特許第6095104号(P6095104)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6095104活性エネルギー線硬化型樹脂組成物、表示素子用着色スペーサー及びブラックマトリックス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6095104
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】活性エネルギー線硬化型樹脂組成物、表示素子用着色スペーサー及びブラックマトリックス
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/027 20060101AFI20170306BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20170306BHJP
   C08G 59/14 20060101ALI20170306BHJP
【FI】
   G03F7/027 515
   G03F7/004 505
   G03F7/004 504
   G03F7/004 501
   G03F7/027 502
   C08G59/14
【請求項の数】4
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2012-282569(P2012-282569)
(22)【出願日】2012年12月26日
(65)【公開番号】特開2014-126663(P2014-126663A)
(43)【公開日】2014年7月7日
【審査請求日】2015年6月4日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004086
【氏名又は名称】日本化薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小木 聡
(72)【発明者】
【氏名】小淵 香津美
(72)【発明者】
【氏名】堀口 尚文
(72)【発明者】
【氏名】山本 和義
【審査官】 高橋 純平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−067814(JP,A)
【文献】 特開2006−079064(JP,A)
【文献】 特開2005−242279(JP,A)
【文献】 特開2006−235153(JP,A)
【文献】 特開2009−098158(JP,A)
【文献】 特開2009−003442(JP,A)
【文献】 特開2004−137152(JP,A)
【文献】 特開2005−115187(JP,A)
【文献】 特開2008−065074(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/004−7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応性ポリカルボン酸化合物(A)と反応性化合物(B)と光重合開始剤(C)と黒色色材(D)と分散剤(E)と有機溶剤(F)を含有し、
反応性ポリカルボン酸化合物(A)が、一分子中に少なくとも2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(a)と一分子中に1個以上の重合可能なエチレン性不飽和基と1個以上のカルボキシル基を有する化合物(b)のみとの反応物に、更に多塩基酸無水物(d)として無水イタコン酸及び/または無水シトラコン酸を反応させて得られる反応性ポリカルボン酸化合物(A)である、
表示素子用着色スペーサーまたはブラックマトリックス用活性エネルギー線硬化型樹脂組
成物。
【請求項2】
反応性ポリカルボン酸化合物(A)と反応性化合物(B)と光重合開始剤(C)と黒色色材(D)と分散剤(E)と有機溶剤(F)を含有し、
反応性ポリカルボン酸化合物(A)が、一分子中に少なくとも2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(a)と一分子中に1個以上の重合可能なエチレン性不飽和基と1個以上のカルボキシル基を有する化合物(b)、及び一分子中に少なくとも2個以上の水酸基と一個以上のカルボキシル基を有する化合物(c)との反応物に、更に多塩基酸無水物(d)として無水イタコン酸及び/または無水シトラコン酸を反応させて得られる反応性ポリカルボン酸化合物(A)である、
表示素子用着色スペーサーまたはブラックマトリックス用活性エネルギー線硬化型樹脂組
成物。
【請求項3】
請求項1または2に記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物から形成される表示素子用着色スペーサー。
【請求項4】
請求項1または2に記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物から形成されるブラックマトリックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物、表示素子用着色スペーサー及びブラックマトリックスに関する。
【背景技術】
【0002】
表示デバイス用材料にはバインダーポリマー、光重合性モノマー及び光重合開始剤等から成る樹脂組成物が用いられてきた。近年、表示デバイス用材料(LCD、EL、PDP、FED(SED)、リアプロジェクションディスプレイ、電子ペーパー、あるいはデジタルカメラ等に利用される材料であり、特に表示素子、表示素子周りの材料)として、例えばカラー液晶表示装置(LCD)が急速に普及している。一般にカラー液晶表示装置は、カラーフィルターとTFT基板等の電極基板とを対向させて1〜10μm程度の間隙部を設け、当該間隙部内に液晶化合物を充填し、その周囲をシール材で密封した構造をとっている。
【0003】
カラーフィルターは透明基板上に、画素間の境界部を遮光するために所定のパターンに形成されたブラックマトリックス層と、各画素を形成するために通常、赤(R)、緑(G)、青(B)を所定順序に配列した着色層と、保護膜と、透明電極膜とが、透明基板に近い側からこの順に積層された構造をとっている。また、カラーフィルター及びこれと対向する電極基板の内面側には配向膜が設けられる。さらに間隙部には、カラーフィルターと電極基板の間のセルギャップを一定且つ均一に維持するために、スペーサーとして一定粒子径を有するパールが分散されているか、もしくはセルギャップに対応する高さを有する柱状またはストライプ状のスペーサーが形成されている。そして、各色に着色された画素それぞれの背後にある液晶層の光透過率を制御することによってカラー画像が得られる。このようなカラーフィルターはカラー液晶表示装置に限らず他の表示デバイスであるEL、リアプロジェクションディスプレイ等にも用いられている。
【0004】
上記の着色層、保護膜及びスペーサーは、樹脂を用いて形成することができる。着色層は、各色の画素ごとに所定のパターンに形成する必要がある。保護膜は、シール部の密着性や密閉性を考慮すると、透明基板上の着色層が形成された領域のみ被覆できるものであることが好ましい。また、スペーサーは、ブラックマトリックス層の形成領域内すなわち非表示領域に正確に設ける必要がある。このため、硬化させたい領域をフォトマスクによって容易に限定することができる硬化性樹脂を用いて着色層、保護膜及び柱状スペーサーが形成されるようになった。
【0005】
着色層や保護膜や柱状スペーサーを形成するために、硬化性樹脂の塗工面を露光した後で有機溶剤を使用して現像を行うと、取り扱い及び廃液処理の点で煩雑であり、経済性、安定性に欠ける。この点を改良するため、硬化性樹脂に酸性基を導入し、露光後にアルカリ水溶液で現像できるようにした硬化性樹脂が開発されている。表示デバイスの製造時には高い温度(200−260℃、もしくはそれ以上)がかかるため、用いられる硬化性樹脂には非常に高い耐熱性が求められている。特にカラーレジスト、スペーサーに用いられる表示デバイス材料には耐熱着色性が求められている。
【0006】
スペーサーはブラックマトリックス層の形成領域内すなわち非表示領域に正確に設ける必要があるため、スペーサーとして位置が指定できないパール状のギャップ剤ではなく、感光性樹脂を用いることが一般的となってきている。このスペーサーには、表示パネルを作製する際の液晶注入後のパネル封着工程における高温・高圧に耐えうる機械的強度と耐熱性が必要とされている(特許文献1)。
【0007】
スペーサーに用いられる感光性樹脂としては、アルカリ可溶性感光性樹脂が用いられ、これはカルボキシル基とラジカル重合性の(メタ)アクリロイル基の量を自由に調節できるという利点を有する。このような樹脂として種々の樹脂骨格が提案されている。
【0008】
特許文献2では、ブラックマトリックス用感光性樹脂組成物のポリマー成分として、クレゾールノボラックエポキシ樹脂の酸変性エポキシアクリレートを使用している。しかし、放射線感度や電圧保持率(VHR)に劣り、十分満足できるレベルではないという課題があった。
【0009】
一方、特許文献3〜4にはエポキシカルボキシレート化合物とそれを含む樹脂組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2002−040440号公報
【特許文献2】特開平11−084126号公報
【特許文献3】特開2009−046604号公報
【特許文献4】特開2009−102501号公報
【特許文献5】特開2009−120737号公報
【特許文献6】特開2009−275167号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記の従来技術の問題点を改善し、現像性、硬化性、高速塗布性が良好な組成物であり、電圧保持率、密着性に優れた表示素子用着色スペーサー及びブラックマトリックスを提供する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは前記課題を解決するため、鋭意検討を行った結果、特定の化合物及び組成を有する組成物が前記課題を解決することを見いだし、本発明に到達した。
【0013】
即ち、本発明は、
(1)反応性ポリカルボン酸化合物(A)と反応性化合物(B)と光重合開始剤(C)と黒色色材(D)と分散剤(E)と有機溶剤(F)を含有し、
反応性ポリカルボン酸化合物(A)が、一分子中に少なくとも2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(a)と一分子中に1個以上の重合可能なエチレン性不飽和基と1個以上のカルボキシル基を有する化合物(b)との反応物に、更に多塩基酸無水物(d)として無水イタコン酸及び/または無水シトラコン酸を反応させて得られる反応性ポリカルボン酸化合物(A)である、
表示素子用着色スペーサーまたはブラックマトリックス用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物に関する。
(2)反応性ポリカルボン酸化合物(A)と反応性化合物(B)と光重合開始剤(C)と黒色色材(D)と分散剤(E)と有機溶剤(F)を含有し、
反応性ポリカルボン酸化合物(A)が、一分子中に少なくとも2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(a)と一分子中に1個以上の重合可能なエチレン性不飽和基と1個以上のカルボキシル基を有する化合物(b)、及び一分子中に少なくとも2個以上の水酸基と一個以上のカルボキシル基を有する化合物(c)との反応物に、更に多塩基酸無水物(d)として無水イタコン酸及び/または無水シトラコン酸を反応させて得られる反応性ポリカルボン酸化合物(A)である、
表示素子用着色スペーサーまたはブラックマトリックス用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物に関する。
(3)さらに前記活性エネルギー線硬化型樹脂組成物から形成される表示素子用着色スペーサーに関する。
(4)さらに前記活性エネルギー線硬化型樹脂組成物から形成されるブラックマトリックスに関する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の組成物は、現像性に優れ、高い放射線感度を有し、電圧保持率、密着性に優れた表示素子用着色スペーサーまたはブラックマトリックスを提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0016】
本発明における反応性ポリカルボン酸化合物(A)は、一分子中に少なくとも2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(a)と一分子中に1個以上の重合可能なエチレン性不飽和基と1個以上のカルボキシル基を有する化合物(b)を反応させて得られる反応性エポキシカルボキシレート化合物(G)に、更に多塩基酸無水物(d)として無水イタコン酸及び/または無水シトラコン酸を反応させる、及び/または、一分子中に少なくとも2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(a)と一分子中に1個以上の重合可能なエチレン性不飽和基と1個以上のカルボキシル基を有する化合物(b)、及び一分子中に少なくとも2個以上の水酸基と一個以上のカルボキシル基を有する化合物(c)を反応させて得られる反応性エポキシカルボキシレート化合物(G’)に、更に多塩基酸無水物(d)として無水イタコン酸及び/または無水シトラコン酸を反応させて得られる。
【0017】
反応性ポリカルボン酸化合物(A)は側鎖に無水イタコン酸及び/または無水シトラコン酸由来のエチレン性不飽和基を有するため、本発明の組成物の耐熱性、電圧保持率が飛躍的に向上する。
【0018】
本発明における一分子中に少なくとも2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(a)の具体例としては、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂、ビスフェノール−A型エポキシ樹脂、ビスフェノール−F型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ビスフェノール−Aノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格含有エポキシ樹脂、グリオキサール型エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0019】
フェノールノボラック型エポキシ樹脂としては、例えばエピクロンN−770(大日本インキ化学工業(株)製)、D.E.N438(ダウ・ケミカル社製)、エピコート154(油化シェルエポキシ(株)製)、EPPN−201、RE−306(日本化薬(株)製)等が挙げられる。クレゾールノボラック型エポキシ樹脂としては、例えばエピクロンN−695(大日本インキ化学工業(株)製)、EOCN−102S、EOCN−103S、EOCN−104S(日本化薬(株)製)、UVR−6650(ユニオン・カーバイド社製)、ESCN−195(住友化学工業(株)製)等が挙げられる。
【0020】
トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂としては、例えばEPPN−503、EPPN−502H、EPPN−501H(日本化薬(株)製)、TACTIX−742(ダウ・ケミカル社製)、エピコートE1032H60(油化シェルエポキシ(株)製)等が挙げられる。ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂としては、例えばXD−1000(日本化薬(株)製)、エピクロンEXA−7200(大日本インキ化学工業(株)製)、TACTIX−556(ダウ・ケミカル社製)等が挙げられる。
【0021】
ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、例えばエピコート828、エピコート1001(油化シェルエポキシ製)、UVR−6410(ユニオン・カーバイド社製)、D.E.R−331(ダウ・ケミカル社製)、YD−8125(東都化成社製)、NER−1202、NER−1302(日本化薬製)等のビスフェノール−A型エポキシ樹脂、UVR−6490(ユニオン・カーバイド社製)、YDF−8170(東都化成社製)、NER−7403、NER−7604(日本化薬製)等のビスフェノール−F型エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0022】
ビフェノール型エポキシ樹脂としては、例えば、NC−3000、NC−3000−H(日本化薬(株)性)等のビフェノール型エポキシ樹脂、YX−4000(油化シェルエポキシ(株)製)のビキシレノール型エポキシ樹脂、YL−6121(油化シェルエポキシ(株)製)等が挙げられる。ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂としては、例えばエピクロンN−880(大日本インキ化学工業(株)製)、エピコートE157S75(油化シェルエポキシ(株)製)等が挙げられる。
【0023】
ナフタレン骨格含有エポキシ樹脂としては、例えばNC−7000(日本化薬社製)、EXA−4750(大日本インキ化学工業(株)製)等が挙げられる。グリオキサール型エポキシ樹脂としては、例えばGTR−1800(日本化薬製)等が挙げられる。脂環式エポキシ樹脂としては、例えばEHPE−3150(ダイセル化学工業(株)製)等が挙げられる。複素環式エポキシ樹脂としては、例えばTEPIC(日産化学工業(株)製)等が挙げられる。
【0024】
中でも、特に好ましいものとしては、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0025】
本発明における一分子中に1個以上の重合可能なエチレン性不飽和基と1個以上のカルボキシル基を有する化合物(b)は、反応性ポリカルボン酸化合物(A)に活性エネルギー線への反応性を付与させるために反応せしめるものである。エチレン性不飽和基とカルボキシル基はそれぞれ分子内に1個以上あるものであれば制限はない。これらとしてはモノカルボン酸化合物、ポリカルボン酸化合物が挙げられる。
【0026】
一分子中に1個のカルボキシル基を有するモノカルボン酸化合物としては、例えば(メタ)アクリル酸類やクロトン酸、α−シアノ桂皮酸、桂皮酸、或いは飽和または不飽和二塩基酸と不飽和基含有モノグリシジル化合物との反応物が挙げられる。上記において(メタ)アクリル酸類としては、例えば(メタ)アクリル酸、β−スチリルアクリル酸、β−フルフリルアクリル酸、(メタ)アクリル酸二量体、飽和または不飽和二塩基酸無水物と一分子中に1個の水酸基を有する(メタ)アクリレート誘導体と当モル反応物である半エステル類、飽和または不飽和二塩基酸とモノグリシジル(メタ)アクリレート誘導体類との当モル反応物である半エステル類等が挙げられる。
【0027】
さらに一分子中に2個以上のカルボキシル基を有するポリカルボン酸化合物としては、一分子中に複数の水酸基を有する(メタ)アクリレート誘導体と当モル反応物である半エステル類、飽和または不飽和二塩基酸と複数のエポキシ基を有するグリシジル(メタ)アクリレート誘導体類との当モル反応物である半エステル類等が挙げられる。
【0028】
これらのうち最も好ましくは、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物としたときの感度の点で(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸とε−カプロラクトンとの反応生成物または桂皮酸が挙げられる。化合物(b)としては、化合物中に水酸基を有さないものが好ましい。
【0029】
本発明における一分子中に少なくとも2個以上の水酸基と1個以上のカルボキシル基を有する化合物(c)は、カルボキシレート化合物中に水酸基を導入することを目的として反応せしめるものである
【0030】
本発明における一分子中に少なくとも2個以上の水酸基と1個以上のカルボキシル基を有する化合物(c)の具体例としては、例えば、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、ジメチロール酢酸、ジメチロール酪酸、ジメチロール吉草酸、ジメチロールカプロン酸等のポリヒドロキシ含有モノカルボン酸類等を挙げることができる。特に好ましいものとしては、例えばジメチロールプロピオン酸等が挙げられる。
【0031】
これらのうち、前記のエポキシ樹脂(a)と化合物(b)および化合物(c)の反応の安定性を考慮すると、化合物(b)および化合物(c)はモノカルボン酸であることが好ましく、モノカルボン酸とポリカルボン酸を併用する場合でも、モノカルボン酸の総計モル量/ポリカルボン酸の総計モル量で表される値が15以上であることが好ましい。
【0032】
この反応におけるエポキシ樹脂(a)と化合物(b)および化合物(c)のカルボン酸総計の仕込み割合としては、用途に応じて適宜変更されるべきものである。即ち、全てのエポキシ基をカルボキシレート化した場合は、未反応のエポキシ基が残存しないために、反応性エポキシカルボキシレート化合物としての保存安定性は高い。この場合は、導入した二重結合による反応性のみを利用することになる。
【0033】
一方、故意にカルボン酸化合物の仕込み量を減量し未反応の残存エポキシ基を残すことで、導入した不飽和結合による反応性と、残存するエポキシ基による反応、例えば光カチオン触媒による重合反応や熱重合反応を複合的に利用することも可能である。しかし、この場合は反応性エポキシカルボキシレート化合物(G)又は反応性エポキシカルボキシレート化合物(G’)の保存、及び製造条件の検討には注意を払うべきである。
【0034】
エポキシ基を残存させない反応性エポキシカルボキシレート化合物(G)又は反応性エポキシカルボキシレート化合物(G’)を製造する場合、化合物(b)および化合物(c)の総計が、前記エポキシ樹脂(a)1当量に対し90〜120当量%であることが好ましい。この範囲であれば比較的安定な条件での製造が可能である。これよりも化合物(b)および化合物(c)の総仕込み量が多い場合には、過剰の化合物(b)および化合物(c)が残存してしまうために好ましくない。
【0035】
また、エポキシ基を故意に残留させる場合には、化合物(b)および化合物(c)の総計が、前記エポキシ樹脂(a)1当量に対し20〜90当量%であることが好ましい。これの範囲を逸脱する場合には、更なるエポキシ基による反応が十分に進まない。この場合は、反応中のゲル化や、反応性エポキシカルボキシレート化合物(G)の経時安定性に対して十分な注意が必要である。
【0036】
化合物(b)と化合物(c)の使用比率は、カルボン酸に対するモル比において化合物(b):化合物(c)が100:0〜5:95、さらには100:0〜40:60の範囲が好ましい。化合物(c)の使用量が0の時が反応性エポキシカルボキシレート化合物(G)であり、化合物(c)の使用量が0より大きい時は反応性エポキシカルボキシレート化合物(G’)である。この範囲であれば活性エネルギー線への感度は良好であり、また反応性エポキシカルボキシレート化合物(G)又は反応性エポキシカルボキシレート化合物(G’)に多塩基酸無水物(F)を反応させるために十分な水酸基を導入することができる。
【0037】
カルボキシレート化反応は、無溶剤で反応させる、若しくは溶剤で希釈して反応させることも出来る。ここで用いることが出来る溶剤としては、カルボキシレート化反応に対してイナート溶剤であれば特に限定はない。
【0038】
好ましい溶剤の使用量は、得られる樹脂の粘度や使途により適宜調整されるべきものであるが、好ましくは固形分に対して90〜30質量部、より好ましくは80〜50質量部になるように使用される。
【0039】
具体的に例示すれば、例えばトルエン、キシレン、エチルベンゼン、テトラメチルベンゼン等の芳香族系炭化水素溶剤、ヘキサン、オクタン、デカン等の脂肪族系炭化水素溶剤、及びそれらの混合物である石油エーテル、ホワイトガソリン、ソルベントナフサ等、エステル系溶剤、エーテル系溶剤、ケトン系溶剤等が挙げられる。
【0040】
エステル系溶剤としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のアルキルアセテート類、γ−ブチロラクトン等の環状エステル類、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルモノアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルモノアセテート、トリエチレングリコールモノエチルエーテルモノアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルモノアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ブチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のモノ、若しくはポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルモノアセテート類、グルタル酸ジアルキル、コハク酸ジアルキル、アジピン酸ジアルキル等のポリカルボン酸アルキルエステル類等が挙げられる。
【0041】
エーテル系溶剤としては、ジエチルエーテル、エチルブチルエーテル等のアルキルエーテル類、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル等のグリコールエーテル類、テトラヒドロフラン等の環状エーテル類等が挙げられる。
【0042】
ケトン系溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等が挙げられる。
【0043】
このほかにも、後述する反応性化合物(B)等の単独または混合有機溶媒中で行うことができる。この場合、硬化性組成物として使用した場合には、直接に組成物として利用することが出来るので好ましい。
【0044】
反応時には、反応を促進させるために触媒を使用することが好ましく、該触媒の使用量は、反応物、即ちエポキシ樹脂(a)、カルボン酸化合物(b)、化合物(c)及び場合により溶剤その他を加えた反応物の総量に対して0.1〜10質量部である。その際の反応温度は60〜150℃であり、また反応時間は、好ましくは5〜60時間である。使用しうる触媒の具体例としては、例えばトリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリメチルアンモニウムアイオダイド、トリフェニルフォスフィン、トリフェニルスチビン、メチルトリフェニルスチビン、オクタン酸クロム、オクタン酸ジルコニウム等既知一般の塩基性触媒等が挙げられる。
【0045】
また、熱重合禁止剤として、ハイドロキノンモノメチルエーテル、2−メチルハイドロキノン、ハイドロキノン、ジフェニルピクリルヒドラジン、ジフェニルアミン、3,5−ジ−tert−ブチル−4ヒドロキシトルエン等を使用するのが好ましい。
【0046】
本反応は、適宜サンプリングしながら、サンプルの酸価が5mgKOH/g以下、好ましくは3mgKOH/g以下となった時点を終点とする。
【0047】
こうして得られた反応性エポキシカルボキシレート化合物(G)の好ましい分子量範囲としては、GPCにおけるポリスチレン換算質量平均分子量が1,000から50,000の範囲であり、より好ましくは2,000から30,000である。
【0048】
この分子量よりも小さい場合には硬化物の強靭性が充分に発揮されず、またこれよりも大きすぎる場合には、粘度が高くなり塗工等が困難となる。
【0049】
次に、酸付加工程について詳述する。酸付加工程は、前工程において得られた反応性エポキシカルボキシレート化合物(G)又は反応性エポキシカルボキシレート化合物(G’)にカルボキシル基を導入し、反応性ポリカルボン酸化合物(A)を得ることを目的として行われる。即ち、カルボキシレート化反応により生じた水酸基に多塩基酸無水物(d)を付加反応させることで、エステル結合を介してカルボキシル基を導入する。
【0050】
多塩基酸無水物(d)としては、分子中に重合可能なエチレン性不飽和基と酸無水物構造を有する化合物であればすべて用いることができるが、アルカリ水溶液現像性、耐熱性、加水分解耐性等に優れた無水イタコン酸、無水シトラコン酸が特に好ましい。
【0051】
多塩基酸無水物(d)を付加させる反応は、前記カルボキシレート化反応液に多塩基酸無水物(d)を加えることにより行うことができる。添加量は用途に応じて適宜変更されるべきものである。
【0052】
多塩基酸無水物(d)の添加量は例えば、反応性ポリカルボン酸化合物(A)をアルカリ現像型のレジストとして用いようとする場合は、多塩基酸無水物(d)を最終的に得られる反応性ポリカルボン酸化合物(A)の固形分酸価(JISK5601−2−1:1999に準拠)が40〜120mg・KOH/g、より好ましくは60〜120mg・KOH/g、となる計算値を仕込むことが好ましい。このときの固形分酸価がこの範囲である場合、本発明の組成物のアルカリ水溶液現像性が良好な現像性を示す。即ち、良好なパターニング性と過現像に対する管理幅も広く、また過剰の酸無水物が残留することもない。
【0053】
反応時には、反応を促進させるために触媒を使用することが好ましく、該触媒の使用量は、反応性エポキシカルボキシレート化合物(G)又は反応性エポキシカルボキシレート化合物(G’)、及び多塩基酸無水物(d)、場合により溶剤その他を加えた反応物の総量に対して0.1〜10質量部である。その際の反応温度は60〜150℃であり、また反応時間は、好ましくは5〜60時間である。使用しうる触媒の具体例としては、例えばトリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリメチルアンモニウムアイオダイド、トリフェニルホスフィン、トリフェニルスチビン、メチルトリフェニルスチビン、オクタン酸クロム、オクタン酸ジルコニウム等が挙げられる。
【0054】
本酸付加反応は、無溶剤で反応するか、若しくは溶剤で希釈して反応させることも出来る。ここで用いることが出来る溶剤としては、酸付加反応に対してイナート溶剤であれば特に限定はない。また、前工程であるカルボキシレート化反応で溶剤を用いて製造した場合には、その両反応にイナートであることを条件に、溶剤を除くことなく直接次工程である酸付加反応に供することもできる。用い得る溶剤はカルボキシレート化反応で用い得るものと同一のものでよい。
【0055】
好ましい溶剤の使用量は、得られる樹脂の粘度や使途により適宜調整されるべきものであるが、好ましくは固形分に対して90〜30質量部、より好ましくは80〜50質量部になるように用いられる。
【0056】
このほかにも、反応性化合物(B)等の単独または混合有機溶媒中で行うことができる。この場合、硬化性組成物として使用した場合には、直接に組成物として利用することが出来るので好ましい。
【0057】
また、熱重合禁止剤等は、前記カルボキシレート化反応における例示と同様のものを使用することが好ましい。
【0058】
本反応は、適宜サンプリングしながら、反応物の酸価が、設定した酸価のプラスマイナス10%の範囲になった点をもって終点とする。
【0059】
反応性ポリカルボン酸化合物(A)の好ましい分子量範囲としては、GPCにおけるポリスチレン換算質量平均分子量が1,000から50,000の範囲であり、より好ましくは2,000から30,000である。
【0060】
本発明において使用しうる反応性化合物(B)としては、ラジカル反応型のアクリレート類、カチオン反応型のその他エポキシ化合物類、その双方に感応するビニル化合物類等のいわゆる反応性オリゴマー類が挙げられる。反応性ポリカルボン酸化合物(A)は反応性化合物(B)には含まれない。
【0061】
ラジカル反応型のアクリレート類としては、例えば、単官能(メタ)アクリレート、2官能(メタ)アクリレート、3官能以上の(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー等を挙げることができる。
【0062】
単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、アクリロイルモルホリン;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどの水酸基含有(メタ)アクリレート;シクロヘキサン−1,4−ジメタノールモノ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート等の脂肪族(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェニル(ポリ)エトキシ(メタ)アクリレート、p−クミルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、フェニルチオエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、フェニルフェノール(ポリ)エトキシ(メタ)アクリレート、フェニルフェノールエポキシ(メタ)アクリレート等の芳香族(メタ)アクリレートを挙げることができる。
【0063】
2官能(メタ)アクリレートとしては、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、ビスフェノールA(ポリ)エトキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA(ポリ)プロポキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールF(ポリ)エトキシジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレートヒドロキシビバリン酸ネオペンチルグリコールのε−カプロラクトン付加物のジ(メタ)アクリレート(例えば、日本化薬(株)製、KAYARAD HX−220、HX−620等)等を挙げることができる。
【0064】
3官能以上の多官能(メタ)アクリレートとしては、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールオクタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(ポリ)プロポキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(ポリ)エトキシ(ポリ)プロポキシトリ(メタ)アクリレートなどのメチロール類;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールポリエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(ポリ)プロポキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のエリスリトール類;トリス[(メタ)アクリロイルオキシエチル]イソシアヌレート、カプロラクトン変性トリス[(メタ)アクリロイルオキシエチル]イソシアヌレート等;コハク酸変性ペンタエリスリト−ルトリアクリレート、コハク酸変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート類を挙げることができる。
【0065】
(ポリ)エステル(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、等のグリコール類、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール等の直鎖又は分岐アルキルジオール類、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール等の脂環式アルキルジオール類、ビスフェノールA(ポリ)エトキシジオール、又はビスフェノールA(ポリ)プロポキシジオール等のジオール化合物と前記の二塩基酸又はその無水物との反応物である(ポリ)エステルジオールと、(メタ)アクリル酸との反応物等が挙げられる。
【0066】
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えば、ジオール化合物(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ビスフェノールAポリエトキシジオール、ビスフェノールAポリプロポキシジオール等)又はこれらジオール化合物と二塩基酸若しくはその無水物(例えば、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、ダイマー酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フタル酸若しくはこれらの無水物)との反応物であるポリエステルジオールと、有機ポリイソシアネート(例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の鎖状飽和炭化水素イソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート、水添トルエンジイソシアネート等の環状飽和炭化水素イソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアネート、6−イソプロピル−1,3−フェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート)を反応させ、次いで水酸基含有(メタ)アクリレートを付加した反応物等が挙げられる。
【0067】
エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、エポキシ基を有する化合物と(メタ)アクリル酸とのカルボキシレート化合物である。たとえば、フェノールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート、クレゾールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールF型エポキシ(メタ)アクリレート、ビフェノール型エポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノール−Aノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート、ナフタレン骨格含有エポキシ(メタ)アクリレート、グリオキサール型エポキシ(メタ)アクリレート、複素環式エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0068】
ビニル化合物類としてはビニルエーテル類、スチレン類、その他ビニル化合物が挙げられる。ビニルエーテル類としては、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル等が挙げられる。スチレン類としては、スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン等が挙げられる。その他ビニル化合物としてはトリアリルイソイシアヌレート、トリメタアリルイソシアヌレート等が挙げられる。
【0069】
また、カチオン反応型単量体としては、一般的にエポキシ基を有する化合物であれば特に限定はない。例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリジジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリジジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4,−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(ユニオン・カーバイド社製「サイラキュアUVR−6110」等)、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビニルシクロヘキセンジオキシド(ユニオン・カーバイド社製「ELR−4206」等)、リモネンジオキシド(ダイセル化学工業社製「セロキサイド3000」等)、アリルシクロヘキセンジオキシド、3,4,−エポキシ−4−メチルシクロヘキシル−2−プロピレンオキシド、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−m−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート(ユニオン・カーバイド社製「サイラキュアUVR−6128」等)、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)エーテル、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)ジエチルシロキサン等が挙げられる。
【0070】
これらのうち、反応性化合物(B)としては、重合性が良好であり、得られるスペーサー、ブラックマトリックス等の強度が向上するため、単官能、2官能、3官能以上(メタ)アクリレートが最も好ましい。
【0071】
反応性化合物(B)は、単独で使用してもよいし2種以上を混合して使用してもよい。本発明の組成物における反応性化合物(B)の使用割合としては、反応性ポリカルボン酸化合物(A)100質量部に対して、30質量部〜250質量部が好ましく、50質量部〜200質量部がより好ましい。反応性化合物(B)の使用量が30質量部〜250質量部の場合、本発明の組成物の感度、得られる表示素子用着色スペーサー等の耐熱性並びに弾性特性がより良好となる。
【0072】
光重合開始剤(C)としては、活性エネルギー線に感応して、反応性ポリカルボン酸化合物(A)と反応性化合物(B)の重合を開始しうる活性種を生じる成分である。このような光重合開始剤(C)としては、O−アシルオキシム化合物、アセトフェノン化合物、ビイミダゾール化合物等が挙げられる。
【0073】
O−アシルオキシム化合物としては、例えばエタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、1−〔9−エチル−6−ベンゾイル−9H−カルバゾール−3−イル〕−オクタン−1−オンオキシム−O−アセテート、1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−エタン−1−オンオキシム−O−ベンゾエート、1−〔9−n−ブチル−6−(2−エチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−エタン−1−オンオキシム−O−ベンゾエート、エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロフラニルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロピラニルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチル−5−テトラヒドロフラニルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−{2−メチル−4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラニル)メトキシベンゾイル}−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、1−〔4−(フェニルチオ)−1,2−オクタンジオン2−(O−ベンゾイルアセチルオキシム)〕等が挙げられる。これらのうち、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロフラニルメトキシベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)又はエタノン−1−〔9−エチル−6−{2−メチル−4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラニル)メトキシベンゾイル}−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、1−〔4−(フェニルチオ)−1,2−オクタンジオン2−(O−ベンゾイルアセチルオキシム)〕が好ましい。これらO−アシルオキシム化合物は、単独で使用してもよいし2種以上を混合して使用してもよい。
【0074】
アセトフェノン化合物としては、例えばα−アミノケトン化合物、α−ヒドロキシケトン化合物が挙げられる。
【0075】
α−アミノケトン化合物としては、例えば2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン等が挙げられる。
【0076】
α−ヒドロキシケトン化合物としては、例えば1−フェニル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−i−プロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等が挙げられる
【0077】
これらのアセトフェノン化合物のうちα−アミノケトン化合物が好ましく、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン又は2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オンがより好ましい。
【0078】
ビイミダゾール化合物としては、例えば2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール等が挙げられる。これらのうち、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール又は2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾールが好ましく、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾールがより好ましい。
【0079】
光重合開始剤(C)としては、市販品を使用してもよく、例えば2−(4−メチルベンジル)−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン(イルガキュア379)、1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルアセチルオキシム)〕(イルガキュアOXE01)、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)(イルガキュアOXE02)(以上、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社)等が挙げられる。
【0080】
本発明の組成物において、光重合開始剤(C)の使用量は、本発明の組成物の固形分(反応性ポリカルボン酸化合物(A)、反応性化合物(B)、光重合開始剤(C)、黒色色材(D)及び分散剤(E)の和。場合によってはさらにアルカリ可溶性樹脂(J)、界面活性剤(K)、架橋剤(L)をも含む。)を100質量%とした場合、1質量%以上20質量%以下であり、好ましくは1質量%以上15質量%以下である。
【0081】
また、光重合開始剤(C)は硬化促進剤(H)と併用することもできる。併用しうる硬化促進剤としては、例えばトリエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、2−メチルアミノエチルベンゾエート、ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミノエステル、EPAなどのアミン類、2−メルカプトベンゾチアゾールなどの水素供与体が挙げられる。これらの硬化促進剤の使用量は、本発明の組成物の固形分を100質量%とした場合、0質量%以上5質量%以下である。
【0082】
黒色色材(D)としては、黒色色材を単独でも良く、又は赤、緑、青等の混合によるものでも良い。また、これら色材は無機又は有機の顔料、染料の中から適宜選択することができる。無機、有機顔料の場合には平均粒径1μm以下、好ましくは0.5μm以下に分散して用いるのが好ましい。
【0083】
黒色色材を調製するために混合使用可能な色材としては、ビクトリアピュアブルー(42595)、オーラミンO(41000)、カチロンブリリアントフラビン(ベーシック13)、ローダミン6GCP(45160)、ローダミンB(45170)、サフラニンOK70:100(50240)、エリオグラウシンX(42080)、No.120/リオノールイエロー(21090)、リオノールイエローGRO(21090)、シムラーファーストイエロー8GF(21105)、ベンジジンイエロー4T−564D(21095)、シムラーファーストレッド4015(12355)、リオノールレッド7B4401(15850)、ファーストゲンブルーTGR−L(74160)、リオノールブルーSM(26150)、リオノールブルーES(ピグメントブルー15:6)、リオノーゲンレッドGD(ピグメントレッド168)、リオノールグリーン2YS(ピグメントグリーン36)等が挙げられる(なお、上記の()内の数字は、カラーインデックス(C.I.)を意味する)。
【0084】
また、更に他の混合使用可能な顔料についてC.I.ナンバーにて示すと、例えば、C.I.黄色顔料20、24、86、93、109、110、117、125、137、138、147、148、153、154、166、C.I.オレンジ顔料36、43、51、55、59、61、C.I.赤色顔料9、97、122、123、149、168、177、180、192、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、C.I.バイオレット顔料19、23、29、30、37、40、50、C.I.青色顔料15、15:1、15:4、22、60、64、C.I.緑色顔料7、C.I.ブラウン顔料23、25、26等を挙げることができる。
【0085】
また、単独使用可能な黒色色材としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、ボーンブラック、黒鉛、鉄黒、アニリンブラック、シアニンブラック、チタンブラック等が挙げられる。
【0086】
これらの中で、カーボンブラックが遮光率、画像特性の観点から好ましい。カーボンブラックの例としては、以下のようなカーボンブラックが挙げられる。三菱化学社製ではMA7、MA8、MA11、MA100、MA100R、MA220、MA230、MA600、#5、#10、#20、#25、#30、#32、#33、#40、#44、#45、#47、#50、#52、#55、#650、#750、#850、#950、#960、#970、#980、#990、#1000、#2200、#2300、#2350、#2400、#2600、#3050、#3150、#3250、#3600、#3750、#3950、#4000、#4010、OIL7B、OIL9B、OIL11B、OIL30B、OIL31B等が挙げられる。
【0087】
デグサ社製ではPrintex3、Printex3OP、Printex30、Printex30OP、Printex40、Printex45、Printex55、Printex60、Printex75、Printex80、Printex85、Printex90、PrintexA、PrintexL、PrintexG、PrintexP、PrintexU、PrintexV、PrintexG、SpecialBlack550、SpecialBlack350、SpecialBlack250、SpecialBlack100、SpecialBlack6、SpecialBlack5、SpecialBlack4、ColorBlackFW1、ColorBlackFW2、ColorBlackFW2V、ColorBlackFW18、ColorBlackFW18、ColorBlackFW200、ColorBlackS160、ColorBlackS170等が挙げられる。
【0088】
キャボット社製ではMonarch120、Monarch280、Monarch460、Monarch800、Monarch880、Monarch900、Monarch1000、Monarch1100、Monarch1300、Monarch1400、Monarch4630、REGAL99、REGAL99R、REGAL415、REGAL415R、REGAL250、REGAL250R、REGAL330、REGAL400R、REGAL55R0、REGAL660R、BLACKPEARLS480、PEARLS130、VULCANXC72R、ELFTEX−8等が挙げられる。
【0089】
コロンビヤンカーボン社製ではRAVEN11、RAVEN14、RAVEN15、RAVEN16、RAVEN22RAVEN30、RAVEN35、RAVEN40、RAVEN410、RAVEN420、RAVEN450、RAVEN500、RAVEN780、RAVEN850、RAVEN890H、RAVEN1000、RAVEN1020、RAVEN1040、RAVEN1060U、RAVEN1080U、RAVEN1170、RAVEN1190U、RAVEN1250、RAVEN1500、RAVEN2000、RAVEN2500U、RAVEN3500、RAVEN5000、RAVEN5250、RAVEN5750、RAVEN7000等が挙げられる。
【0090】
他の黒色顔料の例としては、チタンブラック、アニリンブラック、酸化鉄系黒色顔料、及び、赤色、緑色、青色の三色の有機顔料を混合して黒色顔料として用いることができる。
【0091】
また、顔料として、硫酸バリウム、硫酸鉛、酸化チタン、黄色鉛、ベンガラ、酸化クロム等を用いることもできる。
【0092】
これら各種の顔料は、複数種を併用することもできる。例えば、色度の調整のために、顔料として、緑色顔料と黄色顔料とを併用したり、青色顔料と紫色顔料とを併用したりすることができる。
【0093】
なお、これらの顔料の平均粒径は通常1μm、好ましくは0.5μm以下、更に好ましくは0.25μm以下である。また、色材として使用できる染料としては、アゾ系染料、アントラキノン系染料、フタロシアニン系染料、キノンイミン系染料、キノリン系染料、ニトロ系染料、カルボニル系染料、メチン系染料等が挙げられる。
【0094】
アゾ系染料としては、例えば、C.I.アシッドイエロー11,C.I.アシッドオレンジ7,C.I.アシッドレッド37,C.I.アシッドレッド180,C.I.アシッドブルー29,C.I.ダイレクトレッド28,C.I.ダイレクトレッド83,C.I.ダイレクトイエロー12,C.I.ダイレクトオレンジ26,C.I.ダイレクトグリーン28,C.I.ダイレクトグリーン59,C.I.リアクティブイエロー2,C.I.リアクティブレッド17,C.I.リアクティブレッド120,C.I.リアクティブブラック5,C.I.ディスパースオレンジ5,C.I.ディスパースレッド58,C.I.ディスパースブルー165,C.I.ベーシックブルー41,C.I.ベーシックレッド18,C.I.モルダントレッド7,C.I.モルダントイエロー5,C.I.モルダントブラック7等が挙げられる。
【0095】
アントラキノン系染料としては、例えば、C.I.バットブルー4,C.I.アシッドブルー40,C.I.アシッドグリーン25,C.I.リアクティブブルー19,C.I.リアクティブブルー49,C.I.ディスパースレッド60,C.I.ディスパースブルー56,C.I.ディスパースブルー60等が挙げられる。
【0096】
この他、フタロシアニン系染料として、例えば、C.I.パッドブルー5等が、キノンイミン系染料として、例えば、C.I.ベーシックブルー3,C.I.ベーシックブルー9等が、キノリン系染料として、例えば、C.I.ソルベントイエロー33,C.I.アシッドイエロー3,C.I.ディスパースイエロー64等が、ニトロ系染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー1,C.I.アシッドオレンジ3,C.I.ディスパースイエロー42等が挙げられる。
【0097】
本発明の組成物において、上記(D)成分の使用量は、本発明の組成物の固形分を100質量%とした場合、1質量%以上70質量%以下であり、好ましくは10質量%以上70質量%以下である。黒色色材(D)の含有量が少なすぎると、色濃度に対する膜厚が大きくなりすぎて、液晶セル化の際のギャップ制御などに悪影響を及ぼす。また、逆に黒色色材(D)の含有量が多すぎると、十分な画像形成性が得られなくなることがある。
【0098】
本発明においては、黒色色材(D)を微細に分散させ、且つその分散状態を安定化させることが品質安定上重要なため、分散剤(E)を含むことが必須である。
【0099】
分散剤(E)としては、好ましくは官能基を有する高分子分散剤である。更には、分散安定性の面からカルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基及びこれらの塩、一級、二級、三級アミノ基、四級アンモニウム塩、ピリジン、ピリミジン、ピラジン等の含窒素ヘテロ環等の官能基を有する高分子分散剤が使用される。
【0100】
分散剤(E)としては、例えばウレタン系分散剤、アクリル系分散剤、ポリエチレンイミン系分散剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系分散剤、ポリオキシエチレングリコールジエステル系分散剤、ソルビタン脂肪族エステル系分散剤、脂肪族変性ポリエステル系分散剤等を挙げることができるが、具体例としては、商品名で、EFKA(エフカーケミカルズビーブイ(EFKA)社製)、Disperbyk(ビックケミー社製)、ディスパロン(楠本化成(株)製)、SOLSPERSE(ゼネカ社製)、KP(信越化学工業(株)製)、ポリフロー(共栄社化学(株)社製)、アジスパー(味の素ファインテクノ(株)製)等を挙げることができる。これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
【0101】
これらの分散剤(E)のGPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は700以上、このましくは1000以上、10万以下、好ましくは5万以下である。
【0102】
分散剤(E)は、官能基を有するウレタン系及びアクリル系高分子分散剤を有することが密着性、直線性の面から特に好ましい。ウレタン系及びアクリル系高分子分散剤としては、Disperbyk160〜166シリーズ、Disperbyk2000,2001等(いずれもビックケミー社製)が挙げられる。
【0103】
また、分散剤(E)は、顔料誘導体であっても良く、顔料誘導体としてはアゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、ベンズイミダゾロン系、キノフタロン系、イソインドリノン系、ジオキサジン系、アントラキノン系、インダンスレン系、ペリレン系、ペリノン系、ジケトピロロピロール系、ジオキサジン系等の誘導体が挙げられるが、中でもキノフタロン系が好ましい。顔料誘導体の置換基としてはスルホン酸基、スルホンアミド基及びその4級塩、フタルイミドメチル基、ジアルキルアミノアルキル基、水酸基、カルボキシル基、アミド基等が顔料骨格に直接又はアルキル基、アリール基、複素環基等を介して結合したものが挙げられ、好ましくはスルホン酸基である。またこれら置換基は一つの顔料骨格に複数置換していても良い。顔料誘導体の具体例としてはフタロシアニンのスルホン酸誘導体、キノフタロンのスルホン酸誘導体、アントラキノンのスルホン酸誘導体、キナクリドンのスルホン酸誘導体、ジケトピロロピロールのスルホン酸誘導体、ジオキサジンのスルホン酸誘導体等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。また、分散剤として、高分子分散剤と顔料誘導体とを併用することが好ましい。
【0104】
本発明の組成物において、分散剤(E)の使用量は、本発明の組成物の固形分を100質量%とした場合、1質量%以上50質量%以下であり、好ましくは5質量%以上30質量%以下である。分散剤(E)の含有量が少なすぎると、十分な分散性が得られず、多すぎると相対的に他の成分の割合が減って、色濃度、感度、成膜性等が低下する。
【0105】
有機溶剤(F)としては、各構成成分を均一に溶解又は分散し、各構成成分と反応しないものが好適に用いられる。このような有機溶剤(F)としては、上述した芳香族系炭化水素溶剤、脂肪族系炭化水素溶剤、及びそれらの混合物である石油エーテル、ホワイトガソリン、ソルベントナフサ等、エステル系溶剤、エーテル系溶剤、ケトン系溶剤等に加えて、例えばアルコール類、エチレングリコールモノアルキルエーテル類、プロピレングリコールモノアルキルエーテル類、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル類、ジエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル類、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、乳酸エステル類、脂肪族カルボン酸エステル類、アミド類、ケトン類等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし2種以上を混合して使用してもよい。
【0106】
有機溶剤(F)としては、例えばベンジルアルコール等のアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のエチレングリコールモノアルキルエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のジエチレングリコールモノアルキルエーテル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のジエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル等のジプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のジプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−プロピル、乳酸イソプロピル、乳酸n−ブチル、乳酸イソブチル、乳酸n−アミル、乳酸イソアミル等の乳酸エステル類;ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸エチル、エトキシ酢酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、3−メチル−3−メトキシブチルブチレート、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル等の脂肪族カルボン酸エステル類;N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;N−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトン等のケトン類等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし2種以上を混合して使用してもよい。
【0107】
本発明の組成物の固形分濃度は、組成物全体を100質量%とすると5質量%以上40質量%以下である。本発明の組成物の好ましい固形分濃度は、10質量%以上35質量%以下である。本発明の組成物の固形分濃度を上記範囲とすることで、塗布性の向上、膜厚均一性の向上、塗布ムラの発生を効果的に抑制できる。
【0108】
本発明の組成物の25℃における粘度としては、1.0mPa・s以上1,000mPa・s以下である。好ましくは、2.0mPa・s以上100mPa・s以下である。本発明の組成物の粘度を上記範囲とすることで、膜厚均一性を維持しつつ、塗布ムラが生じても自発的に均し得る程度の粘度をバランスよく達成できる。
【0109】
本発明の組成物においては必要によりアルカリ可溶性樹脂(J)を使用してもよい。アルカリ可溶性樹脂(J)としては、例えば、水酸基を有する単量体、エチレン性二重結合を有する酸無水物、カルボキシル基を有する単量体、エポキシ基を有する単量体等、フェノール性水酸基を有する単量体、スルホン酸基を有する単量体、その他の単量体、上述した単官能(メタ)アクリレートを共重合することで製造できる。
【0110】
水酸基を有する単量体の具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、シクロヘキサンジオールモノビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ビス(ヒドロキシメチル)(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0111】
エチレン性二重結合を有する酸無水物の具体例としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水フタル酸、無水3−メチルフタル酸、無水メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、無水3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸、無水cis−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸、2−ブテン−1−イル−サクシニックアンハイドライド等が挙げられる。
【0112】
カルボキシル基を有する単量体の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、ケイ皮酸、もしくはそれらの塩が挙げられる。
【0113】
エポキシ基を有する単量体の具体例としては、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレートが挙げられる。
【0114】
フェノール性水酸基を有する単量体としては、o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン等が挙げられる。またこれらのベンゼン環の1個以上の水素原子が、メチル基、エチル基、n−ブチル基等のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、n−ブトキシ基等のアルコキシ基;ハロゲン原子;アルキル基の1個以上の水素原子がハロゲン原子に置換されたハロアルキル基;ニトロ基;シアノ基;アミド基等に置換された単量体が挙げられる。
【0115】
スルホン酸基を有する単量体としては、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アリルオキシプロパンスルホン酸、(メタ)アクリル酸−2−スルホエチル、(メタ)アクリル酸−2−スルホプロピル、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等が挙げられる。
【0116】
その他の単量体としては、炭化水素系オレフィン類、ビニルエーテル類、イソプロペニルエーテル類、アリルエーテル類、ビニルエステル類、アリルエステル類、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリルアミド類、芳香族ビニル化合物、クロロオレフィン類、共役ジエン類が挙げられる。これらの化合物には、官能基が含まれていてもよく、官能基としては、例えば、カルボニル基、アルコキシ基等が挙げられる。特に、組成物から形成されるスペーサーの耐熱性に優れるので、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリルアミド類が好ましい。
【0117】
アルカリ可溶性樹脂(J)を共重合する際は、溶媒中で重合開始剤の存在下、不飽和化合物をラジカル重合することで製造できる。製造の際は前記の溶媒を使用でき、単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
【0118】
アルカリ可溶性樹脂(J)を製造するための重合反応に用いられる重合開始剤としては、一般的にラジカル重合開始剤として知られているものが使用できる。ラジカル重合開始剤としては、例えば2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物;ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシピバレート、1,1’−ビス−(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン等の有機過酸化物及び過酸化水素が挙げられる。ラジカル重合開始剤として過酸化物を用いる場合には、過酸化物を還元剤とともに用いてレドックス型開始剤としてもよい。
【0119】
アルカリ可溶性樹脂(J)を製造するための重合反応においては、分子量を調整するために、分子量調整剤を使用できる。分子量調整剤としては、例えばクロロホルム、四臭化炭素等のハロゲン化炭化水素類;n−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、チオグリコール酸等のメルカプタン類;ジメチルキサントゲンスルフィド、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィド等のキサントゲン類;ターピノーレン、α−メチルスチレンダイマー等が挙げられる。
【0120】
水酸基を有する単量体、エチレン性二重結合を有する酸無水物、カルボキシル基を有する単量体、エポキシ基を有する単量体等、フェノール性水酸基を有する単量体、スルホン酸基を有する単量体等の反応性基を有する単量体(e)に対する、前記反応性基と結合し得る官能基とエチレン性二重結合とを有する化合物(f)として、例えば以下の組み合わせが挙げられる。
(1)水酸基を有する単量体(e)に対し、エチレン性二重結合を有する酸無水物(f)、
(2)水酸基を有する単量体(e)に対し、イソシアネート基とエチレン性二重結合を有する化合物(f)、
(3)水酸基を有する単量体(e)に対し、塩化アシル基とエチレン性二重結合を有する化合物(f)、
(4)エチレン性二重結合を有する酸無水物(e)に対し、水酸基とエチレン性二重結合を有する化合物(f)、
(5)カルボキシル基を有する単量体(e)に対し、エポキシ基とエチレン性二重結合を有する化合物(f)、
(6)エポキシ基を有する単量体(e)に対し、カルボキシル基とエチレン性二重結合を有する化合物(f)。
【0121】
イソシアネート基とエチレン性二重結合を有する化合物の具体例としては、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、1,1−(ビス(メタ)アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート等が挙げられる。
【0122】
塩化アシル基とエチレン性二重結合を有する化合物の具体例としては、(メタ)アクリロイルクロライドが挙げられる。
【0123】
水酸基とエチレン性二重結合を有する化合物の具体例としては、上記した水酸基を有す
る単量体の例が挙げられる。
【0124】
エポキシ基とエチレン性二重結合を有する化合物の具体例としては、上記したエポキシ基を有する単量体の例が挙げられる。
【0125】
カルボキシル基とエチレン性二重結合を有する化合物の具体例としては、上記したカルボキシル基を有する単量体の例が挙げられる。
【0126】
共重合体と、反応性基と結合し得る官能基とエチレン性二重結合とを有する化合物(f)を反応させる際は、反応に用いる溶媒としては、上記共重合体の合成において例示した溶媒を使用できる。
【0127】
また、アルカリ可溶性樹脂(J)を製造するための重合反応においては重合禁止剤を配合することが好ましい。重合禁止剤としては、公知公用の重合禁止剤を使用することができ、具体的には、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールが挙げられる。
【0128】
また、触媒や中和剤を加えてもよい。例えば、水酸基を有する共重合体と、イソシアネート基とエチレン性二重結合を有する化合物を反応させる場合、錫化合物等を用いることができる。錫化合物としては、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジ(マレイン酸モノエステル)、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジ(マレイン酸モノエステル)、ジブチル錫ジアセテート等が挙げられる。
【0129】
水酸基を有する共重合体と、塩化アシル基とエチレン性二重結合を有する化合物を反応させる場合、塩基性触媒を用いることができる。塩基性触媒としては、トリエチルアミン、ピリジン、ジメチルアニリン、テトラメチル尿素等が挙げられる。
【0130】
アルカリ可溶性樹脂(J)のMwとしては、2×10〜1×10が好ましく、5×10〜5×10がより好ましい。アルカリ可溶性樹脂(J)のMwを2×10〜1×10とすることによって、本発明の組成物の放射線感度及び現像性(所望のパターン形状を正確に形成する特性)を高めることができる。
【0131】
更に、本発明の組成物には、必要に応じて界面活性剤(K)、レベリング剤、消泡剤、フィラー、紫外線吸収剤、光安定化剤、酸化防止剤、重合禁止剤、架橋剤(L)、密着助剤、顔料、染料などを本発明の組成物に添加し、それぞれ目的とする機能性を付与することも可能である。レベリング剤、消泡剤としてはフッ素系化合物、シリコーン系化合物、アクリル系化合物等が、紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、トリアジン系化合物等、光安定化剤としてはヒンダードアミン系化合物、ベンゾエート系化合物等、酸化防止剤としてはフェノール系化合物等、重合禁止剤としては、メトキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノン等が、架橋剤としては、前記ポリイソシアネート類、メラミン化合物等が挙げられる。
【0132】
この他に活性エネルギー線に反応性を示さない樹脂類(いわゆるイナートポリマー)として、たとえばその他のエポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ケトンホルムアルデヒド樹脂、クレゾール樹脂、キシレン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、スチレン樹脂、グアナミン樹脂、天然及び合成ゴム、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、及びこれらの変性物を用いることもできる。これらは樹脂組成物中に40質量部までの範囲において用いることが好ましい。
【0133】
本発明の組成物本発明の組成物は、成分(A)+成分(B)+成分(C)+成分(D)+成分(E)+成分(F)の合計が100質量部の場合、組成物中に反応性ポリカルボン酸化合物(A)1〜31質量部、好ましくは1〜27質量部、反応性化合物(B)1〜31質量部、さらに好ましくは1〜27質量部、光重合開始剤(C)0.1〜8質量部、好ましくは0.1〜6質量部、黒色色材(D)0.1〜28質量部、好ましくは0.5〜28質量部、分散剤(E)0.1〜20質量部、好ましくは0.3〜12質量部、有機溶剤(F)60〜95質量部、好ましくは65〜90質量部を含む。必要に応じてその他の成分を0〜80質量部含んでいてよい。
【0134】
<ブラックマトリックス及び表示素子用着色スペーサーの形成方法>
本発明の組成物から形成されるブラックマトリックス及び表示素子用着色スペーサーは、本発明の一態様である。当該ブラックマトリックス及び表示素子用着色スペーサーの形成方法は、
(1)本発明の組成物を、基板上に塗布して塗膜を形成する工程、
(2)上記塗膜の少なくとも一部に放射線を照射する工程、
(3)上記放射線が照射された塗膜を現像する工程、及び
(4)上記現像された塗膜を加熱する工程
を含む。
【0135】
本発明の組成物を用いてフォトリソグラフィー法によってフォトスペーサー及び/またはカラーフィルター保護膜を形成する方法を簡単に説明する。本発明の組成物を、基板上にロールコート、スピンコート、スプレーコート、スリットコート等、公知の方法によって均一に塗布し、乾燥させて感光性樹脂組成物層を形成する。塗布装置としては、公知の塗布装置が使用でき、例えば、スピンコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、カーテンコーター、グラビアコーター及びコンマコーター等が挙げられる。
【0136】
本発明の組成物を塗布した後、必要に応じて、熱を加えて乾燥させる(プリベーク)。乾燥温度としては、50℃以上が好ましく、さらに好ましくは70℃以上であり、また150℃未満が好ましく、さらに好ましくは120℃以下である。乾燥時間は、30秒以上が好ましく、さらに好ましくは1分以上であり、また20分以下が好ましく、さらに好ましくは10分以下である。
【0137】
次いで、所定のフォトマスクを介して活性エネルギー線により、組成物層の露光を行う。本発明の組成物であれば、直径5〜10μm程度(面積20〜100μm2程度)のマスク開口部であっても、精度良く、すなわち直径6〜12μm(面積30〜120μm)の範囲で形成することができる。
【0138】
露光に用いる活性エネルギー線としては、本発明の組成物を硬化させることができれば特に制限はない。本発明の組成物は活性エネルギー線によって容易に硬化する。ここで活性エネルギー線の具体例としては、紫外線、可視光線、赤外線、X線、ガンマー線、レーザー光線等の電磁波、アルファー線、ベータ線、電子線等の粒子線等が挙げられる。本発明の好適な用途を考慮すれば、これらのうち、紫外線、レーザー光線、可視光線、または電子線が好ましい。露光量としては、特に限定されないが、好ましくは20〜1,000mJ/cmである。
【0139】
続いて未露光部を現像液で除去し、現像を行う。ここで現像に用いる現像液は、有機溶剤を用いても構わないが、アルカリ水溶液を用いることが好ましい。現像液として用いることのできるアルカリ水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機塩の水溶液;ヒドロキシテトラメチルアンモニウム、ヒドロキシテトラエチルアンモニウム等の有機塩の水溶液が挙げられる。これらを単独または2種以上組み合わせて用いることもでき、また、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤等の界面活性剤やメタノール、エタノール等の水溶性有機溶剤を添加して用いることもできる。アルカリ水溶液におけるアルカリの濃度は、適当な現像性を得る観点から、0.1〜5質量%が好ましい。現像方法としては、ディップ方式とシャワー方式、液盛り方式、振動浸漬方式があるが、シャワー方式が好ましい。現像液の温度は、好ましくは25〜40℃で使用される。現像時間は、膜厚やレジストの溶解性に応じて適宜決定される。
【0140】
より硬化を確実にするために、必要に応じて加熱(ベーク)を行っても良い。ベークを行う場合、ベーク温度としては、好ましくは120〜250℃である。ベーク時間は、加熱機器の種類により異なるが、例えばホットプレート上で加熱工程を行う場合は5分〜30分間、オーブン中で加熱工程を行う場合は、30分〜90分間とすることができる。2回以上の加熱工程を行うステップベーク法等を用いることもできる。
【0141】
このように形成されたブラックマトリックスの膜厚としては、0.2μm〜20μmが好ましく、0.5μm〜10μmがより好ましく、0.8μm〜5μmが特に好ましい。
【0142】
また、着色スペーサーの膜厚としては、0.1μm〜8μmが好ましく、0.1μm〜6μmがより好ましく、0.1μm〜4μmが特に好ましい。
【実施例】
【0143】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。また、実施例中、特に断りがない限り、部は質量部を示す。
【0144】
軟化点、エポキシ当量、酸価は以下の条件で測定した。
1)エポキシ当量:JISK7236:2001に準じた方法で測定した。
2)軟化点:JISK7234:1986に準じた方法で測定した。
3)酸価:JISK0070:1992に準じた方法で測定した
【0145】
合成例1〜1−18:反応性ポリカルボン酸化合物(A)の調製
エポキシ樹脂(a)としてNC−3000H(日本化薬製、エポキシ当量288g/eq)、XD−1000(日本化薬製、エポキシ当量254g/eq)、EOCN−103S(日本化薬製、エポキシ当量200g/eq)を表1中記載量、化合物(b)としてアクリル酸(略称AA、Mw=72)を表1中記載量、化合物(c)としてジメチロールプロピオン酸(略称DMPA、Mw=134)を表1中記載量加えた。触媒としてトリフェニルフォスフィン3g、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルモノアセテートを固形分が反応液の80質量%となるように加え、100℃で24時間反応させ、反応性エポキシカルボキシレート化合物(G)溶液を得た。固形分酸価(AV:mgKOH/g)5以下を反応終点とし、次反応に進んだ。酸価測定は、反応溶液にて測定し固形分としての酸価に換算した。
次いで、反応性エポキシカルボキシレート化合物(G)溶液に多塩基酸無水物(d)として、無水イタコン酸(略称IA)、無水シトラコン酸(略称CA)を表1記載量、及び溶剤として固形分が65質量部となるようプロピレングリコールモノメチルエーテルモノアセテートを添加、100℃に加熱した後、酸付加反応させ、反応性ポリカルボン酸化合物(A)溶液を得た。固形分酸価(AV:mgKOH/g)を表1中に記載した。
【0146】
比較合成例1−1〜1−3:比較用反応性ポリカルボン酸化合物の調製
NC−3000H(日本化薬製、エポキシ当量288g/eq)、XD−1000(日本化薬製、エポキシ当量254g/eq)、EOCN−103S(日本化薬製、エポキシ当量200g/eq)を表1中記載量、化合物(b)としてアクリル酸を表1中記載量、触媒としてトリフェニルフォスフィン3g、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルモノアセテートを固形分が反応液の80質量%となるように加え、100℃で24時間反応させ、カルボキシレート化合物溶液を得た。固形分酸価(AV:mgKOH/g)5mgKOH/g以下を反応終点とし、次反応に進んだ。
次いで、反応性エポキシカルボキシレート化合物溶液に多塩基酸無水物として、テトラヒドロ無水フタル酸(略称THPA)を表1記載量、及び溶剤として固形分が65質量部となるようプロピレングリコールモノメチルエーテルモノアセテートを添加、100℃に加熱した後、酸付加反応させ比較用反応性ポリカルボン酸化合物溶液を得た。固形分酸価(AV:mgKOH/g)を表1中に記載した。
【0147】
【表1】
【0148】
合成例1及び比較合成例1で用いた各成分の詳細を示す。
<反応性化合物(B)>
B−1:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートとの混合物(KAYARAD DPHA、日本化薬製)
<光重合開始剤(C)>
C−1:1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルアセチルオキシム)〕(イルガキュアOXE01、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社)
C−2:エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)(イルガキュアOXE02、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社)
<有機溶剤(F)>
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
DEGDM:ジエチレングリコールジメチルエーテル
【0149】
<顔料分散液(I)の合成>
黒色色材として、カーボンブラック(MA−100、三菱化学(株)製)20.0質量部、分散剤としてアジスパーPB821(味の素ファインテクノ(株)製)6.0質量部、有機溶剤としてPGMEA 74質量部を仕込み、ビードミルで12時間混合分散して顔料分散液(I−1)を得た。
【0150】
<その他の任意成分>
<アルカリ可溶性樹脂(J)の合成>
[合成例2]
冷却管、撹拌機を備えたフラスコに、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を7質量部、ジエチレングリコールメチルエチルエーテルを200質量部を仕込んだ。引き続きスチレンを5質量部、メタクリル酸を16質量部、ジシクロペンタニルメタクリレートを34質量部、メタクリル酸グリシジルを40質量部、α−メチルスチレンダイマーを3質量部それぞれ仕込み窒素置換した後、さらに1,3−ブタジエンを5質量部仕込み、ゆるやかに攪拌を始めた。溶液の温度を70℃に上昇させ、この温度を5時間保持し、共重合体[J−1]を含む重合体溶液を得た。得られた重合体溶液の固形分濃度は33.1%であり、重合体の質量平均分子量は、10,000であった。
<界面活性剤(K)>
K−1:フッ素系界面活性剤(ネオス社、フタージェントFTX−218)
K−2:シリコーン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング・シリコーン社、SH8400FLUID)
<架橋剤(L)>
L−1:クレゾールノボラック型エポキシ樹脂EOCN−103S(日本化薬製)
【0151】
<当該組成物の調製>
[実施例1−1]
反応性ポリカルボン酸化合物(A)として、合成例1−1で得られた反応物 30質量部(固形分)に相当する量を含む溶液に、反応性化合物(B)として(B−1)を8質量部、光重合開始剤(C)として(C−2)を8質量部、顔料分散液(I)として(I−1)を54質量部(固形分)、有機溶剤としてPGMEA、DEGDMを所望の固形分濃度となるように添加し、界面活性剤(K)として(K−1)を0.05質量部を混合し、本発明の組成物(S−1)を調製した。なお、表2中の有機溶剤の数値は、PGMEAとDEGDMの質量比である。
【0152】
[実施例1−2〜1−24及び比較例1−1〜1−5]
各成分の種類及び配合量を表1に記載の通りとした以外は、実施例1−1と同様に操作して実施例1−2〜1−24及び比較例1−1〜1−5の組成物を調製した。なお、表2中の有機溶剤の数値は、PGMEAとDEGDMの質量比である。
【0153】
【表2】
【0154】
<評価>
実施例1−1〜1−24及び比較例1−1〜1−5の組成物、及びその塗膜から形成されるブラックマトリックスについて下記の評価をした。評価結果を表3に示す。
【0155】
(粘度)
E型粘度計(東機産業(株)製、TV−200)を用いて、25℃における各組成物の粘度(mPa・s)を測定した。
【0156】
(固形分濃度)
当該組成物0.3gをアルミ皿に精坪し、ジエチレングリコールジメチルエーテル約1gを加えたのち、175℃で60分間ホットプレート上にて乾固させて、乾燥前後の質量から当該組成物中の固形分濃度(質量%)を求めた。
【0157】
(塗膜の外観)
100×100mmの無アルカリガラス基板上に、当該組成物をスリットダイコーター((株)テクノマシーン製、理化ダイ)を用いて塗布し0.5Torrまで減圧乾燥した後、ホットプレート上で100℃にて2分間プレベークして塗膜を形成し、さらに200mJ/cmの露光量で露光することにより、クロム成膜ガラスの上面からの膜厚が4μmの膜を形成した。ナトリウムランプ下において、肉眼によりこの塗膜の外観の観察を行った。このとき、塗膜の全体における筋ムラ(塗布方向又はそれに交差する方向にできる一本または複数本の直線のムラ)、モヤムラ(雲状のムラ)、ピン跡ムラ(基板支持ピン上にできる点状のムラ)の出現状況を調べた。これらのムラのいずれもほとんど見えない場合を「○(良好)」、いずれかが少し見える場合を「△(やや不良)」、はっきりと見える場合を「×(不良)」と判断した。
【0158】
(高速塗布性)
100mm×100mmの無アルカリガラス基板上にスリットコーターを用いて塗布し塗布条件として、下地とノズルの距離150μm、露光後の膜厚が2.5μmとなるように、ノズルから塗布液を吐出し、ノズルの移動速度を120mm/sec.〜200mm/sec.の範囲で変量し、液切れによる筋状のムラが発生しない最大速度を求めた。この時、150mm/sec.以上の速度でも筋状のムラが発生しない場合は、高速塗布に対応が可能であると判断できる。
【0159】
(放射線感度)
100mm×100mmのITOスパッタしたガラス基板上にスピンコート法を用いて、当該組成物を塗布したのち、90℃のホットプレート上で3分間プレベークすることにより、膜厚3.5μmの塗膜を形成した。次いで、得られた塗膜に、開口部として直径12μmの円状パターンが形成されたフォトマスクを介して、紫外線露光装置((株)オーク製作所、型式HMW−680GW)を用いて露光した。その後、0.05質量%水酸化カリウム水溶液により25℃にて60秒間現像したのち、純水で1分間洗浄し、さらに230℃のオーブン中で30分間ポストベークすることにより、パターン状被膜からなるスペーサーを形成した。このとき、ポストベーク後の残膜率(ポストベーク後の被膜の膜厚×100/露光後(ポストベーク前)膜厚)が90%以上となる最小の露光量を調べ、この値を感度とした。この値が100mJ/cm以下であった場合、感度は良好であるといえる。
また、基板上表面を目視により観察し、残留物の有無を確認した。評価基準は以下の通り。
○…残留物なし。
△…残留物わずかにあり。
×…残留物が多い
【0160】
(密着性)
20μmのマスクパターンを忠実に再現する露光量における現像可能なレジストの最小パターン寸法を顕微鏡により観察した。顕微鏡の倍率は200倍。評価基準は以下の通り。
○…最小パターン寸法が、10μm以下の場合
×…最小パターン寸法が、10μmを超える場合
【0161】
(不純物強制抽出処理および下ITO法による電圧保持率[VHR]の測定)
電極として、ITO電極が形成されたガラス基板(100mm×100mm)を定法にしたがって洗浄した。次に、上記ガラス基板のITO電極上に、スピンコート法を用いて、当該組成物を塗布したのち、90℃、3分間の条件でプリベークし、額縁状フォトマスクで100mJ/cm2のエネルギー量で露光し、0.05%KOH水溶液を用いたスプレー現像を60秒行った後、230℃、30分間のポストベークを行うことで、膜厚1.5μmのブラックマトリックス層をITO電極上に形成した。一方、対向電極として、ITO電極が形成されたガラス基板(100mm×100mm)を準備し定法にしたがって洗浄した。
電極と対向電極とを対向させ、周辺部をシール部材により封止し、両電極間に液晶(メルクジャパン社製MLC−6846−000)を注入し、注入口を封止して、測定用液晶セルを作製した。なお、使用した液晶は、不純物強制抽出処理前の状態において、上記の測定用液晶セルで下記の電圧保持率測定条件にて測定した電圧保持率が98%以上となるものであった。
上記で作製した測定用液晶セルごと加熱処理(オーブン中、105℃、2.5時間放置)を施して、ブラックマトリックス層に対して不純物強制抽出処理を行った。次に、上記のように不純物強制抽出処理を施した測定用液晶セルを室温に戻し、下記の条件で、電極と対向電極間に電圧を印加して電圧保持率を測定した。この値が95%以上あった場合、電圧保持率は良好であるといえる。なお、電圧保持率の測定には、電圧保持率測定システムVHR−6254型((株)東陽テクニカ製)を用いた。
(電圧保持率測定条件)
・電極と対向電極間の距離:5〜15μm
・印加電圧パルス振幅:5V
・印加電圧パルス周波数:60Hz
・印加電圧パルス幅:20μsec
【0162】
【表3】
【0163】
上記の結果から明らかなように、実施例1−1〜1−24の本発明における反応性ポリカルボン酸化合物(A)を含有する活性エネルギー線硬化型組成物は、比較例1−1〜1−5の組成物と比べて、現像性、硬化性、高速塗布性が良好であり、電圧保持率、密着性に優れることが明らかとなった。
【産業上の利用可能性】
【0164】
本発明の組成物は、現像性、硬化性、高速塗布性が良好であり、電圧保持率、密着性に優れた表示素子用着色スペーサー及びブラックマトリックスを形成することができる。従って、当該組成物は液晶表示素子、有機EL等の表示素子用着色スペーサー、ブラックマトリックスを形成するための材料として好適である。