(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6095158
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】容器の蓋開け具
(51)【国際特許分類】
B67B 7/18 20060101AFI20170306BHJP
【FI】
B67B7/18
【請求項の数】1
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-29526(P2013-29526)
(22)【出願日】2013年2月18日
(65)【公開番号】特開2014-156278(P2014-156278A)
(43)【公開日】2014年8月28日
【審査請求日】2016年2月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001454
【氏名又は名称】株式会社貝印刃物開発センター
(74)【代理人】
【識別番号】100098109
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 浩平
(72)【発明者】
【氏名】小林 文雄
【審査官】
矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−088642(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3142714(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3101334(JP,U)
【文献】
特開平10−147398(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67B 7/00− 7/92
B67B 1/00− 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直接的に結合された上部材と下部材、及びそれらの部材に対して両部材の間で可動に挟持された可動部材を含み、
容器の蓋を下側から挿入させる蓋受容部を有し、下部材には、この蓋受容部の開口部が形成され、複数の爪部材が、上部材と下部材の間に取り付けられており、
各爪部材は、上下方向に延びる回転軸線を中心に所定の範囲内で回転可能であり、蓋を緩めるように可動部材に力を加えたときに、その力を爪部材に伝えて爪部材を回転させることにより、爪部材の爪端を蓋の外周面に圧接させるための機構を有し、
容器の蓋を蓋受容部に挿入する際に、当初は、蓋の外周面から距離を置いて該外周面の周囲に位置している爪端が、蓋受容部に挿入されつつある蓋からの反力によって、蓋の外周面に接触するまで移動させる手段を備えており、
その手段は、爪部材に形成された突出部であって、該突出部は、爪部材の回転軸線から爪端に引いた直線方向と異なる方向へ突出するように形成され、突出部は、蓋受容部に挿入された蓋の方向を向く外周面を有し、該外周面は、突出部がその下面から上面に行くに従って徐々に外周面の外周を広げるように、突出部の下面から上面に行くに従って徐々に外側に広がる傾斜面に形成されていることを特徴とする蓋開け具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に一般家庭で使用される手動のペットボトル等の容器の蓋開け具に関する。
【背景技術】
【0002】
容器の蓋を容易に開けるための蓋開け具であって、複数の爪部材が蓋受容部領域に突出して蓋の外周面を圧接し、その圧接の摩擦力等によって蓋を緩めて取り外す蓋開け具は、例えば、特開2003−137393号公報に開示されている。ここに記載されている蓋開け具は、上部材である握り部と、可動部材である把持基台の2つの部材から成り、この点で3つの部材から成る本発明と異なっている。この文献の爪部材である挟持材は、その一端が把持基台に支軸により回動可能に軸支されている。そして、この文献の明細書及び図面の記載では、握り部の下端部には凹部が形成されており、把持基台の上部には凸部が形成され、これら凹部と凸部とが互いに摺動自在に嵌合している。したがって、握り部と蓋把持部の把持基台とは、離脱することなく互いに摺動可能である、という内容の記載がある。確かに、握り部と蓋把持部の把持基台とは、凹凸の関係で結合されているので離脱することなく互いに摺動可能であるが、このように、凸部が形成された握り部と凹部が形成された蓋把持部とを嵌合させるための構成について記載がない。図面から判断すれば、握り部と把持基台とを硬質樹脂で変形不能に形成したときに、凹部と凸部とを嵌合させることは不可能である。仮に、把持基台を変形可能なやや柔軟性を有する合成樹脂で形成すれば嵌合は可能である。しかし、柔軟性を有する合成樹脂は摩擦係数が大きいので、握り部に嵌合している把持基台を容易に回転させることができない。また、容器の蓋の外周面に圧接させた挟持材の反力によって、柔軟性を有する把持基台が押されて変形し、操作中に握り部から外れる虞もある。また、凸部を複数の周方向に短い凸部にするなどして凹部に嵌合できることも考えられるが、そのようにすると、嵌合が容易に外れてしまうことになる。
【0003】
特許文献1についてさらに言えば、この文献の
図1に記載された第一実施例は、把持基台と挟持材と押圧棒の3つのリンクからなる三節回転機構であり、このような機構は拘束連鎖と呼ばれ、各リンク間の相対運動は不可能である。したがって、
図1に記載された挟持材は固定されており、蓋に接近することができず、実施不能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−137393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、爪部材の動きを円滑にして、爪部材の爪端を容器の蓋に迅速に圧接させ、蓋を確実に回転させ取り外すことができる手動式の蓋開け具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、直接的に結合された上部材と下部材、及びそれらの部材に対して両部材の間で可動に挟持された可動部材を含み、容器の蓋を下側から挿入させる蓋受容部を有し、下部材には、この蓋受容部の開口部が形成され、複数の爪部材が、上部材と下部材の間に取り付けられており、
各爪部材は、上下方向に延びる回転軸線を中心に所定の範囲内で回転可能であり、蓋を緩めるように可動部材に力を加えたときに、その力を爪部材に伝えて
爪部材を回転させることにより、爪部材の爪端を蓋の外周面に圧接させるための機構を有し、
容器の蓋を蓋受容部に挿入する際に、当初は、蓋の外周面から距離を置いて該外周面の周囲に位置している爪端が、蓋受容部に挿入されつつある蓋からの反力によって、蓋の外周面に接触するまで移動させる手段を備えており、その手段は、爪部材に形成された突出部であって、該突出部は、爪部材の回転軸線から爪端に引いた直線方向と異なる方向へ突出するように形成され、突出部は、蓋受容部に挿入された蓋の方向を向く外周面を有し、該外周面は、突出部がその下面から上面に行くに従って徐々に外周面の外周を広げるように、突出部の下面から上面に行くに従って徐々に外側に広がる傾斜面に形成されている構成である。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、直接的に結合された上部材と下部材、及びそれらの部材に対して両部材の間で可動に挟持された可動部材を含み、容器の蓋を下側から挿入させる蓋受容部を有し、下部材には、この蓋受容部の開口部が形成され、複数の爪部材が、上部材と下部材の間に取り付けられており、各爪部材は、上下方向に延びる回転軸線を中心に所定の範囲内で回転可能であり、蓋を緩めるように可動部材に力を加えたときに、その力を爪部材に伝えて爪部材を回転させることにより、爪部材の爪端を蓋の外周面に圧接させるための機構を有し、容器の蓋を蓋受容部に挿入する際に、当初は、蓋の外周面から距離を置いて該外周面の周囲に位置している爪端が、蓋受容部に挿入されつつある蓋からの反力によって、蓋の外周面に接触するまで移動させる手段を備えている。これに対して、特許文献1の特開2003−137393号公報の明細書の段落「0013」には、「上記蓋開閉補助具1を、まず容器の蓋8に覆い被せるように合わせる。そして、蓋8を開く方向、即ち
図1において把持基台4を固定しながら反時計方向に握り部2を回動すると、上記挟持材5が押圧棒6に押され、該挟持材5は支軸7を中心として
図1中矢印で示す方向に回動し、容器の蓋8に当接する。そして、該挟持材5は、容器の蓋8を押圧して、該蓋8を強固に把持することになる。」と記載されており、まず、把持基台を固定しながら握り部を回転させて、挟持材を容器の蓋に当接する必要がある。請求項8に記載の発明は、容器の蓋を蓋受容部に挿入する際に、当初は、蓋の外周面から距離を置いて該外周面の周囲に位置している爪端が、蓋受容部に挿入されつつある蓋からの反力によって、蓋の外周面に接触するまで移動させる手段を備えている。したがって、蓋を蓋受容部に挿入するときに、自動的に爪部材の爪端が蓋の外周面に当接するので、手で可動部材を回転させて爪部材の爪端を容器の外周面に近づけなくても、自動的に近づくので、特許文献1に比べてはるかに扱いに便利である。この結果、蓋を蓋受容部に挿入して、そのまま可動部材を回転させれば上下部材も一緒に回転しながら蓋を開けることができるのである。したがって、請求項7に記載の発明のように、上部材の頂面当接部に上部材よりも摩擦係数の大きな滑り止めを設けることなく、蓋開け具が空回りすることなく確実に蓋を開けることができる。そればかりか、容器の蓋の頂面を上部材の頂面当接部に宛がわなくても蓋を開けることができる。さらには、上部材に頂面当接部がなくても蓋を開けることができる。
【0008】
さらに、爪端が、蓋受容部に挿入されつつある蓋からの反力によって、蓋の外周面に接触するまで移動させる手段
を備えており、その手段は、爪部材に形成された突出部であって、
その突出部は、爪部材の回転軸線から爪端に引いた直線方向と異なる方向へ突出するように形成され、突出部は、蓋受容部に挿入された蓋の方向を向く外周面を有し、
その外周面は、突出部がその下面から上面に行くに従って徐々に外周面の外周を広げるように、突出部の下面から上面に行くに従って徐々に外側に広がる傾斜面に形成されている。したがって、蓋開け具の使用前に、爪部材の爪端は蓋受容部内に突出させず引っ込めておき、爪部材の突出部を蓋受容部内に突出させておくと、蓋を開ける場合に、蓋を蓋受容部に挿入したときに、蓋の頂面の縁は、最初に突出部の外周面に当たる。ここで、外周面は、突出部の下面から上面に行くに従って徐々に外側に広がる傾斜面に形成されているから、さらに蓋開け具を蓋に押し付けると、外周面に当たった蓋の頂面の縁が外周面上を滑りながら、各突出部を外側に押し広げるので爪部材が回転する。そして、これに対応して、引っ込んでいた爪端が蓋の外周面に近づくように移動し、蓋の外周面に押し当たる。この状態から上部材と下部材と可動部材を同時に回転させれば、すでに、爪端は蓋の外周面に押し当たっているので、蓋開け具は空回りすることなく、その爪端が蓋の外周面に確実に圧接して蓋を回転させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明を上下引っ繰り返して見た斜視図である。
【
図2】
図2は、磁石板を取り外した状態の本発明を上下引っ繰り返して見た斜視図である。
【
図3】
図3は、下部材を取り外した状態の本発明を上下引っ繰り返して見た斜視図である。
【
図4】
図4は、下部材及び爪部材を取り外した状態の本発明を上下引っ繰り返して見た斜視図である。
【
図5】
図5は、上部材を上下引っ繰り返して見た斜視図である。
【
図6】
図6は、下部材を上側から見た斜視図である。
【
図8】
図8は、本発明を上側から見た斜視図である。
【
図9】
図9は、本発明の内部機構を示すために可動部材を水平方向に切った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
蓋開け具1は、上部材2と下部材3との間に、可動部材4を回転可能に挟持させた構成である。上部材2と下部材3は、
図9に示すように3つの結合ネジ5,5,5により直接的に結合されている。
【0011】
図8に示すように、上部材2は、円形をなし、その上面部6の表面が凸面状に形成されている。これは、蓋を開けるときに、上面部6の表面に宛がった手の平をフィットさせるためである。
図5に示すように、上部材2の内部には環状壁7が形成され、その環状壁7によって蓋を挿入させるための蓋受容部8が形成される。蓋受容部8の内部中央に凹部9が形成され、その凹部9付近から3つの突条10,10,10が放射状に環状壁7まで延びている。これらの突条10,10,10が、蓋受容部8に挿入された蓋の頂面を当接させる頂面当接部15,15,15を構成する。頂面当接部を一平面に形成してもよいが、3つの突条10,10,10により構成される複数の頂面当接部15,15,15とした理由は、次の通りである。すなわち、仮に頂面当接部15を平面状に形成すると、蓋の頂面に上部材2の頂面当接部を宛がって蓋を開く方向に回転させようとしたときに、平面状の頂面当接部と蓋の平面状の頂面との接触では滑り易いので、可動部材4と上部材2とが最初から同じ角速度で一緒に回転してしまう虞がある。その場合、
図3から明らかな通り、爪部材13,13,13が上部材2,3に対して相対的に回転しないから、各爪部材13の爪端14が蓋の外周面に圧接せず、蓋開け具1が空回りするのである。したがって、蓋開け具1の空回りを防止するためには、容器の蓋を開けるときに、まず、上部材2が回転する前に一瞬でも早く可動部材4を回転させることが必要である。そこで、頂面当接部15,15,15を3つの突条10,10,10で形成することによって、蓋開け具1を回転させたときに、各突条10が蓋の頂面に引っ掛かるように作用し、上部材2が回転を始める前に、可動部材4が先に回転を開始し、それにより各爪部材13を回転させ、爪端14を蓋の外周面に圧接させることにより蓋を開けることができるのである。突条10に代えて、エラストマー樹脂のように柔軟性を有し摩擦力の大きな滑り止めを、上部材2の前記凹部9に嵌め込んで固定したり、接着剤で接着したりしてもよい。
【0012】
図5に示すように、上部材2の環状壁7の周囲には、3つのネジ孔16,16,16が形成されている。それぞれのネジ孔16に結合ネジ5をねじ込むことにより、後述するように上部材2と下部材3が直接的に結合される。また、環状壁7の周囲には、上部材2の周方向に延びる3つの弧状ガイド溝17,17,17が形成されている。これらのガイド溝17は、後述するように、可動部材4の上部材2に対する回転をガイドし、回転を一定の範囲内に限定するためのものである。さらに、環状壁7の周囲には、3つの軸受21,21,21が形成されている。これらの軸受21は、後述するように、爪部材13を回転可能に支承するためのものである。
【0013】
図6に示すように、下部材3は、上部材2と同じ大きさの円形に形成され、中央に開口部18が形成されている。この開口部18が、蓋受容部8の入口となる開口部である。開口部18の周囲に、円筒状に突出する3つのネジ孔部20,20,20が形成され、それぞれネジ孔24,24,24を有する。各ネジ孔部20が突出している理由は、各ネジ孔部20の端部が、上部材2の各ネジ孔16の周囲に形成された各受け溝19に嵌入することにより、上部材2と下部材3の間隔を一定に保つためである。前述したように、上部材2の環状壁7の周囲には、3つのネジ孔16,16,16が形成されている。そこで、上部材2のネジ孔16と下部材3のネジ孔24の位置を合せて上部材2と下部材3を対向させ、そこに結合ネジ5をねじ込むことにより、上部材2と下部材3が直接的に結合される。なお、
図2に示すように、結合ネジ5をねじ込んだだけでは、そのネジ頭11が露出するので、
図1に示すように、磁石板12,12,12を取り付けて、ネジ頭11を覆うことが好ましい。また、磁石板12を取り付けることにより、蓋開け具1を冷蔵庫の扉などに吸着させておくことができる。
【0014】
下部材3の開口部18の周囲には、上部材2の3つのガイド溝17,17,17と対をなすように形成された3つの弧状ガイド溝22,22,22が形成されている。これらのガイド溝22は、上部材2のガイド溝17と協働して、可動部材4の回転をガイドし、回転を一定の範囲内に限定する。さらに、開口部18の周囲には、上部材2の3つの軸受21,21,21と対をなすように形成された軸受23,23,23が形成されている。これらの軸受23は、上部材の軸受21と協働して爪部材13を回転可能に上下両側で支承する。爪部材13の爪端14を蓋の外周面に圧接させるためには、爪部材13を回転させることが必要であるが、爪部材13が上下両側で支承されているので、爪部材13は無駄な動きをすることがなく円滑な回転を得ることができる。
【0015】
図7に示すように、可動部材4は、その外周面30が、交互に並ぶ6つの凸部31及び凹部32により波状をなしている。指を凹部32にフィットさせることにより、可動部材4を回転させるときに指が滑ることがない。また、可動部材4の内周縁33の大きさは、
図5に示す上部材2の内周縁35及び
図6に示す下部材3の内周縁36と等しい。また、可動部材4の内周面34の3カ所に内歯車状歯部37,37,37が形成され、内周面34に沿って周方向に並ぶ内歯車状歯部37,37,37の間の各区間に、垂直に突出する3つの突起38,38,38がそれぞれ形成されている。これら3つの突起は、可動部材4の下側面にも対称的に形成されている(図示せず。)。突起38,38,38は、可動部材4自体の回転をガイドさせ、回転を一定の範囲内に限定させるためのものである。前述したように、上部材2の環状壁7の周囲には、上部材2の周方向に延びる3つのガイド溝17,17,17が形成されている。同じく、下部材3の開口部18の周囲には、上部材2の3つのガイド溝17,17,17と対をなすように形成された3つのガイド溝22,22,22が形成されている。上部材2と下部材3が、可動部材4を挟持した状態で結合されたときに、上側のガイド溝17,17,17と下側のガイド溝22,22,22とが対向し、それら対向するガイド溝17とガイド溝22とに可動部材の突起38が係合する。これにより、可動部材4の突起38がガイド溝17とガイド溝22に沿ってスライドしながら、可動部材4は回転する。このように、可動部材4は、回転可能に上部材2と下部材3との間に挟持される。
【0016】
図10に示すように、爪部材13は、肉厚に形成されており、その周囲の一方の側に外歯車状歯部26が形成されている。また、他方の側に、爪端14と突出部27が形成されている。爪部材13の上面28に支軸25が形成され、
図11に示すように、爪部材13の下面にも同じように支軸29が形成されている。爪部材13は、上部材2、下部材3、可動部材4と共にプラスチックで形成されているが、他の材料、例えば金属などでもよい。なお、爪部材13には、外歯車状歯部26が形成されており、可動部材4には、内歯車状歯部37が形成されていて互いが噛み合って回転するので、これらの部材にはエンジニアリングプラスチックなどの強度や耐摩耗性に優れた材料を使用することが好ましい。
【0017】
前述したように、上部材2の環状壁7の周囲には、3つ軸受21,21,21が形成され、下部材3の開口部18の周囲には、上部材2の軸受21,21,21と対をなすように形成された軸受23,23,23が形成されている。爪部材13は、その上側の支軸25を上部材2の軸受21に係合させ、下側の支軸29を下部材3の軸受23に係合させ、外歯車状歯部26と、可動部材4の内歯車状歯部37を噛み合わせて、上部材2と下部材3の間に上下両側から支持されて挟持される。これにより、爪部材13は、支軸25,29を中心に回転可能である。
図9は、爪部材13の外歯車状歯部26と可動部材4の内歯車状歯部37の噛み合わせ状態を示す図であるが、ここで明らかなように、爪部材13を回転させるためには、下部材3に対して相対的に可動部材4を回転させる。そうすると、可動部材4と共に内歯車状歯部37が回転し、この内歯車状歯部37と噛み合っている爪部材13の外歯車状歯部26により、可動部材4の回転が爪部材13に伝えられて、爪部材13は回転する。このとき、常に内歯車状歯部37と外歯車状歯部26とは噛み合っていることが好ましい。そうでないと、可動部材4の回転が爪部材13に即座に伝わらないからである。また、仮に、可動部材4が下部材3に対して制限なく回転可能であると、内歯車状歯部37と外歯車状歯部26とが噛み合わない状態が生じる。この状態では、容器の蓋を開けることができないので、可動部材4の回転範囲は、内歯車状歯部37と外歯車状歯部26とが噛み合っている範囲内にあることが好ましい。このために、前述したように、下部材3の開口部18の周囲に、上部材2の3つのガイド溝17,17,17と対をなすように3つのガイド溝22,22,22が形成されている。すなわち、上部材2と下部材3が、可動部材4を挟持した状態で結合されたときに、上側のガイド溝17,17,17と下側のガイド溝22,22,22とが対向し、それら対向するガイド溝17とガイド溝22とに可動部材4の上下の突起38(一方は図示せず。)が係合する。この係合により、可動部材4は360°自由に回転することのないようにして、可動部材4の回転を、内歯車状歯部37と外歯車状歯部26とが噛み合っている範囲内に限定しているのである。可動部材4の回転可能範囲は、好ましくは60°以下で、最も好ましいのは40°以下である。
【0018】
図10から明らかなように、爪部材13の外歯車状歯部26は爪部材13の周囲の一部に形成され、その歯42の数は4であるが、仮に、この歯42を爪部材13の全周に設けたとすると、その歯の数はせいぜい10である。これに対して、
図7に示すように、可動部材4の各内歯車状歯部37が有する歯43の数は5であるが、仮に、この歯43を可動部材4の内周面33の全周に設けたとすれば、その数は40以上になることは
図7を見れば明らかである。そうすると、可動部材4を回転させたときに、その回転に従って回転する爪部材13の回転角度は、両歯部のギア比により可動部材4の回転角度の少なくとも4倍の角度になる。したがって、容器の蓋を開けるときに、可動部材4を上下部材2,3に対してわずかに回転させるだけで、爪部材13はその4倍以上の大きな角度の回転となり、引っ込んでいた爪端14は即座に蓋の外周面を圧接するので、蓋開け具1が空回りすることを有効に防止することができる。
【0019】
前述したように、爪部材13には突出部27が形成されている。この突出部27は、爪部材13の回転軸線から爪端14に引いた直線方向と異なる方向へ突出するように形成されている。突出方向は、
図10に示すように回転軸線から爪端14に引いた直線方向と反対方向であることが好ましい。突出部27は外周面39を有し、突出部27がその下面40から上面41に行くに従って徐々に外周面39の外周を広げて大きくなるように、外周面39は、突出部27の下面40から上面41に行くに従って徐々に広がる傾斜面に形成されている。この突出部27の上方に行くに従って広がる外周面39は、以下に述べるように蓋開け時に優れた効果を発揮する。
【0020】
図9に示すように、蓋開け具1の使用前には、爪部材13の爪端14は下部材3の開口部18から蓋受容部8内に突出せず、突出部27が突出している。蓋を開ける場合に、蓋を蓋受容部18に挿入したときに、蓋の頂面の縁は、最初に突出部27の外周面39に当たる。ここで、外周面39は、下面から上面に行くに従って徐々に外側に広がる傾斜面に形成されているから、蓋開け具1をさらに蓋の頂面に押し付けると、外周面39に当たっている蓋の頂面の縁が、外周面39上を滑りながら上昇し、各突出部27を外側に押し広げる。そして、これに対応して、爪部材13が回転し、引っ込んでいた爪端14が蓋受容部8の方向に移動し、蓋の外周面に押し当たる。この時点で、蓋開け具1を手の平全体でしっかり掴んで蓋開け具1を回転させれば、すでに、爪端14は蓋の外周面に押し当たっているので、蓋開け具1は空回りすることなく、爪端14が蓋の外周面に確実に圧接して蓋を回転させることができる。なお、このような効果を確実に発揮させるためには、爪部材13の肉厚を厚めに形成することが好ましい。爪部材13の肉厚が薄いと、容器の蓋による突出部27の外側への押し広げが不十分になり、蓋開け具が空回りする虞があるからである。
【産業上の利用可能性】
【0021】
上部材2と下部材3の間に挟持された爪部材13の動きを円滑にして、爪部材13の爪端14を容器の蓋に迅速に圧接させ、蓋を確実に回転させ取り外すことができる。
【符号の説明】
【0022】
1 蓋開け具、 2 上部材、 3 下部材、 4 可動部材、 5 結合ネジ、 6 上部材の上面部、 7 環状壁、 8 蓋受容部、 9 凹部、 10 突条、 11 ネジ頭、 12 磁石板、 13 爪部材、 14 爪端、 15 頂面当接部、 16 ネジ孔、 17 ガイド溝、 18 開口部、 19 受け溝、 20 ネジ孔部、 21 軸受、 22 ガイド溝、 23 軸受、 24 ネジ孔、 25 支軸、 26 外歯車状歯部、 27 突出部、 28 爪部材の上面、 29 支軸、 30 可動部材の外周面、 31 凸部、 32 凹部、 33 可動部材の内周縁、 34 可動部材の内周面、 35 上部材の内周縁、 36 下部材の内周縁、 37 内歯車状歯部、 38 突起、 39 突出部の外周面、 40 突出部の下面、 41 突出部の上面、 42 歯、 43 歯