特許第6095175号(P6095175)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6095175
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】受動イコライザ
(51)【国際特許分類】
   H03H 7/01 20060101AFI20170306BHJP
   H04L 25/03 20060101ALI20170306BHJP
   H04L 25/02 20060101ALI20170306BHJP
【FI】
   H03H7/01 D
   H04L25/03 C
   H04L25/02 V
【請求項の数】14
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2014-551747(P2014-551747)
(86)(22)【出願日】2012年12月10日
(86)【国際出願番号】JP2012081906
(87)【国際公開番号】WO2014091534
(87)【国際公開日】20140619
【審査請求日】2015年11月16日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成23年度(補正予算事業)経済産業省「戦略的基盤技術高度化支援事業(28Gビット/s電気伝送における放射ノイズ防止と伝送距離延長を同時に実現する振幅補正機能付きコモンモードフィルタの開発)」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)
(73)【特許権者】
【識別番号】511016073
【氏名又は名称】松江エルメック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085578
【弁理士】
【氏名又は名称】斎藤 美晴
(72)【発明者】
【氏名】亀谷 雅明
【審査官】 白井 亮
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−229791(JP,A)
【文献】 特開2009−055284(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H 7/01
H04L 25/02
H04L 25/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層の片面に形成され、一端が信号入力位置となり、他端が第1の終端抵抗に接続された第1のミアンダ線路と、
前記誘電体層を介して前記第1のミアンダ線路と対面する側に前記第1のミアンダ線路に沿うとともにこれと対面するよう形成された第2のミアンダ線路であって、その一端が前記第1のミアンダ線路の他端側に位置して信号出力位置となり、他端が第2の終端抵抗に接続された第2のミアンダ線路と、
この第2のミアンダ線路の形成面と間隔を置いて対面する面に形成され、一端が前記信号入力位置となるとともに他端が前記信号出力位置となり、少なくとも1箇所が途中で分断された第1の導線路と、
この第1の導線路の分断区間を結ぶように直列接続された第1の直列抵抗と、
を具備することを特徴とする受動イコライザ。
【請求項2】
前記第1および第2のミアンダ線路は、これらの前記信号入力位置と前記信号出力位置との間の中間を横切る仮想の中間線に一部の折れ曲がり線路が重なるような折り返し周期を有し、前記中間線に対し互いの間で線対称となるよう同一形状で形成された請求項1記載の受動イコライザ。
【請求項3】
前記第1の導線路はミアンダ線路である請求項1又は2記載の受動イコライザ。
【請求項4】
前記第1の導線路の形成面と間隔を置いて対面する形成面に前記第1の導線路に沿ってこれに対面するよう形成され、一端が前記信号入力位置となるとともに他端が前記信号出力位置となり、少なくとも1箇所が途中で分断された第2の導線路と、
この第2の導線路の分断区間を結ぶように直列接続された第2の直列抵抗と、
を具備する請求項1〜3いずれか1記載の受動イコライザ。
【請求項5】
前記第1および第2の導線路の分断区間は、前記中間線から互いに離れた位置に形成された請求項4記載の受動イコライザ。
【請求項6】
前記第2の導線路はミアンダ線路である請求項4又は5記載の受動イコライザ。
【請求項7】
前記第1および第2の導線路は、前記中間線に対し互いの間で線対称となるよう同一形状で形成された請求項4又は5記載の受動イコライザ。
【請求項8】
前記請求項1において、
前記誘電体層にあって前記第1のミアンダ線路の形成面にて、前記第1のミアンダ線路に対して差動伝送路対として線対称な形状で形成され、一端が前記信号入力位置とは差動逆極性となる逆相信号入力位置となり、他端が前記第1の終端抵抗と同じ形成面に形成された第3の終端抵抗の一端に接続された第3のミアンダ線路と、
前記第2のミアンダ線路の形成面にて、前記第2のミアンダ線路に対して差動伝送路対として線対称な形状で形成され、前記第3のミアンダ線路の他端側に位置する一端が前記逆相信号出力位置となり、他端が前記第2の終端抵抗と同じ形成面に形成された第4の終端抵抗の一端に接続された第4のミアンダ線路と、
前記第1の導線路と同じ形成面にて、前記第1の導線路に対して差動線路対として線対称な形状で形成され、一端が前記逆相信号入力位置となるとともに他端が前記逆相信号出力位置となり、少なくとも1箇所が途中で分断された第3の導線路と、
この第3の導線路の分断区間を結ぶように直列接続された第3の直列抵抗と、
を有する受動イコライザ。
【請求項9】
前記第1および第2のミアンダ線路は、これらの前記信号入力位置と前記信号出力位置との間の中間を横切る仮想の中間線上に一部の折れ曲がり線路が重なるような折り返し周期を有し、前記中間線に対し互いの間で線対称となるよう同一形状で形成された請求項8記載の受動イコライザ。
【請求項10】
前記第1および第3の導線路はミアンダ線路である請求項8又は9記載の受動イコライザ。
【請求項11】
前記第1の導線路に沿うとともにこれの形成面と間隔を置いて対面するよう形成され、一端が前記信号入力位置となるとともに他端が前記信号出力位置となり、少なくとも1箇所が途中で分断された前記第2の導線路と、
この第2の導線路の分断区間を結ぶように直列接続された前記第2の直列抵抗と、
前記第2の導線路と同じ形成面にて、前記第2の導線路に対して差動線路対としての線対称な形状で形成され、一端が前記逆相信号入力位置となるとともに他端が前記逆相信号出力位置となり、少なくとも1箇所が途中で分断された第4の導線路と、
この第4の導線路の分断区間を結ぶように直列接続された第4の直列抵抗と
を有する請求項8〜10いずれか1記載の受動イコライザ。
【請求項12】
前記第1〜第4の導線路の分断区間は、前記中間線から互いに離れた位置に形成された請求項11記載の受動イコライザ。
【請求項13】
前記第2および第4の導線路はミアンダ線路である請求項11又は12記載の受動イコライザ。
【請求項14】
前記第1および第2の導線路は、前記中間線に対し互いの間で線対称となるよう同一形状で形成された請求項11又は12記載の受動イコライザ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は受動イコライザに係り、伝送損失によって劣化した伝送信号の波形品位を回復させる波形等化回路として用いられ、特に、10Gビット/秒を超える超高速シリアル信号の伝送に適用される受動イコライザに関する。
【背景技術】
【0002】
高速シリアル信号の伝送では、伝送内容によってデジタル伝送信号のパルス幅が動的に変化するから、その伝送信号は広い周波数成分を有する。そのため、伝送損失が発生すると、パルス幅の狭い、すなわち周波数成分の高いパルスほど振幅が減衰し易い。
【0003】
特に、「0」や「1」のパルスを単発で発生する最小パルス幅信号である1ユニットインターバル信号(UI信号)は、その周波数が最も高く、伝送損失の影響を最も強く受けるから、「0」や「1」のパルスが2回連続する2UI信号や、「0」や「1」のパルスが3回連続する3UI信号等の複数UI信号に比べ、振幅が小さいという現象が発生し易い。
【0004】
このように、1UI信号のみ振幅が小さくなると、同一レベルが連続した後に1UI信号が単発で発生した場合、1UI信号が所定レベルまで立上り切れない状況が起こり易い。
【0005】
このような立上り切れない1UI信号は、電子回路中のレシーバーICで認識されず、伝送信号を誤って受信するビットエラーを生じさせ易い。
【0006】
そのような問題を回避する手段として、伝送信号全体の振幅を1UI信号の振幅に合わせ込み、単発の1UI信号に対する振幅減衰を相対的に回復させることが有効である。
【0007】
そのような目的で、伝送信号の振幅を調整する手段として、低い周波数に向かうほど減衰量が増える伝搬特性を持つ所謂「イコライザ」を伝送回路に挿入し、低い周波数信号を1UI信号の振幅に近付けるよう振幅を等化する手法が広く用いられている。
【0008】
この種のイコライザとしては、電気通信普及財団の研究調査報告書「No.23 2008、p603」(非特許文献1)に示すように、抵抗と周波数特性を有するインピーダンス素子とを組み合わせたハイパスフィルタ方式の受動イコライザが報告されている。その等価回路例を図17に示す。
【0009】
この受動イコライザは、受動部品であるため、電子回路への接続も容易であり、市販のディスクリートなチップ部品を用いて簡単に構成可能であることから、12.5Gビット/秒まで対応可能な製品として市場に供給されている。
【0010】
他方、特開2009−055284号公報(特許文献1)に示されるように、差動線路を薄い絶縁層を挟んで上下に対向させ、高い周波数になるほど上下の線路間の結合容量を通過し易いという特性を応用した受動イコライザも知られている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】電気通信普及財団 研究調査報告書 No.23 2008、p603「通信・信号処理技術をチップ内/間高速高効率情報伝送に利用した集積回路システムの構築 」
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2009−055284号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上述した非特許文献1に示す回路を市販のチップ部品で構成し、10Gビット/sを超え、次の世代の25G〜28Gビット/sといった伝送速度まで対応させようとした場合、チップ部品の端子に生じるインダクタ成分によって特性のずれが生じ、設計通りの特性が得られない問題や、キャパシタの容量値がクリティカルになり易い問題がある。
【0014】
そのため、所望の容量値のキャパシタが入手できるとは限らず、入手できたとしても、量産購入時には規格内誤差が大きく影響して特性が安定しないといった問題が発生し易く、10Gビット/sを超える用途では、市販のチップ部品による構成は適さない。
【0015】
そこで、積層セラミック構造等のモノリシック構成の受動イコライザが望まれることになる。
【0016】
ところが、25G〜28Gビット/s向け用途では伝送信号の波長が短くなるので、図17の構成を集中定数的回路となるよう積層セラミック構成で実現しようとすると、別の問題が生じ易い。
【0017】
すなわち、キャパシタ電極が分布定数線路としても機能し、電極寸法形状がコプレーナー線路やストリップ線路といった伝送線路としての適正な寸法と一致しないと、インピーダンスミスマッチによって信号が反射したり、減衰したりするという問題が発生し易い。
【0018】
逆に、チップキャパシタ向けに特化していない一般の積層セラミック構成は、伝送線路としての適正な寸法を優先させると、所望の容量値が得られないという問題が発生し易く、受動イコライザの設計が容易ではない。
【0019】
一方、特許文献1の構成は、構成が簡単で、正確な線路インピーダンス値とキャパシタ容量を得やすいが、絶縁層を挟んだ上下の線路パターンどうしをキャパシタ電極として機能させるため、一般的なカップリングコンデンサと同様、比較的広帯域に伝送信号が通過してしまい、1UI信号付近の周波数を選択的に低損失にする等といった所望の周波数特性が得難い。
【0020】
しかも、この構成では直流(DC)が遮断されるため、直流近傍の信号も大きく減衰し、超高速シリアル信号の伝送において、同じ論理レベルが長時間続く低い周波数成分の伝送信号を通過させ難くなり、低い周波数成分を多く含む伝送信号でビットエラーを起こすという問題点も発生する。
【0021】
本発明はそのような課題を解決するためになされたもので、超高速シリアル信号の伝送、特に25G〜28Gビット/秒の伝送信号にも対応可能で、内部電極寸法の寸法誤差が大きくても良好な通過特性が得られる受動イコライザを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
そのような課題を解決するために本発明の請求項1に係る受動イコライザは、誘電体層の片面に形成され、一端が信号入力位置となり、他端が第1の終端抵抗に接続された第1のミアンダ線路と、その誘電体層を介して第1のミアンダ線路と対面する側に第1のミアンダ線路に沿うとともにこれと対面するよう形成された第2のミアンダ線路であって、その一端が第1のミアンダ線路の他端側に位置して信号出力位置となり、他端が第2の終端抵抗に接続された第2のミアンダ線路と、この第2のミアンダ線路の形成面と間隔を置いて対面するように形成され、一端が信号入力位置となるとともに他端が信号出力位置となり、少なくとも1箇所が途中で分断された第1の導線路と、この第1の導線路の分断区間を結ぶように直列接続された第1の直列抵抗と、を具備している。
【0023】
本発明の請求項2に係る受動イコライザは、上記第1および第2のミアンダ線路が、これらの信号入力位置と信号出力位置との間の中間を横切る仮想の中間線に一部の折れ曲がり線路が重なるような折り返し周期を有し、その中間線に対し互いの間で線対称となるよう同一形状で形成されている。
【0024】
本発明の請求項3に係る受動イコライザは、上記第1の導線路がミアンダ線路である。
【0025】
本発明の請求項4に係る受動イコライザは、上記第1の導線路の形成面と間隔を置いて対面する形成面に上記第1の導線路に沿ってこれに対面するよう形成され、一端がその信号入力位置となるとともに他端がその信号出力位置となり、少なくとも1箇所が途中で分断された第2の導線路と、この第2の導線路の分断区間を結ぶように直列接続された第2の直列抵抗と、を具備している。
【0026】
本発明の請求項5に係る受動イコライザは、上記第1および第2の導線路の分断区間が、その中間線から互いに離れた位置に形成された構成である。
【0027】
本発明の請求項6に係る受動イコライザは、上記第2の導線路がミアンダ線路である。
【0028】
本発明の請求項7に係る受動イコライザは、上記第1および第2の導線路が、その中間線に対し互いの間で線対称となるよう同一形状で形成されている。
【0029】
本発明の請求項8に係る受動イコライザは、以下の点を特徴としている。
すなわち、上記誘電体層にあって第1のミアンダ線路の形成面にて、その第1のミアンダ線路に対して差動伝送路対として線対称な形状で形成され、一端がその信号入力位置とは差動逆極性となる逆相信号入力位置となり、他端がその第1の終端抵抗と同じ形成面に形成された第3の終端抵抗の一端に接続された第3のミアンダ線路と、その第2のミアンダ線路の形成面にて、その第2のミアンダ線路に対して差動伝送路対として線対称な形状で形成され、その第3のミアンダ線路の他端側に位置する一端がその逆相信号出力位置となり、他端がその第2の終端抵抗と同じ形成面に形成された第4の終端抵抗の一端に接続された第4のミアンダ線路と、その第1の導線路と同じ形成面にて、その第1の導線路に対して差動線路対として線対称な形状で形成され、一端がその逆相信号入力位置となるとともに他端がその逆相信号出力位置となり、少なくとも1箇所が途中で分断された第3の導線路と、この第3の導線路の分断区間を結ぶように直列接続された第3の直列抵抗と、を有している。
【0030】
本発明の請求項9に係る受動イコライザは、上記第1および第2のミアンダ線路が、これらの信号入力位置と信号出力位置との間の中間を横切る仮想の中間線上に一部の折れ曲がり線路が重なるような折り返し周期を有し、その中間線に対し互いの間で線対称となるよう同一形状で形成されている。
【0031】
本発明の請求項10に係る受動イコライザは、上記第1および第3の導線路がミアンダ線路である。
【0032】
本発明の請求項11に係る受動イコライザは、上記第1の導線路に沿うとともにこれの形成面と間隔を置いて対面するよう形成され、一端が信号入力位置となるとともに他端が信号出力位置となり、少なくとも1箇所が途中で分断された第2の導線路と、この第2の導線路の分断区間を結ぶように直列接続された第2の直列抵抗と、その第2の導線路と同じ形成面にて、その第2の導線路に対して差動線路対としての線対称な形状で形成され、一端が逆相信号入力位置となるとともに他端が逆相信号出力位置となり、少なくとも1箇所が途中で分断された第4の導線路と、この第4の導線路の分断区間を結ぶように直列接続された第4の直列抵抗と、を有している。
【0033】
本発明の請求項12に係る受動イコライザは、上記第1〜第4の導線路の分断区間が、その中間線から互いに離れた位置に形成された構成である。
【0034】
本発明の請求項13に係る受動イコライザは、上前記第2および第4の導線路がミアンダ線路である。
【0035】
本発明の請求項14に係る受動イコライザは、上記第1および第2の導線路が、その中間線に対し互いの間で線対称となるよう同一形状で形成されている。
【発明の効果】
【0036】
このような発明の請求項1に係る受動イコライザでは、対面する第1および第2のミアンダ線路間を高い周波数の信号が低損失で通過する一方、低い周波数の信号が第1の導線路を通過して第1の直列抵抗で減衰され、イコライザとして機能し易く、超高速シリアル信号の伝送、特に25G〜28Gビット/秒の伝送信号にも対応可能で、内部電極寸法の寸法誤差が大きくても良好な通過特性が得られる。
【0037】
本発明の請求項2に係る受動イコライザでは、受動イコライザとしてより好特性が得られ易いうえ、パターンが共用できコストを下げ易い。
【0038】
本発明の請求項3に係る受動イコライザでは、各種の伝搬特性を調整し易い。
【0039】
本発明の請求項4に係る受動イコライザでは、低い周波数の通過特性を調整し易い。
【0040】
本発明の請求項5に係る受動イコライザでは、高い周波数の通過特性を調整し易い。
【0041】
本発明の請求項6に係る受動イコライザでは、上記第2の導線路がミアンダ線路で構成されているから、各種の伝搬特性を調整し易い。
【0042】
本発明の請求項7に係る受動イコライザでは、各種の伝搬特性を調整し易いうえ、回路パターンを共用できてコストを下げ易い。
【0043】
本発明の請求項8に係る受動イコライザでは、差動信号に対してもイコライザとして機能し易い。
【0044】
本発明の請求項9に係る受動イコライザでは、差動信号に対しても、イコライザとしてより好特性が得られ易い上、回路パターンが共用できコストを下げ易い。
【0045】
本発明の請求項10に係る受動イコライザでは、上記第1および第3の導線路がミアンダ線路で構成されているので、差動信号に対しても、各種の伝搬特性を調整し易い。
【0046】
本発明の請求項11に係る受動イコライザでは、差動信号に対しても、低い周波数の通過特性を調整し易い。
【0047】
本発明の請求項12に係る受動イコライザでは、差動信号に対しても、高い周波数の通過特性を調整し易い。
【0048】
本発明の請求項13に係る受動イコライザでは、上記第2および第4の導線路がミアンダ線路で構成されているから、差動信号に対しても、各種の伝搬特性を調整し易い。
【0049】
本発明の請求項14に係る受動イコライザでは、差動信号に対しても、各種の伝搬特性を調整し易いうえ、回路パターンが共用できてコストを下げ易い。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1】本発明に係る受動イコライザの実施の形態を示す分解斜視図である。
図2図1の受動イコライザの等価回路である。
図3図1の受動イコライザの周波数特性図である。
図4図1の受動イコライザに入力する伝送損失の影響を受けたパルス応答波形である。
図5図1の受動イコライザのパルス応答波形である。
図6図5の等価回路の周波数特性図である。
図7】本発明に係る受動イコライザの別の実施の形態を示す分解斜視図である。
図8図7の受動イコライザの周波数特性図である。
図9】本発明に係る受動イコライザの別の実施の形態を示す分解斜視図である。
図10図9の受動イコライザの等価回路である。
図11図9の受動イコライザの周波数特性図である。
図12】本発明に係る受動イコライザの別の実施の形態を示す分解斜視図である。
図13図12の受動イコライザの周波数特性図である。
図14】本発明に係る受動イコライザの別の実施の形態を示す分解斜視図である。
図15図14の受動イコライザの等価回路である。
図16図14の受動イコライザの周波数特性図である。
図17】従来の受動イコライザの等価回路である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明に係る受動イコライザEの構成を差動伝送路対を例にして示す分解斜視図である。
【0052】
図1において、長方形板状の誘電体層(第1の誘電体層)9Aの片面(図1中上面)には、各々1対のミアンダ線路(第1、第3のミアンダ線路)1A、1B、終端抵抗(第1、第3の終端抵抗)5A、5B、抵抗接続パット17A、17B、19A、19Bが形成されている。
【0053】
1対のミアンダ線路1A、1Bは、誘電体層9Aにおいて長手方向で対向する短辺間に、矩形状に複数回折り曲げた形状で形成されており、各短辺の中間を通って誘電体層9Aを二分等分する仮想線x−x‘を間に挟むようにして形成されている。
【0054】
ミアンダ線路1Aの一方の端部は信号入力位置となって後述する入力端子11Aに、ミアンダ線路1Bの一方の端部は信号入力位置となって後述する入力端子11Bに接続されている。
【0055】
ミアンダ線路1Aの他方の端部は、誘電体層9Aの長手方向の短辺近傍に形成された抵抗接続パッド17Aに接続され、ミアンダ線路1Bの他方の端部は、同じ短辺近傍に形成された抵抗接続パッド17Bに接続されている。
【0056】
抵抗接続パッド17Aには、帯状の終端抵抗5Aの一方の端部が接続されており、終端抵抗5Aの他方の端部は、誘電体層9Aの長手方向に沿った長辺中程に形成された抵抗接続パッド19Aに接続されている。
【0057】
抵抗接続パッド17Bには、終端抵抗5Aと同様な帯状の終端抵抗5Bの一方の端部が接続されており、終端抵抗5Bの他方の端部は、誘電体層9Aの長手方向に沿った長辺中程に形成された抵抗接続パッド19Bに接続されている。
【0058】
抵抗接続パッド19Aは、後述するグランド端子15Aに接続されており、抵抗接続パッド19Bは、後述するグランド端子15Bに接続されている。
【0059】
各終端抵抗5A、5Bは、ミアンダ線路1A、1Bの他方の端部から誘電体層9Aの長辺近傍に沿って折り返すように、例えば印刷抵抗膜によって形成されている。各終端抵抗5A、5Bは、ミアンダ線路1A、1B等の導体と重なる領域が小さいと抵抗値が安定しないため、そのような接続パッド17A、17B、19A、19Bを介することが好ましい。
【0060】
それらミアンダ線路1A、1B、終端抵抗5A、5B、入力端子11A、11B、グランド端子15A、15B、抵抗接続パッド17A、17Bおよび抵抗接続パッド19A、19Bは、仮想線x−x‘を挟んで線対称に形成配置されており、差動伝送路対を形成している。
【0061】
誘電体層9Aの対向面(図中下面)には、誘電体層9Aと同材料で同形状の誘電体層(第3の誘電体層)9Bが積層されるように配置されている。
【0062】
誘電体層9Bの片面(図1中上面)には、各々1対のミアンダ線路(第2、第4のミアンダ線路)1C、1D、終端抵抗(第2、第4の終端抵抗)5C、5D、抵抗接続パッド17C、17D、19C、19Dが形成されている。
【0063】
1対のミアンダ線路1C、1Dは、誘電体層9Bの長手方向の対向する短辺間に矩形状に複数回折り曲げた状態で形成され、誘電体層9Aを介してミアンダ線路1Cとミアンダ線路1Aが、ミアンダ線路1Dとミアンダ線路1Bがほぼ等長で対面している。
【0064】
それらミアンダ線路1Cの一方の端部は、第1のミアンダ線路1Aの他端側に位置して信号出力位置となって後述する出力端子13Aに接続され、同様にミアンダ線路1Dの一方の端部は後述する出力端子13Bに接続されている。
【0065】
ミアンダ線路1Cの他方の端部は抵抗接続パッド17Cに接続され、ミアンダ線路1Dの他方の端部は抵抗接続パッド17Dに接続されている。
【0066】
抵抗接続パッド17Cには帯状の終端抵抗5Cの一方の端部が接続され、抵抗接続パッド17Dには帯状の終端抵抗5Dの一方の端部が接続されている。
【0067】
終端抵抗5Cの他方の端部は、誘電体層9Bの長手方向に沿った一方の長辺において、この中間位置に形成された抵抗接続パッド19Cに接続されている。終端抵抗5Dの他方の端部は、誘電体層9Bの他方の長辺中間位置に形成された抵抗接続パッド19Dに接続されている。
【0068】
各終端抵抗5C、5Dは、ミアンダ線路1C、1Dの端部から誘電体層9Bの長辺近傍に沿って折り返すように形成されており、抵抗接続パッド19C、19Dがグランド端子15A、15Bに接続されている。
【0069】
それらミアンダ線路1C、1D、終端抵抗5C、5D、抵抗接続パッド17C、17Dおよび抵抗接続パッド19C、19Dも、仮想線x−x‘に対して線対称に形成配置され、差動伝送路対を構成している。
【0070】
ミアンダ線路1A、1Bの折り曲げ周期(折り返しピッチ)と、ミアンダ線路1C、1Dの折り曲げ周期(折り返しピッチ)とは必ずしも一致させる必要はないし、個々のミアンダ線路内での折り曲げ周期(折り返しピッチ)は必ずしも均一でなくともよい。
【0071】
誘電体層9Bの下方には、誘電体層9Bと同材料で同形状の誘電体層(第2の誘電体層)9Cが積層されるように配置されている。
【0072】
誘電体層9Cの片面(図1中上面)には、各々1対の導線路(第1、第3の道線路)3A、3B、直列抵抗(第1、第3の直列抵抗)7A、7Bが形成されている。
【0073】
導線路3A、3Bは、ミアンダ線路1C、1Dと誘電体層3Bを介して対面するように誘電体層9Cの長手方向に形成されている。導線路3Aの一方の端部は入力端子11Aに、他方の端部が出力端子13Aに接続されており、導線路3Bの一方の端部は入力端子11Bに、他方の端部は出力端子13Bに接続されている。
【0074】
導線路3A、3Bは、途中の任意位置で切り離すように分割され、その分割された導線路3A間を結ぶように直列抵抗7Aが直列接続されており、分割された導線路3B間を結ぶように直列抵抗7Bが直列接続されている。
【0075】
これにより、直流を含む低い周波数信号が、直列抵抗7A、7Bを経由してこの経路を通り、直流信号の減衰が実現されようになっている。
【0076】
誘電体層9Aの上方には、誘電体層9Aと同材料で同形状の誘電体層(第4の誘電体層)9Dが積層されるように配置されている。
【0077】
誘電体層9Dは、カバー層として他の誘電体層9A、9Bよりも厚い厚みを有し、入力端子11A、11Bおよび出力端子13A、13Bが、その長手方向に沿って対応する両長辺に形成されている。
【0078】
グランド端子15A、15Bは、両長辺において入力端子11A、11Bとグランド端子15A、15Bの間に形成されている。
【0079】
図1では、各構成要素を分解し、かつ斜視状態で示しているが、入力端子11A、11Bには上述したミアンダ線路1A、1Bの一方の端部が、出力端子13A、13Bには上述したミアンダ線路1C、1Dの一方の端部が、グランド端子15A、15Bには上述した各終端抵抗5A、5B、5C、5Dの他端の端部が接続されている。
【0080】
グランド端子15A、15Bは、当該受動イコライザEが実装されたとき、回路の電源グランドに接地しても良いが、回路構成によっては、信号の振幅中心電位をICの閾値に合わせ込むために、プルアップ抵抗を介して信号ラインを外部電圧ラインへ接続する場合がある。
【0081】
そのような目的のために、グランド端子15A、15Bを外部電圧ラインに接続しても良い。これにより、プルアップ抵抗を省略することができる。
【0082】
誘電体層9Aは、ミアンダ線路1Aと1C間、ミアンダ線路1Bと1D間の電磁結合を強めるため、他の誘電体層9B、9C、9Dよりも最も薄くなっている。
【0083】
なお、上述した誘電体層9Cもカバー層の役割を担うので、中間層の誘電体層9A、9Bより厚くなっている。
【0084】
上述した差動伝送路対を有するイコライザEは、例えば以下のような積層セラミック工程によって製造される。
【0085】
すなわち、グリーンシート状態の誘電体9A〜9Cの各面(図1中上面)に、銀ペースト又は銀パラジウムペースト等の印刷によって各導体パターンを形成し、抵抗ペーストの印刷によって各抵抗を形成した後、誘電体9A〜9Cを重ねるとともに誘電体9Aの上に誘電体9Dを重ね、積層プレスにて一体化された後、個品サイズに切断、焼成する。
【0086】
その後、製品側面、下面パッド位置および上面パッド位置に銀ペースト又は銀パラジウムペーストを塗布、再焼成することで、入力電極11A,11B、出力電極13A、13B、グランド電極15A、15Bを形成、接続し、チップ部品として完成させる。
【0087】
図2は、図1の構成の等価回路である。対向する上下のミアンダ線路1A、1C間とミアンダ線路1B、1D間は、LC直列共振回路を構成するとともに、直流(DC)を含む低い周波数信号からは抵抗のみが接続されているように見え、これがπ型アッテネータを構成する。
【0088】
上述した各LC直列共振回路は、直列抵抗7A、7Bに並列接続されており、共振周波数でのインピーダンスが最小となる。そのため、その共振周波数信号は、直列抵抗7A、7Bを迂回してLC直列共振回路を低損失で通過する。すなわち、1UI信号の周波数が共振周波数となるよう設定すれば、その周波数の信号のみを低損失で通過させるとともに、他の周波数の信号は直列抵抗7A、7Bを経由して減衰される。
【0089】
以上の等価回路上での考察に基き、イコライザEは、高速のデジタル差動信号を伝送信号として入力電極11A,11Bに印加して出力電極13A、13Bから出力させと、対面するミアンダ線路1Aと1C間、1Bと1D間の電磁結合により、高い周波数の信号が低損失でその間を通過する。
【0090】
他方、低い周波数の信号が導線路3A、3Bを通過し、導線路3A、3B内に挿入された直列抵抗7A、7Bでそれが減衰され、イコライザとして機能するうえ、終端抵抗5A、5B、5C、5Dの接地先もグランドや電源ライン等所望の位置へ接続可能である。
【0091】
このような構成のイコライザEにおいて、高速のデジタル差動信号を伝送信号として入力電極11A,11Bに印加し、出力電極13A、13Bから出力させる構成を考え、電磁界シミュレーションによる周波数特性を図3に示す。
【0092】
図3において、Sdd11−(1)は差動信号に対する反射特性、Sdd21−(1)は差動信号に対する通過特性、GD21−(1)は差動通過信号に対する群遅延特性である。図3によれば、群遅延特性に多少の暴れが見られるが、通過特性は14GHz付近で最小損失となる。
【0093】
他方、直流(DC)付近では約6dBの損失で、25G〜28Gビット/s向けイコライザとして機能させるための最低限度の特性が得られている。反射特性Sdd11−(1)も17GHzまで−15dB以下に抑えられており、良好なインピーダンスマッチングが得られている。
【0094】
そこで、このような特性のイコライザで、波形振幅の等化が可能か否か、回路シミュレーションによって確認を行う。
【0095】
図4は、伝送損失によって1UI信号のみ振幅が減衰した25Gビット/s差動信号の正相パルス波形V(+)、負相のパルス波形V(−)および差動アイパターンV(Eye)である。これにより、振幅差が発生しているのみならず、立上がり/立下りエッジが広がってジッタが発生している。
【0096】
このような波形信号を、図3の特性を持つイコライザに通した場合の出力波形は、図5のようになる。全体の振幅は減衰しているが、振幅差がなくなるとともに立上がり/立下りエッジのジッタが解消している。
【0097】
このように、図1に示した受動イコライザEは、多少群遅延特性が暴れていても、図3の特性で充分イコライザとして機能することが示される。
【0098】
このような回路の周波数特性を図2の等価回路に対する回路シミュレーションで求めると、図6のようになる。
【0099】
図6において、各符号は図3の場合と同じ意味を示し、図3と類似した特性を示している。群遅延特性GD21−(2)は、図3よりも小さい値となっているが、これは端子や基板ランド等による伝搬遅延時間のない、正味の群遅延特性であることによる。
【0100】
なお、図6の特性を導出するに当たり、上述した図2の等価回路中、LC直列共振回路部は、上下のインダクタの値が等しく、タップを中心から取り出し、キャパシタの値を全て均一としている。
【0101】
このように、図2の等価回路では、LC直列共振回路部がバランスのとれた構成である分、共振周波数が分散しなくなり、通過特性Sdd21−(2)および群遅延特性GD21−(2)に暴れがない特性が得られていると考えられる。
【0102】
そこで、実際の構造でも、対向する上下のミアンダ線路を、バランスのとれた構成にすれば、図1の構成よりも更に良好な特性になることが予想される。
【0103】
図7は本発明に係る受動イコライザEの別の構成を示す分解斜視図であり、対向する上下のミアンダ線路をバランスさせたものである。
【0104】
図7において、ミアンダ線路1C、1A間およびミアンダ線路1D、1B間は、入力端子(信号入力位置)11A、11Bと出力端子(信号出力位置)13A、13B間の中間でミアンダ線路1A、1Bを横切る仮想の中間線y−y‘に対し、互いの間で線対称(ミラー反転)とさせたものである。
【0105】
さらに、ミアンダ線路1A、1Cの折り返し周期は、端部の接続引き出し線を除き均一となっており、両者とも折れ曲がりコーナー部の線路が中間線y−y‘上に重なるような折り返し周期となっている。すなわち、両者で折れ曲がり周期が同相で重なるのではなく、逆相で重なるような形状である。
【0106】
このような構成は、差動線路対を形成しているので、ミアンダ線路1Aと1B間、ミアンダ線路1Cと1D間は対称であり、ミアンダ線路1C、1Aとの関係、ミアンダ線路1Dと1Bとの関係は、中間線y−y‘上での線対称の関係、および逆相で重なる折り返し周期が成立する。それ以外の構成は図1と同様である。
【0107】
なお、このような線対称のパターンどうしの場合、パターン印刷時に180度回転することで、ミアンダ線路等の導体形成用の印刷マスクは1つのものを共用でき、マスク費用が節約できる。
【0108】
図8は、図7に示すイコライザEの周波数特性である。各符号の意味は図3と同様である。
【0109】
図8において、Sdd11−(7)は差動信号に対する反射特性、Sdd21−(7)は差動信号に対する通過特性、GD21−(7)は差動通過信号に対する群遅延特性である。
【0110】
これによれば、図3に比べ、特性の暴れが少なくなっていることが示されている。従って、図示は省略するが、アイパターン改善効果も図5と同等以上のものが実現可能である。
【0111】
ミアンダ線路1A〜1Dの形状は、図7図1とで大きく異なるが、両者で近い特性が得られており、所望の特性を得るためのミアンダ線路1A〜1Dの形状は許容範囲が大きいと言える。
【0112】
従って、本発明に係る受動イコライザEは、ディスクリートなチップ部品で図17の回路を構成するよりも特性が安定し易い。
【0113】
図9は本発明に係る受動イコライザEの別の構成を示す分解斜視図であり、低い周波数信号を通すための導線路も対向する2層構成としたものである。
【0114】
図9においては、図7の構成からさらに、誘電体層9Bと9Cとの間に、新たな誘電体層(第5の誘電体層)9Eが挿入されている。
【0115】
誘電体層9Eの片面(図9中上面)には、誘電体層9C上に構成された導線路3A、3Bおよび直列抵抗7A、7Bを中間線y−y‘上で線対称とさせたものと同等の、導線路(第2、第4の導線路)3C、3Dおよび直列抵抗(第2、第4の直列抵抗)7C、7Dが形成されている。
【0116】
しかも、直列抵抗7A、7Bは、中間線y−y‘から入力端子11A、11B側に寄った位置で導線路3A、3Bに接続され、直列抵抗7C、7Dは、中間線y−y‘から出力端子13A、13B側へ寄った位置で導線路3C、3Dに接続されている。
【0117】
その結果、直列抵抗7Aと7Cで挟まれた導線路3Aと3Cとの対向区間、および直列抵抗7Bと7Dで挟まれた導線路3Bと3Dとの対向区間は、平板キャパシタを構成し、高周波信号がこの平板キャパシタを通ることによって直列抵抗7A〜7Dをバイパスする。
【0118】
これにより、高周波信号の経路がミアンダ線路1A〜1Dの経路と平板キャパシタ経路との併用となり、高周波信号の損失を更に軽減することが可能となる。それ以外の構成は図7と同じである。
【0119】
ここで、導線路3C、3Dおよび直列抵抗7C、7Dは、必ずしも導線路3A、3Bおよび直列抵抗7A、7Bを線対称にする必要はないが、互いの間で線対称の関係となっていれば、パターンの印刷マスクが共用でき、印刷マスク費用軽減が可能である。
【0120】
また、直列抵抗7A、7Bと直列抵抗7C、7Dは、必ずしも互いに離れた位置関係である必要はないが、例えば中間線y−y‘上で互いに同位置で重なった場合、導線路3A〜3Dが高周波のバイパス経路を構成し難くなるので、高周波信号の損失軽減は期待できなくなる。
【0121】
そのため、導線路3A〜3Dの分断区間は、中間線y−y‘から互いに離れた位置に形成される方が好ましい。
【0122】
それでも、例えば直列抵抗7A、7Bと直列抵抗7C、7Dとで、抵抗膜の寸法を変えたり抵抗ペーストの抵抗率を変えることにより、直列抵抗のトータル値を調整し、直流(DC)を含む低周波信号の減衰を高精度に管理することが可能となる。
【0123】
図10は、図9の構成の等価回路である。対向する導線路3A、3C間および導線路3B、3D間で形成されるキャパシタが、等価回路上では直列抵抗7A〜7Dに並列に接続される構成となり、高周波信号が直列抵抗7A〜7Dをバイパス可能であることが示されている。
【0124】
図11は、図9に示すイコライザEの周波数特性である。ここでは差動通過特性Sdd21についてのみ、図8との特性との比較という形で示している。
【0125】
図9の構成に対する差動通過特性Sdd21−(9)は、図7の構成に対する差動通過特性Sdd21−(7)に比べ、若干ではあるが、高周波のロスが軽減されている。
【0126】
図12は、本発明に係る受動イコライザEの別の構成を示す分解斜視図であり、低い周波数信号を通すための導線路もミアンダ状にした構成を示している。
【0127】
図12において、導線路3A〜3Dはミアンダ状であり、しかも、導線路3A、3Bと導線路3C、3Dとは、中間線y−y‘に対し互いの間で線対称の関係にある。ただし、ミアンダ線路1A〜1Dとは異なり、折り返し周期が同相の状態で対向している。それ以外の構成は図9と同じである。
【0128】
図13は、図12に示すイコライザEの周波数特性である。図13において、Sdd11−(12)は図12の構成における差動反射特性、Sdd21−(12)は図12の構成における差動通過特性、GD21−(12)は図12の構成における差動群遅延特性である。
【0129】
さらに、比較のため、図11では示さなかった、図9の構成における差動反射特性Sdd11−(9)および差動群遅延特性GD21−(9)も示されている。
【0130】
図12の構成では、差動反射特性Sdd11−(12)が改善されているとともに、差動群遅延特性GD21−(12)もより暴れが少なくなっていることがわかる。
【0131】
なお、図示は省略するが、導線路3A、3Bと導線路3C、3Dとが、逆相の折れ曲がり周期で対向する場合も、同様な特性が得られる。
【0132】
以上の説明は、差動線路対を構成しながらも、差動線路間を2分する仮想線(図1中の仮想線x−x‘)を中心に、線対称な回路が独立して配置されている構成であり、差動伝送路を形成する受動イコライザEであった。
【0133】
そして、差動線路間を2分する図1中の仮想線x−x‘に対し、どちらか一方を除去あるいは不使用とする、すなわちシングルエンドでの利用も可能な構成であり、その代わりグランド端子が存在するものである。
【0134】
もっとも、従来の受動イコライザ例である図17はグランド端子がなく、また、本来、差動伝送線路は共通グランドなしでも信号伝送できるものであるから、そのような共通グランドのない部位には、グランド端子の接続を必要とする部品は実装不可能となって好ましくない。
【0135】
そこで、そのような問題を回避可能な、グランド端子のない受動イコライザEの例を示す。
【0136】
図14は本発明に係る受動イコライザEの別の構成を示す分解斜視図であり、差動信号のみを対象にしたグランド端子のない構成のものである。
【0137】
図14においては、図12の構成からグランド端子15A、15B、抵抗接続パッド19A〜19Dを除去している。
【0138】
これにより、終端抵抗5A〜5Dの接地先がなくなったので、終端抵抗5Aと5Bを抵抗接続パッド17Aと17Bとの間に連結させて接続、終端抵抗5C、5Dも抵抗接続パッド17Cと17Dとの間に連結させて接続、すなわち差動ライン間で終端する構造となっている。それ以外の構成は図12と同じである。
【0139】
図15図14の等価回路である。図17の構成が直流(DC)的には差動T型アッテネータを構成しているのに対し、図14の構成は図15に示すように、終端抵抗を差動線路対間に接続することで、直流的には差動π型アッテネータを構成する。
【0140】
図16は、図14に示すイコライザEの周波数特性である。図16において、差動反射特性Sdd11−(14)、差動通過特性Sdd21−(14)、差動群遅延特性GD21−(14)のいずれもが、他の構造と同等以上の特性であることが示されている。
【0141】
以上、本発明の実施例において、受動イコライザEは、セラミック積層工程にて作成されたものとして説明してきた。しかし、誘電体基板であればセラミック材料である必要はなく、プリント基板等の絶縁性樹脂基板で構成することも可能である。
【0142】
また、本発明の受動イコライザEにおいて、導線路3A〜3Dを分断する区間(箇所)は1箇所に限らず、1個以上、すなわち少なくとも1箇所形成すればよく、各分断箇所に直列抵抗7A〜7Dを直列挿入すればよい。
【0143】
上述した本発明の実施の形態では、何れか又は全ての終端抵抗5A〜5Dおよび直列抵抗7A〜7Dの接続部位に接続パッド17A〜17D、19A〜19Dが設けられているから、それら抵抗を安定して接続することが可能である。
【0144】
また、本発明の本発明の受動イコライザEでは、上述したように終端抵抗5A、5Bが第1、第3のミアンダ線路1A、1Bと同一の形成面に、終端抵抗5C、5Dが第2、第4のミアンダ線路1C、1Dと同一の形成面に、直列抵抗7A、7Bが第1、第3の導線路3A、3Bと同一の形成面に、直列抵抗7C、7Dが第2、第4の導線路と同一の形成面に形成される構成に限定されない。
【0145】
終端抵抗5A〜5Dや直列抵抗7A〜7Dを第1〜第4のミアンダ線路1A〜、1Dや導線路3A〜3Dとは別の誘電体層等の形成面に形成し、互いにビアで接続する構成も可能である。
【0146】
これにより、終端抵抗5A〜5Dや直列抵抗7A〜7Dをチップ抵抗で構成し、ビアを介して基板表面に実装する事で、必要に応じて特性を実測しながら最適な抵抗値のものへ交換する事も可能となる。
【0147】
ところで、本発明の受動イコライザEは、シングルエンド伝送路においても実施可能である。
【0148】
このシングルエンド伝送路構成が本発明の受動イコライザEの基本構成が考えることが可能であり、差動伝送路を形成する受動イコライザEは、それらシングルエンド伝送路を2個配置したものと考えることが可能である。
【0149】
すなわち、誘電体層(第1の誘電体層)9Aと、誘電体層(第1の誘電体層)9Aに形成され、一端が信号入力位置となり、他端が終端抵抗(第1の終端抵抗)5Aに接続されたミアンダ線路(第1のミアンダ線路)1Aと、誘電体層9Aを介してミアンダ線路1Aと対面する側にミアンダ線路1Aに沿うとともにこれと対面するよう形成され、この一端がミアンダ線路1Aの他端側に位置する信号出力位置となり、他端が誘電体層9Aを介して前記ミアンダ線路1Aと対面する側に形成された終端抵抗(第2の終端抵抗)5Cに接続されたミアンダ線路(第2のミアンダ線路)1Cと、第2のミアンダ線路1Cの形成面と間隔を置いて対面する形成面に形成され、一端が信号入力位置となるとともに他端が信号出力位置となり、少なくとも1箇所が途中で分断された導線路(第1の導線路)3Aと、この導線路3Aの分断区間を結ぶように直列接続された直列抵抗(第1の直列抵抗)7Aと具備する構成である。必ずしも、上述した誘電体層9Bは必須ではない。
【0150】
このようなそれらシングルエンド伝送路であっても、上述した図1図7図9図12図14の構成と同様の構成で実施可能であり、それらから得られる効果と同様の効果を得ることが可能である。
【0151】
さらに、上述した本発明の実施例では、入出力端子、グランド端子の付いたチップ状の単体部品形状で説明してきた。
【0152】
しかし、単体部品だけでなく、入出力端子やグランド端子を除去した受動イコライザEの内部構成部のみを回路基板内に組み込んだり、あるいはチップ状の部品であっても、他の機能を有する回路、例えば遅延線やコモンモードフィルタにイコライザEの内部構成部を集積して一つのチップ部品とすることも可能である。
【0153】
また、セラミック積層工程に限らず、薄膜工程で作成しても良く、その場合は半導体内に集積することも可能である。
【符号の説明】
【0154】
1A ミアンダ線路(第1のミアンダ線路)
1B ミアンダ線路(第3のミアンダ線路)
1C ミアンダ線路(第2のミアンダ線路)
1D ミアンダ線路(第4のミアンダ線路)
3A 導線路(第1の導線路)
3B 導線路(第3の導線路)
3C 導線路(第2の導線路)
3D 導線路(第4の導線路)
5A 終端抵抗(第1の終端抵抗)
5B 終端抵抗(第3の終端抵抗)
5C 終端抵抗(第2の終端抵抗)
5D 終端抵抗(第4の終端抵抗)
7A 直列抵抗(第1の直列抵抗)
7B 直列抵抗(第3の直列抵抗)
7C 直列抵抗(第2の直列抵抗)
7D 直列抵抗(第4の直列抵抗)
9A 誘電体層(第1の誘電体層)
9B 誘電体層(第3の誘電体層)
9C 誘電体層(第2の誘電体層)
9D 誘電体層(第4の誘電体層)
9E 誘電体層(第5の誘電体層)
11A、11B 入力端子
13A、13B 出力端子
15A、15B グランド端子
17A、17B、17C、17D,19A、19B、19C、19D 抵抗接続パッド
E 受動イコライザ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17