特許第6094970号(P6094970)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6094970
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】石粒接着の鋼板製屋根材等の製造方法
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/00 20060101AFI20170306BHJP
   E04D 3/35 20060101ALI20170306BHJP
   E04F 13/12 20060101ALI20170306BHJP
   B32B 37/00 20060101ALI20170306BHJP
【FI】
   E04D13/00 Z
   E04D3/35 C
   E04F13/12 A
   B32B37/00
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-187186(P2013-187186)
(22)【出願日】2013年9月10日
(65)【公開番号】特開2015-55039(P2015-55039A)
(43)【公開日】2015年3月23日
【審査請求日】2016年8月25日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成25年5月29日付け鉄鋼新聞 日刊第3面にて公開
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】595111239
【氏名又は名称】株式会社佐渡島
(74)【代理人】
【識別番号】100180149
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 修
(72)【発明者】
【氏名】高木 優
(72)【発明者】
【氏名】溝口 昌則
【審査官】 五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】 特許第3608082(JP,B2)
【文献】 特開2002−127348(JP,A)
【文献】 特許第2540647(JP,B2)
【文献】 実公昭52−031492(JP,Y2)
【文献】 特開平06−238533(JP,A)
【文献】 特開2003−039128(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 13/00
E04D 3/35
B32B 37/00−37/30
E04F 13/00−13/30
B23P 21/00
C09J 5/00
C09J 201/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
石粒接着の鋼板製屋根材等をコンベアーライン上で全自動的に製造する方法であって、
a)鋼板製屋根材を縦向きでコンベアー上に載置し、2液混合接着剤スプレー装置から前記鋼板製屋根材の上面及び側面に2液混合接着剤を塗布する工程と、
b)前記接着剤が塗布された鋼板製屋根材の上面に、第1ホッパーから大粒の石粒を落下させて接着させた後、前記大粒の石粒が接着された鋼板製屋根材を石掃い用90度反転機により90度下向きに反転させ、不要の大粒石粒を自重で落下させた後、元の水平状態に戻す工程と、
c)前記大粒石粒が接着された鋼板製屋根材の上面に、第2ホッパーから小粒の石粒を落下させて接着させ、つづいて前記小粒の石粒が接着された鋼板製屋根材を45度反転機により45度上向きに反転させ、当該鋼板製屋根材の側面に、小口石付け装置から石粒を接着させた後、元の水平状態に戻し、前記上面と側面に石粒が接着された鋼板製屋根材を石掃い用90度反転機により90度下向きに反転させ、不要の石粒を自重で落下させた後、元の水平状態に戻す工程と、
d)前記石粒が接着された縦向きの鋼板製屋根材を、水平90度回転機により90度回転させて横方向に向きを変え、複数段の入口を備えた第1乾燥炉に、前記横向きに配置された鋼板製屋根材をそれぞれ投入して接着剤を乾燥させる工程と、
e)前記乾燥された横向きの鋼板製屋根材を、そのまま直角方向に進行させ、縦向きで進行する前記乾燥された鋼板製屋根材の上面及び側面に、トップコートスプレー装置からトップコートをコーティングする工程と、
f)前記トップコートがコーティングされた縦向きの鋼板製屋根材を、複数段の入口を備えた第2乾燥炉に、横方向から投入してトップコートを乾燥させ、前記第2乾燥炉から排出された横向きの鋼板製屋根材を冷却装置で冷却する工程と、
から成ることをそれぞれ特徴とする、石粒接着の鋼板製屋根材等の製造方法。
【請求項2】
粉塵用集塵機をコンベアーラインの近傍に複数設置し、石粒接着の鋼板製屋根材の製造工程で生じた塵埃を前記粉塵用集塵機で集塵することを特徴とする、請求項1に記載した石粒接着の鋼板製屋根材等の製造方法。
【請求項3】
完成した石粒接着の鋼板製屋根材に、インクジェットスプレーによりロットナンバーを記入することを特徴とする、請求項1又は2に記載した自然石粒接着の鋼板製屋根材等の製造方法。
【請求項4】
鋼板製屋根材に接着する石粒が、人工石粒又は自然石粒であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載した自然石粒接着の鋼板製屋根材等の製造方法。
【請求項5】
鋼板製屋根材が鋼板製壁材であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載した石粒接着の鋼板製屋根材等の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石粒接着の鋼板製屋根材又は鋼板製壁材(以下「鋼板製屋根材等」ということがある。)の製造方法に係り、特には鋼板で折曲形成された屋根材の上面部と側面部に、化粧用の粒状の石が接着された石粒接着の鋼板製屋根材等を、コンベアーライン上で全自動的に製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この技術分野で本出願人は、特許第3608082号に係る「屋根材又は壁材への自然石粒等の接着方法」を既に開発している。同特許公報の請求項2に関し、段落番号〔0008〕には、「請求項2記載の発明の屋根材又は壁材への自然石粒等の接着方法は、上面部bとその上面部bに各々つづく両側面部c、dを有する鋼板製屋根材a又は鋼板製壁材の表面に、自然石粒f等を接着する方法において、
a)コンベアーライン上で、前記屋根材a又は壁材を各側面部c、dで起立させ、上面部bが上向き状態のままで長手方向に載置し、前記上面部b及び両側面部c、dの表面に接着剤eを塗布すること、
b)コンベアーmの上方を跨る架台にホッパーpと板状のガード体g、jを設置し、そのガード体g、jは下向きの垂直又は傾斜状態を維持し、同ガード体g、jの下端部k、kをコンベアーmに載置される前記屋根材a又は壁材の側面部dから所定間隔をあけた外方位置又は側面部cの表面の所望位置に臨ませ、自然石粒fが集合可能な集合スペースS、S’を形成すること、
c)前記屋根材a又は壁材を長手方向でコンベアーmに載置して移動させながら、前記ホッパーpから自然石粒fを落下させて屋根材aの上面部bに当該自然石粒fを接着させると共に、ホッパーpから自然石粒fを前記ガード体g、jの内側面に落下させ、当該ガード体g、jを伝って前記集合スペースS、S’に自然石粒fを集合させつつ屋根材a又は壁材の側面部d、cに当該自然石粒fを接着させることをそれぞれ特徴とする。」旨記載されている(但し、英文字符号は新たに付与)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3608082号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1は、主に鋼板製屋根材a等の側面部d、cに自然石粒fを接着するため、板状のガード体g、jを所定位置に配置させ、当該ガード体g、jと側面部d、cとの間で自然石粒fが集合可能な集合スペースS、S′を形成し、その集合スペースS、S′を含むガード体g、jの内方に上方から自然石粒fを落下させて、屋根材aの上面部b及び側面部c、dの表面に自然石粒fを接着するものであるが、不要な自然石粒の処理は不十分である。大小の石粒の区別もないため、鋼板製屋根材aに均一に隙間なく自然石粒fが接着されていないこともあり得る。
【0005】
また、この鋼板製屋根材aへの初期段階での接着剤の吹き付け作業や、トップコートの吹き付けと乾燥作業、その他の作業は、作業員が手作業で行なっており、作業効率が悪いといった問題点がある。
【0006】
したがって、本発明の目的は、全製造工程がコンベアーライン上で全自動的に処理され、その過程で石粒を迅速かつ確実に鋼板製屋根材又は壁材に接着して品質の向上化が図られる上、作業の効率化・合理化とそれに伴う人件費の節減に寄与する石粒接着の鋼板製屋根材等の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
課題を解決するための手段として、請求項1に記載の自然石粒接着の鋼板製屋根材等の製造方法は、石粒接着の鋼板製屋根材等をコンベアーライン上で全自動的に製造する方法であって、
a)鋼板製屋根材1を縦向きyでコンベアー2上に載置し、2液混合接着剤スプレー装置3から前記鋼板製屋根材1の上面1A及び側面1Bに2液混合接着剤30を塗布する工程と、
b)前記接着剤30が塗布された鋼板製屋根材1の上面1Aに、第1ホッパー4Aから大粒の石粒5Aを落下させて接着させた後、前記大粒の自然石粒5Aが接着された鋼板製屋根材1を石掃い用90度反転機6により90度下向きに反転させ、不要の大粒石粒5Aを自重で落下させた後、元の水平状態に戻す工程と、
c)前記大粒石粒5Aが接着された鋼板製屋根材1の上面1Aに、第2ホッパー4Bから小粒の石粒5Bを落下させて接着させ、つづいて前記小粒の石粒5Bが接着された鋼板製屋根材1を45度反転機7により45度上向きに反転させ、当該鋼板製屋根材1の側面1Bに、小口石付け装置8から石粒5を接着させた後、元の水平状態に戻し、前記上面1Aと側面1Bに石粒5が接着された鋼板製屋根材1を石掃い用90度反転機6により90度下向きに反転させ、不要の石粒5を自重で落下させた後、元の水平状態に戻す工程と、
d)前記石粒5が接着された縦向きyの鋼板製屋根材1を、水平90度回転機10により90度回転させて横方向xに向きを変え、複数段の入口11A・・・を備えた第1乾燥炉11に、前記横向きxに配置された鋼板製屋根材1・・・をそれぞれ投入して接着剤を乾燥させる工程と、
e)前記乾燥された横向きxの鋼板製屋根材1を、そのまま直角方向に進行させ、縦向きyで進行する前記乾燥された鋼板製屋根材1の上面1A及び側面1Bに、トップコートスプレー装置13からトップコート14をコーティングする工程と、
f)前記トップコート14がコーティングされた縦向きyの鋼板製屋根材1を、複数段の入口12A・・・を備えた第2乾燥炉12に、横方向から投入してトップコート14を乾燥させ、前記第2乾燥炉12から排出された横向きxの鋼板製屋根材1を冷却装置15で冷却する工程と、から成ることをそれぞれ特徴とする。
【0008】
請求項2記載の石粒接着の鋼板製屋根材等の製造方法は、前記請求項1に記載した発明において、粉塵用集塵機16をコンベアーラインの近傍に複数設置し、石粒5接着の鋼板製屋根材1の製造工程で生じた塵埃17を前記粉塵用集塵機16で集塵することを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の石粒接着の鋼板製屋根材等の製造方法は、前記請求項1又は2に記載した発明において、完成した石粒5接着の鋼板製屋根材1に、インクジェットスプレーによりロットナンバーを記入することを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の石粒接着の鋼板製屋根材等の製造方法は、前記鋼板製屋根材1に接着する石粒5が、人工石粒又は自然石粒であることを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の石粒接着の鋼板製屋根材等の製造方法は、前記鋼板製屋根材1が鋼板製壁材であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の石粒接着の鋼板製屋根材等の製造方法(請求項1)は、石粒接着の鋼板製屋根材の全製造工程がコンベアーライン上で全自動的に処理されるから、作業の効率化・合理化とそれに伴う人件費の節減に寄与する。
【0013】
また、鋼板製屋根材をコンベアー上に載置し、2液混合接着剤スプレー装置から上面と側面に接着剤を塗布した後、ホッパーから石粒を落下させて接着させ、第1乾燥炉に投入して接着剤を乾燥させた後、トップコートをコーティングして乾燥させるといった全自動的な製造過程で、石粒を迅速かつ確実に鋼板製屋根材に接着でき、品質の向上化が図られる。
【0014】
さらに請求項2のように、粉塵用集塵機をコンベアーラインの近傍に複数設置するので、石粒接着の鋼板製屋根材の製造工程で生じた塵埃をその粉塵用集塵機で集塵でき、石粒を高品質で鋼板製屋根材に接着できると共に、製造工場内の衛生管理にも優れる。
【0015】
最終的には、完成した石粒接着の鋼板製屋根材に、インクジェットスプレーによりロットナンバーを記入するから(請求項3)、迅速な製品管理に貢献する。
【0016】
加えて、鋼板製屋根材に接着する石粒は、人工石粒のほか自然石粒も採用できる融通性がある上(請求項4)、請求項5の発明のように上述の鋼板製屋根材は、全て鋼板製壁材に適用できる利便性もある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の石粒接着の鋼板製屋根材等の製造方法の概要を示した説明図である。
【0018】
図2】A、Bは、主要な工程を示した平面図とその側面図である。
【0019】
図3】不要な石粒の落下要領を示した説明図である。
【0020】
図4】鋼板製屋根材の側面への石粒の接着要領を示した説明図である。
【0021】
図5】鋼板製屋根材のコンベアーへの載置要領を示した斜視図である。
【0022】
図6】第1ホッパーと第2ホッパーの斜視図である。
【0023】
図7】第2乾燥炉につづくコンベアーラインを示した側面図である。
【0024】
図8】従来例を示した説明図である。
【0025】
図9】従来の石粒が接着された鋼板製屋根材の斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明の石粒接着の鋼板製屋根材等の製造方法の好適な実施形態を、以下図面にしたがって説明する。本発明は、石粒が接着された鋼板製屋根材をコンベアーライン上で全自動的に製造する方法である。なお、本発明は鋼板製の壁材についても同様に実施されるが、以下の説明では省略する。
【0027】
図1は本発明の製造方法の概要を鳥瞰図的に示したもので、同図の左から右へ直線状に経時的に流れるものである。全工程に要する長さは、同図1の左右の工場内での実寸の全長として約100mである。但し、途中でUターンする実施形態(図示説明は省略)も好適に実施可能である。
【0028】
まず、鋼板製屋根材1を、図5に示したように縦向きyでコンベアー2(例えば速度=6m/分)の上に載置する。すぐに同コンベアー2上を移動する鋼板製屋根材の上面1A及び側面1Bに対し、2液混合接着剤スプレー装置3から2液混合接着剤30を塗布する(図1の左端部分)。この2液混合接着剤スプレー装置3は、ノズルを4ケ設置し、4ヘッド×2ギヤポンプ吹付により行なう。
【0029】
ここで鋼板製屋根材1について説明すると、厚さ約0.4mmの鋼板をプレス成型して所望形状の屋根材1を形成する。一般的にはフラットな上面1A(長手方向の長さが約130cm、短手方向の長さが約40cm)とその左右両端部を折曲して上面1Aに各々つづく左右の側面1B、1C(高さ約20mm)を形成する。この左右の側面1B、1Cの形状は限定されないが、本実施形態では例えば図3図5に例示したように、右側の側面1Bは垂直面に形成し、左側の側面1Cは緩やかな傾斜面として形成されている(図9参照)。
【0030】
つづく工程を拡大して示した図2も参照しつつ説明する。前記接着剤30が塗布された鋼板製屋根材1の上面1Aに、第1ホッパー4Aから大粒の自然石粒5Aを落下させて接着させる。その後、前記大粒の石粒5Aが接着された鋼板製屋根材1を石掃い用90度反転機6により90度下向きに反転させ、接着されずに不要な大粒石粒5Aを自重で落下させた後(図3参照)、元の水平状態に戻す。なお、この第1ホッパー4A及び第2ホッパー4Bは、カートリッジ式となっており、それぞれ一定量の大小の石粒5A、5Bを収納でき、交換容易となっている(図6参照)。
【0031】
次に、前記大粒自然石粒5Aが接着された鋼板製屋根材1の上面1Aに、第2ホッパー4Bから小粒の自然石粒5Bを落下させて接着させ、コンベアー7を介して前記第2ホッパー4Bから小粒の自然石粒5Bを小口石付け装置8へ供給し、前記鋼板製屋根材1の側面1Bに、小口石付け装置8から前記石粒5Bを接着させた後(図4参照)、元の水平状態に戻す。
【0032】
しかる後、前記上面1Aと側面1Bに石粒5が接着された鋼板製屋根材1を、前記同様の石掃い用90度反転機6により90度下向きに反転させ、接着されずに不要な石粒5(とりわけ小粒の石粒5B)を自重で落下させた後(図3参照)、元の水平状態に戻す。なお、鋼板製屋根材1への被接着体として、前記石粒5は人工石粒が好適であるが、自然石粒を接着する実施形態も採用可能である。
【0033】
そして、図2の右端に示したように、前記石粒5が接着された縦向きyの鋼板製屋根材1を、水平90度回転機10により90度回転させて横方向xに向きを変える。そうしたら、各段がコンベア単独駆動の4段の入口11A・・・を備えた第1乾燥炉11に、前記横向きxに配置された鋼板製屋根材1・・・をそれぞれ投入して接着剤30を乾燥させる。処理温度は80℃/20分である。前記のように第1乾燥炉11が複数段の入口11Aを備えているのは、場所をとらない横向きxに配置された鋼板屋根材1・・・を一度により多く第1乾燥炉11に入れることができる上、乾燥炉の規定温度と時間に対し当該第1乾燥炉11の全長を短くできる利点があるためである。
【0034】
なお、図1中、符号16はコンベアーラインの近傍に設置した粉塵用集塵機を示している。自然石粒5を接着する鋼板製屋根材1の製造工程で生じた自然石粒5の粉塵を適宜集塵するためである。符号15は冷却装置を示しており、1ケ所につき2台の冷却ファンが2列配置されて成る。また、図2B中、符号2Aはコンベアーラインのコンベアー2の下方に設置された石粒回収用のコンベアーであり、落下した大粒の石粒5Aを回収運搬する。同様に、符号2Bはコンベアーラインの下方に設置された自然石粒回収用のコンベアーであり、落下した小粒の石粒5Bを回収運搬し、共に再利用に供するものである。
【0035】
次に、上記の乾燥された横向きxの鋼板製屋根材1を、そのまま直角方向に進行させ、縦向きyで進行する前記乾燥された鋼板製屋根材1の上面1A及び側面1Bに、トップコートスプレー装置13からトップコート14をコーティングする。このトップコートスプレー装置13はノズルが4ケ所設置され、4ヘッド自動塗布方式である。しかる後、図7に示したように、串刺し状のコンベアー2の上を鋼板製屋根材1を移動させ、下記第2乾燥炉12へと移送する。結局その工程を上方からみると、図1の略中央部分のように、コ字状に配置されたコンベアー2の上を鋼板製屋根材1が移動していく。かくして鋼板製屋根材1はこの間、進行方向に対し、(1)横向きx1→(2)縦向きy2→(3)横向きx3→(4)縦向きy4→(5)横向きx5の状態で移送される。特に、前記(2)の工程で縦向きy2で移動させるのは、トップコートスプレー装置13からトップコート14をコーティングする際に、縦移動の狭い範囲で確実にコーティング処理できる利便性があるからである。また、コンベアー2をコ字状に配置したのは、全工程に要する長さを極力短くしたためであり、この実施形態に限定されず、直線状に配置して実施する形態も勿論可能である。
【0036】
そうして、上記のトップコート14がコーティングされた縦向きyの鋼板製屋根材1を、各段がコンベア単独駆動の4段の入口12A・・・を備えた第2乾燥炉12に、横方向から投入してトップコート14を乾燥させる。この第2乾燥炉12も前記第1乾燥炉11のように複数段の入口12Aを備えており、一度により多くの鋼板屋根材1・・・を当該第2乾燥炉11に入れて処理時間の短縮化が図られる。処理温度は85〜95℃/40分で、処理枚数は120枚である。
【0037】
前記の第2乾燥炉12から排出された横向きxの鋼板製屋根材1を冷却装置15で冷却し、完成したこの石粒接着の鋼板製屋根材1に、最後に図示を省略したインクジェットスプレーによりロットナンバーを記入して完了する。具体的には、製品化された当該石粒接着の鋼板製屋根材1(図9参照)の裏面に製造番号等を入れ、ロット管理し、検品して梱包出荷する。
【符号の説明】
【0038】
1 鋼板製屋根材
1A 上面
1B 側面
y 縦向き
x 横向き
2 コンベアー
3 2液混合接着剤スプレー装置
30 2液混合接着剤
4A 第1ホッパー
4B 第2ホッパー
5 石粒
5A 大粒の石粒
5B 小粒の石粒
6 石掃い用90度反転機
8 小口石付け装置
10 水平90度回転機
11 第1乾燥炉
11A 入口
12 第2乾燥炉
12A 入口
13 トップコートスプレー装置
14 トップコート
15 冷却装置
16 粉塵用集塵機
17 塵埃
図1
図2
図3
図4
図8
図9
図5
図6
図7