特許第6094896号(P6094896)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6094896電源又はポンプとして使用可能なエンジン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6094896
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】電源又はポンプとして使用可能なエンジン
(51)【国際特許分類】
   F01B 13/04 20060101AFI20170306BHJP
   F02B 63/04 20060101ALI20170306BHJP
   F02B 57/00 20060101ALI20170306BHJP
   F02B 63/06 20060101ALI20170306BHJP
【FI】
   F01B13/04
   F02B63/04 A
   F02B57/00 B
   F02B63/06 A
【請求項の数】13
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-531523(P2013-531523)
(86)(22)【出願日】2011年9月30日
(65)【公表番号】特表2013-542363(P2013-542363A)
(43)【公表日】2013年11月21日
(86)【国際出願番号】NZ2011000205
(87)【国際公開番号】WO2012044185
(87)【国際公開日】20120405
【審査請求日】2014年9月30日
(31)【優先権主張番号】588122
(32)【優先日】2010年9月30日
(33)【優先権主張国】NZ
(73)【特許権者】
【識別番号】513079502
【氏名又は名称】グレース モーター ワークス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001346
【氏名又は名称】特許業務法人 松原・村木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホワイト、 ウィリアム ルイス
【審査官】 佐藤 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特表2003−517531(JP,A)
【文献】 特開2005−249127(JP,A)
【文献】 特表2003−530507(JP,A)
【文献】 特表2004−528506(JP,A)
【文献】 特表昭62−501161(JP,A)
【文献】 国際公開第83/001091(WO,A1)
【文献】 英国特許出願公告第01260112(GB,A)
【文献】 米国特許第01918174(US,A)
【文献】 米国特許第02417894(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01B 13/00−06
F02B 57/00−10
F02B 63/00−06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力軸に対して取り付けられたロータを含むエンジンであって、当該ロータは、前記ロータ内に又は前記ロータ上に配置された1つ以上のピストンシリンダアセンブリーを有し、当該1つ以上のピストンシリンダアセンブリーの長手方向軸は、前記ロータの周辺リムに対して接線方向に方向づけられ、前記ロータ又は出力軸は、前記ロータと同じ、前記ロータよりも速い又は遅い速度で回転するローブカムを有し、前記各ピストンシリンダアセンブリーは前記ロータ及び出力軸の軸からオフセットされた支点又は揺動点にて前記ロータに対して取り付けられたレバー部材の遠位端に接続されたピストンを有し、前記レバー部材は近位端にて前記ローブカムに支承され、前記ローブカムは側面視でテーパが付されたカム表面を有し、当該ローブカムの軸方向の動きによって前記近位端の前記カム表面との接点が変わることで必要に応じてストローク長さを増減変化させることが可能とされ、圧縮及び燃焼によって、各ピストンが対応するシリンダ内を移動し、連続的に前記ロータを回転させる、エンジン
【請求項2】
前記支点又は揺動点の配置を変えることが可能である、請求項1に記載のエンジン
【請求項3】
ピストンシリンダアセンブリーは、シリンダ内の連接棒の動きを直線化するための関節式に連接された連接棒(articulated connecting rod)を有する、請求項1に記載のエンジン
【請求項4】
各レバー部材は、その近位端に、ローブカム(lobed cam)に接触するために使用するのに適したローラを有する、請求項2に記載のエンジン
【請求項5】
出力を増減するために必要に応じてストローク長さを調節することができる、請求項1〜4のいずれか一項に記載のエンジン
【請求項6】
追加力が必要な場合、前記エンジンからの動力出力を調整するために、前記ピストンのボア(bore(s))における停滞タイミング(dwell timing)を調整するように、前記ローブカムは、前記ロータに対して軸周りに回転可能である、請求項4に記載のエンジン
【請求項7】
各レバー部材はその近位端に球面又は曲面ローラを有し、そして前記ローブカムの表面は、側面視でテーパが付されたランプ(ramps)であり、一方、カムの軸方向の動きによって、カム表面に対するローラの接点が異なることが可能なように、前記ローラに接触する先端は平面であり、その結果、前記ピストンをそのボアの下のほうまでさらに移動させる一方で、前記ピストンを同じ場所のTDCまで常に持って行くことによって、ストローク長さを変えて、必要に応じて動力出力が増減調整可能となる、請求項2に記載のエンジン
【請求項8】
前記カムはロータと同心状に配置される、請求項1〜7のいずれか一項に記載のエンジン
【請求項9】
2つ以上のカムが前記レバー部材の近位端に隣接して配置され、前記ピストンを制御する前記2つ以上のカムは、ギア又はタイミングベルトによってリンクされかつタイミング合せされ(timed)、かつその隣接するレバー部材に個々に動きを伝達する、請求項4に従属する場合に請求項4乃至請求項7のいずれか一項に記載のエンジン
【請求項10】
環状デザインの電機子が前記ロータに固定され、かつ固定巻線(stationary winding)又はその他の構造が、これに対して放射線状に同心に配置され、これによって、発電するために前記エンジンの外部の機関を必要としない発電手段を提供する、請求項1に記載のエンジン。
【請求項11】
前記ロータの回転によってポンプ/フィルタを通して遠心誘導された流れを発生させるために、遠心処理液体ポンプ/フィルタが前記ロータに取り付けられる、請求項1又は請求項10に記載のエンジン。
【請求項12】
前記エンジンの回転によって発電及び濾過熱媒液が得られるように、遠心洗浄された液体はその後、前記エンジンの液体冷却バリアントの冷却システムによって所定の温度まで加熱される、請求項10又は請求項11に記載のエンジン。
【請求項13】
2つの、又は4つの、又は6つ以上のシリンダエンジンを生産するために、前記ロータは、2つのシリンダを支持し、それぞれ2つのシリンダを支える1つ以上の類似のロータを前記出力軸と共通の出力軸に沿って配置可能である、請求項1〜12のいずれか一項に記載のエンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエンジンに関し、特に、電源又はポンプのいずれかとして使用し得るエンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
大部分のピストンエンジンは本来非効率的であることが認識されている。ピストンの運動や、時々各ピストンは静止又はドラッグ状態のいずれかになり、これによってエンジンのクランクで利用可能なエネルギー量が低減するという事実を含む、いくつかの要因が、この非効率性の原因である。また、各圧縮又はポンプ・ストロークの間にピストンをそのボア(bore)の上部まで移動させるために、エネルギーが必要である。
【0003】
既存の内燃機関における非効率の他の原因は、エンジンを機能可能にさせるために必要なギア、カム及びその他の機器を作動するためにエネルギーが使用されるということである。このエネルギーの使用は効率低下をもたらし、最終的な分析では、エンジンからの出力としてごくわずかなパーセンテージの入力エネルギーだけが伝達される。
【0004】
回転式エンジンは、上記の問題のいくつかを克服する。しかし、ロータリーエンジンは複雑で、可動部と可動部の間のシーリングの問題がある。ロータリーエンジンは、標準的なピストン及びシリンダエンジンのデザインを劇的に変えたが、結果的に、信頼性の問題をもたらし得る複雑なシーリング及び設計上の問題を引き起こした。
【0005】
ハイブリッドエンジンは、他のタイプの公知のエンジンである。ハイブリッドエンジンの一例は、欧州特許第0964136号に記載されており、エンジンブロックの周縁近くの燃焼室に対して開いている複数のボアを有する円筒ころを画定するエンジンのブロックを備えた回転式エンジン構成である。ピストンは、各ボア内に配置される。各ピストンはそれ自体のクランクを有し、回転は遊星ギア配置を介してエンジンブロック/ロータに伝達される。入力ポート、スパークプラグ及び出力ポートは、従来のロータリーエンジンと同じ態様でエンジンハウジングの周縁の周りに配置される。このエンジン構成について述べられている効果は、ピストンの力/動きがほぼ完全に、エンジンの回転動作に変換され、これによって従来のピストンエンジンよりもサイズ/重量単位でより大きい動力出力を生み出すということである。他の効果は、エンジンの回転性質が、バルブを利用する必要性を排除し、よって従来のエンジンにおけるバルブの損傷という関連問題が除去されるということである。このようなエンジンにはまだ、ピストン棒とロータをつなぐ遊星ギアボックスにおけるシーリング上の大きな問題及び損失がある。
【0006】
他のハイブリッドエンジンが、オーストラリア特許第8496/27号に記載されている。このエンジンは、主要な回転部材に接線方向に配置されたシリンダの連続回転グループを有するタイプである。対応するピストンは、断続的に回転している。ピストンは、回転の中心を軸として枢転されるピストンレバーに取り付けられる。このエンジンの正しい運転を達成するために、ピストンは、シリンダを介して回転部材にエネルギーを伝達できるように、燃焼中いずれの方向の動きに対してもロックされなければならない。燃焼後、ピストンは、次の燃焼ストロークのために上死点に戻るために、回転部材の速度の二倍に加速しなければならない。従って、ギアとレバーの精巧な配置は、このようにピストンを操作する必要がある。ピストンは回転速度の二倍で移動しなければならないので、エンジンの最大速度は、ピストンを静止から上死点まで動かすことのできる能力によって制限される。
【0007】
上述の欠点と同様に、既存のピストンエンジンにおいて、ピストンがそのストロークの上部と底部に留まる時間は非常に短い。なぜならば、ピストン移動の極値に達した瞬間に方向を変更するように、クランクシャフトが作動するためである。これによってドエル(dwell)が低減し、燃焼室内のガスの不完全燃焼を引き起こす。この不完全燃焼のガスは、排気ガスで放出され、その結果、エンジンの非効率と大気汚染をもたらす。
【0008】
従って、本発明の目的は、稼働するのに効率的かつ経済的なエンジンを提供することである。本発明の他の目的は、そのサイズ及び重量に対して高い回転慣性及びトルクを有するエンジンを提供することである。
【0009】
本発明のさらに他の目的は、多様な機能的ニーズに応じるために様々な態様で制御することができるエンジンを提供することである。
【0010】
また、本発明のさらに他の目的は、公知のエンジンの欠点のいくつかを改良するエンジンを提供すること、又は少なくとも公衆に対して有用な代替となる選択肢を提供することである。
【発明の概要】
【0011】
第1の態様では、本発明は、出力軸に対して取り付けられたロータを含むエンジンであって、当該ロータは、ロータ内に又はロータ上に配置された1つ以上のピストンシリンダアセンブリーを有し、当該1つ以上のピストンシリンダアセンブリーの長手方向軸は、ロータの周辺リムに対して接線方向に方向づけられ、ロータ又は出力軸は、ロータと同じ、ロータよりも速い又は遅い速度で回転するローブカムを有し、圧縮及び燃焼によって、各ピストンがエンジンの静止部分に対して連続的にロータを回転させる、エンジンを提供する。
【0012】
ピストンシリンダアセンブリーは、ロータ及び出力軸の軸からオフセットされた支点又は揺動点にてロータに対して取り付けられたレバー部材に接続されたピストン又は連接棒を有する。各レバー部材は、その近位端に、ローブカムに接触するために使用するのに適したローラ等を有する。
【0013】
エンジンの一実施形態におけるストローク長さは、エンジン出力を増減するために必要に応じて調節することができる。
【0014】
一実施例では、環状デザインの電機子をロータに固定することができ、かつ固定巻線(stationary winding)又はその他の構造が、これに対して放射線状に同心に配置され、これによって、発電するためにエンジンの外部の機関を必要としない発電手段を提供する。
【0015】
エンジン速度に適合するように位相補正を機械的にアレンジすることができ、またその逆も同様であることを、当業者は容易に理解するであろう。
【0016】
交互又は同期使用とは、ロータの回転によってポンプ/フィルタを通して遠心誘導された流れを発生させるために、遠心処理液体ポンプ/フィルタをロータに搭載することであり得る。その後、遠心洗浄された液体を、エンジンの液体冷却バリアントの冷却システムによって所定の温度まで加熱することができる。よって、エンジンの回転によって発電及び濾過熱媒液を得ることができる。
【0017】
本発明の内燃機関としての使用に言及して、以下に本発明について記載する。ポンプとしてのエンジンの使用は除外されず、当該使用は、当業者の能力の範囲内とする。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係るエンジンの4ストロークの例の断面図を示す添付の図1を参照して、本発明の一実施例を以下に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係るエンジンの一実施例が図1に示される。以下の説明は、エンジンとして利用可能なユニットについてのものであるが、当然のことながら、当業者は、このユニットがポンプとして使用できることを理解するであろう。
【0020】
エンジンは、図示されていない適切なハウジングに関連して搭載されたロータ1を含む。ロータ1は出力軸2に取り付けられる。ロータ1は、この例において、その長手方向軸がロータ1の周縁に対して接線方向となるように取り付けられた一対のシリンダ3、3’を有する。当然のことながら、必要に応じて3つ以上のシリンダをロータに取り付けることができる。ロータ1は作動している間、実際にはエンジンに追加の慣性を生み出すフライホイールとして作用している。各シリンダ3、3’のボア4、4’の中には、ピストン5、5’が取り付けられている。各シリンダ3、3’及びその関連ピストン5、5’は、標準ピストンシリンダアセンブリーであり得る。各ピストンシリンダアセンブリーは、連接棒6、6’を有し、ピストン5,5’は、レバー部材7、7’に連接棒6、6’を介してそれぞれ接続されているシリンダ内の連接棒の動きを直線化するために、連接棒は関節式に連接されている。あるいは、シリンダ内の連接棒の動きを直線化するために、各シリンダ内で副連接棒(図示しない)を使用し得る。
【0021】
各レバー部材7、7’は、ロータ1及び出力軸2の軸からオフセットされた支点又は揺動点8、8’でロータ1に対して取り付けられる。各レバー部材7、7’はその近位端9にローラ等10、10’を有する。
【0022】
ロータ1と同心にかつその中心に、ローブカム11がある。この実施例では、ローブカム11はその外面13上に4つのローブ12を有する。
【0023】
第1の実施形態では、ロータ1、レバー部材7、7’及びその関連ピストン5、5’が回転するように、ローブカム11は静止している。
【0024】
燃焼の間、ピストン5、5’の動きが制御され、これによってロータ1上に配置されたシリンダ3、3’を動かすため、本エンジンは従来のエンジンとは異なるように作動することが、当業者によって理解されるだろう。これによって、ロータ1及び出力軸2の回転がもたらされる。図示された実施例では、動く方向が矢印Xで示されている。
【0025】
シリンダ3、3’とロータ1が回転するため、レバー部材7、7’が回転する。なぜなら、レバー部材7、7’の支点8、8’が偏心して位置づけられているからである。ローラ10、10’は、ローブカム11の表面13に追従することによって、レバー部材7、7’に動きを伝達する。レバー部材7、7’の支点8、8’は、その連接棒端部14、14’よりも近位端9に近い。つまり、相対的に言って、近位端9、9’の小さな動きが、連接棒端部14、14’をより大きな距離で動かすことになる。
【0026】
ロータ1上のシリンダ3、3’は、その長手方向軸がロータ1の周縁15に対して接線方向に取り付けられる。
【0027】
特定の状況では、ローラ10、10’はカム11の表面13に追従しないかもしれず、この場合には、カム11の表面形状とほぼ平行する表面を提供するために外ジャーナル又はカラー16を含むことによって、ローラ10、10’を前記表面と接触させた状態に保持することが必要となり得ることを、当業者は理解するだろう。
【0028】
ローラ10、10’がカム11の表面13に追従する際の使用時に、ピストン5、5’は、シリンダ3、3’のボア4、4’の中で動く。ローラ10、10’がローブ12の上まで動くと、ピストン5、5’は、ボア4、4’の上死点まで移動する。ピストン5、5’が上死点に到達する前に、燃焼用の燃料と空気が導入され、圧縮された燃料/空気の混合物が、図示されていない着火手段によって公知の方法で着火される。標準的エンジンの作動の仕方に反して、またピストン5、5’は後方に動くことができないため、燃料の燃焼の結果、シリンダ3、3’はピストン5、5’から離れる方向に動き、ロータ1を矢印Xの方向に動かし、その結果、出力軸2の回転をもたらす。
【0029】
ピストン5、5’は、ロータ1上に枢転可能に配置されるため、ピストンレバー部材7、7’を介して、ロータ1と共に連続して回転する。シリンダ3、3’に対する速度及び動き、並びにその位置は、カム11上のローブ12の形状によって制御することができ、よって、ロータ1が体験する効果的エネルギーストロークを管理するために、ピストン5、5’がシリンダ3、3’内で上死点(TDC)から下死点まで行くのにかかる時間を増減することができる。
【0030】
図示された実施形態は、ロータ1に対して同心状に配置されるカム11を使用するが、エンジンの一実施形態では、レバー部材7、7’の近位端9、9’に隣接して配置された2つ以上のカム11を使用することが可能である。2つ以上のピストンコントローラをギア又はタイミングベルトによってリンクしかつタイミング合せし(timed)、個々に動きをその隣接するレバー部材7、7’に伝達し得る。この配列は、直径の大きいロータ1を有するエンジンに適しており、より短いレバー部材7、7’の使用を可能にする。かかる実施形態が可能であるが、これは追加のギアとタイミング機構を導入するので、エンジンの単純性を低減させるため、好ましくない。
【0031】
本発明の効果は、エンジンからの動力出力の増加が必要とされる場合、カム11が、他の可動部品と同じ速度でかつ同じ方向で、又はより早い速度で回転するということである。
【0032】
このエンジンの他の効果は、エンジンの他の部分は動かずに、ロータが回転して、エンジンは実際に「自由回転する(free wheel)」ことができるということである。エンジンの圧縮率は、必要に応じて増減できる。
【0033】
また本発明に係るエンジンは、2ストローク又は4ストローク・エンジンのいずれかとして作動し得るということも、当業者にとっては明らかである。
【0034】
図1は4ストローク液体冷却エンジンを示しているが、このデザインは、図示されているよりも多い又は少ないストローク、及び/又は空気冷却を企図している。4つのピストンストロークは、吸引、圧縮、燃焼(又は膨張)及び排出ストロークである。図1に示す実施の形態において、ローラ10及び10’はローブ12まで同時に上がり、両方のピストン5及び5’を同時に又はほぼ同時に上死点まで上昇させることが、当業者によって理解されるであろう。タイミングベルト(点線17で示す)は、シリンダヘッドバルブ(図示されていない)の操作を制御できる。従って、一般的な配列では、ピストン5が圧縮ストロークの場合、直径方向に対向するピストン5’は排出ストロークとなる。このエンジン構成を使用すれば、複数のピストンシリンダアセンブリを連続して又は同期して点火させて、4ストローク・エンジンとして作動させることが可能であることも、当業者によって理解されるであろう。
【0035】
また、ロータ1のリム15の周りにいくつでもシリンダを配置できること、そしてバルブの適切なタイミング、点火火花、及びカム11上のローブ12の位置決めによって、多様な点火系列(firing sequences)を達成できることも、当業者にとって明らかであろう。点火火花のタイミングは、ロータ1の軸から直接駆動される機械的分配器によって又はタイミングベルト上のギアによって行われ、又は圧縮点火デザインによるものであり得る。
【0036】
あるいは、電子的分配器は、点火を生じるためにロータ1又はカム11の角位置を検出するようになされたトランスデューサを使用することができる。
【0037】
エンジンのデザインのため、これは「廃棄物熱源転換」タイプの燃料に適しており、よって、各燃焼室内に搭載された多数の点火プラグから生じる可変火花強度、及び各燃焼室内に搭載された多数の燃料噴射器を介した同一又は可変のいずれかの燃料の同期送出が可能であり、これらすべてが要求に応じて随意に係合又は非係合(engaged or disengaged)できる。
【0038】
このデザインは、圧縮及び又は火花点火燃料の品質又は混合の同期的及びおそらく常時変動する供給の可能性を企図しており、かつ「ノック検出」システムを介して、燃料バランス要件を評価し、かつ燃料が消費される際にその後のエンジン設定をアレンジすることができる。
【0039】
実際には、1つのロータ1の周りに配置できるシリンダの数は、カムと係合するための重なるレバー部材の物理的サイズ及び複雑さによって制限される。より実用的な配列では、所望により2つ、4つ、又は6つ等のシリンダエンジンを生産するために、それぞれ2つのシリンダを支える1つ以上のロータ1を共通出力軸2に沿って配置することができる。また、当然のことながら、エンジンはただ1つのシリンダのみ有することもできる。1つのシリンダの実施形態では、ロータ1は、シリンダ、ピストン及びレバー部材の反対側の重量によって相殺されなければならない。
【0040】
別の構成(図示されていない)では、追加力が必要な場合に、ボア4、4’内でのピストン5、5’の停滞タイミングを調節して、エンジンからの動力出力を調整するように、カム11は、ロータ1に対して軸周りに回転可能となり得る。これは実質的に、可変速度クランクケース作動エンジンであり、このエンジンは、シリンダヘッド及び概して静止しているピストンレバーカムを介してロータからそのエネルギーを得る。
【0041】
さらに別の構成では、ローラ9に接触するピーク(peaks)は平坦である一方で、円筒ローラ10、10’を球面又は曲面ローラに替え、かつカム表面13をランプ(側面図においてテーパが付されている)に替えることによって、エンジンのストローク長さを調整することができる。言い換えると、カム表面13の大径は一定のままである一方、ランプは、内側又は外側フェーシング(inner or outer facing)上で徐々にテーパが付され、ローブとローブの間の小径でピークに達する。カム11の軸方向の動きにより、カム表面13に対するローラ9、9’の接点を異なるようにすることが可能になり、それによって、ピストンをそのボアの下の方までさらに移動させるが、ピストンを常に同じ場所のTDCに持って行くことによって、ストローク長さを変え、その結果、必要に応じて動力出力を増減調整することができる。
【0042】
本発明の他の効果は、ピストン5、5’が同じ場所又はほぼ同じ場所の上死点にあるということである。
【0043】
特定の機械整数について記載している説明において、当然ながら、当業者は、その代わりに代替案を使用できることを認識している。
【0044】
本発明の特定の実施例について説明したが、添付の請求の範囲から逸脱することなしに、改良及び修正を行うことができるものと見なされる。
図1