特許第6095061号(P6095061)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6095061
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】消火栓装置
(51)【国際特許分類】
   A62C 35/20 20060101AFI20170306BHJP
【FI】
   A62C35/20
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-100009(P2013-100009)
(22)【出願日】2013年5月10日
(65)【公開番号】特開2014-217646(P2014-217646A)
(43)【公開日】2014年11月20日
【審査請求日】2015年11月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100117776
【弁理士】
【氏名又は名称】武井 義一
(72)【発明者】
【氏名】吉田 享介
【審査官】 小笠原 恵理
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−227456(JP,A)
【文献】 特開2002−291928(JP,A)
【文献】 特開平11−276622(JP,A)
【文献】 実開平06−048706(JP,U)
【文献】 特開2009−273689(JP,A)
【文献】 特開2010−029415(JP,A)
【文献】 実開昭48−52397(JP,U)
【文献】 特開2011−41635(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 35/20
A62C 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に開口する箱体および上記箱体の前面開口を塞口する前面パネルを備え、ホースバケットに内巻き式に収納された消火用ホースが収納された消火栓本体と、
上記消火栓本体外に設けられる配水本管の分岐部に配設され、開閉弁を内蔵する消火栓弁ユニットと、
上記消火栓弁ユニットと上記消火用ホースを接続する消火用水の供給配管と、
上記消火栓本体内に配設され、上記開閉弁を開閉するために操作される操作部と、を備えた消火栓装置において、
上記消火栓本体は、上記前面パネルに取り付けられて上記消火用ホースの収納スペースを開閉する消火栓扉を備え、
上記消火用ホースの先端に装着された消火用ノズルと上記操作部との少なくとも一方が、奥行き方向から見て、上記ホースバケットに内巻き式に収納された上記消火用ホースの内側に位置するように、上記消火栓扉の裏面に取り付けられており、
上記消火栓本体は、上記消火用ホースおよび消火器が幅方向に並んで収納され、上記前面パネルに取り付けられて上記消火器の収納スペースを開閉する消火器扉を備え、
膨出部が上記消火器扉の一部に形成され、上記消火器の胴部の上記消火栓本体の奥行き方向の前方に位置する部分が、上記膨出部内に収められていることを特徴とする消火栓装置。
【請求項2】
上記膨出部が、外側から上記消火器を目視確認できるように構成されていることを特徴とする請求項記載の消火栓装置。
【請求項3】
上記消火器は、上記消火器の上記膨出部へのぶつかりを防止する、上方向に曲げられたストッパ部が前方に設けられた台座に載置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の消火栓装置。
【請求項4】
上記消火用ノズルと上記操作部との少なくとも一方が、上記消火栓扉の高さ方向の略中央に配置され、上記消火栓扉を開放するためのハンドルが、上記消火栓扉の前面側で、上記消火栓扉の高さ方向の略中央に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の消火栓装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば高速自動車道等のトンネルに設置されて火災時に本体内部の消火用ホースを引き出して消火を行う消火栓装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に記載の従来の消火栓装置は、放水設備がトンネルの側壁凹部に設置された消火栓箱に収納され、トンネル内に形成された側溝内に敷設された配水本管から分岐管により分岐された消火用水が接続配管、開閉弁および供給配管を経て、放水設備のホースに供給されるようになっている。そして、開閉弁は、消火栓箱から離れた、配水本管が敷設されている側溝内に収納され、直接の操作が困難となるので、消火栓箱の近くで開閉操作するための遠隔開閉手段が設けられていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−227456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の消火栓装置においては、遠隔開閉手段の操作部が消火栓箱内のホースバケットの消火器収納スペースと反対側に取り付けられていたので、消火栓箱の幅寸法を変えることなく、ホースバケットの幅寸法を広げることができない。そこで、所定長さの消火用ホースをホースバケットに収納するには、ホースバケットの奥行き寸法を大きくして、消火用ホースの巻き数を多くする必要があり、消火栓箱の奥行き寸法が大きくなる。さらに、従来の消火栓装置においては、消火用ホースの先端に設けられた消火用ノズルがホースバケットの前面に取り付けられていたので、その分消火栓箱の奥行き寸法が大きくなる。
【0005】
このように、従来の消火栓装置では、消火栓箱の奥行き寸法が大きくなるので、トンネルの側壁に凹設される側壁凹部の深さを深くする必要があり、消火栓装置の据え付けコストが増大するという課題があった。
【0006】
この発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、消火用ノズルおよび開閉弁用の操作部とホースバケットの消火栓本体内での配置を工夫して、消火栓本体の幅寸法を変えることなくホースバケットの幅寸法を大きくできるようにし、消火栓本体の奥行き寸法の縮小を図り、据え付けコストを低減できる消火栓装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明による消火栓装置は、前面に開口する箱体および上記箱体の前面開口を塞口する前面パネルを備え、ホースバケットに内巻き式に収納された消火用ホースが収納された消火栓本体と、上記消火栓本体外に設けられる配水本管の分岐部に配設され、開閉弁を内蔵する消火栓弁ユニットと、上記消火栓弁ユニットと上記消火用ホースを接続する消火用水の供給配管と、上記消火栓本体内に配設され、上記開閉弁を開閉するために操作される操作部と、を備えている。上記消火栓本体は、上記前面パネルに取り付けられて上記消火用ホースの収納スペースを開閉する消火栓扉を備え、上記消火用ホースの先端に装着された消火用ノズルと上記操作部との少なくとも一方が、奥行き方向から見て、上記ホースバケットに内巻き式に収納された上記消火用ホースの内側に位置するように、上記消火栓扉の裏面に取り付けられており、上記消火栓本体は、上記消火用ホースおよび消火器が幅方向に並んで収納され、上記前面パネルに取り付けられて上記消火器の収納スペースを開閉する消火器扉を備え、膨出部が上記消火器扉の一部に形成され、上記消火器の胴部の上記消火栓本体の奥行き方向の前方に位置する部分が、上記膨出部内に収められている。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、操作部が消火栓扉に取り付けられているので、ホースバケットの幅寸法を広げることができる。これにより、消火用ホースの巻き数を少なくでき、消火栓本体の奥行き寸法を縮小できる。
また、消火栓扉の裏面に取り付けられた消火用ノズルと操作部が、奥行き方向から見て、ホースバケットに内巻き式に収納された消火用ホースの内側に位置している。これにより、ホースバケットに内巻き式に収納された消火用ホースが前面パネルに接近するように箱体の奥行きを縮小でき、消火栓本体の奥行き寸法を縮小できる。
したがって、消火栓本体を設置するための箱抜きの深さを浅くでき、据え付けコストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】この発明の一実施の形態に係る消火栓装置を示す正面図である。
図2】この発明の一実施の形態に係る消火栓装置を示す上面図である。
図3】この発明の一実施の形態に係る消火栓装置の設置状態を示す側断面図である。
図4】この発明の一実施の形態に係る消火栓装置の消火栓扉開放状態を示す正面図である。
図5】この発明の一実施の形態に係る消火栓装置における消火栓弁ユニットを示す上面図である。
図6】この発明の一実施の形態に係る消火栓装置における遠隔開閉手段を構成する操作部を示す上面図である。
図7】この発明の一実施の形態に係る消火栓装置における遠隔開閉手段を構成する受動部を説明する図である。
図8】この発明の一実施の形態に係る消火栓装置における遠隔開閉手段の受動部を消火栓弁ユニットに取り付けた状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の消火栓装置の好適な実施の形態につき図面を用いて説明する。
【0011】
図1はこの発明の一実施の形態に係る消火栓装置を示す正面図、図2はこの発明の一実施の形態に係る消火栓装置を示す上面図、図3はこの発明の一実施の形態に係る消火栓装置の設置状態を示す側断面図、図4はこの発明の一実施の形態に係る消火栓装置の消火栓扉開放状態を示す正面図、図5はこの発明の一実施の形態に係る消火栓装置における消火栓弁ユニットを示す上面図、図6はこの発明の一実施の形態に係る消火栓装置における遠隔開閉手段を構成する操作部を示す上面図、図7はこの発明の一実施の形態に係る消火栓装置における遠隔開閉手段を構成する受動部を説明する図であり、図7の(a)は上面図、図7の(b)は断面図である。図8はこの発明の一実施の形態に係る消火栓装置における遠隔開閉手段の受動部を消火栓弁ユニットに取り付けた状態を説明する図である。なお、図6から図8では、説明の便宜上、ボックスのカバーを外した状態を示している。
【0012】
図1から図4において、トンネルのコンクリート躯体1が車線(図示せず)に対して蒲鉾状に構築され、監視員通路2が路肩の一方に所定の高さに構築されている。監視員通路2の下部には、ダクト3が形成され、配水本管5、配水本管5から分岐する分岐管6、分岐管6に結合された接続配管7、接続配管7に接続された止水弁8などが敷設されている。消火栓装置10は、トンネルのコンクリート躯体1の監視員通路2、或いは車線(図示せず)から操作可能な壁面に凹設された箱抜き4内に設置された消火栓本体11と、ダクト3内で配水本管5から分岐する分岐管6に接続配管7および止水弁8を介して接続される消火栓弁ユニット30と、消火栓本体11側から消火栓弁ユニット30を開閉操作する遠隔開閉手段40と、を備える。
【0013】
消火栓本体11は、前面に開口する直方体の箱形に作製された箱体12と、箱体12の前面を覆う前面パネル13と、からなる消火栓箱を備えている。消火栓箱の内部には、先端に消火用ノズル15aを有する消火用ホース15、消火用ホース15を内巻き式に収納するホースバケット16、消火器17、継ぎ部材24、各種電気機器(図示せず)などが収納されている。この箱体12は、箱抜き4の床面に固定されるベース枠14にボルト締めなどによって固定される。
【0014】
ここでは、消火器17が消火栓箱の内部の左側のスペースに収納され、残るスペースが消火用ホース収納スペースとなる。そして、継ぎ部材24は、消火用ホース収納スペースのホースバケット16の右側に配設され、消火用ホース15が接続されるとともに、供給配管である接続用ホース25が接続される。接続用ホース25は、消火用ホース15と同じ材料で作製されたホース、つまり保形ゴム引布ホースであり、消火栓弁ユニット30の継ぎ手部34(図5)と継ぎ部材24とを接続し、消火用水を消火用ホース15に供給する。
【0015】
前面パネル13には、消火用ホース収納スペースに面する横長の開口部13aと消火器収納スペースに面する縦長の開口部13bが設けられている。そして、前に倒れる前倒式の消火栓扉18が横長の開口部13aに取り付けられ、横開き式の消火器扉20が縦長の開口部13bに取り付けられている。横長の開口部13aは、図4に示されるように、消火栓扉18の開放時に、消火栓扉18の上端部が、前面パネル13の下端部と略同じ高さに位置するように、前面パネル13に設けられている。なお、前面パネル13は一枚のパネルで構成されているが、例えば、左右に分割された2枚のパネルで構成されてもよい。
【0016】
消火栓扉18は、下端を蝶番で連結されて、横長の開口部13aを開閉可能に前面パネル13に取り付けられている。消火栓扉18の裏面には、消火用ノズル15aと、後述する遠隔開閉手段40の操作部41とが、消火栓箱の奥行き方向から見て、ホースバケット16の内側(具体的には、ホースバケット16に内巻き式に収納された消火用ホース15の内側。言い換えれば、ホースバケット16のホース引出口の内側)に位置するように取り付けられている。さらに、透明なプラスチック材料などで作製された平板状の窓部18aが、消火栓扉18の一部に形成され、外側から、消火用ノズル15aおよび操作部41の開閉レバー45を目視確認できるようになっている。
【0017】
この消火栓扉18は、例えば、磁石の磁力により閉状態が維持されており、ハンドル19を手前に引くことで磁石の磁力による結合を解き、前傾方向に回動して垂れ下がって開口部13aを開放する。
【0018】
消火器扉20は、左側端部を蝶番で連結されて、縦長の開口部13bを開口可能に前面パネル13に取り付けられる。また、消火器扉20は、消火器収納スペースの消火器17の設置位置に対応する膨出部20aを有し、消火器扉20を閉じたときに、消火器17の胴部の消火栓箱の奥行き方向の前方に位置する部分が、膨出部20a内に収められている。また、膨出部20aは、透明なプラスチック材料などで作製され、外側から消火器17を目視確認できるようになっている。この消火器扉20は、例えば、磁石の磁力により閉状態が維持されており、ハンドル21を手前に引くことで磁石の磁力による結合を解き、開口部13bを開放し、使用者が消火器17を持って消火活動できるようになっている。
また、消火栓扉18と消火器扉20の間には、表示灯22、発信機23などが取り付けられている。
【0019】
消火栓弁ユニット30は、図5に示されるように、開閉弁31と、開閉弁31の二次側に配置されて、所定圧の消火用水を供給する自動調圧弁32と、開閉弁31の二次側に配置されて、非放水時の無加圧の消火用水を排出する自動排水弁33と、接続用ホース25が接続される継ぎ手部34と、を備える。さらに、開閉腕36が、開閉弁31の開閉軸35に固定され、開閉軸35と供回り可能に構成されている。開閉腕36は、開閉軸35から径方向に延び出ており、後述する連結ピン53が嵌め込まれる連結穴37が開閉腕36の先端側に形成されている。そして、消火栓弁ユニット30は、開閉弁31を止水弁8および接続配管7を介して分岐管6に接続され、配水本管5の分岐部に配設される。
【0020】
遠隔開閉手段40は、消火栓扉18の裏面に配設される操作部41と、消火栓弁ユニット30に配設されて、開閉弁31の開閉軸35を回動する受動部46と、操作部41の動きを受動部46に伝達する伝達部54と、を備える。
【0021】
操作部41は、図6に示されるように、操作軸43を操作側筐体であるボックス42に軸支し、操作側プーリ44を操作軸43に固定し、開閉レバー45を操作側プーリ44に固定し、開閉レバー45の操作により、操作側プーリ44を操作軸43周りに回動可能に構成されている。開閉レバー45は、消火栓扉18の扉面と平行に回動可能に構成されている。
【0022】
受動部46は、図7に示されるように、受動軸48を受動側筐体であるボックス47の底板に貫通状態で軸支し、受動側プーリ49を受動軸48のボックス47内の端部に固定し、動力伝達腕50を受動軸48のボックス47からの突出部に固定し、受動側プーリ49および動力伝達腕50が受動軸48と供回り可能に構成されている。嵌合凹部51が受動軸48のボックス47からの突出端の軸心位置に凹設されている。動力伝達腕50は、受動軸48から径方向に延び出ており、連結ピン53が嵌め込まれる連結穴52が動力伝達腕50の先端側に形成されている。
【0023】
伝達部54は、アウターワイヤ55と、アウターワイヤ55内に通されたインナーワイヤ56と、から構成されている。アウターワイヤ55は、操作部41側では、アウターワイヤ55の一端部に設けられた雄ねじ部57に螺着されたナット58,59でボックス42の側壁を挟み込んで取り付けられ、受動部46側では、アウターワイヤ55の他端部に設けられた雄ねじ部60に螺着されたナット61,62でボックス47の側壁を挟み込んで取り付けられている。そして、インナーワイヤ56は、アウターワイヤ55内に通されて無端状に構成され、操作部41側で、操作側プーリ44に巻き掛けられて操作側プーリ44に固定され、受動部46側で、受動側プーリ49に巻き掛けられて受動側プーリ49に固定される。これにより、インナーワイヤ56は、アウターワイヤ55により弛みが規制され、操作側プーリ44と受動側プーリ49とに掛け渡され、操作側プーリ44の回動トルクを受動側プーリ49に伝達する。
【0024】
このように構成された遠隔開閉手段40は、図4に示されるように、操作部41がボックス42を消火栓扉18の裏面に固定して消火栓扉18に取り付けられ、受動部46が開閉弁31に取り付けられ、アウターワイヤ55が操作部41から引き出され、開口部13a内に引き込まれ、消火用ホース収納スペース内を下降してダクト3内に導かれ、受動部46に連結される。
【0025】
受動部46は、図8に示されるように、嵌合凹部51内に開閉軸35の突出端を嵌め込んで、開閉弁31に装着される。そして、動力伝達腕50を開閉腕36に重ね合わせ、連結ピン53を連結穴52,37に差し込んで、動力伝達腕50と開閉腕36とを連結する。さらに、受動部46のボックス47の底板を開閉弁31のフランジ部31aにボルト(図示せず)で締着固定して、受動部46が消火栓弁ユニット30に取り付けられる。
【0026】
このように構成された消火栓装置10では、使用者が、ハンドル19を手前に引くことで、消火栓扉18が前傾方向に回動して垂れ下がって開口部13aを開放する。そこで、使用者が、操作部41の開閉レバー45を、図4に示す閉位置から下方向の開位置に回す。この開閉レバー45の回動トルクが、操作側プーリ44、インナーワイヤ56、受動側プーリ49および動力伝達腕50を介して開閉腕36に伝達され、開閉弁31が開放される。これにより、消火用水が配水本管5から消火栓弁ユニット30および接続用ホース25を介して消火用ホース15に供給される。そして、使用者は、消火用ノズル15aを持って消火用ホース15を引き出しながら火災発生現場に向かい、消火用ノズル15aから放水して消火活動を行う。
【0027】
この発明では、消火栓弁ユニット30が消火栓本体11から離れたダクト3内に配設されているので、消火栓箱内の消火用ホース収納スペース(ホースバケット16のスペース)を拡大することができる。これにより、ホースバケット16の幅寸法を広げることができ、所定長さの消火用ホース15の巻き数が少なくなり、消火栓箱の幅方向寸法を変えることなく、消火栓箱の奥行き寸法を縮小することができる。
【0028】
また、消火用ノズル15aおよび遠隔開閉手段40の操作部41が、消火栓箱の奥行き方向から見て、ホースバケット16の内側に位置するように、消火栓扉18の裏面に取り付けられている。そこで、ホースバケット16やホースバケット16に巻かれた消火用ホース15が、前面パネル13に近接するまで箱体12の奥行きを縮小できる。すなわち、消火栓箱の奥行き寸法を縮小することができる。
【0029】
このように、この発明よれば、消火栓箱、すなわち消火栓本体11の幅寸法を変えることなく、奥行き寸法を縮小できるので、消火栓本体11を設置するための箱抜き4の深さを浅くでき、据え付けコストを削減できる。
【0030】
また、膨出部20aが消火器扉20の一部に形成され、消火器17の胴部の消火栓箱の奥行き方向の外側を向く部分が、膨出部20a内に収められている。そこで、前面パネル13の位置が、膨出部20aから、膨出部20aの突出分だけ後退し、消火栓本体11の奥行き寸法が縮小される。なお、図1、2に示されるように、消火器17が載置される台座20bには、前方に、上方向に折り曲げられたストッパ部20cが設けられて、消火器17が膨出部20aにぶつかって破損するのを防止することができる。
【0031】
膨出部20aが透明部材で作製され、消火器17が外部から目視確認できるようになっているので、消火器17が消火栓本体11に格納されていることを簡易に確認できる。
窓部18aが消火栓扉18に形成され、消火用ノズル15aおよび遠隔開閉手段40の開閉レバー45が外部から目視確認できるようになっているので、消火用ノズル15aおよび遠隔開閉手段40の開閉レバー45が消火栓本体11に格納されていることを簡易に確認できる。
【0032】
また、開放時、略90°開放して監視員通路2上に位置する従来の前傾式の消火栓扉には、使用者が載っても破損しないような剛性が求められるので、消火栓扉の板厚を厚くしなければならず、消火栓本体の製造コストが高くなるとともに、重量が重くなり、搬送コストが高くなるという問題がある。この発明では、消火栓扉18が、前傾方向に略180°回動して垂れ下がって開口部13aを開放するように前面パネル13に取り付けられているので、使用者が消火栓扉18に載るような事態が回避される。そこで、消火栓扉18の板厚を厚くする必要がないので、消火栓扉18の軽量化が図られ、製造コストおよび搬送コストを削減することができる。また、消火栓扉18の板厚を薄くできるので、その分消火栓本体11の奥行き寸法を縮小できる。さらに、消火栓扉18の一部に透明なプラスチック材料などで作製された窓部18aを設置できる。なお、この発明の消火栓扉として、従来の前傾式の消火栓扉を採用することもできる。
【0033】
また、消火用ノズル15aおよび遠隔開閉手段40の操作部41が消火栓扉18に裏面に装着されているので、消火栓扉18を開けたときに、使用者が、監視員通路2から、さらには車線側から操作部41の開閉レバー45を操作して開閉弁31を開け、消火用ノズル15aを持って消火用ホース15を引き出しながら火災発生現場に向かい、消火用ノズル15aから放水して消火活動ができる。
ここで、消火用ノズル15aは、消火栓扉18の高さ方向の略中央に配置されているので、扉開放時に消火用ホース15が引き出される量を抑えてばらけるのを防止しつつ、車線側からでも使用者の手が届きやすい。また、開閉レバー45は、消火栓扉18の高さ方向の略中央に配置されているので、図4に示す閉位置から下方向の開位置までの操作スペースを確保しつつ、車線側からでも使用者の手が届きやすい。また、ハンドル19は、消火栓扉18の高さ方向で略中央に配置されているので、車線側からでも使用者の手が届き、かつ扉開放時に必要な回転モーメントが得られる。
【0034】
なお、上記実施の形態では、供給配管として、保形ゴム引布ホース(接続用ホース25)を用いているが、供給配管は、金属配管を用いてもよい。
【符号の説明】
【0035】
5 配水本管、10 消火栓装置、11 消火栓本体、12 箱体、13 前面パネル、15 消火用ホース、15a 消火用ノズル、16 ホースバケット、17 消火器、18 消火栓扉、18a 窓部、20 消火器扉、20a 膨出部、25 接続用ホース(供給配管)、30 消火栓弁ユニット、31 開閉弁、41 操作部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8