(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記押さえ部材が、無端ローラーチェーンからなる前記無限軌道と、該ローラーチェーンの周回方向と直交するように該ローラーチェーンに取り付けられた板状の前記加圧部材とを有する請求項1に記載のシート融着体の製造装置。
前記加圧部材がバネによって付勢されており、付勢状態下に該加圧部材が前記帯状のシート積層体を押圧するように構成されている請求項1又は2に記載のシート融着体の製造装置。
前記無限軌道の軌道内の一部にカム機構が備えられており、該カム機構によって前記バネが縮むことで前記加圧部材が付勢されるように構成されている請求項3に記載のシート融着体の製造装置。
前記カム機構が、カム溝と、該カム溝内を移動するカムフォロアとを有し、該カムフォロアが前記加圧部材に取り付けられている請求項4に記載のシート融着体の製造装置。
前記押さえ部材が、無端ローラーチェーンからなる前記無限軌道と、該ローラーチェーンの周回方向と直交するように該ローラーチェーンに取り付けられた板状の前記加圧部材とを有する請求項6に記載のシート融着体の製造方法。
前記加圧部材がバネによって付勢されており、付勢状態下に該加圧部材が前記帯状のシート積層体を加圧するように構成されている請求項6又は7に記載のシート融着体の製造方法。
前記無限軌道の軌道内にカム機構が備えられており、該カム機構によって前記バネが縮むことで前記加圧部材が付勢されるように構成されている請求項8に記載のシート融着体の製造方法。
前記カム機構が、カム溝と、該カム溝内を移動するカムフォロアとを有し、該カムフォロアが前記加圧部材に取り付けられている請求項9に記載のシート融着体の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。本実施形態の製造装置及び製造方法で製造されるシート融着体、すなわち、複数枚のシートの縁部が重なった状態で融着したシール縁部を有するシート融着体は、例えば、
図1ないし
図3に示すとおり、一対のサイドシール部4,4を有する外装体3を具備するパンツ型使い捨ておむつ1である。先ず、
図1ないし
図3に基づいてパンツ型使い捨ておむつ1について説明する。
【0011】
おむつ1は、
図1及び
図2に示すように、吸収性本体2と、該吸収性本体2の非肌当接面側に配されて該吸収性本体2を固定している外装体3とを備え、かつ腹側部1Aにおける外装体3の両側縁部と背側部1Bにおける該外装体の両側縁部とが接合されて一対のサイドシール部4,4、ウエスト開口部8及び一対のレッグ開口部9,9が形成されているパンツ型使い捨ておむつである。このサイドシール部4が、前記の「複数枚のシートの縁部が重なった状態で融着したシール縁部」に相当する部分である。
【0012】
本実施形態の製造装置及び本実施態様の製造方法で製造されるおむつ1の主たる特長部分の1つとして、サイドシール部4が挙げられる。
図2及び
図3に示す如き、サイドシール部4の延びる方向と直交する方向(おむつ1の幅方向)の断面視において、前記分断によって生じたサイドシール部4の外縁4aが、外装体3(シート融着体)の内方に向かって凸の弧状をなし、かつ外縁4aを含んでそれよりも外装体3の内方に、該外装体3を構成する4枚のシート31,32どうしの融着部40が形成され、該融着部40は、該外装体3の厚み方向(
図2の上下方向)の中央部が両端部(上端部及び下端部)に比して幅が広い。すなわち、融着部40は、おむつ1をその幅方向(レーザー光による分断方向と直交する方向)に断面視したときに、厚み方向において中央部に向けて融着部40の幅が徐々に広くなっており、所謂、三日月状又は半月状に形成されている。なお、
図2に示す融着部40は、三日月状である。
【0013】
一般的に、サイドシール部とは、シートの形成材料が溶融固化してなる融着部の存在により、おむつの他の部位に比して硬くて肌触りが悪く、おむつの着用感を低下させる原因となり得る部位である。しかし、おむつ1の有するサイドシール部4のように、融着部40がおむつ1の幅方向の断面視において三日月状又は半月状に形成されていると、従来のサイドシール部における融着部のように同断面視において矩形形状に形成されている場合に比して、サイドシール部4を構成する外装体3の側縁部の角部3Sに存する融着部40の割合が減少し、これにより角部3Sが本来有する柔軟性、肌触り感が損なわれ難くなる。そのため、おむつ1は、従来品に比しておむつの着用感が向上する。一方、サイドシール部4の融着強度に大きな影響を及ぼす部位である、外装体3の側縁部の厚み方向の中央部(
図3に示す外装体3の一面側の角部3Sと他面側の3Sとに挟まれた部分の中央部)には、十分な量の融着部40が存しているため、サイドシール部4は実用上十分な融着強度を有し、おむつ1の着用中にサイドシール4が破れる等の不都合が生じ難い。
【0014】
また、サイドシール部4(融着部40)は、おむつ1の着用状態又は自然状態(収縮状態)において外部から視認し難いという特徴を有している。
図3には、おむつ1の着用時にウエスト開口部8が拡げられた状態における、サイドシール部4(融着部40)が示されている。ウエスト開口部8が拡げられた状態において、サイドシール部4は、通常は
図3(a)に示すように、融着部40が露出した状態となるが、サイドシール部4の外縁4aが外装体3の内方に向かって凸の弧状をなしていること、及び融着部40が従来のサイドシール部(融着部)に比して小さいこと等により、外部から視認し難い。特に、サイドシール部4の外縁4aが外装体3の内方に向かって凸の弧状をなしていることにより、シート31,32の形成材料如何によっては、
図3(b)に示すように、おむつ1の着用時
にウエスト開口部8が拡げられた状態においては、腹側部1A側の外装体3の側縁部の角部3Sと背側部1B側の外装体3の側縁部の角部3Sとが接近し、両角部3S,3S間の離間距離が縮まる場合がある。そのため、両角部3S,3S間に位置する融着部40は、該融着部40よりもおむつ1の外方側に位置する、互いに近接した両角部3S,3Sによって、手で触れ難くかつ外部から視認し難い状態となり、それによって、おむつ1の着用感のみならず外観も向上する。
【0015】
なお、おむつ1の着用状態又は自然状態(収縮状態)においてサイドシール部4(融着部40)が外部から視認し難い状態となると、例えばおむつ1の使用後に、着用者である乳幼児からその保護者(例えば母親)がおむつを取り外す際にサイドシール部4を見つけ難く、おむつ1の取り外し作業に手間取るおそれがある。このような、サイドシール部4の視認性の低下に起因する不都合を解消する手段としては、例えば、サイドシール部4を横断するおむつ1の構成部材の色を、サイドシール部4よりも腹側(前側)と背側(後側)とで異ならせる方法が挙げられる。より具体的には例えば、おむつ1の腹側部1A(前見頃)と背側部1B(後見頃)とで、ウエスト部弾性部材5又は外装体3(外層シート31、内層シート32)の色を異ならせる方法が挙げられる。斯かる方法により、色の切り替え部分にサイドシール部4が位置するようになるため、サイドシール部4の目視による視認性が高まり、前記不都合の発生が効果的に防止される。
【0016】
続いて、本発明の製造装置の好ましい実施形態であるレーザー式接合装置20及び本実施態様の製造方法について、
図4ないし
図9に基づいて詳述する。
図4に示すとおり、レーザー式接合装置20(複数枚のシートの縁部が重なった状態で融着したシール縁部を有するシート融着体の製造装置)は、レーザー光30を集光するレンズ311を有する照射ヘッド312と、少なくとも一部に樹脂材を含む複数枚のシートが重ねられた帯状のシート積層体(おむつ連続体10)の一方の面を支持しながら搬送する支持部材21と、該帯状のシート積層体(おむつ連続体10)の他方の面側から該支持部材21に該帯状のシート積層体を当接させ加圧状態にする押さえ部材26とを具備している。レーザー式接合装置20は、あらかじめ別途製造されたおむつ連続体10(帯状のシート積層体)に対して、
図4に示すように、レーザー光を照射して、一対のサイドシール部4,4(シール縁部)を有する外装体3(シート融着体)を具備するパンツ型使い捨ておむつ1(シート融着体)を連続的に製造する装置である。
【0017】
本実施形態のレーザー式接合装置20は、
図4に示すように、回転軸周り(矢印A方向)に回転する環状の支持部材21を備えた中空の円筒ロール23と、中空の円筒ロール23の中空部に配され、該円筒ロール23の周面部を形成する支持部材21に向けてレーザー光30を照射する照射ヘッド312とを備えている。レーザー式接合装置20は、環状の支持部材21の外周面に帯状のおむつ連続体10(シート積層体)が巻き掛けられて搬送される装置である。
【0018】
レーザー式接合装置20における押さえ部材26は、
図4中、矢印B方向に向けて周回する一対の無限軌道24a,24bを有している。無限軌道24a,24bは、互いに平行に配置されており、かつ同方向に向けて周回するようになっている。押さえ部材26は更に、板状の加圧部材25を複数個有している。各加圧部材25は、一対の無限軌道24a,24b間に架け渡されている。各加圧部材25は、無限軌道24a,24bの周回方向と直交するように該無限軌道24a,24bに取り付けられている。隣り合う加圧部材25の間に他の部材は存在しておらず、空間になっている。
【0019】
無限軌道24a,24bの周回軌道は、その一部が、円筒ロール23の周面の一部、換言すれば支持部材21の外面と対向するようになっている。そして押さえ部材26は、おむつ連続体10の一方の面を支持部材21に当接させるとともに、おむつ連続体10の他方の面を加圧部材25に当接させて、支持部材21と該加圧部材25とによる挟圧で加圧状態となるように構成されている。
【0020】
加圧部材25は、支持部材21との対向面が平坦面になっていてもよく、あるいは支持部材21の曲面形状と相補形状になっている曲面形状であってもよい。支持部材21と加圧部材25との間におむつ連続体10を確実に固定する観点からは、加圧部材25は、支持部材21との対向面が、支持部材21の曲面形状と相補形状になっていることが好ましい。
【0021】
加圧部材25は、加工時に発生する熱に耐え得る耐熱性を有する材料からなることが好ましい。例えば金属又は耐熱性樹脂から加圧部材25を構成することができる。特に加圧部材25は、鉄、アルミニウム又はステンレス鋼等の金属材料からなることが好ましい。また、加圧部材25は、おむつ連続体10に対して照射されるレーザー光の透過性を有しないものであることが好ましいが、透過性を有していてもよい。
【0022】
無限軌道24a,24bの周回方向において前後して隣り合う加圧部材25間の距離は同じになっていていることが好ましい。この距離は、おむつ連続体10において、隣り合う分断予定部分10C(
図4参照)間の距離と同じになっていることが好ましい。レーザー式接合装置20の動作中においては、各加圧部材25が、分断予定部分10C上に位置するようにするために、すなわち加圧部材25の位置と分断予定部分10Cの位置との位相合わせを行うための操作を行うことが好ましい。この位相合わせの操作は、例えば無限軌道24a,24bを構成する部材であるローラーチェーンやタイミングベルトの速度を調整することで大まかに行うことができる。位相合わせの微調整は、例えば円筒ロール23に備えられているカム機構を備えた位置調整装置(図示せず)を用い、加圧部材25が円筒ロール23の周面に到達したときに、該カム機構を備えた位置調整装置(図示せず)によって加圧部材25が円筒ロール23の周面に確実に配置されることで達成される。
【0023】
なお、図示していないが、無限軌道24a,24b内には、該無限軌道24a,24bを支持する起動輪及び遊動輪が配置されている。起動輪は、駆動軸(図示せず)に接続されており、無限軌道24a,24bとかみ合って駆動軸の回転を無限軌道24a,24bに伝達するように構成されている。遊動輪は、起動輪と反対側の端に位置している。遊動輪は、無限軌道24a,24bとかみ合って、無限軌道24a,24bの周回と連れ回りするように構成されている。
【0024】
無限軌道24a,24bとしては、上述したとおり、例えばローラーチェーンやタイミングベルトを用いることができる。したがって、押さえ部材26は、例えば無端ローラーチェーンからなる無限軌道24a,24bと、該ローラーチェーンの周回方向と直交するように該ローラーチェーンに取り付けられた板状の加圧部材25とを有することができる。
【0025】
レーザー式接合装置20は、支持部材21、すなわち円筒ロール23の周面部と加圧部材25との間に発生する圧力を増減調整できる加圧力調整機構(図示せず)を有し、該加圧力の調整により、支持部材21と加圧部材25とによって、おむつ連続体10に加える圧力を適宜調整することができる。
図4に示すように、中空の円筒ロール23の中空部には、該円筒ロール23の周面部を形成する支持部材21に向けてレーザー光30を照射する照射ヘッド312が設けられている。照射ヘッド312は、レーザー光30を自在に走査するガルバノスキャナ(モータ軸にミラーが付いた装置)であり、レーザー光30を円筒ロール23の回転軸と平行な方向(
図4中符号Xで示す方向)に進退させる機構、レーザー光30が支持部材21上のおむつ連続体10に当たる位置(照射点)を円筒ロール23の周方向に移動させる機構、及び円筒ロール23の周面上でレーザー光30のスポット径を一定にする機構等を備えている。レーザー照射機構は、このような構成を有することによって、レーザー光30の照射点を、円筒ロール23の周方向及び該周方向と直交する方向(
図4中符号Xで示す方向。円筒ロール23の回転軸と平行な方向。)の両方向に任意に移動させることができる。
【0026】
支持部材21は、集光されたレーザー光30が該支持部材21側から通過可能な、おむつ連続体10の幅方向(
図4中符号Xで示す方向)に長いスリット状の開口部27を有している。具体的には、支持部材21は、
図4に示すように、円筒ロール23の周面部(被加工物との当接部)を形成しており、円筒ロール23の左右両側縁部を形成する一対の環状の枠体22,22間に挟持固定されている。支持部材21は、環状の枠体22の周長と同じ長さの単一の環状部材から構成されており、鉄、アルミニウム、ステンレス鋼、銅等の金属又はセラミックス等の耐熱性を有する材料からなる。
【0027】
図5(a)及び(b)に示すとおり、支持部材21は、レーザー光が通過可能な光通過部である前記スリット状の開口部27を有している。なお、
図5(a)及び(b)では、説明を容易にする観点から、支持部材21、無限軌道24a,24b及び加圧部材25並びに支持部材21と加圧部材25との間に挟まれたおむつ連続体10が、
図5(a)及び(b)中、左側から右側に向かって水平移動しているかのように記載しているが、実際にはこれら各部材は、円筒ロール23の円筒状に対応した湾曲状態で回転移動している。開口部27は、平面視して矩形形状を有し、その長手方向を支持部材21の幅方向(
図5(a)中符号Xで示す方向。円筒ロール23の回転軸と平行な方向。)に一致させて、円筒状の支持部材21の周方向に所定間隔を置いて複数形成されている。支持部材21は、開口部27ではレーザー光を通過させる一方、開口部27以外の部分ではレーザー光を通過(透過)させない。支持部材21に開口部27を形成する方法としては、1)支持部材21の所定箇所にエッチング、パンチング、レーザー加工等により開口部27を穿設する方法の他、2)支持部材21として、単一の環状部材に代えて、湾曲した矩形形状の部材を複数用い、それら複数の部材を、一対の枠体22,22間に、該枠体22の周方向に所定間隔を置いて配置する方法が挙げられる。前記2)の方法では、隣接する2つの部材の間隔が、スリット状の開口部27となる。
【0028】
なお、レーザー式接合装置20においては、レーザー光が通過可能な光通過部が、支持部材21を厚み方向に貫通する(スリット状の)開口部27からなるため、おむつ連続体10における開口部27と重なる部分である分断予定部分10Cは、加圧部材25が当接するだけで、支持部材21と加圧部材25とで挟まれない。したがって厳密に言えば、分断予定部分10Cには、両部材21,25で挟持されることにより発生する加圧力は発生しない。しかし、開口部27と重なる分断予定部分10Cは、それ自体は両部材21,25で挟持されなくとも、その近傍、すなわち、おむつ連続体10における開口部27の近傍(開口縁部)と重なる部分は両部材21,25で挟持されるため、レーザー光の照射前後で動かず、したがって、レーザー光の照射によるおむつ連続体10の分断によって生じた切断縁部は動かない。つまり、おむつ連続体10の分断予定部分10Cは、両部材21,25での挟持による加圧力により拘束された部分であり、該加圧力が事実上影響する部分である。
【0029】
支持部材21は、
図5(b)に示すように、その外面(被加工物との当接面)に凹部28を有している。凹部28は、円筒状の支持部材21の周方向に所定間隔を置いて複数形成されており、隣接する2つの凹部28,28間に位置する領域(凸部)に、スリット状の開口部27が形成されている。開口部27は、前記凸部における円筒状の支持部材21の周方向の中央に形成されている。
【0030】
このように、支持部材21の外面に凹部28が形成されていることにより、おむつ連続体10の厚みが均一でない場合は、該おむつ連続体10における相対的に厚みの大きい部分(例えば吸収性本体2の配置領域)が凹部28内に収まるように、該おむつ連続体10を支持部材21の外面上に導入することが可能となる。そして、おむつ連続体10をそのように支持部材21上に導入すると、
図5(b)に示すように、おむつ連続体10における加圧部材25との当接面(他方の面10b)が略平坦となるため、加圧部材25をおむつ連続体10に押し付けたときに、おむつ連続体10における、開口部27が形成された前記凸部上に位置する部分(
図5中符号10Cで示す分断予定部分及びその近傍)全体が、おむつ連続体10の支持部材21への所定のテンションでの巻き掛けと加圧部材25とによって、所定の圧力でその厚み方向に均一に加圧されるようになり、こうしてレーザー光の照射による分断前から厚み方向に加圧された該部分に、レーザー光を照射して該部分を分断したときに、その分断された該部分を構成する複数枚のシートの切断縁部どうしをより確実に融着させることが可能となり、サイドシール部4(シール縁部)の融着強度の一層の向上が図られる。
【0031】
サイドシール部4(シール縁部)に実用上十分な融着強度を付与する観点、及びシート融着体を製造するために必要な加工エネルギーを低減させる観点から、レーザー光30が照射されるスリット状の開口部27の幅W(
図6(b)参照。開口部27の、円筒ロール23の周方向に沿った長さ。)に対する、おむつ連続体10(帯状のシート積層体)におけるレーザー光30のスポット(レーザー光30が照射されている部分)の直径φの比(φ/W)は、好ましくは0.05以上、更に好ましくは0.1以上、特に好ましくは0.4以上、そして、好ましくは8以下、更に好ましくは7以下、特に好ましくは2以下、より具体的には、好ましくは0.05〜8、更に好ましくは0.1〜7、特に好ましくは0.4〜2である。例えば、スリット状の開口部27の幅Wは0.1〜4.0mmである。
【0032】
レーザー光30としては、おむつ連続体10を構成するシートに吸収され該シートを発熱させる波長のレーザー光を用いる。ここで、「おむつ連続体10を構成するシート」は、シート積層体の一方の面(支持部材との当接面)を構成するシート(例えば前記実施態様では外層シート31)に限定されず、シート積層体を構成するシートであればどれであってもよい。おむつ連続体10に照射するレーザー光が、該シート積層体を構成する個々のシートについて、該シートに吸収されて該シートを発熱させる波長であるか否かは、シートの材質と、使用するレーザー光の波長との関係で決まる。シート積層体を構成するシートが、合成樹脂製の不織布やフィルムである場合、レーザー光としては、CO
2レーザー、YAGレーザー、LDレーザー(半導体レーザー)、YVO
4レーザー、ファイバーレーザー等を用いることが好ましい。また、おむつ連続体10を構成するシートが、合成樹脂として、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン等を含む場合、該シートに吸収され該シートを良好に発熱させ得る波長としては、例えば、8.0〜15μmを用いることが好ましく、高出力のレーザー装置が存在するCO
2レーザーの発振波長の9.0〜11.0μmを用いることが特に好ましい。レーザー光30のレーザー出力等は、おむつ連続体10を構成するシートの材質や厚み等を考慮して適宜選択することができる。
【0033】
以上のように構成されたレーザー式接合装置20は、押さえ部材26に備えられた加圧部材25による加圧状態の帯状のおむつ連続体10(シート積層体)に、支持部材21側から集光されたレーザー光30をスリット状の開口部27に沿って照射して分断するとともに、この分断の縁部を重なった状態で融着し、シール縁部を有するシート融着体(一対のサイドシール部4,4を有する外装体3を具備するパンツ型使い捨ておむつ1)を複数個連続的に製造することができる。また、本実施形態のレーザー式接合装置20は、環状の支持部材21を有しているので、更に効率的にシール縁部を有するシート融着体(一対のサイドシール部4,4を有する外装体3を具備するパンツ型使い捨ておむつ1)を連続的に製造することができる。
【0034】
しかも、本実施形態においては、一対の無端軌道24a,24b間に架け渡されている加圧部材25は、周回方向に沿って不連続に配置されており、周回方向に前後して隣り合う加圧部材25間は空間となっているので、ベルトを用いて加圧を行う場合に比べて、おむつ連続体10が加圧される面積が少なくなり、そのことに起因して効率よく加圧力を付与することができる。このため、装置の耐久性が向上するという有利な効果が奏される。更に、本実施形態と異なりベルトを用いる場合には、径の大きいベルト巻き掛けロールが必要となることに加えて、ベルトに張力を付与する装置の設置スペースが必要となるところ、本実施形態ではそのようなスペースが不要であり、全体としての装置の小型化が容易である。
【0035】
続いて、複数枚のシートの縁部が重なった状態で融着したシール縁部を有する本発明のシート融着体の製造方法の一実施態様を、上述した実施形態のレーザー式接合装置20を用いて説明する。
本実施態様の製造方法は、複数枚のシートが重ねられた帯状のシート積層体(おむつ連続体10)の一方の面10aを、集光されたレーザー光30が通過可能な、シート積層体(おむつ連続体10)の幅方向(X方向)に長いスリット状の開口部27を有する支持部材21に当接させて加圧状態となりながら搬送される該帯状のシート積層体(おむつ連続体10)に対して、該支持部材21側からスリット状の開口部27に沿って、シート積層体(おむつ連続体10)を構成するシートに吸収され該シートを発熱させる波長のレーザー光30を照射ヘッド312から照射することにより、帯状のシート積層体(おむつ連続体10)を分断するのと同時に、その分断によって生じた加圧状態にある複数枚のシートの切断縁部どうしを融着させてシール縁部(サイドシール部4,4)を形成するシール縁部形成工程を有している。以下、具体的に説明する。
【0036】
本実施態様の製造方法においては、「複数枚のシートが重ねられた帯状のシート積層体」として、複数の枚葉のシート積層体(サイドシール部4が形成されていないパンツ型使い捨ておむつの前駆体)が一方向に連なってなる、おむつ連続体10を別途製造し、このおむつ連続体10を、レーザー光30の照射により、個々に分断するのと同時に、その分断によって生じた加圧状態にある複数枚のシートの切断縁部どうしを融着して、サイドシール部4,4(シール縁部)を形成する。
【0037】
前記「複数枚のシートが重ねられた帯状のシート積層体」において、複数枚のシートの少なくとも一部のシートは、樹脂材を含み、該樹脂材を主成分として形成されていることが好ましく、具体的には例えば、樹脂材としてポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン等の熱融着性の合成樹脂を含み、不織布、フィルム、不織布とフィルムとのラミネートシート等からなることが好ましい。不織布としては、当該技術分野において通常用いられているものを特に制限なく用いることができ、具体的には、エアースルー不織布、ヒートロール不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布等が挙げられる。前記シート積層体は、該シート積層体を構成する複数枚のシートのすべてが、樹脂材を含むことが好ましい。以下、先ず、おむつ連続体10(帯状のシート積層体)の製造方法について、
図7を参照しながら説明する。
【0038】
先ず、
図7に示すように、原反ロール(図示せず)から連続的に供給される帯状の外層シート31と、原反ロール(図示せず)から連続的に供給される帯状の内層シート32の間に、ウエストギャザーを形成するウエスト部弾性部材5、胴回りギャザーを形成する胴回り部弾性部材6及びレッグギャザーを形成するレッグ部弾性部材7を、所定の伸長率に伸長させた伸長状態で各々複数本配する。このとき、本実施態様においては、ウエスト部弾性部材5及び胴回り部弾性部材6には、接着剤塗工機(図示せず)によりホットメルト型接着剤を連続的あるいは間欠的に塗工し、レッグ部弾性部材7は、シートの流れ方向とは直交して往復運動する公知の揺動ガイド(図示せず)を介して、所定の脚周りパターンを形成しながら配される。また、帯状の外層シート31及び帯状の内層シート32には、それらを重ね合わせる前に、両シートのいずれか一方又は双方の相対向する面の所定部位に、接着剤塗工機(図示せず)によりホットメルト型接着剤を塗工する。なお、ウエスト部弾性部材5、胴回り部弾性部材6等の弾性部材が、両シート31,32における、レーザー光の照射によって分断される部分(サイドシール部4の形成予定部分)(
図5中符号10Cで示す分断予定部分)を跨ぐように伸長状態で配されている場合、その分断後の該弾性部材の大幅な縮みや該弾性部材の抜け等の不都合を回避するために、該部分及びその近傍に接着剤を塗工しておくことが好ましい。
【0039】
そして、
図7に示すように、一対のニップロール11,11の間に、ウエスト部弾性部材5、胴回り部弾性部材6及びレッグ部弾性部材7を伸長状態で挟み込んだ帯状の外層シート31及び帯状の内層シート32を送り込んで加圧することにより、帯状シート31,32間に複数本の弾性部材5,6,7が伸長状態で配された帯状の外装体3を形成する。その後、本実施態様においては、弾性部材プレカット手段(図示せず)を用いて、後述する吸収性本体2を配する位置に対応させて、複数本の胴回り部弾性部材6及び複数本のレッグ部弾性部材7を押圧して、収縮機能が発現されないように個々複数個に分断する。前記弾性部材プレカット手段としては、例えば、特開2002−253605号公報に記載の複合伸縮部材の製造方法に用いる弾性部材分断部等が挙げられる。
【0040】
次いで、
図7に示すように、別工程で製造された吸収性本体2にあらかじめホットメルト接着剤等の接着剤を塗工(図示せず)し、該吸収性本体2を90度回転させて、帯状の外装体3を構成する内層シート32上に間欠的に供給して固定する。なお、吸収性本体固定用の接着剤は、吸収性本体2ではなく、内層シート32における吸収性本体2の配置予定位置にあらかじめ塗工してもよい。
【0041】
次いで、
図7に示すように、吸収性本体2が配置された帯状の外装体3におけるレッグ部弾性部材7で環状に囲まれた環状部の内側にレッグホールLO’を形成する。このレッグホール形成工程は、ロータリーカッター、レーザーカッター等の従来からこの種の物品の製造方法における手法と同様の手法を用いて実施することができる。なお、本実施態様においては、帯状の外装体3に吸収性本体2を配置した後にレッグホールを形成しているが、吸収性本体2の配置前にレッグホールを形成してもよい。
【0042】
次いで、帯状の外装体3をその幅方向(外装体3の搬送方向と直交する方向)に折り畳む。より具体的には、
図7に示すように、帯状の外装体3の搬送方向に沿う両側部3a,3aを、吸収性本体2の長手方向両端部を覆うように折り返して吸収性本体2の長手方向両端部を固定した後、外装体3を吸収性本体2と共にその幅方向に2つ折りする。こうして、目的のおむつ連続体10(帯状のシート積層体)が得られる。
【0043】
本実施態様のおむつの製造方法においては、こうして別途製造されたおむつ連続体10(帯状のシート積層体)に対して、
図4に示すように、レーザー式接合装置20を用いて、一対のサイドシール部4,4(シール縁部)を有するパンツ型使い捨ておむつ1(シート融着体)を連続的に製造する。
具体的には、先に説明した
図4に示すように、おむつ連続体10(帯状のシート積層体)は、図示しない案内ロール等によって、所定のテンションが掛けられた状態で、矢印A方向に回転駆動される円筒ロール23の周面部を形成する支持部材21の外面上に導入され、環状の支持部材21の外周面に巻き掛けられて該円筒ロール23の回転によりその周方向に所定距離搬送された後、図示しない導出ロール及びニップロール等によって該支持部材21から離れる。このように、おむつ連続体10を、円筒ロール23の周面部を形成する支持部材21に所定のテンションで巻き掛けかつ加圧部材25によって圧接するようにして搬送することにより、おむつ連続体10における支持部材21と押さえ部材26の加圧部材25とに挟まれた部分及びその近傍は、レーザー光の照射による分断前からその厚み方向に加圧(圧縮)された状態となるため、おむつ連続体10が不織布を含む場合等に、該おむつ連続体10をより効率的に圧縮させることができ、結果として、斯かる圧縮中のおむつ連続体10に対してレーザー光を照射してこれを分断したときに、その分断された部分を構成する複数枚のシートの切断縁部どうしをより確実に融着させることが可能となり、サイドシール部4(シール縁部)の融着強度の一層の向上が図られる。
【0044】
おむつ連続体10が、支持部材21上に導入されてからこれを離れるまでの該支持部材21(円筒ロール23)の回転角度は、例えば、90〜270度とすることができ、より好ましくは120〜270度である。また、押さえ部材26の加圧部材25によっておむつ連続体10を支持部材21に圧接させる角度(圧接角度)の範囲は、円筒状の支持部材21(円筒ロール23)の周方向の全周に亘って圧接させる場合を360度とした場合に、90〜270度であることが好ましく、より好ましくは120〜270度である。
【0045】
本実施態様のおむつの製造方法における、シール縁部(サイドシール部4,4)を形成するシール縁部形成工程について詳述すると、
図4及び
図5に示すように、支持部材21に当接しているおむつ連続体10の他方の面10b(支持部材21との当接面である一方の面10aとは反対側の面)に、加圧部材25を押し付けて加圧状態とする。そして加圧状態のおむつ連続体10を搬送しながら、該おむつ連続体10に対して、支持部材21側からスリット状の開口部27に沿って、レーザー光30を照射ヘッド312から照射することにより、おむつ連続体10を個々に分断するのと同時に、その分断によって生じた加圧状態にある複数枚のシートの切断縁部どうしを融着して、サイドシール部4,4(シール縁部)を形成し、一対のサイドシール部4,4(シール縁部)を有する外装体3(シート融着体)を具備するパンツ型使い捨ておむつ1(シート融着体)を連続的に製造する。このように、レーザー光30の照射は、支持部材21と加圧部材25とに挟まれることによって加圧状態(圧縮状態)にあるおむつ連続体10に対して行うことが、該照射によって生じた複数枚のシートの切断縁部どうしを確実に融着させて、サイドシール部4の融着強度を向上させる観点から好ましい。
【0046】
図6(a)及び(b)は、レーザー式接合装置20を用いておむつ連続体10(帯状のシート積層体)を分断するのと同時にサイドシール部4(シール縁部)を形成する様子を示す図である。
図6(a)には、おむつ連続体10のレーザー光30による分断予定部分10C及びその近傍が模式的に示されている。本実施態様におけるおむつ連続体10の分断予定部分10Cは、先に説明した
図5(a)に示すように、おむつ連続体10の吸収性本体2が配置されていない領域における長手方向(搬送方向A)の中央である。斯かる分断予定部分10Cは、ウエスト開口部8(
図1参照)の開口端部及びその近傍が、8枚のシートが重ねられた8層構造部分、それ以外の部分が、4枚のシートが重ねられた4層構造部分となっている。4層構造部分は、
図6(a)に示すように、腹側部1Aにおける1枚の外装体3を構成する2枚のシート(外層シート31及び内層シート32)と、背側部1Bにおける1枚の外装体3を構成する同じく2枚のシート31,32とからなり、これら4枚のシートが積層されて構成されている。一方、8層構造部分は、前述したように、おむつ連続体10の製造時に帯状の外装体3の両側部3a,3aが吸収性本体2の長手方向両端部を覆うように折り返されている(
図7参照)ことに起因して、腹側部1A及び背側部1Bそれぞれに外装体3が2枚存しかつこれら計4枚の外装体3,3が積層されているので、結果として8枚のシート31,32が積層されて構成されている。なお、4層構造部分及び8層構造部分それぞれにおいて、互いに重なり合うシート31,32間には、ウエスト部弾性部材5、胴回り部弾性部材6等の弾性部材が介在配置されている場合があるが、
図6では、説明容易の観点から、該弾性部材の図示を省略している。以下、主として、4層構造部分について説明するが、特に断らない限り、8層構造部分も4層構造部分と同様に構成されサイドシール部4が形成される。
【0047】
おむつ連続体10における4層構造の分断予定部分10Cにおいて、おむつ連続体10の一方の面10a(支持部材21との当接面)を構成する外層シート31及び一方の面10aを構成するシート以外のシート(内層シート32)は、いずれか一方又は両方が、レーザー光30を吸収して発熱するシートである。本実施態様においては、分断予定部分10Cを構成する4枚のシート31,32のすべてが、レーザー光30を吸収して発熱するシート(不織布)である。また、分断予定部分10C及びその近傍における互いに重なり合う2枚のシート間は、レーザー光30の照射前において、接着剤等により接合されていてもよく、全く接合されていなくてもよい。
【0048】
おむつ連続体10は、
図6(b)に示すように、一方の面10aが支持部材21に当接しかつ分断予定部分10Cがスリット状の開口部27上に位置するように、矢印A方向に回転する支持部材21上に導入されるとともに、他方の面10bに加圧部材25が押し付けられることによって、矢印A方向に搬送されつつ厚み方向に加圧(圧縮)される。そして、斯かる搬送中かつ加圧状態の分断予定部分10Cに対して、支持部材21側からスリット状の開口部27に沿ってレーザー光30が照射される。前述したように、レーザー光30の照射点は、ガルバノスキャナ(図示せず)によって、円筒ロール23の周方向に任意に移動可能に構成されており、開口部27の該周方向に沿った移動に追従して移動するように設定されているので、該開口部27上に位置する分断予定部分10Cには、その搬送中にレーザー光30が一定時間連続的に照射される。
【0049】
4層構造の分断予定部分10Cにレーザー光30が照射されると、該分断予定部分10Cに存するシート31,32の形成材料(繊維等)は、レーザー光30の直射による発熱によって気化して消失し、該分断予定部分10Cの近傍に存する該形成材料は、レーザー光30によって間接的に熱せられて溶融する。その結果、
図6(c)に示すように、4層構造の分断予定部分10Cが溶断されて、おむつ連続体10から1つの枚葉のシート積層体(おむつ前駆体)が切り分けられる形で、該おむつ連続体10が分断されるのと同時に、その分断によって生じた該枚葉のシート積層体における4枚のシート31,32の切断縁部どうし、及び、切り分けられた該おむつ連続体10における4枚のシート31,32の切断縁部どうしが、それぞれ融着して融着部40が形成される。これらの切断縁部どうしは、それぞれ、その形成前(レーザー光30の照射によるおむつ連続体10の分断前)から、支持部材21と加圧部材25とに挟まれることによって加圧状態(圧縮状態)とされていたものである。融着部40の形状は、
図6(c)に示すとおり、例えば三日月状となる。
【0050】
このように、サイドシール部4の融着部40がおむつ1の幅方向の断面視において三日月状又は半月状に形成される理由は、
図6(b)及び
図6(c)に示すように、おむつ連続体10の分断予定部分10Cへのレーザー光30の照射中及び照射直後に、不織布からなるおむつ連続体10(分断予定部分10C)が、金属材料からなる支持部材21と加圧部材25との間に介在配置されているためと推察される。すなわち、おむつ連続体10(外層シート31及び内層シート32)を上下から挟持する支持部材21及び加圧部材25の主たる形成材料である金属材料の方が、シート31,32の主たる形成材料である不織布に比して熱伝導率が高いため、レーザー光30の照射によってシート31,32に発生した熱は、外気によって冷やされると同時に、該シート31,32に接する支持部材21又は加圧部材25に速やかに吸収されやすいところ、レーザー光30の照射によっておむつ連続体10が分断されて形成された、サイドシール部4を構成する外装体3の側縁部の角部3Sは、該角部3Sに比して熱伝導率の高い支持部材21又は加圧部材25に接しているため、該角部3に発生した熱は両部材21,25に速やかに吸収され、結果として、該角部3は、融着部40が形成される程の高温にはなり難く、そのため、融着部40の割合が極めて少ない部位となる。一方、外装体3の側縁部の厚み方向の中央部(外装体3の一面側の角部3Sと他面側の3Sとに挟まれた部分の中央部)は、熱伝導率の高い両部材21,25と接していないため、レーザー光30の照射によって該中央部に発生した熱は該中央部に留まって該中央部を溶融させ、結果として、該中央部に融着部40が多く偏在するようになる。
【0051】
したがって、融着部40をおむつ1の幅方向の断面視において三日月状又は半月状に形成し前述した作用効果を奏させるようにするためには、本実施態様のように、支持部材21及び加圧部材25は、鉄、アルミニウム、ステンレス鋼、銅等の金属材料やセラミックスからなり、かつおむつ連続体10(帯状のシート積層体)を構成する複数枚のシート31,32の少なくとも一部のシート(特に外装体3の外面を形成する外層シート31)は、その一部に樹脂材を含むものであり、具体的には例えば、不織布からなることが好ましい。また、複数枚のシート31のすべてのシートに樹脂材が含まれることが好ましい。不織布としては、当該技術分野において通常用いられているものを特に制限なく用いることができる。
【0052】
以上のとおり、本実施態様のおむつの製造方法によれば、このように、一回のレーザー光の照射で、帯状のシート積層体の分断と、その分断によって生じた2箇所の加圧状態にあるシートの切断縁部どうしの融着とを同時に実施するため、2箇所の融着箇所を二回のレーザー光の照射で融着する方法(本発明の範囲外の方法)に比べ、おおよそ半分のレーザー出力で融着と分断とを同一工程で実施でき、シートの縁部が重なった状態で融着したシール縁部(サイドシール部4)を有するシート融着体(パンツ型使い捨ておむつ1)を効率的に製造することができる。また、融着と分断とを同一工程で行えるため、シートの切断縁部どうしが融着されていない非シール縁部が発生しないので、材料の削減効果もある。
【0053】
シート31,32の切断縁部は、レーザー光30の照射中及び照射終了直後は、発熱して溶融状態となっているが、レーザー光30の照射によっておむつ連続体10から切り分けられた1つの枚葉のシート積層体(おむつ前駆体)及び該おむつ連続体10それぞれの、支持部材21と加圧部材25とによる加圧状態が保持されたまま、照射終了後からは外気や支持部材21・加圧部材25への伝熱によって速やかに冷却されて固化し、該切断縁部の形成材料(繊維等)が溶融一体化した融着部40となる。こうして、融着部40が形成されることによって、1個のおむつ1における一対のサイドシール部4,4のうちの一方が形成される。なお、必要に応じ、吸引装置、排気装置等の公知の冷却手段を用いてシート31,32の切断縁部を強制的に冷却し、融着部40の形成を促進してもよい。
【0054】
こうして1箇所の分断予定部分10Cが分断されると、レーザー光30は、その照射点が搬送方向Aとは逆方向に隣接する別の開口部27に当たるように移動され、該別の開口部27を介してその上に位置する別の分断予定部分10Cに照射される。これにより、別の分断予定部分10Cが前記と同様に分断・融着され、先に形成されたサイドシール部4と対をなす他方のサイドシール部4(融着部40)が形成される。以後、同様の操作を繰り返すことにより、一対のサイドシール部4,4(シール縁部)を有する外装体3(シート融着体)を具備するパンツ型使い捨ておむつ1(シート融着体)が連続的に製造される。
【0055】
なお、レーザー光30が照射されるスリット状の開口部27の幅W(
図6(b)参照。開口部27の、円筒ロール23の周方向に沿った長さ。)に比して、おむつ連続体10におけるレーザー光30のスポット(レーザー光30が照射されている部分)の直径φが小さい場合(φ/Wが1未満の場合)には、
図8に示すように、レーザー光30の照射によって形成された一対のサイドシール部4,4(融着部40,40)は、おむつ連続体10における開口部27と重なる部位(平面視において、スリット状の開口部27の、搬送方向Aと直交する方向に沿う一対の開口縁部に挟まれた部位)に位置し得る。すなわち、おむつ連続体10において、支持部材21と加圧部材25とで挟まれていない部位であっても、開口部27の近傍(開口縁部)、すなわち前述したように、両部材21,25での挟持による加圧力が事実上影響する部位であれば、融着部40は形成され得る。
【0056】
ところで、レーザー式接合装置20(複数枚のシートの縁部が重なった状態で融着したシール縁部を有するシート融着体の製造装置)においては、レーザー光が通過可能な光通過部が、支持部材21を厚み方向に貫通する(スリット状の)開口部27からなるため、おむつ連続体10(シート積層体)における開口部27と重なる部分(分断予定部分10C)には、支持部材21と加圧部材25とに挟まれることにより発生する加圧力が発生しない。該部分10Cは該加圧力が事実上影響する部分であるため、融着部40が形成される。融着部40がより安定的に形成されるようにするためには、両部材21,24での挟持による加圧力をより高める工夫が有効である。
【0057】
図9には、融着部40のより安定的な形成を可能にすべく、レーザー式接合装置20の一部を改良した変形例が示されている。
図9に示す変形例においては、おむつ連続体10が配される支持部材21の外面21aにおけるスリット状の開口部27の近傍(開口部27の縁部から35mm以内の領域)に、周辺部よりも該外面21a上のおむつ連続体10側(加圧ベルト24側)に突出した突出部45が形成されている。更に説明すると、突出部45は、支持部材21の外面21aにおける、複数の開口部27それぞれの長手方向(支持部材21の幅方向)に延びる一対の開口縁部それぞれに形成されている。各突出部45は、開口部27に沿ってその長手方向の全長に亘って連続しており、平面視して矩形形状を有している。各突出部45の突出高さ45h(周辺部からの突出高さ)は、該突出部45の全長に亘って変化せずに一定となっている。突出部45の頂部は、平坦でも良く、所定の曲率を有する曲面であってもよく、斯かる曲面は、円筒状の支持部材21の外面21aと平行であってもよい。
【0058】
このように、支持部材21の外面21aにおける開口部27の近傍(開口縁部)に突出部45を形成し、開口部27の近傍とその周辺部とで段差を設けることにより、該段差における相対的に高い位置にある突出部45の頂部に、おむつ連続体10における前記分断予定部分近傍が位置するようになるため、該開口部近傍対応部の前記加圧力が局所的に増加する。そのため、おむつ連続体10における局所的な加圧力の低下が効果的に防止され、おむつ連続体10の溶断がより一層安定的に行われるようになり、最終的に得られるおむつ1(シート融着体)におけるサイドシール部4(シール縁部)の融着強度が一層向上する。
【0059】
斯かる作用効果をより確実に奏させるようにする観点から、突出部45の突出高さ45h(
図9参照)は、好ましくは0.1mm以上、更に好ましくは1mm以上、そして、好ましくは10mm以下、更に好ましくは8mm以下、より具体的には、好ましくは0.1mm以上10mm以下、更に好ましくは1mm以上8mm以下である。
また、突出部45の幅45w(
図9参照。支持部材21の幅方向と直交する方向の長さ。)は、好ましくは1mm以上、更に好ましくは2mm以上、そして、好ましくは20mm以下、更に好ましくは10mm以下、より具体的には、好ましくは1mm以上20mm以下、更に好ましくは2mm以上10mm以下である。
【0060】
図10には、押さえ部材26の別の実施形態が示されている。同図に示す押さえ部材26は、同図中矢印B’方向に周回する無限軌道24を備えている。同図においては無限軌道24が一条のみ示されているが、無限軌道24の数はこれに限られず二条以上の多条であってもよい。無限軌道24が多条である場合、各無限軌道24は互いに平行に周回することが好ましい。
【0061】
無限軌道24内には、その両端にそれぞれスプロケットからなる起動輪241及び遊動輪242が配置されている。また無限軌道24には、複数の加圧部材25が取り付けられている。また、無限軌道24の周回軌道内の一部にはカム機構50が備えられている。カム機構50は、カム溝51と、該カム溝51内を移動するカムフォロア25eとを有している。カム溝51は、無限軌道24の周回軌道に沿って配置された一対の案内部材51a,51b間に形成されている。
【0062】
加圧部材25は、無限軌道24に固定される固定部25aを有している。固定部25aからは一対の支持柱25bが立設されている。支持柱25bは、無限軌道24の周回方向と直交する方向であって、かつ無限軌道24の周回軌道外に向けて立設されている。また支持柱25bは、無限軌道24の周回方向に沿って前後離間するように配置されている。各支持柱25bには、バネ25cが取り付けられている。更にバネ25cを挟んで固定部25aと対向する位置に加圧板25dが配置されている。加圧板25dは、バネ25cの弾性変形の程度に応じて支持柱25bに沿って摺動可能になっている。各支持柱25bは、その先端部251bが加圧板25dから外方に突出している。加圧部材25には更に、上述したカムフォロア25eが取り付けられている。カムフォロア25eは、加圧部材25の固定部25aに取り付けられている。またカムフォロア25eはその回転軸が、無限軌道24の周回方向と直交するように配置されている。そしてカムフォロア25eは、上述のとおり、無限軌道24の周回軌道内に設けられたカム溝51を移動するようになっている。
【0063】
無限軌道24と対向する位置に配置されている支持部材21は、本実施形態においては、コンベアベルトから構成されている。コンベアベルトは無端のものであり、
図10中矢印A’方向に走行している。無限軌道24と支持部材21とが対向する位置においては、支持部材21は一直線方向に走行している。これとは対照的に
図4に示す実施形態においては、支持部材21は、円筒の周面から構成されていたので円筒の周方向に沿って走行している。
【0064】
本実施形態で用いている支持部材21には、
図4に示す実施形態の支持部材と同様に開口部27が形成されている。開口部27は、支持部材21の走行方向と直交する方向に延びている。更に支持部材21には、開口部27を挟んで、かつ無限軌道24の周回方向に沿って一対の挿入孔21a,21aが設けられている。挿入孔21a,21a間の距離は、先に述べた加圧部材25の支持柱25b間の距離と同じになっている。
【0065】
本実施形態においては、無限軌道24の周回によって加圧部材25の加圧板25dが、支持部材21と対向する位置まで達すると、加圧部材25のカムフォロア25eがカム溝51に案内され、加圧部材25が支持部材21側に近づき、支持柱25bの先端部251bの先端が挿入孔21aに挿入される。この挿入によって、おむつ連続体10の分断予定部分10Cと加圧部材25と支持部材21の開口部27との位置合わせが確実に行われる。加圧部材25は支持部材21側に更に近づき、帯状のシート積層体10と加圧板25dとが密着する。更に加圧部材25が支持部材21側に近づくことで加圧板25dと固定部25aとの距離が縮まりバネ25cが圧縮される。バネ25cの圧縮によって加圧板25dには付勢力が与えられ、それによって加圧板25dがおむつ連続体10を強く押圧する。そして、支持部材21と加圧部材25との係合下に、照射ヘッド312からレーザー光30が照射され、開口部27において露出しているおむつ連続体10がレーザー光30によって分断されると同時に融着される。
【0066】
本実施形態によっても、おむつ連続体10の分断予定部分10Cと加圧部材25と支持部材21の開口部27との位置合わせが確実に行われるので、精度よくおむつ連続体10の分断及び融着を行うことができる。なお本実施形態においては、支持柱25bの先端部251bが、挿入孔21a内に挿入されることがおむつ連続体10によって妨げられないようにするために、支持部材21における挿入孔21aの形成位置は、支持部材21のうちおむつ連続体10で覆われていない位置とすることが好ましい。
【0067】
前記の各実施態様における光通過部は、例えば
図6(b)に示す開口部27の如き、支持部材21を厚み方向に貫通するスリット状の開口部であったが、本発明に係る光通過部はこれに限定されず、例えば
図11(a)に示すように、支持部材21の端部(外縁)21sの近傍(支持部材が存していない部分)を光通過部として利用することができる。その場合、シート積層体10は、支持部材21と加圧部材25とに挟まれた部分10Aと、支持部材21に当接していない部分10Bとを有し、部分10A及びその近傍は、レーザー光の照射による分断前からその厚み方向に加圧(圧縮)された状態となり、部分10Bにおける、部分10Aの近傍を除く部分(支持部材21の端部21sから所定距離以上離間した部分)は、非加圧(非圧縮)状態となる。このような、レーザー光が照射される部分を基準として一方側のみが加圧された、片側加圧の状態のおむつ連続体10に対して、
図11(a)に示すように、レーザー光30を支持部材21の端部21sの近傍に照射して、おむつ連続体10を部分10A側と部分10B側とに分断した場合、部分10A側のシートの切断縁部どうしは、分断前から加圧状態にあるため融着するが、部分10B側のシートの切断縁部どうしは、分断前から非加圧状態にあるため融着しない。ここで、「支持部材21の端部(外縁)21sの近傍」は、支持部材21によっておむつ連続体10(帯状のシート積層体)が加圧状態となっている領域であり、より具体的には、支持部材21の端部21sから好ましくは2mm以内、更に好ましくは1mm以内の領域である。
【0068】
図11(a)に示すように、光通過部が支持部材21の端部21sの近傍であり、片側加圧の状態のおむつ連続体10に対して該光通過部を介してレーザー光30を照射してこれを分断する場合、融着部40をおむつ1の幅方向の断面視において確実に三日月状又は半月状に形成するとともに、サイドシール部4(シール縁部)に実用上十分な融着強度を付与する観点、及びシート融着体を製造するために必要な加工エネルギーを低減させる観点から、支持部材21の端部21sからおむつ連続体10におけるレーザー光30のスポット(レーザー光30が照射されている部分)の中心までの距離W’に対する、該スポットの直径φの比(φ/W’)は、好ましくは0.1以上、更に好ましくは0.2以上、特に好ましくは0.8以上、そして、好ましくは16以下、更に好ましくは14以下、特に好ましくは8以下、より具体的には、好ましくは0.1〜16、更に好ましくは0.2〜14、特に好ましくは0.8〜8である。
【0069】
以上、本発明をその実施態様に基づいて説明したが、本発明は、前記実施態様に制限されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。例えば、シート積層体は、
図6(a)に示す如き4枚のシートが重ねられたものの他、2枚、3枚又は5枚以上のシートが重ねられたものであってもよい。また、おむつ連続体10(シート積層体)を円筒ロール23(支持部材21)に皴やたるみを発生させずに巻き掛けるために、レーザー式接合装置20に、おむつ連続体10のテンションを制御する機構を具備させてもよい。また、レーザー式接合装置20は、加圧部材25におけるおむつ連続体10との当接面に付着した樹脂等を除去するための機構を備えていてもよい。前述した一の実施態様のみが有する部分は、すべて適宜相互に利用できる。
【0070】
なお、本発明においては、前記サイドシール部形成工程における外装体の分断及び接合部の形成は、熱源を用いて該外装体を溶融することにより実施し、該接合部の形成によりおむつの着用時における突出部の形成を可能にすればよく、熱源を用いた外装体の溶融は、前述の如き、外装体へのレーザー光の照射に制限されず、非接触熱源として、赤外線やハロゲン光を用いてもよく、それ以外の他の方法、例えば、公知のヒートロール装置等を用いた外装体の加熱圧着、あるいは公知の超音波振動装置等を用いた外装体への超音波振動の付与、等により実施することもできる。
また、前記サイドシール部形成工程における外装体の分断及び接合部の形成は、同時でもよく、接合部の形成後に分断してもよい。
【0071】
前述した本発明の実施形態に関し、更に以下の付記(シート融着体の製造方法、シート融着体、吸収性物品の製造方法)を開示する。
<1>
複数枚のシートの縁部が重なった状態で融着したシール縁部を有するシート融着体の製造装置であって、
レーザー光を集光するレンズを有する照射ヘッドと、少なくとも一部に樹脂材を含む複数枚のシートが重ねられた帯状のシート積層体の一方の面を支持する支持部材と、該帯状のシート積層体をその他方の面側から該支持部材に向けて加圧する押さえ部材とを具備し、
前記支持部材が、集光されたレーザー光が該支持部材側から通過可能な、前記シート積層体の幅方向に長いスリット状の開口部を有しており、
前記押さえ部材が、周回する無限軌道と、該無限軌道に取り付けられた複数の加圧部材とを有しており、
前記押さえ部材による加圧状態の前記帯状のシート積層体に、前記支持部材側から集光されたレーザー光を前記スリット状の開口部に沿って照射して分断するとともに、この分断の縁部を重なった状態で融着し、前記シール縁部を有するシート融着体を複数個連続的に製造するシート融着体の製造装置。
【0072】
<2>
前記押さえ部材が、無端ローラーチェーンからなる前記無限軌道と、該ローラーチェーンの周回方向と直交するように該ローラーチェーンに取り付けられた板状の前記加圧部材とを有する<1>に記載のシート融着体の製造装置。
<3>
前記加圧部材がバネによって付勢されており、付勢状態下に該加圧部材が前記帯状のシート積層体を押圧するように構成されている<1>又は<2>に記載のシート融着体の製造装置。
<4>
前記無限軌道の軌道内の一部にカム機構が備えられており、該カム機構によって前記バネが縮むことで前記加圧部材が付勢されるように構成されている<3>に記載のシート融着体の製造装置。
<5>
前記カム機構が、カム溝と、該カム溝内を移動するカムフォロアとを有し、該カムフォロアが前記加圧部材に取り付けられている<4>に記載のシート融着体の製造装置。
<6>
回転軸周りに回転する環状の支持部材を備えた中空の円筒ロールと、中空の該円筒ロールの中空部に配され、該円筒ロールの周面部を形成する該支持部材に向けてレーザー光を照射する照射ヘッドとを備え、環状の該支持部材の外周面に前記帯状のシート積層体が巻き掛けられて搬送される<1>ないし<5>のいずれか1に記載のシート融着体の製造装置。
【0073】
<7>
前記無限軌道内に、該無限軌道を支持する起動輪及び遊動輪が配置されており、
前記起動輪は、駆動軸に接続されており、前記無限軌道と噛み合って該駆動軸の回転を該無限軌道に伝達するように構成されており、
前記遊動輪は、前記起動輪と反対側の端に位置しており、該遊動輪は、前記無限軌道と噛み合って、該無限軌道の周回と連れ回りするように構成されている<1>ないし<6>のいずれか1に記載のシート融着体の製造装置。
<8>
前記加圧部材が、一対の前記無端軌道間に架け渡されており、
前記加圧部材は、前記無限軌道の周回方向に沿って不連続に配置されており、 周回方向に前後して隣り合う前記加圧部材25間が空間となっている<1>ないし<7>のいずれか1に記載のシート融着体の製造装置。
<9>
前記シートの少なくとも一部は、不織布、フィルム又は不織布とフィルムとのラミネートシートからなる<1>ないし<8>のいずれか1に記載のシート融着体の製造装置。
<10>
複数枚のシートの縁部が重なった状態で融着したシール縁部を有するシート融着体の製造方法であって、前記複数枚のシートの少なくとも一部のシートは樹脂材を含み、複数枚のシートが重ねられた帯状のシート積層体の一方の面を、レーザー光が通過可能な光通過部を有する支持部材に当接させるとともに、該シート積層体の他方の面を押さえ部材に当接させて、該支持部材と該押さえ部材とによる挟圧で加圧状態となった該帯状のシート積層体に対して、該支持部材側から該光通過部を介して、該シート積層体を構成するシートに吸収され該シートを発熱させる波長のレーザー光を照射することにより、該帯状のシート積層体を分断するのと同時に、その分断によって生じた前記加圧状態にある複数枚のシートの切断縁部どうしを融着させて前記シール縁部を形成する工程を有し、前記押さえ部材が、周回する無限軌道と、該無限軌道に取り付けられた複数の加圧部材とを有する、シート融着体の製造方法。
<11>
前記押さえ部材が、無端ローラーチェーンからなる前記無限軌道と、該ローラーチェーンの周回方向と直交するように該ローラーチェーンに取り付けられた板状の前記加圧部材とを有する<10>に記載のシート融着体の製造方法。
【0074】
<12>
前記加圧部材がバネによって付勢されており、付勢状態下に該加圧部材が前記帯状のシート積層体を加圧するように構成されている<10>又は<11>に記載のシート融着体の製造方法。
<13>
前記無限軌道の軌道内にカム機構が備えられており、該カム機構によって前記バネが縮むことで前記加圧部材が付勢されるように構成されている<12>に記載のシート融着体の製造方法。
<14>
前記カム機構が、カム溝と、該カム溝内を移動するカムフォロアとを有し、該カムフォロアが前記加圧部材に取り付けられている<13>に記載のシート融着体の製造方法。
<15>
前記加圧部材が、分断予定部分上に位置するようにするために、該加圧部材の位置と該分断予定部分の位置との位相合わせを行う<10>ないし<14>のいずれか1に記載のシート融着体の製造方法。
<16>
前記位相合わせを、前記無限軌道を構成する部材であるローラーチェーン又はタイミングベルトの速度を調整することで大まかに行う<15>に記載のシート融着体の製造方法。
【0075】
<17>
回転軸周りに回転する中空の円筒ロールの外周面に、前記帯状のシート積層体が巻き掛けて搬送し、
前記加圧部材が前記円筒ロールの周面に到達したときに、該加圧部材が該円筒ロールの周面に配置されるように、該円筒ロールに備えられているカム機構を用いた位置調整装置によって前記位相合わせを微調整する<15>又は<16>に記載のシート融着体の製造方法。
<18>
前記シートの少なくとも一部は、不織布、フィルム又は不織布とフィルムとのラミネートシートからなる<10>ないし<17>のいずれか1に記載のシート融着体の製造方法。
<19>
一対のサイドシール部を有する外装体を具備するパンツ型使い捨ておむつの製造方法であって、
<10>ないし<18>のいずれか1に記載のシート融着体の製造方法を用い、複数枚のシートの縁部が重なった状態で融着したシール縁部を有するシート融着体を形成する工程を有する、パンツ型使い捨ておむつの製造方法。