特許第6095063号(P6095063)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6095063
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】渦電流探傷プローブ
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/90 20060101AFI20170306BHJP
【FI】
   G01N27/90
【請求項の数】7
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-159314(P2013-159314)
(22)【出願日】2013年7月31日
(65)【公開番号】特開2015-31532(P2015-31532A)
(43)【公開日】2015年2月16日
【審査請求日】2016年5月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】507250427
【氏名又は名称】日立GEニュークリア・エナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】特許業務法人開知国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077816
【弁理士】
【氏名又は名称】春日 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100156524
【弁理士】
【氏名又は名称】猪野木 雄一
(72)【発明者】
【氏名】足立 明隆
(72)【発明者】
【氏名】西水 亮
(72)【発明者】
【氏名】井坂 克己
【審査官】 蔵田 真彦
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭52−71582(JP,U)
【文献】 特開2001−133209(JP,A)
【文献】 特開昭60−95304(JP,A)
【文献】 特開平10−73570(JP,A)
【文献】 実開昭53−115091(JP,U)
【文献】 特開2013−160579(JP,A)
【文献】 米国特許第5942893(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/72−27/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の検査面上にそれぞれ配置される複数のギャップを形成して、前記複数の検査面を介し少なくとも1つのループ状の磁気回路を形成する磁性体と、
前記磁性体に巻き付けられた励磁コイルと、
前記複数のギャップにそれぞれ配置された複数の検出コイルと、
前記複数のギャップにそれぞれ生じる磁束を、対応する検査面側に偏向する少なくとも1つの非磁性かつ導電性の磁束偏向板と、を備えたことを特徴とする渦電流探傷プローブ。
【請求項2】
請求項1記載の渦電流探傷プローブにおいて、
前記磁束偏向板は、前記検出面との間で前記検出コイルが介在するように配置されたことを特徴とする渦電流探傷プローブ。
【請求項3】
請求項2記載の渦電流探傷プローブにおいて、
前記磁束偏向板は、前記ギャップの間隔方向で前記検出コイルを挟むように対で設けられたことを特徴とする渦電流探傷プローブ。
【請求項4】
請求項1記載の渦電流探傷プローブにおいて、
前記磁束偏向板は、前記ギャップの間隔方向で前記検出コイルを挟むように対で設けられたことを特徴とする渦電流探傷プローブ。
【請求項5】
請求項1記載の渦電流探傷プローブにおいて、
前記磁性体は、第1の検査面及びこれに対向する第2の検査面上にそれぞれ配置される複数のギャップを形成して、前記第1の検査面及び前記第2の検査面を介し少なくとも1つのループ状の磁気回路を形成することを特徴とする渦電流探傷プローブ。
【請求項6】
請求項1記載の渦電流探傷プローブにおいて、
前記磁性体は、
第1の検査面上に配置されるギャップを形成して、前記第1の検査面を介し第1のループ状の磁気回路を形成するとともに、第1の励磁コイルが巻き付けられた第1の磁性材と、
前記第1の検査面に対向する第2の検査面上に配置されるギャップを形成して、前記第2の検査面を介し第2のループ状の磁気回路を形成するとともに、第2の励磁コイルが巻き付けられた第2の磁性材と、で構成されており、
前記第1の磁性材と前記第2の磁性材の間に非磁性かつ導電性のシールド板を設けたことを特徴とする渦電流探傷プローブ。
【請求項7】
請求項1記載の渦電流探傷プローブにおいて、
前記磁性体は、第1の検査面、これに対向する第2の検査面、及び前記第1の検査面と前記第2の検査面の間で形成された第3の検査面上にそれぞれ配置される複数のギャップを形成して、前記第1の検査面、前記第2の検査面、及び前記第3の検査面を介し少なくとも1つのループ状の磁気回路を形成することを特徴とする渦電流探傷プローブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、渦電流探傷プローブに関する。
【背景技術】
【0002】
渦電流探傷方法では、導電性の被検査体に交流磁場を印加して、被検査体に渦電流を発生させる。そして、被検査体に欠陥が存在すると、その欠陥の大きさや形状に応じて渦電流の乱れが生じるので、この渦電流の乱れに起因する検出コイルのインピーダンスの変化を検出する。したがって、検出コイルのインピーダンスの変化から、欠陥の有無を評価するようになっている。
【0003】
ここで、例えば励磁コイルのみで交流磁場を発生させて、被検査体に印加する場合を想定する。このような場合、交流磁場が空間的に拡散し、渦電流が分散する。そのため、空間的な検出分解能が低く、微小な欠陥の検出が困難である。
【0004】
そこで、例えば、1つの検査面上に配置されるギャップを形成して、その検査面を介しループ状の磁気回路を形成する磁性体(コア)と、この磁性体に巻き付けられた励磁コイルと、ギャップに配置された検出コイルと、を備えた渦電流探傷プローブが提唱されている(例えば特許文献1参照)。このような渦電流探傷プローブを用いれば、ギャップにほぼ対応する領域に交流磁場を印加して、渦電流を集中的に発生させることが可能である。したがって、検出分解能が向上し、微小な欠陥を検出することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第03/091655号(図8図10参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来技術には、以下のような改善の余地がある。
【0007】
上記渦電流探傷プローブのギャップの近傍では、磁性体の一方側端部から検査面の表層部を経由して磁性体の他方側端部に到達する磁束だけでなく、磁性体の一方側端部から検査面の表層部を経由しないで(言い換えれば、ギャップを経由して)磁性体の他方側端部に到達する磁束も生じている。そのため、検査面の表層部に印加する磁界の大きさを向上させる点で改善の余地がある。すなわち、検査面の表層部で発生する渦電流の大きさを向上させて、検出感度を高める点で改善の余地がある。
【0008】
また、上記渦電流探傷プローブは、一つの検査面を検査対象としている。しかし、検査効率の向上のためには、複数の検査面を同時に検査することが望まれている。
【0009】
本発明の目的は、複数の検査面を同時に検査することができ、かつ、それらの検出感度を高めることができる渦電流探傷プローブを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、複数の検査面上にそれぞれ配置される複数のギャップを形成して、前記複数の検査面を介し少なくとも1つのループ状の磁気回路を形成する磁性体と、前記磁性体に巻き付けられた励磁コイルと、前記複数のギャップにそれぞれ配置された複数の検出コイルと、前記複数のギャップにそれぞれ生じる磁束を、対応する検査面側に偏向する少なくとも1つの非磁性かつ導電性の磁束偏向板と、を備える。
【0011】
このように本発明においては、磁性体は、複数の検査面上にそれぞれ配置される複数のギャップを形成して、複数の検査面を介し少なくとも1つのループ状の磁気回路を形成する。そして、複数のギャップに複数の検出コイルをそれぞれ設けるので、複数の検査面を同時に検査することができる。また、複数のギャップにそれぞれ生じる磁束を、対応する検査面側に偏向する少なくとも1つの磁束偏向板を設けるので、複数の検査面にそれぞれ印加する磁界の大きさを向上させることができる。これにより、複数の検査面でそれぞれ発生する渦電流の大きさを向上させて、検出感度を高めることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複数の検査面を同時に検査することができ、かつ、それらの検出感度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1の実施形態における渦電流探傷プローブの構造を表す側面図である。
図2】本発明の第1の実施形態における渦電流探傷プローブの構造を表す斜視図である。
図3】本発明の第1の実施形態における磁束偏向板の作用効果を説明するための部分拡大側面図である。
図4】本発明の第1の変形例における渦電流探傷プローブの構造を表す斜視図である。
図5】本発明の第2の変形例における渦電流探傷プローブの構造を表す側面図である。
図6】本発明の第2の実施形態における渦電流探傷プローブの構造を表す側面図である。
図7】本発明の第2の実施形態における磁束偏向板の作用効果を説明するための部分拡大側面図である。
図8】本発明の第3の実施形態における渦電流探傷プローブの構造を表す側面図である。
図9】本発明の第4の実施形態における渦電流探傷プローブの構造を表す側面図である。
図10】本発明の第5の実施形態における渦電流探傷プローブの構造を表す側面図である。
図11】本発明の第6の実施形態における渦電流探傷プローブの構造を表す側面図である。
図12】本発明の第7の実施形態における渦電流探傷プローブの構造を表す側面図である。
図13】本発明の第8の実施形態における渦電流探傷プローブの構造を表す側面図である。
図14】本発明の第9の実施形態における渦電流探傷プローブの構造を表す側面図である。
図15】本発明の第3の変形例における渦電流探傷プローブの構造を表す側面図である。
図16】本発明の第4の変形例における渦電流探傷プローブの構造を表す側面図である。
図17】本発明の第5の変形例における渦電流探傷プローブの構造を表す側面図である。
図18】本発明の第6の変形例における渦電流探傷プローブの構造を表す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の第1の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0015】
図1は、本実施形態における渦電流探傷プローブの構造を表す側面図であり、図2は、斜視図である。図3は、本実施形態における磁束偏向板の作用効果を説明するための部分拡大側面図である。なお、図3においては、便宜上、検出コイルの図示を省略している。
【0016】
本実施形態の渦電流探傷プローブは、磁性体1及び励磁コイル2を有する励磁器3を備えている。
【0017】
磁性体1は、板部4A、板部4B、及びそれらの間で接続された板部4Cからなり、略H字形状(言い換えれば、2つの略C字形状を組合せた形状)に形成されている。これにより、検査面5A及びこれに対向する検査面5B上にそれぞれ配置されるギャップ6A,6Bを形成している。そして、検査面5Aを介し第1のループ状の磁気回路を形成し、検査面5Bを介し第2のループ状の磁気回路を形成するようになっている。
【0018】
励磁コイル2は、磁性体1の板部4Cに巻き付けられている。そして、励磁コイル2に交流電流を流すと、第1のループ状の磁気回路で磁束7Aが発生し、第2のループ状の磁気回路で磁束7Bが発生する。また、検査面5Aの表層部に交流磁界が印加されて渦電流8(図3参照)が発生し、検査面5Bの表層部に交流磁界が印加されて渦電流が発生するようになっている。
【0019】
ギャップ6A,6Bには、検出コイル9A,9Bがそれぞれ設けられている。検出コイル9Aは、その軸方向がギャップ6Aの間隔方向(図1中左右方向)に対してほぼ直交するように、かつ検査面5Aに対してほぼ直交するように配置されている。同様に、検出コイル9Bは、その軸方向がギャップ6Bの間隔方向(図1中左右方向)に対してほぼ直交するように、かつ検査面5Bに対してほぼ直交するように配置されている。
【0020】
そして、検査面5Aの表層部に欠陥が存在すると、その欠陥の大きさや形状に応じて渦電流8の乱れが生じ、この渦電流8の乱れを起因として検出コイル9Aに誘起電圧が生じる。また、検査面5Bの表層部に欠陥が存在すると、その欠陥の大きさや形状に応じて渦電流の乱れが生じ、この渦電流の乱れを起因として検出コイル9Bに誘起電圧が生じる。そして、検出コイル9Aの電圧及び検出コイル9Bの電圧を測定器(図示せず)で測定して、検査面5Aの表層部における欠陥の有無を評価するとともに、検査面5Bの表層部における欠陥の有無を評価する。したがって、検査面5A,5Bを同時に検査することができる。
【0021】
また、ギャップ6A,6Bには、非磁性かつ導電性の(詳細には、例えば銅製又はアルミ製の)磁束偏向板10A,10Bがそれぞれ設けられている。なお、磁束偏向板10A,10B、検出コイル9A,9B、及び励磁器3の間には、樹脂(図示せず)が充填されている。
【0022】
磁束偏向板10Aは、検査面5Aとの間で検出コイル9Aが介在するように配置されている。また、磁束偏向板10Aは、その最も広い面がギャップ6Aの間隔方向に対してほぼ直交し、かつ検査面5Aに対してほぼ直交するようになっている。そして、図3で示すように、ギャップ6Aに生じる磁場が磁束偏向板10Aに作用して、磁束偏向板10Aに渦電流11が生じる。その作用により、ギャップ6Aに生じる磁束7Cが検査面5A側に偏向するようになっている。したがって、磁束偏向板10Aを設けない場合と比べ、検査面5Aの表層部に印加する磁界の大きさを向上させることができる。これにより、検査面5Aの表層部で発生する渦電流8の大きさを向上させて、検出感度を高めることができる。
【0023】
同様に、磁束偏向板10Bは、検査面5Bとの間で検出コイル9Bが介在するように配置されている。また、磁束偏向板10Bは、その最も広い面がギャップ6Bの間隔方向に対してほぼ直交し、かつ検査面5Bに対してほぼ直交するようになっている。そして、ギャップ6Bに生じる磁場が磁束偏向板10Bに作用して、磁束偏向板10Bに渦電流が生じる。その作用により、ギャップ6Bに生じる磁束が検査面5B側に偏向するようになっている。したがって、磁束偏向板10Bを設けない場合と比べ、検査面5Bの表層部に印加する磁界の大きさを向上させることができる。これにより、検査面5Bの表層部で発生する渦電流の大きさを向上させて、検出感度を高めることができる。
【0024】
以上のように本実施形態においては、検査面5A,5Bを同時に検査することができ、かつ、それらの検出感度を高めることができる。また、本実施形態では、下記の効果も得ることができる。
【0025】
磁束偏向板10Aは、検出コイル9Aの軸線に沿って配置されている。これにより、検査面5Aの表層部に欠陥がなければ、ギャップ6Aの間隔方向の一方側における磁束のコイル軸方向成分(図1中上下方向の成分)とギャップ6Aの間隔方向の他方側における磁束のコイル軸方向成分が打消し合うので、検出コイル9Aに誘起電圧が生じない。そのため、検査面5Aの表層部に欠陥がなければ、検出コイル9Aと検査面5Aとの間隔(リフトオフ)が変化しても、検出コイル9Aに誘起電圧が生じない。したがって、ノイズを抑制することができる。
【0026】
同様に、磁束偏向板10Bは、検出コイル9Bの軸線に沿って配置されている。これにより、検査面5Bの表層部に欠陥がなければ、ギャップ6Bの間隔方向の一方側における磁束のコイル軸方向成分(図1中上下方向の成分)とギャップ6Bの間隔方向の他方側における磁束のコイル軸方向成分が打消し合うので、検出コイル9Bに誘起電圧が生じない。そのため、検査面5Bの表層部に欠陥がなければ、検出コイル9Bと検査面5Bとの間隔(リフトオフ)が変化しても、検出コイル9Bに誘起電圧が生じない。したがって、ノイズを抑制することができる。
【0027】
なお、上記第1の実施形態においては、第1の検査面5A及びこれに対向する第2の検査面5Bを検査対象とする構成を例にとって説明したが、これに限られず、本発明の技術思想及び趣旨を逸脱しない範囲内で変形が可能である(後述する第2、第3、及び第7〜第9の実施形態も同様)。すなわち、例えば互いに対向しない2つの検査面を検査対象とする構成としてもよい。
【0028】
また、例えば3つ以上の検査面を検査対象とする構成としてもよい。具体的には、例えば図4で示す第1の変形例のように、磁性体1Aは、板部4A、板部4B、及びそれらの間で接続された円柱部4Dで構成され、励磁コイル2は、磁性体1Aの円柱部4Dに巻付けられてもよい。このような構造により、多数のギャップを周方向に配置して、多数のループ状の磁気回路を形成している。そして、例えば第1の検査面(図示せず)、これに対向する第2の検査面(図示せず)、及び第1の検査面と第2の検査面の間で形成された第3の検査面(図示せず)における渦電流の乱れをそれぞれ検出するための検出コイル9A,9B,9Cを設けている。これにより、3つの検査面を同時に検査することができる。
【0029】
そして、磁性体1Aの円柱部4Dの外周側に、非磁性かつ導電性の磁束偏向板10Cを設けている。円環状の磁束偏向板10Cは、第1の検査面との間で検出コイル9Aが介在し、第2の検査面との間で検出コイル9Bが介在し、第3の検出面との間で検出コイル9Cが介在するように配置されている。また、磁束偏向板10Cは、その最も広い面がギャップの間隔方向に対してほぼ直交するように、かつ第1の検査面、第2の検査面、及び第3の検査面に対してほぼ直交するようになっている。そして、ギャップに生じる磁場が磁束偏向板10Cに作用して、磁束偏向板10Cに渦電流が生じる。その作用により、ギャップに生じる磁束が磁束偏向板10Cの外周側に偏向するようになっている。すなわち、ギャップに生じる磁束が第1の検査面側(図4中下側)、第2の検査面側(図4中上側)、及び第3の検査面側(図4中左側)に偏向するようになっている。したがって、磁束偏向板10Cを設けない場合と比べ、第1の検査面の表層部、第2の検査面の表層部、及び第3の検査面の表層部に印加する磁界の大きさを向上させることができる。これにより、第1の検査面の表層部、第2の検査面の表層部、及び第3の検査面の表層部で発生する渦電流の大きさを向上させて、検出感度を高めることができる。
【0030】
なお、上記第1の実施形態においては、検出コイルの軸方向がギャップの間隔方向に対してほぼ直交するように、かつ検査面に対してほぼ直交するように配置された場合を例にとって説明したが、これに限られず、本発明の技術思想及び趣旨を逸脱しない範囲内で変形が可能である(上述した第1の変形例や、後述する第2〜第9の実施形態並びに第3〜第6の変形例も同様)。すなわち、例えば図5で示す第2の変形例のように、検出コイル9Dの軸方向がギャップ6Aの間隔方向に対してほぼ直交するように、かつ検査面5Aに対してほぼ平行となるように配置されてもよい。同様に、検出コイル9Eの軸方向がギャップ6Bの間隔方向に対してほぼ直交するように、かつ検査面5Bに対してほぼ平行となるように配置されてもよい。このような変形例においても、上記第1の実施形態と同様、検査面5A,5Bを同時に検査することができ、かつ、それらの検出感度を高めることができる。また、本変形例では、下記の効果も得ることができる。
【0031】
検査面5Aの表層部に欠陥がなければ、ギャップ6Aの近傍で生じる磁束のコイル軸方向成分(図5中紙面に対して垂直方向の成分)がほぼ存在しないので、検出コイル9Dに誘起電圧が生じない。そのため、検査面5Aの表層部に欠陥がなければ、検出コイル9Dと検査面5Aとの間隔(リフトオフ)が変化しても、検出コイル9Dに誘起電圧が生じない。したがって、ノイズを抑制することができる。
【0032】
同様に、検査面5Bの表層部に欠陥がなければ、ギャップ6Bの近傍で生じる磁束のコイル軸方向成分(図5中紙面に対して垂直方向の成分)がほぼ存在しないので、検出コイル9Eに誘起電圧が生じない。そのため、検査面5Bの表層部に欠陥がなければ、検出コイル9Eと検査面5Bとの間隔(リフトオフ)が変化しても、検出コイル9Eに誘起電圧が生じない。したがって、ノイズを抑制することができる。
【0033】
本発明の第2の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。なお、本実施形態において、上記第1の実施形態と同等の部分は同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0034】
図6は、本実施形態における渦電流探傷プローブの構造を表す側面図である。図7は、本実施形態における磁束偏向板の作用効果を説明するための部分拡大側面図である。なお、図7においては、便宜上、検出コイルの図示を省略している。
【0035】
本実施形態では、ギャップ6Aには、非磁性かつ導電性の磁束偏向板10D,10Eが設けられている。磁束偏向板10D,10Eは、ギャップ6Aの間隔方向で検出コイル9Aを挟むように配置されている。詳細には、検出コイル9Aの軸線を中心として対称となるように配置されている。また、磁束偏向板10D,10Eは、それらの最も広い面がギャップ6Aの間隔方向に対してほぼ直交し、かつ検査面5Aに対してほぼ直交するようになっている。そして、図7で示すように、ギャップ6Aに生じる磁場が磁束偏向板10D,10Eに作用して、磁束偏向板10D,10Eに渦電流11A,11Bが生じる。その作用により、ギャップ6Aに生じる磁束7Dが検査面5A側に偏向するようになっている。したがって、磁束偏向板10D,10Eを設けない場合と比べ、検査面5Aの表層部に印加する磁界の大きさを向上させることができる。これにより、検査面5Aの表層部で発生する渦電流8Aの大きさを向上させて、検出感度を高めることができる。
【0036】
同様に、ギャップ6Bには、非磁性かつ導電性の磁束偏向板10F,10Gが設けられている。磁束偏向板10F,10Gは、ギャップ6Bの間隔方向で検出コイル9Bを挟むように配置されている。詳細には、検出コイル9Bの軸線を中心として対称となるように配置されている。また、磁束偏向板10F,10Gは、それらの最も広い面がギャップ6Bの間隔方向に対してほぼ直交し、かつ検査面5Bに対してほぼ直交するようになっている。そして、ギャップ6Bに生じる磁場が磁束偏向板10F,10Gに作用して、磁束偏向板10F,10Gに渦電流が生じる。その作用により、ギャップ6Bに生じる磁束が検査面5B側に偏向するようになっている。したがって、磁束偏向板10F,10Gを設けない場合と比べ、検査面5Bの表層部に印加する磁界の大きさを向上させることができる。これにより、検査面5Bの表層部で発生する渦電流の大きさを向上させて、検出感度を高めることができる。
【0037】
このように本実施形態においても、検査面5A,5Bを同時に検査することができ、かつ、それらの検出感度を高めることができる。
【0038】
本発明の第3の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。本実施形態は、上記第1の実施形態と上記第2の実施形態を組合せたものである。なお、本実施形態において、上記第1及び第2の実施形態と同等の部分は同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0039】
図8は、本実施形態における渦電流探傷プローブの構造を表す側面図である。
【0040】
本実施形態では、ギャップ6Aには、磁束偏向板10A,10D,10Eが設けられている。ギャップ6Bには、磁束偏向板10B,10F,10Gが設けられている。
【0041】
以上のように構成された本実施形態においても、検査面5A,5Bを同時に検査することができ、かつ、それらの検出感度を高めることができる。
【0042】
本発明の第4の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。なお、本実施形態において、上記第1の実施形態と同等の部分は同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0043】
図9は、本実施形態における渦電流探傷プローブの構造を表す側面図である。
【0044】
本実施形態では、磁性体1Bは、略C字形状の磁性材12A,12Bで構成されている。磁性材12Aは、第1の検査面5A上に配置されるギャップ6Aを形成して、第1の検査面5Aを介し第1のループ状の磁気回路を形成している。磁性材12Bは、第2の検査面5B上に配置されるギャップ6Bを形成して、第2の検査面5Bを介し第2のループ状の磁気回路を形成している。
【0045】
磁性材12Aの中央部には励磁コイル2Aが巻き付けられ、磁性材12Bの中央部には励磁コイル2Bが巻き付けられている。そして、励磁コイル2A,2Bに交流電流を流すと、第1のループ状の磁気回路で磁束7Eが発生し、第2のループ状の磁気回路で磁束7Fが発生する。また、検査面5Aの表層部に交流磁界が印加されて渦電流が発生し、検査面5Bの表層部に交流磁界が印加されて渦電流が発生するようになっている。
【0046】
磁性材12Aと磁性材12Bの間には、非磁性かつ導電性の(詳細には、例えば銅製又はアルミ製の)シールド板13が設けられている。これにより、磁性材12A側の交流磁界と磁性材12B側の交流磁界は、互いに影響を及ぼさないようになっている。
【0047】
ギャップ6A,6Bには、検出コイル9A,9Bがそれぞれ設けられている。
【0048】
また、本実施形態では、上記第1の実施形態同様、ギャップ6A,6Bには、磁束偏向板10A,10Bがそれぞれ設けられている。
【0049】
以上のように構成された本実施形態においても、検査面5A,5Bを同時に検査することができ、かつ、それらの検出感度を高めることができる。
【0050】
本発明の第5の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。なお、本実施形態において、上記第2及び第4の実施形態と同等の部分は同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0051】
図10は、本実施形態における渦電流探傷プローブの構造を表す側面図である。
【0052】
本実施形態では、上記第4の実施形態と同様、磁性体1Bは、略C字形状の磁性材12A,12Bで構成されており、磁性材12A,12Bには励磁コイル2A,2Bが巻き付けられている。磁性材12Aと磁性材12Bの間には、シールド板13が設けられている。ギャップ6A,6Bには、検出コイル9A,9Bがそれぞれ設けられている。
【0053】
また、本実施形態では、上記第2の実施形態と同様、ギャップ6Aには磁束偏向板10D,10Eが設けられ、ギャップ6Bには磁束偏向板10F,10Gが設けられている。
【0054】
以上のように構成された本実施形態においても、検査面5A,5Bを同時に検査することができ、かつ、それらの検出感度を高めることができる。
【0055】
本発明の第6の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。なお、本実施形態において、上記第3及び第4の実施形態と同等の部分は同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0056】
図11は、本実施形態における渦電流探傷プローブの構造を表す側面図である。
【0057】
本実施形態では、上記第4の実施形態と同様、磁性体1Bは、略C字形状の磁性材12A,12Bで構成されており、磁性材12A,12Bには励磁コイル2A,2Bが巻き付けられている。磁性材12Aと磁性材12Bの間には、シールド板13が設けられている。ギャップ6A,6Bには、検出コイル9A,9Bがそれぞれ設けられている。
【0058】
また、本実施形態では、上記第3の実施形態と同様、ギャップ6Aには磁束偏向板10A,10D,10Eが設けられ、ギャップ6Bには磁束偏向板10B,10F,10Gが設けられている。
【0059】
以上のように構成された本実施形態においても、検査面5A,5Bを同時に検査することができ、かつ、それらの検出感度を高めることができる。
【0060】
本発明の第7の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。なお、本実施形態において、上記実施形態と同等の部分は同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0061】
図12は、本実施形態における渦電流探傷プローブの構造を表す側面図である。
【0062】
本実施形態では、磁性体1Cは、直方体状の磁性材12C,12Dで構成されている。磁性材12Cの一方側端部と磁性材12Dの一方側端部の間で、検査面5A上に配置されるギャップ6Aを形成し、磁性材12Cの他方側端部と磁性材12Dの他方側端部の間で、検査面5B上に配置されるギャップ6Bを形成している。そして、検査面5A,5Bを介し1つのループ状の磁気回路を形成するようになっている。
【0063】
磁性材12Cの中央部には励磁コイル2Cが巻き付けられ、磁性材12Dの中央部には励磁コイル2Dが巻き付けられている。そして、励磁コイル2C,2Dに交流電流を流すと、磁束7G,7Hが発生する。また、検査面5Aの表層部に交流磁界が印加されて渦電流が発生し、検査面5Bの表層部に交流磁界が印加されて渦電流が発生するようになっている。
【0064】
ギャップ6A,6Bには、検出コイル9A,9Bがそれぞれ設けられている。
【0065】
磁性材12Cと磁性材12Dの間には、非磁性かつ導電性の(詳細には、例えば銅製又はアルミ製の)磁束偏向板10Hが設けられている。磁束偏向板10Hは、検査面5Aとの間で検出コイル9Aが介在し、検査面5Bとの間で検出コイル9Bが介在するように配置されている。また、磁束偏向板10Hは、その最も広い面がギャップ6A,6Bの間隔方向に対してほぼ直交し、かつ検査面5A,5Bに対してほぼ直交するようになっている。そして、ギャップ6A,6Bに生じる磁場が磁束偏向板10Hに作用して、磁束偏向板10Hに渦電流が生じる。その作用により、ギャップ6Aに生じる磁束が検査面5A側に偏向し、ギャップ6Bに生じる磁束が検査面5B側に偏向するようになっている。
【0066】
以上のように構成された本実施形態においても、検査面5A,5Bを同時に検査することができ、かつ、それらの検出感度を高めることができる。
【0067】
本発明の第8の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。なお、本実施形態において、上記実施形態と同等の部分は同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0068】
図13は、本実施形態における渦電流探傷プローブの構造を表す側面図である。
【0069】
本実施形態では、上記第7の実施形態と同様、磁性体1Cは、直方体状の磁性材12C,12Dで構成されており、磁性材12C,12Dには励磁コイル2C,2Dが巻き付けられている。ギャップ6A,6Bには、検出コイル9A,9Bがそれぞれ設けられている。
【0070】
また、本実施形態では、上記第2の実施形態と同様、ギャップ6Aには磁束偏向板10D,10Eが設けられ、ギャップ6Bには磁束偏向板10F,10Gが設けられている。
【0071】
以上のように構成された本実施形態においても、検査面5A,5Bを同時に検査することができ、かつ、それらの検出感度を高めることができる。
【0072】
本発明の第9の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。なお、本実施形態において、上記実施形態と同等の部分は同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0073】
図14は、本実施形態における渦電流探傷プローブの構造を表す側面図である。
【0074】
本実施形態では、上記第7の実施形態と同様、磁性体1Cは、直方体状の磁性材12C,12Dで構成されており、磁性材12C,12Dには励磁コイル2C,2Dが巻き付けられている。ギャップ6A,6Bには、検出コイル9A,9Bがそれぞれ設けられている。
【0075】
また、本実施形態では、上記第7の実施形態と同様、磁性材12Cと磁性材12Dの間には、磁束偏向板10Hが設けられている。また、本実施形態では、上記第8の実施形態と同様、ギャップ6Aには磁束偏向板10D,10Eが設けられ、ギャップ6Bには磁束偏向板10F,10Gが設けられている。
【0076】
以上のように構成された本実施形態においても、検査面5A,5Bを同時に検査することができ、かつ、それらの検出感度を高めることができる。
【0077】
なお、上記第7〜第9の実施形態においては、磁性体1Cは、直方体状の磁性材12C,12Dで構成された場合を例にとって説明したが、これに限られず、本発明の技術思想及び趣旨を逸脱しない範囲内で変形が可能である。すなわち、例えば図15で示す第3の変形例のように、磁性体1Dは、略C字形状の磁性材12E,12Fで構成されて、ギャップ6A,6Bを狭めるようにしてもよい。なお、本変形例では、励磁コイル2C,2Dに交流電流を流すと、磁束7I,7Jが発生するようになっている。
【0078】
また、上記第1〜第9の実施形態並びに上記第1〜第3の変形例においては、1つの検査面上に1つの検出コイルを配置するように構成した場合を例にとって説明したが、これに限られず、本発明の技術思想及び趣旨を逸脱しない範囲内で変形が可能である。すなわち、例えば図16で示す第4の変形例のように、1つの検査面上に複数の検出コイルを配置するように構成してもよい。詳細には、ギャップ6Aに複数の検出コイル9Aを並列配置し、ギャップ6Bに複数の検出コイル9Bを並列配置してもよい。このような変形例では、探傷範囲を拡大して検査時間の短縮を図ることができる。
【0079】
また、上記第7〜第9の実施形態並びに上記第3及び第4の変形例においては、磁性体を構成する2つの磁性材の両方に励磁コイルが巻き付けられた場合を例にとって説明したが、これに限られず、本発明の技術思想及び趣旨を逸脱しない範囲内で変形が可能である。すなわち、例えば図17で示す第5の変形例のように、磁性体1Dを構成する磁性材12E,12Fのうちの一方に励磁コイル2Cが巻き付けられてもよい。
【0080】
さらに、例えば図18で示す第6の変形例のように、磁性体1Eは、略C字状の磁性材12Eと、略L字状の磁性材12G,12Hで構成されてもよい。このような変形例を詳述する。
【0081】
本変形例では、磁性材12Eの一方側端部と磁性材12Gの一方側端部の間で、検査面5A上に配置されるギャップ6Aを形成している。磁性材12Eの他方側端部と磁性材12Hの他方側端部の間で、検査面5B上に配置されるギャップ6Bを形成している。磁性材12Gの他方側端部と磁性材12Hの一方側端部の間で、検査面5C(詳細には、検査面5Aと検査面5Bの間で形成された検査面)上に配置されるギャップ6Cを形成している。そして、検査面5A,5B,5Cを介し1つのループ状の磁気回路を形成するようになっている。
【0082】
そして、磁性材12Eに巻き付けられた励磁コイル2Cに交流電流を流すと、磁束7K,7L,7Mが発生する。また、検査面5Aの表層部に交流磁界が印加されて渦電流が発生し、検査面5Bの表層部に交流磁界が印加されて渦電流が発生し、検査面5Cの表層部に交流磁界が印加されて渦電流が発生するようになっている。
【0083】
ギャップ6A,6B,6Cには、検出コイル9A,9B,9Fがそれぞれ設けられている。検出コイル9Aは、その軸方向がギャップ6Aの間隔方向(図18中左右方向)に対してほぼ直交するように、かつ検査面5Aに対してほぼ直交するように配置されている。同様に、検出コイル9Bは、その軸方向がギャップ6Bの間隔方向(図18中左右方向)に対してほぼ直交するように、かつ検査面5Bに対してほぼ直交するように配置されている。同様に、検出コイル9Cは、その軸方向がギャップ6Cの間隔方向(図18中上下方向)に対してほぼ直交するように、かつ検査面5Cに対してほぼ直交するように配置されている。
【0084】
そして、検査面5Aの表層部に欠陥が存在すると、その欠陥の大きさや形状に応じて渦電流の乱れが生じ、この渦電流の乱れを起因として検出コイル9Aに誘起電圧が生じる。また、検査面5Bの表層部に欠陥が存在すると、その欠陥の大きさや形状に応じて渦電流の乱れが生じ、この渦電流の乱れを起因として検出コイル9Bに誘起電圧が生じる。また、検査面5Cの表層部に欠陥が存在すると、その欠陥の大きさや形状に応じて渦電流の乱れが生じ、この渦電流の乱れを起因として検出コイル9Fに誘起電圧が生じる。そして、検出コイル9Aの電圧、検出コイル9Bの電圧、及び検出コイル9Fの電圧を測定器で測定して、検査面5Aの表層部における欠陥の有無を評価し、検査面5Bの表層部における欠陥の有無を評価し、検査面5Cの表層部における欠陥の有無を評価する。したがって、検査面5A,5B,5Cを同時に検査することができる。
【0085】
磁性材12E,12G,12Hの間には、非磁性かつ導電性の(詳細には、例えば銅製又はアルミ製の)磁束偏向板10Iが設けられている。略T字形状の磁束偏向板10Iは、検査面5Aとの間で検出コイル9Aが介在し、検査面5Bとの間で検出コイル9Bが介在し、検査面5Cとの間で検出コイル9Cが介在するように配置されている。そして、ギャップ6A,6B,6Cに生じる磁場が磁束偏向板10Iに作用して、磁束偏向板10Iに渦電流が生じる。その作用により、ギャップ6Aに生じる磁束が検査面5A側に偏向し、ギャップ6Bに生じる磁束が検査面5B側に偏向し、ギャップ6Cに生じる磁束が検査面5C側に偏向するようになっている。したがって、磁束偏向板10Iを設けない場合と比べ、検査面5Aの表層部、検査面5Bの表層部、及び検査面5Cの表層部に印加する磁界の大きさを向上させることができる。これにより、検査面5Aの表層部、検査面5Bの表層部、及び検査面5Cの表層部で発生する渦電流の大きさを向上させて、検出感度を高めることができる。
【符号の説明】
【0086】
1,1A〜1E 磁性体
2,2A〜2D 励磁コイル
5A〜5C 検査面
6A〜6C ギャップ
9A〜9F 検出コイル
10A〜10I 磁束偏向板
12A〜12H 磁性材
13 シールド板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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