(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
加熱した溶融樹脂を吐出できる2箇所以上の液ノズルと、前記液ノズルから吐出される溶融樹脂に熱風を吹き出して繊維状に延伸する1箇所の熱風ノズルを備えるメルトブロー用口金であって、
前記液ノズルと前記熱風ノズルは、それぞれ一定の断面形状を有する柱状中空体であり、互いに近接し、
前記液ノズルの中心軸と前記熱風ノズルの中心軸は同一平面上に存在するとともに、前記液ノズルの中心軸の延長線と前記熱風ノズルの中心軸の延長線が前記口金下面の下方側において交差するように配置されており、
前記液ノズルが直径D1の円周上に配置され、前記熱風ノズルが、前記液ノズルが配置されている円と同じ中心を有する直径D2の円周上に配置され、D2はD1よりも小さいか又は大きいとともに、
前記熱風ノズルは、直径D2の円周方向全体にリング状の断面形状で配置することを特徴とするメルトブロー用口金。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、
図1から
図4を参照して、第1の実施形態のメルトブロー用口金20及び極細繊維製造装置について説明する。
図1に示すように、不織製造装置は、溶融樹脂を押し出す押出機200と、熱風を生成する熱風生成装置300と、押出機200から押し出された溶融樹脂を繊維状にして吐出する口金20とを備えている。
さらに、口金20の下方にはメッシュ状のベルトコンベアが設けられており、微細化された樹脂繊維が走行中のベルト上に集積されることで極細繊維が形成される。
【0011】
図2及び
図3に示すように、口金20の内部には溶融樹脂を吐出する液ノズル22が直径D
1Aを有する円周上に多数設けられている。また、多数の熱風ノズル24は、液ノズル22が配置されている円と同じ中心を有する直径D
2Aの円周上に多数配置されている。
ここで、液ノズル22と熱風ノズル24は、それぞれ一定の断面形状を有する柱状中空体であり、互いに近接して配置されている。さらに、
図4に示すように、液ノズル22の中心軸O
rと熱風ノズル24の中心軸O
gが同一平面上に存在するとともに、口金20において中心軸O
rが傾斜し、中心軸O
rの延長線と中心軸O
gの延長線が口金下面20aの下方側の点Xにおいて角度θ
1で交差するように構成されている。
これにより、熱風ノズル24から吹き出される熱風ガスが少ない量であっても、液ノズル22から吐出された溶融樹脂が熱風ノズル24から吹き出される熱風ガスにより延伸され微細な繊維が得られる。
【0012】
口金20の外形は、断面が必ずしも円形である必要はなく、楕円形、四角形や六角形などの多角形であっても良い。口金の加工のしやすさから、円形であることが好ましい。
また、図示していないが、口金20の外周部分には、口金20を押出機200のシリンダーに固定するために何箇所か穴加工が施されてもよい。
【0013】
ここで、液ノズル22は溶融樹脂を吐出できるものであれば良く、断面の形状は特に限定するものではないが、例えば、円形、楕円形、四角形や六角形などの多角形であることができる。均一な加工のしやすさから、円形であることが好ましい。
【0014】
また、液ノズル22の断面の大きさは溶融樹脂の種類や温度などにより適宜選択されるが、円形の場合、直径は0.1mmから1.0mmが好ましく、0.15mmから0.7mmがより好ましく、0.2mmから0.5mmがさらに好ましい。
なお、液ノズル22の断面の大きさは、必ずしもすべて同じとする必要はなく、繊維径に分布をもたせるため、上記範囲内で変えても良い。
【0015】
熱風ノズル24は熱風ガスを吹き出すことができるものであれば良く、断面の形状は特に限定するものではないが、例えば、円形、楕円形、四角形や六角形などの多角形や四角形などを湾曲させた形状であっても良い。
【0016】
また、熱風ノズル24の断面の大きさは溶融樹脂の種類や温度などにより適宜選択されるが、円形の場合、直径は0.2mmから2.5mmが好ましく、0.25mmから1.5mmがより好ましく、0.3mmから1mmがさらに好ましい。
【0017】
液ノズル22と熱風ノズル24は、互いに近接して配置されており、両者の口金下面20aにおける最短距離t
1が0.1mmから5mmが好ましく、1mmから4.5mmがより好ましく、2mmから4mmがさらに好ましい。0.1mm未満では、接近しすぎて加工が難しくなり、5mmを超えると熱風ガスによる溶融樹脂の延伸が不十分で微細な繊維が得られ難くなるためである。
なお、互いに隣接する液ノズル22同士の間隔は、近接する熱風ノズル24との最短距離t
1よりも大きいことが好ましい。
【0018】
図4において、中心軸O
rの延長線と中心軸O
gの延長線が成す角度θ
1は、0度から30度が好ましく、0度から25度がより好ましく、5度から20度がさらに好ましい。30度を超えると、熱風ガスによる溶融樹脂の延伸が不十分で微細な繊維が得られ難くなるためである。なお、角度θ
1が0度に近づくとともに、
図4に示す点Xと口金下面20aとの距離は大きくなるが、この場合でも熱風ガスによる溶融樹脂の延伸がなされ微細な繊維が得られる。
【0019】
図3及び
図4では、口金20において、液ノズル22を傾斜させている。代わりに熱風ノズル24を傾斜させても良いし、両方とも傾斜させても良い。ただし、これらの場合でも、中心軸O
rの延長線と中心軸O
gの延長線が成す角度θ
1は、30度以内が好ましい。
【0020】
また、
図3に示すように、口金20において、溶融樹脂の導入経路を直径D
1Aの円周付近の厚み方向に、一方、熱風ガスの導入経路を直径D
2Aの円周付近の厚み方向に、それぞれ分けて配置している。
このような配置をとることにより、溶融樹脂と熱風ガスのそれぞれの導入経路の切り分けが容易となり、口金の加工や小型化に有利となる。
【0021】
図5及び
図6を参照して、第2の実施形態のメルトブロー用口金30について説明する。
【0022】
メルトブロー用口金30の内部には、
図2と同じような配置で、溶融樹脂を吐出する液ノズル32と、熱風ガスを吹き出す熱風ノズル34が形成されている。
図5及び
図6に、互いに近接する液ノズル32と熱風ノズル34を示す。
ここで、熱風ノズル34は、口金下面30a近くにおいて、その一部がテーパー形状からなるテーパー部34aを有してことが、第一の実施形態のメルトブロー用口金20における熱風ノズル24と異なっている。
これにより、熱風ノズル34から吹き出される熱風ガスが少ない量であっても、液ノズル32から吐出された溶融樹脂が熱風ノズルのテーパー部34aに沿って吹き出す熱風ガスにより効果的に延伸され微細な繊維となる。
【0023】
なお、テーパー部34aは、熱風ノズル34の出口側の周囲全体に設ける必要はなく、少なくとも液ノズル32に最も近い側に設けることが好ましく、熱風ノズル34又は液ノズル32の断面が円形の場合は、どちらかの直径と同程度の幅を有することが好ましい。
さらに、
図5において、テーパー部34aにおいて、熱風ノズルの中心軸とテーパー方向の成す角度θ
2は、35度以内が好ましく、25度以内がより好ましく、15度以内がさらに好ましい。35度を超えると、熱風ガスによる溶融樹脂の延伸が不十分で微細な繊維が得られ難くなるためである。
また、
図5及び
図6において、テーパー形状34aは、口金下面30aにおいて、液ノズル32の出口とほぼ接するように設けているが、角度θ
2を小さくして液ノズル32の出口に近づけるように設けてもよい。
【0024】
図7及び
図8を参照して、第3の実施形態のメルトブロー用口金40について説明する。
【0025】
図7に示すように、口金40の内部には溶融樹脂を吐出する液ノズル42が直径D
1Bを有する円周上に多数設けられている。さらに、多数の熱風ノズル44は、液ノズル42が配置されている円と同じ中心を有する直径D
2Bの円周上にそれぞれの液ノズル42に近接して配置されている。ここで、直径D
2Bは直径D
1Bより小さくしている。
【0026】
そして、
図7及び
図8において、液ノズル42と熱風ノズル44は、それぞれ一定の断面
形状を有する柱状中空体であり、熱風ノズル44はおよそ長方形を直径D
2Bの円周上に沿うよう湾曲させた形状として11箇所配置しており、各々の熱風ノズル44はそれぞれ2本の液ノズル42と近接して配置している。
さらに、液ノズル42の中心軸P
rと熱風ノズル44の中心軸P
gが同一平面上に存在するとともに、中心軸P
rの延長線と中心軸P
gの延長線が口金下面40aの下方側の点Yにおいて角度θ
3で交差するように構成されてり、第1の実施形態によるメルトブロー用口金と同様である。
なお、熱風ノズル44の中心軸P
gは、それぞれの液ノズル42の中心軸P
rから熱風ノズル44を最短距離で結んだ直線と直径D
2Bの円周との交点を起点とし、
図8に示すように熱風ノズル44の断面の中心を通過する直線としている。
ちなみに、液ノズル42と熱風ノズル44を最短距離で結んだ直線の延長線は、
図7に示すように円の中心を通過していることがわかる。
【0027】
熱風ノズル44の断面の大きさは、口金の径方向の幅が0.15mmから2mmが好ましく、0.2mmから1.5mmが好ましく、0.2mmから1mmがさらに好ましく、口金の円周方向の長さは口金40の外形や熱風ノズル44の配置に合わせて、適宜選択することができる。
【0028】
これにより、それぞれの熱風ノズルから吹き出される熱風ガスが少ない量であっても、それぞれの液ノズル42から吐出された溶融樹脂が熱風ノズル44から吹き出された熱風ガスにより延伸され微細な繊維が多数得られるので生産性に優れている。
また、また、口金40において、溶融樹脂の導入経路を直径D
2Bの円周付近の厚み方向に、一方、熱風ガスの導入経路を直径D
2Bの円周付近の厚み方向に、分けて配置している。これにより、溶融樹脂と熱風ガスのそれぞれの導入経路の切り分けが容易となり、口金の加工や小型化に有利となる。
さらに、熱風ノズル44が細長い四角形を直径D
2Bの円周上に沿うよう湾曲した形状であるため、液ノズル42から吐出された微細な繊維が直径D
2Bの円周の内側に飛び込むことを効果的に防止でき安定的に紡糸する上で好ましい。
【0029】
図7では、各熱風ノズル44に対してそれぞれ2箇所の液ノズル42を近接させて配置している。口金40や熱風ノズル44の大きさに応じて、液ノズル44の数をさらに増やしてもよい。
【0030】
さらに、
図7では、熱風ノズル44に繋がる熱風導入口310bを側面部から中心部に設けているため、それと干渉する位置にある液ノズルと熱風ノズルを省略している。それを避けるため、熱風導入口310bを口金下面40aの反対面である口金上面に移しても良い。
なお、
図7において、熱風ノズル44の断面は、およそ長方形を直径D
2Bの円周上に沿うよう湾曲させた形状としたが、加工のしやすさなどからコーナー部に面取り加工を施しても良い。
図7及び
図8では、口金40において、液ノズル42を傾斜させている。代わりに熱風ノズル44を傾斜させても良いし、両方とも傾斜させても良い。ただし、これらの場合でも、中心軸P
rの延長線と中心軸P
gの延長線が成す角度θ
3は、30度以内が好ましい。
【0031】
以上述べてきた口金40では、直径D
2Bは直径D
1Bより小さい場合の構成である。
逆に、直径D
2Bが直径D
1Bより大きい場合でも、同じく微細な繊維からなる極細繊維を多数得ることができ、また、溶融樹脂と熱風ガスのそれぞれの導入経路の切り分けが容易であることなど同様である。
【0032】
図9及び
図10を参照して、第4の実施形態のメルトブロー用口金50について説明する。
【0033】
図9に示すように、口金50の内部には溶融樹脂を吐出する液ノズル52が直径D
1Cを有する円周上に多数設けられている。さらに、1箇所の熱風ノズル54は、液ノズル52が配置されている円と同じ中心を有する直径D
2Cの円周上にそれぞれの液ノズル52に近接して配置されている。ここで、直径D
2Cは直径D
1Cより小さくしている。
【0034】
図9及び
図10において、液ノズル52と熱風ノズル54は、それぞれ一定の断面形状を有する柱状中空体である。ここで、熱風ノズル54は、
図7に示す熱風ノズル44を円周方向に広げ円周全体に設けたものであり、リング状の断面形状を有する熱風ノズル54を1箇所配置しているとみることもできる。
さらに、液ノズル52の中心軸Q
rと熱風ノズル54の中心軸Q
gが同一平面上に存在するとともに、中心軸Q
rの延長線と中心軸Q
gの延長線が口金下面50aの下方側の点Zにおいて角度θ
4で交差するように構成されている。
なお、熱風ノズル54の中心軸Q
gは、それぞれの液ノズル52の中心軸Q
rから熱風ノズル54を最短距離で結んだ直線と直径D
2Cの円周との交点を起点とし、
図10に示すように熱風ノズル54の断面の中心を通過する直線としている。
ちなみに、液ノズル52と熱風ノズル54を最短距離で結んだ直線の延長線は、
図9に示すように円の中心を通過していることがわかる。
【0035】
これにより、それぞれの熱風ノズルから吹き出される熱風ガスが少ない量であっても、それぞれの液ノズル52から吐出された溶融樹脂が熱風ノズル54から吹き出された熱風ガスにより延伸され微細な繊維が多数得られるので生産性に優れている。
また、
図7に示す口金40に比較し、液ノズル52を設ける箇所を増やすことができる点で好ましい。さらに、液ノズル52から吐出された微細な繊維が直径D
2Cの円周の内側に飛び込むことを効果的に防止でき安定的に紡糸する上で好ましい。
【0036】
さらに、口金50は、熱風ノズル54を構成する口金部材56が口金本体から取り外しが可能なため、熱風ノズル54を加工する上で好ましい。なお、口金部材56は、スペーサーなどを介して口金本体に固定することができる。
【0037】
図9では、熱風ノズル54に繋がる熱風導入口320bを口金下面50aの反対面である口金上面に設けているが、
図7のように口金側面部に設けてもよい。その場合、
図7と同様に干渉する位置にある部分だけ熱風ノズル54を省略して短くすることができる。
図9及び
図10では、口金50において、液ノズル52を傾斜させている。代わりに熱風ノズル54を傾斜させても良いし、両方とも傾斜させても良い。ただし、これらの場合でも、中心軸Q
rの延長線と中心軸Q
gの延長線が成す角度θ
4は、30度以内が好ましい。
【0038】
以上述べてきた口金50では、直径D
2Cは直径D
1Cより小さい場合の構成である。
逆に、直径D
2Cが直径D
1Cより大きい場合でも、同じく微細な繊維からなる極細繊維を多数得ることができ、また、溶融樹脂と熱風ガスのそれぞれの導入経路の切り分けが容易であることなど同様である。
【0039】
図11は、
図7に示すメルトブロー用口金40を複数備えた極細繊維製造装置の一例である。
押出機から押し出された溶融樹脂は、液導入配管210aより液導入口210bを経て口金40に多数形成されている液ノズル42から繊維状に吐出される。一方、熱風生成装置から出された熱風ガスは、熱風導入配管310aより熱風導入口310bを経て口金40に多数形成されている熱風ノズル44より吹き出す。これにより、液ノズル42から吐出された樹脂繊維は延伸され微細化された極細繊維が得られる。
【0040】
また、
図11に示すように、口金40の下方には樹脂繊維を幅方向に挟みこむようにメッシュ状のベルトコンベアが設けられており、微細化された樹脂繊維が走行中のベルト上に集積されることで極細繊維が形成される。
【0041】
なお、
図11では口金40を幅方向に3台備えているが、生産性をアップさせるためより多数備えても良い。
また、複数の口金40に同種の樹脂材料からなる溶融樹脂を供給してもよい。一方、口金40ごとに種類や特性が異なる樹脂材料からなる溶融樹脂を供給することで、複合化した極細繊維とすることもできる。
【0042】
図12は、
図7に示すメルトブロー用口金40を複数備えた極細繊維製造装置の別の例である。押出機から押し出された溶融樹脂は、液導入配管210aより液導入口210bを経て口金40に多数形成されている液ノズル42から繊維状に吐出される。一方、熱風生成装置から出された熱風ガスは、熱風導入配管310aより熱風導入口310bを経て口金40に多数形成されている熱風ノズル44より吹き出す。これにより、液ノズル42から吐出された樹脂繊維は延伸され微細化された極細繊維が得られる。
【0043】
また、
図12に示すように、口金40の下方には樹脂繊維を厚さ方向に挟みこむようにメッシュ状のベルトコンベアが設けられており、微細化された樹脂繊維が走行中のベルト上に集積されることで極細繊維が形成される。
【0044】
なお、
図12では口金40を厚さ方向に3台備えているが、生産性をアップさせるためより多数備えても良いし、
図11のように幅方向に備えても良い。
また、複数の口金40に同種の樹脂材料からなる溶融樹脂を供給してもよい。一方、口金40ごとに種類や特性が異なる樹脂材料からなる溶融樹脂を供給することで、複合化した極細繊維とすることもできる。
【0045】
次に極細繊維の製造方法について説明する。本発明の極細繊維に用いる樹脂は、吸油する性質が高い熱可塑性樹脂、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリプロピレン−ポリエチレン共重合体などのポリオレフィン系樹脂が好ましい。これらの樹脂は、親油性が高く、微細な繊維からなる極細繊維は、比表面積が大きいので高い吸油性を発揮できる。
しかしながら、こうした微細な繊維からなる極細繊維は、へたりやすく、嵩高性を保持することが難しい。そこで、保形性の高い極細繊維の骨格となるよう、太い繊維を混ぜても良いし、ポリオレフィン系樹脂とは相溶しない、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリメチレンテレフタレートなどを混ぜても良い。
【0046】
本発明の極細繊維の製造方法では、前述のメルトブロー用口金を備えた極細繊維製造装置を用いて極細繊維が製造される。まず溶融樹脂を押出機より押出し、液導入配管を経由してメルトブロー用口金の液ノズルに供給する。そして、熱風生成装置より熱風導入配管を経由してメルトブロー用口金の熱風ノズルに供給された高速高温気流を液ノズルから吐出した溶融樹脂に吹き付けるとともに、液ノズルの吐出方向とそれに近接する熱風ノズルの吹き出し方向が口金下面で交差するよう配置することにより、紡糸した繊維を延伸させる。その後、口金の下方に設けられたメッシュ状のベルトコンベア上に、微細化された樹脂繊維が集積されることで極細繊維が得られる。
【0047】
また、本発明の極細繊維の製造方法では、極細繊維を使った吸油材などの各用途に適するよう、微細化された樹脂繊維だけでなく、より太い繊維を加えた極細繊維を製造しても良く、以下具体的に説明する。
【0048】
例えば、溶融樹脂は1種類だけで、液ノズルの断面の大きさが少なくとも2種類のメルトブロー用口金を用いてもよい。これにより、断面の小さな液ノズルから吐出された樹脂は細い繊維となり、断面の大きな液ノズルから吐出された樹脂は太い繊維となるが、断面が2種類の液ノズルの配置割合を変えることで、細い繊維と太い繊維の割合をコントロールできる。細い繊維と太い樹脂の重量割合は、細い繊維:太い繊維=90〜30:10〜70が好ましく、80〜40:20〜60がさらに好ましく、70〜50:30〜50がより好ましい。細い繊維と太い繊維の割合は、細い繊維が多いほど比表面積が増加し例えば吸油材としての機能を発揮するが、へたりを防止して嵩高で保形性の高い不織布の骨格となる太い繊維の割合が少なくなるので、嵩高性や形状の確保が難しくなる。
なお、液ノズルの断面の大きさを変える場合、上述したような同一のメルトブロー用口金の中で行っても良いし、メルトブロー用口金ごとに行っても良い。
【0049】
また、あらかじめ本発明の実施形態の製造方法により得られた太い繊維、あるいは本発明の実施形態と異なる方法で製造した太い繊維などを用いて、その太い繊維と細い繊維からなる極細繊維を製造することもできる。
すなわち、本発明のメルトブロー用口金の下方に設けられたメッシュ状のベルトンベア表面に、その太い繊維を適量分散させた状態で、その口金に多数設けた液ノズルから吐出され熱風ノズルにより延伸させた微細な繊維を堆積させることで可能となる。細い繊維と太い繊維の割合は、ベルトコンベア表面の太い繊維の分散量や口金からの吐出量などによりコントロールすることができる。
【0050】
上述したように、本発明に係る製造方法により得られる極細繊維は、親油性が高く、比表面積が大きいので高い吸油性を発揮できるとともに、極細繊維の骨格となる太い繊維などを含むため、吸油できる空間を保ち、圧縮されても復元でき、嵩高性や保形性に優れている。そのため、かかる極細繊維の製造方法を吸油材の製造に適用することで、優れた特性を有する吸油材を得ることができる。
【0051】
また、かかる極細繊維の製造方法は、吸油材だけにとどまらず、断熱材や吸音材にも同様に適用することができる。
断熱材の場合では、理想的な断熱媒体である空気を繊維間にできるだけ封じ込めることがもっとも効果的である。例えば、比較的太い繊維を骨格として空間を作り、さらにその空間に細い微細な繊維を充填することにより、大量のデッドエア(動かない空気)を封じ込めすぐれた断熱性を発揮することが可能となる。
一方、吸音材の場合では、音である空気の振動が微細な繊維にぶつかることにより、熱エネルギーへ変換され音声エネルギーを失うこととなる。そのため、例えば、比較的太い繊維を骨格として広い空間を作り、さらにその空間に細い微細な繊維を充填することにより、すぐれた吸音性を発揮することが有効である。
かかる断熱材及び吸音材にも、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリプロピレン−ポリエチレン共重合体などのポリオレフィン系樹脂などが好適に用いられる。
【0052】
さらに、かかる極細繊維の製造方法は、布団や衣類にも同様に適用できる。
布団や衣類の場合では、羽毛や羊毛など天然繊維が保温性や軽量性に優れ好ましい。これらの天然繊維は比較的太い繊維であるため骨格として空間を作り、さらにその空間に細い微細な繊維を充填することで、保温性などを維持しながら高価な天然繊維の使用量を減らすことができ好ましい。
【0053】
以上述べたように、本発明による極細繊維の製造方法は、細い微細な繊維だけでなく、より太い繊維も同時に製造することができ、構成する樹脂の繊維径や材質が異なる極細繊維を製造する上で有用である。また、かかる極細繊維の製造方法は、吸油材、断熱材、吸音材、布団、衣類などの極細繊維を生かした様々な用途に適用可能である。
【実施例】
【0054】
以下、実施例を用いてさらに具体的に説明する。なお、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0055】
(実施例)
まず、紡糸にあたり、繊維径が15〜30μmの太いポリプロピレン繊維をメルトブロー用口金の下方に設けられたメッシュ状のベルトコンベア表面にあらかじめ分散させた。
そして、ポリプロピレンを溶融した樹脂を
図7に示すメルトブロー用口金40を用い以下の口金条件及び運転条件により紡糸した。
<口金条件>
口金形状 φ70mm×15mm
D
1B 26mm
D
2B 23mm
液ノズル φ0.45mm×22
熱風ノズル 4×0.8mm(長方形を円周状に湾曲)×11
θ
3 10度
<運転条件>
押出機温度 250℃
樹脂吐出量 5〜10kg/hr
熱風(空気)温度 300℃
熱風(空気)流量 0.5〜1.1Nm
3/分
ここで、口金にヒーターなど加熱できる装置を特に設けなかったが、口金の温度は約300℃であり、紡糸の開始から終了まであまり変動がみられずほぼ一定であった。
メルトブロー用口金より吐出された溶融したポリプロピレン樹脂は、熱風ノズルより吹出した高速高温気流により延伸され、微細な樹脂繊維がベルトコンベア上に堆積するとともに、すでにベルトコンベア表面に分散させてあった15〜30μmのポリエチレンテレフタレート繊維を含む状態で互いに複雑に絡み合いながらところどころ繊維同士が熱融着した極細繊維が得られた。
図13は、本実施例により得られた極細繊維の走査型電子顕微鏡の写真である。繊維径が15〜30μmの太い繊維が分散した状態で存在し、空いた空間に繊維径が約0.8〜2μmの細い繊維が充填されていた。
得られた極細繊維の細い繊維と太い繊維の重量割合は、細い繊維:太い繊維=60:40であった。また、嵩密度は、0.025g/cm
3であった。
次に、得られた極細繊維の給油量を以下の方法により行った。すなわち、規定量の給油材(1.5g)を装填したステンレス製円筒金網(φ90mm)を廃エンジンオイルに5分間浸透させた後、廃エンジンオイルから取り出し、5分間放置した。その前後の質量変化を測定し、吸油量を求めた。その結果、本実施例による吸油材の吸油量は60gであった。これは、市販品されているA社製のポリプロピレン系吸油材よりも約2.5倍大きい値であった。
【課題】少ない熱風ガスの量であっても溶融樹脂を安定して微細な繊維に紡糸することができ、かつ、小型化や軽量化が容易で製造コストを抑制できるメルトブロー用口金、極細繊維製造装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】メルトブロー用口金40の内部に、加熱した溶融樹脂を吐出できる2箇所以上の液ノズル42と、液ノズル42から吐出される溶融樹脂に熱風を吹き出して繊維状に延伸する2箇所以上の熱風ノズル44を形成する。そして、熱風ノズル42と液ノズル44は互いに近接し、熱風ノズル44の吹き出し方向と液ノズル42の吐出方向が口金下面40aの下方で交差するように配置するとともに、液ノズル42と熱風ノズル44を、同じ中心を持ち径が異なる同心円上にそれぞれ配置する。