品部61のサイズに関わらず、凸形状の側面が、
図6に示す内径部611に線または点接触して牽引することで、搬送される製品部61と、基部上面(搬送面)551との摩擦抵抗を最小とすることができる。また、凸形状の段差を設けたことにより、段差と内径部611とが係合し、搬送方向と押し付け方向の二方向に力を加えることが可能となる。従って、製品搬送兼押し付け部532の形状は、製品部61を搬送及び押し付け可能とする形状であれば何れでの形状でも使用することができる。押し付け駆動部533は、製品搬送兼押し付け部532の上部に設けられ、内部に駆動源を有し、製品搬送兼押し付け部532を上下に作動させることを可能とする。製品搬送部534は、二次搬送エリア53の後端に設けられた搬送駆動部535と押し付け駆動部533とを、スプロケットやチェーンやボールネジ等を介して接続し、搬送駆動部535の回転力により、押し付け駆動部533及びその下部に設けられた製品搬送兼押し付け部532を前後に直線移動させる。これらの構成により、搬送兼押し付け機531は、二次搬送エリア53内において、製品部61を搬送すると共に、下方への押圧を可能としている。
【0026】
二次切断部54は、
図4に示すように、鋸刃541と、鋸刃541を回転可能に接続された鋸刃駆動部542とから構成される。鋸刃541は、
図3に示すように、丸鋸刃で、その一部がゲート残部用溝56に突出しており、ゲート残部用溝56内を通過するゲート残部641を切断する。ゲート残部用溝56のガイドレール58側には、センサー(図示せず)が設けられており、ゲート残部641を検知すると、鋸刃駆動部542を起動させて鋸刃541を回転させ、搬送兼押し付け機531により搬送される製品部61のゲート残部641を自動切断(
図2に示す二次切断)する。この際、押し付け駆動部533が製品搬送兼押し付け部532を下部の製品部61に向けて押圧し、切断されたゲート残部641が周囲に飛散することを防止する。切断後は、製品搬送兼押し付け部532の押圧が解除されて製品部61が出口59側へ搬送されて、ゲートが切断された製品部61が排出される。
【0027】
次に、
図7〜9を参照して本発明の他の実施形態について説明する。他の実施形態においては、二次ゲートカット機5に関する動作及び構造が第一の実施形態と異なる。尚、第一の実施形態と同一の箇所には同一の符号を付し、以下では第一の実施の形態との相違点を主に説明する。
【0028】
まず、他の実施形態における二次ゲートカット機5に関する動作について説明する。取り出し機2は、いずれかひとつの製品部61が製品部受け511の上方に位置するよう移動する。
図7に示すように、取り出し機2が下降(24)し、製品部受け511が上昇して製品部61を保持後、チャック21が製品部61の把持を一つだけ解除(25)して製品部61を一つだけ製品部受け511へ排出して受け渡す。製品部受け511は、製品部61をセンサーにより検知すると、定位置から下降して受け取った製品部61を180°上下反転させ、上昇して再度定位置に戻る。定位置に戻った成形品受け511の上方に位置するチャック支持部22は、次の製品部61が製品部受け511の上方に位置するよう移動し、次の製品部61のチャック21が把持を解除して製品部61を一つだけ製品部受け511へ排出(25)して受け渡す。
【0029】
反転部51は、
図8に示すように、基部55上に設けられた2本のスライドレール515と、これらスライドレール515間の上部に設けられた製品部受け511と、製品部受け511を挟持し下方向に180°反転可能とするエアーアクチュエータ(反転駆動部)513と、エアーアクチュエータ(反転駆動部)513及び製品部受け511をスライドレール515に沿って昇降可能とする昇降駆動部512とで構成されている。製品部受け511は、
図10に示すように、先端にゴムの付いた2本の把持棒511aが製品部61の内周に当接して押圧することで把持可能とされている。取り出し機2が所定の位置まで下がると製品部受け511が上昇し2本の把持棒511aが製品部61を保持する。保持後、所定の位置まで降下し、下方向へ180°反転し、製品部受け511が水平方向に回転し赤外線センサーによりゲート残部641の位置を認識しゲート残部641を操作部57のある二次ゲートカット機5の正面側である操作側、または操作部57のない二次ゲートカット機5背面側の反操作側へ移動させ、押圧を解除し、製品部61を180°反転させた状態で一次搬送エリア52へ送り出す。製品部61の反転した動きを
図10に二点鎖線で示す。
【0030】
一次搬送エリア52では、
図7に示すように、180°反転した製品部61のゲート残部641の位置を安定させて二次搬送エリア53へ搬送する。一次搬送エリア52は、
図8に示すように、プッシャー部521を有しており、プッシャー部521は、反転した製品部61を側面から押して搬送するプッシャー522と、プッシャー522を前後移動可能とするプッシャー駆動部523と、ゲート残部641を反操作側へ回転により移動させる回転テーブル81とから構成されている。回転テーブル81は、小判状に形成されたテーブル上面に樹脂製の角材81aを離間して並べた構成とされており、その下部に設けられた駆動装置82により回転可能とされている。この構成により、回転テーブル81は、反操作側へゲート残部641が向くように水平方向へ180°回転し、製品部61は、回転後、プッシャー522により二次搬送エリア53へ搬送される。
図8に示すように、一次搬送エリア52の基部上面(搬送面)551は、上面に樹脂製の角材81aが搬送方向に向かって溝をなすよう角材81aが離間して並べられており、製品部61を保護すると共に、滑らかに搬送できるよう構成されている。
【0031】
二次搬送エリア53では、
図7に示すように、製品部61を搬送すると共に上部から押し付けて、ゲート残部641の切断(二次切断)を行う。切断時には、製品部61の押圧を増して搬送面に押し付けてゲート残部641を確実に切断し、製品部61を排出する。二次搬送エリア53は、
図9に示すように、基部55の上部に設けられた搬送兼押し付け機531と、基部上面(搬送面)551に設けられた複数の角材81aと、角材81aの反操作側に設けられた二次切断部54とを有しており、安全のため搬送兼押し付け機531は、耐衝撃性に優れた樹脂又はガラス及び窓枠で囲まれている。二次搬送エリア53内の基部上面(搬送面)551の反操作側に位置する角材81aよりも反操作側にゲート残部641が配置され、二次切断部54によりゲート残部641が切断される。この際に、二次切断部54の位置は、製品部61のサイズにより調整される。
【0032】
他の実施形態における搬送兼押し付け機531の製品搬送兼押し付け部532は、板状に形成されており、製品搬送兼押し付け部532を製品部61の上部へ軽く押し付けてスライドさせて搬送する。
【0033】
尚、本発明の配管部材のゲート自動切断装置は、上記した実施例に限定されるものではない。例えば、自然空冷槽7は、空冷式、常温や低温の空気をファン等により吹き付ける風冷式や水槽による水冷式等の製品部61を冷却する装置を備えていれば何れでも使用することができ、冷却が不要であれば設けずとも良い。また例えば、製品搬送兼押し付け部532の形状は、製品部61に合わせて逆角錐形状や逆円錐形状とする等、適宜選択しても良く、本実施例に限定されるものではない。また、本発明の配管部材のゲート自動切断装置は、成形品6のゲート形状がオーバーラップゲート以外のゲート形状であっても適用できることは自明の理である。さらに、切断部はニッパー41以外でも丸鋸グラインダー、ジグソーやカッター等の切断が可能なものであれば何れでも使用することができる。チャック21はスプール62、ランナー63及び製品部61を夫々把持すると記載しているが、形状により成形品6の少なくともランナー63と製品部61とを夫々把持することが望ましい。またさらに、他の実施形態においては
図7に示すように、反転部51、及び回転テーブル81により製品部61を水平方向に回転させる2段階の回転方式を採用しているが、例えば反転部51、もしくは回転テーブル81のみによる、1段階の回転方式としても良い。このように、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、本実施例から種々変更を加えることは言うまでもない。