特許第6095147号(P6095147)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6095147
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】積層造形装置
(51)【国際特許分類】
   B22F 3/16 20060101AFI20170306BHJP
   B22F 3/105 20060101ALI20170306BHJP
   B29C 67/00 20170101ALI20170306BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20170306BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20170306BHJP
【FI】
   B22F3/16
   B22F3/105
   B29C67/00
   B33Y30/00
   B33Y50/02
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-138361(P2016-138361)
(22)【出願日】2016年7月13日
【審査請求日】2016年11月22日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000132725
【氏名又は名称】株式会社ソディック
(72)【発明者】
【氏名】村中 勝隆
【審査官】 大塚 徹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−006215(JP,A)
【文献】 特開昭58−058158(JP,A)
【文献】 実開平04−022049(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 3/16
B22F 3/105
B29C 67/00
B33Y 30/00
B33Y 50/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉されたチャンバと、
前記チャンバ内に材料粉体を均一に撒布して形成される材料粉体層上の所定の照射領域にレーザ光を照射して焼結層を形成するレーザ照射装置と、
前記チャンバ内が常時所定濃度以上の不活性ガスで充満されているように前記チャンバに前記不活性ガスを供給するとともにヒュームを前記チャンバの外に排出する不活性ガス給排装置と、を備え、
前記不活性ガス給排装置は、
前記チャンバに前記不活性ガスを供給する不活性ガス供給装置と、
前記ヒュームをプラスまたはマイナスに荷電させる荷電極を有する荷電部と、前記荷電極に付着した前記ヒュームを除去する荷電極清掃手段と、荷電した前記ヒュームを捕集する集塵部とを備えるヒュームコレクタと、を含み、
前記荷電極清掃手段は、造形中において前記レーザ照射装置による前記焼結層の形成が行われていない時に前記ヒュームを除去する、積層造形装置。
【請求項2】
前記造形中において前記レーザ光を照射して前記焼結層を形成する照射工程が行われていない時に所定のタイミングで清掃開始信号を出力可能な制御装置を含み、
前記ヒュームコレクタは、前記清掃開始信号が入力されると前記荷電極清掃手段によって前記荷電極の清掃を開始して次の前記照射工程が始まるまでに完了する、請求項1に記載の積層造形装置。
【請求項3】
前記荷電極清掃手段は、前記荷電極に前記不活性ガスを噴出するノズルと、前記ノズルからの前記不活性ガスの噴出を間歇的に行うよう制御する間歇噴出制御部と、を備える、請求項1または2に記載の積層造形装置。
【請求項4】
前記不活性ガス給排装置は、前記不活性ガス供給装置から供給される前記不活性ガスの供給先を前記チャンバおよび前記ノズルに分岐させる分岐管をさらに備える、請求項3に記載の積層造形装置。
【請求項5】
前記不活性ガス給排装置は、前記不活性ガス供給装置から供給される前記不活性ガスの供給先を前記チャンバまたは前記ノズルのどちらか一方に切り替える切替弁をさらに備える、請求項3に記載の積層造形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、積層造形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ光による粉末焼結積層造形法においては、造形テーブル上に材料粉体を均一に撒布して材料粉体層を形成し、材料粉体層の所定箇所にレーザ光を照射して焼結させることによって焼結層を形成し、この焼結層の上に材料粉体を均一に撒布して新たな材料粉体層を形成し、その新たな材料粉体層にレーザ光を照射して焼結させることによって下の焼結層と接合した新たな焼結層を形成し、そしてこれらを繰り返すことによって、複数の焼結層を積層して一体となる焼結体からなる所望の三次元造形物を形成する。
【0003】
特に、金属材料粉体をレーザ光によって焼結する場合は、材料粉体を変質させないように保護するとともに、所要のエネルギのレーザ光を安定して照射できるようにするために、所定の造形領域の周囲を可能な限り酸素が存在しない状態に維持することが要求される。そのため、レーザ光による金属粉末焼結積層造形法を実施するための積層造形装置は、密閉されたチャンバ内に窒素ガスのような不活性ガスを供給し、チャンバ内において酸素濃度が十分に低い雰囲気下で所定の照射領域にレーザ光を照射することができるように構成されている。
【0004】
また、金属材料粉体にレーザ光を照射して焼結させるときに、金属材料の一部が蒸気になり、ヒュームと称される特有の煙が発生する。ヒュームがチャンバ内に充満すると、レーザ光を遮蔽して、所要のエネルギのレーザ光が焼結部位に届かなくなり、焼結不良が発生するおそれがある。
【0005】
そのため、レーザ光による積層造形法においては、チャンバ内を低酸素雰囲気に維持するとともに、チャンバ内からヒュームを除去する必要がある。特許文献1に開示されるように、チャンバ内に清浄な不活性ガスを供給するとともに、チャンバ内からヒュームを含む不活性ガスを排出する積層造形装置が知られている。また、特許文献1に係る積層造形装置においては、チャンバ外に排出されたヒュームを含む不活性ガスからヒュームを除去し、再度チャンバ内へと返送することでチャンバ内の不活性ガスを循環させている。このようにして、チャンバ内は清浄な不活性ガス雰囲気下に維持されるように構成される。
【0006】
また、不活性ガスからヒュームを除去する装置としては、ヒュームコレクタと呼ばれる電気集塵機が用いられる。一般に電気集塵機はヒュームをはじめとするダストをコロナ放電によってプラスまたはマイナスに荷電させる荷電極を有する荷電部と、荷電したダストをクーロン力によって捕集する集塵部を備える。このような電気集塵機では使用するうちに、徐々に荷電極にもダストが堆積し、正常にコロナ放電が行えなくなる。そのため、定期的に荷電極に堆積したダストの清掃除去を行う必要があり、例えば特許文献2に記載されているように、荷電極にエアブローを行い付着したダストを除去する電気集塵機が公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4131260号公報
【特許文献2】実開平04−022049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
荷電極の清掃を行う際、除去されたダストが一旦舞い上がるため、電極への荷電を中断する必要がある。そのため、荷電極の清掃中は集塵能力が一時的に低下する。このような電気集塵機をヒュームコレクタとして備える積層造形装置においては、焼結層の形成中に荷電極の清掃を行うと、発生したヒュームを十分に除去しきれず造形の品質が低下するおそれがある。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、焼結層の形成が行われていない時に荷電極に付着したヒュームを除去することで、ヒュームコレクタを長時間連続的に稼働させることができるとともに、集塵能力が一時的に低下することによる三次元造形物への影響を最小限にすることができる積層造形装置を提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、密閉されたチャンバと、チャンバ内に材料粉体を均一に撒布して形成される材料粉体層上の所定の照射領域にレーザ光を照射して焼結層を形成するレーザ照射装置と、チャンバ内が常時所定濃度以上の不活性ガスで充満されているようにチャンバに不活性ガスを供給するとともにヒュームをチャンバの外に排出する不活性ガス給排装置と、を備え、不活性ガス給排装置は、チャンバに不活性ガスを供給する不活性ガス供給装置と、ヒュームをプラスまたはマイナスに荷電させる荷電極を有する荷電部と荷電極に付着したヒュームを除去する荷電極清掃手段と荷電したヒュームを捕集する集塵部とを備えるヒュームコレクタと、を含み、荷電極清掃手段は、造形中においてレーザ照射装置による焼結層の形成が行われていない時にヒュームを除去する、積層造形装置を提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る積層造形装置においては、ヒュームコレクタの荷電極に付着したヒュームを除去する荷電極清掃手段を備え、荷電極清掃手段は造形中においてレーザ照射装置による焼結層の形成が行われていない時にヒュームを除去する。そのため、ヒュームコレクタを長時間連続的に稼働させることができるとともに、荷電極の清掃時の集塵能力の低下の影響を最小限にすることができる。


【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態の積層造形装置1の構成図である。
図2図1のD−D矢視断面図であり、前チャンバ11のみを表示している。
図3】リコータヘッド33の斜視図である。
図4】リコータヘッド33の別の角度から見た斜視図である。
図5】ヒュームコレクタ6の詳細を示す構成図である。
図6図5のE−E矢視断面図である。
図7図5のF−F矢視断面図である。
図8】ヒュームコレクタ6の別の実施形態の詳細を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。以下に説明される複数の各構成部材における変形例は、それぞれ任意に組み合わせて実施することができる。
【0014】
図1に示すように、本発明の一実施形態の積層造形装置1は、実質的に密閉されるように構成されたチャンバ10を備える。チャンバ10は、三次元造形物の形成を行う造形室111を有する前チャンバ11と、加工ヘッド駆動装置15の大部分が収容される駆動室131を有する後チャンバ13とに蛇腹17によって仕切られている。造形室111と駆動室131との間には、不活性ガスが通過できるだけのわずかな隙間である連通部19が存在している。
【0015】
加工ヘッド駆動装置15は、造形室111内に配置される加工ヘッド153をY軸方向に移動させるY軸駆動装置152と、Y軸駆動装置152をX軸方向に移動させるX軸駆動装置151で構成される。加工ヘッド153は、不図示のスピンドルヘッドと、スピンドルヘッドをZ軸方向に移動させる不図示のZ軸駆動装置を備える。スピンドルヘッドは、エンドミルなどの切削工具を装着して回転させることができるように構成されている。以上の構成によって、加工ヘッド153は、スピンドルヘッドを造形室111内の任意の位置に移動させて、焼結層に対して切削加工を施すことができるようになっている。この切削工具を用いて、所定数の焼結層が形成される度に、焼結層に対して切削加工を行ってもよい。また、リコータヘッド33が焼結層の隆起部に衝突したときにも、隆起部を除去するために焼結層に対して切削加工を行ってもよい。
【0016】
図2に示すように、前チャンバ11内に粉体層形成装置3が設けられる。粉体層形成装置3は、造形領域Rを有するベース台31と、ベース台31上に配置されかつ水平1軸方向(矢印B方向)に移動可能に構成されたリコータヘッド33を備える。造形領域Rには、上下方向(矢印A方向)に移動可能な造形テーブル39が設けられる。積層造形装置1の使用時には、造形テーブル39上に造形プレート81が配置され、その上に材料粉体層83が形成される。造形領域Rは、造形を行なう作業領域、すなわち材料粉体層83が形成され焼結層を形成することのできる、三次元造形物の生成が可能な最大の領域の全体を示し、実質的に造形テーブル39の上面全面に相当する。
【0017】
リコータヘッド33は、図3および図4に示すように、材料供給装置113から供給される材料粉体を貯留する材料収容部331と、材料収容部331の上面に設けられ材料粉体の受口となる材料供給部332と、材料収容部331の底面に設けられかつ材料収容部331内の材料粉体を吐出する材料吐出部333とを備える。材料吐出部333は、リコータヘッド33の移動方向(矢印B方向)に直交する水平1軸方向(矢印C方向)に延びるスリット形状である。また、リコータヘッド33の両側面には、一対のブレード35,37がそれぞれ設けられる。ブレード35,37は、材料排出部から排出された材料粉体を平坦化して材料粉体層83を形成する。なお、材料粉体は、例えば鉄粉等の金属粉体であり、例えば平均粒径20μmの球形である。
【0018】
前チャンバ11の上方にはレーザ照射装置2が設けられ、レーザ照射装置2から出力されたレーザ光Lは、前チャンバ11に設けられたウィンドウ112を透過して造形領域Rに形成された材料粉体層83の所定の照射領域に照射され、焼結層を形成する。所定の照射領域は、造形領域R内に存在し、所望の三次元造形物の輪郭形状で囲繞される領域とおおよそ一致する。レーザ照射装置2は、造形領域Rにおいてレーザ光Lを二次元走査可能に構成されていればよく、例えば、レーザ光Lを生成するレーザ光源と、レーザ光Lを造形領域Rにおいて二次元走査可能とする一対のガルバノスキャナとを備える。レーザ光Lは、材料粉体を焼結可能なものであればその種類は限定されず、例えば、CO2レーザ、ファイバレーザ、YAGレーザなどである。ウィンドウ112は、レーザ光Lを透過可能な材料で形成される。例えば、レーザ光Lがファイバレーザ又はYAGレーザの場合、ウィンドウ112は石英ガラスで構成可能である。
【0019】
前チャンバ11の上面には、ウィンドウ112を覆うようにヒューム拡散装置41が設けられる。ヒューム拡散装置41は、円筒状の筺体411と、筺体411内に配置された円筒状の拡散部材412を備える。筺体411と拡散部材412の間に不活性ガス供給空間413が設けられる。また、筺体411の底面には、拡散部材412の内側に開口部414が設けられる。拡散部材412には多数の細孔415が設けられており、不活性ガス供給空間413に供給された清浄な不活性ガスは細孔415を通じて清浄室416に充満される。そして、清浄室416に充満された清浄な不活性ガスは、開口部414を通じてヒューム拡散装置41の下方に向かって噴出される。ヒューム拡散装置41は、ウィンドウ112が焼結層の形成時に発生するヒュームによって汚染されることを防止するとともに、レーザ光Lの照射経路を横断しようとするヒュームを照射経路から前チャンバ11の側板方向に排除することを助ける。
【0020】
次に、不活性ガス給排装置4について説明する。不活性ガス給排装置4は、ヒューム拡散装置41と、不活性ガス供給装置43と、ヒュームコレクタ6と、ダクトボックス45,47と、不活性ガスの各供給口511,512,513,514,515および各排出口531,532,533と、各部を接続する配管と、を含む。なお、不活性ガスとは、材料粉体と実質的に反応しないガスであり、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガスなどから材料粉体の種類に応じて適当なものが選択される。
【0021】
本実施形態では、不活性ガスの供給口として、リコータヘッド供給口511、チャンバ供給口512、副供給口513、ヒューム拡散装置供給口514および駆動室供給口515が設けられる。また、不活性ガスの排出口として、チャンバ排出口531、リコータヘッド排出口532および副排出口533が設けられる。
【0022】
リコータヘッド供給口511は、チャンバ排出口531の設置位置に対応してチャンバ排出口531に対面するように設けられる。望ましくは、リコータヘッド供給口511は、リコータヘッド33が材料供給装置113の設置位置に対して所定の照射領域を挟んで反対側に位置しているときにチャンバ排出口531と対面するように、矢印C方向に沿ってリコータヘッド33の片面に設けられる。
【0023】
チャンバ排出口531は、前チャンバ11の側板にリコータヘッド供給口511に対面するように所定の照射領域から所定距離離れて設けられる。また、チャンバ排出口531に接続するように吸引装置534が設けられる。吸引装置534は、レーザ光Lの照射経路からヒュームを効率よく排除することを助ける。また、吸引装置534によって、チャンバ排出口531において、より多くの量のヒュームを排出することができ、造形室111内にヒュームが拡散しにくくなる。
【0024】
チャンバ供給口512は、ベース台31の端上に所定の照射領域を間に置いてチャンバ排出口531に対面するように設けられる。チャンバ供給口512は、リコータヘッド33が所定の照射領域を通過してリコータヘッド供給口511が所定の照射領域を間に置かずにチャンバ排出口531に直面する位置にあるとき、リコータヘッド供給口511からチャンバ供給口512に選択的に切り換えられて開放される。そのため、チャンバ供給口512は、リコータヘッド供給口511から供給される不活性ガスと同じ所定の圧力と流量の不活性ガスをチャンバ排出口531に向けて供給するので、常に同じ方向に不活性ガスの流れを作り出し、安定した焼結を行なえる点で有利である。
【0025】
リコータヘッド排出口532は、リコータヘッド33のリコータヘッド供給口511が設けられている片面に対して反対側の側面に、矢印C方向に沿って設けられる。リコータヘッド供給口511から不活性ガスを供給できないとき、換言すれば、チャンバ供給口512から不活性ガスを供給するときに、所定の照射領域のより近くで不活性ガスの流れを作り出していくらかのヒュームを排出するので、ヒュームをより効率よくレーザ光Lの照射経路から排除することができる。
【0026】
また、チャンバ排出口531に対面するように前チャンバ11の側板に設けられヒュームコレクタ6から送給されるヒュームが除去された清浄な不活性ガスを造形室111に供給する副供給口513と、前チャンバ11の上面に設けられヒューム拡散装置41へ不活性ガスを供給するヒューム拡散装置供給口514と、後チャンバ13に設けられ駆動室131へ不活性ガスを供給する駆動室供給口515と、チャンバ排出口531の上側に設けられ前チャンバ11の上側に残留するヒュームを多く含む不活性ガスを排出する副排出口533と、が設けられる。
【0027】
不活性ガス供給装置43は、窒素などの不活性ガスをチャンバ10へ供給する。実施の形態の不活性ガス供給装置43は、第1不活性ガス供給装置431と、第2不活性ガス供給装置432とからなる。第1不活性ガス供給装置431としては、不活性ガスの濃度を管理可能なものが好ましい。例えば、周囲の空気から窒素ガスを取り出す膜式窒素セパレータを備える装置である。第2不活性ガス供給装置432は、第1不活性ガス供給装置431と同様の構成の装置であってもよいが、照射領域から比較的離れた位置にある供給口と接続され比較的不活性ガス濃度管理の重要性が低いので、不活性ガスの濃度を管理する機能を有していなくてもよい。例えば、窒素ガスボンベである。
【0028】
ヒュームコレクタ6は、例えば、コロナ放電により不活性ガス中のヒュームに電荷を与え、クーロン力によってヒュームを捕集する電気集塵機である。ヒュームコレクタ6の上流側及び下流側にそれぞれダクトボックス45,47が設けられる。前チャンバ11から排出されたヒュームを含む不活性ガスは、ダクトボックス45を通じてヒュームコレクタ6に送られ、ヒュームコレクタ6においてヒュームが除去された清浄な不活性ガスがダクトボックス47を通じて前チャンバ11の副供給口513へ送られる。このような構成により、不活性ガスの再利用が可能になっている。
【0029】
不活性ガス供給系統として、図1および図2に示すように、第1不活性ガス供給装置431と、リコータヘッド供給口511およびチャンバ供給口512とがそれぞれ接続され、第2不活性ガス供給装置432と、ヒューム拡散装置供給口514および駆動室供給口515とがそれぞれ接続される。また、ヒュームコレクタ6と副供給口513とがダクトボックス47を通じて接続される。第1不活性ガス供給装置431および第2不活性ガス供給装置432は、所定の圧力と流量の清浄な不活性ガスをチャンバ10へそれぞれ供給する。後チャンバ13内に供給された不活性ガスは、造形室111と駆動室131との間の連通部19を通じて造形室111内に供給される。
【0030】
ヒューム排出系統として、図1および図2に示すように、チャンバ排出口531、リコータヘッド排出口532および副排出口533とヒュームコレクタ6とがダクトボックス45を通じてそれぞれ接続される。ヒュームコレクタ6においてヒュームが取り除かれた後の清浄な不活性ガスは、前チャンバ11へと返送され再利用される。
【0031】
本実施形態のヒュームコレクタ6は、ヒュームをプラスに荷電させる荷電極631を有する荷電部63と、荷電したヒュームを捕集する集塵部65とが一体に形成された、いわゆる一段式(コットレル式)の乾式電気集塵機である。図5および図6に示す通り、複数枚の正極板652が所定の間隔毎に設けられており、正極板652には針形状の荷電極631がそれぞれ複数本取り付けられている。正極板652および荷電極631は不図示の電圧供給手段によりプラスに荷電することができる。正極板652の各間隔内にはそれぞれ集塵板651が設けられる。集塵板651はアース接続され、また回転可能に構成されている。好適には、ヒュームコレクタ6内部の不活性ガスを効率的に循環させるため、ファンモータ69が設けられる。
【0032】
前チャンバ11から排出されたヒュームを多く含む不浄な不活性ガスは、吸込口61から荷電部63へと送られる。荷電部63における荷電極631は、不活性ガス中のヒュームをコロナ放電によりプラスに荷電させる。プラスに荷電されたヒュームは、集塵部65において、クーロン力によって正極板652に反発するとともに集塵板651へ引き寄せられ捕集される。ヒュームが除去された清浄な不活性ガスは排気口67からダクトボックス47を経由して前チャンバ11へと返送される。
【0033】
以上のようにして不活性ガスからヒュームが除去されるが、荷電極631および集塵板651にヒュームが蓄積する。そのため、ヒュームコレクタ6は、荷電極631および集塵板651に付着したヒュームを除去する手段として、荷電極清掃手段71および集塵板清掃手段73をそれぞれ備える。
【0034】
荷電極清掃手段71は、例えば、荷電極631の上方に設けられたノズル711から荷電極631に不活性ガスを噴出するように構成される。ノズル711から噴出される不活性ガスはチャンバ10に供給される不活性ガスと同種のものであることが望ましい。また、ノズル711と荷電極631および正極板652との間でショートが発生しないように、ノズル711は樹脂等の非伝導性の素材で作られていることが望ましく、また少ないノズル711で広範囲の荷電極631を洗浄できるように構成されることが望ましい。例えば、ノズル711として、図5および図7において破線矢印で示したように荷電極631全体を覆うように不活性ガスを扇状に噴出する扇形ノズルが用いられる。
【0035】
好ましくは、荷電極清掃手段71は、ノズル711からの不活性ガスの噴出を間歇的に行うよう制御する間歇噴出制御部712をさらに備える。不活性ガスの噴出を間歇的にすることで、連続噴射時と比較して多い流量の不活性ガスを断続的に荷電極631へ噴射することができ、清掃効率が向上する。また、清掃に用いる不活性ガスを節約することができる。
【0036】
また、好ましくは、不活性ガス給排装置4は、不活性ガス供給装置43から供給される不活性ガスの供給先をチャンバ10およびノズル711に分岐させる分岐管49をさらに備える。本実施形態においては、具体的には図1および図2に示すように、第1不活性ガス供給装置431とリコータヘッド供給口511およびチャンバ供給口512との間に分岐管49が設けられる。このようにすれば、荷電極631の清掃のために不活性ガス供給装置を別途設ける必要がなく、コストを削減できる。
【0037】
集塵板清掃手段73は、例えば、図5および図6に示すように集塵板651の側面に近接または隣接するように設けられた板状のスクレーパ731からなる。集塵板651の清掃にあたっては、集塵板651が不図示のモータで回転して、付着していたヒュームがスクレーパ731によって掻き取られる。
【0038】
荷電極清掃手段71および集塵板清掃手段73によって除去されたヒュームは、荷電極631および集塵板651の下方に設けられたバケット75へと落下する。
【0039】
ここで、本実施形態の積層造形装置1における積層造形方法について説明する。まず、造形テーブル39上に造形プレート81を載置し、造形テーブル39の高さを適切な位置に調整する。この状態で、リコータヘッド33を矢印B方向に造形領域Rの左側から右側に移動させ、造形プレート81上に所定厚の材料粉体層83を形成する。次に、材料粉体層83中の所定の照射領域にレーザ光Lを照射し焼結させることによって、1層目の焼結層を得る。同様に、造形テーブル39の高さを材料粉体層83の1層分下げ、リコータヘッド33を造形領域Rの右側から左側に移動させることによって、1層目の焼結層を覆うように造形テーブル39上に所定厚の材料粉体層83を形成する。次に、材料粉体層83中の所定の照射領域にレーザ光Lを照射し焼結させることによって、2層目の焼結層を得る。以上の工程を繰り返すことによって、3層目以降の焼結層が順次形成される。上下に隣接する焼結層は、互いに強く固着される。
【0040】
また、所定数の焼結層が形成される度に、焼結層に対して切削加工を行ってもよい。また、リコータヘッド33が焼結層の隆起部に衝突したときにも、隆起部を除去するために焼結層に対して切削加工を行ってもよい。
【0041】
すなわち、積層造形の工程は、造形テーブル39を降下させリコータヘッド33を移動させて材料粉体層83を形成するリコート工程、材料粉体層83にレーザ光Lを照射させて焼結層を形成する照射工程、焼結層に対して切削加工を行う切削工程に大別される。当然ながら、ヒュームが新たに発生するのは照射工程の時である。
【0042】
なお、積層造形装置1の不図示の制御装置はタイマを備え、レーザ光Lを照射している時間を計測している。照射時間が任意に定められた設定値を経過した後に、次のリコート工程または切削工程が開始した時点でヒュームコレクタ6へ清掃開始信号を出力する。
【0043】
一方で、ヒュームコレクタ6は造形中は基本的には不活性ガスからのヒューム除去を行っているが、積層造形装置1の制御装置からの清掃開始信号が入力されると荷電極631および集塵板651の清掃を開始する。
【0044】
具体的には、まず正極板652および荷電極631への荷電とファンモータ69の回転が停止される。次に、荷電極清掃手段71および集塵板清掃手段73により、前述の方法でそれぞれ荷電極631および集塵板651に付着したヒュームが除去される。そして再び正極板652および荷電極631への荷電とファンモータ69の回転が再開されるとともに、タイマの計測値が0に戻される。以上の清掃工程は、次の照射工程が始まるまでに完了する。
【0045】
以上のような積層造形装置1によれば、造形の品質や時間に影響を与えずに、ヒュームコレクタ6の連続稼働時間を延ばすことが可能である。
【0046】
なお、図8に示すように、ヒュームコレクタ6は荷電部63と集塵部65がそれぞれ別個に設けられた、いわゆる二段式(ペニー式)であってもよい。すなわち、本変形例でのヒュームコレクタ6は、プラスに荷電された針形状の荷電極631とアース接続された対向電極632とが対向配置されている荷電部63と、プラスに荷電された正極板652とアース接続された集塵板651とが交互に設けられる集塵部65とを備える。なお、図8においては、上記実施形態で示した構成と同様の構成部分については同一の符号を付与している。
【0047】
また、針形状の荷電極631の代わりに金属細線やブラシ状の電極を用いてもよい。また、荷電極631によってヒュームにマイナスの荷電を行うよう構成してもよい。
【0048】
また、荷電極清掃手段71は他の構成であってもよい。例えば、本実施形態ではノズル711として不活性ガスを扇状に噴出する扇形ノズルを使用したが、荷電極631の列ごとにそれぞれの上方に、不活性ガスを荷電極631に向かって直線的に噴出するノズル711を設けてもよい。
【0049】
また、集塵板清掃手段73は他の構成であってもよい。例えば、本実施形態の荷電極清掃手段71のようにノズル711からの不活性ガスの噴出によって清掃を行うよう構成してもよいし、槌打装置等で集塵板651に振動を与えて清掃を行うよう構成してもよい。ヒュームコレクタ6が湿式電気集塵機である場合は、水等の洗浄液の噴射により清掃を行うよう構成してもよい。
【0050】
また、不活性ガス給排装置4は、分岐管49に代えて、不活性ガス供給装置43から供給される不活性ガスの供給先をチャンバ10またはノズル711のどちらか一方に切り替える切替弁を備えてもよい。前述したように、荷電極631の清掃は焼結層の形成が行われていない時に行われる。そのため、荷電極631の清掃中はチャンバ10、特に照射領域近辺に不活性ガスを供給する必要性が低く、不活性ガス供給装置43の不活性ガスの供給先をノズル711に切り替えることができる。このようにすれば、不活性ガス供給装置43の不活性ガスの供給量が比較的少なくても、荷電極631の清掃にあたって十分な流量を確保することができる。
【0051】
また、本実施形態ではリコート工程または切削工程時に清掃工程を実施したが、照射工程と清掃工程が同時に行われないのであれば他の構成でもよい。例えば、リコート工程の時のみ清掃工程を行うよう構成し、切削工程時には清掃工程を行わずヒュームの回収を維持するよう構成してもよい。
【0052】
また、不活性ガス供給装置43は1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。また、チャンバ10に設けられた不活性ガスの供排出口の数および位置は、チャンバ10内が所定濃度の不活性ガスで満たされヒュームが適切に排出される限りにおいて、実施形態の通りでなくてもよい。
【0053】
本発明は、すでにいくつかの例が具体的に示されているように、図面に示される実施形態の構成に限定されず、本発明の技術思想を逸脱しない範囲で種々の変形または応用が可能である。
【符号の説明】
【0054】
1 積層造形装置
2 レーザ照射装置
4 不活性ガス給排装置
6 ヒュームコレクタ
10 チャンバ
43 不活性ガス供給装置
49 分岐管
63 荷電部
65 集塵部
71 荷電極清掃手段
83 材料粉体層
631 荷電極
711 ノズル
712 間歇噴出制御部
L レーザ光
【要約】      (修正有)
【課題】ヒュームコレクタを長時間連続的に稼働させることができるとともに、三次元造形物への影響を最小限にする積層造形装置の提供。
【解決手段】不活性ガス給排装置は、チャンバに不活性ガスを供給する不活性ガス供給装置と、ヒュームをプラスまたはマイナスに荷電させる荷電極631を有する荷電部63と荷電極631に付着したヒュームを除去する荷電極清掃手段71と荷電したヒュームを捕集する集塵部65とを備えるヒュームコレクタ6と、を含み、荷電極清掃手段71は、レーザ照射装置による焼結層の形成が行われていない時にヒュームを除去する、積層造形装置。
【選択図】図5
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8