特許第6095048号(P6095048)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6095048
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】包装構造体
(51)【国際特許分類】
   B65D 30/16 20060101AFI20170306BHJP
   B65D 33/38 20060101ALI20170306BHJP
   B65D 77/06 20060101ALI20170306BHJP
【FI】
   B65D30/16 G
   B65D33/38
   B65D77/06 H
   B65D77/06 G
   B65D77/06 B
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-246517(P2012-246517)
(22)【出願日】2012年11月8日
(65)【公開番号】特開2014-94760(P2014-94760A)
(43)【公開日】2014年5月22日
【審査請求日】2015年10月1日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 掲載年月日:2012年7月11日 掲載アドレス:http://www.yamasa.com/news/2012/sendo/
(73)【特許権者】
【識別番号】307028493
【氏名又は名称】株式会社悠心
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】特許業務法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】二瀬 克規
【審査官】 家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−260614(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/020226(WO,A1)
【文献】 特開2010−241447(JP,A)
【文献】 特開2011−031961(JP,A)
【文献】 特開2010−018323(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D30/00−33/38
B65D77/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装用積層フィルムを融着接合させてなる軟質の包装袋本体の上端部分から側方へ、ほぼ直角三角形状に突出させて設けられ、基端辺を除く周縁部分で融着接合されて、内側に、上部メイン注出路および下部滞留路を有し、セルフシール逆止機能を発揮する平坦な注出ノズルを具える包装袋内へ、液状の被包装物を充填包装してなる包装体を、該包装体に自立性を付与する紙製の外容器内へ起立姿勢で収納し、前記包装体の頂部融着部の外表面を外容器の上端部分の内表面に接合させてなる包装構造体であって、
外容器の下端部分の平面外輪郭形状を多角形状とするとともに、上端部分を二枚の平坦な板状、その上端部分と下端部分との中間部の外輪郭形状を外側へ膨出する曲線形状とし、該外容器に、注出ノズルを、少なくとも片面側から覆って、引裂き誘導疵に沿って切除される保護片を突設し、この保護片の切除位置で、注出ノズルの、包装体の頂部融着部とほぼ平行に延びる上側融着部を、外容器で隙間なく挟持し、注出ノズルの、少なくとも上部メイン注出路と対応する部分で、外容器を注出ノズルの表面から0.3〜10.0mmの範囲の間隔をおいて位置させてなる包装構造体。
【請求項2】
前記外容器に、注出ノズルを表裏の両面側から覆うそれぞれの保護片を突設させてなる請求項1に記載の包装構造体。
【請求項3】
前記外容器の下端部に、複数枚の底板を設け、少なくとも最下端に位置する底板の底面に、前記包装体厚み方向の中央部で押し潰し変形させるための押込み誘導疵を、底板の全体にわたって直線状に設けてなる請求項1または2に記載の包装構造体。
【請求項4】
前記底板のうちの、最上端に位置する底板の突設箇所に隣接する二個所の辺部分に、それぞれ補強舌片を突出させて設けてなる請求項3に記載の包装構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、包装袋内へ液状の被包装物を、液中シール充填等によって抜気下で充填包装してなる軟質の包装袋本体を主体とする包装体に、紙製の外容器をもって、自立性および定型性を付与する包装構造体に関するものであり、とくには薄肉にして平坦な注出ノズルの、包装袋本体からの突出長さを小さく抑えてなお、該注出ノズルに、セルフシール逆止機能を効果的に発揮させて、包装体内への外気の意図しない入り込みを十分に防止し、併せて、液状の袋内被包装物の所期した通りの注出を円滑にするとともに、その注出の停止後の、袋内被包装物の不測の液だれを有効に防止する技術を提案するものである。
【背景技術】
【0002】
多くは積層構造になる、薄肉にして平坦な二枚のノズルフィルムまたは、中央部分で折り返した一枚のノズルフィルムの、相互に対向するシーラント層を、基端辺となる部分を除いた周縁部分で融着接合させて内側に注出通路を区画して、セルフシール機能を発揮する注出ノズルを構成する技術は、特許文献1、2に記載されている。かかる注出ノズルは、たとえば、包装用積層フィルムを融着接合させてなる軟質の包装袋本体の上端部分から側方へ、ほぼ直角三角形状に突設することで、包装袋の一部をなし、該包装袋内へ液状の被包装物を抜気下で充填包装してなる包装体からの袋内被包装物の注出に当たっては、注出ノズルの先端封止部を引裂き除去等して、注出通路を開口させた状態で包装体を傾動させることで、袋内被包装物を水頭圧等の作用の下で、包装体内へ外気を取り込むことなく注出させるべく機能し、一方、包装体の起立姿勢への復帰により、袋内被包装物に濡れた注出通路の内表面を直ちに密着させることにより、セルフシール逆止機能に基づき、包装体内への外気の進入を確実に阻止するべく機能する。
【0003】
また、特許文献3には、注出ノズルのこのようなセルフシール逆止機能の発揮を担保するとともに、袋内被包装物の円滑なる注出を確実なものとし、併せて、注出の終了後の意図しない液だれの発生を防止する外容器が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2005−15029号公報
【特許文献2】特開2005−59958号公報
【特許文献3】特開2010−260614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、注出ノズルの、軟質な包装袋本体からの突出長さを小さく抑え、紙製の外容器を小型のものとしてなお、特許文献1、2に記載された注出ノズルのセルフシール逆止機能の発揮を十分に担保しつつ、特許文献3に記載された外容器に改良を加えることで、液状の袋内被包装物の所期した通りの注出を、より円滑かつ確実なものとし、さらには、該注出の停止後の、袋内被包装物の不測の液だれを一層効果的に防止できる、包装袋内に液状の被包装物を充填包装してなる、自立性も定型性も有しない包装体と、この包装体を収納保持して包装体に自立性および定型性を付与する紙製の外容器とからなる包装構造体を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の包装構造体は、所要のバリア性等を具える包装用積層フィルムを融着接合させてなる、軟質の包装袋本体の上端部分から側方へほぼ直角三角形状に突出させて設けられ、基端辺を除く周縁部分で融着接合させて、内側に、上部メイン注出路および下部滞留路を有する注出通路を区画してなり、セルフシール逆止機能を発揮する、薄肉にして平坦な注出ノズルを具える包装袋内へ、液状の被包装物を、抜気下で充填包装してなる包装体を、該包装体に自立性および定型性を付与する紙製の外容器内へ起立姿勢で収納し、包装体を支持する底板の有無にかかわらず、該包装体の頂部融着部の外表面を外容器の上端部分の内表面に接合させてなるものであって、外容器の下端部分の平面輪部形状を多角形状、たとえば正多角形状とするとともに、上端部分を二枚の平坦な板状とし、そして、該上端部分と下端部分との中間部の外輪郭形状を外側へ膨出する曲線形状とし、該外容器に、注出ノズルを、少なくとも片面側から覆って、引裂き誘導疵に沿って切除される保護片を突設し、この保護片の切除位置で、注出ノズルの、包装体の頂部融着部とほぼ平行に延びる上側融着部、より好ましくは、該上側融着部に加えて、包装体の頂部融着部と交差する方向に延びる下部融着部をもまた、外容器で隙間なく挟持し、注出ノズルの、少なくとも上部メイン注出路と対応する部分、すなわち、注出通路の上部にあって、注出ノズルの先端封止部を切除して注出通路を開口させた場合に、当該開口を経て、包装袋の被包装物収納スペースに直線状に連通する部分で、外容器を注出ノズルの表面から0.3〜10.0mmの範囲、より好ましくは0.5〜5.0mmの範囲、さらに好ましくは1.0〜2.0mmの範囲の間隔をおいて位置させてなるものである。
【0007】
なおここで、注出ノズルの、包装袋本体からの突出形態につき、「ほぼ直角三角形状」とし、また、注出ノズルの上側融着部につき、包装体の頂部融着部と「ほぼ平行に延びる」としているのは、注出ノズルの上側融着部は、包装袋本体に対し、上下のいずれかの方向に、10°を限度として傾けて取り付けられることがある点、および注出ノズルの上側融着部の幅に作為的に広狭をつけることによって、該上側融着部の上縁が、上下のいずれかの方向に傾くことがある点を考慮したものである。
【0008】
このような包装構造体において、好ましくは、外容器に注出ノズルを表裏の両面側から覆うそれぞれの保護片を突設させて設けて、注出ノズルの意図しない永久変形、注出ノズルの先端封止部の意図しない切除等をより有効に防止する。
【0009】
また好ましくは、外容器の下端部に、包装体の重量を支持するに足る複数枚の底板を設け、少なくとも最下端に位置する底板、より好ましくはすべての底板の底面に、包装体の厚み方向の中央部と対応して位置する、底板の押込み誘導疵を、底板の全体にわたって直線状に設けて、包装体内の、液状の袋内被包装物の減少に伴う、外容器の押し潰し変形を簡易かつ確実なものとする。
なおこの場合、複数枚の底板の輪郭形状は、少なくとも一枚の底板を、外容器の下端の内輪郭形状に対応するものとすること以外は、当該内輪郭形状から食み出さない適宜の形状を選択することができる。
【0010】
なおこの場合は、外容器の底板の前記押込み誘導疵に沿って外容器を扁平に押し潰し変形させてなお、外容器、ひいては包装体に自立性を付与してなることが、外容器の倒伏等に起因する、包装体内に残留する袋内被包装物の、注出ノズルからの意図しない流出を防ぐ上で好ましい。
【発明の効果】
【0011】
この発明の包装構造体では、包装袋内に液状の被包装物を充填包装してなる包装体の頂部融着部を、外容器の上端部分の二枚の平坦な板状部に接合させて、該外容器を下端部分の多角形状部によって支持させることで、外容器が包装体の支持底板を有すると否とにかかわらず、その包装体に自立性および定型性を付与することができる。
【0012】
また、薄肉にして平坦な注出ノズルを、軟質な包装袋本体の上端部分から側方へ、ほぼ直角三角形状に突出させて設け、少なくとも一枚の保護片の切除位置で、該注出ノズルの、包装体の頂部融着部とほぼ平行に延びる上側融着部、より好ましくは、該上側融着部に加えて、包装体の頂部融着部と交差する方向に延びる下側融着部のそれぞれを外容器で隙間なく挟持することで、注出ノズルの横揺れ等を防止して、袋内被包装物の所期した通りの位置への注出を確実なものとする。
【0013】
この一方で、注出ノズルの、少なくとも上部メイン注出路、すなわち、注出ノズルの周縁接合部分の内側に区画される注出通路のうち、その上部にあって、注出通路の先端開口位置を経て、包装袋の被包装物収納スペースに直線状に連通する、上部メイン注出路と対応する部分で、外容器を注出ノズルの表面から0.3〜10.0mmの範囲、より好ましくは0.5〜5.0mmの範囲、さらに好ましくは1・0〜2.0mmの範囲の間隔をおいて位置させることで、袋内被包装物の注出に際する、上部メイン注出路の余剰の膨満を外容器で有効に拘束しつつ、袋内被包装物を十分円滑に注出させることができる他、外容器の起立復帰に伴う、袋内被包装物の注出の停止に当り、注出ノズルに液だれの発生なしにセルフシール逆止機能、即ち、袋内被包装物に濡れた注出通路の密着を極めて速やかに発生させて、包装体ないへの外気の進入を十分に阻止することができる。
従ってここでは、包装袋本体からの注出ノズルの突出長さを小さく抑えても、注出ノズルのセルフシール逆止機能の発揮を十分に担保することができ、保護片をも含む外容器の小型化を効果的に実現することができる。
【0014】
なおここで、外容器の、注出ノズル表面からの間隔を、0.3〜10.0mmの範囲とするのは、それが0.3mm未満では所要量の袋内被包装物の円滑にして迅速な注出が妨げられるとともに、注出の停止後の袋内被包装物の液だれの発生が余儀なくされることになる他、袋内被包装物に混じることのある固形物等の円滑なる注出が妨げられることになり、それが10.0mmを超えると、注出ノズルのセルフシール逆止機能の速やかなる発揮が妨げられることになり、注出ノズルの、包装袋本体からの突出長さの増加が不可避となることによる。
【0015】
またここでは、外容器に、注出ノズルを少なくとも片面側から覆う保護片を突設することで、注出ノズルへの永久変形の発生、注出ノズルの先端封止部の不測の切除等から注出ノズルを有効に保護することができる。
なおこの保護片は、袋内被包装物の注出に当っては、引裂き誘導疵に沿って予め切除されるので、保護片がその注出の妨げとなることはない。
【0016】
さらにここでは、外容器の下端部分の平面輪郭形状を多角形状とすることで、外容器およびそこに収納した包装袋を、外容器を扁平に押し潰し変形させる前後にわたって、安定的に自立させることができ、また、外容器の上端部分を二枚の平坦な板状とすることで、包装体の頂部融着部の、外容器上端部分への接合を簡易なものとし、そして、外容器の中間部の外輪郭形状を曲線形状とすることで、包装体内の被包装物を、外容器の中間部の押圧によってより迅速に注出させる場合等における、該中間部の元形状への弾性復帰を、中間部に固有の弾性復元力により、十分円滑に、かつ速やかに行わせることができる。
【0017】
このような包装構造体において、外容器に、注出ノズルを表裏の両面側から覆うそれぞれの保護片を突出させて設けて、二枚の保護片で注出ノズルを挟んだ場合は、注出ノズルの意図しない永久変形、ひいてはこの永久変形に起因する、セルフシール逆止機能の低下、注出箇所の位置ずれ等をより十分に防止することができ、また、注出ノズルの先端封止部の意図しない切除等による袋内被包装物の洩出をより効果的に防止することができる。
【0018】
また、外容器の下端部に、複数枚の底板を設けた場合は、底板全体としての強度を高めて荷重支持能力を高めることができ、そして、少なくとも最下端に位置する底板、好ましくは全ての底板の底面に、包装体の厚み方向の中央部と対応して位置する、底板の押込み誘導疵を、底板の全体にわたって直線状に設けた場合は、たとえば、包装体内の被包装物の体積が減少したときに、押込み誘導疵に沿って底板を押し込んで外容器を扁平に押し潰し変形させることで、包装体内に残留する被包装物のほぼ全てを円滑に絞り出すことができる。
【0019】
ところで、この場合の外容器の押し潰し変形は、一枚以上の底板に設けた押込み誘導疵に沿わせて行うことで、その押し潰し変形を簡易かつ確実なものとすることができる。
【0020】
そして、外容器をこのように扁平に押し潰し変形させるに当って、外容器の下端部分の外輪郭形状の選択等により、該外容器、ひいては、そこに収納した包装体に自立性を付与した場合は、外容器の倒伏等に起立する、包装体内の残留被包装物の意図しない洩れ出しを有効に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】包装袋内へ液状の被包装物を充填包装してなる包装体の実施形態を示す斜視図である。
図2図1に示す包装体を紙製の外容器内へ収納してなる包装構造体の実施形態を示す斜視図である。
図3図2に示す保護片を切除して、注出ノズルを露出させた状態を示す斜視図である。
図4】外容器の、注出ノズルに対する隙間を示す正面図である。
図5】紙製外容器への底板の形成例および該底板への押込み誘導疵の形成例を示す外容器展開図および底板底面図である。
図6】外容器の押し潰し変形状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下にこの発明を図示の実施形態に基づいて説明する。
図1中の1は、包装袋を示し、この包装袋1は、各種のバリア性等を付与された包装用積層フィルムを融着接合させてなる軟質の包装袋本体2と、その上端部分に、そこから側方へほぼ直角三角形状に突出させて設けたセルフシール逆止機能を発揮する、薄肉にして平坦な注出ノズル3とを具えてなる。
【0023】
このような包装袋1に対しては、液体調味料、スープ、ドレッシング、ワイン、酒等の液状の被包装物の所要量を、液中シール、夾雑物シール等によって抜気状態で充填包装して包装体4とする。
なお、図示の包装体4において、図に斜線を施して示す部分は、縦横等の融着接合部を示す。
【0024】
ここで、軟質の包装袋本体2から側方へほぼ直角三角形状に突出する注出ノズル3は、包装袋本体2内に位置することになる基端辺3aを除く周縁部分を、図にドットを施して梨地状に示すように融着接合させることにより、融着接合部3bの内側に注出通路5を区画してなり、この注出通路5は、注出通路5の上部に存在し、注出ノズル3の先端封止部3cを、たとえばVノッチ6の形成位置で切除して注出通路5を開口させた場合に、注出通路開口を経て包装袋1の被包装物収納スペース1a内に直線状に連通する範囲内にある上部メイン注出路7と、注出通路5の残部をなす、下部の滞留路8とを有する。
なお、図示の注出ノズル3は、補強シール部9をもって、包装袋本体2への接合強度を増強されているので、先に述べた、下部の滞留路8の少なくとも一部は、被包装物の収納スペース1a側からみて、補強シール部9の陰に隠れて存在することになる。
【0025】
このような注出ノズル3を具えてなる、図1に示すような包装体4は、図2に示すような紙製の外容器10内へ起立姿勢で収納するとともに、包装体4の頂部融着部4aの外表面を、外容器10の上端部分の二枚の平坦な板状部10aの内面に、接着剤接着、融着等によって接合させることで、外容器10が後述するような底板を有すると否とにかかわらず、その外容器10の作用下で、自立性および定型性が付与されることになる。
ここで、外容器が底板を有する場合は、その底板にて包装体4の自重を支持することができるので、包装体4の頂部接合部4aの、外容器10の板状部10aへの接合強度をそれほど高めることは不要であるが、外容器10が底板を有しない場合は、包装体4の頂部融着部4aの、外容器10の上端部分の板状部10aへの接合強度を、包装体4の自重を懸吊保持できる程度にまで高めることが必要になる。
【0026】
ところで、外容器10の下端部分の平面外輪郭形状は多角形状としており、これによれば、包装体4を収納した外容器10を箱詰めしたり、運搬したり、陳列したりするに当って、外容器10の下端部分の辺縁を相互に接触させることで、スペース効率を十分に高めることができる。
【0027】
また、包装体4の頂部融着部4aを、外容器10の上端部分の板状部10aに挟持接合させることにより、包装袋本体2の上端部分から突出させた注出ノズル3を、外容器10をもって、所要に応じて挟み付けることができ、併せて、その外容器10の板状部10aの把持ないしは挟持により、包装体4への外力の作用なしに、外容器10を包装体4とともに、移動、搬送等することができる。
【0028】
そして、図2に示すところでは、外容器10に、注出ノズル3を表裏の両面側から覆って、注出ノズル3を永久変形等から保護し、包装体4からの液状の被包装物の注出に当っては、ミシン目状の穿孔その他の引裂き誘導疵11に沿って切除される二枚の保護片12を突設する。
なお、図しのそれぞれの保護片12は、目視によりもしくは、光学的な発効、受光手段の作用等によって、包装体4の注出ノズル3が適正位置に収まっているか否かを検査するための透孔13を設ける。
【0029】
そして、外容器10の上端部分の板状部10aに設けた二個の透孔14は、外容器10内に収納された包装体4の頂部融着部4aが適性位置に存在するか否かを検査するためのものであり、保護片12の切除位置近傍の、上下に長い透孔15は、包装体4内の被包装物の充填量、消費量等をチェックするためのものであり、外容器10の、多角形状下端部分の上端に位置する透孔16は、その縁部を指掛り、フックの掛合部等として外容器10を包装体4とともに移動ないしは搬送等したりするための、または透孔16の内側に存在する包装体4を押圧して、袋内被包装物を加圧下で注出したりするためのものである。
【0030】
ここで、図示の引裂き誘導疵11は、板状部10aに続く上端部分および下端部分のそれぞれを、注出ノズル3の先端側へ凸となる曲線形状とする一方で、上記の両部分の中間部を、包装袋本体2側へ凹となる曲線形状とする。これにより、引裂き誘導疵11が直線状に延在する場合に比し、保護片12の不測の折れ曲がり、切除等のおそれを有効に取り除き、併せて、凸曲線形状部分およびその近傍での、注出ノズル3の所要に応じた挟持を実現するとともに、外容器10の中間部の、包装袋本体2側へ凹となる凹曲線形状部分で、注出ノズル3と外容器10との間に所要の間隔を確保することができる。
【0031】
図3は、外容器10の上端部分の板状部10aで、上端部を相互に接合させることもできる二枚の保護片12のそれぞれを、袋内被包装物の注出のために引裂き誘導疵11に沿って、外容器10から切除して、包装体4の注出ノズル3を外部に露出させた状態を示すものであり、保護片12のこの切除状態の下では、図4に正面図で示すように、注出ノズル3の、包装体4の頂部融着部4aとほぼ平行に直線状に延びる上側融着部3dに対応する部分は、外容器上端部分の二枚の板状部10aにより隙間なく挟持され、また、注出ノズル3の、包装体4の頂部融着部4aと交差する方向に延びる下側融着部3eに対応する部分もまた、曲線形状に湾曲する外容器10側部の、注出ノズル3の先端側に凸となる引裂き誘導疵11の近傍部分により、これまた隙間なく挟持されることになる。
この一方で、注出ノズル3の、図1に関連して述べた、少なくとも上部メイン注出路7と対応する部分では、外容器10は、注出ノズル3の表面から、0.3〜10.0mm、好ましくは0.5〜5.0mm、より好ましくは1.0〜2.0mmの間隔をおいて位置する。
【0032】
これによれば、注出ノズル3の先端封止部3cを切除した注出通路5の開口下では、上下側融着部3d、3eの外容器10による挟持の下で、上部メイン注出路7から袋内被包装物を注出することで、所期した通りの位置へ袋内被包装物を正確に注出することができる。
また、上部メイン注出路7は、水頭圧等により、外容器に拘束されるまでは自由に膨満できるので、所要量の袋内被包装物を十分円滑に、かつ迅速に注出することができる。
【0033】
これに対し、上部メイン注出路7の、所定量を超える膨満は、外容器10との接触におって拘束されることになり、上部メイン注出路7の、過度の圧力上昇が抑制されることになるので、注出ノズル3の周縁部分の融着接合部3bの接合強度を大きく高めることなしに、注出ノズル3のセルフシール逆止機能の発揮を十分に担保して袋内被包装物の全量を繰り返し注出させることができる。
【0034】
またここでは、上部メイン注出路7の、所定量を超える膨満が、外容器10によって拘束されることになり、上部メイン注出路7への袋内被包装物の同時の流入量が制限されることになるので、外容器10および包装体4を傾動させた注出姿勢から、外容器10および包装体4を、自立復帰させることで、注出ノズル3に、注出通路5への袋内被包装物の薄膜の介在下でのセルフシール逆止機能を極めて速やかに発揮させることができる。
従って、この包装構造体では、軟質の包装袋本体2からの注出ノズル3の突出長さを短く設定してなお、その注出ノズル3にセルフシール逆止機能を確実に発揮させることができ、この結果として、保護片12をも含む外容器10を十分小型のものとして、包装構造体のコストの低減を図ることができる。
【0035】
このような包装構造体の紙製の外容器10は、包装体4の容量等に応じた厚さの紙、たとえば250〜500g/mの板紙を、図5(a)に例示するように裁断するとともに、所要の引裂き誘導疵、折曲げ誘導疵等を形成して、たとえば、図の左右の半部を中央の折曲げ誘導疵17位置で折り曲げた後、下端部分の側部同士を接合等することで構成することができ、図に示すところによれば、外容器10は、下端部に二枚の底板18a、18bを有することになる。
【0036】
図5(a)では、先に折り込まれて左右のそれぞれの半部に内接される内側の底板18aの突設個所に隣接する二個所の辺部分に、底板18aより先に、または後に折り込まれるそれぞれの補強舌片19を突出させて設けるとともに、これらの補強舌片19が隣接する底板18aの各辺より突出方向の前方側に連続する各辺部分に、差込用の折曲げ隅部20を突設し、そして他方の半部の中央部分に、前記底板18aの外側に折り曲げられて外容器10の最下端に位置することになる底板18bを突設する。
なお、このような底板18bは、底板18a等の強度不足を補い得れば足りるので、底板18aのように、左右のそれぞれの半部に正確に内接することは必須ではなく、底板18aの内側に収まる、適宜の形状および寸法とすることができる。
図5(b)に示す底板底面図では、左右の各半部に内接する底板18aは、六角形状としているが、底板18bは底板18aより底面積の小さい八角形としている。
【0037】
また、図5(a)に示す展開図では、外容器10の下端部分の平面外輪郭形状を多角形状、たとえば六角形状への形成を容易にするべく、左右の各半部の下端部分に、上下方向に直線状に延びる山折り誘導疵21を設けている。なお、これらの山折り誘導疵21の本数は、外容器10の下端部分の、所要の多角形形状に応じて適宜に増減できることはもちろんである。
【0038】
ところで、外容器10の下端部に、図5に示すように複数枚の底板18a、18bを設けて、底板の荷重支持能力を高める場合は、少なくとも最下端に位置する底板18bの底面、図に示すところでは二枚の底板18a、18bのそれぞれの底面に、外容器10内へ収納される包装体4の底部の厚み方向の中央部と対応して位置する底板の押込み誘導疵22、23を底板18a、18bの全体にわたって直線状に設けて、包装体4内の袋内被包装物の減少時の、外容器10の、該押込み誘導疵22、23に沿った押し潰し変形を簡易にし、その押し潰し変形による、袋内残留被包装物の絞り出しを容易にする。
【0039】
ここで、外容器10の底板18a、18bの押込み誘導疵22、23に沿って外容器10を扁平に押し潰し変形させてなお、外容器10を、その下端縁の多角形縁部の作用下で、図6に示すように安定的に自立させる場合は、外容器10および包装体4の意図しない倒伏等のおそれを十分に取り除いて、袋内残留被包装物の注出ノズル3からの洩れ出しのおそれを取り除くことができる。
【0040】
以上に述べたところにおいて、包装袋本体2用の包装用積層フィルムとしては、二層もしくは三層以上の、各種のバリア層、中間層等を具えることもある腰のある積層フィルムを用いることができるのに対し、注出ノズル用の一軸もしくは二軸延伸ベースフィルム層の表裏両面にシーラント層を設けてなる積層フィルムは、たとえばPE20/NY15/PE20等の薄肉にして平坦な、腰の弱いものとすることが、セルフシール逆止機能を高める上で好ましい。
【0041】
このような注出ノズル3用の薄肉の積層フィルムのシーラント層としては、たとえば、5〜50μmの厚みの、ポリエチレン層、ポリプロピレン層、エチレンビニルアルコール(EVA)層、アイオノマー層、EVOH層等を用いることができ、なかでも、注出ノズル3の外表面に位置するシーラント層は、包装袋本体2の内表面のシーラント層に融着接合可能なものとする必要がある。
【0042】
また、注出ノズル3のベースフィルム層としては、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、EVOHなどの液体包装用フィルムに一般的に用いられる一軸もしくは二軸延伸フィルムを用いることができる他、これらのフィルムのいずれか一方の表面にSiO蒸着層、塩化ビニリデンコーティング層、酸化アルミニウムコーティング層、Al蒸着層あるいはこれらのスパッタリング層などからなるガスバリア層を形成したものを用いることが好ましい。
これにより、被包装物に濡れた注出ノズルの内表面が相互によく密着すると共に、水蒸気不透過性やガスバリア性等が付与され、効果的な逆止機能が長期間にわたって発揮され、包装袋内への外気の進入を有効に阻止することができる。なお、ベースフィルム層の厚さは、注出ノズル3の柔軟性を保つため、例えば5μm以上、30μm以下であることが望ましく、ガスバリア層の厚みは、0.5〜20μm程度とすることが望ましい。
【0043】
このような、少なくとも3層(シーラント層[表材]/ベースフィルム層/シーラント層[裏材])構造の積層プラスチックフィルムよりなる注出ノズルは、基端部分の外表面であるシーラント層を、低融点のものとすることにより、内表面側の高融点シーラント層どうしの融着を招くことなく軟質の積層プラスチックフィルム(主として2層)からなる包装袋本体の側部内表面のシーラント層(同種フィルムからなるシーラント層)にヒートシール等することにより融着接合されることになって、該包装袋本体から突出させた状態に取り付けられる。
これにより、包装袋本体に対し、その側部の上端部分から側方へほぼ直角三角形状に突出した注出ノズルを具えるフレキシブル包装袋が得られる。
【0044】
ところで、このような注出ノズルのセルフシール逆止機能とは、たとえば平坦で密着可能な表裏2枚の軟質プラスチックフィルムを重ね合わせて対面させ、かつ重なり合うそれらのフィルム相互間に形成される注出通路が、毛細管作用による液状物の常時の介在によって相互に強く密着し、外気の、包装袋本体部内への進入を確実に阻止する機能である。
注出ノズルのこの逆止機能は、包装袋本体を注出ノズル先端の注出通路開口(注ぎ口)が下方に向く姿勢となるように傾動させて袋内被包装物を注出した後、包装体の起立復帰によって、注出ノズルが水頭圧の作用から開放されて製造時の元形状に復帰することに加え、注出ノズル内の袋内被包装物の一部が、包装体内へ戻流するに際しての減圧により、袋内被包装物に濡れた表裏一対のフィルムどうしの内表面(注出通路)が、相互に吸着し合うこと等によって自動的に行われる(セルフシール)。
そして、このような密着は、包装袋からの袋内被包装物の注出に伴って、収縮ないしは潰れ変形された包装体が、それに固有の弾性復元力に基づいて、その内部を減圧傾向とする場合により確実になる。
【符号の説明】
【0045】
1 包装袋
1a 被包装物収納スペース
2 包装袋本体
3 注出ノズル
3a 基端辺
3b 融着接合部
3c 先端封止部
3d 上側融着部
3e 下側融着部
4 包装体
4a 頂部融着部
5 注出通路
6 Vノッチ
7 上部メイン注出路
8 下部滞留路
9 補強シール部
10 外容器
10a 板状部
11 引裂き誘導疵
12 保護片
13、14、15、16 透孔
17 折曲げ誘導疵
18a、18b 底板
19 補強舌片
20 折曲げ隅部
21 山折り誘導疵
22、23 押込み誘導疵
図1
図2
図3
図4
図5
図6