特許第6095049号(P6095049)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6095049
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】煙検出装置
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/10 20060101AFI20170306BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20170306BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20170306BHJP
   G01N 21/17 20060101ALI20170306BHJP
   G01N 21/59 20060101ALI20170306BHJP
【FI】
   G08B17/10 Z
   H04N7/18 K
   H04N7/18 D
   G06T7/00 350B
   G01N21/17 A
   G01N21/59 H
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-255194(P2012-255194)
(22)【出願日】2012年11月21日
(65)【公開番号】特開2014-102736(P2014-102736A)
(43)【公開日】2014年6月5日
【審査請求日】2015年7月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】304020292
【氏名又は名称】国立大学法人徳島大学
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100117776
【弁理士】
【氏名又は名称】武井 義一
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 義英
(72)【発明者】
【氏名】中野 主久
(72)【発明者】
【氏名】寺田 賢治
【審査官】 山岸 登
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−118698(JP,A)
【文献】 特開2010−097430(JP,A)
【文献】 特開2010−238032(JP,A)
【文献】 特開2010−097265(JP,A)
【文献】 特開2010−097412(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/114736(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00−21/01
21/17−21/61
G06T 7/00− 7/60
G08B 17/00−17/12
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視カメラにより撮像された画像に対して画像処理を施すことにより、煙の発生を検出する煙検出装置であって、
前記監視カメラにより時系列で撮像された複数の画像および基準画像を記憶する画像メモリと、
前記複数の画像および前記基準画像に基づいて、検出対象である激しく乱れる煙の透過性を表す特徴量または前記激しく乱れる煙の動きを表す特徴量として、複数の相関特徴量および複数の分散特徴量を算出する特徴量算出部と、
前記激しく乱れる煙をあらかじめ発生させた際の、発生前から発生後までの時系列画像として前記画像メモリに記憶された複数の画像および基準画像に基づいて前記特徴量算出部で算出された前記複数の相関特徴量および前記複数の分散特徴量をパラメータとして用いることで、前記激しく乱れる煙の有無を判定するための学習モデルを作成するサポートベクタマシンと、
監視時における時系列画像として前記画像メモリに記憶された複数の画像、および学習モデル作成時における前記基準画像に基づいて前記特徴量算出部で算出された前記複数の相関特徴量および前記複数の分散特徴量をパラメータとして、前記サポートベクタマシンで作成された前記学習モデルを利用することで前記激しく乱れる煙の有無を判定する煙発生検出部と
を備え、
前記サポートベクタマシンは、同一の監視対象領域について、エッジ強度の平均値が異なる複数の基準画像に対する複数の学習モデルを作成し、
前記煙発生検出部は、前記複数の学習モデルを利用して前記激しく乱れる煙の有無を判定する
煙検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の煙検出装置において、
前記特徴量算出部が算出する前記複数の相関特徴量は、
現画像と基準画像の輝度相関である第1の特徴量と、
現画像と基準画像のエッジ強度相関である第2の特徴量と
現画像と前フレーム画像の輝度相関である第3の特徴量と
現画像と前フレーム画像のエッジ強度相関である第4の特徴量と
を含み、
前記特徴量算出部が算出する前記複数の分散特徴量は、
現画像と基準画像の輝度差分値の分散である第5の特徴量と、
現画像と基準画像のエッジ強度差分値の分散である第6の特徴量と
を含み、
前記第1の特徴量、前記第2の特徴量、前記第5の特徴量、および前記第6の特徴量は、前記透過性を表す特徴量に属し、
前記第3の特徴量、および前記第4の特徴量は、前記動きを表す特徴量に属する
煙検出装置。
【請求項3】
監視カメラにより撮像された画像に対して画像処理を施すことにより、煙の発生を検出する煙検出装置に適用される煙検出方法であって、
検出対象である激しく乱れる煙をあらかじめ発生させた際の、発生前から発生後までに時系列で撮像された複数の画像および基準画像を画像メモリに記憶させる第1ステップと、
前記第1ステップで前記画像メモリに記憶された前記複数の画像および前記基準画像に基づいて、前記激しく乱れる煙の透過性または動きを表す特徴量として、複数の相関特徴量および複数の分散特徴量を算出する第2ステップと、
前記第2ステップで算出された前記複数の相関特徴量および前記複数の分散特徴量をパラメータとして、サポートベクタマシンを使用して、前記激しく乱れる煙の有無を判定するための学習モデルを作成する第3ステップと、
監視時において、時系列で撮像された複数の画像を画像メモリに記憶させる第4ステップと、
前記第4ステップで前記画像メモリに記憶された前記複数の画像、および前記第1ステップで前記画像メモリに記憶された前記基準画像に基づいて、複数の相関特徴量および複数の分散特徴量を算出する第5ステップと、
前記第5ステップで算出された前記複数の相関特徴量および前記複数の分散特徴量をパラメータとして、前記第3ステップにより前記サポートベクタマシンで作成された前記学習モデルを利用することで、前記激しく乱れる煙の有無を判定する第6ステップと
を備え、
前記第3ステップにおいて、前記サポートベクタマシンにより、同一の監視対象領域について、エッジ強度の平均値が異なる複数の基準画像に対する複数の学習モデルを作成し、
前記第6ステップにおいて、前記複数の学習モデルを利用して前記激しく乱れる煙の有無を判定する
煙検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視カメラにより撮像された画像に対して画像処理を施すことにより、煙の発生を検出する煙検出装置に関し、特に、空調の気流あるいは風の影響等で激しく乱れる煙の検出に適した煙検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
火災発生時の初期消火、あるいは火災事故における逃げ遅れの防止の観点から、火災あるいは煙の早期発見が非常に重要となっている。そこで、煙検出装置の分野においては、監視カメラにより撮像された画像に対して画像処理を施すことで、煙の早期発見を行うことが研究されている。
【0003】
その一例として、トンネル内などにカメラを設置し、カメラにより撮像された画像に対して画像処理を施すことで、煙を検出する従来の煙検出装置がある。煙を検出するための画像処理では、一般的に、基準となる画像(基準画像)をあらかじめ記憶しておき、最新の撮像画像と基準画像との差分画像を演算し、変化の生じた領域を抽出することで、煙を検出している(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このように、カメラにより撮像された画像に対して画像処理を施して煙検出を行うことで、次の2点のメリットが得られる。
1)監視カメラの画像を目視確認することで、遠隔地において煙検出状況の把握が可能となる。
2)すでに設置されている監視カメラを流用することが可能であり、効率的な設備を構築できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3909665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術には次のような課題がある。
従来技術においては、煙を検出するために、フレーム差分画像あるいは背景画像からの輝度差が所定の閾値を超えた画素領域を抽出していた。このような処理により、拡散する煙や流れる煙に関しては、検出することができる。
【0007】
しかしながら、空調の気流あるいは風の影響等で激しく乱れる煙に関しては、煙の発生を検出することが困難であった。
【0008】
また、検出対象である煙自体は、色味が少なく背景色によっては、撮像された画像における輝度変化(輝度差)が少ない場合があり、単純に差分画像を求めるだけでは、その輝度差の閾値設定が難しく、高感度な煙検出を行うことができない場合がある。
【0009】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、激しく乱れる煙を検出対象とした際に、外乱の影響を抑えた上で、高感度に煙検出を行うことのできる煙検出装置および煙検出方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る煙検出装置は、監視カメラにより撮像された画像に対して画像処理を施すことにより、煙の発生を検出する煙検出装置であって、監視カメラにより時系列で撮像された複数の画像および基準画像を記憶する画像メモリと、複数の画像および基準画像に基づいて、検出対象である激しく乱れる煙の透過性を表す特徴量または激しく乱れる煙の動きを表す特徴量として、複数の相関特徴量および複数の分散特徴量を算出する特徴量算出部と、激しく乱れる煙をあらかじめ発生させた際の、発生前から発生後までの時系列画像として画像メモリに記憶された複数の画像および基準画像に基づいて特徴量算出部で算出された複数の相関特徴量および複数の分散特徴量をパラメータとして用いることで、激しく乱れる煙の有無を判定するための学習モデルを作成するサポートベクタマシンと、
監視時における時系列画像として画像メモリに記憶された複数の画像、および学習モデル作成時における基準画像に基づいて特徴量算出部で算出された複数の相関特徴量および複数の分散特徴量をパラメータとして、サポートベクタマシンで作成された学習モデルを利用することで激しく乱れる煙の有無を判定する煙発生検出部とを備え、サポートベクタマシンは、同一の監視対象領域について、エッジ強度の平均値が異なる複数の基準画像に対する複数の学習モデルを作成し、煙発生検出部は、複数の学習モデルを利用して激しく乱れる煙の有無を判定するものである。
【0011】
また、本発明に係る煙検出方法は、監視カメラにより撮像された画像に対して画像処理を施すことにより、煙の発生を検出する煙検出装置に適用される煙検出方法であって、検出対象である激しく乱れる煙をあらかじめ発生させた際の、発生前から発生後までに時系列で撮像された複数の画像および基準画像を画像メモリに記憶させる第1ステップと、第1ステップで画像メモリに記憶された複数の画像および基準画像に基づいて、激しく乱れる煙の透過性または動きを表す特徴量として、複数の相関特徴量および複数の分散特徴量を算出する第2ステップと、第2ステップで算出された複数の相関特徴量および複数の分散特徴量をパラメータとして、サポートベクタマシンを使用して、激しく乱れる煙の有無を判定するための学習モデルを作成する第3ステップと、監視時において、時系列で撮像された複数の画像を画像メモリに記憶させる第4ステップと、第4ステップで画像メモリに記憶された複数の画像、および第1ステップで画像メモリに記憶された基準画像に基づいて、複数の相関特徴量および複数の分散特徴量を算出する第5ステップと、第5ステップで算出された複数の相関特徴量および複数の分散特徴量をパラメータとして、第3ステップによりサポートベクタマシンで作成された学習モデルを利用することで、激しく乱れる煙の有無を判定する第6ステップとを備え、第3ステップにおいて、サポートベクタマシンにより、同一の監視対象領域について、エッジ強度の平均値が異なる複数の基準画像に対する複数の学習モデルを作成し、第6ステップにおいて、複数の学習モデルを利用して激しく乱れる煙の有無を判定するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る煙検出装置によれば、サポートベクタマシンによる複数の基準画像に対する学習モデルを採用するとともに、複数の相関特徴量および複数の分散特徴量を用いることにより、激しく乱れる煙を検出対象とした際に、外乱の影響を抑えた上で、高感度に煙検出を行うことのできる煙検出装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施の形態1における煙検出装置の構成図である。
図2】本発明の実施の形態1における煙検出装置の全体処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の煙検出装置の好適な実施の形態につき図面を用いて説明する。
【0015】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1における煙検出装置の構成図である。本実施の形態1における煙検出装置は、画像メモリ10、特徴量算出部20、および煙発生検出部30を備えている。画像メモリ10は、カメラ1により撮像された画像を、過去一定期間分、時系列データとして記憶できるように、複数フレーム分の画像メモリとして構成されている。
【0016】
特徴量算出部20は、次の6種類の特徴量の算出部21〜26から構成されている。
[特徴量1]現画像と基準画像の輝度相関(特徴量1の算出部21)
[特徴量2]現画像と基準画像のエッジ強度相関(特徴量2の算出部22)
[特徴量3]現画像と前フレーム画像の輝度相関(特徴量3の算出部23)
[特徴量4]現画像と前フレーム画像のエッジ強度相関(特徴量4の算出部24)
[特徴量5]現画像と基準画像の輝度差分値の分散(特徴量5の算出部25)
[特徴量6]現画像と基準画像のエッジ強度差分値の分散(特徴量6の算出部26)
【0017】
そして、特徴量算出部20は、画像メモリ10に記憶された、カメラ1により撮像された過去一定期間分の画像に基づいて、上述した6つの特徴量を算出する機能を有している。
【0018】
また、煙発生検出部30は、サポートベクタマシン31を含んで構成される。このサポートベクタマシン31は、教師あり学習を用いる識別手法の1つであり、既知の学習モデルである。そして、激しく乱れる煙が実際に発生した際の、発生前から発生後までの一連の時系列画像データについて、あらかじめ6つの特徴量の算出結果に基づく学習モデルの作成を行う。
【0019】
すなわち、上述した一連の時系列画像データについて、激しく乱れる煙が実際に発生した際の画像に対応する6つの特徴量と、激しく乱れる煙が発生していない画像に対応する6つの特徴量とをパラメータとして用いて、サポートベクタマシン31による学習モデルの作成をあらかじめ行っておく。この結果、煙発生検出部30内のサポートベクタマシン31は、監視時の時系列画像に対応する6つの特徴量に基づいて、激しく乱れる煙の有無を特定することが可能となる。
【0020】
このような構成を備えることにより、本実施の形態1の煙検出装置は、あらかじめ取り込んだ複数の基準画像に基づいて複数の学習モデルを作成しておき、監視時に時系列で取り込んだ一連画像に基づいて算出された6つの特徴量を、学習済みのサポートベクタマシンに適用することで、激しく乱れる煙の検出に適した画像処理機能を実現できる。
【0021】
次に、各特徴量の算出方法、および各特徴量の技術的意義について、具体的に説明する。
【0022】
[相関値の計算について]
上述した特徴量1〜4の相関値の計算に当たっては、下式(1)を用いる。
【0023】
【数1】
【0024】
[分散値の計算について]
また、上述した特徴量5、6の分散値の計算に当たっては、下式(2)を用いる。
【0025】
【数2】
【0026】
[各特徴量の技術的意義について]
上述した6つの特徴量のうち、特徴量1、2、5、6は、検出対象である激しく乱れる煙の「透過性」を表す特徴量となっている。上述したように、検出対象である煙自体は、色味が少なく背景色によっては、撮像された画像における輝度変化(輝度差)が少ない場合が考えられる。
【0027】
その一方で、誤報源となる可能性がある人や車の動きは、撮影された画像における輝度変化が大きい場合が多い。従って、これらの特徴量を用いることで、激しく乱れる煙と、人や自動車とを区別した学習を行うことができ、検出精度の向上を図ることができる。
【0028】
また、上述した6つの特徴量のうち、特徴量3、4は、検出対象である激しく乱れる煙の「動き」を表す特徴量となっている。検出対象である激しく乱れる煙は、その動きが広範にわたって安定しない傾向にある。
【0029】
その一方で、誤報源となる可能性がある日照変化や照明変動は、一定の領域で輝度が全体的に変動する場合が多い。従って、これらの特徴量を用いることで、激しく乱れる煙と、日照変化や照明変動とを区別した学習を行うことができ、検出精度の向上を図ることができる。
【0030】
なお、今回算出している6つの特徴量の値は、計測領域の状態、特に基準画像の領域に大きく左右される。また、監視領域内の基準画像は、常に同一の輝度分布を有するとは限らない。
【0031】
そこで、煙判定処理の性能を高めるためには、エッジ強度の平均値が高い場合の基準画像におけるサポートベクタマシンによる学習モデルと、エッジ強度の平均値が低い場合の基準画像におけるサポートベクタマシンによる学習モデルとを別々に設けておくことが考えられる。なお、エッジ強度の平均値は、高い場合と低い場合の2通りには限られず、3つ以上に場合分けすることも可能である。
【0032】
次に、図1の構成を備えた本発明の煙検出装置の全体処理の流れを、フローチャートに基づいて説明する。図2は、本発明の実施の形態1における煙検出装置の全体処理の流れを示すフローチャートである。なお、この図2においては、エッジ強度の平均値が、高い場合と低い場合の2通りに場合分けしたケースを例に説明する。
【0033】
まず始めに、ステップS201において、煙検出装置は、エッジ強度の平均値が低い場合と、エッジ強度の平均値が高い場合の2通りの基準画像において、学習モデルの作成をあらかじめ行っておく。
【0034】
すなわち、基準画像のエッジ強度の平均値が低い場合に、検出対象である「激しく乱れる煙」が発生した際の学習モデルを作成するとともに、同じ監視領域の基準画像で、周囲環境等の影響でエッジ強度の平均値が高い場合にも、検出対象である「激しく乱れる煙」が発生した際の学習モデルを作成しておく。
【0035】
次に、ステップS202において、特徴量算出部20は、監視時にカメラ1を介して画像メモリ10内に記憶された一連の時系列画像、およびあらかじめ画像メモリ10に記憶された基準画像に基づいて、6つの特徴量を、上式(1)、(2)を用いて、小領域ごとに算出する。ここで、小領域として挙げた32画素×32画素は一例であり、監視領域に応じて適切な大きさの小領域を設定することができる。
【0036】
次に、ステップS203において、煙発生検出部30内のサポートベクタマシン31は、エッジ強度の平均値が高い場合に作成した学習モデル、および監視時に求めた6つの特徴量を用いて、「激しく乱れる煙」の有無を判定する。
【0037】
次に、ステップS204において、煙発生検出部30内のサポートベクタマシン31は、エッジ強度の平均値が低い場合に作成した学習モデル、および監視時に求めた6つの特徴量を用いて、「激しく乱れる煙」の有無を判定する。
【0038】
そして、ステップS205において、煙発生検出部30は、先のステップS203またはステップS204で「激しく乱れる煙」が検出された場合には、「激しく乱れる煙」が発生したと判断し、警報等の後続処理を実行する。
【0039】
そして、本発明の煙検出装置は、このようなステップS201〜S205の一連処理を、所定のサンプリング間隔で、逐次実行していく。
【0040】
以上のように、実施の形態1によれば、検出対象である「激しく乱れる煙」をあらかじめ発生させた際に時系列で取り込んだ複数の画像から、相関および分散による6つの特徴量を算出し、サポートベクタマシンによる学習モデルを作成しておく。この際、エッジ強度の平均値が異なる複数の基準画像に対して、学習モデルを作成しておく。そして、監視時に、時系列で取り込んだ複数の画像、および学習モデル作成時の基準画像から6つの特徴量を逐次算出し、サポートベクタマシンにより「激しく乱れる煙」の有無を判定している。
【0041】
このように、本実施の形態1における煙検出装置は、サポートベクタマシンにより、複数の基準画像に対して複数の相関特徴量および複数の分散特徴量をパラメータとして作成された学習モデルを使用して、「激しく乱れる煙」の有無を判定することを技術的特徴としている。この結果、単純な比較処理等では検出が困難であった「激しく乱れる煙」を精度よく検出することができる。
【0042】
なお、上述した6つの特徴量は、必ずしも全て用いる必要はなく、監視環境に応じて6つの特徴量の中から複数の特徴量を選択して用いることも可能である。
【符号の説明】
【0043】
1 カメラ、10 画像メモリ、20 特徴量検出部、21 特徴量1の算出部、22 特徴量2の算出部、23 特徴量3の算出部、24 特徴量4の算出部、25 特徴量5の算出部、26 特徴量6の算出部、30 煙発生検出部、31 サポートベクタマシン。
図1
図2