(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6094955
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】無線式滑走タイム計測システム
(51)【国際特許分類】
A63B 71/06 20060101AFI20170306BHJP
G04F 10/00 20060101ALI20170306BHJP
【FI】
A63B71/06 N
G04F10/00 Z
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-188045(P2012-188045)
(22)【出願日】2012年8月10日
(65)【公開番号】特開2014-36820(P2014-36820A)
(43)【公開日】2014年2月27日
【審査請求日】2015年8月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】512224257
【氏名又は名称】土▲樋▼パルス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】土▲樋▼ 徹
【審査官】
吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】
特開平02−040589(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0076528(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 71/06
G04F 10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スタート地点の周辺に設置されるスタート部と、ゴール地点の周辺に設置されるゴール部と、タイム表示地点に設置されるタイム表示部で構成される無線式滑走タイム計測システムにあって、
前記スタート部は、
スターティングゲートの競技者の通過を検出して通過検出信号を出力するスタートセンサと、該スタートセンサからの通過検出信号を受信すると、音信号でスタート信号を生成し出力するスタートユニットと、該スタートユニットからのスタート信号をマイク端子から入力した時に該スタート信号を電波で送信する音声通話可能な第1の無線機とから構成され、
前記ゴール部は、
ゴールの競技者の通過を検出して通過検出信号を出力するゴールセンサと、該ゴールセンサから通過検出信号を受信すると、音信号でゴール信号を生成し出力するゴールユニットと、該ゴールユニットからのゴール信号をマイク端子から入力した時に該ゴール信号を電波で送信する音声通話可能な第2の無線機とから構成され、
前記タイム表示部は、
受信した音信号をイヤホン端子から出力する音声通話可能な第3の無線機と、該第3の無線機からの音信号から前記スタート信号を識別するとタイムの計測を開始し、その後該第3の無線機からの音信号から前記ゴール信号を識別するとタイムの計測を終了し、このタイムの計測の開始から終了までの時間を表示出力するタイム表示ユニットとから構成されることを特徴とする無線式滑走タイム計測システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線式滑走タイム計測システム、特に雪上で行われるスキーやスノーボードの競技に好適な無線式滑走タイム計測システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、雪上で行われるスキーやスノーボードの競技で使用される滑走タイム計測システムにあっては、スタート地点に設置されるスターティングゲートの競技者の通過をスタートセンサで検出してタイムの計測を開始し、ゴール地点に設置されるゴールセンサで競技者がゴールしたことを検出してタイムの計測を終了して、タイム表示地点において、所要タイムを算出してタイム表示板に表示させるようにしている。通常、このような滑走タイム計測システムにあっては、スタート地点(スタートセンサ)、ゴール地点(ゴールセンサ)、タイム表示部とは有線で接続されている。このような有線式の場合、機器の設置の際に多大な時間と労力を要するものであり、機器も高価である。したがって、このような計測システムは、殆ど競技大会でしか使用されていないのが実情である。
【0003】
一方、練習の際は、上述したような計測システムは高価であることから使用することは殆どない。一般的には、スタート地点にいる者がトランシーバーを、ゴール地点にいる者がトランシーバーとストップウォッチを携帯し、スタート時に、スタート地点にいる者がトランシーバーを使ってゴール地点にいる者にスタートしたことを伝えることで、ゴール地点にいる者がストップウォッチを操作してタイム計測を開始し、ゴール時にゴール地点にいる者がストップウォッチを操作してタイム計測を終了させてスタートからゴールまでのタイムを計測している。したがって、測定操作に係る作業が煩雑であり、正確なタイムの計測も困難であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、設置が容易で自由度も大きく且つ正確なタイム測定ができ、少人数の練習でも競技大会でも使用可能な安価な無線式滑走タイム計測システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明の無線式滑走タイム計測システムにあっては、
スタート地点の周辺に設置されるスタート部と、ゴール地点の周辺に設置されるゴール部と、タイム表示地点に設置されるタイム表示部で構成され、
スタート部は、スターティングゲートの競技者の通過を検出して通過検出信号を出力するスタートセンサと、スタートセンサからの通過検出信号を受信すると、音信号でスタート信号を生成し出力するスタートユニットと、スタートユニットからのスタート信号をマイク端子から入力した時に、スタート信号を電波で送信する音声通話可能な第1の無線機とから構成され、
ゴール部は、ゴールの競技者の通過を検出して通過検出信号を出力するゴールセンサと、ゴールセンサから通過検出信号を受信すると、音信号でゴール信号を生成し出力するゴールユニットと、ゴールユニットからのゴール信号をマイク端子から入力した時に、ゴール信号を電波で送信する音声通話可能な第2の無線機とから構成され、
タイム表示部は、受信した音信号をイヤホン端子から出力する音声通話可能な第3の無線機と、第3の無線機からの音信号からスタート信号を識別するとタイムの計測を開始し、その後該第3の無線機からの音信号からゴール信号を識別するとタイムの計測を終了し、このタイムの計測の開始から終了までの時間を表示出力するタイム表示ユニットとから構成されことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、無線機を使用した無線式とすることで設置が容易で且つ設置の自由度も大きく、また機械的に自動でタイムの計測を行うため正確なタイムの測定ができる。また、無線機として、市販品のトランシーバーを使用することが可能であることから、安価に構成できる。トランシーバーとして市販品の小電力トランシーバーを使用することで、免許取得をしなくとも使用可能である。したがって、少人数の練習でも競技大会でも使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】 本発明に係るシステムの全体構成図である。
【
図4】 本発明に係るタイム表示部の構成図である。
【
図5】 本発明に係るスタートユニットの動作フローである。
【
図6】 本発明に係るゴールユニットの動作フローである。
【
図7】 本発明に係るタイム表示ユニットの動作フローである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して実施形態を詳しく説明する。本発明の無線式滑走タイム計測システムは、
図1に示すように、スタート地点の周辺に設置されるスタート部10、ゴール地点の周辺に設置されるゴール部20、タイム表示地点に設置されるタイム表示部30で構成される。
【0010】
スタート部10は、
図2に示すように、第1の無線機10A、スタートユニット10B、スタートセンサ10Cで構成されている。第1の無線機10Aのマイク端子とスタートユニット10B間、スタートユニット10Bとスタートセンサ10C間はそれぞれ信号線接続されている。各信号線は接続自在になっている。
【0011】
スタートセンサ10Cは、スターティングゲートの競技者の通過を検出して通過検出信号をスタートユニット10Bへ出力する。
【0012】
スタートユニット10Bは、図示しないID設定スイッチを備える。スタートユニット10Bは、
図5に示す動作フローのようにスタートセンサ10Cからの通過検出信号を受信すると、音信号(電子音)によりスタート信号を生成して、第1の無線機10Aのマイク端子へ出力する。スタート信号には、ID設定スイッチで設定したIDコードが含まれる。ID設定スイッチで設定した番号は、競技者の番号となる。
【0013】
第1の無線機10Aは、音声通話可能なトランシーバー又は小電力トランシーバーで構成される。第1の無線機10Aは、スタートユニット10Bから出力される音信号からなるスタート信号を、マイク端子から入力した時に電波で送信する。
【0014】
ゴール部20は、
図3に示すように、第2の無線機20A、ゴールユニット20B、ゴールセンサ20Cで構成されている。第2の無線機20Aのマイク端子とゴールユニット20B間、ゴールユニット20Bとゴールセンサ20C間はそれぞれ信号線接続されている。各信号線は接続自在になっている。
【0015】
ゴールセンサ20Cは、例えば赤外線をミラー20Dに対して送光すると共にミラー20Dからの反射光を受光するようにしており、競技者が通過しゴールする際の反射光の遮断を捉えて、通過検出信号をゴールユニット20Bへ出力する。
【0016】
ゴールユニット20Bは、
図6に示す動作フローのようにゴールセンサ20Cからの通過検出信号を受信すると、音信号(電子音)によりゴール信号を生成して、第2の無線機20Aのマイク端子へ出力する。
【0017】
第2の無線機20Aは、音声通話可能なトランシーバー又は小電力トランシーバーで構成される。第2の無線機20Aは、ゴールユニット20Bから出力される音信号からなるゴール信号を、マイク端子から入力した時に電波で送信する。
【0018】
タイム表示部30は、
図4に示すように、第3の無線機30A、タイム表示ユニット30Bで構成されている。第3の無線機30Aのイヤホン端子とタイム表示ユニット30B間は信号線接続されている。信号線は接続自在になっている。
【0019】
第3の無線機30Aは、音声通話可能なトランシーバー又は小電力トランシーバーで構成される。第3の無線機30Aは、第1及び第2の無線機10A,20Aから無線送信されてくる音信号を受信すると、イヤホン端子から音信号をタイム表示ユニット30Bへ出力する。
【0020】
タイム表示ユニット30Bは、
図7に示す動作フローのように第3の無線機30Aのイヤホン端子から出力される音信号からスタート信号を識別するとタイマーの作動を開始し、その後第3の無線機30Aのイヤホン端子から出力される音信号からゴール信号を識別するとタイマーの作動を停止し、その時のタイマー時間をタイム計測時間として、図示しないを記憶部にIDコードと共に記憶し、更にIDコードとタイム計測時間を、表示部に表示出力する。記録された時間は、タイム表示ユニット30Bに、
図4に示すように表示され、競技者は計測時間を知ることができる。
【0021】
記憶部としては、電源が切れても記憶データが保持されるEEPROMなどが使用される。また、記憶部を外部通信接続可能とすることで、記憶された計測時間データを外部にあるパソコンなどに出力して詳しい分析や表示を行うことができる。また、タイマーの代わりに、時計を設けて、スタート信号を受信した時の開始の時間を記憶部に記憶し、ゴール信号を受信した時の終了の時間を記憶部に記憶し、記憶された開始時間から終了時間までの時間を算出してタイム計測時間とするようにしても良い。各ユニット10B,20B,30B、各センサ10C,20C、第1〜第3の無線機のそれぞれは、電池駆動される。
【0022】
次に実際のタイムの計測方法について説明する。
【0023】
本発明の無線式滑走タイム計測システムを使用するに当たっては、
図1に示すように、スタート地点の周辺にスタート部10を構成する各機器10A,10B,10Cを設置し、ゴール地点の周辺にゴール部20を構成する各機器20A,20B,20Cを設置し、タイム表示地点にタイム表示部30を構成する各機器30A,30Bを設置し、各機器の電源をONする。
【0024】
次にスタートユニット10BのID設定スイッチを使い、競技者の番号を例えば「24」を設定する。
【0025】
24番の競技者が、スターティングゲートを通過すると、スタートセンサ10Cはこれを検出して通過検出信号をスタートユニット10Bへ出力する。スタートユニット10Bは、スタートセンサ10Cからの通過検出信号を受信すると、IDコード「24」を含むスタート信号を音信号(電子音)により生成して、第1の無線機10Aのマイク端子へスタート信号を出力する。第1の無線機10Aは、マイク端子に入力するとスタート信号を電波で送信する。第3の無線機30Aは、第1の無線機10Aから無線送信されてくる音信号を受信すると、イヤホン端子から音信号をタイム表示ユニット30Bへ出力する。タイム表示ユニット30Bは、第3の無線機30Aのイヤホン端子から出力される音信号からスタート信号を識別すると、IDコード「24」を認識すると共にタイマーの作動を開始する。
【0026】
24番の競技者がゴールを通過すると、ゴールセンサ20Cは通過検出信号をゴールユニット20Bへ出力する。ゴールユニット20Bは、ゴールセンサ20Cからの通過検出信号を受信すると、ゴール信号を音信号(電子音)により生成して、第2の無線機20Aのマイク端子へゴール信号を出力する。第2の無線機20Aは、マイク端子に入力するとゴール信号を電波で送信する。第3の無線機30Aは、第2の無線機20Aから無線送信されてくる音信号を受信すると、イヤホン端子から音信号をタイム表示ユニット30Bへ出力する。タイム表示ユニット30Bは、第3の無線機30Aのイヤホン端子から出力される音信号からゴール信号を識別するとタイマーの作動を停止する。タイム表示ユニット30Bは、その時のタイマー時間をタイム計測時間として、記憶部にIDコードと共に記憶し、更にIDコード「24」とタイム計測時間「1分12秒56」を、
図4に示すように表示部に表示出力する。これにより、24番の競技者は自分の滑走時間を知ることができる。
【0027】
本発明のタイム測定システムにあっては、スタート地点の周辺に設置されるスタート部10、ゴール地点の周辺に設置されるゴール部20、タイム表示地点に設置されるタイム表示部30のそれぞれに無線機を設けて無線式とすることで設置が容易で且つ設置の自由度も大きく、また機械的に自動でタイムの計測を行うため正確なタイムの測定ができる。また、無線機として、市販品のトランシーバーを接続して使用することが可能であることから、専用の無線装置が不要であり安価に構成できる。当然ながら接続を取り外すことで、トランシーバーとしての通常の使い方ができる。トランシーバーとして市販品の小電力トランシーバーを使用することで、免許取得をしなくとも使用可能である。したがって、少人数の練習でも競技大会でも使用可能である。
【符号の説明】
【0028】
10 スタート部
20 ゴール部
30 タイム標示部
10A 第1の無線機
10B スタートユニット
10C スタートセンサ
20A 第2の無線機
20B ゴールユニット
20C ゴールセンサ
30A 第3の無線機
30B タイム表示ユニット