(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書で使用するとき、モバイルデバイスは、マイクロプロセッサ、メモリー、統合動作センサを有するハンドヘルドデバイスを言う。
【0018】
本明細書で使用するとき、校正点は、スポーツ動作が開始する前の構えのポジションでのモバイルデバイスの時間および空間の位置を言う。
【0019】
本明細書で使用するとき、打点は、仮想物体とのインパクトの時間および空間の位置を言う。
【0020】
本明細書で使用するとき、放出点は、仮想物体の放出の時間および空間の位置を言う。
【0021】
ゴルフなどのスポーツでは、打点および放出点は、時間及び空間での同じ物理的位置である。しかしながら、他のスポーツでは、打点および放出点は、同じではない。例えば、ラクロスでは、長柄のスティックでボールを受け取り(打点でボールがラクロススティックに当たる)、次に、異なる位置の(放出点で)スティックから投げる。更に、いくつかのスポーツでは、打点が無くて放出点のみである。例えば、フライフィッシングでは、特定の最大値を超えると加重された釣り針が釣竿から放出され、釣竿に角運動量を付与す手首の軽い振りで放出点が生じる。
【0022】
図1は、アップルアイフォーン4Gs、アップルアイポットタッチ、またはサムソンギャラクシーIIIスマートフォーンなどのモバイルデバイス10の内部の動作センサにより測定された種々の回転運動を図示する。モバイルデバイス10のこのセンサは、X、Y、Zの加速度データ(各軸に沿ってGで表示)を捉える加速度計、ならびに、移動(各軸でのラジアン単位で表わす)中のモバイルデバイス10のピッチ、ロール、およびヨーを測定するジャイロスコープを含む。現在、動作センサは、モバイルデバイス10に搭載されたアプリケーションプログラムで利用できる(プッシュされたデータを引き寄せるか、所有するかのいづれかで)データを用いて、1秒当たり(100ヘルツ)約100倍でサンプリングする。本発明と併せて用いられる代表的なジャイロスコープは、STMicroelectronics,Inc.製のL3G4200Dジャイロスコープである。しかしながら、本発明は、現在利用可能な動作センサ技術に限定されないことを理解すべきである。
【0023】
図2は、スポーツ動作100を分析するシステムを図示している。図示の様に、スポーツ動作100を分析するシステムは、モバイルデバイス10のメモリーにローディングされたアプリケーションプログラムの含有が可能な分析エンジン50を含む。アップルアイフォーン用のかかるアプリケーションプログラムは、Apple Developer Suiteを使って開発できるが、それには、Xcode、Interface Builder、iPhone Simulator開発ツールの使用を含め、または、Objective Cでのカスタムプログラミングで行う。コアモーションフレームワークを、加速度計およびジャイロスコープデータの取得と測定のために使用できる。モバイルデバイス10が、アップルアイフォン以外である場合、別のプログラミング技術およびツールを使用し得ることを理解すべきである。例えば、モバイルデバイス10が、アンドロイドオペレーティングシステムを使っているスマートフォンである場合、JAVAプログラミング言語を用いてアンドロイドプラットフォーム上でアプリケーションの開発するためにツールおよびアプリケーションプログラミングインターフェイス(API)を提供する、適切なアンドロイドソフトウエア開発キット(SDK)を使用し得る。
【0024】
スポーツ動作100を分析するシステムの最大の特徴は、初期は、(1)使用者が、モバイルデバイス10を所定時間(例えば、ゴルフであれば少なくとも1秒間)静止して持つが、これはモバイルデバイス10の「ゼロ」校正を示し、スポーツ動作100の校正点である。プレイヤーの構えのポジションおよび校正点は、違うスポーツごとに異なる:ゴルフの場合、構えは、ゴルフスイングのアドレスのポジッションであり、野球の場合、仮想のティー上のボールの位置であり、テニスまたは卓球の場合、スイングする前の静止したラケットのポジションである。
【0025】
校正点は、モバイルデバイス10が、同じポジションで1秒間静止で持たれている特定に構えのポジションである必要はないことに留意する。テニスまたは卓球の場合、校正点は、プレイヤーがプレイの準備ができているポジションでの手が有るポイントから取得し、および/または、前のスポーツ動作100の終点または校正点として選択される。
【0026】
次に、使用者はスイング(2)をして、かつ、スイング(例えば、ポーリング)中に分析エンジン50で動作センサデータを取得する。続けて、分析エンジン50は、スイングタイプ(3)を検出する。スイングタイプは、モバイルデバイス10(例えば、プルダウンメニューリストから「ゴルフのフルスイング」、「チップ」、「パット」を選択する)のスクリーンから使用者による入力か、動作シグネチャ、および、もしかしたら、ゴルフにおけるクラブの選択などの他の因子(例えば、ウエッジの選択の場合、動作シグネチャは、使用者のスイング角度が30度でスイングタイプはチップであると示す)に基づく検出のいずれかである。次に、分析エンジン50は、仮想物体とのインパクトおよび/または放出点(4)を検出し、動作シグネチャを分析して動作変数(ゴルフの場合、スイングスピードおよびスイングの正確性)を計算し、かつ、重要なアウトプットパラメータ(ゴルフの場合、球飛距離)を測定する。最後に、スイングに関する情報は、モバイルデバイス10の上にグラフアウトプット(7)、または、分離したウエブ対応ディスプレイで表示し得る。別の方法としては、または加えて、スイングに関する情報は、Jefferyらに交付された参照により本明細書に組み込まれる同時係属中の米国特許出願61/641,825号、出願日2012年5月12日、「Web−Based Sports Game Platform With Mobile Phone Motion Sensor Input(モバイルフォーンセンサインプットを用いるウエブベースのゲームプラットフォーム)」などのゲームシステムへのインプットとして使用し得る。
【0027】
本発明のこれらおよび他の要素は、ゴルフスイングスポーツ動作の状況で、および、加えて、野球およびボーリングを含めた他のスポーツ動作に関して本発明の以下の詳細な説明から明らかになる。しかしながら、以下の実施例は、限定されないことを理解すべきである。
【0028】
ゴルフの実施例
図3は、ゴルフスイングをしている時のモバイルデバイス10のピッチおよびロール図示する。本発明の重要な要素は、アドレスの位置(ポジション1)でモバイルデバイス10を静かに持つことでの、モバイルデバイス10の校正である。次に、ピッチの動作シグネチャは、バックスイング(ポジション2)で増加し、ゴルフバックスイングのトップ(ポジション3)で局所最小値を示す。しかしながら、最小値(ポジション3)は、180度以上回転するピッチ動作センサのアーティファクトである。また、現実に、ピッチは、バックスイングのトップの位置で180度を超える最大値まで増加し続ける。しかしながら、センサの限定は、動作シグネチャを0から180度に制限する。ピッチデータは、図示したように、打点(ポジション5)まで、ダウンスイング(ポジション4)中は低下し続ける。
【0029】
精度分析
ポジション5の打点で、モバイルデバイス10は、ほぼ初期の校正点(ポジション1)に戻り、ゴルフでのこのポイントは、仮想のゴルフボールとのインパクトでの手の位置で、かつ、局所最小値あることに留意する。ゴルフスイングが高速の場合は、打点での最小値は、分解能限界のために校正ゼロに正確に戻らない。打点の測定が、極めて重要であるのは、このポイントでのモバイルデバイス10のロールがクラブのフックまたはスライスを決定するからである。他のスポーツでは、打点はバットまたはラケットのフックおよびスライス、および/または、投球あるいは投げるスポーツでの放出点を測定するのに不可欠である。打点から、ゴルフスイングは、ポイント(6)および(7)を経由する。
【0030】
要約すると、ピッチデータ、または、スクリーン(X軸)(
図1参照)に見る時にモバイルデバイス10を上部半分と下部半分に分ける軸の周りの回転は、ゴルファーがスイングをする際に最も明らかになるデータストリームである。インパクトは、開始校正点(ゴルファーが構えのポジションにある時のスイング前に取った、例えば、1秒の間で、全てのフォーンの位置/方向データを平均値で「ゼロ」と定義する)に近づく主要な最小値において見られる。具体的に見ると、ゴルファーのスイングで、ゴルファーがバックスイングに入るとピッチデータが取れ、インパクトを通過すると校正に戻るが、フォロースルーに入ると再度、上昇する。インパクトは、構えの位置、または、校正点に最も近いピッチポジションである。
【0031】
一実施態様では、ゴルフのフルスイングの打点は、クローラアルゴリズムを使用したピッチの第2の最小値になるように選択される。別の実施態様では、最小値は、Zの加速度でのスパイクに一致させて確認できる。ピッチに主要な最小値が1つ以上見られる時は、インパクトとして選択された最小値は、最大のZの加速度を有する点により測定される。この確認は、ゴルファーのバックスイングまたはフォロースルー回転があまりに大きくてジャイロスコープが完全にひっくり返り、校正の近くで余分の最小値が出てしまう場合には役立つ。
【0032】
一度、インパクトが見られると、スイングの正確性は、校正でのロールデータからインパクトでのロールデータを差し引いて測定される。ロールデータ、または、スクリーン(Y軸)に見る時にフォーンを左側半分と右側半分に分ける軸の周りの回転は、クラブフェイス上の「オープンおよびクローズ」フェイスポジションを示す。
図3は、ロールデータの拡大図を示す。負の差異を返すスイングは、使用者が回転過多であることを意味し、これは、インパクトでクローズフェイスを示し、その量により、ドローまたはフックになる。正の差異を返すスイングは、使用者が回転過少であることを意味し、これは、インパクトでオープンフェイスを示し、その量により、フェードまたはスライスになる。ほぼゼロを返すスイングは、クラブフェイスがインパクトで極めて近く校正方向に合っていることを意味し、ストレートの球飛を示す。
【0033】
速度分析
クラブヘッドの速度は、球飛距離の測定においてはゴルフの重要なパラメータである。ゴルフクラブの製造者には、特定のスイングスピードで動くクラブヘッドによるゴルフボール打球時の球飛距離を詳述した実験的な表がある。また、そのような表は、クラブタイプ(具体的には、ドライバー、5番アイアン、パター)、クラブヘッドのロフト、シャフトの硬さ、および球飛にインパクトを与える他の変数を考慮している。
【0034】
スイングスピードは、スポーツ動作のメカニズムがあるので複雑な計算になる。ゴルフクラブヘッドなどの仮想のスポーツ器具の速度計算に関心を有するが、センサで手の動作を測定することは挑戦的なことである。プロの運動選手が使う幅広い器具に対して、手および腕の動作がどの様に動作センサデータアウトプットに翻訳されるかを理解するために、適切にフィットしたスポーツ器具を使って実施した。ゴルフ分析を図示したが、本方法は、野球、テニス、ボウリング、バスケットボール、アメリカンフットボール、卓球を含める他のスポーツ動作に一般化できることを理解すべきである。
【0035】
図4は、(a)ゴルフのフルスイング、および、(b)ショートスイングであるチップのスイング動作要素を図示する。もしも、クラブが腕に沿って正確にスイングされると、モバイルデバイス速度Vは、以下の関係式でクラブヘッド速度(V
クラブヘッド)に関係する:
V
クラブヘッド =Vx(腕の長さ+クラブの長さ)/腕の長さ (1)
【0036】
しかしながら、エキスパートのゴルフプレイヤーは、手首を曲げ、かつ、前腕を回転してボールに伝わるクラブヘッドの速度を増加させる。これらの手首の曲げ、および、回転は、インパクトでのクラブヘッドの速度を飛躍的に増加させるので、式(1)は、多くのゴルファーのゴルフスイングスピードについて巨視的な過小評価の値と言える。しかしながら、パッティングは手首の曲げが無いので、パッティングには有効である。
【0037】
図5は、具体的に、ゴルフスイングにつてモバイルデバイス10の速度を計算する方法を図示している。例示のフルゴルフスイングの場合のモバイルデバイス10のピッチに関する動作シグネチャをグラフにした。スイングに関して標識したピッチデータでのポイント(4)、ポイント(5)、ポイント(6)に対応するスポーツ動作を下記に示した。初めに、スイングの最下点(ポイント5)でのピッチの局所最小値として定義するピッチデータでの打点を見出す。次に、60度の角度でピッチデータの前後を調べる。これらのデータポイントは、正しい手首の曲げであると仮定すれば、スイング(4)および(6)のポジションと一致する。一般的に、2つのポジションの間の通過には10分の1秒で、プレイヤーの腕の長さを考えると、120度のアーク長で割りインパクトでのモバイルデバイス10の速度を得るが、ここで、アークの半径は経過時間による腕の長さと等しい。これから、モバイルデバイス10の速度(手の速度)を得る。類似の方法をチッピングに使用できるが、しかし、短くなったスイング長のため、55度以下の短くなったアーク長で行う。
【0038】
高速ビデオクロッキングを用いて、ドライバークラブヘッドスピードは、手の速度の2.4倍程度に遅く(使用者が緩まない腕、前腕、手首でクラブをスイングした場合)なり、または、手の速度の6倍程度に速く(世界レベルのプロのゴルファーの場合)なることが確認された。2つのマルチプライヤの違いは、インパクトで90度のアーク長で腕を動かすのに要する時間において、ゴルファーがより大きなアーク長(180度に近いこともある)でクラブヘッドを動かすことを可能にする前腕の回転および手首の曲げの組合わせからである。選択したマルチプライヤは、手首の曲げおよび前腕の回転、それぞれについて、ZおよびY軸(ヨーおよびロール)上のインパクトからジャイロスコープの加速度により直接的に駆動される。
【0039】
アイフォン4および4
Sに関する詳細な実験から、ジャイロスコープは特に正確であることが分かったので、ロールデータは、約1/2度以内ではフックまたはスライスを予測するのに非常に好適である。しかしながら、アイフォン4からの加速度計データは「雑音のある」状態であり、さらには、特に、ゴルフスイング全体からみて正確ではないが、しかし、インパクトで前腕の回転率を測定するには良好に働く。この理由により、スイングを部分に分けて、そして、インパクトのモバイルデバイスの平均速度Vを計算する:
式中、D
2−D
1は、
図5のポイント(4)と(6)との間の距離であり;かつ、t
2−t
1は、距離D
2−D
1に要する時間である。打点での瞬間速度のより厳密な近似を可能にするので、より短い距離が好適である。しかしながら、このジャイロスコープの0.01秒分解能は、120度のアークを必要とする。将来、ジャイロスコープのサンプリング分解能が向上すれば30℃以下のアークが好ましい。
【0040】
式(2)は、フォーンの実際の瞬間速度の近似であり、かつ、上記の手首の曲げまたは前腕の回転を含んでいないので、ゴルフクラブヘッド速度の一次近似である高速ビデオカメラに関する詳細な実験から、各種のスイングタイプについて+/−10%の範囲のクラブヘッド速度計算より、これらの変数のマルチプライヤを見出すことができる。クラブヘッド速度から、理想的な状況で球飛距離を予測できる。
【0041】
本発明者は、加速度計からのデータ品質アウトプットが、将来、飛躍的にアイフォンまたはアンドロイドベースのフォーンのバージョンを向上させると考える。一実施態様では、インパクトでのモバイルデバイス10(十分に正確な加速度計を有する)の速度は、バックスイングのトップ(t
bs)からモバイルデバイスのゼロ(t
0)までの加速度を積分することにより計算する。
インパクトでの全モバイルデバイス速度:
【0042】
式中、t
0−t
bsは、ピッチデータから測定したバックスイングのトップでの最低値(t
bs)とインパクトでのスイングの最下点でのゼロt
0との間の時間である。積分は、4次Runge‐Kuttaアルゴリズムを使用してソフトウエアで計算する。例として、William H.Press et al、Numerical Recipes 3rd Edition:The Art of Scientific Computing、2007を参照。
【0043】
速度成分ベクトル(4)では、内部加速度計は、雑音のあるアウトプットなので、加速度計の現在のバージョンを用いて正確に計算するのは困難であり、従って、現在、平均法の方程式(2)を使用する。スイング動作のデータは、使用者に提示され、かつ、スイング一貫性向上の縦断的比較のために、アプリにローカルで使用者のアカウントにあるサーバで格納される。
【0044】
また、使用者は、クレードルを介してゴルフクラブにフォーンを装着し、かつ、距離および正確性について実際の練習スイングと計算されたスイングとを比較できる。フォーンがクラブに装着されている類似の分析を使用するがマルチプライヤは異なる、その理由は、主に、ユーザのゴルフクラブのスイングがフォーンより遅く、フォーンはゴルフクラブより軽いので使用者の手は必然的に速くなるからである。
【0045】
スイング分析の追加実施例として、ゴルフクラブのフルスイングよりもパッティングを考える。PING,Inc.は、以前からパッティング用のアイフォンアプリを製作している。しかしながら、この会社の先行技術発明は、3つの重大な限界がある:この方法では、(1)パターにアタッチメントを必要とし、(2)物理的なボールとのインパクトを必要とし、(3)(約20フィート以上の)ロングパットでは正確でない。
【0046】
本明細書に記載された方法は、これらのいかなる制限もない。上記に記載されたフルスイングと同じに、使用者はパターのようにモバイルデバイス10を手に持ち、そして、静止1秒後に振動する:これでフォーンは準備完了となる。次に、使用者は、想像の(仮想の)ボールをパッティングする。フルスイングと比較して、今は、フォーンからのピッチデータは、インパクトで最低値の相対的に滑らかな正弦波関数である。ピッチのストロークは、式2から計算した平均速度を用いてゴルフのフルスイングと同様に分析するが、式中、D
1およびD
2は、ボールとのインパクトした際のプールバックおよびストロークそれぞれの最大距離である。パターストロークの利点は、関数が滑らかで、速度がゴルフのフルスイングと比較して相対的に遅いことである。従って、また、式(3)および(4)は、インパクトでの瞬間速度を計算するのに使用し得る;パターの長さについて、ボールとのインパクト時のパターヘッド速度のスケールマルチプライヤを用いて、式(3)の積分、および、式(2)の平均速度の両方を使用する。式(1)参照。長いパターの場合の加速度法は、ますます精度が落ちていくが、平均速度法は、経験的測定から得られたマルチプライヤを用いて、より良い結果を提供する。
【0047】
パターヘッドのスピードからボールが転がる距離は、理想状態を仮定して計算できる。しかしながら、最も重要なことは、物理的なボールを打つことをしないでインパクトでのフォーンのロール角の差を定量化(フルスイングの場合のフックおよびスライスと同様)できることである。また、パットでの減速、または、左プルあるいは右プッシュ(これら最後の2つのエラーは、加速度の第2積分、およびロールデータから識別される)などのエラーについてジャイロスコープ加速度データを分析できる。さらに、スイング動作のデータは、使用者に提示され、かつ、パッティング一貫性向上の縦断的比較のために、アプリにローカルで、および、使用者のアカウントにあるサーバで格納される。
【0048】
マルチセンサインパクト検知
モバイルデバイス10の単一タイプの回転データ(ピッチ)を使用する仮想物体との「打点」を検出する技術は、上記に記載した。スポーツ動作シグネチャ(時間の関数としてのピッチデータ)は、スポーツ動作のタイプに特異な(例えば、ゴルフのフルスイング)特徴を分析する。スポーツ動作シグネチャのアプリオリ構造は、仮想の打点の時間および空間の位置を分離するのに必要であった。別の実施態様では、発明概念を拡張して、多くの異なるスポーツ動作シグネチャ、および、幅の広い動作について打点の検出ができるようにする。
【0049】
図6は、ゴルフスイングをしている時のモバイルデバイスのピッチおよびヨーを図示する。この場合、使用されたモバイルデバイスは、アップルアイフォーン4Gsである。前述のとおり、モバイルデバイス10の校正は、アドレスの位置(ポジション1)でモバイルデバイス10を静かに持つことで達成される。次に、ピッチの動作シグネチャは、バックスイング(ポジション2)で増加し、ゴルフバックスイングのトップ(ポジション3)で局所最小値を示す。しかしながら、最小値(ポジション3)は、180度以上回転するピッチ動作センサのアーティファクトである。先に述べた様に、現実に、ピッチは、バックスイングのトップの位置で180度を超える最大値まで増加し続ける。しかしながら、センサの限定は、動作シグネチャを0から180度に制限する。ピッチデータは、図示したように、打点(ポジション5)まで、ダウンスイング(ポジション4)中は低下し続ける。
【0050】
高速カメラを用いた詳細な実験から、モバイルデバイスは初期のアドレス位置(ポジション1)近くに戻り、仮想の打点(ポジション5)はピッチの局所最小値であることを見出した。打点(ポジション5)から、ゴルフスイングは、ポジション(6)および(7)経由する。
【0051】
打点の測定が、極めて重要であるのは、このポイントでのフォーンのロールが、クラブのフックまたはスライス、バットまたはラケット、および/または、投球あるいは投げるスポーツでの放出点を決定するからである。以前、発明者は、第2の最小値のピッチ動作シグネチャを検索するクローラソフトウエアを使用した。しかしながら、異なるスイングが異なる動作シグネチャを有するので、この方法は、普遍的に適用可能ではない。
【0052】
図7(a)ないし(c)は、3つの異なるタイプのゴルフスイングについてモバイルデバイスのピッチの変化を図示する。
図7(a)は、プロゴルファーのフルスイング、7(b)はゴルフチップ、および、7(c)はゴルフパットを示す。打点は、3つの全てで同じであるが、動作シグネチャは全く異なる。さらに、基本の動作シグネチャは異なり得る。具体的には、ゴルフをする高齢者では、バックスイングを短縮する傾向があることが分かったが、その結果、動作シグネチャはチップのように見える。
【0053】
従って、単一動作センサアウトプットの動作シグネチャの特異的特徴を検索するクローラ法は誤った結果を生む。具体的には、ゴルフの場合、プロゴルファーのフルスイングの動作シグネチャでは、ピッチデータの第2最低値に打点がある。しかしながら、
図7(b)および(c)には第2最小値が無い;従って、これらのタイプのショットで第2最小値を検索するとエラーが発生する。従って、打点を得るために単一タイプの回転測定に動作シグネチャデータを使う方法には限界がある。本実施態様では、この問題を克服するために、打点および/または放出点を計算する少なくとも2つの異なるタイプの回転測定(例えば、ゴルフのピッチおよびヨー)を使用する。
【0054】
図6を再度参照して、ゴルフスイングでモバイルデバイスのヨーを示す。ゴルフおよび野球のスイングでは、ヨーは打点(5)で急速に変化する。また、
図6は、ヨーの対応する微分、または、勾配を示す。これらのデータは、ヨーセンサデータの変化率を定量化する。変化の最大率は、ゴルフスイングの打点(5)に近いことに留意する。従って、ピッチおよびヨー動作センサデータを使用して、最大のヨー微分(ヨーの変化)を有するピッチ動作データの最小値を探索してインパクトゾーンを分離し得る。この方法は、全てのタイプのゴルフスイングに効果があり、かつ、
図7(b)および(c)に示したチップおよびパットの正確な打点検出を可能にする。
【0055】
この技術は、他のタイプのスポーツ動作に一般化できる。
図8は、テニスのフォアハンド、または、座りながら水平に打つゴルフスイングの例である。この例では、スイング軌道は、水平な平面にあり、前腕の回転および手首の曲げはインパクトの前後である。従って、動作シグネチャは、立って行うゴルフスイングとは異なり、かつ、ピッチについての
図8の打点が、今は、ピッチデータのゼロ交差である。ここでの課題は、正しいゼロ交差を検出することである。この例では、ヨーは打点近くの局所最大値である。従って、再度、2つのタイプの回転測定(ピッチおよびヨー)を使用して(
図8の「ピッチ」および「ヨー」参照)、この場合はピッチでの、単一センサからの打点をより正確に、かつ、少ない誤りで検出できる。テニスのスイングの場合(
図8の「ロール」参照)、打点でのロールデータは、テニスボールに与えられるフックまたはスライスのスピン計算に使用できる。
【0056】
野球およびボーリングの例
スポーツ動作が(1)移動する仮想物体と交差し、かつ、(2)放出点および打点が校正点とは異なる状態の、好ましい実施態様の図示するために、野球およびボーリングの例を提示する。
【0057】
野球のスイング動作センサデータを、
図9に図示する。野球のスイングの場合、校正点は、仮想のティー上のボールにモバイルデバイス(仮想のバット)を自然に並べて設けてるように親指を向けて;手は地面に対して垂直にして、両手をモバイルデバイス10を体の前にした構えのポジションである。
図9のデータは、プロの運動家のデータで、かつ、最適な野球のスイング動作の重要な特徴を示す。野球のスポーツ動作の場合、ヨーが重要な変数であり、その理由は、「バット」が、仮想のボールを打点でスイングされる時の、理想の手の位置は、手のひらが地上に対して平行になる状態であり、これにより、インパクトでモバイルデバイスのヨーに急激な変化が起こる。校正点でのヨーはゼロであり;従って、モバイルデバイスは、校正点に対して90度回転するが、打点はヨーがゼロを交差する時である(
図9の「ヨー」参照)。理想的な野球のスイングでは、バットのロールは打点の直ぐ後に起こる。(
図9の「ロール」参照)次に、打点でロール値が最大値である場合、手首は、バットをボールの上部に持っていく傾向があり、ゴロまたはボールに当たらない原因であり:これを、「スイングバブル」と言う。
【0058】
まとめると、モバイルデバイス10のピッチおよびヨーは、打点でのバット角度について洞察を与える。例えば、
図9のピッチデータは、打点でピッチは負であり、かつ、打点の後はゼロに戻らないので、手を打点に対して下り勾配させている、さらに、従って、仮想のボールが校正点の下、つまり、ストライクゾーンの下半分のゾーンに投げられると、バットが仮想のボールに接触していることを示す。
【0059】
Jefferyらの出願61/580,534号およびJefferyらの出願61/641,825号は、複数のディスプレイを使用する方法を開示したが、ここでは、仮想スポーツ指導および/またはゲームは、モバイルデバイスから分離し区別され、かつ、クラウドベースのソフトウエアエンジンを経由してモバイルデバイスおよびウエブ対応ディスプレイデバイスを使用して仮想スポーツ指導および/またはゲームのプレゼンテーションを調整する、ウエブ対応テレビなどのウエブ対応ディスプレイデバイスを使用してプレイできる。従って、アニメーション、レッスン、および他のビデオは物理的にモバイルデバイスから分離しているディスプレイデバイス上に提示し、かつ、例えば、モバイルデバイス動作センサアウトプットに応答する。
【0060】
野球の場合のこの実施態様の例として、(1)プレイヤーが、HTML5ウエブ対応テレビの前で立ち、そして、上記のモバイルデバイスをキャリブレートする。(2)次に、ウエブ対応テレビのスクリーンを、打者の前に直接、現れるようにピッチャーを配置すれば、投球するピッチャーの表示されたビデオまたはアニメーション(スプライト、シネマグラフ、他の視覚強化装置を含み得る)が見られる。クラウドベースのソフトウエアエンジン(3)は、ピッチの時間を同期して、かつ、プレイヤーのスイング(4)の時間と比較し、さらに、プレイヤー動作センサデータは、モバイルデバイスで分析され、クラウドベースのソフトウエアエンジンに送達される。
【0061】
仮想のボールがプレイヤーに行くまでの時間である時間t
飛球は、t
飛球=d/vから計算でき、式中、dはピッチャーからホームプレートまでの距離(例えば、大リーグでは60.5フィート、リトルリーグでは45フィート)であり、vはピッチャーのボールの速度である。大リーグ野球での球速が95mphと仮定すれば、飛球がピッチャーからホームプレートまでの間に要する時間は0.43秒である。つまり、t
飛球=0.43秒。クラウドベースのエンジンは、投球のタイムスタンプt
ピッチならびにt
飛球を打点のタイムスタンプt
打点と比較する。所定時間間隔内で一致する場合、
Δt=[t
打点−(t
ピッチ+t
飛球)] (5)
であり、これが、δ秒未満または等しい、例えば、0.15秒であれば、仮想のバットは仮想のボールを打撃したと仮定でき、そして、次に、(6)飛球のアニメーションは、クラウドベースのソフトウエアエンジンを経由してウエブ対応ディスプレイに表示できる。しかしながら、Δt>δの場合、仮想のバットは、仮想のボールを打ち損じたと仮定されスイングをストライクと見る。
【0062】
好ましくは、スポーツ動作分析および同期は、それぞれ0.1秒以下の忠実度の同期された、モバイルデバイス10、クラウドベースの(またはそうでなければネットワークの)ソフトウエアエンジン、および、ウエブ対応ディスプレイを使用する。現在のウエブブラウザは、信頼性に欠けるローカル時計のタイムスタンプであり、典型的には、内部時計に対するJavascript呼び出しは、正確に等し間隔で記録していない。好ましい実施態様では、ネットワーク・タイム・プロトコル(NTP)は、パケット交換の可変待ち時間データネットワークで、コンピュータシステムを同期のために使用できる。タイムオフセットを得るJavascript NTPクライアント(モバイルデバイス10およびウエブページ)およびサーバ(クラウドベースのソフトウエアエンジン)を使用する。これで、正確な外部時計に基づき初期の調整時間をセットする。次に、ウエブブラウザ依存性の最も信頼性の高い粒度でsetInterval()を使用してJavascriptのコールバックをスケジュールする。しかしながら、コールバックが信頼性のある間隔でコールされるとは仮定できず、代わりに、コールバック内からのcall new Date().getTime()を使用し、オフセットを適用して実際の調整時間を得てから、続けて、内挿して、ピッチt
ピッチおよび仮想の打点t
打点の実際の時間を見出す。次に、これらのデータは式(5)を計算に使用する。
【0063】
従って、本方法は、スポーツ動作が野球またはテニスボールなどの動いている仮想物体を打つ場合の使用に一般化でき、かつ、拡張でき、および、同様に、仮想のスポーツ物体(例えば、ボール、パック、シャトルコック)が動き、そして、スポーツ動作およびプレイヤーの仮想スポーツ用具により打たれ、投げられ、または、受けられるテニス、バトミントン、卓球、ラケットボール、ホッケー、バスケットボール、アメリカンフットボール、および他の全ての類似のスポーツに応用できる。
【0064】
最後の実施例では、放出点が校正点とも打点とも異なる場合での使用を考える。
図10は、ボウリングスポーツ動作でのモバイルデバイスセンサデータを図示する。この実施例では、校正点は、休めていて、リラックスしていて、プレイヤーの体側で伸ばし手のひらを前方に向けた状態の手である。第1に、ボウリング動作は、仮想のボーリングボールを顎の方向に動かし、両手で抱き、次に、数歩の間に下方にそして前方にスイングする。ピッチデータは、プレイヤーが歩き始める時に局所最小値で、モバイルデバイス10が顎の方向に動くに従い、モバイルデバイス10のピッチが増加することを図示する。次に、ピッチは、プレイヤーがダウンスイング動作中でダウンスイングすると減少するが、初期校正ゼロに対応するゼロのピッチがあり、続けて、仮想のボウリングボールの放出点である第2のゼロのピッチに向かう最後のダウンスイングへの動作推移がある。
【0065】
前記のゴルフスイングと同様に、仮想のボーリングボールの速度は、
図5または積分方程式(3)と同様に、式(2)および30と60度のピッチポイントの時間差から計算できる。放出点を通じてのロールデータの変化率、ロールの微分は、仮想のボウリングボールに与えられるスピン率に比例する。従って、放出点での仮想のボウリングボールの速度およびスピンを計算できる。
【0066】
この実施例では、放出点は、校正点からの空間で異なり、かつ、打点は放出点から更に離れることに留意する。この実施例では、打点は仮想の空間に生じる。野球に関する前記のクラウドベースのシステムを使用して、仮想のボーリングボールの速度およびスピン、さらには、仮想のボウリングボールレーンの長さを考えに入れて、ボウリングボールおよび時間と空間でシュミレーションしたピンでのインパクトを、ウエブTVなどのHTML5対応ウエブディスプレイ上の仮想のボーリングレーンに表示できる。従って、プレイヤーは、仮想のボウリング動作を実施して、ウエブ対応ディスプレイ上で仮想のボウリングボールがレーンを転がりピンに当たるのを見るのであるが、ここで、軌道とスピードは、速度から計算させ、スピンはモバイルデバイスのスイングのシグネチャから計算して、連続する動作のように時間でシンクロナイズさせる。
【0067】
補助装置のアタッチメント
これまでにおいて、本発明の詳細は、スポーツ動作をシュミレーションするために、使用者がモバイルデバイス10を自身の手に持ち、かつ、特定の方法(例えば、ゴルフクラブのようにモバイルデバイス10をスイング)でモバイルデバイス10を移動させるモバイルデバイス10の使用に限定してきた。しかしながら、上級のプレイヤーは、例えば、ゴルフ、野球、テニス、またはフィッシングなどのスポーツでスポーツ器具のグリップの握りぐあいを感じることが好ましいと感じている。ゴルフの場合、右利きのプレイヤーの場合、上級のプレイヤーは、体の中心から左手が約20度回転するようにクラブをグリップする。ゴルフクラブのハンドルをそのようにグリップすることで、クラブヘッドはインパクトでよりクローズ状態になり、これにより、左へ曲がる球飛を構築しゴルフボールのドローが易しくなる。
【0068】
さらに、スポーツ動作の分析に関連する本発明の方法は、スポーツ器具、または、スポーツ器具をシュミレーションする加重されたグリップに対するモバイルデバイスのアタッチメントを含むように一般化できる。
【0069】
一例として、
図11は、図示された実施様態では、加重のゴルフグリップであるが、しかし、代わりに物理的なゴルフクラブである補助装置30にモバイルデバイス10を安全に取り付けるモバイルデバイスホルダー20を示す。一実施態様では、補助装置30は、一端にゴルフグリップが有り、他端に6オンスの重さの24インチ長のスチールまたはグラファイトのゴルフクラブシャフトから成る。好ましくは、補助装置30全体では、(ゴルフクラブと同じ)約11オンスの重さであり、かつ、質量の中心は、典型的には、クラブヘッドに近い位置でシャフト長の約1/4−1/3に質量の中心を有する実際のゴルフクラブをシミュレーションするために、重さ18から約6−8インチにある。
図11は、例示目的であり、限定するものではない。野球、テニス、フライフィッシングなどの他のスポーツでは、異なる補助装置になるが、グリップ、ウエイト、質量の中心は、より正確に実際のスポーツ器具をシミュレーションを行い、および/または、モバイルデバイスを、ホルダー20を付けて実際のスポーツ器具に装着することができる。
【0070】
図12(a)を参照すると、モバイルデバイスホルダー20は、C字型カプラー24およびフレーム22を含めた二つの部品の組立品から成る。示したように、フレーム22は矩形で、かつ、一対の溝付き側面25および開放端27を含む。C字型カプラー24は、補助装置30の周囲にぴったりとフィットするように(示すように)構成される。示すように、フレーム22はホール23を含む。ホール23は、ホール23にフィットできるC字型カプラー24のカラーウイング26に適合するようにサイズを合わせ、フレーム22は、
図12(b)に示すように、補助装置25の長手方向軸に対して直角方向に位置決めする。次に、フレーム22を、90度回転して、
図12(c)で示すように、開放端27がクラブヘッドから離れた方向に向く。90度回転したら、カラーウイング26は、フレーム22の内側に成形されたポケット28に落ち着かせる。カラーウイング26が着座したら、モバイルデバイス10は、溝付き側面25が安全性の高い摩擦はめ合わせを有してフレームにスライドさせ得る。一実施態様では、フレーム22に使用した材料は、強化ポリカーボネート、最も好ましくは、モバイルデバイス10との強化された摩擦はめ合わせ用のポリカーボネートを付着させた成形シリコンを含む。しかしながら、ステインレススチール、アルミニウム、または、他の金属;ポリエチレン、アクリロニトリル−ブチル−スチレン(ABS)、ポリ塩化ビニル、およびナイロン、または、他のプラスチックなどの種々の他の材料は十分であることを理解すべきである。さらに、モバイルデバイス10を補助装置30に装着する特定の手法(例えば、モバイルデバイスホルダー20)は、例示目的であり、限定するものではないことを理解すべきである。
【0071】
上記した通り、本発明の需要な特徴は、ゴルフまたはテニスボールなどの物理的なスポーツ物体が必要とされないことである。しかしながら、プレイヤーは、種々の実施態様では、物理的なボールを打つモバイルデバイス10を補助装置に装着する。例として、詳しい実験は、つまり、本発明に記載の方法を検証するためにプロの選手が物理的なスポーツ物体を打つ実際のスポーツ器具に装着したモバイルデバイス10を用いて実施された。
【0072】
本発明は、上記に概説した種々の実施態様と共に記載されたが、多くの代替形態、修飾形態および変形形態が当事者に自明であることが明らかである。従って、上記に説明された本発明の例示的実施態様は、例示のみを目的とするもので、限定するものではない。本発明の精神と範囲から逸脱することなく様々な変更を為すことができる。