【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成24年度、支出負担行為担当官、総務省大臣官房会計課企画官、研究テーマ「無駄な消費電力量を削減するRadio On Demand Networksの研究開発」に関する委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
移動体である無線通信端末と、所定範囲に設置され前記無線通信端末から送信された無線信号を受信する複数の受信装置と、前記複数の受信装置と接続され前記無線通信端末の位置推定を行う位置推定装置と、前記無線通信端末と無線通信を行う無線基地局と、を備え、
前記無線通信端末は、当該無線通信端末を識別する識別情報に対応する信号特性を有する無線信号を送信する無線信号送信部を備え、
前記受信装置は、前記無線通信端末から送信された無線信号を受信して当該無線信号の信号特性を検出し、当該検出した信号特性に基づいて前記無線通信端末の識別情報を検出する端末情報受信部と、前記無線通信端末の識別情報と自身である前記受信装置を識別する識別情報とを関連付けて前記位置推定装置に送信する端末情報送信部と、を備え、
前記位置推定装置は、前記受信装置から受信した前記無線通信端末の識別情報及び前記受信装置の識別情報に基づいて、前記無線通信端末の位置を推定する端末位置推定部を備え、
さらに、
前記無線通信端末の前記無線信号送信部は、当該無線通信端末が装備する所定のセンサにて検出したセンサ検出情報と、当該無線通信端末の識別情報と、を含めた無線信号を前記受信装置及び前記無線基地局に送信すると共に、当該無線信号は前記無線通信端末の識別情報に対応するフレーム長を有し、
前記受信装置の前記端末情報受信部は、前記無線通信端末から送信された無線信号のフレーム長に基づいて当該無線通信端末の識別情報を検出すると共に、当該無線信号の受信強度を検出し、
前記受信装置の前記端末情報送信部は、検出した前記無線通信端末の識別情報及び受信強度を、自身である前記受信装置を識別する識別情報と関連付けて前記位置推定装置に送信し、
前記無線基地局は、前記無線通信端末から送信された無線信号に含まれている当該無線通信端末の識別情報と前記センサ検出情報とを取得して、前記位置推定装置に送信し、
前記位置推定装置の前記端末位置推定部は、前記受信装置から受信した相互に関連付けられた、当該受信装置の識別情報と、前記無線通信端末の識別情報及び受信強度と、に基づいて、前記無線通信端末の仮の位置を推定すると共に、当該無線通信端末の仮の位置を、前記無線基地局から受信した前記無線通信端末の識別情報と前記センサ検出情報とに基づいて補正して最終的な位置を推定する、
無線通信システム。
移動体である無線通信端末と、所定範囲に設置され前記無線通信端末から送信された無線信号を受信する複数の受信装置と、前記複数の受信装置と接続され前記無線通信端末の位置推定を行う位置推定装置と、前記無線通信端末と無線通信を行う無線基地局と、を備えた無線通信システムにより、前記無線通信端末の位置を推定する位置推定方法であって、
前記無線通信端末が、当該無線通信端末を識別する識別情報に対応する信号特性を有する無線信号を送信し、
前記受信装置が、前記無線通信端末から送信された無線信号を受信して当該無線信号の信号特性を検出し、当該検出した信号特性に基づいて前記無線通信端末の識別情報を検出し、前記無線通信端末の識別情報と自身である前記受信装置を識別する識別情報とを関連付けて前記位置推定装置に送信し、
前記位置推定装置が、前記受信装置から受信した前記無線通信端末の識別情報及び前記受信装置の識別情報に基づいて、前記無線通信端末の位置を推定し、
さらに、
前記無線通信端末が、当該無線通信端末が装備する所定のセンサにて検出したセンサ検出情報と、当該無線通信端末の識別情報と、を含めた無線信号を前記受信装置及び前記無線基地局に送信すると共に、当該無線信号は前記無線通信端末の識別情報に対応するフレーム長を有し、
前記受信装置が、前記無線通信端末から送信された無線信号のフレーム長に基づいて当該無線通信端末の識別情報を検出すると共に、当該無線信号の受信強度を検出し、
前記受信装置が、検出した前記無線通信端末の識別情報及び受信強度を、自身である前記受信装置を識別する識別情報と関連付けて前記位置推定装置に送信し、
前記無線基地局が、前記無線通信端末から送信された無線信号に含まれている当該無線通信端末の識別情報と前記センサ検出情報とを取得して、前記位置推定装置に送信し、
前記位置推定装置が、前記受信装置から受信した相互に関連付けられた、当該受信装置の識別情報と、前記無線通信端末の識別情報及び受信強度と、に基づいて、前記無線通信端末の仮の位置を推定すると共に、当該無線通信端末の仮の位置を、前記無線基地局から受信した前記無線通信端末の識別情報と前記センサ検出情報とに基づいて補正して最終的な位置を推定する、
位置推定方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、無線端末の位置推定の際に、上述したRSSI方式であっても、下記の問題が存在する。
【0009】
受信装置の設置密度:RSSIは送信機と受信機間の距離の二乗に反比例する。そのため、RSSI方式による位置推定を行う場合、端末とAP間の距離が遠くなると精度が悪化する。ところが、一般に無線LANシステムは、サービスエリアが重複しないようにAP(Access Point:基地局)を十分に離して設置するため、無線LAN通信そのまま利用してRSSI方式による位置推定を行うことは望ましくない。更に、APは接続する端末を管理し、通信するため比較的消費電力が高く、下げることも難しい。そのため、仮にAPを密に設置すると位置推定システム全体の消費電力が問題となる。また、価格についても同様である。
【0010】
発信源の識別:位置推定を行うためには、到来した信号がどの端末から発せられたものであるか識別する必要がる。しかし、発信元識別情報を無線LANパケットへ通信データとして乗せると、観測装置において無線LAN信号を復調及び復号する必要がある。無線LAN信号の復調及び復号は複雑な信号処理を必要とするため、受信装置が複雑化する。一方で位置推定を行うための信号を、より復調及び復号が容易な無線方式で送信する場合、位置推定用信号を送信する専用の追加回路が必要となり、すでに市場に存在する無線LAN機器による位置推定が困難となる。
【0011】
複数チャネルの観測:一般に無線LANシステムは、隣接するAP間の干渉を回避するため、異なるチャネルを使用する。また、端末もAPに応じて異なるチャネルを使用する。よって、移動する端末の位置を連続的に推定するような場合、複数チャネルを同時に観測できることが望まれる。しかし、既存システムでは観測しようとするチャネルと同数の観測装置が必要であり、システム全体のコストが増大する。
【0012】
以上のように、RSSI方式によって無線端末の位置推定を行う場合には、位置推定の精度の低下、消費電力の増加、コストの増大という問題が生じる。
【0013】
このため、本発明の目的は、上述した課題である、無線端末の位置推定を行う場合における位置推定の精度の低下、消費電力の増加、コストの増大という問題を解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一形態である無線通信システムは、
移動体である無線通信端末と、所定範囲に設置され前記無線通信端末から送信された無線信号を受信する複数の受信装置と、前記複数の受信装置と接続され前記無線通信端末の位置推定を行う位置推定装置と、を備え、
前記無線通信端末は、当該無線通信端末を識別する識別情報に対応する信号特性を有する無線信号を送信する無線信号送信部を備え、
前記受信装置は、前記無線通信端末から送信された無線信号を受信して当該無線信号の信号特性を検出し、当該検出した信号特性に基づいて前記無線通信端末の識別情報を検出する端末情報受信部と、前記無線通信端末の識別情報と自身である前記受信装置を識別する識別情報とを関連付けて前記位置推定装置に送信する端末情報送信部と、を備え、
前記位置推定装置は、前記受信装置から受信した前記無線通信端末の識別情報及び前記受信情報の識別情報に基づいて、前記無線通信端末の位置を推定する端末位置推定部を備えた、
という構成をとる。
【0015】
また、本発明の他の形態である位置推定方法は、
移動体である無線通信端末と、所定範囲に設置され前記無線通信端末から送信された無線信号を受信する複数の受信装置と、前記複数の受信装置と接続され前記無線通信端末の位置推定を行う位置推定装置と、を備えた無線通信システムにより、前記無線通信端末の位置を推定する位置推定方法であって、
前記無線通信端末が、当該無線通信端末を識別する識別情報に対応する信号特性を有する無線信号を送信し、
前記受信装置が、前記無線通信端末から送信された無線信号を受信して当該無線信号の信号特性を検出し、当該検出した信号特性に基づいて前記無線通信端末の識別情報を検出し、前記無線通信端末の識別情報と自身である前記受信装置を識別する識別情報とを関連付けて前記位置推定装置に送信し、
前記位置推定装置が、前記受信装置から受信した前記無線通信端末の識別情報及び前記受信情報の識別情報に基づいて、前記無線通信端末の位置を推定する、
という構成をとる。
【0016】
また、本発明の他の形態である受信装置は、
所定範囲に複数設置され、移動体である無線通信端末から送信された無線信号を受信する受信装置であって、
前記無線通信端末から送信された無線信号を受信して当該無線信号の信号特性を検出し、当該検出した信号特性に基づいて前記無線通信端末の識別情報を検出する端末情報受信部と、
前記無線通信端末の識別情報と自身である前記受信装置を識別する識別情報とを関連付けて、前記無線通信端末の位置推定を行う位置推定装置に送信する端末情報送信部と、
を備えた、
という構成をとる。
【0017】
また、本発明の他の形態であるプログラムは、
所定範囲に複数設置され、移動体である無線通信端末から送信された無線信号を受信する受信装置に、
前記無線通信端末から送信された無線信号を受信して当該無線信号の信号特性を検出し、当該検出した信号特性に基づいて前記無線通信端末の識別情報を検出する端末情報受信部と、
前記無線通信端末の識別情報と自身である前記受信装置を識別する識別情報とを関連付けて、前記無線通信端末の位置推定を行う位置推定装置に送信する端末情報送信部と、
を実現させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、以上のように構成されることにより、無線通信システムにおいて無線端末の位置推定を行う場合における、位置推定の精度の向上、消費電力の低下、コストの低下、を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<実施形態1>
本発明の第1の実施形態を、
図1乃至
図3を参照して説明する。
図1乃至
図2は、無線通信システムの構成を示す図であり、
図3は、無線通信システムの動作を示す図である。
【0021】
図1に示すように、無線通信システムは、ユーザが所持する移動体である無線端末1と、当該無線端末1と無線通信を行う無線LAN基地局2と、無線端末1から送信された無線LAN信号を受信する複数の受信機3と、を備えている。また、無線通信システムは、図示しない有線又は無線のネットワークを介して複数の受信機3及び無線LAN基地局2に接続され、無線端末1の位置推定を行う位置推定装置4を備えている。以下、各構成について詳述する。
【0022】
上記無線端末1(無線通信端末)は、例えば、IEEE 802.11規格に準拠した無線LAN通信機能を具備した情報処理端末である。具体例としては、スマートフォン、タブレット、ノートPC、携帯ゲーム機などである。そして、無線端末1は、無線LAN基地局2による無線LAN通信に帰属しており、当該無線LAN基地局2が定める通信チャネルにて無線LAN通信可能なよう設定されている。
【0023】
また、無線端末1は、
図2に示すように、装備された演算装置にプログラムが組み込まれることで構築された無線信号送信部11を備えている。無線信号送信部11は、上述した無線LAN基地局2に対する予め定められた通信チャネルの無線LAN信号を生成して送信する。このとき、無線信号送信部11は、自端末である無線端末1に割り当てられた識別情報である無線端末IDに応じた信号特性を有する無線LAN信号を生成する。具体的に、無線信号送信部11は、無線端末IDに応じた長さのフレームを有する無線LAN信号の組である測位信号セットを生成し、当該測位信号セットを無線LAN基地局2に送信する。上記無線端末IDに応じたフレーム長の無線信号を生成して送信する技術については、特開2012−175544に記載されている。
【0024】
なお、無線信号送信部11は、上述した無線LAN信号の組である測位信号セットを無線LAN信号に対して送信しているが、後述するように、当該無線LAN信号の到達範囲10内に存在する受信機3にも送信されることとなる。但し、無線信号送信部11は、上記無線LAN信号とは異なる無線信号として、自端末の無線端末IDに応じた信号特性を有する受信機用無線信号を生成して送信してもよい。
【0025】
また、無線端末1は、自端末の移動を検出する移動検出センサ(移動検出部)(図示せず)を備えており、移動を検出すると、その旨を無線信号送信部11に通知する。無線信号送信部11は、移動検出センサから移動検出の通知を受けると、上述した無線LAN信号を送信する。
【0026】
ここで、移動検出センサは、例えば、加速度センサやGPSなどであり、これらからの検出値に基づいて、無線信号送信部11が、無線端末1が移動したか否かを判断し、移動したと判断すると無線LAN信号を送信する。なお、上記移動検出センサは、上述したものに限定されず、無線端末1が移動したか否かを判断できるデータを取得できる装置であれば、いかなる装置であってもよい。また、上記では、無線信号送信部11は、移動検出を契機に無線LAN信号を送信することを説明したが、一定の時間間隔で送信したり、外部から所定の入力があった場合に送信するなど、いかなるタイミングで無線LAN信号を送信してもよい。
【0027】
次に、受信機3(受信装置)について説明する。受信機3は、
図1に示すように所定範囲に複数設置されており、特に、無線LAN基地局2の設置密度よりも高い密度で設置されている。そして、受信機3は、装備された演算装置にプログラムが組み込まれることで構築された、端末情報受信部31と、端末情報送信部32と、を備えている。
【0028】
上記端末情報受信部31は、複数の通信チャネルの無線LAN信号を受信可能であり、無線端末1から送信された無線LAN信号を受信する。そして、端末情報受信部31は、受信した無線LAN信号の信号特性を検出し、検出した信号特性に対応する無線端末IDを検出する。具体的に、端末情報受信部31は、受信した無線LAN信号を包絡線検波することで当該無線LAN信号のフレーム長を検出し、この検出したフレーム長に対応する無線端末IDを検出する。なお、包絡線検波を用いて無線LAN信号のフレーム長から無線端末IDを検出する技術については、特開2012−175544に記載されている。但し、端末情報受信部31は、受信した無線LAN信号の信号特性として、フレーム長とは異なる他の信号特性を検出し、かかる信号特性から無線端末IDを検出してもよい。
【0029】
以上のように、端末情報受信部31は、無線LAN信号を復調及び復号することなく、当該無線LAN信号の信号特性から無線端末IDを検出可能である。このため、端末情報受信部31は、無線LAN基地局2が備える無線信号の受信機能、つまり、無線LAN信号を復調及び復号して当該信号の内容を認識する機能を備える必要はない。これに伴い、受信機3は、上述したように複数の通信チャネルの無線LAN信号を受信可能となり、特定の通信チャネルの信号のみを取り出すBPF(Band Pass Filter)を備える必要が無い。従って、受信機3の構成が簡易となる。
【0030】
また、端末情報受信部31は、受信した無線LAN信号の受信強度を表すRSSI(Received Signal Strength Indication)を検出する機能を有する。そして、端末情報受信部31は、上述したように検出した無線端末ID及びRSSIを、端末情報送信部32に渡す。
【0031】
受信機3が備える上記端末情報送信部32は、端末情報受信部31から渡された無線端末ID及びRSSIを、ネットワークを介して位置推定装置4に送信する。このとき、端末情報送信部31は、自装置に予め割当てられた識別情報である受信機IDに、上記無線端末ID及びRSSIを関連付けた端末関連情報として、位置推定装置4に送信する。なお、端末情報送信部32は、必ずしもRSSIを送信しなくてもよく、受信機IDに、端末情報受信部31から渡された無線端末IDのみを関連付けた端末関連情報を、位置推定装置4に送信してもよい。これに伴い、上記端末情報受信部31は、RSSIを検出する機能を備えていなくてもよい。
【0032】
次に、位置推定装置4について説明する。位置推定装置4は、演算装置及び記憶装置を備えた情報処理装置であり、装備された演算装置にプログラムが組み込まれることで構築された端末位置推定部41を備えている。端末位置推定部41は、複数の受信機3からそれぞれ送信された端末関連情報、つまり、受信機3が受信した無線LAN信号から検出した「無線端末ID」及び「RSSI」と、その受信機3の「受信機ID」と、が関連付けられた端末関連情報を取得する。そして、端末位置推定部41は、取得した端末関連情報に基づいて、無線端末の位置を推定する計算処理を行う。
【0033】
具体的に、端末位置推定部41は、まず、受信した端末関連情報のうち、同じ「無線端末ID」を含む端末関連情報を抽出し、これら端末関連情報に含まれている「RSSI」の値を調べる。そして、「RSSI」の値が最も高い端末関連情報を特定し、当該端末関連情報に含まれる「受信機ID」を特定する。さらに、「受信機ID」に対応する受信機3を特定し、この受信機3の位置を無線端末1の位置として推定する。なお、これに伴い、位置推定装置4は、予め受信機IDと受信機3の位置情報とを関連付けて記憶している。
【0034】
ここで、上述した端末位置推定部41による処理は一例であって、他の方法により無線端末1の位置を推定してもよい。例えば、上述したように特定した受信機3の位置を「RSSI」の値に基づいて補正したり、「RSSI」を距離に変換した後に最小二乗誤差法を用いて無線端末1の位置を推定してもよい。あるいは、端末位置推定部41は、「RSSI」の値が高い順に複数の受信機3を特定し、これら複数の受信機3の位置から無線端末1の位置を推定してもよい。
【0035】
また、端末位置推定部41は、受信機3から取得した端末関連情報に「RSSI」が含まれていない場合、つまり、受信機3が無線端末IDと受信機IDの情報しか送信してこなかった場合には、当該取得した情報に含まれる受信機IDの位置情報に基づいて無線端末1の位置を推定してもよい。例えば、無線端末IDと受信機IDとの端末関連情報を送信してきた受信機3が1つのみの場合には、かかる受信機3の位置を無線端末1の位置として推定してもよく、受信機3が複数の場合には、これら複数の受信機3の位置から無線端末1の位置を推定してもよい。
【0036】
次に、上述した無線通信システムの動作を、
図3のシーケンスを参照して説明する。まず、無線端末1は、装備された移動検出センサで自端末が移動したか否かを検出する(ステップS1)。無線端末1は、移動を検出したことを契機に、自身に割り当てられている無線端末IDに応じた特定の長さを持つ無線LAN信号の組である測位信号セットを生成して送信する(ステップS2)。
【0037】
すると、無線端末1が送信した上記測位信号セット(無線LAN信号)の到達範囲内に位置する全ての受信機3が、当該無線端末1が送信した測位信号セットを受信する。そして、各受信機3は、それぞれ受信した無線LAN信号の組である測位信号セットを包絡線検波し、その結果として得られた信号長の組から、無線端末IDを得る(ステップS3)。また、受信機3は、無線LAN信号を受信した際における受信強度であるRSSIを測定する(ステップS3)。そして、各受信機3は、検出した無線端末ID及びRSSIと、自身である受信機3の受信機IDと、を組にして関連付けた端末関連情報を、位置推定装置4にそれぞれ送信する(ステップS4)。
【0038】
そして、位置推定装置4は、複数の受信機3からそれぞれ受信した上記端末関連情報から、まず、同一の無線端末IDを含むものを抽出する。そして、抽出した端末関連情報に含まれる「RSSI」が最も強い端末関連情報を特定し、当該端末関連情報に含まれる受信機IDの位置を読み出して、その受信機3の位置付近に無線端末1が存在すると推定する(ステップS5)。その後、位置推定装置4は、無線端末1の位置の推定結果を、無線LAN基地局2及び当該無線LAN基地局2を介して無線端末1に通知する(ステップS6,S7)。
【0039】
以上のように、本発明によると、まず、位置を推定する対象となる無線端末1に特別な装置や機能を追加することなく、IEEE 802.11規格に準拠した端末、及び、任意の長さの信号を連続して送信することが可能な無線通信規格に準拠する端末であれば、その位置を推定することができる。
【0040】
また、センサによる無線端末1の移動の検出等をトリガとして、無線信号を送信することで、不要な信号の送信を抑制できる。その結果、無線端末1の消費電力を削減できる。
【0041】
また、受信機3は、無線信号の復調及び復号をすることなく、送信元である無線端末1を識別することができる。従って、簡易に受信機3を構成できる。また、無線信号自身に暗号化が行われていても、送信元の識別が可能である。これに伴い、低コストにて受信機3の設置密度の向上を図ることができ、無線端末1の測位精度の向上を図ることができる。
【0042】
また、単一の受信機3で全通信チャネルを同時に受信できるため、無線端末1が使用している通信チャネルに依存せずに位置推定を行うことができる。
【0043】
<実施形態2>
次に、本発明の第2の実施形態を、
図4乃至
図5を参照して説明する。
図4は、本実施形態における無線通信システムの構成を示すブロック図であり、
図5は、無線通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【0044】
本実施形態における無線通信システムは、上述した実施形態1で説明したものとほぼ同様の構成を有する。但し、以下の点で、実施形態1のものとは異なる。以下、実施形態1とは異なる点を主に説明する。
【0045】
まず、本実施形態における無線端末1が備える無線信号送信部11は、無線端末1に装備されたセンサにて検出されたセンサ検出情報を無線LAN信号に含めて発信する機能(センサ検出情報送信部)を有する。例えば、無線信号送信部11は、上述したように移動検出センサである加速度センサで検出されたデータをセンサ検出情報として、無線LAN信号の実データに含めて送信する。このとき、無線信号送信部11は、後述するように無線LAN基地局2にて送信元を認識できるよう、無線LAN信号の実データに無線端末IDも含めて送信する。なお、無線信号送信部11が送信する無線LAN信号のフレーム長は、上述同様に、無線端末1を特定する無線端末IDに対応している。
【0046】
そして、無線端末1から送信されたセンサ検出情報を含む無線LAN信号は、無線LAN基地局2と複数の受信機3にて受信される。無線LAN基地局2は、受信した無線LAN信号を復調及び復号し、実データ内に含まれている無線端末ID及びセンサ検出情報を取得する。そして、取得した無線端末ID及びセンサ検出情報を、位置推定装置4にネットワークを介して送信する。なお、無線LAN基地局2は、無線端末ID及びセンサ検出情報を位置推定装置4に送信する機能として、装備された演算装置にプログラムが組み込まれることで構築されたセンサ検出情報送信部21を備える。
【0047】
さらに、本実施形態における位置推定装置4が備える端末位置推定部41は、無線LAN基地局2から送信された無線端末ID及びセンサ検出情報を取得すると共に、実施形態1と同様に受信機3から送信された端末関連情報を取得し、これらの情報に基づいて無線端末1の位置を推定する。例えば、端末位置推定部41は、まず、実施形態1で説明したように端末関連情報から、最も強い「RSSI」を受信した受信機3を特定し、当該受信機3の位置を無線端末1の仮の位置として推定する。そして、無線端末1の仮の位置を、センサ検出情報に基づいて補正する。一例として、センサ検出情報が加速度センサの検出値である場合には、無線端末1の移動方向や移動ベクトルを表す情報を取得して、移動している方向や距離に応じて無線端末1の仮の位置を補正し、最終的な位置を推定する。
【0048】
なお、位置推定装置4による位置の推定処理方法は、上述した方法に限定されない。また、上述した無線端末1にて検出されるセンサ検出情報は、上述した情報に限定されず、いかなるセンサで検出された情報であってもよい。
【0049】
次に、上述した無線通信システムの動作を、
図5のシーケンスを参照して説明する。まず、無線端末1は、装備された移動検出センサで自端末が移動したか否かを検出する(ステップS11)。無線端末1は、移動を検出したことを契機に、自身に割り当てられている無線端末IDに応じた特定の長さを持つ無線LAN信号の組である測位信号セットを生成する。このとき、無線端末1は、移動検出センサなどで検出したセンサ検出情報と、自端末の無線端末IDとを、無線LAN信号の実データに含める。そして、無線端末1は、無線LAN信号を送信する(ステップS12)。
【0050】
すると、無線端末1が送信した上記測位信号セット(無線LAN信号)の到達範囲内に位置する全ての受信機3、及び、無線LAN基地局2が、当該無線端末1が送信した測位信号セットを受信する。但し、無線LAN基地局2は、無線端末1が送信した通信チャネルに対応した無線LAN基地局2のみが受信する。
【0051】
無線LAN基地局2は、受信した無線LAN信号を復調及び復号し、実データ内に含まれている無線端末ID及びセンサ検出情報を取得する。そして、取得した無線端末ID及びセンサ検出情報を、位置推定装置4にネットワークを介して送信する(ステップS13)。
【0052】
また、各受信機3は、それぞれ受信した無線LAN信号の組である測位信号セットを包絡線検波し、その結果として得られた信号長の組から無線端末IDを得る(ステップS14)。また、受信機3は、無線LAN信号を受信した際における受信強度であるRSSIを測定する(ステップS14)。そして、各受信機3は、検出した無線端末ID及びRSSIと、自身である受信機3の受信機IDと、を組にして関連付けた端末関連情報を、位置推定装置4にそれぞれ送信する(ステップS15)。
【0053】
位置推定装置4は、複数の受信機3からそれぞれ受信した上記端末関連情報から、同一の無線端末IDを含むもののうち、「RSSI」が最も強い端末関連情報を特定し、当該端末関連情報に含まれる受信機IDの位置を、無線端末1の仮の位置として推定する。そして、位置推定装置4は、無線LAN基地局2からセンサ検出情報を用いて、無線端末1の仮の位置を補正し、最終的な位置を推定する(ステップS16)。その後、位置推定装置4は、無線端末1の位置の推定結果を、無線LAN基地局2及び当該無線LAN基地局2を介して無線端末1に通知する(ステップS17,S18)。
【0054】
以上のように、本発明によると、上述したように、無線通信システムにおいて無線端末の位置推定を行う場合における、位置推定の精度の向上、消費電力の低下、コストの低下、を図ることができる。
【0055】
また、無線端末1が送信する無線LAN信号に、所定のセンサにて検出した情報や他の情報を含めて無線LAN基地局2に送信することができるため、通信効率の低下を抑制することができる。
【0056】
以上説明した通信システムは、例えば、以下のようなサービスを提供する際に利用することができる。
・在庫管理、入退室管理などの物や人の位置を把握し管理するサービス
・「事前に登録された装置を持つ人のみが、その場所の機器を利用できる」といった、セキュリティ管理サービスのような、物と場所を紐づけたサービス
・「ある地点における室温はn度」といった、情報と場所を紐づけたサービス
【0057】
<付記>
上記実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうる。以下、本発明における無線通信システム、位置推定方法、受信装置、プログラムの構成の概略を説明する。但し、本発明は、以下の構成に限定されない。
【0058】
(付記1)
移動体である無線通信端末と、所定範囲に設置され前記無線通信端末から送信された無線信号を受信する複数の受信装置と、前記複数の受信装置と接続され前記無線通信端末の位置推定を行う位置推定装置と、を備え、
前記無線通信端末は、当該無線通信端末を識別する識別情報に対応する信号特性を有する無線信号を送信する無線信号送信部を備え、
前記受信装置は、前記無線通信端末から送信された無線信号を受信して当該無線信号の信号特性を検出し、当該検出した信号特性に基づいて前記無線通信端末の識別情報を検出する端末情報受信部と、前記無線通信端末の識別情報と自身である前記受信装置を識別する識別情報とを関連付けて前記位置推定装置に送信する端末情報送信部と、を備え、
前記位置推定装置は、前記受信装置から受信した前記無線通信端末の識別情報及び前記受信情報の識別情報に基づいて、前記無線通信端末の位置を推定する端末位置推定部を備えた、
無線通信システム。
【0059】
(付記2)
付記1に記載の無線通信システムであって、
前記受信装置の前記端末情報受信部は、前記無線通信端末から送信された無線信号の信号特性に基づいて前記無線通信端末の識別情報を検出すると共に、当該無線信号の受信強度を検出し、
前記受信装置の前記端末情報送信部は、検出した前記無線通信端末の識別情報及び受信強度を、自身である前記受信装置を識別する識別情報と関連付けて前記位置推定装置に送信し、
前記位置推定装置の前記端末位置推定部は、前記受信装置から受信した相互に関連付けられた、当該受信装置の識別情報と、前記無線通信端末の識別情報及び受信強度と、に基づいて、前記無線通信端末の位置を推定する、
無線通信システム。
【0060】
(付記3)
付記2に記載の無線通信システムであって、
前記位置推定装置の前記端末位置推定部は、前記受信装置から受信した前記無線通信端末の識別情報が同一である情報のうち、前記受信強度に基づいて選定した当該受信強度に関連付けられている識別情報に対応する前記受信装置の位置に基づいて、前記無線通信端末の位置を推定する、
無線通信システム。
【0061】
(付記4)
付記1乃至3のいずれかに記載の無線通信システムであって、
前記無線通信端末の前記無線信号送信部は、当該無線通信端末の識別情報に対応するフレーム長を有する無線信号を送信し、
前記受信装置の前記端末情報受信部は、前記無線通信端末から送信された無線信号のフレーム長に基づいて当該無線通信端末の識別情報を検出する、
無線通信システム。
【0062】
(付記5)
付記1乃至4のいずれかに記載の無線通信システムであって、
前記受信装置は、複数の通信チャネルの無線信号を同時に受信可能である、
無線通信システム。
【0063】
(付記6)
付記1乃至5のいずれかに記載の無線通信システムであって、
前記無線通信端末は、自端末の移動を検出する移動検出部を備え、
前記無線通信端末の前記無線信号送信部は、前記移動検出部にて自端末の移動を検出したときに前記無線信号を前記受信装置に送信する、
無線通信システム。
【0064】
(付記7)
付記1乃至6のいずれかに記載の無線通信システムであって、
前記無線通信端末と無線通信を行う無線基地局を備え、
前記無線通信端末の前記無線信号送信部は、当該無線通信端末が装備する所定のセンサにて検出したセンサ検出情報を、当該無線通信端末の識別情報と共に、前記受信装置又は前記無線基地局に送信し、
前記位置推定装置の前記端末位置推定部は、前記受信装置から受信した情報と、前記無線通信端末から受信した情報とに基づいて、前記無線通信端末の位置を推定する、
無線通信システム。
【0065】
(付記8)
移動体である無線通信端末と、所定範囲に設置され前記無線通信端末から送信された無線信号を受信する複数の受信装置と、前記複数の受信装置と接続され前記無線通信端末の位置推定を行う位置推定装置と、を備えた無線通信システムにより、前記無線通信端末の位置を推定する位置推定方法であって、
前記無線通信端末が、当該無線通信端末を識別する識別情報に対応する信号特性を有する無線信号を送信し、
前記受信装置が、前記無線通信端末から送信された無線信号を受信して当該無線信号の信号特性を検出し、当該検出した信号特性に基づいて前記無線通信端末の識別情報を検出し、前記無線通信端末の識別情報と自身である前記受信装置を識別する識別情報とを関連付けて前記位置推定装置に送信し、
前記位置推定装置が、前記受信装置から受信した前記無線通信端末の識別情報及び前記受信情報の識別情報に基づいて、前記無線通信端末の位置を推定する、
位置推定方法。
【0066】
(付記8−2)
付記8に記載の位置推定方法であって、
前記受信装置が、前記無線通信端末から送信された無線信号の信号特性に基づいて前記無線通信端末の識別情報を検出すると共に、当該無線信号の受信強度を検出し、検出した前記無線通信端末の識別情報及び受信強度を、自身である前記受信装置を識別する識別情報と関連付けて前記位置推定装置に送信し、
前記位置推定装置が、前記受信装置から受信した相互に関連付けられた、当該受信装置の識別情報と、前記無線通信端末の識別情報及び受信強度と、に基づいて、前記無線通信端末の位置を推定する、
位置推定方法。
【0067】
(付記9)
所定範囲に複数設置され、移動体である無線通信端末から送信された無線信号を受信する受信装置であって、
前記無線通信端末から送信された無線信号を受信して当該無線信号の信号特性を検出し、当該検出した信号特性に基づいて前記無線通信端末の識別情報を検出する端末情報受信部と、
前記無線通信端末の識別情報と自身である前記受信装置を識別する識別情報とを関連付けて、前記無線通信端末の位置推定を行う位置推定装置に送信する端末情報送信部と、
を備えた受信装置。
【0068】
(付記9−2)
付記9に記載の受信装置であって、
前記端末情報受信部は、前記無線通信端末から送信された無線信号の信号特性に基づいて前記無線通信端末の識別情報を検出すると共に、当該無線信号の受信強度を検出し、
前記端末情報送信部は、検出した前記無線通信端末の識別情報及び受信強度を、自身である前記受信装置を識別する識別情報と関連付けて前記位置推定装置に送信する、
受信装置。
【0069】
(付記10)
所定範囲に複数設置され、移動体である無線通信端末から送信された無線信号を受信する受信装置に、
前記無線通信端末から送信された無線信号を受信して当該無線信号の信号特性を検出し、当該検出した信号特性に基づいて前記無線通信端末の識別情報を検出する端末情報受信部と、
前記無線通信端末の識別情報と自身である前記受信装置を識別する識別情報とを関連付けて、前記無線通信端末の位置推定を行う位置推定装置に送信する端末情報送信部と、
を実現させるためのプログラム。
【0070】
(付記10−2)
付記10に記載のプログラムであって、
前記端末情報受信部は、前記無線通信端末から送信された無線信号の信号特性に基づいて前記無線通信端末の識別情報を検出すると共に、当該無線信号の受信強度を検出し、
前記端末情報送信部は、検出した前記無線通信端末の識別情報及び受信強度を、自身である前記受信装置を識別する識別情報と関連付けて前記位置推定装置に送信する、
プログラム。
【0071】
なお、上述したプログラムは、記憶装置に記憶されていたり、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録されている。例えば、記録媒体は、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク、及び、半導体メモリ等の可搬性を有する媒体である。
【0072】
以上、上記実施形態等を参照して本願発明を説明したが、本願発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明の範囲内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。