(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6095024
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】画像リーダにおけるスキャニング解像度設定に基づく画像処理装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/04 20060101AFI20170306BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20170306BHJP
H04N 5/222 20060101ALI20170306BHJP
【FI】
H04N1/04 101
G06T1/00 440
H04N5/222 Z
【請求項の数】14
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-521888(P2015-521888)
(86)(22)【出願日】2013年7月26日
(65)【公表番号】特表2015-532025(P2015-532025A)
(43)【公表日】2015年11月5日
(86)【国際出願番号】US2013052319
(87)【国際公開番号】WO2014025559
(87)【国際公開日】20140213
【審査請求日】2015年1月7日
(31)【優先権主張番号】13/570,915
(32)【優先日】2012年8月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516124292
【氏名又は名称】シンボル テクノロジーズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】マデイ ダリウス ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】トライコヴィク ミロスラフ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンデ ヴィヴレ ブルーノ
【審査官】
橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−292304(JP,A)
【文献】
特開2000−132151(JP,A)
【文献】
特開2006−074146(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/04 − 1/207
H04N 1/38 − 1/393
H04N 5/222− 5/28
G06T 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像捕獲によりターゲットを電気−光学的に読み取るための装置において、
ハウジングと、
前記ハウジングに対してある範囲の作用距離内に位置するターゲットに照準光パターンを投影するための照準アッセンブリと、
視界にわたり前記ターゲット及び照準光パターンの画像を捕獲するための画像アッセンブリと、
距離測定フレーム中に捕獲された照準光パターンの位置に基づき前記ハウジングとターゲットとの間隔である距離を決定し、その決定された前記ハウジングからターゲットまでの間の距離に基づいて捕獲された画像のスキャニング解像度を決定し、その決定されたスキャニング解像度を予め設定されている画像捕獲のために要求されるスキャニング解像度設定と比較し、そして前記距離測定フレームとは異なる時間に生じる処理フレーム中に捕獲された画像を処理するためのコントローラと、
を備え、前記コントローラは、前記決定されたスキャニング解像度が前記スキャニング解像度設定より低いときに前記捕獲画像を廃棄し、そして前記ターゲットの距離を変更するようユーザに通知し、及び
前記コントローラは、前記決定されたスキャニング解像度がスキャニング解像度設定に少なくとも等しい場合だけ前記捕獲画像を受け容れるように動作する、装置。
【請求項2】
前記画像アッセンブリは、画像センサのアレイを有するソリッドステートイメージャと、前記捕獲画像をそのアレイに収束するための画像レンズとを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ターゲットの距離の関数として前記スキャニング解像度を記憶するために前記コントローラによりアクセス可能なメモリを更に備えた、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記コントローラは、前記距離測定フレーム及び処理フレームを望ましい時間シーケンスで発生するように動作する、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記コントローラは、前記決定されたスキャニング解像度がスキャニング解像度設定より大きいときに前記捕獲画像をダウン・サンプリングするように動作する、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記コントローラは、前記決定されたスキャニング解像度が前記スキャニング解像度設定より低いときに、前記捕獲画像を廃棄し、そして前記ターゲットの距離を変更するようユーザに通知することに代えて、前記捕獲画像をアップ・サンプリングするように動作する、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記スキャニング解像度設定は、最小希望解像度値、最小許容解像度値、最小希望解像度値の範囲、及び最小許容解像度値の範囲の1つである、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
画像捕獲によりターゲットを電気−光学的に読み取るための方法において、
ハウジングに対してある範囲の作用距離内に位置するターゲットに照準光パターンを投影し、
距離測定フレーム中に捕獲された照準光パターンの位置に基づいて前記ハウジングとターゲットとの間隔である距離を決定し、
その決定された前記ハウジングからターゲットまでの間の距離に基づいて捕獲された画像のスキャニング解像度を決定し、
その決定されたスキャニング解像度を予め設定されている画像捕獲のために要求されるスキャニング解像度設定と比較し、そして
その決定されたスキャニング解像度が前記スキャニング解像度設定より低いかどうかの比較に基づいて前記距離測定フレームとは異なる時間に生じる処理フレーム中にターゲットの画像を処理し、
(1)前記決定されたスキャニング解像度が前記スキャニング解像度設定より低い場合には、前記捕獲画像を廃棄し、そして前記ターゲットの距離を変更するようにユーザに通知し、及び
(2)前記決定されたスキャニング解像度がスキャニング解像度設定に少なくとも等しい場合には、前記捕獲画像を受け容れる、
という段階を含む方法。
【請求項9】
前記捕獲段階は、画像センサのアレイを有するソリッドステートイメージャと、前記捕獲画像をそのアレイに収束するための画像レンズとで遂行される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記スキャニング解像度をターゲットの距離の関数として記憶する、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記距離測定フレーム及び処理フレームを望ましい時間シーケンスで発生する、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記決定されたスキャニング解像度がスキャニング解像度設定より大きいときに前記捕獲画像をダウン・サンプリングする、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記決定されたスキャニング解像度が前記スキャニング解像度設定より低い場合には、前記捕獲画像を廃棄し、そして前記ターゲットの距離を変更するようにユーザに通知することに代えて、前記捕獲画像をアップ・サンプリングする、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記スキャニング解像度設定が、最小希望解像度値、最小許容解像度値、最小希望解像度値の範囲、及び最小許容解像度値の範囲の1つであるように構成する、請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、ターゲット、特に、アルファニューメリックキャラクタを保持するドキュメントのような非記号ターゲットを画像捕獲により電気−光学的に読み取る装置及び方法であって、その装置に対するターゲットの距離に基づいてスキャニング解像度を決定し、その決定されたスキャニング解像度をスキャニング解像度設定と比較し、そして捕獲されたターゲット画像をその比較に基づいて処理することによる読み取り装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ソリッドステート画像システム又は画像リーダは、デコードされるべき異なる巾及び反射率のエレメント、例えば、バー及びスペースを各々保持する一次元及び二次元バーコード記号のようなターゲットと、画像形成されるべきアルファニューメリックキャラクタ及びピクチャーを各々保持するドキュメント、ラベル、領収書、署名、運転免許証、及び支払/ポイントカードのような非記号又はフォームターゲットと、を電気−光学的に読み取るために、ハンドヘルド及び/又はハンズフリーの両動作モードにおいて使用されている。既知の規範的な画像リーダは、ユーザに保持され及び/又は支持面に支持されたハウジングと、そのハウジングに支持され且つターゲットに向けられたウインドウと、ハウジングに支持され且つソリッドステートイメージャ(又は画像センサ)をホトセル又は光センサのセンサアレイ(ピクセルとしても知られている)と共に有する画像エンジン又はモジュールと、視界にわたりウインドウを通して画像軸に沿って画像形成されるターゲットから散乱及び/又は反射される戻り光を捕獲し、且つその戻り光をセンサアレイに投射して、ターゲットを読み取ることのできるある範囲の作用距離にわたりターゲットの画像の捕獲を開始するための画像レンズアッセンブリと、を備えている。そのようなイメージャは、一次元又は二次元電荷結合デバイス(CCD)又は相補的金属酸化物半導体(CMOS)デバイスと、視野にわたるピクセルデータの一次元又は二次元アレイに対応する電気的信号を発生し及び処理するための関連回路とを備えている。それらの電気信号は、プログラム型マイクロプロセッサ又はコントローラにより、読み取られるターゲットに関連した情報、例えば、記号を表わすデコードされたデータ、又は非記号ターゲットのピクチャーへとデコードされ及び/又は処理される。
【0003】
特に、薄暗い照明環境及び/又は遠い距離の画像形成及び読み取りにおいて、センサアレイにより捕獲される戻り光の量を増加するために、既知の画像モジュールは、例えば、1つ以上の発光ダイオード(LED)のような照明光源及び照明レンズからの照明光をターゲットに照明して、そこから反射及び散乱させるための照明光アッセンブリも有している。又、既知の画像モジュールは、「十字線」パターンのような照準光パターン又はマークを投影するための照準光アッセンブリも有し、例えば、照準レーザ又は1つ以上のLEDのような照準光源からの照準光は、画像形成の前に、ターゲット上の照準レンズに通される。ユーザは、画像形成及び読み取りの前の照準モード中に、画像形成されるべきターゲットに照準パターンを向ける。
【0004】
ハンズフリーモードにおいて、ユーザは、ターゲットを、ウインドウを越えて水平及び/又は垂直及び/又は対角方向に「スワイプ」モードでスライド又はスワイプさせる。或いは又、ユーザは、「プレゼンテーション」モードでウインドウのほぼ中央領域にターゲットを提示してもよい。その選択は、ターゲットのタイプ、オペレータの好み、又はリーダが使用されるワークステーションのレイアウトに依存する。ハンドヘルドモードにおいて、ユーザは、画像形成されるべきターゲットからある距離に自分の手でリーダを保持し、そしてリーダをターゲットに最初に向ける。ユーザは、先ず、カウンタートップ又は支持スタンド又は受け台からリーダを持ち上げる。読み取りが完了すると、ユーザは、リーダをカウンタートップ又は支持スタンドへ戻して、ハンズフリー動作を再開する。
【0005】
既知の画像リーダは、一般的に、それらの意図された目的を満足するが、1つの問題は、ピクセル/インチ(ppi)で測定された値でしばしば表わされるスキャニング解像度(ピクセル解像度としても知られている)に関するものである。スキャニング解像度とは、(画像レンズアッセンブリの焦点が充分であると仮定して)スキャナアレイが解像できる最小ターゲット細部のサイズを指し、これは、センサアレイに投影されるターゲット画像における細部のサイズにより決定される。言い換えれば、スキャニング解像度は、センサアレイの単一ピクセルが解像できるターゲット上の最小細部のサイズとして定義される。センサアレイ上のターゲット画像は、ターゲットまでの距離が増加するにつれて小さくなる。ターゲット画像が(例えば)ピクセルとほぼ同じサイズになるときに、作用範囲の端に到達する。というのは、ターゲットがそれより更に遠く離れる場合には、最小の細部をセンサアレイによってもはや解像できないからである。
【0006】
既知のリーダのコントローラがビーパー又は指示発光ダイオード(LED)のようなインジケータを作動して、記号ターゲットが首尾良くデコードされたことをユーザに通知することは標準的なことである。従って、ユーザが、ある距離において記号ターゲットを読み取るように試みたときにそのようなフィードバックを受信しない場合に、ユーザは、そのようなフィードバックが受信されるまで、記号ターゲット及び/又はリーダを別の距離へ単に移動するだけである。
【0007】
しかしながら、非記号又はフォームターゲット、例えば、ドキュメントを読み取るときには、そのような同等のフィードバックがない。スキャニング解像度が特定の距離において低い場合には、特に、例えば、捕獲された画像が、その後、顔又は物体認識ソフトウェア、又は光学的文字認識(OCR)ソフトウェア、又は光学的マーク認識(OMR)ソフトウェア、又はインテリジェントな文字認識(ICR)ソフトウェア、等の認識ソフトウェアへの入力として使用されるとすれば、捕獲された画像は、充分な細部を欠くものとなり、不鮮明となり、そしておそらく判読し難いものとなる。ユーザは、捕獲される画像の質の低さ又は鮮明度の不充分さが警告されず、そしておそらくリーダとドキュメントとの間の距離を変えることで質の高い又は鮮明な画像を試み且つ得るように誘導されない。
【0008】
従って、ターゲット距離に基づくスキャニング解像度の評価に基づいて画像を捕獲し、そして特に、最小スキャニング解像度設定を満足しない場合にユーザフィードバックを与えることにより、ターゲット、特に、非記号ターゲットを電気−光学的に読み取る装置及び方法を提供することが要望される。
【0009】
個々の図面全体にわたり同じ又は同様の機能的要素が同じ参照番号で示された添付図面は、以下の詳細な説明と共に、明細書に合体され、そして請求の範囲に規定された発明を含む概念の実施形態を更に示すと共に、それら実施形態の種々の原理及び効果を説明する上で役立つものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】電気−光学的に読み取られるべきターゲットからの光を捕獲するためにハンズフリーモードで動作する画像リーダの斜視図である。
【
図2】電気−光学的に読み取られるべきターゲットからの光を捕獲するためにハンドヘルドモード又はハンズフリーモードのいずれかで動作する別の画像リーダの斜視図である。
【
図3】電気−光学的に読み取られるべきターゲットからの光を捕獲するためにハンドヘルドモード又はハンズフリーモードのいずれかで動作する更に別の画像リーダの斜視図である。
【
図4】本発明による
図1のリーダの種々のコンポーネントの概略図である。
【
図5】本発明の方法により距離測定フレームの間に遂行されるステップを示すフローチャートである。
【
図6】本発明の方法により処理フレームの間に遂行されるステップを示すフローチャートである。
【
図7】本発明による方法の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
当業者であれば、図中の要素は、簡単化及び明瞭化のために示されたもので、必ずしも正しいスケールで描かれていないことが明らかであろう。本発明の実施形態の理解を改善する上で助けとなるように、例えば、図中の幾つかの要素の寸法は、他の要素に対して誇張される。
【0012】
添付図面に従来の記号で適宜に表わされた装置及び方法のコンポーネントは、当業者に容易に明らかな細部を伴う開示を不明瞭にしないために本発明の実施形態の理解に関連した特定の細部のみを示す。
【0013】
本発明の1つの特徴は、簡単に述べると、画像捕獲により、ターゲット、特に、アルファニューメリックキャラクタを保持するドキュメントのような非記号又はフォームターゲットを電気−光学的に読み取るための装置にある。この装置は、ハウジングと、ハウジングに対してある範囲の作用距離内に位置するターゲットに照準光パターンを投影するための照準アッセンブリと、視野にわたりターゲット及び照準光パターンの画像を捕獲するための画像アッセンブリとを備えている。本発明の1つの態様によれば、プログラム型マイクロプロセッサ又はコントローラは、捕獲画像における照準光パターンの位置に基づいてハウジングに対するターゲットの距離を決定し、その決定された距離に基づいてスキャニング解像度を決定し、その決定されたスキャニング解像度をスキャニング解像度設定と比較し、そしてその比較に基づいて捕獲画像を処理するように動作する。
【0014】
画像アッセンブリは、好ましくは、CCD又はCMOSアレイのような画像センサのアレイを有するソリッドステートイメージャと、捕獲画像をそのアレイに収束するための少なくとも1つの画像レンズとを備えているのが好都合である。メモリは、スキャニング解像度をターゲット距離の関数として記憶するためにコントローラによりアクセスできるのが好ましい。
【0015】
コントローラは、距離測定(ranging)フレームの間にターゲット距離を決定し、そして距離測定フレームとは異なる時間に生じる処理フレームの間に捕獲画像を処理するように動作する。1つ以上の処理フレームが任意の望ましいタイミングシーケンスで1つ以上の距離測定フレームと交番させることができる。好ましくは、コントローラは、毎秒複数のフレームで動作することができる。
【0016】
本発明の別の態様によれば、画像捕獲によりターゲットを電気−光学的に読み取る方法は、ハウジングに対してある範囲の作用距離内に位置するターゲットに照準光パターンを投影し、視野にわたりターゲット及び照準光パターンの画像を捕獲し、捕獲画像における照準光パターンの位置に基づいてハウジングに対するターゲットの距離を決定し、その決定された距離に基づいてスキャニング解像度を決定し、その決定されたスキャニング解像度をスキャニング解像度設定と比較し、そしてその比較に基づいて捕獲画像を処理する、ことにより遂行される。
【0017】
図1の参照番号10は、一般的に、取引を処理するためのワークステーションを示し、特に、アルファニューメリックキャラクタを保持するラベルを有するガラス瓶12、又は記号ターゲットを保持するボックス14のような商品を処理する小売店のレジ(checkout counter)を示す。ガラス瓶12のラベルは、本発明から利益を得ることのできる非記号ターゲットの一例である。他の非記号ターゲットは、ドキュメント、他のラベル、領収書、署名、運転免許証、支払/ポイントカード、従業員バッジ、ピクチャー、等を含む。
【0018】
レジは、レジ頂部16を含み、これを横切って商品がスワイプ速度で、レジ頂部16にマウントされたボックス状の垂直スロットリーダ又は画像リーダ20の一般的に垂直な又は直立した平面ウインドウ18を通り過ぎてスライドされるか又はそこに提示される。レジの店員又はユーザ22は、レジ頂部の片側に位置し、そして画像リーダ20は、反対側に位置される。ホスト又はキャッシュ/クレジットレジスタ24は、ユーザが容易に到達する範囲内に位置される。又、ユーザ22は、画像リーダ20を画像形成中に手で保持することもできる。
【0019】
図2の参照番号30は、一般的に、画像リーダ20とは異なる構成の別の画像リーダを示す。又、画像リーダ30は、一般的に垂直の又は直立したウインドウ26と、画像リーダ30をレジ頂部に支持するためにベース32により支持された銃の形のハウジング28も有する。従って、画像リーダ30は、商品が、垂直のウインドウ26を通り越してスライド又はスワイプされるか又はそこに提示されるか、或いはレジ頂部からピックアップされてオペレータの手に保持される固定のワークステーションとして使用されると共に、トリガー34を手で押してターゲットの画像形成を開始するハンドヘルド画像リーダとして使用される。別の態様では、ベース32を省略することもできる。
【0020】
図3の参照番号50は、一般的に、画像リーダ20、30とは更に別の動作上の構成を有する別の電気−光学的画像リーダを示す。リーダ50は、ウインドウ及び銃の形のハウジング54を有し、そしてスタンド52によりレジ頂部にワークステーションモードで支持されて示されている。従って、リーダ50は、商品が、そのウインドウを通り越してスライド又はスワイプされるか又はそこに提示されるか、或いはスタンドからピックアップされてオペレータの手にハンドヘルドモードで保持される固定のワークステーションとして使用されると共に、トリガー56を手で押して記号の読み取りを開始するハンドヘルドシステムとして使用される。
【0021】
本発明は、リーダ20、30、50のいずれにも使用できるが、リーダ30又はリーダ50のようなハンドヘルドリーダに対して特に有益であり且つ有用である。
図4に示すように、リーダは、リーダのハウジング内にマウントされたシャーシ43に取り付けられたイメージャ40及び少なくとも1つの集束レンズ41を有する画像アッセンブリを備えている。イメージャ40は、ソリッドステートデバイス、例えば、CCD又はCMOSイメージャであり、そしてウインドウ18に対して接近作用距離(WD1)及び遠方作用距離(WD2)のような作用距離範囲内のターゲット距離に位置されたターゲット12、14から視界にわたりウインドウ18を通る光を捕獲するように動作するアドレス可能な画像センサ又はピクセルのエリアアレイを有している。好ましい実施形態では、WD1は、集束レンズ41から約1インチ離れたところであり、そしてWD2は、集束レンズ41から約10インチ離れたところである。本発明では、これらの距離に対する他の数値も意図される。
【0022】
画像リーダのハウジングには、照明光アッセンブリ42もマウントされており、これは、好ましくは、例えば、発光ダイオード(LED)のような複数の照明光源と、照明光でターゲットを均一に照明するように構成された照明レンズとを備えている。ハウジングには照準光アッセンブリ46もマウントされ、これは、「十字線」パターンのような照準光パターン又はマークを投影するように動作し、照準光は、照準光源、例えば、照準レーザ又は1つ以上のLEDから照準レンズを通してターゲットに送られる。ユーザは、画像形成されるべきターゲットに照準パターンを向ける。
図4に示すように、イメージャ40、照明アッセンブリ42の照明LED、及び照準光アッセンブリ46の照準光源は、これらコンポーネントの動作をコントロールするように動作するコントローラ又はプログラム型マイクロプロセッサ36に作動的に接続される。好ましくは、マイクロプロセッサ36は、記号ターゲットから散乱された戻り光をデコードし及び/又は捕獲されたターゲット画像を処理するのに使用されるものと同じである。
【0023】
動作中に、マイクロプロセッサ36は、照準光源を作動して照準光パターンをターゲットに投影し、照明LED42を、例えば、500マイクロ秒以下の短い期間中作動して、ターゲットを照明し、且つイメージャ40も作動して、前記期間中だけターゲットからの光を収集するために、コマンド信号を送信する。典型的なアレイは、全ターゲット画像を取得するのに約11から33ミリ秒を要し、そして毎秒約30から90フレームのフレームレートで動作する。アレイは、百万個程度のアドレス可能な画像センサを有する。
【0024】
本発明の1つの態様によれば、マイクロプロセッサ36は、距離測定フレーム中に、捕獲画像における照準光パターンの位置に基づいてハウジングに対するターゲットの距離を決定するように動作する。捕獲画像における照準光パターンの位置に基づいてハウジングに対するターゲットの距離を測定することは、米国特許第7,303,131号及び米国特許第7,347,371号に記載されたように遂行され、それら特許の内容全体を参考としてここに援用する。
【0025】
マイクロプロセッサ36は、更に、距離測定フレーム中に、決定された距離に基づいてスキャニング解像度を決定するように動作する。メモリ44は、例えば、以下の規範的な表1に要約されたターゲット距離の関数としてスキャニング解像度を記憶するためにマイクロプロセッサ36によりアクセス可能であり、ここで、ターゲット距離は、ターゲットと画像レンズ41との間の距離であり、そして視界は、ほぼ40°である。表1に挙げた値は、視野角及びセンサ解像度に基づいて前もって導出される。ターゲット距離ごとにメモリ44にppiを記憶するのではなく、マイクロプロセッサ36は、視野角及びセンサ解像度の関数としてppiをリアルタイムで計算することができる。
【0027】
図5は、距離測定フレーム中に遂行されるアクションを示す。ステップ102においてマイクロプロセッサ36に照準光源を作動させることで、照準光パターンがターゲットに投影される。ステップ104においてマイクロプロセッサ36にイメージャ40を作動させることでターゲット及び照準パターンの全画像が捕獲される。ステップ106において、捕獲画像における照準光パターンの位置に基づいてハウジングに対するターゲットの距離の決定がマイクロプロセッサ36により行われる。マイクロプロセッサ36は、ステップ108において、メモリ44にアクセスし、そして決定されたターゲット距離に対するスキャニング解像度を検索する。ここで、マイクロプロセッサ36は、ターゲットが画像形成されるスキャニング解像度を知る。
【0028】
図6は、距離測定フレームとは異なる時間に生じる処理フレームの間に遂行されるアクションを示す。ターゲットの画像は、ステップ110において、マイクロプロセッサ36にイメージャ40を作動させることで捕獲される。ターゲットの捕獲画像は、ステップ112において、マイクロプロセッサ36によりデコードされ(記号ターゲットの場合)及び/又は処理される(非記号ターゲットの場合)。
【0029】
図7は、マイクロプロセッサ36により遂行される全体的アクションを示す。スタートステップ100からスタートして、マイクロプロセッサ36は、ステップ114において前記距離測定及び処理フレームのタイミングシーケンスを発生する。1つ以上の処理フレームは、望ましいタイミングシーケンスにおいて1つ以上の距離測定フレームと交番させることができる。非限定例として、各距離測定フレームが各処理フレームと交番してもよいし、2つごとの連続する処理フレームの後に各距離測定フレームが生じてもよい。
【0030】
次いで、マイクロプロセッサ36は、ステップ116において、決定されたスキャニング解像度を1つ以上のスキャニング解像度設定と比較する。各設定は、ユーザによるか、特定のアプリケーションによるか、又はリーダの製造者により、望ましい値に設定される。設定は、充分に詳細で、鮮明な、クリアな画像を発生するために、望ましい最小希望解像度値(例えば、300ppi)、又は受け容れられると思われる最小許容解像度(例えば、200ppi)、又はある範囲の最小希望解像度値、又はある範囲の最小許容解像度値を含む。各設定又は範囲は、読み取られるターゲットの形式に基づいて、ある値又は1組の値から別の値へ変更されてもよい。各設定又は範囲は、種々の手段により、例えば、校正動作モード中にバーコードを読み取ることによりマイクロプロセッサへロードすることができる。
【0031】
マイクロプロセッサ36は、更に、決定されたスキャニング解像度と、少なくとも1つのスキャニング解像度設定、例えば、最小希望解像度及び/又は最小許容解像度及び/又はある範囲の希望/許容解像度との間の比較に基づいて、捕獲画像を処理するように動作する。決定されたスキャニング解像度が最小許容解像度設定より低い場合には、マイクロプロセッサ36は、ステップ126において、画像を拒絶すべきかどうか決定する。もしそうであれば、マイクロプロセッサ36は、捕獲画像を拒絶し、ビーパー/アナンシエーターを作動して、ステップ120において、ターゲット距離を変更するようにユーザに通知し、そしてスタートブロック100に復帰して、別のターゲット、又は同じターゲットを読み取るための別の試みを待機する。画像が、例えば、ユーザによりプリセットされたように拒絶されない場合には、マイクロプロセッサ36は、既知の技術、例えば、ピクセル補間、同期フィルタリング、等により、ステップ122において、画像を、例えば、最小許容解像度設定へアップ・サンプルし、その後に、そのアップ・サンプルされた画像をステップ124においてホストコンピュータへ送信し、そして画像捕獲が成功したことをユーザに通知する。
【0032】
ステップ116において、決定されたスキャニング解像度が最小許容解像度設定以上である場合には、マイクロプロセッサ36は、捕獲画像を受け容れる。決定されたスキャニング解像度が要求より高いとき、例えば、ターゲットがリーダに接近し過ぎているときには、マイクロプロセッサ36は、ステップ118において、ピクセル選択、マッピング、等により、捕獲画像をダウン・サンプルし、次いで、ステップ124において、そのダウン・サンプルされた画像をホストコンピュータへ送信し、画像捕獲が成功であったことをユーザに通知する。或いは又、マイクロプロセッサ36は、ターゲット距離を増加するようにユーザに信号する。ダウン・サンプリングは、捕獲画像を含むファイルのサイズに特定のアプリケーションが制限を課するときに、特に望まれる。
【0033】
数値例として、上述したように、充分に詳細なクリアな鮮明な画像を読み取るよう保証するために、最小希望解像度値が300ppiであると仮定する。前記表1に示されたように、ターゲット距離が4インチ以上である場合には、最小希望解像度値を満足しない。マイクロプロセッサ36は、4インチ以上でターゲットを読み取る試みを拒絶するか、又はそのようにプロセットされた場合には、300ppiの最小希望解像度値を満足するように画像をアップ・サンプルする。マイクロプロセッサ36は、3インチ以下でターゲットを読み取る試みを受け容れる。もちろん、異なる最小希望解像度値を使用することができる。
【0034】
別の例として、クリアな先鋭な画像を保証するために最小希望解像度値が300ppiであり、且つ最小許容解像度値が200ppiであると仮定する。ここで、満足すべき2つのスレッシュホールドがある。決定されたスキャニング解像度が200ppi未満である場合には、捕獲画像が拒絶される。決定されたスキャニング解像度が200ppiと300ppiとの間である場合には、捕獲画像がデジタルで改善され、例えば、アップ・サンプルされる。最小希望解像度及び最小許容解像度の両方が同じである(且つそれがデフォールトである)場合に、決定された解像度が最小希望解像度未満であれば、画像が拒絶される。
【0035】
以上、特定の実施形態について説明した。しかしながら、当業者であれば、特許請求の範囲に規定される本発明の範囲から逸脱せずに種々の変更や修正がなされ得ることが明らかであろう。例えば、ここに述べる装置は、スタンドアローンの電気−光学的リーダに限定されるものではなく、コンピュータ又は移動ターミナルのような他のアプリケーションにおいて補助システムとして実施することもできる。従って、明細書及び図面は、それに限定されず、単なる例示に過ぎず、そのような変更は、全て、本教示の範囲内に包含されることが意図される。
【0036】
利益、効果、問題の解決策、並びにその利益、効果又は解決策を生じさせ又はそれらをより顕著なものにする要素は、任意の又は全ての請求項の、重要な、要求される、或いは本質的な特徴又は要素として解釈してはならない。本発明は、本出願及び問題となる請求項の全ての等効物の係争中になされる補正を含めて特許請求の範囲のみによって規定される。
【0037】
更に、ここでは、第1及び第2、上部及び下部、等の関連用語は、エンティティ又はアクション間の実際の関係又は順序を必ずしも要求又は暗示せずに、あるエンティティ又はアクションを別のエンティティ又はアクションから区別するために使用されるに過ぎない。語「comprises(備える)」「comprising(備えている)」「has(有する)」「having(有している)」「includes(含む)」「including(含んでいる)」「contains(収容する)」「containing(収容している)」又は他の変形は、非排他的包含を網羅するものであり、要素のリストを備え、有し、含み、収容するプロセス、方法、物品又は装置は、それらの要素だけを含むのではなく、そのようなプロセス、方法、物品又は装置に対して明確にリストされず又は固有のものでもない他の要素も含む。“comprises…a”“has…a”“includes…a”“contains…a”が先行する要素は、より多くの制約を伴わずに、その要素を備え、有し、含み又は収容するプロセス、方法、物品又は装置における付加的な同一の要素の存在を除外するものではない。語“a”及び“an”は、明確に指示されない限り1つ以上として定義される。語“substantially(実質的に)”“essentially(本質的に)”“approximately(ほぼ)”“about(約)”又は他のバージョンは、当業者により理解されるものと同程度に近いものとして定義され、1つの非限定実施形態では、この語は、10%以内と定義され、別の実施形態では、5%以内と定義され、更に別の実施形態では、1%以内と定義され、そして更に別の実施形態では、0.5%以内と定義される。ここで使用する語“coupled(結合)”は、接続(connected)と定義されるが、必ずしも直接的ではなく且つ必ずしも機械的ではない。ある仕方で“構成(configured)”された装置又は構造体は、少なくともその仕方で構成されるが、リストされていない仕方で構成されてもよい。
【0038】
ある実施形態は、1つ以上の一般的な又は特殊なプロセッサ(又は「処理装置」)、例えば、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、カスタマイズされたプロセッサ、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)と、ここに述べる方法及び/又は装置の幾つかの、ほとんどの又は全ての機能を、ある非プロセッサ回路に関連して実施するように1つ以上のプロセッサをコントロールする独特の記憶されたプログラムインストラクション(ソフトウェア及びファームウェアの両方を含む)とで構成される。或いは又、幾つかの又は全ての機能は、プログラムインストラクションを記憶していない状態マシンにより実施することもできるし、或いは各機能又はある機能の幾つかの組み合わせがカスタムロジックとして実施される1つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)において実施することもできる。勿論、2つの解決策を組み合わせて使用することもできる。
【0039】
更に、ある実施形態は、本明細書及び請求の範囲に述べられた方法を遂行するようにコンピュータ(例えば、プロセッサを備えた)をプログラムするためのコンピュータ読み取り可能なコードが記憶されたコンピュータ読み取り可能な記憶媒体として具現化される。そのようなコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、例えば、ハードディスク、CD−ROM、光学的記憶装置、磁気記憶装置、ROM(リードオンリメモリ)、PROM(プログラマブルリードオンリメモリ)、EPROM(消去可能なプログラマブルリードオンリメモリ)、EEPROM(電気的に消去可能なプログラマブルリードオンリメモリ)及びフラッシュメモリを含むが、これらに限定されない。更に、当業者であれば、ここに開示する概念及び原理により誘導されるときに、例えば、利用できる時間、現在の技術、及び経済性の事柄によって動機付けされる著しい努力及び多数の設計上の選択肢が考えられるにも関わらず、そのようなソフトウェアインストラクション及びプログラム並びにICを最小限の実験で容易に生成できることが予想される。
【0040】
読者がこの技術開示の特性を素早く確認できるようにするために要約書を設ける。これは、請求の範囲又はその意味を解釈し又は限定するのに使用されるものではないとの理解で提出される。更に、詳細な説明において、種々の特徴は、開示を合理化する目的で種々の実施形態に一緒にグループ化されることが明らかであろう。この開示方法は、請求項に述べる実施形態が各請求項に明確に述べられた以上の特徴を要求するという意図を反映するものと解釈してはならない。むしろ、請求項に反映されるように、発明の要旨は、開示する1つの実施形態の、全部未満の特徴にある。従って、各請求項が、それ自身、別々に請求される要旨として確立された特許請求の範囲が詳細な範囲に合体される。
【符号の説明】
【0041】
10:ワークステーション
12:ガラス瓶
14:ボックス
16:レジ頂部
18:ウインドウ
20:画像リーダ
22:店員又はユーザ
24:ホスト又はキャッシュ/クレジットレジスタ
26:ウインドウ
28:ハウジング
30:画像リーダ
32:ベース
34:トリガー
36:マイクロプロセッサ
40:イメージャ
41:集束レンズ
42:照明光アッセンブリ
43:シャーシ
44:メモリ
46:照準光アッセンブリ
50:画像リーダ
52:スタンド
54:ハウジング
56:トリガー