(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記一対のスライドヒンジ機構は、そのスライド幅を、前記電子機器の筐体の高さと前記筐体の底面に取り付けるオプション装置高さとクリアランス幅の合計幅に揃えた長さに形成されることを特徴とする請求項1ないし3の何れか一項に記載の支持装置。
前記一対のスライドヒンジ機構は、前記一対の支持脚と前記一対の固定脚との端部相互を、前記電子機器の作業面の逆側で、転回可能に且つスライド可能に連結することを特徴とする請求項1ないし4の何れか一項に記載の支持装置。
前記一対のスライドヒンジ機構は少なくとも一方に、前記一対の支持脚と前記一対の固定脚とに転回角度を付けない状態でスライドを抑制する抑制構造を具備することを特徴とする請求項1ないし7の何れか一項に記載の支持装置。
前記一対のスライドヒンジ機構は少なくとも一方に、電子機器を転回方向に展開させるバネヒンジ機構を具備することを特徴とする請求項1ないし8の何れか一項に記載の支持装置。
電子機器の筐体に取り付けて該筐体を支持する一対の支持脚と、前記電子機器を設置する取付面に取り付けて該電子機器を設置する場所に固定する一対の固定脚と、の端部相互を、前記一対の固定脚に対して前記一対の支持脚を直立方向に転回可能に 且つ 前記一対の固定脚に対して前記一対の支持脚を水平方向にスライド可能に 連結する一対のスライドヒンジ機構を介して連結して、
前記電子機器を収納状態から転回状態に可変させる際に、前記電子機器を前記一対の固定脚に対して水平方向にスライドさせ、前記電子機器を前記一対の固定脚に対して直立方向に転回させる
ことを特徴とする電子機器の支持装置による支持方法。
【背景技術】
【0002】
省スペース化の観点から、電子機器の筐体を壁掛けして設置するための支持装置が開発されている。例えば支持装置には、卓上や床上への載置と、壁面上への壁掛けとの両方の設置方法に対応させたものがある。
【0003】
このような支持装置として、特許文献1には、板状を呈し、第1の板面に筐体凹部または筐体凸部に対応して形成された脚凸部または脚凹部を備えた一対の支持脚と、中間部材とを備える支持装置が開示されている。特許文献1では、筐体を壁掛けする際には、一対の支持脚は、その対同士が中間部材を介して結合され、第2の板面が壁面に接するように取り付けられ、かつ、脚凸部または脚凹部に筐体を背面に形成された筐体凹部または筐体凸部が係合することにより、筐体を第1の板面前に引っ掛け支持している。
【0004】
特許文献2は、電話交換機等の電子機器筐体を複数個建物等の壁に設置する壁掛け装置を開示している。この壁掛け装置は、壁に取付ける機器取付け用金具を、複数の電子機器筐体のうち一の電子機器筐体の下面を載置する受け台と、受け台を突出形成した取付けベース板と、取付けベース板に一の電子機器筐体を取着する取着部とにより構成し、機器取付け用金具に他の電子機器筐体を前記一の電子機器筐体の前記壁より前方に重合配置する機器増設用金具を取付けるための取付け手段を設けている。また、特許文献3は、基本回路基板及び電源ユニットを内蔵した基本筐体に拡張筐体を支軸で回動自在に設け、この拡張筐体に拡張回路基板を挿脱自在に設け、拡張筐体の一側を取付部材で壁面に固定するように設けた装置を開示する。
【0005】
また、特許文献4は、特許文献1から3の問題を幾つか解決した支持装置を開示している。この特許文献4の支持装置は、該筐体を支持する一対の支持脚と、取付面に取り付ける一対の固定脚と、一対の支持脚と一対の固定脚とを枢動可能に連結する可動機構と、を有している。
【0006】
特許文献1及び2は、電子機器を壁面上に固定的に壁に掛けた場合に適した構造である。このため、保守工事の際には、壁掛け装置から電子機器を取り外す必要があった。特許文献3では、電子機器などの筐体がセットで取り付けられる必要があるため、省スペース化を図ることが困難であった。また、筐体と支持装置を一体的に移動できないため、効率的な保守工事ができない問題があった。
【0007】
一方、特許文献4に開示した可動機構を有する支持装置は、特許文献1ないし3に対して、壁面専有面積を省スペース化しつつ、保守工事を容易にできる。なお、電子機器を取付スペースだけでなく、電子機器等の保守の際に必要になる保守スペースも考慮しておかなければならない。
【0008】
例えば、
図9は、関連する電子機器などの筐体400を支持するための支持装置を示している。
図9(a)及び
図9(b)に示すように、この支持装置に取り付けられた電子機器へのオプションカード401とバッテリ402の実装方向は電子機器側面となっている。そのため、電子機器を壁掛け設置する際、オプションカード401またはバッテリ402の保守工事用に水平方向の作業スペースを大きく確保する必要がある。また、作業スペースの確保が困難な場合は、保守工事毎に壁面から電子機器を取り外す必要がある。さらに、保守工事の際、各付属機器の実装方向が異なるので同一方向からの作業ができず、保守工事が煩雑であった。
【0009】
図10は、関連する 電子機器を所定の場所に設置するための支持装置500を示す。同図のような支持装置500では、オプションカード501を前面より挿抜できるが、装置全体の外形が大きくなってしまい、設置状態で壁面からの厚みがでてしまう。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
[第1の実施形態]
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態による支持装置1の構成を説明するための概略構成図である。同図において、支持装置1は、電子機器(通信制御装置(ボタン電話主装置やIP電話制御装置など)など)の筐体30を取付面200に壁掛けして設置するために利用するものである。作業者は、保守工事などの際に、筐体30が装着されている支持装置1の支持脚12A、12Bをスライドヒンジ機構13(13A、13B)を介してスライドおよび転回(回転)させる。このことで、筐体30を支持装置1(取付面200)から取り外すことなく、作業スペースを確保することができる。
【0022】
ここでは、
図1ないし
図10に示されるように、直交座標系(X、Y、Z)を使用している。
図1ないし
図9の図示した状態では、直交座標系(X、Y、Z)において、X軸方向は、支持装置1を設置する取付面200に平行に延在する上下方向(高さ方向)であり、Y軸方向は、当該取付面200に平行に延在し、且つX軸方向と直交する左右方向(幅方向)であり、Z軸方向は、取付面200と直交する前後方向(奥行方向)である。
【0023】
図1は、本実施形態による電子機器の筐体30が装着された支持装置1を説明するための図である。
図1(a)の支持装置1は、支持装置1が収納された状態である。
図1(b)に示す支持装置1は、保守工事やオプション装置の着脱などの作業を行うために
図1(a)に示す支持装置1をスライドされた状態である。
図1(c)に示す支持装置1は、
図1(b)に示された状態から転回された状態である。
【0024】
図1(a),(b),(c)に示すように、支持装置1を最終的に90°転回した状態で後述するオプションカード40やバッテリ50などのオプション装置を着脱したり、電子機器の設定や保守工事をしたりすることが可能となる。通常時には、
図1(a)に示すように支持装置1を収容して壁などの取付面200に固定すると共に、電子機器の筐体30、支持装置1、及び作業スペースをコンパクトに抑えることができる。
【0025】
図2は、第1の実施形態による支持装置1の概略構成を説明するための図である。
図1(a)は支持装置1の支持脚12A、12BをY軸方向にスライドさせた後にY軸方向からZ軸方向へ90°転回させた図を示している。
図2(b)は、支持脚12A、12Bを
図2(a)に示した状態からY軸方向にスライドさせた図を示す。
図2(c)は、支持脚12A、12BをY軸方向に配置し、支持脚12A、12Bと固定脚10A、10Bとを雄ネジ15で固定して収納させた図を示す。図中では雄ネジ15(ローレットネジ)を示しているが他の種類のロック機構でもよい。
【0026】
同図に示すように、支持装置1は、壁などの取付面200に取り付けて該電子機器を設置する場所に固定する固定脚10A、10Bと、筐体30を支持する支持脚12A、12Bとを備える。また、支持装置1は、支持脚12A、12Bと固定脚10A、10Bとの端部相互を、支持脚12A、12Bを水平方向にスライドして転回可能に連結する一対のスライドヒンジ機構13A、13Bを具備する。この固定脚10Aと固定脚10Bとの間隔 及び 支持脚12Aと支持脚12Bとの間の間隔は、高さ調整部材11によって保持される電子機器幅に合わせて維持される。更に、支持装置1は、固定脚10A、10Bと支持脚12A、12Bとを連結して位置(角度)を調整する角度調整シャフト14を備えている。
【0027】
固定脚10A、10Bは、矩形形状を有する一対の金具であり、例えば板状の金具で構成されている。固定脚10A、10Bは、ネジなどを用いて取付面200に固定される。また、固定脚10Aは、角度調整シャフト14と繋がるシャフト装着部101を有している。
【0028】
高さ調整部材11は、例えば矩形形状を有する板状の金具である。平行に配置される固定脚10A、10Bは、この高さ調整部材11を介して間接的に接続する。本実施形態においては、
図1に示すように、高さ調整部材11は平行に配置された固定脚10A、10Bの長手方向の略中間位置に垂直に接続されている。
【0029】
支持脚12A、12Bは、L字状部材であり、例えば板状の金具で構成されている。支持脚12Aは、Y−Z平面の−Y軸方向とX−Z平面のX軸方向にL字形状に延長する。支持脚12Bは、Y−Z平面の−Y軸方向とX−Z平面の−X軸方向にL字形状に延長する。
【0030】
各支持脚12A、12BのY−Z平面における一部には筐体30を支持するための筐体取り付け用穴16が形成されており、例えばネジや突起などを筐体取り付け用穴16に固定することで筐体30を支持する。また、支持脚12Aには、後述するシャフト固定穴121が形成されている。
【0031】
図2(a),(b),(c)に示すとおり、固定脚10Aと支持脚12A、及び固定脚10Bと支持脚12Bを連結する部材として、それぞれの端部(図面奥側)にスライドヒンジ機構13A、13Bが接続される。図示されるように、スライドヒンジ機構13は、支持脚12A、12Bと固定脚10A、10Bとの端部相互を、電子機器の作業面の逆側で連結する。また、スライドヒンジ機構13は、その転回可能角度を、0°から90°に形成される。
【0032】
図3は、スライドヒンジ機構13の部材にかかる説明図である。本実施形態に係るスライドヒンジ機構13A、13Bは各々、ヒンジ片17(
図3(a)参照)とレール部材18(
図3(b)参照)を部品として構成される。ヒンジ片17は、転回スライド軸と板部とから成る。また、レール部材18は、スライドレールと板部から成る。また、スライドヒンジ機構13は、
図3(c)及び
図3(d)に示すように、ヒンジ片17の転回スライド軸がレール部材18のレール内でスライド可能且つその転回可能角度を0°から少なくとも90°を有する。
【0033】
図3(e)は、本実施形態による支持装置1の連結部(図中下方側)の拡大図を示す。同図の支持装置1は支持脚12A、12BをY軸方向からX軸方向へスライドヒンジ機構13を介して90°転回した状態にある。本実施形態では、支持脚12Aは90°固定用のシャフト固定穴121を有している。
図3(e)では、固定脚10Aのシャフト装着部101に装着した角度調整シャフト14を90°固定用のシャフト固定穴121に挿入して、角度を固定している。なお、シャフト固定穴に替えて固定溝としてもよい。本実施形態では、90°固定用のシャフト固定穴121を例示したが、本発明はこの構成に限られず、例えば50°固定用や150°固定用のシャフト固定穴や固定溝を適宜設けてもよい。
【0034】
この構造により、スライドヒンジ機構13が可動機構となって、支持脚12A、12B及び支持脚12A、12Bに支持された筐体30をX−Y平面にスライドでき、またX−Y平面からX−Z平面にわたり90°転回できる。また、
図1に示したように、支持脚12A、12Bに支持された筐体30を取付面200に配置することが可能となる。また、固定脚10A、10Bと支持脚12A、12BのX軸方向における高さが同じとなる。この高さは、高さ調整部材11により決定され、本実施形態では、電子機器二個分と同等の高さとなっているが、この構成に限定されるものではない。
【0035】
本実施形態によれば、
図1(a)に示したように、筐体30を装着した支持装置1が収納状態にある場合、壁などの取付面200からの厚みtを抑えることができるため省スペース化となる。一方、保守や配線工事などの場合には、支持装置1を
図1(b)の状態を介して
図1(c)に示す転回状態にできる。このため、作業スペースを確保でき容易に保守作業を行うことができる。またこの際に、
図4(a)に示すように、筐体30の厚み分をスライドさせた後に転回状態に変移した形態を取り得ることで、図中の装置左方に要する空間を装置変移スペースとして必要としない。このため、筐体30を壁面へ設置する場合において壁面占有面積を省スペース化できる。また、
図4(b)に示すように、筐体30の正面からオプションカード40やバッテリ50などのオプション装置の脱着やコネクタへのアクセスが同一方向から可能となる。
【0036】
次に、本実施形態による支持装置1に装着される電子機器の筐体30の支持方法について説明する。
【0037】
支持装置1に装着された筐体30の保守工事の際には、まず、各支持脚12A、12Bと各固定脚10A、10Bを固定している雄ネジ15を外す。そして、装着された電子機器(筐体30)とともに一対の支持脚12A、12Bを+Y軸方向に水平方向にスライドさせ、Y軸方向からZ軸方向へ転回する。次に、必要に応じて、角度調整シャフト14を用いて所望の角度で支持脚12A、12Bを固定する。本実施形態では、支持脚12Aに形成された切りかき形状のシャフト固定穴121に角度調整シャフト14を挿入して、90°の角度で支持脚12A、12B及び装着された筐体30を固定できる。展開された状態では、作業スペースが容易に確保できるため、この状態で保守工事が実施される。保守工事の作業完了後、支持脚12A、12B及び装着された電子機器(筐体30)をZ軸方向からY軸方向へ可動させつつ、−Y軸方向にスライドさせて支持装置1を収容する。最後に、各支持脚12A、12Bと各固定脚10A、10Bをロック機構(雄ネジ15)で固定する。
【0038】
本発明の一実施形態によれば、制御機器など電子機器の筐体30を壁面などの取付面200へ設置する場合において壁面占有面積を省スペース化できる。
【0039】
[第2の実施形態]
続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。以下で説明する第2の実施形態以後は、上述した第1の実施形態の変形例である。各実施形態は、適宜 その構造を組み合わせることが可能である。以下、各実施形態において、第1の実施形態において既に説明した部分と同様な機能を有する部分には同一符号を付し、説明は省略する。
【0040】
以下、本実施形態の支持装置1について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0041】
第2の実施形態は、スライドヒンジ機構にかかる部材及び構造が第1の実施形態と異なる。以下に説明するスライドヒンジ機構を有することで、第2の実施形態における支持装置1は、第2の実施形態における支持装置1に対して作業者の作業性を向上させる。
図5は、第2の実施形態におけるスライドヒンジ機構13にかかる説明図である。
【0042】
図5(a)は、ヒンジ片17にスライド抑制部材を追加した図である。スライド抑制部材は、特に限定しないものの例えばゴムやスポンジなどの緩衝材を用いればよい。このように、軸にスライド抑制部材を付与して、レール部材18と組み合わせてスライドヒンジ機構13を構成してもよい。この構造によって、スライドレール端部と軸との強烈な激突や、作業者の意図しないスライドの予防を奏し得る。
【0043】
図5(b)は、ヒンジ片17とレール部材18の少なくとも一方にスライド抑制部材を追加したスライド抑制構造を示した図である。このように、ヒンジ片17とレール部材18の一方若しくは両方にスライド抑制構造を付与することで、角度を付けた状態でスライドするものの角度を付けない場合にスライドしにくい(スライドしない)構造となる。この結果、作業者は、斜めに角度を付けた状態で、電子機器をスライドさせることになる。このことは、
図1等に表れている電子機器手前側の必要な作業スペース(スライドスペース)を減らすことに繋がる。この結果、第1の実施形態よりも更に壁面占有面積を省スペース化できる。またこの構成によれば副次的に、作業者による強烈なスライドの予防を奏する。これは、電子機器が斜めに角度が付いていることで、平面状態にある電子機器のスライド動作よりも、作業者に慎重に取り扱ってもらえる心理効果を与え得る。
【0044】
図5(c)は、ヒンジ片17とレール部材18とに、電子機器を転回方向に転回させるバネヒンジ機構を設けた構成を示している。このバネヒンジ機構では、支持脚12と固定脚10とのロック機構を解放した際に、予め付勢されていたバネにより、支持脚12(ヒンジ片17,筐体30)と固定脚10(取付面200)との角度を自動的に付ける。この結果、
図5(b)を用いて説明した効果を得られる。付勢力は、電子機器の大きさ及び質量、省スペース化したい量、自動的に転回させたい角度に合わせて適宜定めればよい。
【0045】
図5(d)は、
図5(a)から
図5(c)で示した各構造を組み合わせたスライドヒンジ機構である。このスライドヒンジ機構では、ロック機構を解放した際に、自動的に支持脚12と固定脚10との角度が付き、その状態でスライド可能になる。この結果、作業スペースの省スペース化や作業性の更なる向上が見込める。
【0046】
本発明の一実施形態によれば、制御機器など電子機器の筐体30を壁面などの取付面200へ設置する場合において図中で示した奥側の壁面占有面積と共に手前側の壁面占有面積を省スペース化できる。また、保守工事性の改善が可能となる。
【0047】
[第3の実施形態]
図6は、本実施形態による支持装置1に筐体30を装着して取付面200に固定した図を示す。本実施形態において、バッテリ50などの外付けオプション装置の有無に応じて取付面200からの厚みt1、t2(Z軸方向における奥行)で示される設置スペースの調整が可能である。
【0048】
図6(a)は、筐体30の背面に取り付けるオプション装置(バッテリ50等)を取り付けない場合の構成を示す図である。同図では、各支持脚12A、12Bに形成された筐体取り付け用穴16Aにネジなどの固定手段を用いて筐体30を装着し支持している。この構成では、取付面200から近い位置に筐体30を装着しているため、取付面200からの支持装置1と筐体30の厚みt1を抑えることができ、省スペース化を図ることができる。
【0049】
また、
図6(b)は、筐体30の背面に取り付けるオプション装置(バッテリ50等)を取り付ける場合の構成を示す図である。各支持脚12A、12Bに形成された筐体取り付け用穴16Bにネジなどの固定手段を用いて筐体30を装着し支持している。筐体取り付け用穴16Bは筐体取り付け用穴16Aより取付面200から離れた位置に形成されているため、厚みt2は厚みt1より大きくなるが、筐体30と支持装置1との間にオプション装置装着用のスペースが確保できる。
【0050】
また、
図6(c)は、本実施形態のスライドヒンジ機構のスライド長を実質的に定める条件を示した図である。スライドヒンジ機構は、主にスライドレールの長さでスライド長が定まる。そのスライド幅(a)を、電子機器の筐体の高さ(b1)と筐体の底面に取り付けるオプション装置高さ(b1)とクリアランス幅(c)の合計幅に揃えた長さに形成する。このことで、先に説明した収納時の省スペース化と、作業形態に移行する際に必要になる電子機器前後のスペース(
図6(a),(b)の左右スペース,
図6(c)の上下スペース)の最適化が図れる。
【0051】
本発明の一実施形態によれば、制御機器など電子機器の筐体30を壁面などの取付面200へ設置する場合において壁面占有面積を省スペース化する適切なスライドヒンジ機構を得られる。
【0052】
[第4の実施形態]
図7及び
図8は、上記各実施形態で説明した支持装置1に装着する筐体30の台数を容易に変更可能にする説明図である。
【0053】
図7では、支持装置1に装着する筐体30をオプションで拡張可能できることを図示している。図中の筐体30は、基本架30Aと共に、必要に応じて、拡張架30Bと収納架30Cとを拡張している。本実施形態の支持装置1はこれらの筐体30を装着することができるよう構成されている。
図8では、本実施形態の支持装置1に装着する筐体30の台数を容易に変更可能にする高さ調整部材11(幅調整部材)を示している。この高さ調整部材11は、固定脚10の間隔を、支持する電子機器の筐体幅に合わせて段階的に固定する長さに構成されている。この幅調整部材を固定脚10に接続することで スライドヒンジ機構を介して固定脚10に連結された支持脚12の高さを電子機器の幅に調整することができる。以下詳細に説明する。
【0054】
図8(a)は、平行に配置された一対の固定脚10A、10Bの間に、同じく高さ変更部11A(高さ調整部材11)を平行に配置し、これらの長手方向を接続した支持装置1の第1段構成を示す。なお、説明のため、本支持装置1においては、支持脚12A、12Bやスライドヒンジ機構13の記載を省略している。この第1段構成の支持装置1は、基本架30A、拡張架30B、及び収納架30Cの何れかを装着して取付面200に配置することができる。すなわち、
図8(a)に示す固定脚10A、10Bと高さ変更部11Aを接続した全体の高さは、一個分の基本架30Aと同等の高さとなる。高さ調整部材11は、矩形形状を有する板状の高さ変更部11Aと高さ延長部11Bを具備している。高さ変更部11Aを一対の固定脚10A、10Bの間に接続して、X軸方向における高さを決定することで、一対の固定脚10A、10Bとスライドヒンジ機構13を介して連結された支持脚12A、12BのX軸方向における高さを決定することとなる。なお、第1段構成においては、高さ変更部11Aの背面に高さ延長部11Bが格納されている。
【0055】
図8(b)は、平行に配置された一対の固定脚10A、10Bの間に、高さ変更部11Aを垂直に配置し、一対の固定脚10A、10Bの長手方向の中間部と高さ変更部11Aの短手方向の端部を接続した支持装置1の第2段構成を示す。同図においても、説明のための支持脚12A、12Bの記載を省略している。この支持装置1では、基本架30A、拡張架30B、及び収納架30Cの内、二つの筐体を装着できる高さを有する。
図8(b)に示す第2段構成の支持装置1では、固定脚10A、10Bと高さ変更部11Aの全体の高さは、二個分の筐体と同等の高さとなる。なお、第2段構成においても、高さ変更部11Aの背面に高さ延長部11Bが格納されている。
【0056】
図8(c)は、平行に配置された一対の固定脚10A、10Bの間に、高さ変更部11A及び高さ延長部11Bを垂直に配置し、一対の固定脚10A、10Bの長手方向の中間部と高さ変更部11A及び高さ延長部11Bの短手方向の端部を接続した支持装置1の第3段構成を示す。この第3段構成の支持装置1では、高さ変更部11Aに格納してあった高さ延長部11Bを延長することで基本架30A、拡張架30B、及び収納架30Cの三個分の筐体を収容可能となる。なお、
図8(a)においても、説明のために支持脚12A、12Bの記載を省略している。
【0057】
このように、本実施形態では、一組の支持装置1で様々な構成の電子機器の筐体30を取付面200に壁掛け設置することが可能となる。
【0058】
以上、各実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細は、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。例えば、第1の実施形態では、角度調整シャフト14が、固定脚10Aと支持脚12A間に設けられているが、このような構成に限定されず、角度固定機構は固定脚10Bと支持脚12B間に角度調整シャフト14を設けてもよいし、両方の脚間に角度調整シャフト14を設ける構成であってもよい。この場合、固定脚10Bにシャフト装着部が設けられ、支持脚12Bにシャフト固定穴121が設けられることとなる。また、この角度固定機構は無くてもよい。また、上述の実施形態では、一対の固定脚10A、10Bの間に高さ調整部材11が一個設けられているが、一対の固定脚10A、10Bを取付面200に強固に固定し所望の高さに位置決めできるのであれば、高さ調整部材11を省いてもよい。逆に、支持装置1の補強のために、高さ調整部材11を複数個設ける構成にしても構わない。また、第4の実施形態では、最大3段構成の筐体30に対応する支持装置1について説明したが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、4段や5段構成の筐体に対応できるように支持装置1の高さ調整部材11の構成を変更するなど種々の構成を採用してよいのは勿論である。
【0059】
また、上記の実施形態の一部又は全部は、以下のようにも記載されうる。尚、以下の付記は本発明をなんら限定するものではない。
[付記1]
電子機器の筐体に取り付けて該筐体を支持する一対の支持脚と、
前記電子機器を設置する取付面に取り付けて該電子機器を設置する場所に固定する一対の固定脚と、
前記一対の支持脚と前記一対の固定脚との端部相互を、前記一対の固定脚に対して前記一対の支持脚を直立方向に転回可能に 且つ 前記一対の固定脚に対して前記一対の支持脚を水平方向にスライド可能に 連結する一対のスライドヒンジ機構と、
を備えることを特徴とする支持装置。
【0060】
[付記2]
前記一対のスライドヒンジ機構は各々、
転回軸と板部とから成り各支持脚の端部に固定されるヒンジ片と、
スライドレールと板部から成り各固定脚の端部に固定されるレール部材と、
から構成されることを特徴とする上記付記記載の支持装置。
【0061】
[付記3]
前記一対のスライドヒンジ機構は、その転回可能角度を、0°から90°に形成されることを特徴とする上記付記記載の支持装置。
【0062】
[付記4]
前記一対のスライドヒンジ機構は、そのスライド幅を、前記電子機器の筐体の高さと前記筐体の底面に取り付けるオプション装置高さとクリアランス幅の合計幅に揃えた長さに形成されることを特徴とする上記付記記載の支持装置。
【0063】
[付記5]
前記一対のスライドヒンジ機構は、前記一対の支持脚と前記一対の固定脚との端部相互を、前記電子機器の作業面の逆側で、転回可能に且つスライド可能に連結することを特徴とする上記付記記載の支持装置。
【0064】
[付記6]
前記一対の支持脚のそれぞれは、L字状に形成された部材であり、筐体の側面に支持脚を装着することで、筐体の角を覆うように支持すると共に、
前記一対の支持脚は、前記取付面から離れる方向に、前記筐体の底面に取り付けるオプション装置高さとクリアランス幅の合計幅に揃えた複数の筐体取り付け用穴を有する
ことを特徴とする上記付記記載の支持装置。
【0065】
[付記7]
前記一対のスライドヒンジ機構は少なくとも一方に、スライドを抑制する抑制部材を具備することを特徴とする上記付記記載の支持装置。
【0066】
[付記8]
前記一対のスライドヒンジ機構は少なくとも一方に、前記一対の支持脚と前記一対の固定脚とに転回角度を付けない状態でスライドを抑制する抑制構造を具備することを特徴とする上記付記記載の支持装置。
【0067】
[付記9]
前記一対のスライドヒンジ機構は少なくとも一方に、電子機器を転回方向に展開させるバネヒンジ機構を具備することを特徴とする上記付記記載の支持装置。
【0068】
[付記10]
前記スライドヒンジ機構により転回させる前記筐体と前記取付面とのなす角を固定する角度調整部材をさらに備え、
前記一対の支持脚の一方又は両方は、前記筐体を特定の角度で固定する固定溝若しくは固定穴を有する
ことを特徴とする上記付記記載の支持装置。
【0069】
[付記11]
前記一対の固定脚と接続して該一対の固定脚の間隔を、支持する前記電子機器の筐体幅に合わせて段階的に固定する幅調整部材をさらに備え、
該幅調整部材を一対の固定脚に接続することで 前記一対のスライドヒンジ機構を介して一対の固定脚に連結された一対の支持脚の高さを前記電子機器の筐体高さに調整する
ことを特徴とする上記付記記載の支持装置。
【0070】
[付記12]
前記一対のスライドヒンジ機構は少なくとも一方に設ける抑制部材は、転回スライド軸に設けることを特徴とする上記付記記載の支持装置。
【0071】
[付記13]
前記一対のスライドヒンジ機構は少なくとも一方に設ける抑制部材は、スライドレールとヒンジ片との少なくとも一方に、その挟む面に設けることを特徴とする上記付記記載の支持装置。
【0072】
[付記14]
電子機器の筐体に取り付けて該筐体を支持する一対の支持脚と、前記電子機器を設置する取付面に取り付けて該電子機器を設置する場所に固定する一対の固定脚と、の端部相互を、前記一対の固定脚に対して前記一対の支持脚を直立方向に転回可能に 且つ 前記一対の固定脚に対して前記一対の支持脚を水平方向にスライド可能に 連結する一対のスライドヒンジ機構を介して連結して、
前記電子機器を収納状態から転回状態に可変させる際に、前記電子機器を前記一対の固定脚に対して水平方向にスライドさせ、前記電子機器を前記一対の固定脚に対して直立方向に転回させる
ことを特徴とする電子機器の支持装置による支持方法。
【0073】
[付記15]
前記一対のスライドヒンジ機構は少なくとも一方の転回スライド軸に抑制部材を有し、
前記電子機器を収納状態から転回状態に可変させる際に、前記電子機器を前記一対の固定脚に対して水平方向に抑制部材により抑制させながらスライドさせ、前記電子機器を前記一対の固定脚に対して直立方向に転回させる
ことを特徴とする上記付記の電子機器の支持装置による支持方法。
【0074】
[付記16]
前記一対のスライドヒンジ機構は少なくとも一方の スライドレールとヒンジ片との挟む面の少なくとも一方に抑制部材を有し、
前記電子機器を収納状態から転回状態に可変させる際に、前記一対の支持脚と前記一対の固定脚とに転回角度を付けて前記電子機器を前記一対の固定脚に対して水平方向に抑制部材による抑制を除いてからスライドさせ、前記電子機器を前記一対の固定脚に対して直立方向に転回させる
ことを特徴とする上記付記の電子機器の支持装置による支持方法。
【0075】
[付記17]
前記一対のスライドヒンジ機構は少なくとも一方に、スライドレールとヒンジ片とが角度を成すように付勢されたバネヒンジ機構と、該バネヒンジ機構を収納状態で固定するロック機構とを有し、
前記電子機器を収納状態から転回状態に可変させる際に、前記ロック機構を解いて、前記一対の支持脚と前記一対の固定脚とに転回角度を付けて前記電子機器を前記一対の固定脚に対して水平方向にスライドさせ、前記電子機器を前記一対の固定脚に対して直立方向に転回させる
ことを特徴とする上記付記の電子機器の支持装置による支持方法。
【解決手段】支持装置として、電子機器の筐体に取り付けて該筐体を支持する一対の支持脚と、電子機器を設置する取付面に取り付けて該電子機器を設置する場所に固定する一対の固定脚と、一対の支持脚と一対の固定脚との端部相互を、一対の固定脚に対して一対の支持脚を直立方向に転回可能に 且つ 一対の固定脚に対して一対の支持脚を水平方向にスライド可能に 連結する一対のスライドヒンジ機構と、を含めて構成する。