特許第6094985号(P6094985)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ノバテック カンパニー リミテッドの特許一覧 ▶ キム・ホヒョンの特許一覧 ▶ キム・スヨンの特許一覧

特許6094985骨の長さの成長促進のための竹における幹の粗皮を除去した中間層の熱水抽出物の新規用途
<>
  • 特許6094985-骨の長さの成長促進のための竹における幹の粗皮を除去した中間層の熱水抽出物の新規用途 図000003
  • 特許6094985-骨の長さの成長促進のための竹における幹の粗皮を除去した中間層の熱水抽出物の新規用途 図000004
  • 特許6094985-骨の長さの成長促進のための竹における幹の粗皮を除去した中間層の熱水抽出物の新規用途 図000005
  • 特許6094985-骨の長さの成長促進のための竹における幹の粗皮を除去した中間層の熱水抽出物の新規用途 図000006
  • 特許6094985-骨の長さの成長促進のための竹における幹の粗皮を除去した中間層の熱水抽出物の新規用途 図000007
  • 特許6094985-骨の長さの成長促進のための竹における幹の粗皮を除去した中間層の熱水抽出物の新規用途 図000008
  • 特許6094985-骨の長さの成長促進のための竹における幹の粗皮を除去した中間層の熱水抽出物の新規用途 図000009
  • 特許6094985-骨の長さの成長促進のための竹における幹の粗皮を除去した中間層の熱水抽出物の新規用途 図000010
  • 特許6094985-骨の長さの成長促進のための竹における幹の粗皮を除去した中間層の熱水抽出物の新規用途 図000011
  • 特許6094985-骨の長さの成長促進のための竹における幹の粗皮を除去した中間層の熱水抽出物の新規用途 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6094985
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】骨の長さの成長促進のための竹における幹の粗皮を除去した中間層の熱水抽出物の新規用途
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/899 20060101AFI20170306BHJP
   A61P 19/00 20060101ALI20170306BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20170306BHJP
   A23K 10/30 20160101ALI20170306BHJP
【FI】
   A61K36/899
   A61P19/00
   A23L33/105
   A23K10/30
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-542999(P2016-542999)
(86)(22)【出願日】2014年4月28日
(65)【公表番号】特表2016-538322(P2016-538322A)
(43)【公表日】2016年12月8日
(86)【国際出願番号】KR2014003727
(87)【国際公開番号】WO2015064865
(87)【国際公開日】20150507
【審査請求日】2016年5月2日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0133194
(32)【優先日】2013年11月4日
(33)【優先権主張国】KR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517025187
【氏名又は名称】ノバテック カンパニー リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】516131393
【氏名又は名称】キム・ホヒョン
(73)【特許権者】
【識別番号】516131407
【氏名又は名称】キム・スヨン
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100107733
【弁理士】
【氏名又は名称】流 良広
(74)【代理人】
【識別番号】100115347
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 奈緒子
(74)【代理人】
【識別番号】100163038
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 武志
(72)【発明者】
【氏名】キム・ホヒョン
(72)【発明者】
【氏名】キム・スヨン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ジフン
【審査官】 石井 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−502712(JP,A)
【文献】 Journal of Materials Science:Materials in Medicine,1997年,Vol.8,No.7,pp.427-433
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 36/00−36/9068
A23K 10/30
A23L 33/105
A61P 19/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
における幹の粗皮を除去した中間層の熱水抽出物を有効成分として含むことを特徴とする骨の長さの成長促進用薬学的組成物。
【請求項2】
における幹の粗皮を除去した中間層の熱水抽出物を有効成分として含むことを特徴とする骨の長さの成長促進用食品組成物。
【請求項3】
における幹の粗皮を除去した中間層の熱水抽出物を有効成分として含むことを特徴とする骨の長さの成長促進用の動物飼料用組成物。
【請求項4】
前記竹は、ハチク(Phyllostachys nigra var henonis)、マダケ(Phyllostachys bambusoides)、花眉竹(Bambusa tuldoides)、及び竹変(Sinocalamus beecheyanus var pubesceus)からなる群より選ばれた1つ以上のものである請求項1から3のいずれかに記載の骨の長さの成長促進用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2013年11月4日付で出願した韓国特許出願第10−2013−0133194号に基いた優先権及びその利益を主張し、これを全ての目的として本明細書に援用する。
本発明は、竹の骨長の成長促進効果に関し、更に詳しくは、竹を有効成分として含む骨成長促進用の薬学的組成物、食品組成物及び動物飼料用組成物に関する。また本発明は、必要投与対象に有効投与量の竹を投与する段階を含む、骨成長を促進する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、体型の西欧化及び平均身長の上昇により、背の成長因子に対する関心が高まっている。成長を広義の概念で定義すると、身長の増加だけでなく、身体の各器官の大きさと機能の増大を含むと言えるが、これを狭義の概念で定義すると、身長の増加を意味すると言える。このような身長の増加は栄養と成長ホルモンなどの多くの要因による軟骨組織の合成、骨格の長さの成長及び骨格組織の広範囲な増殖を含む骨格の代謝によって行われる。骨組織は特殊に分化された形態の結合組織であって、間葉細胞、軟骨細胞、造骨細胞、破骨細胞、骨髄細胞などいろいろな種類の細胞から構成された結合組織である。破骨細胞による骨吸収の量と造骨細胞による骨形成の量との間にはバランスが維持されているが、成長期には造骨細胞による骨形成能力が最高値になって骨形成の量が骨吸収の量を相当上回るので、骨の成長が行われる。
【0003】
成長板(growth plate)は、長骨の両端に位置している水平にパターン化された構造を持つ軟骨細胞集団であって、骨幹端(metaphysis)と骨端(epiphysis)との間に位置している。成長板内の軟骨細胞(chondrocyte)の増殖、肥大(hypertrophy)、細胞外マトリックス(extracellular matrix)分泌、血管と骨前駆細胞の侵入とこれによる骨化(ossification)過程を経て、結局、軟骨が骨に変化する軟骨内骨化(endochondral ossification)過程を経ながら、成長板の骨幹端部に新しい骨が持続的に形成され、これにより長骨の長さが長くなる。成長板は、成長ホルモン、インスリン様成長因子(insulin−like growth factor、IGF)、甲状腺ホルモン、性ホルモン、グルココルチコイドなどのホルモンと、種々のサイトカインによって調節され、結局、思春期後に骨化されて隣接した骨と融合される(非特許文献1参照)。
【0004】
一方、今までの成長を促進させるための方法としては、成長ホルモン製剤の投与法、イリザロフ手術及び健康補助食品の服用法などが使われてきた。特に過去病的な状態の成長不振に使われた成長ホルモン療法が、近来に身長の伸びに対する関心が高まるにつれ、正常身長の成長期の子供及び青少年にも適用されている。しかし、上記成長ホルモン製剤の投与法は成長ホルモンが不足している人には優れた効果を奏するが、ホルモン分泌が正常な大多数の人々には末端肥大症、抗成長ホルモン抗体養成、全身アレルギー反応、甲状腺機能低下症などの様々な副作用をもたらすという問題点があるだけでなく、成長ホルモン療法の期間と費用が過度であり、発癌及び他の成長因子との撹乱を起こすなどの問題点が発見されている。また、イリザロフ手術は足の骨を切断して伸ばす手術であって患者の苦痛及び費用の面で一般人に適用するには多くの無理があり、成長促進用の健康補助食品は科学的に検証されていない場合が殆どである。
よって、成長促進において、その効能が科学的に検証され、かつ安全な食品素材の開発が必要とされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】シン・チュンホ、2006、ホルモンの成長板調節、大韓小児内分泌学会誌、vol 11,117−122
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明者らは、副作用がなく、骨成長を効果的に促進する活性を有する食品素材を開発しようとする研究の中、竹を投与した実験動物で成長板促進及び長骨の長さの増加効果を確認して本発明を完成した。
したがって、本発明の目的は、竹を有効成分として含む骨成長促進用の薬学的組成物、食品組成物及び/または動物飼料用組成物を提供することである。
本発明の他の目的は、必要投与対象に有効投与量の竹を投与する段階を含む、骨成長を促進する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を果たすために、本発明は、竹を有効成分として含む骨成長促進用薬学的組成物を提供する。
上記の目的を果たすために、本発明は、竹を有効成分として含む骨成長促進用食品組成物を提供する。
上記の目的を果たすために、本発明は、竹を有効成分として含む骨成長促進用の動物飼料用組成物を提供する。
上記の他の目的を果たすために、本発明は、必要投与対象に有効投与量の竹を投与する段階を含む、骨成長を促進する方法を提供する。
【0008】
竹(Bamboo)とは、単子葉植物、イネ目イネ科タケ亜科に属する多年生植物の総称である。竹はイネ科植物で、世界に約280余種が知られており、韓国には約70種の竹が自生または栽培されている。竹の種としては、ハチク(淡竹)、マダケ(真竹)、モウソウチク(孟宗竹)、クロチク(烏竹)、斑竹、チシマザサ、海蔵竹、コウライザサ、スズタケ、山竹、ヤダケ(矢竹)など11種の代表的な品種があり、これらの中で、主な栽培品種はマダケ(真竹)、ハチク(淡竹)、モウソウチク(孟宗竹)である。
【0009】
本発明の竹は公知の竹の種であれば、これに限定されないが、好ましくは、本発明の竹はハチク(Phyllostachys nigra var. henonis)、マダケ(Phyllostachys bambusoides Sieb. et Zucc.)、花眉竹(Bambusa tuldoides)、及び竹変(Sinocalamus beecheyanus var pubesceus)からなる群より選ばれた1つ以上であることができ、更に好ましくは、ハチク(Phyllostachys nigra var. henonis)、またはマダケ(Phyllostachys bambusoides Sieb. et Zucc.)であることができる。
【0010】
本発明の竹は、竹を構成する部位であれば特に制限されないが、好ましくは、竹の葉、津液、筍、根及び幹の粗皮を除去した中間層からなる群より選ばれた1つ以上のものであることができ、更に好ましくは、竹の幹の粗皮を除去した中間層であることができる。上記竹の幹の粗皮を除去した中間層は、竹茹(Bambusae Caulis in Taeniam)、青竹茹、竹皮、淡竹皮茹などとも呼ばれ、本発明の明細書において上記用語を混用して指称することができる。
【0011】
本発明の竹は、そのまま又は動物に投与可能な形態に加工されて使用されることができ、これに制限されないが、例えば、粉末、懸濁液、抽出物などであることができ、好ましくは竹抽出物であることができる。
上記竹抽出物は公知の天然物の抽出方法によって抽出することができ、好ましくは、水、炭素数1〜6の有機溶媒及び亜臨界または超臨界流体からなる群より選ばれた1つ以上の溶媒で抽出することができ、上記炭素数1〜6の有機溶媒は、炭素数1〜6のアルコール(alcohol)、アセトン(acetone)、エーテル(ether)、ベンゼン(benzene)、クロロホルム(chloroform)、エチルアセテート(ethyl acetate)、メチレンクロリド(methylene chloride)、ヘキサン(hexane)、シクロヘキサン(cyclohexane)、ジエチルエーテル(diethyl ether)及び石油エーテル(petroleum ether)からなる群より選ばれたものであることができる。好ましくは、水または炭素数1〜6のアルコールを使用して抽出することができる。
【0012】
上記竹抽出物は、抽出効率を増大させるために前処理過程を含むことができ、例えば、竹を粉砕機で粉砕して使用することができる。本発明の抽出物の抽出温度は特に制限されず、例えば0℃乃至150℃であることができ、好ましくは80℃乃至120℃であることができる。本発明の抽出物の抽出時間は抽出温度によって特に制限されず、例えば1時間乃至10日間であることができ、好ましくは0.5時間乃至6時間であることができ、好ましくは1時間乃至3時間の間に抽出することができる。
【0013】
本発明の抽出物は、公知の天然物の抽出法で抽出することができる。例えば、冷浸抽出、熱水抽出、超音波抽出、還流冷却抽出、加熱抽出法で抽出することができ、好ましくは熱水抽出または還流冷却抽出法で抽出することができ、1回乃至10回、好ましくは2回乃至7回で繰り返し抽出することができる。
【0014】
本発明の抽出物は、濾過して液状で使用することができ、好ましくは噴霧乾燥または凍結乾燥の乾燥工程によって固形化して使用することができる。更に好ましくは、噴霧乾燥または凍結乾燥の前にデキストリンを混合して乾燥することができる。
本発明の最も好ましい実施形態は竹茹抽出物である。上記竹茹抽出物は、これに制限されないが、好ましくはハチク、マダケ、花眉竹、竹変などの竹の甘皮から抽出された液体を意味する。また上記竹茹抽出物は、これに制限されないが、最も好ましくは水を溶媒で用いて熱水抽出法によって製造することができる。
【0015】
上記熱水抽出の時、竹と水の比率は特に限定されないが、竹に水を3倍〜20倍(重量基準)で添加することができる。好ましくは、抽出効率を増加させるために竹に対して水を8倍〜15倍(重量基準)で添加することができる。
本発明の一実施例では、本発明の竹抽出物は、竹を20〜40meshの大きさに粉砕した後、飲用水を竹粉に10倍で添加し、100℃で2時間を熱水抽出する。上記熱水抽出液を1時間放置して、不純物がある下澄液10%を除いた上澄液を回収して凍結乾燥することで竹抽出物を製造した。
本発明の上記「骨成長」とは、骨の組織の大きさ、太さ、密度、長さ及び機能の増大を含み、好ましくは骨の長さの成長を意味する。
本発明の組成物は竹を有効成分として含んで骨の長さの成長及び成長板の軟骨組織の増殖促進に効果的である。
【0016】
これは本発明の明細書の実施例によく示されている。
本発明の一実施例では、ラット(rat)に10日間竹茹を投与した後、脛骨(tibia)の長さ変化を観察した。その結果、成長ホルモン投与群とほぼ同じ水準に脛骨の長さが長くなったことが確認された。
本発明のまた他の一実施例では、ラットに10日間竹茹を投与した後、成長板組織の変化を観察した。その結果、成長板の増殖部(proliferative zone)及び肥大部(hypertrophic zone)の長さが成長ホルモン投与群とほぼ同じ水準に増加することが確認された。
【0017】
本発明のまた他の実施例では、ラットに10日間竹茹を投与した後、軟骨組織で活性化された軟骨細胞数の変化をBrdU染色(BrdU staining)で確認した。その結果、BrdU陽性細胞(BrdU positive cell)の比率が増加されたことが確認され、これにより、竹茹投与群で軟骨細胞の増殖が促進されることを確認した。
本発明のまた他の実施例では、ラットに10日間竹茹を投与した後、血清中のオステオカルシン(osteocalcin)濃度を測定した。その結果、竹茹投与群で血清中のオステオカルシン濃度が増加されたことを確認し、これにより、竹茹抽出物が骨形成及び骨芽細胞活性を増加させることを確認した。
【0018】
したがって、本発明は、竹を有効成分として含む骨成長促進用薬学的組成物を提供する。
本発明による薬学的組成物は、本発明の竹を単独で含有するか、または1つ以上の薬学的に許容される担体、賦形剤または希釈剤を更に含有することができる。上記の「薬学的に許容される」とは、生理学的に許容され、ヒトに投与された時に活性成分の作用を阻害せず、通常的に胃腸障害、めまいのようなアレルギー反応またはこれと類似した反応を起こさない非毒性の組成物である。
【0019】
薬学的に許容される担体としては、例えば、経口投与用担体または非経口投与用担体を更に含むことができる。経口投与用担体はラクトース、澱粉、セルロース誘導体、マグネシウムステアレート、ステアリン酸などを含むことができる。更に、ペプチド製剤に対する経口投与用で使用される多様な薬物伝達物質を含むことができる。また、非経口投与用担体は、水、適合したオイル、食塩水、水性グルコース及びグリコールなどを含むことができ、安定化剤及び保存剤を更に含むことができる。適合した安定化剤としては、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウムまたはアスコルビン酸のような抗酸化剤がある。適合した保存剤としては、ベンザルコニウムクロリド、メチル−またはプロピルパラベン及びクロロブタノールがある。
本発明の薬学的組成物は、上記成分以外に潤滑剤、湿潤剤、甘味剤、香味剤、乳化剤、懸濁化剤などを更に含むことができる。その他の薬学的に許容される担体及び製剤は次の文献に記載されているものを参考することができる(Remington’s Pharmaceutical Sciences, 19th ed., Mack Publishing Company, Easton, PA, 1995)。
【0020】
本発明の組成物は、ヒトを含め、哺乳動物にいずれの方法でも投与することができる。例えば、経口または非経口的に投与することができる。非経口的投与の方法としては、これに限定されないが、静脈内、筋肉内、動脈内、骨髄内、硬膜内、心臓内、経皮、皮下、腹腔内、鼻腔内、腸管、局所、舌下または直腸内の投与であることができる。
【0021】
本発明の薬学的組成物は、上述のような投与経路によって経口投与用または非経口投与用製剤に剤形化することができる。
経口投与用製剤の場合に、本発明の組成物は、粉末、顆粒、錠剤、丸剤、糖衣錠剤、カプセル剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー剤、懸濁液などに、当業界で公知された方法を用いて剤形化することができる。例えば、経口用製剤は、活性成分を固体賦形剤と配合した後、これを粉砕し、適合した補助剤を添加して顆粒混合物に加工することで錠剤または糖衣錠剤を得ることができる。適合した賦形剤の例としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリトリトール及びマルチトールなどを含む糖類と、トウモロコシ澱粉、小麦澱粉、米澱粉及びジャガイモ澱粉などを含む澱粉類、セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム及びヒドロキシプロピルメチルセルロースなどを含むセルロース類、ゼラチン、ポリビニルピロリドンなどのような充填剤を含むことができる。また、場合によって、架橋結合ポリビニルピロリドン、寒天、アルギン酸またはナトリウムアルギネートなどを崩壊剤として添加することができる。さらに本発明の薬学的組成物は、抗凝集剤、潤滑剤、湿潤剤、香料、乳化剤及び防腐剤などを更に含むことができる。
【0022】
非経口投与用製剤の場合は、注射剤、クリーム剤、ローション剤、外用軟膏剤、オイル剤、保湿剤、ゲル剤、エアロゾル及び鼻腔吸入剤の形態に、当業界に公知された方法で剤形化することができる。これらの剤形は、全ての製薬化学に一般的に公知された処方書である文献(Remington’s Pharmaceutical Science, 19th ed., Mack Publishing Company, Easton, PA, 1995)に記載されている。
【0023】
本発明の組成物の総有効量は、単一投与量(single dose)で患者に投与することができ、多重投与量(multiple dose)で長期間投与される分割治療方法(fractionated treatment protocol)により投与することができる。
本発明の薬学的組成物は、疾患の程度によって有効成分の含量を変えることができる。好ましくは、本発明の薬学的組成物の好ましい全体用量は、1日間当り、患者体重1kg当たり約0.01μg乃至10,000mg、最も好ましくは0.1μg乃至500mgであることができる。しかし、上記薬学的組成物の用量は製剤化方法、投与経路及び治療回数だけではなく、患者の年齢、体重、健康状態、性別、疾患の重症度、食餌及び排泄率など、多様な要因を考慮して患者に対する有効投与量が決定されるので、このような点を考慮したとき、当分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の組成物の適切な有効投与量を決定することができるはずである。
本発明による薬学的組成物は本発明の効果を奏する限り、その剤形、投与経路及び投与方法は特に制限されない。
【0024】
本発明は、竹を有効成分として含む骨成長促進用食品組成物を提供する。
本発明の食品組成物は、機能性食品(functional food)、栄養補助剤(nutritional supplement)、健康食品(health food)及び食品添加剤(food additives)などの全ての形態を含む。上記類型の食品組成物は当業界において公知された通常的な方法によりいろいろな形態で製造することができる。
【0025】
例えば、健康食品としては、本発明の竹をお茶、ジュース及びドリンクの形態で製造して飲用するようにするか、顆粒化、カプセル化及び粉末化して摂取することができる。また、本発明の竹を骨成長の促進効果があると知られている公知の物質または活性成分と共に混合して組成物の形態で製造することができる。例えば、本発明の食品組成物は、竹または竹抽出物成分の以外に微量のミネラル、ビタミン、脂質、糖類及び公知の成長促進活性を有する成分などを更に含むことができる。上記ミネラルとしては、カルシウム、鉄など成長期に必要な栄養成分を含有することができ、ビタミンとしては、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6などを含有することができる。脂質としては、アルコキシグリセロールまたはレシチンなどを含有することができ、糖類としては、フラクトオリゴ糖などを含有することができる。
【0026】
また、機能性食品としては、飲み物(アルコール性飲み物を含み)、果実及びその加工食品(例:フルーツ缶詰め、瓶詰め、ジャム、マーマレードなど)、魚類、肉類及びその加工食品(例:ハム、ソーセージコンビーフなど)、パン類及び麺類(例:うどん、そば、ラーメン、スパゲッティ、マカロニなど)、果汁、各種ドリンク、クッキー、飴、乳製品(例:バター、チーズなど)、食用植物油脂、マーガリン、植物性タンパク質、レトルト食品、冷凍食品、各種調味料(例:みそ、醤油、ソースなど)などに本発明の竹を添加して製造することができる。
また、本発明の竹を食品添加剤の形態で使用するためには、粉末または濃縮液の形態に製造して使用することができる。
【0027】
本発明の食品組成物中の竹の好ましい含量は、食品組成物の総重量に対して食品の全体重量を基準で0.01〜90%、好ましくは0.1〜50%の比率で含有されることができる。
【0028】
本発明は、竹を有効成分として含む骨成長促進用の動物飼料用組成物を提供する。
本発明による飼料用組成物は発酵飼料、配合飼料、ペレット及びサイレージ(silage)などの形態で製造することができる。上記発酵飼料は、本発明の竹を含み、更にさまざまな微生物菌または酵素を添加することで有機物を発酵させて製造することができる。上記配合飼料は多くの種類の一般飼料と本発明の竹を混合して製造することができる。ペレット形態の飼料は上記発酵飼料または配合飼料をペレット機で剤形化して製造することができる。サイレージは青刈り飼料と本発明の竹を混合して乳酸菌で発酵させることで製造することができる。
【0029】
本発明は、必要投与対象に有効投与量の竹を投与する段階を含む、骨成長を促進する方法に関する。
上記の「有効投与量」は、本発明による骨成長の促進に効果的な竹の量を意味する。上記説明のように、本発明の竹は、そのまま又は動物に投与可能な形態に加工して使用することができる。また、本発明の竹は、粉末、懸濁液、抽出物の形態を有することができるが、これに限定されず、好ましくは竹抽出物である。
上記の「投与対象」は、動物、好ましくは哺乳動物(ヒトを含む哺乳動物)であり、動物の細胞、組織、器官も含まれる。このような対象は治療が必要な患者を含むことができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明の竹を有効成分として含む組成物は成長板及び長骨の成長促進に効果があるので、成長期の幼小児及び青少年の成長及び骨格形成の促進に効果的である。その上に、本発明の組成物は単独で、または成長ホルモン治療と併行して身長の成長治療に効果的である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】投与群別に10日間ラットの体重変化推移を示した図式である。
図2】投与群別にラット脛骨のMicro−CT撮影結果を示したものである。
図3】投与群別にラット脛骨のX−ray撮影結果を示したものである。
図4】投与群別にラット脛骨の全長(total tibia length)を示したものである。
図5】各投与群別にラットの成長板における増殖部及び肥大部の位置及び相対的長さを示したものである(赤色矢印:増殖部、緑色矢印:肥大部、コントロール:生理食塩水(saline)投与群、GH:成長ホルモン投与群、竹茹:竹茹抽出物投与群)。
図6】各投与群の成長板領域の中で増殖部の長さを示した図式である。
図7】各投与群の成長板領域の中で肥大部の長さを示した図式である。
図8】各投与群の軟骨組織をBrdU染色(staining)した結果をイメージで示したものである。
図9】各投与群の軟骨組織におけるBrdU陽性細胞(positive cell)の比率を示したものである。
図10】各投与群における血清中のオステオカルシン濃度を測定した結果を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明を詳細に説明する。
但し、下記の実施例は本発明を例示するだけであり、本発明の内容が下記の実施例のみに限定されるものではない。
【0033】
<実施例1>
竹(竹茹)抽出物の製造
ハチクの粗皮を除去して掻き出した中間層(竹茹)をドンヤン産業製薬社(大韓民国忠溝北道報恩郡報恩邑風趣里18番地)から購入し、20〜40meshの大きさに粉砕した後、飲用水を竹粉に10倍で添加し、100℃で2時間熱水抽出した。上記熱水抽出液を1時間放置して不純物がある下澄液10%を除いた上澄液を回収し、竹抽出物を得た。これを凍結乾燥(−50℃で3時間凍結した後に乾燥)することで竹抽出物の粉末を製造した。
【0034】
<実験例1>
動物モデルを用いた竹抽出物の骨成長促進効果の調査
<1−1>竹抽出物の投与
3週齢のMale Sprague−Dawley ratを購入して3日間安定化させた。飼育環境は24±2℃、明暗周期は12時間の間隔を維持し、飼料は抗生剤が添加されていない一般の固形飼料を使った。コントロール群には生理食塩水(saline)を注入し、竹茹抽出物(上記<実施例1>で製造した竹茹抽出物の粉末を水に溶かして投薬する)を1日1回経口投与した。陽性(Positive)群にはEutropin注(LG生命科学社製)を20μg/kgの用量で1日1回皮下注射した。本発明の竹茹投与方法は、陽性(Positive)群を除いた全てのラット群に口腔内投与し、全てのラットに1日1回投与した。各群の構成は以下のとおりである。
− コントロール投与群:正常(Normal) 生理食塩水(saline) 1ml
− 陽性(Positive)コントロール群:成長ホルモン(growth hormone)、20μg/kg
− 竹茹投与群:200mg/kg
10日間の飼料の摂取と竹茹抽出物の投与が終わった後、剖検して、以下の内容を確認した。
【0035】
<1−2>実験動物の体重変化
上記実験例<1−1>の各群の食餌投与前の体重と10日間の食餌投与後の体重を測定した。測定は週2回実施された。測定された値は統計処理して平均値と標準偏差を計算した。
図1に示すように、10日間観察した結果、コントロール群、実験群、成長ホルモン投与群の全てにおいて体重の差は殆どないことが確認された。これはラットの体重が竹茹投薬の効果と相関関係があまりないということを示す。
【0036】
<1−3>骨の異常増殖及び骨粗鬆症(Osteoporosis)毒性評価
上記実験例<1−1>で10日間の投与が完了した後、本発明による竹抽出物を摂取させた実験群及びコントロール群で、骨の過剰成長または骨粗鬆症の有無をMicro−CT方法で評価した。
左脛骨の骨密度と関わっている小柱骨(trabecular bone)の体積及び幅をMicro−CT検査で確認した。ラットを致死させて左脛骨を抽出した状態で、Micro−CTを用いて小柱骨の体積及び幅を測定した。Micro−CTシステムはSKYSCAN 1172 Micro−CT機器を使用し、X−ray sourceは50kV、200mAにした。ソースとディテクターが固定されており、その間を物体が回転することで投影データが得られる。映像は0.8μm〜25μmピクセルの大きさを有する。Micro−CTで左脛骨部の首部に全体的FOV(field of view)スキャンし、制限された領域(region of interest(ROI))の部分をFOVスキャンして正確な比率を把握した(Chunet al 2004)。該FOV領域を再構成して骨梁の比率と幅を求めた。2D映像の左大腿骨の長方形の内部にある骨梁の体積比(BV/TV、%)と幅(Tb.Th、mm)を計算するためにFuzzy distance transform(FDT)アルゴリズムを適用した(In Kon Chun 1., et al., In vivo trabecular thickness measurement in cancellous bones:longitudinal rat imaging studies. Physiol. Meas. 27(2006)695−702)。
Micro−CTにより調べてみた骨体積の百分率(percentage bone volume)、骨梁間隙(trabecular separation)、骨梁幅(trabecular thickness)などは、主に骨粗鬆症の有無及び骨異常を評価する指標として使われる。図2及び表1に示すように、各群間の差が殆どないことから、実験期間中、この生薬が骨の異常増殖または骨粗鬆症毒性などに影響を及ぼさないことが分かる。
【0037】
【表1】
【0038】
<1−4>実験動物の脛骨の長さ変化測定
上記実験例<1−1>で10日間の投与が完了した後、本発明による竹抽出物を摂取させた実験群及びコントロール群の左右脛骨(向こう脛)を摘出し、骨組織に付着している筋肉、脂肪、靭帯などを全部除去して70%アルコールに保管し、X−ray撮影機器(OM−FORTE−10121、DKメディカルシステム社製)を用いた。X−ray sourceは50kV、200mAにした。脛骨のX−ray撮影により脛骨の長さ(tibia length)を測定した。
図3及び図4に示すように、コントロール群に比べて成長ホルモンを投与した群の脛骨の全長が増加し、竹茹を投与した群においてもコントロール群に比べて脛骨の全長が増加する効果を示した。
【0039】
<1−5>実験動物の成長板の軟骨組織の変化測定
成長板領域(Growth plate zone)の長さは、剖検後に軟骨組織を固定してH&E染色法で染色して顕微鏡で測定した。各領域の長さを1サンプル当たり5回ずつ測定して平均を出した値を代表値として使用して有意性を評価する。
図5乃至図7に示すように、コントロール群に比べて成長ホルモンを投与した群の増殖部及び肥大部の長さが増加し、竹茹投与群の場合も増殖部の長さがコントロール群に比べて有意に増加し、肥大部の長さは成長ホルモン投与群とほぼ同じ程度の長さ増加を示した。
【0040】
<1−6>軟骨細胞(chondrocyte)の増殖効果
軟骨細胞増殖の程度を測定するために、ラット脛骨の軟骨組織を用い、該部位の成長板にあるS期(S phase)の増殖性細胞(proliferative cell)にbrdU染色法を適用した。Sigma社製の5−Bromo−2´−deoxyuridine(製品番号:B9285)を水酸化アンモニウム(NHOH)0.1Mに30mg/kgの量で溶かして実験終了1時間前に腹腔投与した。
剖検後、軟骨組織を固定してパラフィン包埋組織(paraffin embedded tissue)を作り、BrdU染色キット(Invitrogen、93−3943)の方法により染色を行った。BrdU陽性細胞はセルカウンター(cell counter)を用いてカウントした。
その結果、図8及び図9に示すように、コントロール群に比べて成長ホルモン群(GHで表記)と、竹茹投与群のいずれもBrdU陽性細胞の比率が増加した。これは竹茹投与群において軟骨細胞の増殖効果があるということを示す。
【0041】
<1−7>骨芽細胞活性因子の血清オステオカルシンの測定
ラットの血液を投薬が終わった後に心臓から採取して凝固させて、血清(serum)を分離してサンプルを作り、Rat Ostecalcin/Bone Gla Protein. OT/BGP ELISA Kit(Cusabio、製品番号:CSB−E05129r)を使用して血清中の総オステオカルシンのレベルを測定した。
その結果、図10に示すように、成長ホルモン投与群及び竹茹抽出物投与群のいずれも血清中のオステオカルシンのレベルがコントロール群に比べて有意に増加することが確認された。オステオカルシンは骨芽細胞で形成された後、骨基質中に沈着され、新たに形成されるオステオカルシンの一部は血液内に放出されるので、血中濃度を測定すれば骨形成程度が分かり、血清中のオステオカルシン濃度は骨芽細胞の活性を反映するとみられている。本発明の竹茹抽出物が血清中のオステオカルシン濃度を有意に増加させることから、骨形成及び骨芽細胞活性が増加するものとみられる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
以上のように、本発明は、竹の骨長の成長促進効果に関し、更に詳しくは、竹を有効成分として含む骨成長促進用の薬学的組成物、食品組成物及び動物飼料用組成物に関する。また、本発明は、必要投与対象に有効投与量の竹を投与する段階を含む、骨成長を促進する方法に関する。
本発明の竹を有効成分として含む組成物は成長板及び長骨の成長促進効果があるので、成長期の幼小児及び青少年の成長及び骨格形成の促進に効果的であるだけでなく、本発明の組成物は単独で、または成長ホルモン治療と併行して身長の成長治療に効果的であり、産業上の利用可能性が大きい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10