特許第6095120号(P6095120)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6095120
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】リチウムイオン二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/26 20060101AFI20170306BHJP
   H01M 2/34 20060101ALI20170306BHJP
【FI】
   H01M2/26 A
   H01M2/34 B
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-531418(P2013-531418)
(86)(22)【出願日】2012年8月31日
(86)【国際出願番号】JP2012072123
(87)【国際公開番号】WO2013031937
(87)【国際公開日】20130307
【審査請求日】2015年7月2日
(31)【優先権主張番号】特願2011-188264(P2011-188264)
(32)【優先日】2011年8月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】310010081
【氏名又は名称】NECエナジーデバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091971
【弁理士】
【氏名又は名称】米澤 明
(74)【代理人】
【識別番号】100139114
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 貞嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100088041
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 龍吉
(74)【代理人】
【識別番号】100139103
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 卓志
(74)【代理人】
【識別番号】100157118
【弁理士】
【氏名又は名称】南 義明
(72)【発明者】
【氏名】大道寺 孝夫
【審査官】 佐藤 知絵
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−236947(JP,A)
【文献】 特開2007−87652(JP,A)
【文献】 特開2008−34356(JP,A)
【文献】 特開2004−311146(JP,A)
【文献】 特開平8−167407(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0176155(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/26
H01M 2/30
H01M 2/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極電極と負極電極とをセパレーターを介して積層または巻回した電極体と、前記電極体から取り出した複数個の正極タブ、複数個の負極タブと、前記複数個の正極タブと正極引出タブとの接合部と、前記複数個の負極タブと負極引出タブとの接合部を備え、前記接合部の正極タブまたは正極引出タブの表面、前記接合部の負極タブまたは負極引出タブの表面には、金属板の一部が配置されて一体的に接合され、前記金属板の残余の部分が前記各接合部に巻き付けられたことを特徴とするリチウムイオン二次電池。
【請求項2】
前記金属板は、前記接合部の両面に巻き付けられたことを特徴とする請求項1記載のリチウムイオン二次電池。
【請求項3】
前記金属板は、前記接合部と接合した部分から一周以上を巻き付けられたことを特徴とする請求項1または2のいずれか1項記載のリチウムイオン二次電池。
【請求項4】
前記金属板を前記接合部と接合した部分に形成された表面異常部に前記金属板の残余を折り重ね巻き付けられたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載のリチウムイオン二次電池。
【請求項5】
前記接合部および前記金属板は、合成樹脂層で被覆されたことを特徴とする請求項1からのいずれか1項記載のリチウムイオン二次電池。
【請求項6】
前記合成樹脂層が変性ポリフェニレンエーテル層であることを特徴とする請求項記載のリチウムイオン二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウムイオン二次電池に関して、特性が優れた正極引出タブ、負極引出タブを設けたリチウムイオン二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
正極電極と負極電極とをセパレーターを介して積層または巻回したリチウムイオン二次電池は、正極、負極の面積を大きくしたり、積層する場合には正極、負極の枚数を増加することによって単位電池当たりの容量を大きくすることが容易であるので、充放電容量が大きな電池として好適である。
リチウムイオン二次電池では、正極電極は、集電体の帯状のアルミニウム箔面に、粒子状の正極活物質、導電性材料、結着剤等を混合した正極用スラリーを部分的に塗布、乾燥した後,所定の大きさに切断することによって製造している。負極電極も同様に、集電体の帯状の銅箔面に、粒子状の負極活物質、導電性材料、結着剤等を混合した負極用スラリーを間欠的に塗布、乾燥後、所定の大きさに切断することによって製造している。
【0003】
リチウムイオン二次電池では、複数の正極電極と負極電極とをセパレーターを介して重ねて電池要素を作製した後に、各電極の集電体と一体に形成した電極タブ、あるいは集電体に導電部材を接合することによって作製した電極タブのそれぞれを、強度が大きな正極引出タブ、負極引出タブを超音波接合等によって接合した後に外装体に収容して封口を行っている。
金属箔等の厚みが薄い部材を超音波接合する際には、超音波接合時に電極引出タブ等の厚みが小さい部材が損傷を受けることが知られており、保護部材を介在させて保護部材とともに接合する方法が数多く提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−206963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
金属箔製の正極タブ、負極タブを、正極引出タブ、負極引出タブのそれぞれに超音波接合によって接合する際には、接合部の超音波ホーンの当接側に保護用の金属板を配置して超音波接合する方法によって、接合部の金属箔の損傷等を防止することが可能である。しかしながら、超音波接合時に接合部にバリ、突起等が生じることは避けられなかった。また、電池の有効電極面積を大きくするためには、接合部を電池電極の活物質塗布面にできるだけ近づけることが必要となるが、活物質塗布面に近づけるほど、接合部の溶接後に保護用の金属板を切断する作業は困難となるという問題があった。
【0006】
図6は、正極電極と負極電極とをセパレーターを介して積層した電極積層体を説明する図である。図6Aは、電極積層体の平面図である。また、図56は、図6AにおけるB−B’線での断面を説明する図である。
正極電極と負極電極とをセパレーターを介して積層した電極積層体400には、正極引出タブ115、負極引出タブ215が取り付けられている。
複数枚の金属箔製の正極タブ105と正極引出タブ115との接合部110は、金属板120を保護部材として配置して接合して一体化したものであって、正極タブ105と正極引出タブ115は損傷を生じることなく接合部110を形成することが可能である。
しかしながら、超音波接合によって接合する際には、凹凸面を有するアンビル上に正極引出タブ115を載置して、その上面の所定の個所に複数の正極タブ105を重ねて配置し、正極タブ105上には、保護部材として金属板120を配置して、金属板120に超音波接合装置のホーンを当接して超音波接合を行うと、正極引出タブ115、金属板120の表面には、バリ、突起等の表面異常部140が生じることは避けられなかった。
【0007】
正極引出タブ115との接合部に生じたバリ、突起等の表面異常部140は、電池が大きな衝撃、振動を受けた場合に電極体が電池外装体内を移動した際に、電池構成部材と接触して短絡を生じる可能性が考えられる。また、フィルム状外装材が電池外装体の場合には、生じたバリ、突起等がフィルム状外装材を傷つける可能性も考えられる。
【0008】
本発明は、正極引出タブ、負極引出タブの接合部に生じたバリ、突起等の表面異常部140によって、電池内部での短絡やフィルム状外装材に損傷を及ぼすことがないリチウムイオン二次電池を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するものであって、正極電極と負極電極とをセパレーターを介して積層または巻回した電極体と、前記電極体から取り出した複数個の正極タブ、複数個の負極タブと、前記複数個の正極タブと正極引出タブとの接合部と、前記複数個の負極タブと負極引出タブとの接合部を備え、前記接合部の正極タブまたは正極引出タブの表面、前記接合部の負極タブまたは負極引出タブの表面には、金属板の一部が配置されて一体的に接合され、前記金属板の残余の部分が前記各接合部に巻き付けられたリチウムイオン二次電池である。
前記金属板は、前記接合部の両面に巻き付けた前記のリチウムイオン二次電池である。
前記金属板は、前記接合部と接合した部分から一周以上を巻き付けた前記のリチウムイオン二次電池である。
前記接合部および前記金属板は、合成樹脂層で被覆された前記のリチウムイオン二次電池である。
前記合成樹脂層が変性ポリフェニレンエーテル層である前記のリチウムイオン二次電池である。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るリチウムイオン二次電池は、正極電極、負極電極のそれぞれの引出タブと、正極引出タブ、負極引出タブとの接合部は、金属板を配置して接合するとともに、前記金属板の残余の部分を接合部の外周面の両面に巻き付けたので、接合部に生じたバリ、凹凸部を金属板で覆うことができるので、電池に衝撃が加わって電池内部で電極体が移動した場合であっても、接合部に生じたバリ、突起、凹凸部等の表面異常部が電池構成部材と接触して障害を発生することを防止したので、信頼性が大きなリチウムイオン二次電池の提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明のリチウムイオン二次電池の一実施形態の説明する図である。図1Aは、積層型リチウムイオン電池の平面図を示す。図1Bは、正極引出タブの中心線である図1AのA−A’の位置における断面図を説明する図であって、電池電極の積層方向を拡大した図である。
図2図2は、本発明のリチウムイオン二次電池の一実施形態の電極積層体を説明する図である。図2Aは、平面図を示し、図2Bは、製造過程での図2AのA−A’の位置における断面図であって拡大した図を示す。図2Cは、作製後の図2AのA−A’の位置における断面図を説明する拡大した図を示す。
図3図3は、本発明リチウムイオン二次電池の他の実施形態の電極積層体を説明する図である。図3Aは、平面図を示し、図3Bは、図3AのA−A’の位置における断面図であって拡大した図を示す。
図4図4は、本発明の他の実施形態を説明する図であり、図4は、図2図3において、A−A’線で示す正極側接合部の作製工程を順を追って説明する断面図である。
図5図5は、本発明のリチウムイオン二次電池の他の実施形態の説明する図であって、図1における電池が巻回形電池である場合のA−A’における断面図である。
図6図6は、従来のリチウムイオン二次電池の電極積層体を説明する図である。図6Aは、平面図を示す。図6Bは、図6AにおけるB−B’の位置における断面図であって拡大した図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、図面を参照して積層型のリチウムイオン二次電池を例にして本発明を説明する。
図1に示すように、本発明の積層型リチウムイオン二次電池1は、正極電極100と負極電極200がセパレーター300を介して積層された電極積層体400を形成しており、電極積層体400から同一方向に取り出された複数の正極タブ105と接合した正極引出タブ115、および複数の負極タブ205と接合した負極引出タブ215が取り出されている。
正極引出タブ115と負極引出タブ215は、それぞれフィルム状外装材500の封口部510から取り出される。また、前記封口部の正極引出タブ115、負極引出タブ215には、正極引出タブ115、負極引出タブ215とフィルム状外装材500との間のガスケット部520が設けられて、封口特性を高める作用を果たしている。
また、正極引出タブ115は、正極タブ105と、超音波接合によって接合部110において接合している。負極引出タブについても正極引出タブと同様に負極タブとを超音波溶接によって接合部において接合している。
【0013】
本発明で用いる正極電極としては、帯状のアルミニウム箔からなる正極集電体上に、リチウムマンガン複合酸化物、リチウムコバルト複合酸化物、リチウムニッケル複合酸化物等と、カーボンブラック等の導電性材料、ポリフッ化ビニリデン等の結着剤等をN−メチル−2−ピロリドンに分散させてスラリー状とし、このスラリー状の正極合剤を正極集電体上に間欠的に両面に塗布し、乾燥後、ローラープレス機等によって圧縮して成型を行った正極電極基材を製造した後に、所定の大きさに切断することによって製造することができる。
【0014】
また、負極電極としては、帯状の銅箔の負極集電体上に、リチウムイオンを吸蔵、放出する炭素材料、カーボンブラック等の導電性材料、ポリフッ化ビニリデン等の結着剤等をN−メチル−2−ピロリドンに分散させてスラリー状とし、このスラリー状の負極合剤を負極集電体上に間欠的に両面に塗布し、乾燥後、ローラープレス機等によって圧縮して成型を行って負極電極基材を製造した後に正極電極と同様の方法で負極電極を作製することができる。
【0015】
また、フィルム状外装材には、アルミニウム箔の外面側にはナイロン、ポリエチレンテレフタレート等の強度、および耐熱性を有する部材を、内面側には、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱融着特性が良好な材料をそれぞれ積層したものを用いることができる。
本発明のリチウムイオン二次電池の外装材には、上記したようなフィルム状外装材に限らず、凹部を形成した合成樹脂の成形体、金属製の外装容器等を用いたものであってもよい。
【0016】
以下に、図2を参照して本発明の電極体を説明する。
以下、図2図3図4では、正極電極、負極電極ともに構成材料を除き,同様の構造を有しているので、正極電極を中心に説明する。
図2Aに示すように、電極積層体400は、正極電極100と負極電極200とをセパレーター300を介して積層して、正極電極100、負極電極200、セパレーター300が位置ずれをしないように、粘着テープ410によって固定したものである。
複数の正極タブ105は、正極引出タブ115と接合部110において接合されている。また、負極引出タブ215および負極引出端子205も、接合部210において接合されている。
【0017】
図2Bは、図2AにおいてA−A’線で示す断面図である。
正極引出タブ115を、超音波接合装置のアンビルに載置し、正極引出タブ115上に複数の正極タブ105を載置し、更に正極タブ105の上面に金属板120を載置して、超音波接合装置のホーンを当接することで、一体に接合部110を形成したものである。
次いで、図2Cに示すように、金属板120を正極引出タブ側へと折り曲げることによって接合部110が完成する。
接合部110は、正極引出タブ上に生じた表面異常部140Aが金属板120によって覆われているので、表面異常部による損傷等のおそれのない特性の優れた電極体を備えたリチウム二次電池を提供することができる。
また、接合部110の金属板120の表面にも表面異常部140Bが形成されているが、正極引出タブ115は、金属板120に比べて厚みが厚い材料であると共に、硬度も金属板に比べて大きい。超音波溶接によって生じる表面異常部のバリ、突起、凹凸は、硬度が大きな金属に形成された場合の方が外装材を傷をつける可能性が高い。したがって、表面異常部の両者を共に覆うことが好ましいが、電池の構造によっては、硬度が大きな正極引出タブ115に形成された表面異常部140Aのみを覆うようにすることもできる。
【0018】
次に、図3を参照して本発明の他の実施形態の電極体を説明する。
図3で示す電極積層体400も、正極電極100と負極電極200をセパレーター300を介して積層して、正極電極、負極電極、セパレーターが位置ずれをしないように、粘着テープ410によって固定したものである。
複数の正極タブ105は、正極引出タブ115と接合部110において接合されている。おり、負極引出タブ215および負極引出端子205も、接合部210において接合されている。
図3Aにおいて、A−A’線で示す断面を図3Bで示すように、金属板120は、接合部から一周を越えて更に接合部を覆うように延びているので、金属板120は、正極引出タブ115上に生じた表面異常部140Aのみではなく、金属板120の表面に生じた表面異常部140Bも覆われているので、表面異常部による損傷等の発生をより確実になくすことが可能な特性の優れた電池を提供することができる。
【0019】
また、接合部110、210を覆う金属板には、それぞれ正極引出タブ、負極引出タブと同一の材質の材料を用いることができる。具体的には、正極側の金属板には、正極引出タブと同じ材質であるアルミニウムを、また負極側の金属板には、負極引出タブと同じ材質であるニッケル、またはニッケルめっき銅板、ニッケルで覆われたニッケル銅クラッド材を用いることができる。
【0020】
正極側接合部110,負極側接合部210はいずれも絶縁性物質で表面を覆うことによって、衝撃を受けた場合に電池構成部材に与える影響をより小さくすることが可能となる。
絶縁性物質としては、リチウムイオン二次電池で使用する電解液等に悪影響を与えない物質であれば、任意の材料を用いることができるが、変性ポリフェニレンエーテルを用いることが好ましい。
【0021】
次に、図4を参照して本発明の他の実施形態の電極体を説明する。
図4は、図2図3において、A−A’線で示す正極側接合部の作製工程を説明する断面図である。
図4Aは、正極引出タブ115を、超音波接合装置のアンビルに載置し、正極引出タブ115上に複数の正極タブ105を載置し、更に正極タブ105の上面に金属板120を載置して、超音波接合装置のホーンを当接することで、一体に正極側接合部110を形成したものである。
【0022】
次いで、図4Bに示すように、金属板120の接合によって形成された表面異常部140Bを覆うように金属板120を表面異常部に折り重ねて正極引出タブ側とは反対側に折り曲げる。
更に、図4Cに示す様に、金属板120を正極側接合部110の表面に沿って折り曲げて、正極引出タブ側に形成された表面異常部140Aの表面を覆うことで完成する。
正極側接合部110は、接合時に正極引出タブ上に生じた表面異常部140Aのみではなく、金属板上に生じた表面異常部140Bも覆われているので損傷等のおそれのない特性の優れた電極体を備えたリチウム二次電池を提供することができる。
【0023】
また、接合部110、210を覆う金属板には、それぞれ正極引出タブ、負極引出タブと同一の材質の材料を用いることができる。具体的には、正極側の金属板には、正極引出タブと同じ材質であるアルミニウムを用いる。また負極側の金属板には、負極引出タブと同じ材質であるニッケル、または銅にニッケルめっき、クラッドに表面がニッケルで覆われたクラッド体を用いることができる。
また、負極側についても同様に作製することができる。
【0024】
本発明においては、正極電極と負極電極とをセパレーターを介して繰り返し重ねた積層型のリチウムイオン二次電池を用いて発明を説明してが、正極電極と負極電極とを、正極電極/セパレーター/負極電極/セパレーターの順に介してから巻回した巻回形の二次電池にも適用可能である。
図5は、図1における電池が巻回形電池である場合のA−A’における断面図である。本例における巻回形の電極引出タブ105は、集電体に導電部材を接合することによって正極タブおよび負極タブを形成してもよいし、これらの引出タブを集電体と一体に形成することもできる。正極タブ105は、正極側接合部110を介して当該正極タブ105よりも強度が大きな正極引出タブ115と超音波接合によって接合し、負極側についても正極側と同様に、負極側接合部を介して当該負極タブよりも強度が大きな負極引出タブと超音波接合によって接合した後に外装体に収容して封口を行っている。
正極側接合部および負極側接合部は、積層型リチウムイオン電池について説明したものと同様にすることで、表面異常部による損傷等の発生が低減された電池を提供することができる。
【0025】
また、正極側については、正極タブ、金属板、正極引出タブはいずれもアルミニウムを用いることができる。一方、負極側については、負極タブには、ニッケルめっき銅板、またはニッケル板を用いることができ、金属板にはニッケル板を用いることができる。
本発明においては、正極側、負極側の両者の接合部に金属板によって表面異常部を覆うことが好ましいが、構成部材の硬度が大きく、正極側に比べて損傷が生じる可能性がある負極側の表面異常部のみをを覆っても良い。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は、正極電極、負極電極の引出タブを、正極引出タブ、負極引出タブとそれぞれ超音波接合によって接合した接合部を、接合部の保護部材として用いた金属板によって接合部を覆うようにしたので、超音波溶接によって接合部に生じた表面異常部によって、短絡を生じたり、構成部材が損傷を受ける等の問題が生じることがないので、特性の優れたリチウムイオン二次電池を提供することができる。
【符号の説明】
【0027】
1・・・積層型リチウムイオン二次電池、100・・・正極電極、200・・・負極電極、205・・・負極タブ、210・・・接合部、300・・・セパレーター、400・・・電極積層体、105・・・正極タブ、110・・・接合部、115・・・正極引出タブ、120・・・金属板、140,140A,140B・・・表面異常部、205・・・負極タブ、215・・・負極引出タブ、500・・・フィルム状外装材、510・・・封口部、520・・・ガスケット部、410・・・粘着テープ
図1
図2
図3
図4
図5
図6