(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1に記載の外科用デバイスが更に、前記内側本体の遠位端部から延在する少なくとも1つの脚を具え、前記少なくとも1つの脚が前記特定の椎骨の少なくとも1つの輪郭と解剖学的に結合する下面を具えることを特徴とする外科用デバイス。
請求項2に記載の外科用デバイスにおいて、前記少なくとも1つの脚の前記下面が、前記特定の椎骨の椎弓板又は下関節突起の少なくとも1つの輪郭と解剖学的に結合することを特徴とする外科用デバイス。
請求項2に記載の外科用デバイスにおいて、前記少なくとも1つの脚の前記下面が、1またはそれ以上の椎骨の椎弓板又は下関節突起の少なくとも1つの輪郭と解剖学的に結合することを特徴とする、外科用デバイス。
請求項1に記載の外科用デバイスにおいて、当該外科用デバイスは複数の追加的な外科用デバイスに連結されて、前記患者に関連する複数の解剖学的特徴に架かり得ることを特徴とする外科用デバイス。
請求項1に記載の外科用デバイスにおいて、当該外科用デバイスが、モノリシックまたはマルチレベル構成に配置されて前記患者に関連する複数の解剖学的特徴に架かり得る複数の外科用デバイスで構成されていることを特徴とする外科用デバイス。
【発明の概要】
【0007】
本開示の一態様によれば、1つ以上の外科的処置において使用するようにカスタマイズされた装置を開発するための新規のシステムおよび方法が説明されている。この実施形態によるシステムおよび方法は、1つ以上の「患者適合」装置を導き出すために、MRIデータまたはCTまたは他のデータの収集データから導き出され得る患者特有の形態を使用する。これらの患者適合装置は、MRIまたはCTデータから得られる複数のデータ点に基づく、相補的な面を含む。各「患者適合」装置は、患者自身の解剖学的構造に適合されかつその周りに向けられ、外科的処置の最中に、所望の挿入軌道(国際公開第2008027549号パンフレット(その全体が参照することにより本書に援用される)に開示されているソフトウェアなどの3次元CADソフトウェアを使用して、術前環境において検証され得る)、および本明細書で説明する一実施形態によれば、他の装置が使用される。
【0008】
ここに開示するシステムのカスタマイズされたおよび統合的な適合態様は、特に、各装置に複数のインターロッキングおよび/または適合点を提供することによって、従来技術に上回る利点を提供し、これが次に、誤配列、誤配置およびその後の1つまたは複数の外科的処置中の失敗の可能性を低下させる。
【0009】
それゆえ、本開示の一態様は、カスタマイズされた外科用デバイスまたは器具を準備する方法を提供することであり、この方法は、好ましい実施形態では以下のステップを含む:
患者の解剖学的構造に関連したデータを獲得するステップ;
獲得したデータを、3次元の1つまたは複数のデータセットに変換するステップ;
患者に実施する外科的処置を容易にするために、少なくとも1つの軌道または経路を決定するステップ;
患者の解剖学的構造に関連付けられた少なくとも1つの面を決定するステップ;
カスタマイズされた外科用デバイスまたは器具の3次元表示を生成するステップであって、この表示は、患者の解剖学的構造に関連付けられる少なくとも1つ面への経路の少なくとも1つ軌道および適合面を組み込んでいるステップ;および
3次元表示を使用して、カスタマイズされた外科用デバイスまたは器具を製作するステップ。
【0010】
本開示別の態様によれば、1つまたは複数の外科的処置を容易にするシステムおよび方法は、以下のステップを含む:
MRIまたはCTスキャンによって患者の解剖学的構造に関するデータを獲得するステップ;
MRIまたはCTスキャンデータを3次元の1つまたは複数のデータセットに変換するステップ
患者に実施する1つまたは複数の外科的処置を容易にするために使用されるように構成されるデバイスの向きの1つ以上の軸または平面を決定するステップ;
決定された軸を使用し、かつ変換された1つまたは複数のデータセットから導き出された任意の他の制約を考慮して、1つまたは複数の外科的処置を容易にするために使用されるデバイスをモデリングするステップ;
例えば、ラピッドプロトタイピング機を使用することによって、モデリングされたデバイスの原型を生成するステップ;および
1つまたは複数の外科的処置の最中に使用するための原型を準備するステップ。
【0011】
上述のこの態様によれば、変換された1つまたは複数のデータセットから導き出された任意の他の制約を考慮する方法ステップは、外科医の空間制限に適合させるために、モデリングされたデバイスのサイズを調整すること、モデリングされたデバイスの要素を、いくつかの解剖学的特徴を回避するように向けること、1つまたは複数の外科的処置に使用される1つ以上の器具および/または用具に好都合に動作可能に関連付けられ得る1つ以上の面を作製することなどを含み得る。
【0012】
本開示のさらに別の態様によれば、システムおよび方法は、放射線画像機、X線透視法、超音波装置または核医学走査装置からの獲得データの使用を含む。
【0013】
別の態様では、患者に適合する特徴は、1つ以上の追加的なプロセス、例えばX線透視法または当業界で公知の他のプロセスによって確認され得る。
【0014】
本開示の一態様では、この方法は、外科用ガイド、および対応する固定装置または器具、例えば骨の解剖学的構造に貫入するための切除/経路指定/ドリリング器具の軌道の計画に使用するために、患者の解剖学的構造のCTスキャンによって獲得した骨密度データの使用を含む。この獲得データは、外科医が患者用の外科的処置を計画、可視化またはそうでなければ準備するのを支援する、本明細書で考慮されかつ説明する他の方法で使用してもよい。
【0015】
さらに別の代替的な実施形態では、上述の走査装置のうちの1つからの獲得データは、骨密度スキャナーからのデータによって補足されるかまたはそのデータとマージされて、外科的処置の完了後に患者の体内に残されるように設計されるデバイスの製作に供し得る。骨密度スキャナーからのデータは、必ずしも本明細書で説明する発明で実施されるわけではないが、データを補足し、かつ外科医または他の医療専門家が、本明細書で説明する様々な装置の適切な位置、軌道、向きまたは配列を決定するのを支援し得ることがはっきりと理解される。
【0016】
本開示のさらに別の態様よれば、獲得データは、骨密度スキャナーからのデータで補足されるかまたはそのデータとマージされて、特に外科的処置が1つ以上の埋め込み型デバイスの挿入を含む場合、任意の所望の軸の向きをさらに制御し得る。
【0017】
さらに別の実施形態によれば、患者から獲得したデータは、装置を通る規定の経路を備える装置を製造できるようにし、これらの経路は、少なくとも1つの用具、器具、またはインプラントと動作可能に関連付けられ、かつ少なくとも1つの用具、器具またはインプラントを、一貫性がありかつ再現可能な方法で規定の経路に挿入できるようにする。患者の体内に埋め込まれるかまたは残るデバイスの例は、スクリュー、ピン、クリップ、フックなどのアンカーデバイス、およびスペーサ、置換用関節、置換システム、ケージなどの埋め込み型デバイスを含む。
【0018】
本開示のさらに別の態様によれば、予め構成された外科用テンプレートが開示されており、このプレートは、少なくとも1つの用具を収容する1つ以上のガイドを含む。この実施形態によれば、1つ以上のガイドは、さらに、患者の解剖学的特徴と実質的に一致するように形成された患者接触面を含む。予め構成された外科用テンプレートは、患者接触面がかみ合い係合で複数の解剖学的特徴と接触するように構成されるように、構成されて、ガイドまたはテンプレートの適切な配列および取り付けを保証し、および予め構成された外科用テンプレートのガイドは、予め構成された外科用テンプレートの製造前に選択された方向に向けられて、1つ以上のガイドによる用具の所望の位置決め、配列または前進を達成する。
【0019】
本開示のさらに別の態様によれば、外科手術で使用されるテンプレートを作製する方法が開示されており、この方法は:
患者特有の解剖学的構造に対応するデータを患者から収集するステップと;
収集したデータからテンプレートのモデルを作製するステップであって、モデルが、患者特有の解剖学的構造に対する複数の適合面を含むステップと;
モデルに関連したデータを、製作機械に提供するステップと;
複数の適合面を含むように、かつさらに、外科手術で使用される少なくとも1つ用具または器具に対応する少なくとも1つの追加的な適合面を含むようにテンプレートを迅速に生成するステップと;
外科手術で使用されるテンプレートに基づいて永久的なデバイスを生成するステップと
を含む。
【0020】
本開示の一実施形態では、モデルはデジタルモデルである。本開示の別の実施形態では、モデルは物理的なモデルである。
【0021】
本開示のさらに別の態様によれば、患者に外科的処置を実施するためのシステムが開示されており、システムは、
患者からスキャンされたデータから決定された複数の面を含む外科用ガイドであって、これら複数の面は、患者の骨の解剖学的構造に適合するように構成され;
外科用ガイドが、さらに、外科的処置を容易にするために、患者の骨の解剖学的構造から決定された少なくとも1つの軌道または経路を含み;
外科用ガイドが、さらに、少なくとも1つのスリーブを含み、スリーブが導電性材料で構成され、かつ第1の端部および第2の端部を有する、外科用ガイドと;
導電性材料で構成された少なくとも第1の部分を含む器具であって、少なくとも第1の部分を少なくとも1つのスリーブの第1の端部に挿入することによって、少なくとも1つのスリーブ内に収容されかつ少なくとも1つのスリーブの導電性材料と接触するように適合され;
器具の少なくとも第1の部分は、少なくとも1つのスリーブを通過して少なくとも1つのスリーブの第2の端部から出るように適合されている、器具と
を含み、および
外科用ガイドは電流を受けて、外科用ガイドと患者の解剖学的構造とに接触している期間中、器具の術中監視(IOM)をもたらす。
【0022】
本開示のさらなる態様は、上述のシステムに関し、かつさらに、外科用ガイドの導電性材料に少なくとも1つの電極を設けかつ少なくとも1つの電極に電流を流すことによって、電流を受ける外科用ガイドを含む。
【0023】
本開示のさらなる態様は、現場から離れた製造場所、現場での製造場所、診療所、手術センター、外科医の事務所、公立病院または私立病院において外科用ガイドを製造する方法を提供する。
【0024】
本開示のさらに別の態様は、本明細書で説明する方法のうちの1つを使用して製造された外科用ガイドを含み、ガイドは、ラピッドプロトタイピング機、ステレオリソグラフィ(SLA)機、選択的レーザ焼結(SLS)機、選択的加熱焼結(SHM)機、熱溶解積層(FDM)機、直接金属レーザ焼結(DMLS)機、粉体印刷(PP:powder bed printing)機、デジタル光処理(DLP)機、インクジェット式光樹脂機、および電子ビーム溶解(EBM)機からなる群から選択されるプロセスによって製造される。
【0025】
概して、外科的処置に関する方法および装置に関する以下の米国特許および特許出願は、それら全体が参照することにより援用され、それゆえ、本開示の様々な態様に書面での説明による支援をもたらす。参照することにより援用される米国特許および係属中の出願は以下の通りである:米国特許第7,957,824号明細書、同第7,844,356号明細書および同第7,658,610号明細書,および米国特許出願公開第2010/0217336号明細書、同第2009/0138020号明細書、同第2009/0087276号明細書および同第2008/0114370号明細書。
【0026】
当業者は、本開示の実施形態が様々なサイズを有し得ることを認識する。本開示の実施形態の様々な要素のサイズは、例えば、患者の解剖学的構造、装置を操作または使用する人や他のデバイス、手術部位の位置、本明細書で説明するデバイスと共に使用されるデバイスおよび器具の、例えば幅、長さおよび厚さを含む物理的特徴、および手術装置のサイズを含む、様々な要因に基づいて、サイズが決められ得る。
【0027】
本開示の実施形態は、従来技術を上回るいくつかの利点をもたらし、なかでも、例えば、処置の速度および有効性、処置の最小侵襲態様、原型デバイスの廃棄可能性、周囲の組織に対する最小限のリスクおよび損傷でカスタマイズされた実装例または用具を手術部位に取り入れる能力、感染の危険性の低いこと、より最適な配置および/または向きにされたガイドおよび埋め込み型デバイス、装置が誤配列または除去される可能性をさらに低下させる外科的処置に関連付けられた装置の配置および挿入のより安定的なおよび制御された方法、および手術部位におけるより少数および/またはより安価な用具および器具などの利点をもたらす。例えば、実施形態は、特定の手術において使用される複数のトレイ、器具および異なるサイズのデバイスの数および必要性を少なくし、それにより、手術を完了するために必要な機器のコストを削減する。実施形態はまた、手術環境にある外科医および医療専門家、および患者の双方の累積的な放射線被曝を少なくする。
【0028】
当業者は、本開示の実施形態が、本開示の様々な態様を提供するか、またはそれらを提供するために予想通り製造される、公知の材料で構成されることを認識する。これらの材料は、例えば、ステンレス鋼、チタン合金、アルミ合金、クロム合金、および他の金属または金属合金を含み得る。これらの材料はまた、例えば、PEEK、炭素繊維、ABSプラスチック、ポリウレタン、ポリエチレン、フォトポリマー、樹脂、特に繊維を入れた樹脂材料のゴム、ラテックス、合成ゴム、合成材料、ポリマー、および天然材料を含み得る。
【0029】
当業者は、本開示の実施形態を、自動化または半自動化操作を用いるデバイスと共に使用し得ることを認識する。本開示の実施形態は、例えば、操作者によって離れた場所から、コンピュータ制御装置を用いて操作者によって離れた場所から、プロポーショニングデバイスを使用して操作者によって、コンピュータ制御装置によるプログラムで、サーボ制御機構によって、液圧駆動によって、空気圧駆動機構によって、または圧電アクチュエータによって、装置が形成されかつ検証され得るように設計され得る。本開示のために、例えば、コンピュータ化された数値制御(CNC)機によって、本明細書で説明するシステムおよび方法において、ラピッドプロトタイピング機以外の他のタイプの機械を用い得ることがはっきりと理解される。
【0030】
発明の概要は、本開示の全範囲を表すものでも、そのようにみなされるべきでもない。本開示は、発明の概要および添付の図面および発明の詳細な説明において様々なレベルの詳細さで説明し、およびこの発明の概要に要素、構成要素などを含むまたは含まないのいずれかによって、本開示の範囲を限定するものではない。本開示の追加的な態様は、特に図面と併せて、詳細な説明から容易に明らかになる。
【0031】
上述の利点、実施形態、および/または特徴は、特に、本明細書で開示した特許性のある主題に関しては、必ずしも完全なものでもまたは排他的なものでもない。本開示の他の利点、実施形態、および/または特徴は、上述したようにおよび/または添付の図面および/または下記の説明で記したように、単独でまたは組み合わせて利用することが可能である。しかしながら、本明細書の下記に記載する特許請求の範囲は、本発明を定義する。
【0032】
本明細書に組み込まれ、かつその一部を構成する添付の図面は、開示の実施形態を示し、かつ上記で与えられた開示の概要、および下記に与えられる図面の詳細な説明とともに、開示の原理を説明する働きをする。
【0033】
図面は必ずしも縮尺通りではないことを理解されたい。場合によっては、詳細は開示の理解には必須ではなく、または他の詳細の認識を困難にするものは省略してもよい。当然のことながら、開示は、必ずしも、本明細書に示す特定の実施形態に限定されないことを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0035】
添付図面に示し、かつ本明細書でさらに詳細に説明するように、本開示は、多数の外科的処置で使用するための様々なカスタマイズされた患者適合装置を開発するための新規のシステムおよび方法に関する。システムおよび方法は、収集するMRIデータまたはCTデータから獲得され得る患者特有の形態を使用して1つ以上の患者適合装置を導き出す。この患者適合装置は、1組のデータ点から導き出されるような、1つまたは複数の外科的処置の最中に直面する表面に相補的な面を含む。本明細書で説明する様々な実施形態によれば、患者適合装置は、さらに、所望の軸および/または挿入軌道を含み得る。本明細書で説明する代替的な一実施形態によれば、患者適合装置は、さらに、外科的処置の最中に使用される少なくとも他の装置に適合し得る。本開示の他の特徴は、以下の開示および本発明の様々な実施形態を検討した後、明らかとなる。
【0036】
本開示の複数の実施形態は
図1〜43に示されている。ここで
図1を参照すると、本開示の一実施形態による解剖学的特徴の特有の分類の3次元モデルの斜視図が示されている。ここでは、モデル2は複数の椎体4、6で構成されているが、他の実施形態によれば、特定の患者に対する任意の解剖学的分類で構成され得る。モデル2に関連するデータは、MRIまたはCTスキャンから、または患者の対応する骨の解剖学的構造のX線画像から(あるいは他のデータソースから)収集され得る。データは、収集されると、公知のソフトウェアツールを使用してCADプログラムに変換され、このプログラムでは、データセットはモデル2を表し、かつ外科的処置において使用される1つ以上の装置の輪郭、サイズ、形状および向きを形成するための追加のデータ点を提供するために使用され得る。
【0037】
代替的な実施形態によれば、データは、超音波または核医学走査装置から獲得され得る。さらに別の代替的な実施形態では、これらデータは、骨密度スキャナーからのデータによって補足されるかまたはそれとマージされて、外科的処置の完了後に患者の体内に留まるように設計されたデバイスの製作を行ったり、あるいは、特に、外科的処置が1つ以上の埋め込み型デバイスの挿入を含む場合、いずれかの所望の軸の向きのさらなる制御を達成したりし得る。
【0038】
図2は、本明細書で説明する様々な実施形態による、外科的処置を容易にするために使用する装置の製造方法を実行する様々なステップを示すフローチャートである。好ましい実施形態によれば、方法は、以下のステップを含む:
A) MRIまたはCTスキャンによって患者の解剖学的構造に関するデータを獲得するステップ;
B) MRIまたはCTスキャンデータを3次元の1つまたは複数のデータセットに変換するステップ
C) 患者に実施される1つまたは複数の外科的処置を容易にするために使用されるように構成されたデバイスの1つ以上の軸の向きを決定するステップ;
D) 決定された軸を使用し、かつ変換された1つまたは複数のデータセットから導き出された任意の他の制約を考慮して、1つまたは複数の外科的処置を容易にするために使用されるデバイスをモデリングするステップ;
E) 例えば、ラピッドプロトタイピング機を使用することにより、モデリングされたデバイスの原型を生成するステップ;および
F) 1つまたは複数の外科的処置の最中に使用するために原型を準備するステップ。
【0039】
図2に示すように、この方法は、追加的なステップを含んでもよいし、または外科的処置で使用される追加的なデバイスに繰り返してもよい。データを獲得するステップは、一般に、MRIやCT、または当業界で公知の他の好適な走査機器を使用して患者をスキャンすることによる伝統的な方法で実行される。その後、データは、機器によって収集され、かつソフトウェアまたは当業界で公知の他のアルゴリズム手段によって、例えばデータを、例えば、CADフォーマットでデータを表すことができる公知のモデリングソフトウェアプログラムにエクスポートすることによって、3次元の1つまたは複数のデータセットに変換され得る。このデータ変換を行ったら、デバイスを、1つまたは複数のデータセットを補完するようにモデリングし、かつ、患者の解剖学的構造の最初のスキャンからの1つまたは複数のデータセットを観察する前またはその間のいずれかにおいて、外科医によって決定された1つ以上の軸によって、デバイスの向きを決定し得る。
【0040】
変換された1つまたは複数のデータセットから導き出された任意の他の制約を考慮する方法ステップは、モデリングされたデバイスのサイズを、外科医の空間制限に適合するように調整すること、いくつかの解剖学的特徴を回避するように、モデリングされたデバイスの要素の向きを決定すること、1つまたは複数の外科的処置において使用される1つ以上の器具および/または用具に好都合に動作可能に関連付けられ得る1つ以上の面を作り出すことなどを含み得る。原型は、公知のラピッドプロトタイピング機を使用して、あるいは、CNCフライス盤などのミリング機によって生成され得る。あるいは、この方法によって製作された最初のデバイスは、さらに検討するためにおよびまたは外科医によって操作するための一時的な状態にあり、その後、本明細書で説明する手法の1つを使用して、最終的に構成され得る。ステップは、相補的なデバイスに繰り返してもよく、それらのうちのいくつかまたは全ては、患者の解剖学的構造または以前製作されたデバイスにさらに適合する面を含み得る(すなわち、下記で詳細に説明するように、製作されたデバイスは、1つ以上のデバイスを互いに隣接させる適合面を有し得る)。
【0041】
あるいは、本明細書で説明するシステムおよび方法は、特定の患者に関する様々な解剖学的特徴、例えば、患者の複数の椎体などの配列を容易にして、脊柱変形を矯正し得る。例えば、1つまたは複数のデータセットは、解剖学的特徴の初期位置を提供し得るが、さらに、このデータセットを、術前設定において外科医によって操作して、1つまたは複数の外科的処置が完了した後の解剖学的特徴の最終的な位置などの所望の1つまたは複数のデータセットを作成し得る。このように、上述のシステムおよび方法によって形成されたデバイスは、解剖学的特徴の初期位置または最終的な位置のいずれかにおいて使用され、かつ外科的処置の各段階において、それらの特定の位置および向きに適合され得る。これらの段階的なデバイスは、今度は、外科医に対し、術前計画と比べて、外科的処置によって達成する矯正度を決定するための視覚的なガイドを提供する。本開示の方法の他の変形例は、発明の概要において説明されており、かつ添付の特許請求の範囲に含まれる。
【0042】
製作方法は、ラピッドプロトタイピング機、例えばステレオリソグラフィ(STL)機、選択的レーザ焼結(SLS)機、または熱溶解積層(FDM)機、直接金属レーザ焼結法(DMLS)、電子ビーム溶解(EBM)機、または他の積層造形機の使用を含み得る。そのようなラピッドプロトタイピング機の一例は、3D Systemsから市販されており、かつモデルSLA−250/50として公知である。ラピッドプロトタイピング機は、液体、粉体または他の非硬化樹脂または金属を、3次元構造に選択的に硬化し、これを残りの非硬化樹脂から分離し、洗浄/滅菌して、装置として直接使用し得る。プロトタイピング機は、個々のデジタルデータセットを受信し、かつ所望の装置の各々に対応する1つの構造を生産する。
【0043】
一般的に、ステレオリソグラフィ機は樹脂を生産し、その樹脂は、最適な機械的特性より劣るかもしれない(これは、特定の外科的な使用には一般的に容認できないとし得る)ため、その代わりに、プロトタイピング機が、モールドを生産するために使用され得る。モデルを準備した後、従来のプレスまたは真空成形機を使用して、より好適な材料、例えばステンレス鋼、チタン合金、アルミ合金、クロム合金、PEEK、炭素繊維、または他の金属または金属合金から、装置を生産し得る。
【0044】
別の代替的な実施形態によれば、システムおよび方法は、1つまたは複数のデータセットをCNC機に提供することを含み、この機械は同様に、上記でリストした、より機械的に安定した材料のうちの1つから、あつらえのミルド(milled)装置を製造するために使用され得る。さらに別の代替的な実施形態では、本明細書で説明する実施形態による装置の大量生産はまた、例えば、大人数の患者の間で、特定の向きまたは挿入軌道が共通である場合に、達成され得る。
【0045】
特定の本開示の一実施形態によれば、システムおよび方法は、患者の脊柱(spine)に関連付けられる様々な外科的処置と共に使用するための装置を製作するために提供される。変性椎間板疾患(degenerative disc disease)、生まれつき(natural)の脊椎変形、脱出椎間板、脊椎損傷または他の脊椎障害を患っている人は、痛みを軽減しかつさらなる損傷を防止するために、患部領域の手術を必要とすることが多い。そのような脊椎手術は、損傷の性質および範囲に依存して変わる外科的処置によって、損傷した関節組織の切除、組織インプラントの挿入および/または2つ以上の隣接する椎体の固定を含み得る。
【0046】
様々な程度の変性椎間板疾患、および/または腰痛に関連する神経圧迫を有する患者に対し、変性疾患の治療には、脊椎固定術(spinal fusion surgery)、または腰関節固定術(「癒合(fusion)」)が一般に使用される。癒合は、1つ以上の椎間腔を伸延および/または減圧した後、任意の関連の関節突起間関節または椎間板(disc)を切除してから、2つ以上の隣接する椎骨を互いに接合または「癒合」することを一般に含む。椎体の癒合はまた、2つ以上の隣接する椎骨の固定を一般に含み、これは、ロッドまたはプレート、およびスクリューまたは他のデバイスを脊椎関節に挿入して、椎骨の様々な部分を、隣接する椎骨の対応する部分に接合させることによって成し遂げられ得る。
【0047】
癒合は、患者の腰椎、胸椎または頸椎領域で行われ得る。癒合には、椎骨にアクセスし、かつ任意の生体活性材料などの所望のインプラントを埋め込むための用具を必要とする。そのような処置は、ドリル、ドリルガイド、デブリドマン具、洗浄装置、バイス、クランプ、カニューレ、レトラクター、ディストラクター、切除具、切除ガイド、および他の挿入/後退具および器具を含む、追加的な用具および/または器具の採用を必要とすることが多い。これらの用具、器具および固定デバイスの挿入、配列すなわち位置合わせおよび配置は、手術の成功にとって極めて重要である。そのようなものとして、カスタマイズされたおよび患者特有の用具または器具を提供することによって、外科的処置が成功する可能性を高める。
【0048】
例えば、
図3および
図4に、上述のシステムおよび方法によって形成されかつ特定の固定関連の手術に使用され得る1つの特定の装置を示す。本開示の一実施形態によれば、装置は、椎弓根スクリューガイド10の形態にあってもよく、この椎弓根スクリューガイドは、内側本体12と2つの全体的に細長いウィング14とで構成され、各ウィング14は、全体的にシリンダー状の柱16において終端する。好ましい実施形態では、シリンダー状の柱16の各々は、
図3に示すように、実質的に中空で、1つ以上のタイプのデバイスをそこに挿入できるようにしている。内側本体12は、さらに、内側本体12の下面の周りに形成された縦方向キャビティ20を含む(
図3の斜視図に示す)。シリンダー状の柱16の各々は、さらに、下部患者接触面18、19を含み、これら面は、下記で詳細に説明するように、縦方向キャビティ20と共に、複数の解剖学的特徴に適合するための複数の患者特有の輪郭を提供する。
【0049】
下部患者接触面18、19および縦方向キャビティ20の輪郭および位置は、患者のMRIまたはCTスキャンから変換された1つまたは複数のデータセットを使用することによって形成される。
図3および
図4に示す椎弓根スクリューガイド10の残部は、外科医の特定の好みに合うように形成され得る。例えば、ウィング14は、患者に適合した解剖学的特徴の対応する位置に2つのシリンダー状の柱16を配置するのに十分な長さでさえあれば十分である。ウィングは、本開示の新規の態様から逸脱せずに、他の形状、向き、厚さなどを取ってもよい。同様に、内側本体12は、縦方向キャビティ20に適合するサイズにされてさえいれば十分であり、およびウィング14以外の他の延長部を含んで、必要に応じて椎弓根スクリューガイド10の把持または操作を支援し得る。
【0050】
さらに、ウィング14は、半可鍛性材料または半硬質材料から作製され、椎弓根スクリューガイド10が、特定の手術に関して、対応する解剖学的分類に配置されるときに、少なくとも部分的な締り嵌めを形成し得る。例えば、スナップ嵌めまたは締り嵌めは、2つのシリンダー状の柱16を下関節突起に隣接させて配置し、その後、ウィングを最終的な向きに位置決めしてからシリンダー状の柱を所望の位置に撓ませるときの、ウィング14の微妙な撓みによって形成され得る。この点において本開示のさらなる態様を、下記で詳細に説明する。
【0051】
図5は、本開示の一実施形態による解剖学的特徴の特有の分類に関する、
図3に示す装置の平面図である。ここで、椎弓根スクリューガイド10は、内側本体12が椎体4の中心部分の上方において中心に位置するように、位置決めされ、縦方向キャビティ20が、この特定の椎体4の棘突起41の輪郭とかみ合うようにする。同様に、シリンダー状の柱16は、椎弓根スクリューガイド10の各内側に1つずつ位置決めされ、ウィング14が椎体4の椎弓板43に広がって、シリンダー状の柱16が下関節突起44、45に近接して配置されるようにする。シリンダー状の柱16の下部患者接触面18、19は、下関節突起44、45の輪郭と、上関節突起42の後ろ側でかみ合うように形成される。
【0052】
それゆえ、椎弓根スクリューガイド10は、複数のかみ合うまたは適合する位置を提供し、それらのうちのいずれか1つが正しく位置決めされていない場合、他の2つの載置に影響を及ぼす。この態様では、椎弓根スクリューガイドは従来技術からの著しい向上をもたらし、従来技術では、わずかに回転、誤配列または誤配置されることがあり、それでも外科医には、デバイスが適切に載置されているかのように見える。余剰のおよび複数の合わせ面により、確実に、椎弓根スクリューガイド10が適切に配置されかつ適切に配列すなわち位置合わせされるようにする。椎弓根スクリューガイド10が適切に配置または配列すなわち位置合わせされていない場合、下部患者接触面18、19は、下関節突起44、45の各々に嵌らず、それにより、縦方向キャビティ20が棘突起41にしっかりと載置されない。
【0053】
図6は、
図5に示す装置の斜視図である。シリンダー状の柱16の配置が、シリンダー状の柱16の各々の軸の向きに対して追加的なものであり、これらの向きは、下関節突起44、45に隣接した載置とは無関係とし得る(すなわち、垂線に対する軸の方向は、シリンダー状の柱16間で異なり得る)ことを示すために、所望の挿入軌道ラインA、Bを示す。シリンダー状の柱16の向きも、上述の1つまたは複数のデータセットから導き出され、および好ましい一実施形態では、椎弓根の位置と一致しかつ椎弓根から固定装置の貫入を防ぐ(すなわち、スクリューが、椎弓根を通って延在するか、または椎弓根スクリューを椎弓根の側部から出すような角度で挿入されるかのいずれかの可能性をなくす)方向に固定装置(すなわち、椎弓根スクリュー)を挿入できるようにする向きに基づいて選択される。
【0054】
図3〜6に示す装置のカスタマイズされたまたは構成された患者接触面を、
図7の椎弓根スクリューガイド10の斜視的な底面図によって示す。ここで、下部患者接触面18、19は、複数の複合半径を有する動的輪郭を含み、面18、19が、椎骨の対応する解剖学的特徴に完全に合致するようにし得る。それゆえ、これら面は、外科的処置の最中にシリンダー状の柱16が配置される箇所で椎骨の面に実質的に合致し、かつ椎骨の異なる面とは実質的に合致しない。このように、外科医は、椎弓根スクリューガイド10が、椎骨に適切に載置していないために誤整列されている場合、即座に知らされる。
【0055】
図8は、本開示の代替的な実施形態による装置を示す。この実施形態では、いくつかの隣接する椎体4、6、8に対するマルチレベル椎弓根スクリューガイド10’を示す。マルチレベル椎弓根スクリューガイド10’は、それぞれ複数の第2ウィング14’および第3ウィング14”を含み、それら各々は、隣接する椎骨部6、8に複数の椎弓根スクリューを挿入および配列するために、対応するシリンダー状の柱16’、16”を有する。4以上または2以下の個数の複数レベルは、本発明の趣旨から逸脱することなく達成し得ることがはっきりと理解される。
【0056】
図9は、複数のセクション12”、12”’、12””で構成された、本開示のさらに別の代替的な実施形態による装置を示す。
図8に示す実施形態と同様に、この椎弓根スクリューガイド10”は、脊柱の複数レベル4、6、8での椎弓根スクリューの配列および挿入をできるようにする。しかしながら、複数のセクション12”、12”’、12””は、各々、内側本体が修正されており、係合端部および収容端部を含んで、複数のセクション12”、12”’、12””が、
図9に示すように接合され得るようにする。複数のセクション12”、12”’、12””の各々の収容端部および係合端部は異なるので、組み立て時に、適切な順序のセクション12”、12”’、12””のみを達成し得る(すなわち、セクション12”は、セクション12”’とのみ接合し得る)。この図面は、本開示のさらに別の態様を示し、特に、各デバイスに関連付けられる特定の解剖学的特徴との位置合わせおよびかみ合いをさらに確実にするために、互いに隣接する特定のデバイスにかみ合うまたは接合する能力は、同様に、椎骨に矯正力を加える手段を提供し、かつ変形矯正の程度を可視化する。
【0057】
図10は、カスタマイズされた器具を備える、
図5の実施形態による装置を示し、このカスタマイズされた器具は、特定の外科的処置の最中に装置と連携して使用され得る。例えば、上述したような脊椎固定処置の最中、外科医が1つ以上の椎弓根スクリューを患者の椎骨に取り付けて、椎体内(intra−vertebral body)に所望の癒合を生じさせることはよくあることである。シリンダー状の柱16の内径は、器具60の次第に大きくなる外径に対応し、器具60が、シリンダー状の柱16中へと、予め決められた距離のみ進入し、それにより、しっかりした停止を提供し、かつ同様に、椎弓根スクリュー62が患者の骨の解剖学的構造内を進入し過ぎないようにする手段を提供し得る。さらに別の実施形態によれば、シリンダー状の柱16の中空部分は、小さい内径のセクションを有し(
図10には図示せず)、これは、器具60の外径に備え付けられたエンドストッパーに対応し、器具がシリンダー状の柱16を貫入しすぎないようにし、それにより安全限界を越えて椎弓根スクリュー62を挿入しないようにし、かつそのように配置にし得る。
【0058】
図11は、本開示のさらに別の代替的な実施形態による装置の斜視図である。ここでは、装置は椎弓根スクリューガイド100であり、この椎弓根スクリューガイドは、内側本体の周りに細いブリッジ112をさらに含み、
図12に示すようにカラー130を修正済み椎弓根スクリューガイド100と結合できるようにする。カラー130は、患者の棘突起に適合する曲線をつけられた下面を含み(
図3に示す実施形態の縦方向キャビティと同様)、かつ手術の最中に操作される椎骨の特定の解剖学的特徴に適合するように椎弓根スクリューガイド100に挿入され得る。それゆえ、この実施形態では、カラー130は、2つのシリンダー状の柱116の下部患者接触面118、119に加え、患者適合輪郭の少なくとも1つを含み、かつ、異なる椎骨での外科的処置に必要とされるときには、除去されて、異なる輪郭の他のカラーと交換され得る。この実施形態では、シリンダー状の柱116は、さらに、1つ以上のアパーチャ111を含んで、シリンダー状の柱116の中を進む間の椎弓根スクリューの可視化を容易にし得る。
【0059】
図13は、本開示のさらに別の代替的な実施形態による外科的処置を容易にする装置の斜視図である。この実施形態では、上述のシステムおよび方法によって形成された装置は、椎弓切除用切除ガイド150で構成されている。この椎弓切除用切除ガイドは、さらに、ガイドワイヤまたは他の固着要素を挿入するための少なくとも1つ整列チャネル151と、ブレードまたは他の刃先の経路を方向付けるための切除用スロット152とを含む。
図3で上述した椎弓根スクリューガイドのように、この椎弓切除用切除ガイド150はまた、椎弓切除用切除ガイド150を1つ以上の椎体とかみ合わせるようにする下部患者接触面155を含む。
図13においては全体的に直角プリズムとして示すが、他の幾何学的形状の椎弓切除用切除ガイド150も等しく現実的であり、および開示の範囲内であるとみなされることがはっきりと理解される。
【0060】
図14は、本開示のさらに別の代替的な実施形態を示す。この実施形態では、上述のシステムおよび方法によって形成された装置は、同様に下部患者接触面165を含むチューブレトラクター160で構成されている。この患者接触面165は、チューブレトラクター165のシリンダー状本体163から選択的に除去可能であるチューブレトラクターのセクション164に形成され、チューブレトラクター165は、いくつもの手術で再使用され得る一方で、セクション164は患者毎に刷新されてシリンダー状本体163に結合される。チューブレトラクターはまた、全体的に中空の内部ルーメン162と、挿入の最中に操作するための少なくとも1つタブ161とを含み、このタブは、外科医がチューブレトラクター160を確実に適切に位置合わせするのを支援する。
【0061】
図15〜17は、本開示のさらに別の代替的な実施形態を示す。この実施形態では、テンプレートは、限定されるものではないが、例として、1種以上の生物活性物質または骨移植片、または人工椎間板を導入するための埋め込み型ケージなどの、1つ以上の椎体間デバイスの配置を容易にする患者適合ガイド180を含み得る。
図15および
図16では、外科医が1つ以上の椎体間デバイスを配置するのを支援するための、独特の解剖学的分類(2つの隣接する椎骨間)に対して考えられる1つの位置にある患者適合ガイド180を示す。
【0062】
図17では、特定の外科的処置のために、上述のシステムおよび方法を使用して、複数の構成要素をどのように製作し得るかを示すために、患者適合ガイド180を分解図で示す。これらの構成要素は、患者特有のインサート182、ガイドスリーブ184およびコネクタ186を含み、最終的な組み立て状態では、
図15に示す患者適合ガイド180を形成する。
【0063】
ここで
図18〜19には、本開示の別の代替的な実施形態が詳細に示されている。この実施形態によれば、複数の固定装置198、198’をさらに組み込み得る外科用テンプレート190を示し、これら固定装置を使用して、テンプレート190を様々な異なる方法で固着し得る。この実施形態によれば、テンプレート190は、患者の棘突起を挟んで抱えるような向きにされた中間セクション192を含み、およびさらに、1つ以上の固定装置198、198’を挿入するためのアパーチャ(
図18〜19には図示せず)を含み得る。テンプレート190は、さらに、ガイド196でそれぞれ終端する、2つの横方向に延在する部分すなわち「ウィング」194を含み得る。本明細書で開示した他の実施形態と関連して、上記で提供されたガイドの説明は、この実施形態に関して、参照することにより本書に援用される。
【0064】
図18〜19に示す実施形態によれば、固定装置198、198’は、テンプレート190の中間セクション192のアパーチャ(図示せず)を通して挿入され、テンプレート190を安定化させ、かつ患者の棘突起に固着し得る。一実施形態によれば、第1の固定装置198の方向および向きは、第2の固定装置198’の向きおよび方向とは異なり、永久的な固定装置の挿入および配置前のテンプレート190の安定性をさらに高める。さらに別の実施形態によれば、アパーチャは、
図18〜19に示すものとは異なる個所に配置されてもよく、および手術および患者特有の骨の解剖学的構造での必要に応じて、より少数またはより多数としてもよい。
【0065】
ここで
図20〜21には、本開示のさらに別の代替的な実施形態が詳細に示されている。この実施形態では、テンプレート200は、さらに、2つの追加的な接触面205を含み、これら接触面は、好ましくは、患者接触端部に中空の開口部と、それを通って延在する、固定装置199、199’を挿入するためのアパーチャとを有する。
図18〜19に関連して上記で説明したように、固定装置199、199’の目的は、テンプレート200を骨の解剖学的構造に固着し、および複数のガイド206を通した永久的な固定装置(図示せず)の固着を容易にすることである。
【0066】
図20を参照して説明すると、テンプレート200は、第1の固定装置199を挿入するための、テンプレート200の上面から延出する隆起208を含み、隆起208は、固定装置199の形状および長さに適合するように部分的に中空である。隆起208は、
図20に示すように、テンプレート200の横方向に延在する部分すなわち「ウィング」204の上方へと延在する。隆起208は、程度の差はあるが、
図20に示すものよりもテンプレートの上方へ延在して、固定装置199の過挿入に対するしっかりした停止を提供し得る。同様に、テンプレート200の反対側の横方向に延在する部分すなわち「ウィング」も、第2の固定装置199’を挿入するための隆起208’を含む。
【0067】
この実施形態によれば、患者接触面の決定およびモデリングに関して上記の開示を組み込むことにより、テンプレート200は、少なくとも4つの患者特有の接触面205、207を有する。この実施形態は、テンプレートの安定性および位置決めを向上させ、かつ外科医が、動的に安定した外科用テンプレートを達成できるようにし、次に、永久的な固定装置が全て、特定の外科的な必要性に対して予め決められた方向および向きに確実に位置決めされて挿入されるようにする。これは、テーブルの独立した脚のような働きをしかつ患者の骨の解剖学的構造に対して異なる位置(および異なる平面)に位置決めされている4つの患者接触面を設け、テンプレート200の安定性および位置決めをさらに向上させることによって、成し遂げられる。
【0068】
図18〜21に示す実施形態によれば、ガイドおよび他の患者接触面は、深さが特有であるとしてもよく、かつさらに、患者の骨の解剖学的構造内への制御された深さまでの一時的な固定装置の挿入に適合するように、特定の内径を組み込み得る。さらに、ガイドは特定のねじ内面を有し、このねじ内面は、特定の固定装置に適合し、かつスクリューなどのねじ固定装置の挿入を容易にし得る。いくつかの実施形態では、テンプレートは、固定装置が骨の解剖学的構造に過度に貫入しないようにする、または深さの制御された第1の組の固定装置をテンプレートに一時的に固着させるのを容易にするように、特定の患者のために設計し得る。
【0069】
さらに別の実施形態によれば、各患者接触面は、患者接触面の少なくとも一部分の周りに組み込まれた、患者接触切除面を備える統合ブレードを有し、固定装置の挿入前に、さらにテンプレートを骨の解剖学的構造に設定して固着し得る。ブレードの目的は、軟組織を切り開いて、テンプレートと患者の骨の解剖学的構造との間の骨接触に対してより良好なテンプレートを達成することである。ガイドの中空部分およびテンプレートの他の患者接触面は、さらに、テンプレートを所望の位置に設定した後、これらの中空面内に軟組織を位置決めできるようにし、テンプレートを患者の骨の解剖学的構造にさらに固着させる。ブレードは、ガイドの形状に適合するように実質的にシリンダー状またはリング形状とし得るか、または患者接触面に適合するように、卵形、多角形、または他の形状とし得る。
【0070】
患者の解剖学的構造への本明細書で説明する患者接触面の載置および配置に対してさらに安定性を加えるために、接触面は、さらに、1つ以上のスパイクまたは歯を含み、これらスパイクや歯は、患者の生解剖学的構造に接触しかつ少なくとも部分的に貫入してデバイスを適所に固着する働きをし得る。一実施形態では、スパイクまたは歯は、同じ材料から作製され、かつ患者接触面に永久的に取り付けられ得る。別の実施形態では、スパイクまたは歯は、本明細書で説明するもののような異なる材料で作製され、およびさらに、必要に応じて患者接触面の1つ以上に選択的に挿入され得る。
【0071】
ここで
図22を参照すると、本開示のさらに別の代替的な実施形態が示されている。この実施形態によれば、テンプレート220は複数の患者接触面212、219を有し、これら患者接触面は、「浮いている」患者適合構成要素214を使用することによって達成され、この患者適合構成要素は、第1の組の患者接触面212が位置決めされる前または後のいずれかの時点で、複数のガイド216の1つに挿入され得る。患者適合構成要素214は、さらに、長手方向キー218を含み、このキーは、ガイド216のスロットまたは溝(
図22には図示せず)に対応して、テンプレート220のそれぞれの患者適合構成要素214の適切な位置(回転式に)に容易にもたらし得る。
【0072】
それゆえ、この実施形態によれば、テンプレート220は、テンプレート220をその所望の位置に固着する少なくとも2つの固定装置(図示せず)を使用することによって第1の位置に固着され、その後、複数の患者適合構成要素214は、テンプレート220のガイド216に挿入されて、患者の骨の解剖学的構造の2つの別個の位置の周りに載置され得る。
【0073】
ここで
図23を参照して説明すると、本開示のさらに別の実施形態が示されており、器具240を使用して、本明細書で開示した様々な実施形態によるテンプレート230の挿入を容易にし得る。器具240は、好ましくは、ハンドル242と、延長アーム244とで構成され、その長さは、特定の患者の解剖学的特徴および/または外科医の好みに依存して変わり得る。延長アーム244の遠位端部にはタブ246があり、このタブは、テンプレート230の1つの面に配置された、対応するスロット236に適合するように形成されている。動作時、器具240は、テンプレート230と接合され、かつ患者の手術部位内にテンプレート230を挿入および位置決めするために使用され得る。
【0074】
ここで
図24を参照すると、本開示の別の代替的な実施形態が示されている。この実施形態によれば、患者特有ではなく(しかし、代替的な実施形態では、患者特有とし得る)、かつさらに、複数の患者に特有の構成要素254をテンプレート250に取り付ける手段を提供するテンプレート250が提供され得る。
図24に示すように、構成要素254は、アパーチャ252、258を整列させて、スクリュー、ピン、または他の同様のデバイスなどの1つ以上の固着デバイス(
図24には図示せず)を取り付けることによって、テンプレート250に固着され得る。構成要素254がテンプレート250に固着されたら、患者接触面262を使用して、統合した構成要素254を所望の位置にしてテンプレート250を案内および位置決めし得る。このように、標準的なテンプレート250は、任意の患者のデータを獲得する前に提供され、かつ患者の解剖学的データを収集した後に形成される患者特有の構成要素254と組み合わせられ、それにより、特定の外科的応用のためにテンプレートをあつらえて適合させることや製作することをなくし得る。
【0075】
この実施形態によれば、テンプレート250は再使用可能であってもよいし、または代替的な実施形態では、使い捨てであってもよい。テンプレート250は、本明細書でリストした材料のいずれかで構成し得るが、好ましい実施形態では、金属、金属合金またはポリマーベースの材料で形成される。さらに別の代替的な実施形態によれば、構成要素254は、適所にはめ込み得るか、または摩擦嵌合接続を有してもよく、それゆえ、テンプレート250に取り付けるためのスクリューや他の固着デバイスを必要としない。さらに別の代替的な実施形態では、テンプレート250は、患者の解剖学的構造におけるばらつきおよび異なるサイズの椎体(患者の脊柱の異なるレベルまたは領域に関して)を網羅するために、様々な設定サイズおよび向きで設けられ得る。
【0076】
ここで
図25には、本開示の別の実施形態が詳細に示されている。この実施形態では、テンプレート270は、複数の患者接触面276、278を有し、かつ、さらに、テンプレート270を患者の棘突起に固着するために複数のクランプ272を含む。この実施形態によれば、クランプ272はそれぞれ、患者接触面274(ここでは、各外側面の周りで棘突起に接触するように設計される)を有し、テンプレートを患者の解剖学的構造の所望の位置に固着する。クランプ272のそれぞれは、テンプレート270(立面図で示す)に対して外側に位置決めされ、かつテンプレート270の本体に対する設定位置に付着させ得る。クランプ272は、ラッチ機構、ラチェット機構、方向特定抵抗機構(direction−specific resistance mechanism)、または選択的に解放可能な締め付け機構を含むいくつもの公知の手段によって、棘突起に対する定位置に固着され得る。この実施形態では、クランプ272は、骨の解剖学的構造に生じる反対の力が、患者のテンプレート270に対してバランスがとられるようにする。次に、クランプ機構によって、骨表面に対するテンプレート270の整列を保証および維持し、さらに、永久的な固定装置の挿入に関する精度を保証する。クランプは、様々な形状、またはピン、パドル、または並置安定化力(juxtapositional stabilizing force)を加える任意の他のタイプの対向面を含む実施形態をとり得る。
【0077】
一実施形態によれば、
図24および
図25に示す外科用ガイドは、ガイドスリーブの患者接触端部の周りに面を含み(254参照、
図24)、ガイドスリーブの患者接触端部が患者の椎骨に接触する箇所(278参照、
図25)で、関節突起複合体(facet complex)に存在する軟組織に合致するようにし得る。それゆえ、この実施形態によれば、1つまたは複数の全体的にシリンダー状のガイドスリーブは、半シリンダーまたは部分シリンダー(
図24および
図25に示すように)に似た患者接触面を含んで、この軟組織との接触を回避する。
【0078】
代替的な一実施形態では、外科用ガイドは、さらに、配置を容易にするために切り取られているかまたは選択的に切り取られ得るまたは折られ得る1つ以上の部分を含み得る。そのような外科用ガイドの1つを
図26Aおよび
図26Bに示す。この実施形態によれば、外科用ガイドは複数の患者接触面を含み、患者接触面の1つ以上は修正されて、適所に配置されているときのガイドの除去を容易にし得る(
図26Aの面282を参照)。さらに、本明細書で説明するような外科用ガイドは、ガイドを好ましい位置に固着するために1つ以上のクランプ要素、例えば
図26Aおよび
図26Bに示すクランプ284を含み得る。
【0079】
さらに別の実施形態によれば、
図27Aおよび
図27Bに示すように、1つまたは複数のガイドスリーブ254は、さらに、1つ以上のインサート288の挿入ができるようにし得る。これらのインサート288は、外径が1つまたは複数のガイドスリーブ254の内径に合うようなサイズにされ、かつ様々なサイズのドリルビットまたはタップ(例として)を収容するために、インサート288を通って長手方向に延びる内部アパーチャを有し得る。実際には、インサート288は、スクリューなどの固定装置をさらに挿入するために、ドリルビットがパイロット孔を形成するのを容易にしかつそのようにドリルビットを案内し得る。一実施形態によれば、インサート288は、さらに、特定レベルの患者の脊柱に特有のインサート288を識別するための1つ以上の印、または前記インサート288の方向、向き、使用または目的を示す他の印を含み得る。
【0080】
ここで
図28を参照して説明すると、ガイドスリーブ254とかみ合う外科用ガイドを備えるインサート288は、可変長Lを有し、かつガイドの幾何学的形状、患者の解剖学的構造、インサートの目的などに依存して、より長くまたはより短く作製し得る。例えば、より深い特定のドリルが必要とされる場合、インサート288はより短く、ドリルビットが患者の椎骨にさらに貫入するように適合し得る。同様に、インサート288の内部アパーチャは、インサートと共に使用するための精密な用具または器具に依存して、可変直径を有し得る(
図29Aおよび
図29Bに示すように)。このように、外科医は、外科的処置の実施時にインサートの各々(これは、さらに、前記インサートを対象とした位置または特定の用途を示すために1つ以上の印を含み得る)を備えるドリルまたはタップなどの適切な用具を外科医が使用していることを保証し得る。上述の原理のさらなる説明は、
図29Aおよび
図29Bを参照し、これらの図は、タップ器具配置用の4.5ミリメートルのアパーチャ直径、および1/8インチのドリルビットに関連して使用するための1/8インチのアパーチャ直径をそれぞれ有する、インサートを示す。
【0081】
ここで
図30を参照して説明すると、一実施形態によれば、上述のインサート288はまた、ガイドスリーブ254に加えて、インサート288をさらに患者特有の解剖学的構造と適合させるための患者特有の接触面294を含み得る。これにより、インサート288およびインサート288が含まれるガイドの安定性および適切な位置への位置決めを、よりしっかりとしたものにできる。さらに、ドリルビットまたは他の振動または揺動具に関連して使用されるインサート288に関し、インサート288のこれらの患者適合面294はまた、初期のパイロット孔を作製するときに、ドリルビットの遠位端部が椎体の表面上で「ウォーキング」すなわち移動することがないようにし、それにより、固定装置の間違った軌道となる危険性を低下させる。
【0082】
本開示のさらなる実施形態によれば、上記で詳細に説明した(および本明細書で開示したいくつかの実施形態による)外科用ガイドの本体から延出する1つ以上の突起によって形成された患者接触面は、関節突起間関節などの患者の解剖学的特徴の周囲の軟組織に貫入しかつ付着するための、尖頭的または半尖頭的な接触縁部を含み得る。この実施形態によれば、接触面は、軟組織侵入用の凹状キャビティを含み得る。これらの凹状キャビティは、脚の外側周囲に縁部を形成し、縁部は、軟組織の切除を容易にするために尖頭的または選択的に尖頭的であり、下にある骨に置かれ得る/かみ合い得る。これは、患者接触面の正確な位置が小さな誤差範囲内に入る必要がありかつ処置の最中にわたって不変なままである必要がある脊椎の外科的処置には、特に重要である。
【0083】
ここで
図31を参照して詳細に説明すると、インサートは、さらに、全体的にシリンダー状のインサート本体の1つの面の周りにキーまたはノッチ296を含み、このキーまたはノッチは、デバイスのガイドスリーブ254上の切り欠き部またはスロット298にかみ合うように構成され得る。このように、インサート288の適切な回転/向きは、ガイドスリーブ254の中空体にインサートを案内するときに、保証される。
【0084】
ここで
図32A〜34Bを参照すると、切除ガイド(上述の
図13で示したものような)の別の図が提供されている。一実施形態によれば、切除ガイドは、切除ガイドの少なくとも1つの面の周りに複数の患者特有の接触面302を含む。好ましい実施形態では、切除ガイドは、さらに、切除器具(
図33A〜Cに示すような)の挿入を容易にするための患者特有の「トラック」303を含み、かつ特定の外科的処置の最中に、1つ以上の器具の接触面304をさらに提供することによって、下にある面を不必要に切除しないようにその器具の挿入深さを制御し得る。
図32A〜34Bに関連して示す実施形態によれば、切除ガイドは、椎弓切除のために提供され得る。他の実施形態によれば、患者特有のガイドは、とりわけ椎体部分切除術(corpectomy)、PSO(Pedicle Subtraction Osteotomy)、SPO(Smith−Peterson Osteotomy)、脊柱切除(VCR:Vertebral Column Resection)、または非対称的骨切り術(Asymmetric Osteotomy)(矢状面または前頭面のいずれかにおける)における実施において使用するために製作され得る。
【0085】
これらの患者特有の切除ガイドは、患者の解剖学的データから製作され、かつ複雑な処置の実施を、それらの結果の確実性を大きくして、支援し得る。例えば、いくつかの骨切り術、具体的にはPSOおよびSPOは、豊富な手術の技術を必要とし、かつ時間のかかることが多い。これは、一部には、骨構造に対する脈管要素および神経要素の密接な関係に起因し、これは、外科医に、これらの処置のうちの1つの最中に、安全にかつ効果的に骨を切除するためのナビゲーションの課題をもたらす。これは、後方アプローチでは特に当てはまる。患者特有のガイドを使用することによって、外科医は、処置を開始する前に切除軌道および経路の位置決めおよび配列を確認し、および
図32A〜34Bに関連して上記で提供した開示を促進するためには、また、脈管要素および神経要素との接触を避けるために重要な深度制御の程度を提供し得る。
【0086】
一実施形態では、
図32A〜34Bに示す切除ガイドに関連付けられた切除具は、今日の外科的処置で現在使用されている典型的なタイプの用具である。別の実施形態によれば、下記で詳細に説明するように、器具が、器具の位置および深さをさらに制御するのを容易にするために、専門の切除バー(cutting bur)または切除チップが含まれ得る。例えば、
図33A〜33Cに示すように、器具の切除部分は、患者特有の処置に必要とされるよりも器具が切除ガイドに挿入されすぎないようにするトラックボール308を有し得る。
【0087】
図34A〜34Bに詳細に示すように、トラックボール308は、切除ガイドの「トラック」303の第1の部分まで挿入され得るが、切除ガイドの「トラック」の第2のすなわちより深い部分(そこを通って切除面は移動できる)までは挿入できず、それにより、切除器具を確実に適切な深さにする。
図34A〜34Bに示す以外の、トラックボール308を切除ガイドの上面に対して水平に、場合によっては切除ガイドのトラック303まで横方向かつ下方に動かすことができる別の幾何学的形状が提供され得る。この実施形態では、それゆえ、切除器具は、切除ガイドの「トラック」303のある位置において、一定の深さで患者の解剖学的構造の周りを動くことができるが、切除ガイドの「トラック」303の周りのさらに別の位置では、より深くもできる。それゆえ、切除ガイドに対して器具に許されている深さは、切除ガイドの「トラック」303の周りで可変とし得る。
【0088】
これらの患者特有の切除ガイドを使用することによって達成される他の利点は以下を含む:迅速でかつ制御して骨の除去を達成する手段を提供すること;処置の最中に使用される切除具の空間的向きを提供すること;器具を制御して案内することおよび術前計画過程中に視覚化することの双方によって、切除の正しい向きを保証すること;切除前に変形矯正の正確な計算を提供すること;正確な骨切除を提供し、それにより変形矯正を確実に行うこと;神経および脈管要素を保護するための、深度が制御された切除制限;制御された切除ベクトル、および神経要素への接触または損傷の回避;および後方、前方、後外側、大孔を通る(transforaminal)または外側侵入(direct lateral)アプローチでの切除アプローチを提供する能力。
【0089】
図35は、本開示のさらに別の代替的な実施形態による上面図である。この実施形態では、デバイス310は、デバイスを患者の骨の解剖学的構造から取り外すことなく、固定装置(椎弓根スクリューなど)を配置できるようにする離脱(break−away)部分314を含む、1つ以上の患者接触要素を提供し得る。離脱外側縁部は、破壊される部分314に穿孔の軸を提供するデバイスの外科用ガイド部分の面にスロット315を生成することによって、形成され得る。
【0090】
この実施形態によれば、ガイドスリーブは非対称的としてもよく、それにより、2つの異なる内径を可能にする:一方は、手用具(すなわちドリル、タップ)の案内を容易にし、および他方は、デバイスの隆起またはキャップ(椎弓根スクリューのチューリップ状部分)を収容する。ガイドスリーブの離脱部分314が除去されると、椎骨まではっきりと見ることが可能となり、かつそこまでのしっかりとした経路ができるため、案内デバイスを除去することなく、椎弓根スクリューの配置を可能にする。
【0091】
図36は、
図35に示す実施形態によるデバイスの詳細図である。
図36には、スロット315の詳細図が示されており、このスロットは、好ましい実施形態では、デバイス310の製作中に形成され得るが、代替的な実施形態では、デバイスが製作された後に、デバイス310のガイドスリーブの特定の面の周りへスロット315を形成する穿孔または他の技術によって、形成され得る。
【0092】
図37〜39は、
図35に関して示しかつ説明した実施形態によるデバイスの追加的な図である。
図37には、2つの離脱部分314がデバイス310から分離されている、非対称的なガイドスリーブが示されている。
図38には、
図26A〜Bに関して示しかつ説明した実施形態が示されているが、ここでは、上述したような離脱部分314を備える非対称的なガイドスリーブを有する。
【0093】
図40A〜Dは、少なくとも1つ以上の離脱部分を有する実施形態による、
図35〜39に関して上述したデバイスの追加的な斜視図である。離脱部分は、除去されると、好ましくは外科医によって廃棄される。
【0094】
本明細書で説明する実施形態の各々は、モジュール(すなわち、単一レベル)構成、またはモノリシック(すなわちマルチレベル)構成で提供され得る。それゆえ、ここで提供する説明を容易にしやすくするために、いくつかの実施形態は、1つ(モジュールまたはモノリシック)の実施形態で示したが、開示の趣旨から逸脱することなく、異なる(モノリシックまたはモジュール)構成で提供し得る。様々な態様では、モノリシックの実施形態は、脊柱以外の患者の骨の解剖学的構造の複数の位置を、椎体の2〜10レベルのどこかに含み得るか、またはそれらを取り囲み得る。本明細書で説明する実施形態は、開示のいくつかの実施形態を説明するためのものであり、開示の範囲を限定するものではないことがはっきりと理解される。
【0095】
本明細書で説明する様々な実施形態によれば、外科または教育環境において使用するための、ピン、スクリュー、フック、クランプ、ロッド、プレート、スペーサ、楔、インプラントなどを含むがこれらに限定されない様々な固定装置が、迅速かつ簡単に製作され得る。同様に、患者適合インサータ、スクレーパ、カッター、エレベータ、キューレット、骨鉗子、探針、スクリュードライバー、パドル、ラチェット機構、除去および救出具、カニューレ、外科用メッシュなどを含むがこれらに限定されない、様々な器具および/または他のデバイスは、患者特有のデータに基づいて製作され得る。
【0096】
患者特有のデータを使用しかつ複数の患者適合面を有して製作され得る装置には、患者の椎骨における椎間腔の高さを修復するために使用される多数のインプラントを含む、インプラントとして使用されるデバイスが含まれる。例えば、様々な患者に適合した金属性、ポリマー性またはエラストマー性インプラントが、本明細書で説明する方法を使用して製作され、インプラントのいくつかの患者接触面が、正確にかつ精密に患者の解剖学的構造に適合し得る。一実施形態では、インプラントは、退化しており修復を必要とする患者の解剖学的特徴に適合し得る。別の実施形態では、インプラントは、必然的に、患者の解剖学的構造に存在する構造的または生理的変形を矯正し、それにより、患者の解剖学的構造の位置または配列を矯正する働きをし得る。他のインプラントは患者特有とし得るが、修復機能または他の構造機能(すなわち、補聴器型のインプラントケース)の働きはしない。
【0097】
本明細書で説明するインプラントは、積層造形によって製造され得る。脊柱インプラントとの関連では、インプラントは、全てのアプローチ(前方、外側侵入、大孔を通る、後方、後外側、後外側侵入(direct lateral posterior)など)に使用され得る。インプラントの具体的な特徴は、外科的ないくつかの目的、例えば前弯の修復、椎間板の高さの修復、矢状面または冠状面のバランスの修復などに対処するものとし得る。
【0098】
本開示によって考慮される他の適用例は、椎体間固定(interbody fusion)インプラント、椎間腔高さ修復インプラント、フットプリントマッチングを有するインプラント、表面領域最大化、終板または他の椎骨欠損に適合する形状および輪郭を含み、およびさらに、相対的な粗度または他の表面特徴などの接触面を明確にし得る。例えば、インプラントは、方向特定形状をさらに含む患者の解剖学的構造に基づいて製作され、インプラントは、アクセスポータル(access portal)を通って難なく椎間腔に収まり得る。あるいは、インプラントは、インプラントの部位およびインプラントが移動する必要のある経路の双方に関する解剖学的制約を考慮するように製作され、かつさらに、解剖学的欠損を補償し得る。脊柱インプラントの関連では、インプラントは、さらに、前弯または冠状面の欠損の矯正に所望の角度を明確にし、インプラントの患者特有の高さを明確にし、または(椎間板の高さ修復に続く所望の高さ)、許容された拡張度(拡張可能なインプラントに対し)を明確にし、かつ外科および外科医の好みに依存して一方向または多方向とし得る。
【0099】
一実施形態によれば、患者適合デバイスの製作は、患者適合椎骨プレートを作製するために使用され得る。限定されるものではないが、例えば、患者のデータは、脊柱再建手術に使用される1つ以上の前方頚部または腰部プレートの適合面を作製するために獲得され得る。これらプレートは、2つ以上のセグメントまたは椎骨にわたる適合面を含む、骨の解剖学的構造に適合する輪郭または表面特徴を含み得る。さらに別の実施形態では、患者のデータは、プレートの位置に関する識別子を備えた特定の患者に適合したプレートを作製するのに使用され、さらに、あつらえのドリル孔または患者特有の他の配列点を含み得る。他のタイプのプレートは、脊椎手術に使用されかつ説明されたものに加えて、本開示から逸脱せずに、本明細書で説明する、患者に適合する特徴を組み込み得る。
【0100】
開示の別の実施形態によれば、装置は、本明細書で説明する装置を使用する処置の最中に1つ以上の生体信号を監視する能力を備える。好ましい実施形態では、患者から得られる生体信号は、少なくとも筋電図記録(EMG)成分を含み、外科的処置の少なくとも一部分の最中にこれを測定しかつ観察し得る。代替的な実施形態では、システムは、体性感覚誘発電位(SSEP)成分および/または運動誘発電位(MEP)成分を含む。他の神経監視モダリティも、この実施形態と共に使用するために考慮される。生体信号の解析は、固定装置または器具、ドリルチップが適切に配置されたかどうか、または、代替的にはデバイスまたは器具が、手術部位付近に存在する神経要素と接触させられたかを判断するために実施され得る。
【0101】
この実施形態によれば、1つ以上のデバイスまたは器具は監視装置と通信し、監視装置は、患者からのEMG信号データを、デバイスまたは器具からの測定チャネルを経由して、受信して報告し得る。監視装置は、好ましくは、データを獲得し、かつユーザにグラフまたは他の視覚形態で提示する。監視装置から得たデータの提示に基づいて、外科医は、例えば、デバイスや器具の最終的な配置が患者の骨の解剖学的構造にまたは筋組織に受け入れられるかどうか、または神経要素と接触したかどうかを判断できる。
【0102】
実際には、1つ以上のデバイスまたは器具は、少なくとも1つの測定チャネルと通信するEMGセンサー、例えば電極を組み込んでいてもよく、EMGセンサーは、次に、監視装置にEMGデータを提供する。その後、監視装置は、1つまたは複数のEMGセンサーから受信したデータを表示し、および好ましくは、外科医または他の医療専門家が、EMGデータに関連付けられた値を、異なるタイプの組織に関連付けられたEMGデータを含む予め決められたEMGデータの値と比較できるようにする。好ましい実施形態では、予め決められたEMGデータは、少なくとも、患者の解剖学的構造の筋肉領域、神経領域、脈管領域および骨領域に関連付けられたデータを含む。測定されたEMGデータと予め決められたEMGデータとの比較を行うことによって、外科医または他の医療専門家は、EMGセンサーが特定の組織のタイプを感知したかどうかを判断し、それにより、EMGセンサーが関連付けられるデバイスまたは器具の配置を案内し得る。
【0103】
ここで
図41A〜Cおよび
図42A〜Bを参照すると、術中監視(IOM)を使用可能なデバイスおよび器具の様々な実施形態が示されている。
図41Aを参照して説明すると、この実施形態は、器具、例えばドリルを含み、この器具は、さらに導電性ドリルビット324を含む。ドリルビット324は導電性ドリルスリーブ326に挿入され、ドリルスリーブ326は、電力制御装置(
図41Aには図示せず)と電気通信330が行われる。ドリルビット324とドリルスリーブ326との間の関係は、両者が精密許容差333を有し、ドリルビット324の長さ部分とドリルスリーブ326との間に実質的に一定の接触を保証するようなものである。ドリルスリーブ326は、さらに、ガイドスリーブ354内に挿入および固着され、次いで、外科用ガイドデバイス410に固着され得る。
【0104】
ここで
図41Bを参照して説明すると、ドリルビット324およびドリルスリーブ326は、組み立てられると、ガイドスリーブ354に挿入され、およびドリルビット324は、ガイドスリーブ354を通って延在して、患者の解剖学的構造と接触できる。一実施形態では、ドリルビットは、患者の椎骨に配置された患者の椎弓根に貫入し得る。好ましい実施形態では、ドリルビット324は、さらに、ドリルスリーブ326の遠位端部に配置されたプレートに当接する、全体的にシリンダー状のストッパーを含む(
図41Bに図示)。この接続は、しっかりとした接続をもたらし、かつ特定の外科的応用に対し許容できるものよりも遠くへのドリルビット324の貫入を防止する。この接続はまた、電力制御装置(図示せず)から導電性ドリルスリーブ326への、それによりドリルビット324への通信による高忠実度の電気チャネルを保証する。このように、電気信号(好ましくはEMG)は、外科的処置中にドリルビットから誘発されて、1つ以上の監視装置(図示せず)に伝達され得る。アセンブリの代替的な図を
図41Cに示す。
【0105】
さらに別の実施形態では、
図42A〜Bに示す実施形態のように、ガイドスリーブ354はEMG信号を誘発する。この実施形態によれば、ガイドスリーブ354には1つ以上の電極332が埋め込まれ、これら電極は電力制御装置(図示せず)と通信330し、それにより術中監視を提供する。この実施形態では、1つまたは複数の電極332は、1つまたは複数のガイドスリーブ354に埋め込まれて、導電性ドリルスリーブ336またはガイドスリーブ354の1つまたは複数の電極と接触して配置された他の導体素子との電気通信を提供する。例えば、1つまたは複数の電極は、タップ器具などの他の導体素子、またはスクリューなどの固定装置と接触し得る。これらの導体素子は、電力制御装置および1つ以上の監視装置(図示せず)と電気通信して、外科医または他の医療専門家が、導体素子から得られたEMGデータと、異なる組織タイプに関し予め決められたEMGデータとを比較できるようにする。これにより、本明細書で説明する外科用デバイス、器具およびガイドをIOMで使用可能にでき、かつ外科的処置中に様々なインサート、固定装置または他の導体素子の配置を監視できるようにする。
【0106】
さらに別の実施形態によれば、仙椎固定を改良するためのデバイスおよびガイドが開示される。この実施形態では、デバイスまたはガイドは、固定装置を椎間腔に進入させる(椎弓根に入るのとは反対に)1つ以上の軌道を含む患者のデータから製作され、および好ましい実施形態では、固定装置を、椎体間固定デバイスを含むがこれらに限定されない1つ以上のインプラントに交差させることができるようにする軌道を含み得る。好ましい実施形態では、仙椎固定は、1つ以上の外科用ガイド内に軌道を提供することによって生じ、軌道は、一般的に終板および仙骨(S1)岬角の領域に配置される。これらの軌道を経由して、仙骨岬角に延在する椎弓根への一対の椎弓根用の骨スクリューアンカーの配置は、好ましくは、椎体間インプラントと合わせて、達成可能である。好ましい実施形態では、仙椎固定装置および椎体間インプラントの軌道の双方を確実にする1つまたは複数のガイドは、本明細書で説明する方法を使用して形成される。
【0107】
この実施形態によれば、患者特有の脊柱インプラントおよび関連の固定装置は、インプラントの設計に著しい改善をもたらす。開示の設計では、椎体間固定デバイスは、両側PLIFまたは片側TLIFアプローチから配置され、およびさらに、椎骨アンカーまたは固定装置によって機械的にインターロックされ得る。固定装置は、限定されるものではないが、例として、変形された椎弓根スクリューとし得る。外科用ガイドは、患者のデータを使用して製作されて、予測可能なおよび再現可能な軌道を提供し、かつガイドを通して挿入された固定装置が椎体間固定デバイスと確実にインターロックするようにし得る。この患者適合インプラントは、腰仙骨関節(L5 S1)での使用に関し説明したが、この実施形態はまた、頚椎、胸椎、および腰椎の他の全てのレベルに使用し得る。
【0108】
スペーサとスクリューとの間の適切な空間関係を維持するために、患者適合ガイドはまた、固定装置およびスペーサの位置を登録し、かつ内側皮質を穿孔することなく、適切な矢状面椎弓根スクリュー収束角度を提供し、かつ脊柱管に入り得る。好ましい実施形態では、プラスチックまたは組み合わせ材料(すなわち、患者に適合するプラスチックインサートを備える金属フレーム)の患者特有のデバイスが、これらの所望の軌道を提供する。
【0109】
本明細書で説明する装置は、最小侵襲環境において使用され、およびさらに、カニューレまたは他の最小侵襲通路を通って手術部位に送達された後で組み立てられ得るいくつものインターロックモジュールを含み得る。あるいは、装置の1つ以上の部分は、装置の別の部分の中に入れ子状に入れられ得るか、またはその代わりに、カニューレまたは他の最小侵襲ポータルを通って装置を送達するために使用される器具または他のデバイスの中に入れ子状に入れられ得る。上述の製造モダリティによれば、装置は、正しい組み立てのみを可能にする特定の適合面を備えて製作され、およびさらに、他の部分に入れ子状に入る部分または装置の他のモジュールと隣接するモジュールを示す印または他の手段を含み得る。
【0110】
例えば、一実施形態では、複数の入れ子状の患者適合ガイドを提供し、それにより、少なくとも1つであるが数個である可能性もあるモジュールを組み立て、「ベースガイド」を形成することが考えられる。このベースガイドは、患者のいくつかの脊髄分節にわたり、および1つ以上のアンカーによって椎骨に固着され得る。1つ以上のアンカーは、必ずしも限定されるわけではないが、最終的な脊柱構築に使用される椎弓根スクリュー固定装置を含み得る。ベースガイドが適切な個所に固着されたら(例えば、患者適合面をそれらの対応する骨の解剖学的構造に位置合わせすることによって)、追加的なガイドを取り入れ、ベースガイド上に「入れ子状」にする。一実施形態では、これらの追加的なガイドは、切除/ドリルリング/経路指定ガイドを含み得る。別の実施形態では、追加的なガイドは、固定装置軌道ガイドを含み得る。さらに別の実施形態では、追加的なガイドには、椎間腔修復ガイドまたはインプラント挿入ガイドを含み得る。
【0111】
追加的なガイドが少なくとも1つの切除/ドリルリング/経路指定ガイドを含む実施形態によれば、その後、外科医は、ベースガイド上に1つ以上の順次的な入れ子状ガイドを取り入れてもよく、切除/ドリル/経路指定が完了した骨の解剖学的面と一致する面を有するように設計される(すなわち、最近切除された骨領域に適合し、それにより、順次式の切除を骨の解剖学的構造により深く行うことを可能にするか、または切除領域に隣接した固定装置の最終的な配置を可能にする)。このように、本明細書で説明する実施形態は、第1のガイドを使用する信頼性の高い切除(および信頼性の高い変形矯正)を保証した後で、固定装置を信頼性の高い軌道に挿入するための1つまたは複数の第2のまたは後続のガイドを提供することによって、より信頼性の高い結果を達成することと組み合わせて使用され得る。
【0112】
切除手術を支援するための外科用ガイドが準備される実施形態によれば、ガイドは複数の切除平面を含み、複数の切除平面を通る切除器具の使用は、骨の解剖学的構造を通る、測定された正確な切除をもたらす。従って、本明細書で説明する方法によって製作された1つ以上の切除ガイドは、複数の切除平面を通って切除し、その後、1つ以上の切除ガイドによって切除された骨の解剖学的構造を除去することによって、解剖学的変形の測定された正確な矯正をもたらす。脊椎の外科的処置の関連では、切除ガイドを、脊柱の異なる領域または患者の椎骨の異なるレベルにおいて使用し、複雑な変形を矯正し得る。
【0113】
本明細書で開示した装置は、様々な異なる材料で作製され得る。これらの材料は、限定されるものではないが、例として、ステンレス鋼、チタン合金、アルミ合金、クロム合金、および他の金属または金属合金を含み得る。これらの材料はまた、例えば、PEEK、炭素繊維、ABSプラスチック、ポリウレタン、樹脂、特に繊維を入れた樹脂材料ゴム、ラテックス、合成ゴム、合成材料、ポリマー、および天然材料を含み得る。一実施形態によれば、装置は、外科的処置中に使用するための第2の材料での装置の作製前に、外科的処置を計画または立証するために使用される第1の材料から作製され得る。このように、外科医または他の医療専門家は、ガイドおよび/またはマッピングした患者解剖学的特徴の実物大模型(第1の材料で作製された)を使用した後で、患者のデータおよび/または手術計画過程に基づいて準備された装置で手術を行い、これは、実物大模型ガイドおよび患者の解剖学的構造の任意の他の実物大模型によって容易にされ得る。限定されるものではないが、例として、この第1の組の装置の使用は、外科的処置の最中に用いられる技術を練習するために使用されてもよいし、またはそうでなければ、外科医が処置の「予行演習」を行うことができるようにする。練習できることはまた、外科医が、様々な器具および固定装置が実物大模型のガイドまたは他の装置と適合することを見て確認する機会を提供する。さらに、これらの実物大模型は、外科医が外科的処置の前に他の医療専門家または患者を教育するための、安価な方法を提供し得る。
【0114】
ここで
図43を参照して説明すると、代替的な本開示の一実施形態による方法が説明されている。この方法によれば、以下の1つ以上のステップに、患者適合デバイス、ガイドまたはインプラントを準備することが続き得る。第1に、外科医は、用いられる患者適合技術を有することの利点を示す情報を受け取る510。第2に、患者は、3Dレンダリングに好適な解剖学的特徴に関連するデータを収集するためにスキャンされる512。次いで、外科医は、データを検討し514、かつ最初の手術計画を準備する516。その後、患者のスキャンから収集した画像データをエンジニアリングチームに転送するか518、または他の医療専門家に転送して、処理する520。処理中、患者のデータを使用して、外科手術部位を取り囲む正確な解剖学的ゾーンを作成する。この処理の最中、データは、解剖学的ファイルを作成するように変換され得る522。次のステップは、1つ以上の対象領域の位置を決定するために3次元解剖学的ゾーンデータを使用して手術計画を準備することであり524、それにより、次に、外科医に、1つ以上の患者適合面および1つ以上の軌道を提供する。その後、外科医は手術計画を修正しかつ承認し526、および患者適合デバイス、ガイドおよび器具の設計528が、完成した計画のために開始される。設計段階後、デバイスの製造530が行われ、および検証されたら、手術室に供給される532。滅菌534および手術中の患者適合デバイスの使用536の残りのステップは、手術時に行われる。本開示の趣旨から逸脱することなく、前述のステップの全てではなくともいくつかが続き得ることがはっきりと理解される。
【0115】
本開示を説明するためにラピッドプロトタイピングおよび関連の製造技術(CNCなど)を使用したが、本開示の利点を犠牲にすることなく、他の製造モダリティを用いることができることが考慮されることもはっきりと理解される。例えば、画像化技術の代わりとし得るように、本明細書で説明するステップを使用してあつらえのデバイス、ガイドまたは器具を製作するために、積層造形に関連付けられない処理を使用してもよい。
【0116】
さらに、本開示はまた、分散製造における近年の改良を考慮すると、好都合とし得る。例えば、デバイス、ガイドおよび器具は、現場から離れた製造場所、外科医の診療所または事務所にまたは公立病院または私立病院に存在する器具を使用する現場での製造場所を含むがこれらに限定されないいくつもの異なるおよび好都合な環境ですぐに製作可能とし得る。このように、正確でありかつ適合するデバイス、ガイドまたは器具を得るための患者のデータおよび処理は、製造過程を近くすることによって容易にしてもよく、かつ本開示の範囲内にあるとみなされる。
【0117】
本開示の様々な実施形態を詳細に説明したが、それらの実施形態の修正例および代替例が当業者に思いつくことは明らかである。しかしながら、以下の特許請求の範囲に記載するように、そのような修正例および代替例は本開示の範囲および趣旨内にあることがはっきりと理解される。さらに説明するために、本出願が優先権を主張する仮特許出願および特許出願でもたらされる情報および材料は、明らかに本開示の一部であり、かつそれら全体が参照することにより本書に援用される。
【0118】
用語「患者」を使用して、開示の様々な実施形態を説明したが、この用語は、なんら限定するものではないと解釈されることがはっきりと理解される。例えば、患者は、ヒト患者または動物患者のいずれかとし、および本明細書で説明する装置および方法は、ヒトの解剖学的構造で実施される外科的処置を行うように、獣医学に等しくあてはまる。それゆえ、本明細書で説明する装置および方法は、脊椎外科医によって使用される外科的処置を越える適用を有し、および概念は、本開示の趣旨から逸脱することなく、他のタイプの「患者」および処置にも適用される。
【0119】
開示の上記の説明は、図示および説明のために提供された。上記は、本明細書で開示した1つまたは複数の形態に開示を限定するものではない。上記の詳細な説明では、例えば、開示の様々な特徴は、開示を合理化するために1つ以上の実施形態に分類されている。この開示の方法は、特許請求する開示が各特許請求項で明確に列挙される以上の特徴を必要とすることを反映するとは解釈されない。むしろ、以下の特許請求の範囲を反映するように、発明の態様は、単一の上記の開示の実施形態の全てではない特徴に存在し得る。それゆえ、以下の特許請求の範囲は、この詳細な説明に組み込まれ、各特許請求項は、開示の別個の好ましい実施形態としてそれ自体に基づくものとする。
【0120】
さらに、本開示は、1つ以上の実施形態およびいくつかの変形例および修正例の説明を含んだが、例えば、本開示を理解した後、当業界での技能および知識の範囲内にあるとし得るように、他の変形例および修正例が開示の範囲内にある。代替的な、交換可能なおよび/または等価の構造、機能、範囲またはステップが本明細書で開示されているかどうかにかかわらず、および任意の特許性のある主題に公式に専念するものではなく、特許請求されるもののそのような代替的な、交換可能なおよび/または等価の構造、機能、範囲またはステップを含め、許される範囲の代替的な実施形態を含む権利を獲得するものである。