(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
シリカゾル、前記微粒子状の炭素、及び前記シリコン粒子を含む混合物において、前記シリカゾルをゲル化する工程を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の負極活物質用組成物の製造方法。
前記シリカゾルを、(a)アルカリ金属ケイ酸塩水溶液と酸との混合、又は、(b)ケイ酸エステル又はその重合物の加水分解により製造する工程を含むことを特徴とする請求項5又は6に記載の負極活物質用組成物の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態を説明する。
1.負極活物質用組成物
本発明の負極活物質用組成物は、シリカゲル、及び微粒子状の炭素の共分散体を含む。微粒子状の炭素としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック等を含むカーボンブラック類、天然黒鉛、人造黒鉛、膨張黒鉛等の黒鉛類、カーボンファイバー、及びカーボンナノチューブ等を挙げることができる。
【0012】
負極活物質用組成物の質量を100質量部としたとき、微粒子状の炭素の質量は1〜50質量部の範囲内であることが好ましい。1質量部以上(好ましくは5質量部以上)である場合、負極活物質用組成物の電気伝導性が一層向上する。50質量部以下(好ましくは35質量部以下)である場合、負極活物質用組成物の機械的強度が一層向上する。
【0013】
微粒子状の炭素の平均粒子径は、0.01〜10μmの範囲内が好ましい。この範囲内である場合、負極活物質用組成物のサイクル特性が一層向上する。なお、負極活物質用組成物のサイクル特性とは、負極活物質用組成物を用いた非水電解質二次電池が充放電を繰り返しても、非水電解質二次電池の充放電特性が低下し難い特性を意味する。
【0014】
微粒子状の炭素の平均粒子径は、測定装置としてSALD2200(島津製作所製)を用いて、レーザー回折法により測定できる。
共分散体とは、シリカゲルを構成するコロイド粒子と、微粒子状の炭素とが共分散している形態を意味する。微粒子状の炭素は、コロイド粒子中に存在してもよいし、コロイド粒子間に存在してもよいし、両者に存在してもよい。
【0015】
本発明の負極活物質用組成物は多孔質体である。負極活物質用組成物の比表面積は、5〜600m
2/gの範囲内であることが好ましい。この範囲内である場合、負極活物質用組成物のサイクル特性が一層向上する。
【0016】
負極活物質用組成物の細孔容積は0.1〜2.0ml/gの範囲内であることが好ましい。この範囲内である場合、負極活物質用組成物のサイクル特性が一層向上する。また、負極活物質用組成物の平均細孔径は、2〜500nmであることが好ましい。この範囲内である場合、負極活物質用組成物のサイクル特性が一層向上する。なお、負極活物質用組成物の比表面積、細孔容積、及び平均細孔径は、窒素吸着測定の結果から算出された値である。
【0017】
本発明の負極活物質用組成物は、シリコン粒子を含む。シリコン粒子の平均粒子径は、0.1〜10μmの範囲内が好ましい。この範囲内である場合、負極活物質用組成物のサイクル特性が一層向上する。シリコン粒子の平均粒子径は、レーザー回折法により測定することができる。測定装置としては、SALD2200(島津製作所製)を使用することができる。
【0018】
負極活物質用組成物の質量を100質量部としたとき、シリコン粒子の質量は5〜90質量部の範囲内であることが好ましい。この範囲内である場合、負極活物質用組成物のサイクル特性が一層向上する。シリコン粒子は、負極活物質用組成物中に含まれ、好ましくは、負極活物質用組成物中に分散している。
【0019】
負極活物質用組成物の構造は、例えば、
図1の模式図により表現できる。負極活物質用組成物1は、シリカゲル、及び微粒子状の炭素の共分散体3を備える。その共分散体3中にシリコン粒子5が含まれる。共分散体3は、例えば、細孔7を備える。
【0020】
負極活物質用組成物を用いた場合、非水電解質二次電池のサイクル特性が向上する理由は以下のように推測できる。シリコン粒子は、シリカゲル、及び微粒子状の炭素の共分散体中に含まれているため、非水電解質二次電池の充放電時における体積の膨張/収縮が緩和され、シリコン粒子の微細化が抑制される。また、シリカゲル、及び微粒子状の炭素の共分散体中には導電経路が形成され、シリコン粒子はその中に包括されているので、仮に、シリカゲル、及び微粒子状の炭素の共分散体が微細化した場合でも、シリコン粒子を含む導電経路は維持される。その結果、非水電解質二次電池のサイクル特性が向上する。
【0021】
2.負極
本発明の負極は、上記の負極活物質用組成物を含む。負極活物質は、上記の負極活物質用組成物から成っていてもよいし、さらに他の成分を含んでいてもよい。負極は、負極活物質に加えて周知の構成要素を備えることができる。
【0022】
3.非水電解質二次電池
本発明の非水電解質二次電池は、上記の負極を備える。非水電解質二次電池としては、例えば、リチウムイオン二次電池等が挙げられる。
【0023】
リチウムイオン二次電池は、例えば、
図2に示す構造を有する。リチウムイオン二次電池11は、負極13と、正極15と、セパレータ17と、負極側の集電部材19と、正極側の集電部材21と、上蓋23と、下蓋25と、ガスケット27とを備える。上蓋23及び下蓋25で構成される容器内には非水電解質が充填されている。
【0024】
4.負極活物質用組成物の製造方法
本発明の負極活物質用組成物の製造方法では、シリカゾル、微粒子状の炭素、及びシリコン粒子を含む混合物において、シリカゾルをゲル化する工程を含む。この製造方法によれば、上述した負極活物質用組成物を製造できる。
【0025】
シリカゾルは、(a)アルカリ金属ケイ酸塩水溶液と酸との混合、又は、(b)ケイ酸エステル又はその重合物の加水分解により製造することができる。
アルカリ金属ケイ酸塩としては、例えば、ケイ酸リチウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸ナトリウムが挙げられる。酸としては、例えば、鉱酸が挙げられ、鉱酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、及び炭酸等が挙げられる。
【0026】
ケイ酸エステルとしては、例えば、エチルシリケート、メチルシリケート、及びそれらの一部加水分解物等が挙げられる。酸又はアルカリを加えることで、ケイ酸エステル又はその重合物を加水分解することができる。酸としては、例えば、鉱酸が挙げられ、鉱酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、及び炭酸等が挙げられる。アルカリとしては、例えば、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等が挙げられる。
【0027】
シリカゾル、微粒子状の炭素、及びシリコン粒子を含む混合物は、例えば、以下の(i)〜(x)のうちのいずれかの方法で製造することができる。
(i)微粒子状の炭素とシリコン粒子とを含む第1の液を調製する。アルカリ金属ケイ酸塩水溶液と酸とを混合し、第2の液を調製する。第2の液がゾル化する前、又は、ゾル化しているがゲル化する前に、第1の液と第2の液とを混合する。
【0028】
(ii)微粒子状の炭素及びシリコン粒子を、アルカリ金属ケイ酸塩水溶液と混合する。この混合液と、酸とを混合する。
(iii) 微粒子状の炭素及びシリコン粒子を、酸と混合する。この混合液を、アルカリ金属ケイ酸塩水溶液と混合する。
【0029】
(iv)微粒子状の炭素をアルカリ金属ケイ酸塩水溶液と混合し、これを第1の混合液とする。また、シリコン粒子を酸と混合し、これを第2の混合液とする。第1の混合液と第2の混合液とを混合する。
【0030】
(v) シリコン粒子をアルカリ金属ケイ酸塩水溶液と混合し、これを第1の混合液とする。また、微粒子状の炭素を酸と混合し、これを第2の混合液とする。第1の混合液と第2の混合液とを混合する。
【0031】
(vi)微粒子状の炭素とシリコン粒子とを含む第1の液を調製する。ケイ酸エステル又はその重合物と、酸又はアルカリとを混合し、第2の液を調製する。第2の液がゾル化する前、又は、ゾル化しているがゲル化する前に、第1の液と第2の液とを混合する。
【0032】
(vii)微粒子状の炭素及びシリコン粒子を、ケイ酸エステル又はその重合物と混合する。この混合液と、酸又はアルカリとを混合する。
(viii) 微粒子状の炭素及びシリコン粒子を、酸又はアルカリと混合する。この混合液を、ケイ酸エステル又はその重合物と混合する。
【0033】
(ix)微粒子状の炭素をケイ酸エステル又はその重合物と混合し、これを第1の混合液とする。また、シリコン粒子を酸又はアルカリと混合し、これを第2の混合液とする。第1の混合液と第2の混合液とを混合する。
【0034】
(x) シリコン粒子をケイ酸エステル又はその重合物と混合し、これを第1の混合液とする。また、微粒子状の炭素を酸又はアルカリと混合し、これを第2の混合液とする。第1の混合液と第2の混合液とを混合する。
【0035】
本発明の負極活物質用組成物の製造方法では、ゲル化後の水熱処理を行うことができる。水熱処理は、負極活物質用組成物を乾燥させる前に行ってもよいし、乾燥後に行ってもよい。水熱処理の温度は、例えば、40〜180℃とすることができる。また、水熱処理の時間は、例えば、1〜100時間とすることができる。
【0036】
水熱処理を行うことにより、負極活物質用組成物の比表面積、細孔容積、及び平均細孔径を変化させることができる。水熱処理における温度が高いほど、また、水熱処理の時間が長いほど、比表面積は小さくなり、細孔容積は大きくなり、平均細孔径は大きくなる。
【0037】
本発明の負極活物質用組成物の製造方法では、微粒子状の炭素の分散性を向上させるために界面活性剤を用いてもよい。界面活性剤としては、例えば、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤等を挙げることができる。界面活性剤は、負極活物質用組成物に残っていてもよいし、除去されてもよい。除去の方法としては、負極活物質用組成物を焼成する方法が挙げられる。
【0038】
本発明の負極活物質用組成物の製造方法では、市販されている微粒子状の炭素の水分散体を使用することができる。このような市販品の例としては、ライオンペーストW−310A、ライオンペーストW−311N、ライオンペーストW−356A、ライオンペーストW−376R、ライオンペーストW−370C(いずれもライオン株式会社製)等が挙げられる。
(実施例1)
カーボンブラックを水に分散した溶液の市販品(ライオンペーストN-311)を用意した。この溶液は、100g当り、8gのカーボンブラックを含む。また、溶液に含まれるカーボンブラックの平均粒子径は0.1μmである。
【0039】
上記の溶液74.5gに、シリコン粉末(平均粒子径:0.6μm、純度:99.99%以上)10.3gを加え、溶液中にシリコン粉末を分散した。以下では、この溶液を、カーボンブラック−シリコン分散液とする。
【0040】
一方、希硫酸(濃度:12N)22gと、ケイ酸ソーダ(シリカ濃度:25質量%)78gとを混合して、100gのシリカゾルを得た。
上記のカーボンブラック−シリコン分散液に、上記のシリカゾルを加えて攪拌し、混合物を得た。この混合物は、その後、全体が固体(ヒドロゲル)となった。ヒドロゲルを1cm
3程度の大きさに砕き、イオン交換水1Lを用いてバッチ洗浄を5回行った。
【0041】
洗浄終了後、ヒドロゲルをイオン交換水1Lに加え、アンモニア水を使用してpH値を9に調整してから、85℃に加熱して8時間熟成処理を行った。次に、ヒドロゲルと水とを分離し、ヒドロゲルを180℃で10時間乾燥してから、350℃で2時間焼成した。
【0042】
その結果、シリコン含有量が30質量%である複合体を34.3g得た。ここで、シリコン含有量とは、複合体の全量に対する、シリコン粒子の含有率(単位は質量%)を意味する。
【0043】
上記の複合体20gをイオン交換水100mlに加え、アンモニア水を使用してpH値を9に調整した。次に、固液分離を行い、固体に対し、140℃の条件で水熱重合を16時間行い、さらに、180℃の温度で10時間乾燥し、最後に、ボールミルを用いて粉砕して、負極活物質用組成物を得た。得られた負極活物質用組成物の物性を評価した。その結果を表1に示す。表1における平均粒子径は、シリコン粒子の平均粒子径を意味する。表1における炭素含有率は、負極活物質用組成物の全量に対する、炭素の含有率(単位は質量%)を意味する。
【0045】
なお、評価方法は以下のとおりである。
平均粒子径:レーザー回折法により測定した。測定機器として、SALD2200(島津製作所製)を使用した。
【0046】
比表面積、平均細孔径、細孔容積:窒素吸着測定の結果から算出された値である。測定機器として、Bel sorp max(マイクロトラック・ベル社(旧日本ベル社)製)を使用した。
【0047】
炭素含有率:元素分析装置(Vario ELIII(Elementar社製))を用いて測定した。
電気伝導度:粉末状の試料1.0gに少量のイオン交換水を加え、メノウ乳鉢を用いてよく混合した。混合後の試料を、錠剤成形用ダイスを用い、1100Kg/cm
2の条件で圧縮成形し、直径10mmの錠剤を作成した。作成した錠剤を、120℃に設定したホットプレートを用いて十分乾燥し、厚さ1.0mm、直径10.0mmの電気伝導度評価用サンプルを得た。この電気伝導度評価用サンプルに対し、四探針法により電気伝導度を測定した、測定機器として、抵抗率計ロレスタ−GP(三菱アナリテック株式会社製)を使用した。
(実施例2)
前記実施例1と同様にして、シリコン含有量が30質量%である複合体を34.3g得た。上記の複合体20gをイオン交換水100mlに加え、水酸化ナトリウムを使用してpH値を10に調整した。次に、固液分離を行い、固体に対し、140℃の条件で水熱重合を72時間行い、さらに、180℃の温度で10時間乾燥し、最後に、ボールミルを用いて粉砕して、負極活物質用組成物を得た。得られた負極活物質用組成物の物性を評価した。その結果を上記表1に示す。
(実施例3)
カーボンブラックを水に分散した溶液の市販品(ライオンペーストN-311)を用意した。この溶液93gに、シリコン粉末(平均粒子径:0.6μm、純度:99.99%以上)17.1gを加え、溶液中にシリコン粉末を分散した。以下では、この溶液を、カーボンブラック−シリコン分散液とする。
【0048】
一方、希硫酸(濃度:12N)12gと、ケイ酸ソーダ(シリカ濃度:25質量%)78gとを混合して、100gのシリカゾルを得た。
上記のカーボンブラック−シリコン分散液に、上記のシリカゾルを加えて攪拌し、混合物を得た。この混合物は、その後、全体が固体(ヒドロゲル)となった。ヒドロゲルを1cm
3程度の大きさに砕き、イオン交換水1Lを用いてバッチ洗浄を5回行った。
【0049】
洗浄後、ヒドロゲルをイオン交換水1Lに加え、アンモニア水を使用してpH値を9に調整してから、85℃に加熱して8時間熟成処理を行った。次に、ヒドロゲルと水とを分離し、ヒドロゲルを180℃で10時間乾燥してから、350℃で2時間焼成した。その結果、シリコン含有量が40質量%である複合体を42.5g得た。
【0050】
上記の複合体20gをイオン交換水100mlに加え、アンモニア水を使用してpH値を9に調整した。次に、固液分離を行い、固体に対し、140℃の条件で水熱重合を16時間行い、さらに、180℃の温度で10時間乾燥し、最後に、ボールミルを用いて粉砕して、負極活物質用組成物を得た。得られた負極活物質用組成物の物性を評価した。その結果を上記表1に示す。
(実施例4)
カーボンブラックを水に分散した溶液の市販品(ライオンペーストN-311)を用意した。この溶液74.5gに、シリコン粉末(平均粒子径:0.6μm、純度:99.99%以上)6gを加え、溶液中にシリコン粉末を分散した。以下では、この溶液を、カーボンブラック−シリコン分散液とする。
【0051】
一方、希硫酸(濃度:12N)12gと、ケイ酸ソーダ(シリカ濃度:25質量%)78gとを混合して、100gのシリカゾルを得た。
上記のカーボンブラック−シリコン分散液に、上記のシリカゾルを加えて攪拌し、混合物を得た。この混合物は、その後、全体が固体(ヒドロゲル)となった。ヒドロゲルを1cm
3程度の大きさに砕き、イオン交換水1Lを用いてバッチ洗浄を5回行った。
【0052】
洗浄終了後、ヒドロゲルをイオン交換水1Lに加え、アンモニア水を使用してpH値を9に調整してから、85℃に加熱して8時間熟成処理を行った。次に、ヒドロゲルと水とを分離し、ヒドロゲルを180℃で10時間乾燥してから、350℃で2時間焼成した。その結果、シリコン含有量が20質量%である複合体を30g得た。
【0053】
上記の複合体20gをイオン交換水100mlに加え、アンモニア水を使用してpH値を9に調整した。次に、固液分離を行い、固体に対し、140℃の条件で水熱重合を16時間行い、さらに、180℃の温度で10時間乾燥し、最後に、ボールミルを用いて粉砕して、負極活物質用組成物を得た。得られた負極活物質用組成物の物性を評価した。その結果を上記表1に示す。
(実施例5)
前記実施例4と同様にして、シリコン含有量が20質量%である複合体を30g得た。この複合体を、ボールミルを用いて粉砕して、負極活物質用組成物を得た。得られた負極活物質用組成物の物性を評価した。その結果を上記表1に示す。
(実施例6)
(1)負極及びリチウムイオン二次電池の製造
前記実施例1〜5で製造した負極活物質用組成物を用いて、以下のようにして負極及びリチウムイオン二次電池を製造した。
【0054】
負極活物質用組成物100質量部と、スチレン− ブタジエンゴム系結着剤5.7質量部と、アセチレンブラック(導電助剤の一例)4.5質量部とを混合した。この混合物をカルボキシメチルセルロース水溶液に懸濁させてペーストを作成した。このペーストを、厚さ0.015mmの銅箔の表面に塗布し、乾燥した。その後、銅箔から、2cm
2の大きさの部材を打ち抜き、これを負極とした。
【0055】
上記の負極と、リチウム箔から成る対極と、厚さ25μmのポリエチレン多孔質フィルムから成るセパレータと、非水電解質とを用いて、リチウムイオン二次電池(非水電解質二次電池の一例)を製造した。非水電解質は、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの1 / 1 (体積比) 混合液に六フッ化リンリチウムを1mol/L の濃度で溶解させたものである。
【0056】
(2)充放電測定
以下のようにして、前記(1)で製造したリチウムイオン二次電池の充放電測定を行った。まず、25℃の環境下において、1サイクル目の充放電を行った。1サイクル目の充電では、最初に、電流値を0.2Cに固定して電圧値が0.05Vとなるまで定電流条件で充電を行い、さらに、電流値が0.05Cに低下するまで充電を継続した。なお、1Cとは、1時間で満充電できる電流値である。次に、1サイクル目の放電を行った。1サイクル目の放電では、電流値を0.2Cに保ち、金属Liに対する電圧が1.0Vになるまで行った。
【0057】
次に、2〜30サイクルの充放電を行った。2〜30サイクルの充放電の条件は、基本的には1サイクル目の充放電と同様であるが、定電流条件での充電のときの電流値、及び放電のときの電流値をそれぞれ0.5Cとした。
【0058】
1サイクル目の放電容量C
1、10サイクル目の放電容量C
10、30サイクル目の放電容量C
30をそれぞれ求めた。また、下記式(1)により、容量保持率R(%)を定義し、その値を算出した。
【0059】
式(1) R=(C
30/C
10)×100
C
1、C
10、C
30、及び容量保持率Rを表2に示す。
【0061】
表2に示すように、実施例1〜5の負極活物質用組成物を用いたリチウムイオン二次電池における容量保持率Rは顕著に高かった、すなわち、実施例1〜5の負極活物質用組成物、それを用いた負極、リチウムイオン二次電池におけるサイクル特性は顕著に優れていた。