(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6095125
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】2連電磁弁
(51)【国際特許分類】
F16K 31/06 20060101AFI20170306BHJP
H01F 7/16 20060101ALI20170306BHJP
H01F 7/126 20060101ALI20170306BHJP
【FI】
F16K31/06 305D
F16K31/06 385F
H01F7/16 R
H01F7/16 K
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-189822(P2014-189822)
(22)【出願日】2014年9月18日
(65)【公開番号】特開2016-61372(P2016-61372A)
(43)【公開日】2016年4月25日
【審査請求日】2015年10月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】特許業務法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】吉村 公博
【審査官】
関 義彦
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭61−152869(JP,U)
【文献】
特開2004−332876(JP,A)
【文献】
特開昭63−130977(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/06
H01F 7/126
H01F 7/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1と第2の各弁体と、第1と第2の各弁体を一端に連結した第1と第2の各可動鉄心と、第1と第2の各可動鉄心が摺動自在に挿入された第1と第2の各ガイド筒と、第1と第2の各可動鉄心の他端に対向するように第1と第2の各ガイド筒の他端部内周に配置された第1と第2の各固定鉄心と、第1と第2の各可動鉄心を第1と第2の各固定鉄心から離隔する方向に付勢する第1と第2の各弁バネと、第1と第2の各ガイド筒を囲うように配置された第1と第2の各電磁コイルと、第1と第2の両ガイド筒の他端側に第1と第2の両固定鉄心に跨るように配置された第1磁性板と、第1と第2の両ガイド筒の一端側に両ガイド筒に跨るように配置された第2磁性板とを備え、
第1と第2の両磁性板を連結する磁性側板を省略して、第1可動鉄心から第1固定鉄心と第1磁性板と第2固定鉄心と第2可動鉄心と第2磁性板とを経由して第1可動鉄心に戻る共用磁気通路のみを形成し、
第1電磁コイルと第2電磁コイルとに互いに逆向きの電流を流して、第1と第2の各可動鉄心を第1と第2の各固定鉄心に吸着させることを特徴とする2連電磁弁。
【請求項2】
第1電磁コイルと第2電磁コイルとに互いに逆向きの電流を流して、第1と第2の各可動鉄心を第1と第2の各固定鉄心に吸着させた後、第1電磁コイルと第2電磁コイルとの一方にのみ電流を流すだけで、第1と第2の各可動鉄心の第1と第2の各固定鉄心への吸着状態が維持されるようにしたことを特徴とする請求項1記載の2連電磁弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として燃焼装置で使用する2個の弁体を有する2連電磁弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一般的な電磁弁は、弁体と、弁体を一端に連結した可動鉄心と、可動鉄心が摺動自在に挿入されたガイド筒と、可動鉄心の他端に対向するようにガイド筒の他端部内周に配置された固定鉄心と、可動鉄心を固定鉄心から離隔する方向に付勢する弁バネと、ガイド筒を囲うように配置された電磁コイルと、ガイド筒の他端側に配置された第1磁性板と、ガイド筒の一端側に配置された第2磁性板と、第1と第2の両磁性板を連結する磁性側板とを備え、可動鉄心から固定鉄心と第1磁性板と磁性側板と第2磁性板とを経由して可動鉄心に戻る磁気通路が構成されるようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、従来、2連電磁弁として、第1と第2の各弁体と、第1と第2の各弁体を一端に連結した第1と第2の各可動鉄心と、第1と第2の各可動鉄心が摺動自在に挿入された第1と第2の各ガイド筒と、第1と第2の各可動鉄心の他端に対向するように第1と第2の各ガイド筒の他端部内周に配置された第1と第2の各固定鉄心と、第1と第2の各可動鉄心を第1と第2の各固定鉄心から離隔する方向に付勢する第1と第2の各弁バネと、第1と第2の各ガイド筒を囲うように配置された第1と第2の各電磁コイルと、第1と第2の両ガイド筒の他端側に第1と第2の両固定鉄心に跨るように配置された第1磁性板と、第1と第2の両ガイド筒の一端側に両ガイド筒に跨るように配置された第2磁性板と、第1と第2の両磁性板を連結する磁性側板とを備え、第1可動鉄心から第1固定鉄心と第1磁性板と磁性側板と第2磁性板とを経由して第1可動鉄心に戻る第1磁気通路と、第2可動鉄心から第2固定鉄心と第1磁性板と磁性側板と第2磁性板とを経由して第2可動鉄心に戻る第2磁気通路とが構成されるようにしたものも知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
然し、上記従来の2連電磁弁は、第1と第2の両磁性板を第1と第2の両磁気通路で共用しているものの、磁性側板が存在するため、占有スペースを然程削減できない。また、2個の弁体の開動作(常閉型)や閉動作(常開型)に要する消費電力は、独立した2個の電磁弁を設ける場合と同等になる。そのため、近年の小型化、省電力化の要求を満たすことができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−164104号公報
【特許文献2】特開2002−61767号公報(
図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の点に鑑み、小型化、省電力化を図ることができるようにした2連電磁弁を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の2連電磁弁は、第1と第2の各弁体と、第1と第2の各弁体を一端に連結した第1と第2の各可動鉄心と、第1と第2の各可動鉄心が摺動自在に挿入された第1と第2の各ガイド筒と、第1と第2の各可動鉄心の他端に対向するように第1と第2の各ガイド筒の他端部内周に配置された第1と第2の各固定鉄心と、第1と第2の各可動鉄心を第1と第2の各固定鉄心から離隔する方向に付勢する第1と第2の各弁バネと、第1と第2の各ガイド筒を囲うように配置された第1と第2の各電磁コイルと、第1と第2の両ガイド筒の他端側に第1と第2の両固定鉄心に跨るように配置された第1磁性板と、第1と第2の両ガイド筒の一端側に両ガイド筒に跨るように配置された第2磁性板とを備え、第1と第2の両磁性板を連結する磁性側板を省略して、第1可動鉄心から第1固定鉄心と第1磁性板と第2固定鉄心と第2可動鉄心と第2磁性板とを経由して第1可動鉄心に戻る共用磁気通路第1と第2の両磁性板を連結する磁性側板を省略して、第1可動鉄心から第1固定鉄心と第1磁性板と第2固定鉄心と第2可動鉄心と第2磁性板とを経由して第1可動鉄心に戻る共用磁気通路
のみを形成
し、第1電磁コイルと第2電磁コイルとに互いに逆向きの電流を流して、第1と第2の各可動鉄心を第1と第2の各固定鉄心に吸着させることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、磁性側板を省略することで、小型化を図ることができる。また、第1と第2の両可動鉄心を通る共用磁気通路が形成されるため、第1電磁コイルと第2電磁コイルとに互いに逆向きの電流を流せば、第1電磁コイルへの通電で発生する磁力線と第2電磁コイルへの通電で発生する磁力線とを重畳した磁力線が共用磁気通路を通ることになる。従って、第1と第2の各電磁コイルの通電電流を、第1と第2の各可動鉄心を通る各別の磁気通路を形成する場合の半分程度に小さくても、第1と第2の各可動鉄心を第1と第2の各固定鉄心に吸着させて、第1と第2の各弁体を開動作(常閉型の場合)又は閉動作(常開型の場合)させることができる。そのため、省電力化も図ることができる。
【0009】
また、本発明においては、第1電磁コイルと第2電磁コイルとに互いに逆向きの電流を流して、第1と第2の各可動鉄心を第1と第2の各固定鉄心に吸着させた後、第1電磁コイルと第2電磁コイルとの一方にのみ電流を流すだけで、第1と第2の各可動鉄心の第1と第2の各固定鉄心への吸着状態が維持されるようにすることが望ましい。これによれば、第1と第2の両弁体を開弁状態又は閉弁状態に維持する際の消費電力を削減でき、一層の省電力化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態の2連電磁弁を組み込んだゼロガバナの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1を参照して、1は、バーナへのガス供給路に介設するゼロガバナ100に組み込んだ本発明の実施形態の2連電磁弁を示している。ゼロガバナ100は、入口室101と、入口室101に対し第1弁座102で仕切られた中間室103と、中間室103に対し第2弁座104で仕切られた第1圧力室105と、中間室103に対し第3弁座106で仕切られた出口室107と、出口室107に対し第1ダイヤフラム108で仕切られた、第1圧力室105に連通路109を介して連通する第2圧力室110と、第2圧力室110に連通する連通路111に対し第4弁座112で仕切られた、出口室107に連通路113を介して連通すると共に第1圧力室105に図示省略した連通路を介して連通する第3圧力室114と、第3圧力室114に対し第2ダイヤフラム115で仕切られた大気圧室116と、第1弁座102に形成した第1弁孔102aを開閉する2連電磁弁1の第1弁体2
1と、第2弁座104に形成した第2弁孔104aを開閉する2連電磁弁1の第2弁体2
2と、第1ダイヤフラム108に連結され、第3弁座106に形成した第3弁孔106aを開閉する第1ダイヤフラム弁117と、第2ダイヤフラム115に連結され、第4弁座112に形成した第4弁孔112aを開閉する第2ダイヤフラム弁118と、第1ダイヤフラム弁117を下方の閉じ側に付勢する第1スプリング119と、第2ダイヤフラム弁118を下方の閉じ側に付勢する第2スプリング120とを備えている。そして、第1と第2の両弁体2
1,2
2を開弁状態にすると、公知の如く入口室101から出口室107にガスが流れ、入口室101のガス圧(一次圧)が変動しても、出口室107のガス圧(二次圧)は大気圧に維持される。
【0012】
図2も参照して、2連電磁弁1は、上記第1と第2の各弁体2
1,2
2と、第1と第2の各弁体2
1,2
2を一端(
図1,2で下端)に連結した第1と第2の各可動鉄心3
1,3
2と、第1と第2の各可動鉄心3
1,3
2が摺動自在に挿入された第1と第2の各ガイド筒4
1,4
2と、第1と第2の各可動鉄心3
1,3
2の他端(
図1,2で上端)に対向するように第1と第2の各ガイド筒4
1,4
2の他端部内周に配置された第1と第2の各固定鉄心5
1,5
2と、第1と第2の各可動鉄心3
1,3
2を第1と第2の各固定鉄心5
1,5
2から離隔する方向に付勢する第1と第2の各弁バネ6
1,6
2とを備えている。
【0013】
尚、第1と第2の各弁体2
1,2
2は、第1と第2の各弁バネ6
1,6
2で第1と第2の各弁孔102a,104aを閉塞する閉じ側に付勢される常閉型である。また、第1弁バネ6
1は、入口室101の上面を閉塞する蓋板121と第1弁体2
1との間に介設され、第2弁バネ6
2は、第2固定鉄心5
2と第2可動鉄心2
2との間に介設されている。
【0014】
2連電磁弁1は、更に、第1と第2の各ガイド筒4
1,4
2を囲うように配置された第1と第2の各電磁コイル7
1,7
2と、第1と第2の両ガイド筒4
1,4
2の他端側に第1と第2の両固定鉄心5
1,5
2に跨るように配置された第1磁性板8
1と、第1と第2の両ガイド筒4
1,4
2の一端側に両ガイド筒4
1,4
2に跨るように配置された第2磁性板8
2とを備えている。そして、第1と第2の両磁性板8
1,8
2を連結する磁性側板を省略して、
図2に1点鎖線で示すように、第1可動鉄心3
1から第1固定鉄心5
1と第1磁性板8
1と第2固定鉄心5
2と第2可動鉄心3
2と第2磁性板8
2とを経由して第1可動鉄心3
1に戻る共用磁気通路9が構成されるようにしている。
【0015】
本実施形態の2連電磁弁1では、磁性側板を省略することで、小型化を図ることができる。また、第1と第2の両可動鉄心3
1,3
2を通る共用磁気通路9が構成されるため、第1電磁コイル7
1と第2電磁コイル7
2とに互いに逆向きの電流を流せば、第1電磁コイル7
1への通電で発生する磁力線と第2電磁コイル7
2への通電で発生する磁力線とを重畳した磁力線が共用磁気通路9を通ることになる。従って、第1と第2の各電磁コイル7
1,7
2の通電電流を、第1と第2の各可動鉄心3
1,3
2を通る各別の磁気通路を形成する場合の半分程度に小さくても、第1と第2の各可動鉄心3
1,3
2を第1と第2の各固定鉄心5
1,5
2に吸着させて、第1と第2の各弁体2
1,2
2を開動作させることができる。そのため、省電力化も図ることができる。
【0016】
更に、本実施形態では、第1と第2の各可動鉄心3
1,3
2を第1と第2の各固定鉄心5
1,5
2に吸着させた後、第1電磁コイル7
1と第2電磁コイル7
2との一方、例えば、第1電磁コイル7
1にのみ電流を流すだけで、第1と第2の各可動鉄心3
1,3
2の第1と第2の各固定鉄心5
1,5
2への吸着状態が維持されるようにしている。これにより、第1と第2の両弁体2
1,2
2を開弁状態に維持する際の消費電力を削減でき、一層の省電力化を図ることができる。
【0017】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記実施形態は、ゼロガバナ100用の2連電磁弁1であるが、他の用途の2連電磁弁にも同様に本発明を適用できる。また、上記実施形態では、第1弁体2
1と第2弁体2
2とが共に常閉型であるが、共に常開型であっても、一方が常閉型、他方が常開型であってもよい。
【符号の説明】
【0018】
1…2連電磁弁、2
1…第1弁体、2
2…第2弁体、3
1…第1可動鉄心、3
2…第2可動鉄心、4
1…第1ガイド筒、4
2…第2ガイド筒、5
1…第1固定鉄心、5
2…第2固定鉄心、6
1…第1弁バネ、6
2…第2弁バネ、7
1…第1電磁コイル、7
2…第2電磁コイル、8
1…第1磁性板、8
2…第2磁性板、9…共用磁気通路。