(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6095077
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】時刻同期を実現するための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
H04L 7/00 20060101AFI20170306BHJP
【FI】
H04L7/00 990
【請求項の数】18
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-64278(P2015-64278)
(22)【出願日】2015年3月26日
(62)【分割の表示】特願2013-550728(P2013-550728)の分割
【原出願日】2011年1月26日
(65)【公開番号】特開2015-136178(P2015-136178A)
(43)【公開日】2015年7月27日
【審査請求日】2015年3月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】504277388
【氏名又は名称】▲ホア▼▲ウェイ▼技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100146835
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 義文
(74)【代理人】
【識別番号】100140534
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 敬二
(72)【発明者】
【氏名】▲馮▼ 烈▲訓▼
【審査官】
白井 亮
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−206327(JP,A)
【文献】
特開2008−178086(JP,A)
【文献】
国際公開第2008/093600(WO,A1)
【文献】
国際公開第2009/118878(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2010/098433(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロック同期サーバにより、同期データを複数の基地局に送信するステップと、
前記クロック同期サーバにより、前記複数の基地局の各々が前記同期データにしたがって送信した同期応答データを受信して、前記複数の基地局と前記クロック同期サーバの間の時間同期を実装するステップと、
を含み、前記送信ステップは、前記クロック同期サーバにより、光回線終端装置(OLT)を介して前記同期データを前記複数の基地局に送信するステップを含む、時間同期のための方法。
【請求項2】
前記送信ステップは、前記クロック同期サーバにより、高性能集合住宅ユニット(MDU)を介して前記同期データを前記複数の基地局に送信するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記クロック同期サーバにより、衛星システムの同期参照信号を受信して、前記クロック同期サーバと前記衛星システムの間の時間同期を実装するステップをさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記複数の基地局は、ホームeNodeB、マイクロ基地局、ピコセル基地局、またはフェムトセル基地局を含む、請求項1乃至3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記クロック同期サーバはIEEE1588プロトコルを利用する、請求項1乃至4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1項に記載の方法をコンピュータに実行させる、プログラム。
【請求項7】
請求項1乃至5の何れか1項に記載の方法をコンピュータに実行させるプログラムを記録した、コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項8】
クロック同期サーバであって、
同期データを複数の基地局に送信するための手段と、
前記複数の基地局の各々が前記同期データにしたがって送信した同期応答データを受信して、前記複数の基地局と前記クロック同期サーバの間の時間同期を実装するための手段と、
を備え、同期データを複数の基地局に送信するための手段は、光回線終端装置(OLT)を介して前記同期データを前記複数の基地局に送信するための手段を備える、クロック同期サーバ。
【請求項9】
同期データを複数の基地局に送信するための手段は、高性能集合住宅ユニット(MDU)を介して前記同期データを前記複数の基地局に送信するための手段を備える、請求項8に記載のクロック同期サーバ。
【請求項10】
衛星システムの同期参照信号を受信して前記クロック同期サーバと前記衛星システムの間の時間同期を実装するための手段をさらに備える、請求項8または9に記載のクロック同期サーバ。
【請求項11】
前記複数の基地局は、ホームeNodeB、マイクロ基地局、ピコセル基地局、またはフェムトセル基地局を含む、請求項8乃至10の何れか1項に記載のクロック同期サーバ。
【請求項12】
前記クロック同期サーバはIEEE1588プロトコルを利用する、請求項8乃至11の何れか1項に記載のクロック同期サーバ。
【請求項13】
複数の基地局の各々により、クロック同期サーバにより送信された同期データを受信するステップと、
前記複数の基地局の各々により、前記同期データにしたがって同期応答データを前記クロック同期サーバに送信して前記複数の基地局と前記クロック同期サーバの間の時間同期を実装するステップと、
を含み、前記受信ステップは、複数の基地局の各々により、光回線終端装置(OLT)を介してクロック同期サーバにより送信された同期データを受信するステップを含む、時間同期のための方法。
【請求項14】
前記受信ステップは、複数の基地局の各々により、高性能集合住宅ユニット(MDU)を介してクロック同期サーバにより送信された同期データを受信するステップを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記複数の基地局は、ホームeNodeB、マイクロ基地局、ピコセル基地局、またはフェムトセル基地局を含む、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
複数の基地局を備えた基地局システムであって、
前記複数の基地局の各々は、
クロック同期サーバにより送信された同期データを受信し、
前記同期データにしたがって同期応答データを前記クロック同期サーバに送信して、前記複数の基地局と前記クロック同期サーバの間の時間同期を実装する
ように構成された、前記同期データは、光回線終端装置(OLT)を介してクロック同期サーバにより送信される、基地局システム。
【請求項17】
前記同期データは、高性能集合住宅ユニット(MDU)を介してクロック同期サーバにより送信される、請求項16に記載の基地局システム。
【請求項18】
前記複数の基地局は、ホームeNodeB、マイクロ基地局、ピコセル基地局、またはフェムトセル基地局を含む、請求項16または17に記載の基地局システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は通信の分野に関し、特に、通信システムにおいて時刻同期を実現するための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
モバイル通信システムでは、基地局はモバイル通信ネットワークの重要な構成要素の部分であり、基地局を利用して無線信号を送受信し、その結果、ユーザ機器(User Equipment、UE)が無線ネットワークにアクセスする。
【0003】
自宅の環境、職場、ショッピング・モールのような領域は、常に容易に、比較的貧弱なモバイル信号でカバーされる領域となる。貧弱なモバイル信号のカバー範囲の問題は、マイクロ(MICRO)基地局、ピコセル(PICO)基地局、およびフェムト・セル(Femto)基地局のような小型の基地局を導入することで解決することができる。例えば、Femto基地局を自宅に設置して、家族を単位とした屋内のカバー範囲を実現し、様々な種類のXDSL(digital subscriber lines)、ファイバ・トゥ・ザ・ホーム(Fiber To The Home、FTTH)または他のデジタル加入者アクセス・モードのうち何れか1つを使用してISP(Internet Service Provider)へアクセスする。オフィス・ビルまたはショッピング・モールのような適用環境では、要件に従って基地局の地域ネットワークを計画し設計することができる。例えば、MICRO基地局、PICO基地局、またはFemto基地局を使用して屋内または地域のホットスポットのカバー領域を実現することができ、FTTB光ネットワークを使用してコア・ネットワークへアクセスして、オフィス・ビルおよびショッピング・モールの地域ネットワークに対して無線モバイル信号のカバー範囲を提供することができる。しかし、WIMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)のような時分割多重(Time Division Duplexing、TDD)形式の通信システム、CDMA(Code Division Multiple Acces)、TD−SCDMA(Time Division Synchronous Code Division Multiple Access)、LTE(Long Term Evolution)を有する基地局に対しては、時刻同期を当該基地局に沿って実現する必要がある。基地局が時刻同期されていない場合は、ユーザに提供されるサービスの品質は大幅に影響を受けることとなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、(全地球測位システム、GPSシステム、北斗衛星システム、またはガリレオ・システムのような)衛星測位システムのクロック同期装置が基地局にインストールされて、衛星測位システムを用いた同期を実現している。しかし、GPSフィード・システムのレイアウトは多くの条件により制限される。自宅の環境、職場、またはショッピング・モールのような領域で使用される小型の基地局に対しては、基地局の各々に衛星測位システムのクロック装置をインストールすることは困難であり、一方で、当該システムのネットワーク・コストは大幅に増大する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の諸態様では、時刻同期を実現するための方法および通信システムを提供する。
【0006】
本発明の諸態様の技術的解決策は、以下のモードで実現される。
【0007】
1態様では、本発明は通信システムを提供する。当該通信システムは、少なくとも1つの基地局と、光回線終端装置(Optical Line Terminal、OLT)と、当該基地局および当該OLTの間で情報を送信するための光ファイバを備える。当該システムはさらにクロック同期サーバを備える。当該クロック同期サーバは、当該少なくとも1つの基地局および当該クロック同期サーバの間で時刻同期を実現するために、当該クロック同期サーバおよび当該少なくとも1つの基地局の間で同期データを送信するように構成される。
【0008】
別の態様では、本発明はさらに通信システムにおける時刻同期のための方法を提供する。当該システムは、光回線終端装置OLT、クロック同期サーバ、少なくとも1つの基地局、および、当該基地局と当該OLTの間で情報を送信するための光ファイバを備える。当該少なくとも1つの基地局と当該クロック同期サーバの間で時刻同期を実現するために、同期データ送信を当該クロック同期サーバと当該少なくとも1つの基地局の間で行う。
【0009】
本発明の諸態様で提供するシステムおよび方法では、基地局とクロック同期サーバの間で時刻同期を実現するために、同期データ送信を当該基地局とクロック同期サーバの間で行う。これは、容易に実現され低コストである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1の実施形態に従う通信システムの略構造図である。
【
図2】本発明の第2の実施形態に従う通信システムの略構造図である。
【
図3】本発明の第3の実施形態に従う通信システムの略構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の諸実施形態を以下で添付図面を参照して詳細に説明する。以下の説明では、本発明を限定するのではなく説明するために、具体的な諸実施形態、動作プロセスおよび技術のような幾つかの具体的な詳細を提供して本発明の完全な理解を容易にする。当該具体的な詳細に限定されない他の実施形態により本発明を実現できることは当業者には明らかである。例えば、本発明では説明のため例としてホーム・ノードB home Node B、Micro基地局、ピコセル(PICO)基地局、およびフェムト・セル(Femto)基地局のような小型の基地局を挙げたが、他の種類の基地局、または、小型の基地局と他の種類の基地局の混合ネットワーク・モードにも本発明が適用可能であることは当業者には理解される。さらに、例えば、主に時分割多重TDD形式を有する通信システムに基づいて本発明を説明しているが、時刻同期を基地局の間で実現する必要がある他の通信システムにも本発明が適用可能であることは当業者には理解される。
【0012】
幾つかの実施形態では、不必要な詳細のため本発明が不明確になるのを防ぐため、信号送信技術の公知な方法、インタフェースおよび装置は詳細には説明しない。さらに、それぞれの単一の機能モジュールが幾つかの特定の添付図面で図示されている。これらの機能を、以下のモード、即ち、単一のハードウェア回路、正しいプログラムを実行するデジタル・マクロプロセッサ、もしくは汎用コンピュータにより実行されるソフトウェア、ASIC(application−specific integrated circuit)および/または1つもしくは複数のDSP(digital signal processor)を用いて実現してもよいことは当業者には理解される。本発明の諸実施形態におけるリンクまたは接続は、物理的な接続に限定されず、論理リンクを含む。
【0013】
本発明の諸実施形態において提供される時刻同期のための方法および通信システムを
図1に示す。当該通信システムは、少なくとも1つの基地局11を備える。明確さのため、
図1では1つの基地局のみを示してある。基地局11は、オフィス・ビルをカバーするホーム・ノードB、Femto基地局、またはMICRO基地局およびPICO基地局のような、屋内空間をカバーするのに用いられる小型の基地局であってもよく、他の種類の基地局であってもよい。当該通信システムはさらに、光回線終端装置(Optical Line Terminal、 OLT)13を備える。OLT13は、基地局とネットワーク側の間に設置され、当該基地局と当該ネットワーク側の間のデータ送信を実現する。データ送信は、OLTと基地局の間で光ファイバを介して行われる。
【0014】
上記通信システムはさらにクロック同期サーバ12を備える。クロック同期サーバ12は、時刻同期を基地局と当該クロック同期サーバの間で実現するために、当該クロック同期サーバと基地局の間で同期データを送信するように構成されている。
【0015】
どのようにOLT13がデータ送信をOLT13とネットワーク側の間で実現するかは当業者には既知であることに留意されたい。ネットワーク側は、コア・ネットワークおよびIP(Internet Protocol)ネットワークであってもよい。例えば、本明細書では詳細に説明していないが、ファイバ・トゥ・ザ・ビルディング(Fiber To The Building、 FTTB)モードを介して、または、他のアクセス・モードを介して、OLTがネットワーク側にアクセスしてもよい。どのように基地局が同期データを取得した後に対応する構成処理を実施するかも当業者には既知であり、本明細書では詳細に説明しない。例えば、基地局は、同期データに従って同期応答データを出力し、当該データをクロック同期サーバに送信して、クロック同期サーバとの同期通信を実現する。
【0016】
本発明の実施形態で提供するシステムは、時刻同期を基地局とクロック同期サーバの間で実現するために、同期データを基地局とクロック同期サーバの間で送信する。これは容易に実現される。特に、基地局が屋内のカバー範囲で用いられるときは、基地局とネットワーク側はエンド・ツー・エンドの同期プロトコルをサポートする必要はない。
【0017】
例として、単独で設置された光ファイバまたはケーブルを介して、クロック同期サーバと基地局の間で同期データを送信してもよい。OLTと基地局の間の既存の光ファイバを介して、クロック同期サーバと基地局の間で同期データを送信してもよい。例えば、OLTと基地局の間でサービス・データを送信するための既存の光ファイバを用いて同期データを送信し、光ファイバの共有を実現し、ネットワーク・コストを節約する。
【0018】
例として、クロック同期サーバが衛星受信モジュールを備えてもよい。衛星受信モジュールは、衛星システムの同期参照信号を受信して、時間調節を実現することができる。基地局はクロック同期サーバとの時刻同期を介して衛星システムとの時刻同期を実現し、それにより、時刻同期の精度を改善する。衛星システムには、GPSシステム、北斗衛星システム、ガリレオ・システム、または全地球航法衛星システム(Global Navigation Satellite System、GLONASS)が含まれる。
【0019】
本発明の別の実施形態で提供される時刻同期を実装するための方法およびシステムを
図2に示す。当該通信システムは、1つまたは複数の基地局21(例えば、
図2では3つの基地局を示している)、クロック同期サーバ22、光回線終端装置(Optical Line Terminal、OLT)23、および情報を光回線終端装置22と基地局21の間で送信するための光ファイバを備える。
【0020】
上記基地局21は、ホーム・ノードB Home Node B、Femto基地局のような屋内空間をカバーするために用いる小型の基地局、または、Micro基地局およびPICO基地局のようなオフィス・ビルをカバーする小基地局であってもよく、他の種類の基地局であってもよい。当該基地局の効果と機能は当業者により理解され、ここでは詳細には説明しない。
【0021】
上記クロック同期サーバ22は、当該クロック同期サーバと1つまたは複数の基地局21の間で光ファイバを介して同期データを送信するように構成される。
【0022】
上記光回線終端装置OLT23は、ネットワーク側と基地局21の間に配置され、ネットワーク側とアクセス基地局の間に光ファイバ・アクセス・ネットワークのためのインタフェースを提供するように構成される。OLT23は、ネットワーク側のサービス・データとクロック同期サーバ22の同期データを受信し、光ファイバを介して当該サービス・データと当該同期データを基地局21に送信するように構成される。反対側のチャネルでは、基地局21がサービス・データと同期データを出力し光ファイバを介して当該データをOLT23に送信する。OLT23は、当該サービス・データと当該同期データをそれぞれネットワーク側とクロック同期サーバ22に送信する。例えば、クロック同期サーバの同期データを受信した後、基地局21は対応する構成処理を実施し、同期応答データを出力し、OLT23を介して当該データをクロック同期サーバに送信し、その結果、基地局とクロック同期サーバの間で時刻同期が維持される。1つの同一の光ファイバをアップリンク・チャネルとダウンリンク・チャネルの両方で使用してもよく、異なる光ファイバを異なるチャネルで使用してもよい。
【0023】
上記OLTは、FE(Fast Ethernet(登録商標))インタフェースのような、イーサネット(登録商標)・インタフェースを介してクロック同期サーバとの同期データを送信する。
【0024】
本発明で提供する実施形態では、クロック同期サーバを設置することにより時刻同期を実現し、ネットワーク構造は単純である。特に、基地局を屋内のカバー範囲で使用するときは、衛星測位システムを基地局付近にインストールすることなく時刻同期を実現することができるので、コストは低い。基地局は、時刻同期を基地局とクロック同期サーバの間で実現するために、基地局とクロック同期サーバの間の同期データ送信を介して構成処理を実施してもよい。複数の基地局が存在するときは、当該複数の基地局が全て、クロック同期サーバとの時刻同期を維持することができ、その結果、当該複数の基地局の間の時刻同期も実現することができる。したがって、ネットワーク側で同期プロトコルをサポートすることなく、複数の基地局の間での時刻同期を実現することができる。したがって、ネットワークに対する選択肢はより柔軟になり、ネットワーク・コストが削減される。
【0025】
例として、独自の光ファイバを用いてクロック同期サーバと基地局の間で同期データを送信してもよい。例えば、ネットワーク側と基地局の間でサービス・データを送信するための光ファイバを用いて同期データを送信する。即ち、同期データとサービス・データとは同一の光ファイバを介して送信され、それにより、光ファイバの共有を実現する。単独で同期送信線を構成する必要はなく、したがって、ネットワーク・コストが削減される。
【0026】
本発明の諸実施形態で説明する同一の光ファイバとは、同期データとサービス・データが同一の光ファイバ・チャネルを用いて送信されることを示すが、1つの光ファイバで形成された光ファイバ・チャネルには限定されず、複数の光ファイバにより形成された光ファイバ・チャネルであってもよいことに留意されたい。
【0027】
例として、ネットワーク・アーキテクチャを柔軟に構成するために、接続のための単独で設置された光ファイバまたはケーブルを介してクロック同期サーバと基地局の間で同期データを送信してもよい。
【0028】
例として、OLT23と基地局21の間に設置され、OLTから受信したデータに対して光分割処理を行って当該データを1方向のチャネル上で複数の基地局21に送信し、複数の基地局の信号を結合し結合された信号を別方向のチャネル上で光ファイバを介してOLT23に送信するように構成された光スプリッタ(Optical splitter)24を通信システムがさらに備えてもよい。
【0029】
例として、光ネットワーク・ユニット(optical network unit)(図面では図示せず)を基地局側に設置する。光ネットワーク・ユニットの効果と原理は当業者により理解され、ここでは詳細には説明しない。
【0030】
本発明で提供した実施形態では、クロック同期サーバを設置することにより、基地局、特にマイクロ基地局の間での時刻同期を実現する。コストは低く、サイズは小さく、インストールは容易である。クロック同期サーバを衛星システムに接続して同期信号を獲得してもよい。したがって、時間調節はより正確である。既存の光ファイバを使用して同期送信を実施してもよい。これは、光ファイバの共有を実現し、ネットワーク・コストを削減するものである。同期データのバックアップ機能を、複数のクロック同期サーバを設置することにより実現してもよい。
【0031】
本発明のさらに別の実施形態で提供される時刻同期を実現するための方法およびシステムを
図3に示す。当該システムは、1つまたは複数の基地局31(例えば、
図3では3つの基地局を示している)、クロック同期サーバ32、光回線終端装置OLT33、光スプリッタ34、および高性能集合住宅ユニット(Multi Dwelling Unit、MDU)35を備える。
【0032】
上記基地局31は、ホーム・ノードB、Femto基地局のような屋内空間をカバーするために用いる小型の基地局、または、Micro基地局およびPICO基地局のようなオフィス・ビルをカバーする小基地局であってもよく、他の種類の基地局であってもよい。当該基地局の効果と機能は当業者により理解され、ここでは詳細には説明しない。
【0033】
上記基地局31を、光ファイバまたはケーブルを介してMDUに接続してもよく、具体的に、高速イーサネット(登録商標)・インタフェース(Fast Ethernet(登録商標)、FE)、XDSL、FTTHのようなイーサネット(登録商標)・インタフェースのアクセス・モードを介してMDU35に接続してもよい。具体的には、どのように基地局がFEインタフェース、FTTH、またはXDSLのようなアクセス・モードを介してMDUにアクセスするかは当業者により理解され、ここでは詳細には説明しない。
【0034】
上記MDU35は、光ファイバを介して光スプリッタ34に接続され、サービス・データのような情報を光スプリッタ34により光ファイバを介して送信する。光スプリッタ34は、サービス・データのような情報をOLTにより光ファイバを介して送信する。
【0035】
上記クロック同期サーバ32はイーサネット(登録商標)・インタフェースを介してMDU35にアクセスし、同期データ送信がMDU35を介してクロック同期サーバ32と基地局31の間で行われ、その結果、基地局の各々とクロック同期サーバの間の時刻同期が維持される。イーサネット(登録商標)・インタフェースはFEインタフェースであってもよく、アクセス用の他のインタフェースであってもよい。
【0036】
本発明で提供する実施形態では、MDUにアクセスするためのクロック同期サーバを設置することにより同期データ送信が各基地局とクロック同期サーバの間で実現され、その結果、基地局の各々とクロック同期サーバの間の時刻同期が維持される。ネットワーク構造は単純であり、コストは低く、衛星測位システムを基地局付近にインストールせずに、特に屋内のカバー範囲で使用される複数の基地局の間で時刻同期を実現することができる。ネットワーク側で同期プロトコルをサポートすることなく、基地局の間の時刻同期を実現することができる。複数の基地局が存在するときは、当該複数の基地局が全て、クロック同期サーバとの時刻同期を維持することができ、その結果、当該複数の基地局の間の時刻同期も実現することができる。
【0037】
例として、上述の実施形態におけるOLT(13、23、および33)が、ファイバ・トゥ・ザ・ビルディング(Fiber To The Building、FTTB)のようなブロードバンド・アクセス・ネットワークを介してコア・ネットワークにアクセスしてもよく、他のアクセス・モードを介してアクセスしてもよい。さらに例えば、OLTをIP(Internet Protocol)ネットワークに接続してもよい。どのようにOLT(13、23、および33)がネットワーク側に接続されるかは当業者には理解され、先行技術のあらゆるモードを採用してもよいので、本明細書では詳細は説明しない。
【0038】
例として、OLT(13、23、および33)が、GEインタフェースのようなイーサネット(登録商標)・インタフェースを介してネットワーク側にサービス・データを送信してもよい。
【0039】
例として、クロック同期サーバ(12、22、および32)は、時間調節を実現し、さらに、基地局システムの時刻同期を実現し時刻同期の精度を高めるために、衛星システムの同期参照信号を受信できる衛星受信モジュールを備える。当該衛星システムには、GPSシステム、北斗衛星システム、Galileoシステム、または全地球航法衛星システム(Global Navigation Satellite System、GLONASS)が含まれる。
【0040】
例として、クロック同期サーバ(12、22、および32)が、IEEE1588プロトコルを採用したサーバ、または他の同期プロトコルを採用したサーバ、または他のクロック同期サーバであってもよい。
【0041】
例として、クロック同期サーバ(12、22、および32)がIEEE1588V2プロトコルを採用したサーバであってもよい。IEEE1588V2プロトコルを採用したサーバは衛星受信モジュールを備える。当該衛星受信モジュールは、衛星システムの同期参照信号を受信することができる。IEEE1588V2プロトコルを採用したサーバは、IEEE1588V2プロトコルの処理通信回路を備えてもよい。当該処理通信回路は、衛星システムから受信した同期参照信号に対して同期処理を行い、イーサネット(登録商標)・インタフェースを介して同期データを出力するように構成される。
【0042】
例として、1つまたは複数のクロック同期サーバ(12、22、および32)が存在してもよい。例えば、特定の領域内の全ての基地局が1つのクロック同期サーバを共有し、その結果、システム装置が単純でコストが低いということが可能であり、または、幾つかの基地局が1つまたは複数のクロック同期サーバを共有し、その結果、複数のクロック同期サーバが特定の領域内に存在し同期データのバックアップ機能を実現することも可能である。
【0043】
諸実施形態に従う方法のステップの全部または一部を、関連するハードウェアに指示するプログラムにより実現してもよいことは当業者に理解される。当該プログラムをコンピュータ読取可能記憶媒体に格納してもよい。当該プログラムを実行すると、本発明の諸実施形態に従う方法のステップが実施される。当該記憶媒体は、磁気ディスク、光ディスク、読取専用メモリ(Read−Only Memory、ROM)、またはランダム・アクセス・メモリ(Random Access Memory、RAM)であってもよい。
【0044】
本発明の目的、技術的解決策、および有利な効果を以上の具体的な諸実施形態を介して詳細に説明した。以上の説明は本発明の具体的な実施形態にすぎず本発明の保護範囲を限定しようとするものではないことは理解される。創造的な作業なしに当業者が行う任意の修正、均等な置換え、または改良は本発明の保護範囲に入る。
【符号の説明】
【0045】
11 基地局
12 クロック同期サーバ
13 光回線終端装置
34 光スプリッタ
35 高性能集合住宅ユニット