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特許6095050テクスチャ検出装置、テクスチャ検出方法、テクスチャ検出プログラム及び画像処理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6095050
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】テクスチャ検出装置、テクスチャ検出方法、テクスチャ検出プログラム及び画像処理システム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/40 20170101AFI20170306BHJP
【FI】
   G06T7/40 Z
【請求項の数】11
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2012-261332(P2012-261332)
(22)【出願日】2012年11月29日
(65)【公開番号】特開2014-106885(P2014-106885A)
(43)【公開日】2014年6月9日
【審査請求日】2015年11月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】堀内 智史
【審査官】 村松 貴士
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−124451(JP,A)
【文献】 Timo Ojala, Matti Pietikainen,"Unsupervised texture segmentation using feature distributions",The Journal of The Pattern Recognition Society,NL,Elsevier Science Ltd.,1999年,Vol.32,pp.477-486
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力画像における注目画素と近傍画素との輝度差分を符号化したバイナリコード特徴量を生成する輝度差分符号化部と、
前記注目画素と前記近傍画素とのコントラスト量を示すコントラスト特徴量を算出するコントラスト算出部と、
前記バイナリコード特徴量及び前記コントラスト特徴量の共起性を解析する共起性解析部と、
前記共起性の解析結果に基づいてテクスチャらしさを示すテクスチャ確度を算出するテクスチャ確度算出部と、
を備え、
前記テクスチャは、連続した繰り返しパターン、あるいは、ランダムな模様状の特徴を持つ画像であって、文字を含まない画像である、
テクスチャ検出装置。
【請求項2】
前記共起性解析部は、
前記バイナリコード特徴量をビットパターンに基づき複数の特徴パターンに分類するパターン分類部と、
前記分類した特徴パターンごとの前記コントラスト特徴量の分布を示すヒストグラムを生成するヒストグラム生成部と、を備える、
請求項1に記載のテクスチャ検出装置。
【請求項3】
前記ヒストグラム生成部は、前記分類した特徴パターンと前記コントラスト特徴量の分布との関係を示す2次元ヒストグラムを生成する、
請求項2に記載のテクスチャ検出装置。
【請求項4】
前記テクスチャ確度算出部は、
前記2次元ヒストグラムを予め学習した事前学習データと、
前記事前学習データと前記入力画像から生成された前記2次元ヒストグラムとに基づいて、前記テクスチャ確度を算出する識別器と、を備える、
請求項3に記載のテクスチャ検出装置。
【請求項5】
前記テクスチャ確度算出部は、
所定領域内において前記特徴パターンが占める比率であるパターン率を算出するパターン率算出部と、
前記生成したヒストグラムの分布に基づいてコントラストの強さを示すコントラスト強度を算出するコントラスト強度算出部と、
前記パターン率及び前記コントラスト強度に基づいて、前記テクスチャ確度を決定するテクスチャ確度決定部と、を備える、
請求項2に記載のテクスチャ検出装置。
【請求項6】
前記入力画像を所定サイズの画素ブロックに分割するブロック分割部を備え、
前記共起性解析部は、前記分割された画素ブロックごとに前記共起性を解析し、
前記テクスチャ確度算出部は、前記分割された画素ブロックごとに前記テクスチャ確度を算出する、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載のテクスチャ検出装置。
【請求項7】
前記ブロック分割部は、前記入力画像をサイズの異なる複数の前記画素ブロックに分割し、
前記共起性解析部は、前記複数のサイズの画素ブロックごとに前記共起性を解析し、
前記テクスチャ確度算出部は、前記複数のサイズの画素ブロックごとの前記テクスチャ確度を合成し、最終的な前記テクスチャ確度を算出する、
請求項6に記載のテクスチャ検出装置。
【請求項8】
入力画像における注目画素と近傍画素との輝度差分を符号化したバイナリコード特徴量を生成し、
前記注目画素と前記近傍画素とのコントラスト量を示すコントラスト特徴量を算出し、
前記バイナリコード特徴量及び前記コントラスト特徴量の共起性を解析し、
前記共起性の解析結果に基づいてテクスチャらしさを示すテクスチャ確度を算出
前記テクスチャは、連続した繰り返しパターン、あるいは、ランダムな模様状の特徴を持つ画像であって、文字を含まない画像である、
テクスチャ検出方法。
【請求項9】
コンピュータにテクスチャ検出処理を実行させるためのテクスチャ検出プログラムであって、
前記テクスチャ検出処理は、
入力画像における注目画素と近傍画素との輝度差分を符号化したバイナリコード特徴量を生成し、
前記注目画素と前記近傍画素とのコントラスト量を示すコントラスト特徴量を算出し、
前記バイナリコード特徴量及び前記コントラスト特徴量の共起性を解析し、
前記共起性の解析結果に基づいてテクスチャらしさを示すテクスチャ確度を算出
前記テクスチャは、連続した繰り返しパターン、あるいは、ランダムな模様状の特徴を持つ画像であって、文字を含まない画像である、
テクスチャ検出プログラム。
【請求項10】
テクスチャ検出装置とノイズリダクション装置を備えた画像処理システムであって、
前記テクスチャ検出装置は、
入力画像における注目画素と近傍画素との輝度差分を符号化したバイナリコード特徴量を生成する輝度差分符号化部と、
前記注目画素と前記近傍画素とのコントラスト量を示すコントラスト特徴量を算出するコントラスト算出部と、
前記バイナリコード特徴量及び前記コントラスト特徴量の共起性を解析する共起性解析部と、
前記共起性の解析結果に基づいてテクスチャらしさを示すテクスチャ確度を算出するテクスチャ確度算出部と、を備え、
前記ノイズリダクション装置は、前記算出されたテクスチャ確度に応じて、前記入力画像に対しノイズリダクション処理を行
前記テクスチャは、連続した繰り返しパターン、あるいは、ランダムな模様状の特徴を持つ画像であって、文字を含まない画像である、
画像処理システム。
【請求項11】
前記ノイズリダクション装置は、前記テクスチャ確度が低いほど強くノイズリダクション処理を行う、
請求項10に記載の画像処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テクスチャ検出装置、テクスチャ検出方法、テクスチャ検出プログラム及び画像処理システムに関し、特に、入力された画像に含まれるテクスチャを検出するテクスチャ検出装置、テクスチャ検出方法、テクスチャ検出プログラム及び画像処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、テレビ受像機やパーソナルコンピュータ、スマートフォン等、デジタルの画像信号(映像信号)の表示や処理等を行う画像処理装置が広く普及しており、さらなる表示の大型化や高精細化が進められている。これに伴い、高精度な画像処理技術が望まれている。
【0003】
例えば、画像処理技術として、従来から、入力画像の中からテクスチャを検出する技術が利用されている。テクスチャ検出に関する従来技術として、非特許文献1や特許文献1〜3等が知られている。
【0004】
非特許文献1では、画像をバイナリコード化した局所特徴量を利用して特定のパターンを持つテクスチャの分類・領域分割を行い、テクスチャは機械学習を利用して検出している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Topi Maenpaa, "The local binary pattern approach to texture analysis - extensions and applications", Finland, University of Oulu, 2003
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012−146299号公報
【特許文献2】特開2012−150730号公報
【特許文献3】特開2011−43998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
非特許文献1などのような従来技術におけるテクスチャ検出の一般的な手法では、事前学習したデータベースにある特定パターンのテクスチャかどうかを識別することに主眼が置かれている。
【0008】
従来技術では、検出したいテクスチャパターンのデータを事前学習し、画像全体の特徴量を算出し、特徴量の類似度が高い部分をひとつの領域として画像を領域分割し、識別器により、分割した領域から検出したいテクスチャパターンと類似する領域を探索する。
【0009】
しかしながら、従来技術では、予め決められた特定のテクスチャパターンのみを探索する技術であるため、様々な任意のテクスチャを精度良く検出することは困難であるという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るテクスチャ検出装置は、入力画像における注目画素と近傍画素との輝度差分を符号化したバイナリコード特徴量を生成する輝度差分符号化部と、前記注目画素と前記近傍画素とのコントラスト量を示すコントラスト特徴量を算出するコントラスト算出部と、前記バイナリコード特徴量及び前記コントラスト特徴量の共起性を解析する共起性解析部と、前記共起性の解析結果に基づいてテクスチャらしさを示すテクスチャ確度を算出するテクスチャ確度算出部と、を備えるものである。
【0011】
本発明に係るテクスチャ検出方法は、入力画像における注目画素と近傍画素との輝度差分を符号化したバイナリコード特徴量を生成し、前記注目画素と前記近傍画素とのコントラスト量を示すコントラスト特徴量を算出し、前記バイナリコード特徴量及び前記コントラスト特徴量の共起性を解析し、前記共起性の解析結果に基づいてテクスチャらしさを示すテクスチャ確度を算出するものである。
【0012】
本発明に係るテクスチャ検出プログラムは、コンピュータにテクスチャ検出処理を実行させるためのテクスチャ検出プログラムであって、前記テクスチャ検出処理は、入力画像における注目画素と近傍画素との輝度差分を符号化したバイナリコード特徴量を生成し、前記注目画素と前記近傍画素とのコントラスト量を示すコントラスト特徴量を算出し、前記バイナリコード特徴量及び前記コントラスト特徴量の共起性を解析し、前記共起性の解析結果に基づいてテクスチャらしさを示すテクスチャ確度を算出するものである。
【0013】
本発明に係る画像処理システムは、テクスチャ検出装置とノイズリダクション装置を備えた画像処理システムであって、前記テクスチャ検出装置は、入力画像における注目画素と近傍画素との輝度差分を符号化したバイナリコード特徴量を生成する輝度差分符号化部と、前記注目画素と前記近傍画素とのコントラスト量を示すコントラスト特徴量を算出するコントラスト算出部と、前記バイナリコード特徴量及び前記コントラスト特徴量の共起性を解析する共起性解析部と、前記共起性の解析結果に基づいてテクスチャらしさを示すテクスチャ確度を算出するテクスチャ確度算出部と、を備え、前記ノイズリダクション装置は、前記算出されたテクスチャ確度に応じて、前記入力画像に対しノイズリダクション処理を行うものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、精度良くテクスチャを検出することが可能なテクスチャ検出装置、テクスチャ検出方法、テクスチャ検出プログラム及び画像処理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施の形態1に係るテクスチャ検出装置で検出するテクスチャパターンの例を示す図である。
図2】実施の形態1に係るテクスチャ検出装置の構成を示すブロック図である。
図3】実施の形態1に係るテクスチャ検出方法を示すフローチャートである。
図4】実施の形態1に係るローカルバイナリコードの算出方法を説明するための図である。
図5】実施の形態1に係るテクスチャ検出方法で検出するテクスチャの特徴を説明するための表である。
図6】実施の形態1に係るテクスチャ検出方法で検出するテクスチャのパターンを説明するための表である。
図7】実施の形態1に係るブロック分割方法を説明するための図である。
図8】実施の形態1に係るテクスチャ検出方法で生成されるヒストグラムの例を示す図である。
図9】実施の形態1に係るテクスチャ検出方法で生成されるヒストグラムの例を示す図である。
図10】実施の形態1に係るテクスチャ検出方法で生成されるヒストグラムの例を示す図である。
図11】実施の形態1に係るテクスチャ検出方法で生成されるヒストグラムの例を示す図である。
図12】実施の形態1に係るテクスチャ検出方法で生成されるヒストグラムの例を示す図である。
図13】実施の形態2に係るテクスチャ検出装置の構成を示すブロック図である。
図14】実施の形態2に係るテクスチャ検出方法を示すフローチャートである。
図15】実施の形態2に係るテクスチャ検出方法を示すフローチャートである。
図16】実施の形態2に係るテクスチャ検出方法で生成されるヒストグラムの例を示す図である。
図17】実施の形態2に係るテクスチャ検出方法で生成されるヒストグラムの例を示す図である。
図18】実施の形態3に係るテクスチャ検出方法を示すフローチャートである。
図19】実施の形態4に係るテクスチャ検出装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(実施の形態1)
以下、図面を参照して本発明の実施の形態1について説明する。本実施の形態に係るテクスチャ検出装置は、画像の局所領域における、輝度変化特徴とコントラスト特徴の共起を分析することによりテクスチャらしさを検出することを、主要な特徴としている。
【0017】
図1は、本実施の形態に係るテクスチャ検出装置で検出するテクスチャの一例を示している。なお、図1では、白地に黒の模様を図示しているが、実際には背景と模様のコントラストは低いものとする。図1(a)は、連続する繰り返しパターンのテクスチャの例であり、図1(b)は、ランダムな模様のテクスチャの例である。図1(a)のように繰り返しパターンの場合に、テクスチャの最小構成単位をテキストンと呼ぶ。本実施の形態において、テクスチャとは、図1(a)及び図1(b)のように、連続した繰り返しパターン、あるいは、ランダムな模様状の特徴を持つ領域とし、文字画像はテクスチャに含まないものとする。例えば、本実施の形態に係るテクスチャ検出装置が検出するテクスチャは、テクスチャ検出装置の後段でノイズリダクション処理が行われる場合に、不要なノイズフィルタをかけたくない(マスクしたい)領域の画像であるとも言える。
【0018】
図2は、本実施の形態に係るテクスチャ検出装置の構成を示している。図2に示すように、本実施の形態に係るテクスチャ検出装置100は、輝度差分符号化部110、コントラスト算出部120、ブロック分割部130、テクスチャ/コントラスト共起性解析部140、テクスチャ確度算出部150を備えている。テクスチャ/コントラスト共起性解析部140は、パターン分類部141、ヒストグラム作成部142を備えており、テクスチャ確度算出部150は、識別器151、事前学習データ152を備えている。
【0019】
なお、図3以降で説明するテクスチャ検出方法が実現できれば、その他の機能ブロックで構成してもよい。また、図2のテクスチャ検出装置における各機能(各処理)は、ハードウェア又はソフトウェア、もしくはその両方によって構成されており、1つのハードウェア又はソフトウェアから構成してもよいし、複数のハードウェア又はソフトウェアから構成してもよい。テクスチャ検出装置の各機能を、CPU(Central Processing Unit)やメモリ等を有するコンピュータにより実現してもよい。例えば、記憶装置に後述のテクスチャ検出方法(テクスチャ検出処理)を行うためのテクスチャ検出プログラムを格納し、テクスチャ検出装置の各機能を、記憶装置に格納されたテクスチャ検出プログラムをCPUで実行することにより実現してもよい。
【0020】
輝度差分符号化部110は、入力画像が入力され、入力画像の注目画素と近傍画素の輝度差を2値のバイナリコード特徴量(Local Binary Code:LBP、単にバイナリコードとも言う)に符号化する。入力画像は、例えば、輝度信号Y、色信号Cb,Crを含むYCbCr方式の画像信号であるが、RGB方式等、その他の方式の画像信号であってもよい。
【0021】
コントラスト算出部120は、入力画像が入力され、入力画像の注目画素と近傍画素のコントラスト量(輝度差の量)であるコントラスト特徴量(ローカルコントラスト、単にコントラストとも言う)を算出する。
【0022】
ブロック分割部130は、入力画像を任意のサイズの画素ブロックに分割する。ブロック分割部130は、入力画像を、縦n×横m(n、mは整数)画素の画素ブロック(単にブロックとも言う)に分割する。
【0023】
テクスチャ/コントラスト共起性解析部140は、分割された画素ブロックごとに、輝度差分符号化部110が生成したバイナリコード特徴量とコントラスト算出部120が生成したコントラスト特徴量の共起性を解析する。
【0024】
パターン分類部141は、バイナリ特徴量をビットパターンに基づき複数の特徴パターン(輝度パターン、単にパターンとも言う)に分類する。例えば、パターン分類部141は、バイナリコード特徴量を特徴に応じてフラットパターン、エッジパターン、テクスチャパターン、その他のパターンに分類する。
【0025】
ヒストグラム作成部(ヒストグラム生成部)142は、バイナリコード特徴量及びコントラスト特徴量に基づき2次元ヒストグラムを生成する。ヒストグラム作成部142は、分類されたパターンごとに、コントラスト特徴量の分布を示すヒストグラムを生成する。
【0026】
テクスチャ確度算出部150は、画素ブロックごとに、テクスチャ/コントラスト共起性解析部140による共起性の解析結果に基づいて、テクスチャらしさを示すテクスチャ確度を算出する。例えば、テクスチャ確度(Probability)は、0〜4の5段階で表される。テクスチャ確度の値が大きいほど、テクスチャである可能性が高いことを示し、テクスチャ確度の値が小さいほど、テクスチャである可能性が低く、テクスチャ以外のエッジやフラットパターン等である可能性が高いことを示す。
【0027】
事前学習データ152は、テクスチャ検出装置100の記憶部に記憶されたデータである。事前学習データ152は、バイナリコード特徴量及びコントラスト特徴量に基づいた2次元ヒストグラムを予め識別器151が学習したデータであり、特に、本実施の形態で検出すべきテクスチャの2次元ヒストグラムを含む。
【0028】
識別器151は、学習結果に基づいて画像認識を行うSVM(Support Vector Machine)である。識別器151は、事前学習データ152と、テクスチャ/コントラスト共起性解析部140が生成した2次元ヒストグラムとを比較し、両者の類似度を示すテクスチャ確度をテクスチャ検出結果として出力する。
【0029】
図3は、本実施の形態に係るテクスチャ検出装置で実行されるテクスチャ検出方法(テクスチャ検出処理)を示している。
【0030】
図3に示すように、テクスチャ検出装置100に画像が入力されると、まず、輝度差分符号化部110は、入力画像のローカルバイナリコードを算出する(S101)。本実施の形態では、テクスチャを表現するための1つの特徴量として、ローカルバイナリコードを利用する。
【0031】
各画素のローカルバイナリコード(バイナリコード特徴量)Bは、注目画素と近傍画素との輝度の大小を比較して2値で評価し、全近傍画素に対する評価結果を2進数の数値としてエンコードして表現する。注目画素をg=I(x,y),近傍画素をg(p=0...7)とすると、画素I(x,y)におけるこのバイナリコード特徴量B(x,y)は、次の式1のように求めることができる。式1において、aの値はノイズの影響を抑制するためのしきい値であり、通常はa=0である。
【数1】
【0032】
すなわち、注目画素gと各近傍画素gの輝度の差分を1ビットのs(i)とし、各ビットに重みづけした合計が、バイナリコード特徴量Bとなる。入力画像の全画素に対して、式1によりバイナリコード特徴量Bを求める。
【0033】
図4は、バイナリコード特徴量Bの算出例を示している。ここで、近傍画素は隣接していなくてもよいが、選択する近傍画素数は8画素とし、8ビットのバイナリコード特徴量Bとする。図4(a)の例では、注目画素の輝度が6であり、左上画素から時計回り(右回り)の順に各近傍画素の輝度が、6、5、2、1、7、8、9、7である。このため、図4(b)に示すように、注目画素と各近傍画素の大小関係によりs(0)=1、s(1)=0、S(2)=0、s(3)=0、s(4)=1、s(5)=1、s(6)=1、s(7)=1となり、8ビットのs(i)のパターン(バイナリコードパターン)は、11110001となる。各ビットの位置に応じた重み付けを図4(c)のようにし、各ビットを合計すると、バイナリコード特徴量B(LBP)=1+16+32+64+128=241となる。
【0034】
また、ローカルバイナリコードの算出とともに、コントラスト算出部120は、入力画像のローカルコントラストを算出する(S102)。S101で算出したローカルバイナリコードB(x,y)は、注目画素と近傍画素との輝度の大小関係の特徴を表現できるが、どの程度の輝度差があるかは表現することができない。そこで、本実施の形態では、テクスチャを表現するためのもう1つの特徴量として、ローカルコントラストを利用する。
【0035】
各画素のローカルコントラスト(コントラスト特徴量)Cは、ローカルバイナリコードと同様にして、画素I(x,y)における局所的なコントラスト(量)を次の式2のように求める。ここで、式2において、Hはh(g)=gとなるgの個数、Lはl(g)=gとなるgの個数である。
【数2】
【0036】
すなわち、注目画素gよりも輝度が大きい近傍画素gの平均から、注目画素gよりも輝度が小さい近傍画素gの平均を差し引いた値が、コントラスト特徴量C(x,y)となる。入力画像の全画素に対して、式2によりコントラスト特徴量Cを求める。例えば、図4(a)の例では、注目画素と各近傍画素の大小関係により、コントラスト特徴量C=(6+7+8+9+7)/5−(5+2+1)/3=4.73となる。
【0037】
ここで、上記のようなバイナリコード特徴量及びコントラスト特徴量を利用したときの、テクスチャらしさ(テクスチャ確度が高い)を示す特徴を図5の表に示す。
【0038】
特徴1として、テクスチャは、画素の輝度が不規則に変化するという特徴がある。特徴1に対応した上記特徴量の性質は、バイナリコード特徴量及びコントラスト特徴量のパターンが特定のパターンに偏らない性質となる。図1のようにテクスチャは繰り返しパターンとランダムパターンを含み、少なくとも局所的には不規則(ランダム)なパターンとなる。また、直線的なパターンは、文字やエッジに多いため、テクスチャではない可能性が高い。このため、バイナリコード特徴量またはコントラスト特徴量のパターンがランダムパターンの場合、テクスチャであると判断することが好ましい。
【0039】
特徴2として、テクスチャは、平坦部が少ないという特徴がある。特徴2に対応した上記特徴量の性質は、バイナリコード特徴量B≠0、または、B≠255となる。ほぼ完全に平坦(フラット)な領域(B=0、または、B=255)は、テクスチャではないと判断し、フラットではない領域(B≠0、または、B≠255)は、テクスチャであると判断することが好ましい。例えば、フラットなパターンをテクスチャと判断してもよいが、ノイズリダクションを行う際のノイズフィルタのマスクを考慮すると、フラットなパターンはマスクが不要であるためテクスチャではないと判断する。
【0040】
特徴3として、テクスチャは、コントラストが高くないという特徴がある。特徴3に対応した上記特徴量の性質は、コントラスト特徴量Cのヒストグラムにおいて、上位ビン(bin)の頻度が多くないという性質となる。コントラストが高い領域は文字である可能性が高い、また、文字画像はテクスチャと比較してエッジ部分のコントラストが高い。このため、コントラスト特徴量Cが大きくない(小さい)場合、テクスチャであると判断することが好ましい。
【0041】
テクスチャの特徴に関連して、さらに、上記特徴量によるテクスチャ表現の具体例について説明する。図6は、3×3画素領域における画像の輝度特徴パターンの例を示している。図6では、ハッチングが濃いほど輝度が高いことを示している。
【0042】
図6(a)、図6(b)は、直線的で、かつ、コントラストが高いパターンである。このため、特徴1及び特徴3より、このパターンは、テクスチャである可能性が低い(テクスチャではない)と判断する。図6(c)は、完全にフラットなパターンである。このため、特徴2より、このパターンは、テクスチャである可能性が低い(テクスチャはない)と判断する。
【0043】
図6(d)、図6(e)は、ランダムなパターンであり、かつ、コントラストが低いパターンである。このため、特徴1及び特徴3より、このパターンはテクスチャである可能性が高いと判断する。図6(f)は、ランダムなパターンであり、かつ、比較的コントラストが高いパターンである。この場合は、テクスチャではなく文字などである可能性が高く、特徴1及び特徴3より、このパターンはテクスチャである可能性が低い(テクスチャではない)と判断する。反対に、図6(g)は、直線的なパターンであり、かつ、比較的コントラストが低いパターンである。この場合は、テクスチャの直線的な部分を示している可能性が高いため、特徴3よりテクスチャである可能性が高いと判断する。
【0044】
図5及び図6のようなテクスチャの特徴と特徴量との関係から、本実施の形態では、S103以降で、局所領域でのバイナリコード特徴量B(x,y)およびコントラスト強度C(x,y)の共起性を調べることで、テクスチャらしさを確度表現する。一定の局所領域に限定してテクスチャらしさを算出することで、高コストな領域分割をすることなくテクスチャ領域を検出する。
【0045】
すなわち、図3のS101及びS102の後、ブロック分割部130は、入力画像をブロック分割する(S103)。ブロック分割部130は、図7のように入力画像全体を一定サイズの矩形ブロック(画素ブロック)に分割する。ブロック分割部130は、入力画像を縦(I)×横(J)個のブロックに分割し、I×J個の各ブロックに対して、以降の処理が繰り返し実行される。
【0046】
ブロックサイズは任意であるが、例えば、1ブロックあたり横16ピクセル×縦16ピクセル(全256画素)とする。図1(a)のようなテクスチャの例において、テキストンを周波数単位として考え、ひとつのテキストンパターンが1周期を表すとする。この場合、標本化定理により、テクスチャ検出には最低でも2倍のテキストンが必要であり、空間面積では4倍、つまり4テキストンが必要といえる。したがって、検出したいテクスチャのテキストンの画素数の4倍以上の面積になるようにブロックサイズを設定するのが最適である。
【0047】
次いで、テクスチャ/コントラスト共起性解析部140のパターン分類部141は、ブロックごとに、バイナリコードの画素をパターンに分類する(S104)。パターン分類部141は、バイナリコード特徴量(256値)を、パターンによってフラットパターン、エッジパターン、テクスチャパターン、およびその他のパターンの4種類に分類する。分類方法については、図5及び図6のような法則に従って決定する。
【0048】
例えば、バイナリコード特徴量のビットパターンが、ランダムの場合にテクスチャパターンと判断し、直線の場合にエッジパターンと判断し、フラットの場合にフラットパターンと判断する。その他のパターンは、判断条件によって省略してもよい。また、図5図6のようにコントラストを考慮してパターン分類を行ってもよい。
【0049】
次いで、テクスチャ/コントラスト共起性解析部140のヒストグラム作成部142は、ブロックごとに、ヒストグラムを作成する(S105)。ヒストグラム作成部142は、図8図11に示すように、分類されたフラット、エッジ、テクスチャ、その他のパターンごとに、コントラストのヒストグラムを生成する。そして、図12に示すように、これらのヒストグラムを合成して、4値の2次元ヒストグラムを作成する。すなわち、2次元ヒストグラムは、ブロック内の各画素におけるバイナリコード特徴量B(x,y)とコントラスト特徴量C(x,y)の分布(共起性)を2次元に表している。
【0050】
次いで、テクスチャ確度算出部150は、識別器(Classifier)を生成する(S106)。テクスチャ確度算出部150は、検出すべきテクスチャの2次元ヒストグラムを事前学習データ152に学習させておき、S105で生成した2次元ヒストグラムを特徴量として識別器151に入力する。
【0051】
次いで、テクスチャ確度算出部150の識別器151は、ブロックごとに、テクスチャ確度(Probability)を算出する(S107)。識別器151は、事前学習データ152の2次元ヒストグラムと、S105で生成された2次元ヒストグラムの類似度により、テクスチャ確度を求める。2次元ヒストグラムの類似度を判断することにより、バイナリコード特徴量B(x,y)およびコントラスト強度C(x,y)の共起性に基づいたテクスチャらしさを検出する。以上の演算を画像全体の全ブロックに対して行い、その結果をブロックごとに保存する。
【0052】
以上のように、本実施の形態では、入力画像から得られる複数の特徴量によってテクスチャを検出する手法において、ブロック分割した局所領域内における、注目画素とその近傍画素との輝度変化をバイナリコーディングしたバイナリコード特徴量と、注目画素とその近傍画素間のコントラスト値のコントラスト特徴量の共起性を調べることによって、テクスチャらしさを検出することとした。これにより、テクスチャらしさを確度表現し、その際に問題となる文字などの誤検出を低減することができる。本実施形態では、識別器を用いる必要があるものの、バイナリコード特徴量及びコントラスト特徴量の共起性に基づいてテクスチャを検出するため、様々な任意のテクスチャを検出可能であり、精度よくテクスチャを検出することができる。
【0053】
(実施の形態2)
以下、図面を参照して本発明の実施の形態2について説明する。本実施の形態で、実施の形態1に対し、SVMなどの識別器を用いずにテクスチャらしさを求める例である。
【0054】
図13は、本実施の形態に係るテクスチャ検出装置100の構成を示している。図13に示すように、本実施の形態に係るテクスチャ検出装置100では、テクスチャ確度算出部150が、パターン率算出部153、コントラスト強度算出部154、パターン率/コントラスト強度判定部155を備えている。その他の構成は、実施の形態1の図2と同様である。
【0055】
パターン率算出部153は、パターン分類部141が分類した各パターンの比率であるパターン率(特徴パターン率)を算出する。コントラスト強度算出部154は、コントラストのヒストグラムに基づきコントラストの強さを示すコントラスト強度を算出する。パターン率/コントラスト強度判定部(テクスチャ確度決定部)155は、算出したパターン率及びコントラスト強度を判定して、テクスチャ確度を決定する。
【0056】
図14は、本実施の形態に係るテクスチャ検出装置で実行されるテクスチャ検出方法(テクスチャ検出処理)を示している。図15は、図14のパターン率/コントラスト強度(ratio/strengthC)判定処理の詳細を示している。
【0057】
S201〜S205については、実施の形態1の図3のS101〜S105と同様である。すなわち、入力画像のローカルバイナリコードを算出し(S201)、入力画像のローカルコントラストを算出し(S202)、入力画像をブロック分割し(S203)、バイナリコードをパターンに分類し(S204)、ヒストグラムを生成する(S205)。
【0058】
ヒストグラムの生成では、図16及び図17のように、エッジパターンおよびテクスチャパターンに分類された画素のコントラスト特徴量C(x,y)のヒストグラムを、それぞれのパターンごとに作成する。このヒストグラムにおいて、高階級の頻度が高い場合には、ブロック内の画像のエッジまたはテクスチャと分類された部分のコントラストが高いということを示す。すなわち、図17の例では、テクスチャの部分は比較的コントラストが高いといえる。実施の形態1のように全てのパターンのヒストグラムを生成してもよいが、本実施の形態では、コントラスト強度の算出において、エッジパターン及びテクスチャパターンのヒストグラムを使用するため、エッジパターン及びテクスチャパターンのヒストグラムのみ生成する。実施の形態1のように2次元ヒストグラムを生成する必要がないため、ヒストグラムの算出を簡略化できる。
【0059】
次いで、テクスチャ確度算出部150のパターン率算出部153は、各パターンの比率(ratio)を算出する(S206)。パターン率算出部153は、フラットパターン、エッジパターンおよびテクスチャパターンの各パターンについて、ブロック内の全画素に対する割合を0〜1の範囲の値で求める。フラットパターンのフラット率(ratioFlat)の算出式を次の式3に示す。エッジパターンのエッジ率(ratioEdge)、テクスチャパターンのテクスチャ率(ratioTexture)も同様に求める。
【数3】
【0060】
次いで、テクスチャ確度算出部150のコントラスト強度算出部154は、各パターンのコントラスト強度(ヒストグラム強度)を算出する(S202)。コントラスト強度算出部154は、演算の簡素化のために、コントラストのヒストグラムを、次の式4によりコントラストの強さを表す0〜1の1次元のコントラスト強度(strengthC)に変換する。式4において、nはヒストグラムのビン数、F(x)はヒストグラムのビンxにおける頻度を示す。
【数4】
【0061】
次いで、図15のパターン率/コントラスト強度(ratio/strengthC)判定処理により、パターン率及びコントラスト強度のパラメータを組み合わせて、複合的にテクスチャらしさであるテクスチャ確度(Probability)を求める。Probabilityの値が大きいほどテクスチャらしさの確度が高い。パターン率及びコントラスト強度としきい値を比較してテクスチャ確度を決定するため、実施の形態1のように識別器を用いることなく、テクスチャ確度の算出を簡略化できる。なお、図15中の数値(しきい値)は実験的に求められた任意のパラメータであり、この数値に限定されるものではない。
【0062】
すなわち、パターン率/コントラスト強度判定部155は、フラット率(ratioFlat)を判定し、例えば、フラット率が0.9より小さいか否か判定する(S211)。S211の判定でNo(フラット率が0.9より小さくない)の場合、ほぼフラットでありテクスチャの可能性は低いため、パターン率/コントラスト強度判定部155は、テクスチャ確度を0に設定する(S212)。
【0063】
S211の判定でYes(フラット率が0.9より小さい)の場合、パターン率/コントラスト強度判定部155は、テクスチャ率(ratioTexture)を判定し、例えば、テクスチャ率が0.4より大きいか否か判定する(S213)。S213の判定でYes(テクスチャ率が0.4より大きい)の場合、パターン率/コントラスト強度判定部155は、テクスチャのコントラスト強度(strengthC(Texture))を判定し、例えば、コントラスト強度が0.2より小さいか否か判定する(S214)。
【0064】
S214の判定でNo(テクスチャのコントラスト強度が0.2より小さくない)場合、テクスチャの可能性はあるがコントラストが高いため、パターン率/コントラスト強度判定部155は、テクスチャ確度を3に設定する(S215)。S214の判定でYes(テクスチャのコントラストム強度が0.2より小さい)の場合、テクスチャの可能性が高いため、パターン率/コントラスト強度判定部155は、テクスチャ確度を4に設定する(S216)。
【0065】
S213の判定でNo(テクスチャ率が0.4より大きくない)の場合、パターン率/コントラスト強度判定部155は、エッジ率(ratioEdge)とエッジのコントラスト強度(strengthC(Edge))を判定し、例えば、エッジ率が0.2より大きく、かつ、エッジのコントラスト強度が0.2より小さいか否か判定する(S217)。
【0066】
S217の判定でNo(エッジ率が0.2より大きくない、または、エッジのコントラスト強度が0.2より小さくない)の場合、コントラストが高く、エッジや文字の可能性が高いため、パターン率/コントラスト強度判定部155は、テクスチャ確度を1に設定する(S218)。S217の判定でYes(エッジ率が0.2より大きく、かつ、エッジのコントラスト強度が0.2より小さい)の場合、コントラストが低く、S218よりもテクスチャの可能性が高いため、パターン率/コントラスト強度判定部155は、テクスチャ確度を2に設定する(S216)。以上の演算を画像全体の全ブロックに対して行い、その結果をブロックごとに保存する。
【0067】
以上のように、本実施の形態では、テクスチャ検出方法として、実施の形態1のような2次元の共起ヒストグラムを特徴量とした識別器を用いる方法ではなく、低次元の特徴量(パターン率及びコントラスト強度)に変換して簡易的に共起性を調べることとした。これにより、特定のパターンに限定されないテクスチャ領域を簡単な演算で検出できるため、回路規模を削減でき、低コストかつ省スペースなハードウェアで高速かつ精度のよい検出装置を構成することが可能となる。実施の形態1の方法よりも非常に高速かつ低リソースで演算でき、電子機器への実装により適した方法である。
【0068】
(実施の形態3)
以下、図面を参照して本発明の実施の形態3について説明する。本実施の形態は、実施の形態1または2に対し、複数のサイズのブロックでテクスチャ検出を行う例である。本実施の形態に係るテクスチャ検出装置の構成は、実施の形態1または2と同様である。
【0069】
図18は、本実施の形態に係るテクスチャ検出方法を示している。図18に示すように、8×8、16×16、32×32の3種類のブロックサイズでそれぞれテクスチャ検出を行い、3つの検出結果を合成して最終的な検出結果とする。ブロックサイズは、複数の任意のサイズとしてもよい。ブロック分割方法及びブロックごとのテクスチャ確度算出方法は、実施の形態1または2と同様である。
【0070】
すなわち、ブロック分割部130が、入力画像を8×8ブロックに分割し(S301)、テクスチャ/コントラスト共起性解析部140及びテクスチャ確度算出部150が、分割された8×8ブロックごとにテクスチャ確度を算出する(S302)。また、ブロック分割部130が、入力画像を16×16ブロックに分割し(S303)、テクスチャ/コントラスト共起性解析部140及びテクスチャ確度算出部150が、分割された16×16ブロックごとにテクスチャ確度を算出する(S304)。さらに、ブロック分割部130が、入力画像を32×32ブロックに分割し(S305)、テクスチャ/コントラスト共起性解析部140及びテクスチャ確度算出部150が、分割された32×32ブロックごとにテクスチャ確度を算出する(S306)。なお、ブロック分割の順番は、32×32、16×16、8×8ブロックの順でもよいし、その他の任意の順番でよい。
【0071】
その後、テクスチャ確度算出部150は、サイズの異なる各ブロックのテクスチャ確度を合成する(S307)。合成方法は、例えば算術平均などである。すなわち、各ブロックのテクスチャ確度の平均を最終的なテクスチャ確度として出力する。これにより平均的に確度が高い領域をテクスチャとして検出できる。なお、テクスチャ確度が高いブロックはテクスチャを含む可能性が高いため、サイズの異なる各ブロックのテクスチャ確度のうち、最も大きい値を出力してもよい。
【0072】
このように、実施の形態1または2のテクスチャ検出において、さらに複数のブロックサイズでテクスチャ検出を行うことにより、複数のテキストンサイズをカバーした検出が可能となるため、より精度よくテクスチャを検出することができる。
【0073】
(実施の形態4)
以下、図面を参照して本発明の実施の形態4について説明する。本実施の形態は、実施の形態1〜3のテクスチャ検出装置を用いてノイズリダクションを行う画像処理システムの例である。
【0074】
図19は、本実施の形態に係る画像処理システム1の構成を示している。図19に示すように、画像処理システム1は、実施の形態1〜3のテクスチャ検出装置100に加えて、YCbCr変換部200、ノイズリダクション装置300を備えている。ノイズリダクション装置300は、テクスチャ領域マスク部301、ノイズリダクション演算部302を備えている。
【0075】
画像処理システム1には、RAW画像が入力される。YCbCr変換部200は、入力されたRAW画像をYCbCr方式の画像信号に変換し、テクスチャ検出装置100へ供給する。ノイズリダクション装置300は、入力されたRAW画像と、テクスチャ検出装置100のテクスチャ検出結果(テクスチャ確度)が入力され、テクスチャ検出結果に基づき、RAW画像からノイズを除去したノイズ抑制画像を生成する。
【0076】
テクスチャ領域マスク部301は、テクスチャ検出結果であるテクスチャ確度に応じて、ノイズフィルタの適用を除外するマスク処理を行う。テクスチャ領域マスク部301は、RAW画像のうち、テクスチャ確度の高い領域にマスクを設定する。テクスチャ確度が所定のしきい値以上の領域にマスクをかけてもよいし、テクスチャ確度の大きさに応じて、マスクのサイズや強さ(フィルタの強さ)を変更してもよい。
【0077】
ノイズリダクション演算部302は、RAW画像に対し、テクスチャ領域マスク部301が設定したマスクに応じてノイズフィルタを適用しノイズリダクション処理を行う。例えば、マスク領域を除いた領域に対しノイズリダクションを行う。また、マスクの強さに応じたフィルタによりノイズリダクションを行う。
【0078】
通常、画像全体に対して均一にノイズ抑制を施すと、画像の高周波成分が失われて解像感が落ちてしまうという問題がある。テクスチャ領域は、なるべく解像感を維持したいのと、ノイズがあっても目立ちにくいことから、本実施の形態では、テクスチャ検出装置100が検出したテクスチャ領域をマスクして、それ以外の領域のみノイズ抑制する構成にする。より正確には、テクスチャ確度が低いほどノイズ抑制を強くするようにする。これにより、入力画像の画質劣化を抑えつつ、ノイズを効果的に除去することができる。
【0079】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0080】
1 画像処理システム
100 テクスチャ検出装置
110 輝度差分符号化部
120 コントラスト算出部
130 ブロック分割部
140 テクスチャ/コントラスト共起性解析部
141 パターン分類部
142 ヒストグラム作成部
150 テクスチャ確度算出部
151 識別器
152 事前学習データ
153 パターン率算出部
154 コントラスト強度算出部
155 パターン率/コントラスト強度判定部
200 YCbCr変換部
300 ノイズリダクション装置
301 テクスチャ領域マスク部
302 ノイズリダクション演算部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19