(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明のトリフェニルアミン誘導体は一般式(1)で表される。
【化5】
一般式(1)中のR
1、R
2、R
3、およびR
5は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、または置換もしくは無置換のフェニル基を表す。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの炭素数1〜6のアルキル基が挙げられる。好ましくは炭素数1〜3のアルキル基であり、さらに好ましくはメチル基である。
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などの炭素数1〜6のアルコキシ基が挙げられる。好ましくは炭素数1〜3のアルコキシ基であり、さらに好ましくはメトキシ基である。
アルキル基およびアルコキシ基における置換基としては、フェニル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、フェニルオキシ基などが挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子が挙げられる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などの炭素数1〜6のアルコキシ基が挙げられる。
フェニル基における置換基としては、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、またはハロゲン原子などが挙げられる。炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などが挙げられる。炭素数1〜6のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などが挙げられる。ハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、臭素原子、塩素原子などが挙げられる。
【0010】
一般式(1)中のR
4は、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、または置換もしくは無置換のフェニル基を表す。
置換もしくは無置換のアルキル基は、前記R
1、R
2、R
3、およびR
5について説明した置換もしくは無置換のアルキル基と同様である。
置換もしくは無置換のフェニル基は、前記R
1、R
2、R
3、およびR
5について説明した置換もしくは無置換のフェニル基と同様であり、さらに、フェニル基における置換基は、4,4−ジアリール−1,3−ブタジエニル基、2,2−ジアリール−1−エチニル基などであってもよい。ここで、「アリール」とは、具体的には、上記R
1、R
2、R
3、およびR
5で説明した置換もしくは無置換のフェニル基と同様である。
特に、R
1およびR
2は、水素原子、またはメチル基が好ましく、R
3、R
4およびR
5は、水素原子が好ましい。
【0011】
一般式(1)中のArは、置換もしくは無置換のフェニル基を表す。
フェニル基における置換基としては、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、またはハロゲン原子などが挙げられる。炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などが挙げられる。炭素数1〜6のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などが挙げられる。ハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、臭素原子、塩素原子などが挙げられる。
一般式(1)中のmは1〜3の整数を表す。
【0012】
一般式(1)で表されるトリフェニルアミン誘導体は、好ましくは一般式(1’)で表されるトリフェニルアミン誘導体である。
【化6】
一般式(1’)中のR
1およびR
2は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基を表す。置換もしくは無置換のアルキル基は先に記載したとおりである。
一般式(1’)中のArは置換もしくは無置換のフェニル基を表す。置換もしくは無置換のフェニル基は先に記載したとおりである。
一般式(1’)中のmは1〜3の整数を表す。
【0013】
さらに、一般式(1)で表されるトリフェニルアミン誘導体は、好ましくは一般式(1’’)で表されるトリフェニルアミン誘導体である。
【化7】
一般式(1’’)中のR
1およびR
2は、それぞれ独立して、水素原子またはメチル基を表す。
一般式(1’’)中のArは置換もしくは無置換のフェニル基を表す。置換もしくは無置換のフェニル基は先に記載したとおりである。
一般式(1’’)中のmは1〜3の整数を表す。)
【0014】
一般式(1)の好ましい例として以下の化合物を例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下の化合物中、Etはエチル基を表す。
【化8】
【0016】
これらの中でも、化合物(1−3)、(1−4)、(1−14)、(1−16)、および(1−17)が好ましい。
本発明の一般式(1)で表されるトリフェニルアミン誘導体は、一般式(2)で表されるハロゲン化合物を中間体として経由して合成することができる。
【化10】
一般式(2)中のR
1、R
2、R
3、R
4、およびR
5は、一般式(1)の定義と同じである。
一般式(2)中のXは塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を表す。
一般式(2)の好ましい例として以下の化合物を例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0018】
これらの中でも、化合物(2−1)、(2−2)、(2−3)、(2−4)、および(2−5)が好ましい。
次に、一般式(2)で表されるハロゲン化合物を中間体として経由して、本発明の一般式(1)で表されるトリフェニルアミン誘導体を合成する方法を、以下で具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0019】
(スキーム1)
【化12】
スキーム1中、Etはエチル基を表す。
【0020】
例えば、ベンズアルデヒド誘導体(3)とパラハロベンジルホスホン酸エステル誘導体(ホルナー−エモンズ試薬)(4)を塩基の存在下で反応させて4’‐ハロスチルベン‐4‐カルボアルデヒド(5)を合成し、さらに3,3−ジアリールアリルホスホン酸エステル(ホルナー−エモンズ試薬)(6)を塩基の存在下で反応させることにより、目的とする本発明の一般式(2)で表されるハロゲン化合物を合成することができる。一般式(2)で表されるハロゲン化合物は、本発明の一般式(1)で表されるトリフェニルアミン誘導体の製造中間体として有用である。
【0021】
(スキーム2)
【化13】
次に、Buchwaldらの方法(J.Org.Chem.,2000,65,5327)に準じて、アニリン誘導体(7)を、パラジウム錯体および塩基の存在下において、またはPdのような金属とリン原子を含む配位子および塩基の存在下において、一般式(2)で表されるハロゲン化合物と反応させることにより本発明の一般式(1)で表されるトリフェニルアミン誘導体を合成することができる。
または、Buchwaldらの方法(Org.Lett.2001,3,3417)に準じて、一般式(2)で表されるハロゲン化合物を、パラジウム錯体および塩基の存在下において、またはPdのような金属とリン原子を含む配位子および塩基の存在下において、リチウムアミド(LiNH
2)と反応させることにより本発明の一般式(1)で表されるトリフェニルアミン誘導体を合成することができる。
【0022】
スキーム1及び2で使用される塩基としては、水酸化ナトリウム、ナトリウムアミド及びナトリウムメトキシド、ナトリウム−tert−ブトキシド、カリウム−tert−ブトキシド等の金属アルコキシドなどを挙げることができる。
スキーム1及び2で使用される溶媒としては、メタノール、エタノール等のアルコール、1,2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、トルエン、キシレン等の炭化水素、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等の非プロトン性極性溶媒、又はこれらの溶媒の混合物を用いることができる。
スキーム2で使用できるパラジウム錯体としては、PdCl
2、Pd(OAc)
2、[PdCl(allyl)]
2、Pd
2(dba)
3などを挙げることができる。ここで、「Ac」はアセチル基を表し、「dba」はジベンジリデンアセトンを表す。
リン原子を含む配位子としては、トリフェニルホスフィン、トリ−o−トリルホスフィンなどのトリアリールホスフィン系、トリ−t−ブチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィンなどのトリアルキルホスフィン系、2−(ジシクロヘキシル)ホスフィノビフェニル、2−(ジ−t−ブチルホスフィノ)ビフェニル、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)−2’,4’,6’−トリ−イソプロピル−1,1’−ビフェニル、2−(ジ−t−ブチルホスフィノ)−2’−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニルなどの2−ホスフィノビフェニル系、1,1−ジフェニル−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)プロペン、1,1−ジフェニル−2−(ジ−t−ブチルホスフィノ)プロペンなどのオレフィン置換ホスフィン系、(ジ−t−ブチル)(1−メチル−2,2−ジフェニルシクロプロピル)ホスフィン、(ジシクロヘキシル)(1−メチル−2,2−ジフェニルシクロプロピル)ホスフィンなどのシクロプロパン環置換ホスフィン系のリガンドを挙げることができる。
【0023】
本発明の一般式(1)で表されるトリフェニルアミン誘導体は、有機トランジスタ、有機太陽電池などの導電性素材として有用であり、とくに電子写真用感光体における光導電性素材として有用である。
本発明の電子写真感光体としては、具体的には導電性支持体上に、感光層が電荷発生層と電荷輸送層に機能分離された、いわゆる機能分離型積層電子写真感光体と、導電性支持体上に電荷発生剤及び電荷輸送剤を含有する単一の感光層を設けた、いわゆる単層型電子写真感光体とが挙げられる。
機能分離型積層電子写真感光体において、本発明の一般式(1)で表されるトリフェニルアミン誘導体を電荷輸送剤として用いた電荷輸送層は、本発明の一般式(1)で表されるトリフェニルアミン誘導体をそのまま導電性支持体または電荷発生層に蒸着させるか、本発明の一般式(1)で表されるトリフェニルアミン誘導体とバインダー樹脂とを適当な溶剤に溶解させた溶液を導電性支持体または電荷発生層に塗布して乾燥させることにより形成される。
一方、単層型電子写真感光体においては、電荷発生剤および本発明の一般式(1)で表されるトリフェニルアミン誘導体等をバインダー樹脂とともに適当な溶剤に溶解または分散させた溶液を導電性支持体に塗布して乾燥させることにより形成される。尚、単層型電子写真感光体中には、必要に応じて電子輸送材料を含有させても良い。
【0024】
バインダー樹脂としては、例えばポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアミド、アクリル樹脂、アクリロニトリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリアリレート(芳香族ポリエステル)樹脂、アルキド樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリスチレンあるいはこれらの共重合体等の絶縁性ポリマーを挙げることができる。また、これらの絶縁性ポリマーの他に、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセンやポリビニレン等の有機光導電性ポリマーも使用できる。これらのバインダー樹脂の中で、ポリアリレート樹脂またはポリカーボネートを用いるのが特に好ましい。
好適に使用できるポリアリレート樹脂としては、例えばユニチカ株式会社製の品番Uシリーズもしくは共重合ポリアリレート樹脂などがあげられる。
好適に使用できるポリカーボネートとしては、ビスフェノールA(2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン)のポリカーボネート樹脂(例えば、三菱ガス化学株式会社製のユーピロンEシリーズ)、ビスフェノールZ(1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン)のポリカーボネート樹脂(例えば、帝人化成社製のパンライトシリーズ、三菱ガス化学株式会社製のユーピロンZシリーズ)、特開平4−179961号公報に開示されているビスフェノール/ビフェノール共重合ポリカーボネート樹脂などが挙げられる。
【0025】
また、上述したポリカーボネートの他にも特開平6−214412号公報及び特開平6−222581号公報に開示されているポリカーボネートを使用することができる。
さらに特開平5−297620号公報及び特開平5−158249号公報に開示されている滑り性や耐摩耗性が優れるバインダー樹脂としてポリシロキサン共重合ポリカーボネート樹脂も使用することができる。
これらのバインダー樹脂と本発明の一般式(1)で表されるトリフェニルアミン誘導体との配合割合は、バインダー樹脂100重量部当たり、本発明の一般式(1)で表されるトリフェニルアミン誘導体を含有する全ての電荷輸送物質を1〜1000重量部、好ましくは30〜500重量部、さらに好ましくは40〜200重量部添加することができる。さらに、全ての電荷輸送物質の全重量に対して、本発明の一般式(1)で表されるトリフェニルアミン誘導体を0.1〜100重量%、好ましくは1〜100重量%、さらに好ましくは10〜100重量%添加することができる。
【0026】
用いる溶剤としては、特に限定されないが、有機溶剤が使用できる。有機溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、N,N‐ジメチルホルムアミド、N,N‐ジメチルアセトアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル類、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、ジクロロエチレン、四塩化炭素、トリクロロエチレン等の脂肪族ハロゲン化炭化水素、あるいはベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族化合物等が挙げられ、これらの溶媒を単独で、またはこれらの混合物の形で用いることができる。
【0027】
本発明の感光体に用いられる導電性支持体としては、銅、アルミニウム、銀、鉄、亜鉛、ニッケル等の金属や合金の箔ないしは板をシート状またはドラム状にしたものが使用される。あるいは、これらの金属をプラスティックのフィルムや円筒等に真空蒸着、電解メッキしたもの、あるいは導電性ポリマー、酸化インジウム、酸化スズ等の導電性化合物の層をガラス、紙、あるいはプラスティックフィルム等の支持体上に塗布もしくは蒸着によって設けられたものが用いられる。
塗布は、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法、ローラーコーティング法、カーテンコーティング法等のコーティングを用いて行うことができる。
乾燥は、室温における乾燥の後、加熱乾燥する方法が好ましい。加熱乾燥は30〜200℃の温度で5分〜5時間の範囲で無風または送風下で行うことが好ましい。
【0028】
さらに、本発明の電子写真感光体においては、電荷輸送材料として本発明の一般式(1)で表されるトリフェニルアミン誘導体の他に必要に応じて他の電荷輸送材料及び種々の添加剤を含有させて用いることができる。他の電荷輸送材料としては、例えば米国特許第4150987号、特開昭61−23154号等に記載されているヒドラゾン化合物、特公昭58−32372号等に記載されているトリフェニルアミンダイマー、米国特許第3873312号等に記載されているジスチリル化合物、置換もしくは無置換のテトラフェニルブタジエン系化合物、α−フェニルスチルベン、置換もしくは無置換のポリビニルカルバゾール、置換基もしくは無置換のトリフェニルアミン、置換基もしくは無置換のトリフェニルメタン等が挙げられる。
さらに2,5−ジ(4−メチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物、有機ポリシラン化合物、1−フェニル−3−(p−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリン等のピラゾリン系化合物、インドール系化合物、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物、トリアゾール系化合物等の含窒素環式化合物、縮合多環式化合物等が挙げられる。
電荷輸送材料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、これらに限定されるものではない。
【0029】
種々の添加剤としては、例えばビフェニレン系化合物(例えば、特開平6‐332206号公報に開示されたもの)、m−ターフェニル、ジブチルフタレート等の可塑剤、シリコーンオイル、グラフト型シリコーンポリマー、各種フルオロカーボン類等の表面潤滑剤、ジシアノビニル化合物、カルバゾール誘導体等の電位安定剤、2−tert‐ブチル−4−メトキシフェノール、2,6−ジ−tert‐ブチル−4−メチルフェノール等のモノフェノール系酸化防止剤、ビスフェノール系酸化防止剤、4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン等のアミン系酸化防止剤、サリチル酸系酸化防止剤、トコフェロール等を挙げることができる。
本発明の電子写真感光体が機能分離型積層電子写真感光体である場合、得られる電荷輸送層の膜厚は、好ましくは5〜40μmであり、より好ましくは10〜30μmである。上述のようにして得られる電荷輸送層は、電荷発生層と電気的に接続されることにより、電界の存在下で電荷発生層から注入されたキャリアを受け取ると共に、これらのキャリアを、電荷輸送層を横切って電荷発生層と接している面とは反対の面まで輸送する機能を有する。この際、この電荷輸送層は電荷発生層の上層に積層されていても良く、また電荷発生層の下層に積層されていても良いが、電荷発生層の上層に積層されていることが望ましい。このように作製した感光層上には、必要に応じて保護層を塗布・形成することができる。また、導電性支持体と感光層との間にバリアー機能と接着機能を有する下引き層を設けることもできる。下引き層を形成する材料としては、ポリビニルアルコール、ニトロセルロース、ガゼイン、エチレン−アクリル酸共重合体、ナイロンなどのポリアミド、ポリウレタン、ゼラチン、酸化アルミニウムなどが挙げられる。下引き層の膜厚は、好ましくは0.1〜5μmであり、より好ましくは0.5〜3μmである。
【0030】
電荷発生層としては、さまざまな有機顔料が使用できる。
有機顔料としては、シーアイピグメントブルー25(カラーインデックスCI 21180)、シーアイピグメントレッド41(CI 21200)、シーアイアシッドレッド52(CI 45100)、シーアイベーシックレッド3(CI 45210)、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−95033号公報)、ジスチリルベンゼン骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−133445号公報)、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料(特開昭53−132347号公報)、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−21728号公報)、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−12742号公報)、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−22834号公報)、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−17733号公報)、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−2129号公報)、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料(特開昭54−14967号公報)、ベンズアントロン骨格を有するアゾ顔料などのアゾ顔料などが挙げられる。さらには、シーアイピグメントブルー16(CI 74100)、Y型オキソチタニウムフタロシアニン(特開昭64−17066号公報)、A(β)型オキソチタニウムフタロシアニン、B(α)型オキソチタニウムフタロシアニン、I型オキソチタニウムフタロシアニン(特開平11−21466号公報)、II型クロロガリウムフタロシアニン(飯島他,日本化学会第67春季年回,1B4,04(1994))、V型ヒドロキシガリウムフタロシアニン(大門他,日本化学会第67春季年回,1B4,05(1994))、X型無金属フタロシアニン(米国特許第3816118号)などのフタロシアニン系顔料、シーアイバットブラウン5(CI 73410)、シーアイバットダイ(CI 73030)などのインジコ系顔料、アルゴスカーレットB(バイエル社製)、インタンスレンスカーレットR(バイエル社製)などのペリレン顔料などが挙げられる。なお、これらの材料は、単独あるいは2種類以上が併用されてもよい。
また、セレン、セレン−テルル、硫化カドミウム、α−シリコン等の無機顔料も使用できる。
以上のようにして本発明の一般式(1)で表されるトリフェニルアミン誘導体を含有した電子写真感光体を得ることが出来る。
【実施例】
【0031】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。尚、合成例中において用いる測定機器及び測定条件を以下に示す。
(1)
1H−NMR機器;ブルッカー社製、DRX−500型装置(500MHz)
内部標準物質;テトラメチルシラン
重クロロホルム中で測定
(2)質量分析機器;島津LCMS−IT−TOF(株式会社島津製作所製)
【0032】
(実施例1)
化合物(2-1)( 4−(4’ −(4’’,4’’−ジフェニル−1’’,3’’−ブタジエニル)スチリル)クロロベンゼン)の合成
【化14】
p−クロロベンジルクロリド64.4g(0.4mol)にトリエチルホスファイト86.4g(0.52mol)を加え、5時間加熱還流を行った。過剰のトリエチルホスファイトを減圧下で除いたところ無色液体108.6gを得た。このうち26.3g(0.1mol)をテトラヒドロフラン800mlに溶解させ、さらにテレフタルアルデヒド67.1g(0.5mol)加えた。窒素雰囲気下、カリウム−tert−ブトキシド12.3g(0.11mol)を加え、さらに3時間攪拌した。トルエンにて抽出を行ない、水洗した後、濃縮し、これをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて不純物を除いたところ、白色固体の4−クロロスチリルベンズアルデヒド8.0gを得た。収率は33%であった。
得られた4−クロロスチリルベンズアルデヒド5.1g(21mmol)をテトラヒドロフラン50mlに溶解させ、さらにジエチル−(3,3−ジフェニルプロペニル)ホスホネート6.6g(20mmol)加えた。窒素雰囲気下、カリウム−tert−ブトキシド2.5g(22mmol)を加え、さらに3時間攪拌した。トルエンにて抽出を行ない、水洗した後、再結晶操作を行ったところ、黄色固体(化合物(2−1))6.1gを得た。収率は73%であった。
1H NMR(CDCl
3):δ;6.73(d,J=15.4Hz,1H)、6.87 6.94(m,2H)、7.00(d,J=16.5Hz,1H)、7.03(d,J=16.5Hz,1H)、7.25 - 7.32(m,11H)、7.38 - 7.45(m,7H)
質量分析([M]+):found m/z 418.1465[C30H23Cl]+(calculated;418.1468,−4.30ppm)
融点 173−174℃
【0033】
(実施例2)
化合物(2-2)(4−(4’−(4’’,4’’−ビス(4’’’−メチルフェニル)−1’’,3’’−ブタジエニル)スチリル)クロロベンゼン)の合成
【化15】
実施例1の方法により得られた4−クロロスチリルベンズアルデヒド5.1g(21mmol)をテトラヒドロフラン50mlに溶解させ、さらにジエチル−(3,3−(ジ−(4−ジメチルフェニル)プロペニル)ホスホネート7.2g(20mmol)加えた。窒素雰囲気下、カリウム−tert−ブトキシド2.5g(22mmol)を加え、さらに3時間攪拌した。トルエンにて抽出を行ない、水洗した後、再結晶操作を行ったところ、黄色固体(化合物(2−2))7.3gを得た。収率は82%であった。
1H NMR(CDCl
3):δ;2.34(s,3H)、2.43(s,3H)、6.69(d,J=15.4Hz,1H)、6.82(d,J=11.1Hz,1H)、6.94(dd,J=11.1,15.4Hz,1H)、6.97(d,J=16.4Hz,1H)、7.04(d,J=16.4Hz,1H)、7.09 - 7.11(m,2H)、7.16 - 7.24(m,6H)、7.28 - 7.31(m,4H)、7.38 - 7.42(m,4H)
質量分析([M]+):found m/z 446.1812[C32H27Cl]+(calculated;446.1796,+3.59ppm)
融点 187−189℃
【0034】
(実施例3)
化合物(1-3)( 4−(4’−(4’’,4’’−ジフェニル−1’’,3’’−ブタジエニル)スチリル)フェニルビス(4’’’−メチルフェニル)アミン)の合成
【化16】
窒素雰囲気下、キシレン20mlに、実施例1で得られた化合物(2-1)3.6g(8.5mmol)、ナトリウム−tert−ブトキシド1.0g(10.6mmol)、ジ-(p-トリル)アミン1.8g(8.9mmol)、[PdCl(allyl)]
212.4mg(0.040mmol)、および1,1−ジフェニル−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)プロペン31.9mg(0.096mmol)を加え、100℃に加熱した。2時間攪拌後、水を加え、さらにトルエンを加えて有機層を抽出した。水洗した後、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて不純物を除いたところ、黄色固体(化合物(1−3))3.5gを得た。収率は72%であった。
1H NMR(CDCl
3):δ;2.31(s,6H)、6.70 - 6.75(m,1H)、6.88 - 7.03(m,10H)、7.05 - 7.07(m,4H)、7.23 - 7.41(m,14H)、7.42 - 7.46(m,2H)
質量分析([M]+):found m/z 579.2940[C44H37N]+(calculated;579.2921,+3.28ppm)
融点 159℃
【0035】
(実施例4)
化合物(1-4)(4−(4’−(4’’,4’’−ビス(4’’’−メチルフェニル)−1’’,3’’−ブタジエニル)スチリル)フェニルビス(4’’’’−メチルフェニル)アミン)の合成
【化17】
窒素雰囲気下、キシレン30mlに実施例2で得られた化合物(2-2)3.8g(8.5mmol)、ナトリウム−tert−ブトキシド1.0g(10.6mmol)、ジ-(p-トリル)アミン1.8g(8.9mmol)、[PdCl(allyl)]
212.4mg(0.040mmol)、および1,1−ジフェニル−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)プロペン31.9mg(0.096mmol)を加え、100℃に加熱した。2時間攪拌後、水を加え、さらにトルエンを加えて有機層を抽出した。水洗した後、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて不純物を除いたところ、黄色固体(化合物(1−4))0.5gを得た。収率は26%であった。
1H NMR(CDCl
3):δ;2.31(s,6H)、2.34(s,3H)、2.43(s,3H)、6.69(d,J=15.3Hz,1H)、6.82(d,J=11.1Hz,1H)、6.91 - 6.95(m,2H)、6.97 - 7.02(m,7H)、7.04 - 7.07(m,4H)、7.08 - 7.11(m,2H)、7.15 - 7.24(m,6H)、7.27(d,J=8.4Hz,2H)、7.31 - 7.33(m,2H)、7.37(d,J=8.4Hz,2H)
質量分析([M]+):found m/z 607.3216[C46H41N]+(calculated;607.3234,−2.96ppm)
融点 165℃
【0036】
(実施例5)
化合物(1-14)(4,4’−ビス ( (4’’−(4’’’,4’’’−ジフェニル−1’’’,3’’’−ブタジエニル)スチリル)フェニル)(4’’’’−メチルフェニル)アミン)の合成
【化18】
窒素雰囲気下、キシレン25mlに、実施例1で得られた化合物(2-1)5.0g(12mmol)、ナトリウム−tert−ブトキシド1.4g(15mmol)、p-トルイジン0.6g(6mmol)、[PdCl(allyl)]
218mg(0.048mmol)、および1,1−ジフェニル−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)プロペン45mg(0.12mmol)を加え、100℃に加熱した。3時間攪拌後、水を加え、さらにトルエンを加えて有機層を抽出した。水洗した後、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて不純物を除いたところ、黄色固体(化合物(1−14))4.4gを得た。収率は85%であった。
1H NMR(CDCl
3):δ;2.33(s,3H)、6.70 - 6.76(m,2H)、6.87 - 7.05(m,14H)、7.10(d,J=8.1Hz,2H)、7.23 - 7.33(m,17H)、7.35 - 7.45(m,15H)
質量分析([M]+):found m/z 871.4157[C67H53N]+(calculated;871.4178,−2.41ppm)
融点 140℃
【0037】
(実施例6)
化合物(1-16)(4,4’,4’’−トリス((4’’’−(4’’’’,4’’’’−ジフェニル−1’’’’,3’’’’− ブタジエニル)スチリル)フェニル)アミン)
の合成
【化19】
窒素雰囲気下、キシレン30mlに、実施例1で得られた化合物(2-1)6.3g(15mmol)、ナトリウム−tert−ブトキシド1.4g(15mmol)、リチウムアミド0.12g(5mmol)、[PdCl(allyl)]
29.1mg(0.025mmol)、および(ジ−t−ブチル)(1−メチル−2,2−ジフェニルシクロプロピル)ホスフィン21mg(0.060mmol)を加え、100℃に加熱した。6時間攪拌後、水を加え、さらにトルエンを加えて有機層を抽出した。水洗した後、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて不純物を除いたところ、黄色固体(化合物(1−16))1.5gを得た。収率は25%であった。
1H NMR(CDCl
3):δ;6.70 - 6.76(m,3H)、6.87 - 6.94(m,6H)、6.97(d,J=16.3Hz,3H)、7.03(d,J=16.3Hz,3H)、7.08(d,J=8.7Hz,6H)、7.23 - 7.32(m,27H)、7.38 - 7.41(m,15H)、7.41 - 7.45(m,6H)
質量分析([M]+):found m/z 1163.5437[C90H69N]+(calculated;1163.5430,+0.60ppm)
融点 125℃
【0038】
(実施例7)
化合物(1-17)(4,4’,4’’−トリス(4’’’−(4’’’’,4’’’’−ビス(4’’’’’−メチルフェニル)−1’’’’,3’’’’−ブタジエニル)スチリル)フェニル)アミン)の合成
【化20】
窒素雰囲気下、キシレン40mlに、実施例2で得られた化合物(2-2)5.4g(12mmol)、ナトリウム−tert−ブトキシド1.4g(15mmol)、リチウムアミド0.09g(4mmol)、[PdCl(allyl)]
27.3mg(0.02mmol)、および(ジ−t−ブチル)(1−メチル−2,2−ジフェニルシクロプロピル)ホスフィン17mg(0.048mmol)を加え、100℃に加熱した。4時間攪拌後、水を加え、さらにトルエンを加えて有機層を抽出した。水洗した後、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて不純物を除いたところ、黄色固体(化合物(1−17))0.9gを得た。収率は36%であった。
1H NMR(CDCl
3):δ;2.34(s,9H)、2.43(s,9H)、6.69(d,J=15.3Hz,3H)、6.82(d,J=11.1Hz,3H)、6.93(dd,J=11.1,15.4Hz,3H)、6.96(d,J=16.2Hz,3H)、7.03(d,J=16.2Hz,3H)、7.07 - 7.12(m,12H)、7.16 - 7.24(m,18H)、7.28(d,J=8.4Hz,6H)、7.39(d,J=8.7Hz,12H)
質量分析([M]+):found m/z 1247.6356[C96H81N]+(calculated;1247.6369,−0.99ppm)
融点 148℃
【0039】
(実施例8)
バインダー樹脂としてポリカーボネート樹脂「TS−2020」(帝人化成株式会社製)15重量部と実施例5で得られた化合物(1-14)15重量部をテトラヒドロフラン85重量部中で混合溶解させた。この溶液を、ドクターブレードで、ポリエチレンフタレート(PET)フィルム上にアルミを蒸着したシート上に塗布し、80℃で3時間乾燥させて電荷輸送層を形成した(厚み:18μm)。得られた電荷輸送層において結晶析出は見られなかった。
この電荷輸送層上に半透明金電極を蒸着して電荷キャリア移動度を測定した。キャリア移動度の測定は、光源としてパルス半値幅0.9sec、波長337nmの窒素ガスレーザーを用い、タイム−オブ−フライト法(田中聡明、山口康浩、横山正明:電子写真、29、366(1990))にて行なった。25℃、25V/μmでの測定結果を表1に示す。
【0040】
(実施例9および10)
実施例8と同様に、実施例6で得られた化合物(1−16)または実施例7で得られた化合物(1-17)を用いて電荷輸送層を作成し、電荷キャリア移動度を測定した。この結果を表1に示す。
【0041】
(比較例1および2)
実施例8と同様に、比較化合物(1)または比較化合物(2)を用いて電荷輸送層を作成し、電荷キャリア移動度を測定した。この結果を表1に示す。
なお、比較化合物(1)は特公平7−21646号公報記載の方法により合成し、比較化合物(2)は文献(J.Org.Chem.,2000,65,5327)記載の方法により合成した。
【化21】
比較化合物(1) 比較化合物(2)
比較化合物中、Etはエチル基を表す。
【0042】
【表1】
【0043】
表1から明らかなように、本発明の化合物は、一般に広く電子写真感光体として使用されている化合物(比較化合物(1)および比較化合物(2))よりもキャリア移動度が高く、高い感度を有していることがわかる。
【0044】
(実施例11)
バインダー樹脂としてブチラール樹脂「BL−1」(積水化学工業株式会社製)0.875重量部を、テトラヒドロフラン35.625重量部に溶解させて得たバインダー溶液に、Y−型結晶性オキソチタニウムフタロシアニン「Y −TiOPc」(山陽色素株式会社製)1重量部を加え、ガラスビーズと共に3時間振動ミルを用いて分散させた。この分散液を、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略記する)フィルムにアルミニウムを蒸着したシート上にワイヤーバー(No.03)を用いて塗布し、85℃で3時間乾燥して、電荷発生層を形成した。
バインダー樹脂としてポリカーボネート樹脂「TS−2020」(帝人化成株式会社製)15重量部と実施例4で得られた化合物(1-4)15重量部をテトラヒドロフラン85重量部中で混合溶解させた。この溶液を、ドクターブレードで、電荷発生層上に塗布し、80℃で2時間乾燥させて電荷輸送層を形成した(電荷輸送層の厚み:18μm)。
このようにして得られた電子写真感光体の感光体特性を静電記録試験装置「EPA−8300A」(株式会社川口電機製作所製)を用いてスタティック方式により測定した。すなわち、電子写真感光体を−6kvのコロナ放電を行なって帯電せしめ、表面電位V
0(単位は−v)を測定し、これを暗所で5秒間保持して(表面電位V
i(単位は−v))暗減衰保持率L/D(V
i/V
0(単位は%))を求めた。この後、0.2μWの780nmのレーザー光を照射し、表面電位V
iを半減させるのに必要な露光量すなわち半減露光量E
1/2(mJ/cm
2)および表面電位V
iを1/6まで減少させるのに必要な露光量E
1/6(mJ/cm
2)を求め、続いて5秒間照射後の表面残留電位V
r(単位は−v)を求めた。この結果を表2に示す。
【0045】
(実施例12)
実施例6で得られた化合物(1-16)を用いて電荷輸送層を作製したこと以外は実施例11と同様にして電子写真感光体を作製し、感光体特性を測定した。この結果を表2に示す。
【0046】
(比較例3および4)
比較化合物(1)または比較化合物(3)(高砂香料工業株式会社製、「CTC−191」)を用いて電荷輸送層を作製したこと以外は実施例11と同様にして電子写真感光体を作製し、感光体特性を測定した。この結果を表2に示す。
【化22】
比較化合物(3)
【0047】
【表2】
【0048】
表2から明らかなように、本発明の化合物を用いた電子写真感光体は、比較化合物(1)を用いた電子写真感光体よりも暗減衰保持率(L/D)が高い。また、本発明の化合物を用いた電子写真感光体は、比較化合物(3)を用いた電子写真感光体よりも感度が良く(E
1/2値およびE
1/6値が低い)、且つ残留電位(V
r)が低い。よって、本発明の化合物は優れた電子写真感光体を与える事がわかる。