特許第6095110号(P6095110)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6095110腐植物質由来フルボ酸水溶液及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6095110
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】腐植物質由来フルボ酸水溶液及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/10 20150101AFI20170306BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20170306BHJP
   A23L 2/00 20060101ALI20170306BHJP
【FI】
   A61K35/10
   A61P1/00
   A23L2/00 B
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-32173(P2013-32173)
(22)【出願日】2013年2月21日
(65)【公開番号】特開2014-162723(P2014-162723A)
(43)【公開日】2014年9月8日
【審査請求日】2015年11月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】513042687
【氏名又は名称】豊田 孝義
(73)【特許権者】
【識別番号】504194878
【氏名又は名称】国立研究開発法人海洋研究開発機構
(73)【特許権者】
【識別番号】304064300
【氏名又は名称】株式会社日本海
(74)【代理人】
【識別番号】100091443
【弁理士】
【氏名又は名称】西浦 ▲嗣▼晴
(74)【代理人】
【識別番号】100130720
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼見 良貴
(72)【発明者】
【氏名】豊田 孝義
(72)【発明者】
【氏名】豊福 高志
(72)【発明者】
【氏名】原 祐二
【審査官】 伊藤 基章
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−007451(JP,A)
【文献】 特開2012−017275(JP,A)
【文献】 特開2004−269484(JP,A)
【文献】 特開2013−032298(JP,A)
【文献】 特開2010−270063(JP,A)
【文献】 特開2006−335687(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 35/00
A23L 2/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
日経テレコン
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フルボ酸及びフミン酸を含有する腐植物質由来フルボ酸水溶液の製造方法において、
地中から採取した腐植土を脱水乾燥させて、腐植物質由来の粉末を生成し、
前記粉末をその3〜6倍の重量からなる水に入れて懸濁液とし、
前記懸濁液を、水温10〜14℃において、pH5.5からpH3.0〜3.7になるまでの期間熟成を行う第1の熟成工程を実施し、
前記第1の熟成工程後に、前記懸濁液の上澄み液を分取するか、または、ろ過することにより、液分を採取し、
採取した前記液分を前記フミン酸の濃度が400mg/L以下になるまでの期間熟成を行う第2の熟成工程を実施し、
前記第2の熟成工程の前記期間は、約3年であることを特徴とした前記フルボ酸を主成分とする腐植物質由来フルボ酸水溶液の製造方法。
【請求項2】
前記腐植土は、長崎県諫早市森山町唐比西で採取したものである請求項1に記載の腐植物質由来フルボ酸水溶液の製造方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の製造方法で製造した腐植物質由来フルボ酸水溶液。
【請求項4】
請求項3に記載の腐植物質由来フルボ酸水溶液を含む防臭剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フルボ酸及びフミン酸を含有する腐植物質由来フルボ酸水溶液及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
土壌、湖底、海底には、植物の遺体や、動物の排泄物・遺体が堆積しており、これらは総じて「土壌有機物」と呼ばれている。このうち、動植物の遺体を除いた部分が「腐植(フムス)」と呼ばれている。腐植のうち、数千年にわたる微生物の働きによる分解・重縮合を経て生成した暗色(黄色、茶色または黒色)の高分子物質が「腐植物質」である。腐植物質は、その生成過程から明らかなように、微生物により分解され尽くしているため、それ以上に分解されない、微生物分解に対して抵抗性を有する物質である。
【0003】
腐植物質は、多種多様な有機化合物の混合物であり、産地によって違いが生じるため、化学構造が一定ではない(後述の図4は腐植物質の化学構造の一例である)。腐植物質には、アルカリ性で水に可溶であり且つ酸性で沈殿する物質であるフミン酸(humic acid)、全pHで可溶である物質であるフルボ酸(fulvic acid)、溶解しない物質であるヒューミン(またはフミン)(humin)が含まれている。
【0004】
腐植物質を含有した水溶液は、散布することによる消臭効果や、飲用することによって、排泄物のにおいを低減させる効果を有することが知られている(例えば、特開2008−7451号公報〔特許文献1〕、特許3930019号公報〔特許文献2〕)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−7451号公報
【特許文献2】特許3930019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の水溶液は、渋味やえぐ味が強く、飲用するのに不向きである。そのため、特許文献1では、飲用する際に、2〜500倍に希釈し、さらに陽イオン交換樹脂に通してアルミニウムイオンやその他の陽イオンを除去することが推奨されている(特許文献1の〔0031〕段落)。このように希釈をすると、フルボ酸水溶液としての効果が薄まってしまう。また、特許文献2の水溶液は、渋味やえぐ味に加えて、生成過程で海洋深層水を用いているために、塩分を多量に含んでしまうため、特許文献1の水溶液と同様に、飲用するのに不向きである。
【0007】
本発明の目的は、飲用に適した、飲みやすく、且つ、飲用による効果を十分に得られる腐植物質由来フルボ酸水溶液及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、少なくともフルボ酸及びフミン酸を含有し、フルボ酸を主成分とする、腐植物質由来フルボ酸水溶液の製造方法に係るものである。本発明の腐植物質由来フルボ酸水溶液の製造方法では、地中から採取した腐植土を脱水乾燥させ、腐植物質由来の粉末を生成する。そして、得られた粉末をその3〜6倍の重量からなる水に入れて懸濁液とし、懸濁液を、水温10〜14℃において、pH5.5からpH3.0〜3.7になるまでの期間熟成を行う(第1の熟成工程)。さらに、第1の熟成工程後に、懸濁液の上澄み液を分取するか、または、ろ過することにより、液分を採取する。そして、採取した液分をフミン酸の濃度が400mg/L以下になるまでの期間熟成を行う(第2の熟成工程)。本発明においては、特に、第2の熟成工程を実施することによって、フミン酸の濃度が400mg/L以下になり、腐植物質由来フルボ酸水溶液が有する渋味やえぐ味を取り除くことができ、飲用に適した、飲みやすく、且つ、飲用による効果を十分に得られる腐植物質由来フルボ酸水溶液を得ることができる。すなわち、本発明は、従来のフルボ酸水溶液の飲みにくさの原因がフミン酸の濃度にあることを見出し、フミン酸の濃度を熟成により低減させることにより、フルボ酸水溶液を飲みやすくすることができることを見出した知見に基づくものである。
【0009】
第2の熟成工程は、使用する原料(腐植土)や環境条件によっても異なるが、フミン酸の濃度が400mg/L以下になればよく、発明者らの行った条件においては、約3年の期間であった。ここでいう「約3年」は、厳密な意味での3年ではなく、ある程度の幅を有するものであり、3年±数ヶ月の幅を有するものである。
【0010】
なお、発明者らは、長崎県諫早市森山町唐比西で採取した腐植土を原料として用いたが、その他の地域のものを用いてもよいのはもちろんである。
【0011】
上記の製造方法によって得られた腐植物質由来フルボ酸水溶液は、フルボ酸を主成分としており、従来から知られている様々な用途に用いることが可能である。本発明の腐植物質由来フルボ酸水溶液は、飲用に適しているため、継続して飲用することによって、特に防臭効果が期待できる。「防臭」とは、におい成分の生成を防ぐことによりにおいの発生自体を防ぐ、という概念を示す用語であり、におい成分を化学物質で中和することにより、においを消す「消臭」とは異なる概念のものである。本発明の腐植物質由来フルボ酸水溶液を継続して飲用することによって、便の臭気強度を軽減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施の形態に用いる腐植物質を含有する土壌の採掘現場の状態を示す参考図(鉛直断面図)である。
図2】採掘した腐植物質を含有する土壌を自然脱水している状態を示す参考図(鉛直断面図)である。
図3】採掘した腐植物質を含有する土壌を加圧脱水している状態を示す参考図(鉛直断面図)である。
図4】腐植物質の化学構造の一例である。
図5】第2の熟成工程により腐植物質に含有されているフミン酸が減少する様子を示す概念図である。
図6】フミン酸の濃度と水溶液の飲みやすさの相関関係を示す図である。
図7】腐植物質由来フルボ酸水溶液を飲用することによる効果が生じる過程を示すフローである。
図8】腐植物質由来フルボ酸水溶液を飲用することによる効果の一例である防臭効果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の腐植物質由来フルボ酸水溶液(以下、単に「フルボ酸水溶液」と呼ぶこともある)及びその製造方法の実施の形態の一例について説明する。
【0014】
[腐植土の採掘]
本実施の形態の腐植物質由来フルボ酸水溶液の原料として用いる腐植物質を含有する土壌(腐植土)は、長崎県諫早市森山町唐比西で採取したものである。採掘現場は、図1に示したような環境になっている。図1に示すように、九州の橘湾沿岸域には、海1の近くの岩盤3に窪地5が形成されており、窪地5の周囲には、山林7が広がっている。窪地5に枯死した植物が蓄積し、数千年を経て、海綿状の土壌として、腐植土9が堆積している。腐植土9の上には、固相土壌11及び表層土帯13が堆積しており、その上には水田15が形成されている。腐植土9の採掘は、グラブバケットにより行っている。
【0015】
[腐植物質由来の粉末の生成]
本実施の形態では、採取した腐植土9は、水分46.5%の海綿状のものである。そして、次の(1)〜(3)の工程を経て、腐植物質由来の粉末を得る。
【0016】
(1)180kgの腐植土9を、傾斜面17に静置し、水分が滲出して水分35%程度になるまで、自然流下脱水を行い、一次脱水済腐植土19を得る。滲出した水分は水路21を通じて排出される。
【0017】
(2)次に、一次脱水済腐植土19をローラープレス23により、水分25%になるまで加圧脱水を行い、二次脱水済腐植土25を得る。脱水した水分は、水路27を通じて排出される。
【0018】
(3)その後、二次脱水済腐植土25を平地に広げて太陽光を利用した乾燥を行い、水分10%以下になるまでビニルハウス内で太陽光による加熱乾燥を行う。この乾燥は、腐植物質の低分子化と細菌類の不活化を目的としている。攪拌粉砕と天日曝露を繰り返し、粒子径0.1mm〜2mm程度の腐植物質由来の粉末約100kgを生成する。
【0019】
図4は、得られた腐植物質由来の粉末の化学構造の一例であり、表1及び表2は、その成分の分析結果である。なお、フルボ酸については確立した測定方法がないため、表1においては、フルボ酸は数値化していない。
【表1】
【0020】
「1」の符号を付してある項目は、財団法人日本肥糧検定協会による分析結果であり、「2」の符号を付してある項目は、財団法人日本食品分析センターによる分析結果である。
【表2】
【0021】
土壌有機物の有機炭素含有率は、ニクロム酸酸化法により求めている。
【0022】
土壌有機物の有機物含有率(換算値)は、レッドフィールド比(有機物重量:有機物中の炭素重量=100:16.0)を用いて有機物炭素含有率から有機物含有率に換算している。
【0023】
フミン酸の有機物含有率は、塩酸−水酸化ナトリウム法により求めている。
【0024】
フルボ酸の有機炭素含有率は、高温乾式触媒酸化法により、溶存有機炭素濃度を求めた。具体的には、腐植物質由来の粉末360gを精製水2.5Lに入れて抽出した溶存有機炭素濃度は92mgC/L(pH2.8)であったことから、腐植物質由来の粉末から抽出されたアルカリ可溶・酸可溶有機物の含有率をX%とすると、
X=(抽出された溶存有機炭素濃度×2.5)/(腐植物質由来の粉末の重量)×100
=92×10-3×2.5/360×100
=0.064(%)
フルボ酸の有機物含有率(換算値)は、土壌有機物の有機物含有率(換算値)と同様に、レッドフィールド比を用いて有機物炭素含有率から有機物含有率に換算している。
【0025】
[フルボ酸水溶液の生成]
本実施の形態では、上記により得られた腐植物質由来の粉末を用いて、次の(4)〜(11)の工程を経て、フルボ酸水溶液を得る。
【0026】
(4)腐植物質由来の粉末100kgと清浄な水600L(粉末の重量の3倍〜6倍の重量)を水槽に入れる。ここで用いた水は、御嶽山の山麓の湧水である。
【0027】
(5)水中で粉末が均一になるように攪拌し、懸濁液とする。水に粉末を投入して攪拌した当初のpH値は、pH5.5程度である。
【0028】
(6)懸濁液を水温が10℃〜14℃(望ましくは12℃)の状態で、毎日1回〜数回ゆっくり攪拌しながら、pH値がpH3.7〜pH3.0(pH3.0が望ましい)になるまで熟成を行う。この熟成工程を、第1の熟成工程とする。第1の熟成工程の期間はおよそ30日間である。
【0029】
(7)上澄み液を分取するか、または、ろ過することにより、液分を採取する。液分のpH値は、pH2.8である。
【0030】
(8)採取した液分を、ポリエチレン製の円筒形の水槽(1トンまたは2トン)に入れ、その上に蓋をして、さらに、内容物の蒸発及び埃の侵入を防ぐ目的で、その上からビニールシートで完全に覆い、フミン酸の濃度が400mg/L以下になるまでの期間、再度の熟成を行う。この熟成工程を、第2の熟成工程とする。本実施の形態では、第2の熟成工程は、岐阜県中津川市付知町の木曽川支流の付知川の河川敷にある木造の工場において行っている。室温は、最高28℃、最低1℃で年間を通して液分が凍結しない環境であり、水槽には直射日光が当たらないようにして、風通しのよい状態にしている。本実施の形態においては、第2の熟成工程の期間は、約3年である。なお、3年経過後に、蒸発による液量の減少は認められなかった。
【0031】
(9)布による粗ろ過の後、孔径0.2μmのメンブレンフィルターにより滅菌ろ過を行う。
【0032】
(10)生成した水溶液をペットボトルに瓶詰めする。
【0033】
(11)飲用にする場合には、低温滅菌(65℃、30分)して製品とする。
【0034】
[第2の熟成工程について]
本実施の形態では、上記(8)の第2の熟成工程において、3年間熟成を行うことで、フミン酸の濃度が400mg/L以下になる。図5は、経年によりフミン酸の濃度が低下する様子を示した概念図である。上記(7)の工程で得た液分には、有機物として、フルボ酸及びフミン酸が溶け込んでおり、図5は、第2の熟成工程により、有機物のうち、フミン酸の量が徐々に減少する様子を示している。
【0035】
[フルボ酸水溶液の官能試験]
本実施の形態のフルボ酸水溶液は、上記(8)の第2の熟成工程を経ることによって、飲みやすくなる。熟成期間を1年、2年、3年とした場合の3種類の水溶液を発明者らが飲用した評価は次の通りである。
【0036】
・1年・・・滅菌段階や瓶詰めになった製品に沈殿物の発生が目立ち、また、飲用すると、渋味とえぐ味が強く、喉や舌がいがらっぽく感じるため、飲料として好ましくない。
【0037】
・2年・・・沈殿物の発生はかなり減少するが、飲用すると、渋味とえぐ味を感じるため、飲料としてはまだ好ましくない。
【0038】
・3年・・・若干の渋味を伴った酸味を感じ、冷やして飲めば口当たりが良いと感じる。沈殿物はほとんど発生せず、製品の消費期限を1年に設定しても、その期間中に製品に沈殿物はほとんど発生しない。
【0039】
このことを実証するため、官能試験を実施した。表3は、上記(8)の第2の熟成工程において、熟成期間を1年、2年、3年とした場合の3種類の水溶液を7人のパネルにより試飲した官能試験の結果をまとめたものである。なお、評価方法として、最も成績が良い者と最も成績が悪い者のデータをカットし、残りの5人のデータで評価している。
【表3】
【0040】
結果として、熟成期間が3年のものが飲みやすいと判断した者が多数であった。
【0041】
図6は、フミン酸の濃度と水溶液の飲みやすさの相関関係をまとめた図である。味が良い(飲みやすい)と判断されたフルボ酸水溶液は、全て、フミン酸の濃度が400mg/L以下である第2の熟成工程において3年間熟成を実施したフルボ酸水溶液であった。
【0042】
以上の官能試験の結果から、本実施の形態で行ったように、フミン酸の濃度が400mg/L以下になるまで(本実施の形態においては、3年間)、上記(8)の第2の熟成工程を実施することで、飲みやすいフルボ酸水溶液を得られることがわかる。
【0043】
[フルボ酸水溶液を飲用する効果]
図7は、フルボ酸水溶液を飲用することによる効果を示すフロー図である。フルボ酸水溶液を飲用することにより(ステップST1)、酸であるフルボ酸が腸に届く(ステップST2)。これは、乳酸菌飲料を飲むことによって、乳酸菌が腸において乳酸を放出し、酸である乳酸が腸に届く過程と同様のものである。しかしながら、フルボ酸の場合には、上述のように、微生物により分解され尽くしているため、飲用したフルボ酸が途中で消化・吸収されずに直接腸まで届くことにより、乳酸菌飲料の場合よりも効率よく酸を腸に届けることができる。
【0044】
フルボ酸が腸に届くことにより、フルボ酸の働きによっていわゆる善玉菌が増加し、悪玉菌が減少し、腸内細菌叢が健全になる(ステップST3)。この結果として、便等のにおいが弱くなり(防臭効果)、さらには、血液中のにおい成分が減るため、体臭・口臭が弱くなるという効果が現れる。腸内細菌叢が健全になれば、腸の働きも健全になり(ステップST4)、飲用体験者からの報告によると、栄養吸収効率の向上、便秘の改善、二日酔いの軽減等の効果が現れる。
【0045】
腸の働きが健全になれば、免疫力が健全になる(ステップST5)。この結果として、体調の爽快感、傷の治癒力の向上、口内炎の改善等の効果が現れる。
【0046】
免疫力が健全になれば、最終的に、免疫疾患が改善される(ステップST6)。この結果として、アレルギー性疾患の改善、花粉症の改善、アトピー性疾患の改善、糖尿病の改善、肥満の改善、脂質異常症の改善、高血圧症の改善、大腸がんの改善、肝臓病の改善等の効果が現れる。
【0047】
[フルボ酸水溶液の防臭効果]
上記効果のうち、防臭効果について、実証実験を行った。ここで、「防臭」とは、におい成分の生成を防ぐことにより、においの発生自体を防ぐ、という概念を示す用語であり、におい成分を化学物質で中和することにより、においを消す「消臭」とは異なる概念のものである。発明者は、悪臭防止法に基づき創設された国家資格である「臭気判定士(臭気測定業務従事者):第3927A号」の有資格者であり、本発明による腐植物質由来フルボ酸水溶液を毎日30mL飲用して、680日間にわたって自身の便の臭気強度を測定した。測定開始後、飲用開始前後の比較を行うため、85日目からフルボ酸水溶液の飲用を開始している。図8は、その測定結果である。なお、「臭気強度」とは、においの強さを0〜5の6段階で評価する「6段階臭気強度表示法」による人の嗅覚によるにおいの強さを示す指標であり、次の6段階で表される。
【0048】
0:無臭
1:やっと感知できるにおい
2:何のにおいであるかわかる弱いにおい
3:楽に感知できるにおい
4:強いにおい
5:強烈なにおい
悪臭防止法では、臭気強度に基づいて規制値を定めている。
【0049】
図8からも明らかなように、飲用開始前の臭気強度4程度から、飲用開始後は、臭気強度3.5程度に軽減している。したがって、本実施の形態の腐植物質由来フルボ酸水溶液を飲用することにより、便等のにおいが弱くなる防臭効果が得られることが実証されている。
【0050】
上記実施の形態は、一例として記載したものであり、その要旨を逸脱しない限り、本実施例に限定されるものではない。例えば、上記実施の形態で示した腐植土の産地、分量、期間、数値等は、本発明を実現するための一例に過ぎないものであり、本発明は、上記実施の形態の内容にのみ限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明によれば、腐植物質由来フルボ酸水溶液のフミン酸の濃度を下げて、400mg/L以下にすることにより、従来に比べて飲みやすく、また、飲みやすいだけでなく、飲用による効果を十分に得られる腐植物質由来フルボ酸水溶液及びその製造方法を提供することができる。
【符号の説明】
【0052】
1 海
3 岩盤
5 窪地
7 山林
9 腐植土
11 固相土壌
13 表層土帯
15 水田
17 傾斜面
19 一次脱水済腐植土
21 水路
23 ローラープレス
25 二次脱水済腐植土
27 水路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8