特許第6095179号(P6095179)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6095179
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20170306BHJP
【FI】
   A63F5/04 512Z
   A63F5/04 512D
【請求項の数】4
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2015-170035(P2015-170035)
(22)【出願日】2015年8月31日
(65)【公開番号】特開2017-46730(P2017-46730A)
(43)【公開日】2017年3月9日
【審査請求日】2016年9月23日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390031772
【氏名又は名称】株式会社オリンピア
(74)【代理人】
【識別番号】100107113
【弁理士】
【氏名又は名称】大木 健一
(72)【発明者】
【氏名】冨士代 務
【審査官】 岡崎 彦哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−236867(JP,A)
【文献】 特開2007−135714(JP,A)
【文献】 特開2011−067286(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
演出に係る処理を行う処理部と、演出に係る音響を発生する音響装置と、前記処理部からの命令に基づき前記音響装置を制御する音響制御部とを備える遊技機において、
前記音響制御部は、特定の命令を実行する際に不具合が生じるものであり、
前記処理部は、
遊技に係る所定の契機で実行され、前記音響装置から所定の音響を発生させ、又は音響を停止させるための複数の命令を予め記憶する命令記憶部と、
予め定められた特定の命令(以下「先行特定コマンド」)及びこれに続く命令(以下「縦続特定コマンド」)の読み出しを検知するための情報を予め記憶する特定コマンドテーブルと、
前記特定コマンドテーブルの情報に基づき前記命令記憶部から読み出された命令を監視する監視手段と、
前記監視手段の監視結果に基づき所定の処理を行い前記音響制御部の不具合を回避する回避手段を備え、
前記監視手段は、前記先行特定コマンドが読み出され、この後に前記縦続特定コマンドが読み出され、かつ、前記先行特定コマンドと前記縦続特定コマンドの読み出し間隔が予め定められた時間内であるとき、前記回避手段を動作させ、
前記回避手段は、前記先行特定コマンドの読み出しの後に予め定められたインターバルを挿入するウエイト処理を行うことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
演出に係る処理を行う処理部と、演出に係る音響を発生する音響装置と、前記処理部からの命令に基づき前記音響装置を制御する音響制御部とを備える遊技機において、
前記音響制御部は、特定の命令を実行する際に不具合が生じるものであり、
前記処理部は、
遊技に係る所定の契機で実行され、前記音響装置から所定の音響を発生させ、又は音響を停止させるための複数の命令を予め記憶する命令記憶部と、
予め定められた特定の命令(以下「先行特定コマンド」)及びこれに続く命令(以下「縦続特定コマンド」)の読み出しを検知するための情報を予め記憶する特定コマンドテーブルと、
前記特定コマンドテーブルの情報に基づき前記命令記憶部から読み出された命令を監視する監視手段と、
前記監視手段の監視結果に基づき所定の処理を行い前記音響制御部の不具合を回避する回避手段を備え、
前記監視手段は、計時するためのタイマーを備え、
読み出された命令が前記先行特定コマンドであるとき前記タイマーによる計時を開始し、
読み出された命令が前記縦続特定コマンドであり、かつ、前記タイマーが計時中であるとともにその計時が予め定められた時間内であるとき、前記回避手段を動作させ、
前記回避手段は、前記先行特定コマンドの読み出しの後に予め定められたインターバルを挿入するウエイト処理を行うことを特徴とする遊技機。
【請求項3】
演出に係る処理を行う処理部と、演出に係る音響を発生する音響装置と、前記処理部からの命令に基づき前記音響装置を制御する音響制御部とを備える遊技機において、
前記音響制御部は、特定の命令を実行する際に不具合が生じるものであり、
前記処理部は、
遊技に係る所定の契機で実行され、前記音響装置から所定の音響を発生させ、又は音響を停止させるための複数の命令を予め記憶する命令記憶部と、
予め定められた特定の命令(以下「先行特定コマンド」)の読み出しを検知するための情報を予め記憶する特定コマンドテーブルと、
前記特定コマンドテーブルの情報に基づき前記命令記憶部から読み出された命令を監視する監視手段と、
前記監視手段の監視結果に基づき所定の処理を行い前記音響制御部の不具合を回避する回避手段を備え、
前記監視手段は、前記先行特定コマンドが読み出されたとき、前記回避手段を動作させ、
前記回避手段は、前記先行特定コマンドの読み出しの後に予め定められたインターバルを挿入するウエイト処理を行うことを特徴とする遊技機。
【請求項4】
演出に係る処理を行う処理部と、演出に係る音響を発生する音響装置と、前記処理部からの命令に基づき前記音響装置を制御する音響制御部とを備える遊技機において、
前記音響制御部は、特定の命令を実行する際に不具合が生じるものであり、
前記処理部は、
遊技に係る所定の契機で実行され、前記音響装置から所定の音響を発生させ、又は音響を停止させるための複数の命令を予め記憶する命令記憶部と、
予め定められた特定の命令(以下「先行特定コマンド」)の読み出しを検知するための情報を予め記憶する特定コマンドテーブルと、
前記特定コマンドテーブルの情報に基づき前記命令記憶部から読み出された命令を監視する監視手段と、
前記監視手段の監視結果に基づき所定の処理を行い前記音響制御部の不具合を回避する回避手段を備え、
前記監視手段は、計時するためのタイマーを備え、
読み出された命令が前記先行特定コマンドであるとき前記タイマーによる計時を開始し、
命令が読み出されたときに前記タイマーの状態を調べ、前記タイマーが計時中であり、かつ、その計時が予め定められた時間内であるとき、前記回避手段を動作させ、
前記回避手段は、前記先行特定コマンドの読み出しの後に予め定められたインターバルを挿入するウエイト処理を行うことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スロットマシン(回胴式遊技機)やパチンコ機などの遊技機に関し、特に、楽曲、効果音、キャラクターボイスなどの演出に係る音響を発生するための音響制御部(サウンドチップ)を搭載するものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から外周面に図柄が配列された複数のリールを備えた遊技機(回胴式遊技機、スロットマシン)が知られている。この種の遊技機は、遊技媒体(メダル)に対して一定の遊技価値を付与し、このような遊技媒体を獲得するための遊技を行うものである。また、この種の遊技機は、遊技者の回転開始操作を契機として、内部抽選を行うとともに複数のリールの回転を開始させ、遊技者の停止操作契機として、内部抽選の結果に応じた態様で複数のリールを停止させる制御を行っている。そして、遊技の結果は、複数のリールが停止した状態における入賞判定ライン上に表示された図柄組合せによって判定され、遊技の結果に応じてメダル等の払い出しなどが行われる。
【0003】
遊技機では、遊技の興趣向上を図るべく様々な演出がなされる。例えば、装飾部材、モニタ(画面表示装置、液晶表示装置)、スピーカ、LEDランプを取り付け、見た目による演出、映像による演出、音による演出、光による演出等が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5716983号公報 音響制御部には、音響を再生するための再生命令を発行し音響を再生しているときに、再生の停止命令を発行したにもかかわらず、音響の再生が停止されないことがあるという不具合(バグ)をもつ音響制御部(サウンドチップ)を搭載する遊技機において、当該不具合による影響を抑制する。単発的に音響を発生させるワンショット再生命令については特に処理を行わず、音響を繰り返し発生させるループ再生命令については、その停止命令を音響制御部へ送った後においても、繰り返し停止命令を音響制御部へ送る。管理状態が停止状態であっても、繰り返し停止命令を発行するので、停止命令を発行しても再生が止まらないという不具合を抑制できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
遊技機は、スピーカ(音響装置)から音響を発生させるための音響制御部(サウンドチップ(IC))を備える。これは、例えばひとつ又は複数のICで構成されるものであり、遊技機の基板(サブ基板)に搭載されるか、あるいはスピーカ基板に搭載されてサブ基板から信号を受けて処理を行う。CPUと一体に構成されることもある。スピーカは音響制御部により制御ないし駆動される。音響制御部は、予め記憶された音響のデータ(サウンドフレーズ、フレーズデータ)をデコードすることで音響を再生するものである。
【0006】
サブ基板は音響制御部に対して予め定められているコマンドを送り、音響制御部は受けたコマンドに基づき所定の音響を再生する。音響制御部はコマンドに従って適切に動作するように設計されているが、設計ミスなどに起因する不具合(バグ)をもつことがある。このバグにより音響制御部が正常に作動できない状態に陥ることがある。
【0007】
例えば、特定のコマンドの組み合わせにおいて音響制御部の一部のチャンネル(レイヤー)が反応しなくなり動作を停止し、音響を発生しないという状態に陥ることが判明した。このバグは、例えば次のような特定のコマンドの組み合わせで生じる。
(1)「音声一時停止命令」を与えた直後から所定時間(10ms)以内に「音声再生命令」を与える。
(2)「音声再生命令」を与えた直後から所定時間(10ms)以内に「音声一時停止解除命令」を与える。
【0008】
このバグの影響は、音響が発生しないという重大なものであり、しかもこの不具合の発生頻度は高い。このバグは、遊技に係る演出の品質を大きく低下させてしまう。バグの修正を行い不具合が生じないようにすべきであるが、音響制御部そのものの問題でありそのメーカー側の対策を待つ他はなく、それがなされるまでの間は当該不具合の根本的な解決は困難である。
【0009】
本発明は、音響制御部のもつ上述のバグ(不具合)の発生を抑制し、その影響を限定的なものとし、これにより遊技機の商品価値が低下することがないようにできる遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、演出に係る処理を行う処理部と、演出に係る音響を発生する音響装置と、前記処理部からの命令に基づき前記音響装置を制御する音響制御部とを備える遊技機において、
前記音響制御部は、特定の命令を実行する際に不具合が生じるものであり、
前記処理部は、
遊技に係る所定の契機で実行され、前記音響装置から所定の音響を発生させ、又は音響を停止させるための複数の命令を予め記憶する命令記憶部と、
予め定められた特定の命令(以下「先行特定コマンド」)及びこれに続く命令(以下「縦続特定コマンド」)の読み出しを検知するための情報を予め記憶する特定コマンドテーブルと、
前記特定コマンドテーブルの情報に基づき前記命令記憶部から読み出された命令を監視する監視手段と、
前記監視手段の監視結果に基づき所定の処理を行い前記音響制御部の不具合を回避する回避手段を備え、
前記監視手段は、前記先行特定コマンドが読み出され、この後に前記縦続特定コマンドが読み出され、かつ、前記先行特定コマンドと前記縦続特定コマンドの読み出し間隔が予め定められた時間内であるとき、前記回避手段を動作させ、
前記回避手段は、前記先行特定コマンドの読み出しの後に予め定められたインターバルを挿入するウエイト処理を行うものである。
【0011】
この発明は、演出に係る処理を行う処理部と、演出に係る音響を発生する音響装置と、前記処理部からの命令に基づき前記音響装置を制御する音響制御部とを備える遊技機において、
前記音響制御部は、特定の命令を実行する際に不具合が生じるものであり、
前記処理部は、
遊技に係る所定の契機で実行され、前記音響装置から所定の音響を発生させ、又は音響を停止させるための複数の命令を予め記憶する命令記憶部と、
予め定められた特定の命令(以下「先行特定コマンド」)及びこれに続く命令(以下「縦続特定コマンド」)の読み出しを検知するための情報を予め記憶する特定コマンドテーブルと、
前記特定コマンドテーブルの情報に基づき前記命令記憶部から読み出された命令を監視する監視手段と、
前記監視手段の監視結果に基づき所定の処理を行い前記音響制御部の不具合を回避する回避手段を備え、
前記監視手段は、計時するためのタイマーを備え、
読み出された命令が前記先行特定コマンドであるとき前記タイマーによる計時を開始し、
読み出された命令が前記縦続特定コマンドであり、かつ、前記タイマーが計時中であるとともにその計時が予め定められた時間内であるとき、前記回避手段を動作させ、
前記回避手段は、前記先行特定コマンドの読み出しの後に予め定められたインターバルを挿入するウエイト処理を行うものである。
【0012】
この発明は、演出に係る処理を行う処理部と、演出に係る音響を発生する音響装置と、前記処理部からの命令に基づき前記音響装置を制御する音響制御部とを備える遊技機において、
前記音響制御部は、特定の命令を実行する際に不具合が生じるものであり、
前記処理部は、
遊技に係る所定の契機で実行され、前記音響装置から所定の音響を発生させ、又は音響を停止させるための複数の命令を予め記憶する命令記憶部と、
予め定められた特定の命令(以下「先行特定コマンド」)の読み出しを検知するための情報を予め記憶する特定コマンドテーブルと、
前記特定コマンドテーブルの情報に基づき前記命令記憶部から読み出された命令を監視する監視手段と、
前記監視手段の監視結果に基づき所定の処理を行い前記音響制御部の不具合を回避する回避手段を備え、
前記監視手段は、前記先行特定コマンドが読み出されたとき、前記回避手段を動作させ、
前記回避手段は、前記先行特定コマンドの読み出しの後に予め定められたインターバルを挿入するウエイト処理を行うものである。
【0013】
この発明は、演出に係る処理を行う処理部と、演出に係る音響を発生する音響装置と、前記処理部からの命令に基づき前記音響装置を制御する音響制御部とを備える遊技機において、
前記音響制御部は、特定の命令を実行する際に不具合が生じるものであり、
前記処理部は、
遊技に係る所定の契機で実行され、前記音響装置から所定の音響を発生させ、又は音響を停止させるための複数の命令を予め記憶する命令記憶部と、
予め定められた特定の命令(以下「先行特定コマンド」)の読み出しを検知するための情報を予め記憶する特定コマンドテーブルと、
前記特定コマンドテーブルの情報に基づき前記命令記憶部から読み出された命令を監視する監視手段と、
前記監視手段の監視結果に基づき所定の処理を行い前記音響制御部の不具合を回避する回避手段を備え、
前記監視手段は、計時するためのタイマーを備え、
読み出された命令が前記先行特定コマンドであるとき前記タイマーによる計時を開始し、
命令が読み出されたときに前記タイマーの状態を調べ、前記タイマーが計時中であり、かつ、その計時が予め定められた時間内であるとき、前記回避手段を動作させ、
前記回避手段は、前記先行特定コマンドの読み出しの後に予め定められたインターバルを挿入するウエイト処理を行うものである。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、読み出した命令が音響制御部に不具合を生じさせるかどうか監視手段により判定し、これに基づき前記音響制御部の不具合を回避する回避手段を動作させるので、音響制御部のもつ不具合の発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】前扉を閉めた状態を示すスロットマシンの斜視図である。
図2】前扉を開いた状態を示すスロットマシンの斜視図である。
図3】スロットマシンのブロック図である。
図4】スロットマシンの遊技処理のフローチャートである。
図5】発明の実施の形態に係る遊技機の音響発生系統のブロック図である。
図6】遊技機の音響制御部のブロック図である。
図7】発明の実施の形態に係る音響制御処理のフローチャートである。
図8】発明の実施の形態に係る音響制御処理の他のフローチャートである。
図9】発明の実施の形態に係る音響制御処理の動作説明図である。
図10】発明の実施の形態に係る他の音響制御処理のフローチャートである。
図11】発明の実施の形態に係る他の音響制御処理の他のフローチャートである。
図12】発明の実施の形態に係る他の音響制御処理の動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<遊技機の構造>
図1は前扉を閉めた状態を示すスロットマシンの正面図、図2は前扉を開いた状態を示すスロットマシンの正面図を示す。なお、以下の説明において、上、下、左又は右の方向は、特に断らない限り、スロットマシンに対向している遊技者から見た方向を指すものとする。
【0017】
図1及び図2中、100はスロットマシンを示すもので、このスロットマシン100は、スロットマシン筐体120と、このスロットマシン筐体120の前面片側にヒンジ等により開閉可能に取り付けられた前扉130とを備えている。前扉130は、それぞれ独立に開閉可能な上扉130Uと下扉130Lとを備えている。
【0018】
前記前扉130の前面の右上隅には、ゲーム表示部131を設けている。遊技者はゲーム表示部131を通してリールユニット203の3つのリールを見ることができる。
【0019】
上扉130Uの上面の右側に、遊技者がメダルを投入するためのメダル投入口132を設け、メダル投入口132の左側には、メダル投入口132から投入され、詰まってしまったメダルをスロットマシン100外に強制的に排出するためのリジェクトボタン133を設けている。
【0020】
上扉130Uの上面の左側にはゲームを開始するためのスタートスイッチ134を設け、スタートスイッチ134とメダル投入口132の間に、3つのリールのそれぞれに対応して3つのストップボタン140を設けている。
【0021】
上扉130Uの中央には液晶パネルLCD1を設け、下扉130Lにはほぼその全面にわたって液晶パネルLCD2を設けている。
【0022】
下扉130Lの上面の中央、すなわち、ストップボタン140の上、ベットスイッチBETとメダル投入口132の間には、操作部としてのスイッチ(十字キーユニット)SWを設けている。スイッチSWは、例えばカーソルを上下左右に動かすカーソルキー(スイッチ)や操作の確定ボタン・キャンセルボタンなどを含む。
【0023】
スロットマシン100の左右端にはそれぞれ電飾DRU、DRL、DLU、DLLを設けている。すなわち、上扉130Uの左端に電飾DLUを設け、右端に電飾DRUを設けるとともに、下扉130Lの左端に電飾DLLを設け、右端に電飾DRLを設けている。電飾DRU、DRL、DLU、DLLは、それぞれその内部に発光素子(LED)を備えている。
【0024】
スロットマシン筐体120の内部には、図2に示すように、その内底面に固定され、内部に複数のメダルを貯留して、貯留したメダルを下扉130Lの前面下部に設けた払出し口に1枚ずつ払い出すためのホッパ装置121が設置されている。このホッパ装置121の上部には、上方に向けて開口し、内部に多数のメダルを貯留するホッパタンク122を備えている。スロットマシン筐体120の内部には、上扉130Uを閉めたときにゲーム表示部131が来る位置に三個のリールからなるリールユニット203が設置されている。リールユニット203は、外周面に複数種類の図柄が配列されている3つのリール(第1リール〜第3リール)を備えている。ゲーム表示部131には開口部が設けられていて、それを通して遊技者が前記リールユニット203の各回転リールの図柄を見ることができるようになっている。ホッパ装置121の左側には電源部205を設けている。
【0025】
図2に示すように、下扉130Lの背面にはメダル(コイン)セレクタ1が、下扉130L上面のメダル投入口132の下部に取り付けられている。このメダルセレクタ1は、メダル投入口132から投入されたメダルの通過を検出しながら、当該メダルをホッパ装置121に向かって転動させ、外径が所定寸法と違う異径メダルや、鉄又は鉄合金で作製された不正メダルを選別して排除するとともに、1ゲームあたりに投入可能な所定枚数以上のメダルを選別して排除するための装置である。
【0026】
また、メダルセレクタ1の下側には、図2に示すように、その下部側を覆って下扉130L下部の払出し口に連通する導出路136を設けている。メダルセレクタ1により振り分けられたメダルは、この導出路136を介して払出し口から遊技者に返却される。
【0027】
スロットマシン筐体120の内部、リールユニット203の下側にはメイン基板10が取り付けられている。メイン基板10には、遊技に関する内部設定(例えば、複数の抽選テーブルのどれを使用するか)を行うための設定変更スイッチSSWを設けている。上扉130Uの背面中央下部にはサブ基板20が取り付けられている。
【0028】
スロットマシン筐体120の内部の左上隅には低音スピーカSPLを設けるとともに、下扉130Lの下部には標準的な音域をカバーする2つのスピーカSPを設けている。
【0029】
サブ基板20の右下には、遊技機の保守を行うためのメンテナンススイッチMSWが設けられている。メンテナンススイッチMSWをオンにすると遊技機はメンテナンス(保守管理)状態となり、メンテナンスのメニューが液晶パネルLCD1などに表示される。
【0030】
図3はスロットマシン100の機能ブロック図を示す。
【0031】
この図において電源系統についての表示は省略されている。図3では示していないが、スロットマシンは商用電源(AC100V)から直流電源(+5Vなど)を発生するための電源部(図2の電源部205)を備える。
【0032】
スロットマシン100は、その主要な処理装置としてメイン基板10とこれからコマンドを受けて動作するサブ基板20とを備える。メイン基板10やサブ基板を含む基板は、外部から接触不能となるようにケース内部に収容され、これら基板を取り外す際に痕跡が残るように封印処理が施されている。具体的には、メイン基板10とサブ基板20はカシメにより一体となり取り付けられるとともに、メイン基板10とサブ基板20の全体を覆う一体のケースによりカバーされている。
【0033】
メイン基板10は、遊技者の操作を受けて内部抽選を行ったり、回胴の回転・停止やメダルの払い出しなどの処理(遊技処理)を行うためのものである。メイン基板10は、予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うCPUと、前記プログラムを記憶する記憶手段であるROMおよび処理結果などを一時的に記憶するRAMを含む。
【0034】
サブ基板20は、メイン基板10からコマンド信号を受けて内部抽選の結果を報知したり各種演出を行うためのものである。サブ基板20は、前記コマンド信号に応じた予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うCPUと、前記プログラムを記憶する記憶手段であるROMおよび処理結果などを一時的に記憶するRAMを含む。コマンドの流れはメイン基板10からサブ基板20への一方のみであり、逆にサブ基板20からメイン基板10へコマンド等が出されることはない。
【0035】
以下、メイン基板とサブ基板について詳しく説明する。
【0036】
<メイン基板>
メイン基板10には、ベットスイッチBET、スタートスイッチ134、ストップボタン140、リール(回胴)ユニット203、設定変更スイッチSSW、ホッパ駆動部80、ホッパ81及びホッパ81から払い出されたメダルの枚数を数えるためのメダル検出部82(これらは前述のホッパ装置121を構成する)が接続されている。
【0037】
設定変更スイッチSSWは、複数のスイッチ、例えば、鍵を差し込んで回すことによりオンになる設定キースイッチと押しボタンなどの設定変更スイッチを含む。設定変更スイッチSSWは、後述の設定変更及び設定参照を行うためのスイッチである。
【0038】
メイン基板10には、さらに、メダルセレクタ1のメダルセンサS1及びS2が接続されている。
【0039】
メダルセレクタ1には、メダルを計数するためのメダルセンサS1及びS2を設けている。メダルセンサS1及びS2は、メダルセレクタ1に設けられた図示しないメダル通路の下流側(出口近傍)に取り付けられている(メダル通路の上流側はメダル投入口132に連通している)。2つのメダルセンサS1とS2は、メダルの進行方向に沿って所定間隔を空けて並べて設けている。メダルセンサS1、S2は、例えば、互いに対向した発光部と受光部とを有して断面コ字状に形成され、その検出光軸をメダル通路内に上方から臨ませて位置するフォトインタラプタである。各フォトインタラプタにより、途中で阻止されずに送られてきたメダルの通過が検出される。なお、フォトインタラプタを2つ隣接させたのは、メダル枚数を検出するだけでなく、メダルの通過が正常か否かを監視するためである。すなわち、フォトインタラプタを2つ隣接させて設けることにより、メダルの通過速度や通過方向を検出することができ、これによりメダル枚数だけでなく、逆方向に移動する不正行為を感知することができる。
【0040】
メイン基板10には、さらに、上扉130U及び下扉130Lの開放を検知するためのドアセンサ206が接続されている。ドアセンサ206は、マイクロスイッチやリードスイッチなどの機械式スイッチ、フォトダイオードやフォトインタラプタなどの光電式スイッチ、扉が開いたときの距離を測るポテンショメータや扉が開いたときの角度を測るロータリエンコーダなどである。ドアセンサ206は、例えば、前扉130の左側(ヒンジ側)又は右側のいずれか一方あるいは両方に取り付けられる。スロットマシン筐体が上下にそれぞれ扉を備える分離方式である場合、ドアセンサ206は、例えば、上扉側又は下扉側のいずれか一方あるいは両方に取り付けられる。
【0041】
リールユニット203は、3つの回胴40a〜40cと、これらをそれぞれ回転させるステッピングモータ155a〜155cと、それらの位置をそれぞれ検出する回胴位置検出器(インデックスセンサ)159a〜159cとを備える(なお、ステッピングモータ155a〜155cを単にモータ155あるいはモータと記すことがある)。
【0042】
回胴制御手段1300は、回胴40a〜40cそれぞれが1回転する毎にインデックスセンサ159で検出される基準位置信号に基づいて、回胴40の基準位置(図示しないインデックスによって特定されるコマ)からの回転角度を求める(ステップモータの回転軸の回転ステップ数をカウントする)ことによって、現在の回胴40の回転状態を監視することができるようになっている。すなわち、メイン基板10は、回胴40の基準位置からの回転角度を求めることにより、ストップボタン140の作動時における回胴40の位置を得ることができる。
【0043】
なお、以下の説明において、任意のひとつ又は複数の回胴を示すときは符号40を使用し、3つの回胴をそれぞれ区別して示すときは符号40a〜40cを使用することにする。
【0044】
ホッパ駆動部80は、ホッパ81の図示しない回転ディスクを回転駆動して、メイン基板10によって指示された払出数のメダルを払い出す動作を行う。遊技機は、メダルを1枚払い出す毎に作動するメダル検出部82を備えており、メイン基板10は、メダル検出部82からの入力信号に基づいてホッパ81から実際に払い出されたメダルの数を管理することができる。
【0045】
投入受付部(投入受付手段)1050は、メダルセレクタ1のメダルセンサS1とS2の出力を受け、遊技毎にメダルの投入を受け付けて、規定投入数に相当するメダルが投入されたことに基づいて、スタートスイッチ134に対する第1回胴〜第3回胴の回転開始操作を許可する処理を行う。なお、スタートスイッチ134の押下操作が、第1回胴〜第3回胴の回転を開始させる契機となっているとともに、内部抽選を実行する契機となっている。また、遊技状態に応じて規定投入数を設定し、通常状態およびボーナス成立状態では規定投入数を3枚に設定し、ボーナス状態では規定投入数を1枚に設定する。
【0046】
メダルが投入されると、遊技状態に応じた規定投入数を限度として、投入されたメダルを投入状態に設定する。あるいは、遊技機にメダルがクレジットされた状態で、ベットスイッチBETが押下されると、遊技状態に応じた規定投入数を限度して、クレジットされたメダルを投入状態に設定する。メダルの投入を受け付けるかどうかは、メイン基板10が制御する。スタートスイッチ134が押下され各回胴の回転が開始した時点(遊技開始時点)から3つのストップボタン140が押下され各回胴の回転が停止した時点(入賞した場合はメダル払い出しが完了した時点)(遊技終了時点)の間であって、メダルの投入を受け付ける状態になっていないときは(許可されていないときは)、メダルを投入してもメダルセンサS1、S2でカウントされず、そのまま返却される。同様に、メイン基板10は、メダルの投入を受け付ける状態か否かに応じて、ベットスイッチBETの有効/無効を制御する。また、前記遊技終了時点から前記遊技開始時点までの間でベットスイッチBETは有効となるが、これ以外の期間においては(BETスイッチの押下が許可されていないときは)、ベットスイッチBETを押下しても、それは無視される。
【0047】
メイン基板10は、乱数発生手段1100を内蔵する。乱数発生手段1100は、抽選用の乱数値を発生させる手段である。乱数値は、例えば、インクリメントカウンタ(所定のカウント範囲を循環するように数値をカウントするカウンタ)のカウント値に基づいて発生させることができる。なお本実施形態において「乱数値」には、数学的な意味でランダムに発生する値のみならず、その発生自体は規則的であっても、その取得タイミング等が不規則であるために実質的に乱数として機能しうる値も含まれる。
【0048】
内部抽選手段1200は、遊技者がスタートスイッチ134からのスタート信号に基づいて、役の当否を決定する内部抽選を行う。すなわち、メイン基板10のメモリ(図示せず)に記憶されている抽選テーブル(図示せず)を選択する抽選テーブル選択処理、乱数発生手段1100から得た乱数の当選を判定する乱数判定処理、当選の判定結果で大当たりなどに当選したときにその旨のフラグを設定する抽選フラグ設定処理などを行う。
【0049】
抽選テーブル選択処理では、図示しない記憶手段(ROM)に格納されている複数の抽選テーブル(図示せず)のうち、いずれの抽選テーブルを用いて内部抽選を行うかを決定する。抽選テーブルでは、複数の乱数値(例えば、0〜65535の65536個の乱数値)のそれぞれに対して、リプレイ、小役(ベル、チェリー)、レギュラーボーナス(RB:ボーナス)、およびビッグボーナス(BB:ボーナス)などの各種の役が対応づけられている。また、遊技状態として、通常状態、ボーナス成立状態、およびボーナス状態が設定可能とされ、さらにリプレイの抽選状態として、リプレイ無抽選状態、リプレイ低確率状態、リプレイ高確率状態が設定可能とされる。
【0050】
抽選テーブル選択処理により、抽選の内容は所定の範囲内で設定可能(当選の確率を高くしたり低くしたりできる)であり、遊技機が設置されるホールなどにおいて店側により設定作業が行われる。この設定作業で使用するスイッチが設定変更スイッチSSWである。
【0051】
通常の遊技機は、BB,RB、小役等の抽選確率の異なる複数(例えば6つ)の抽選テーブルを予め備える。遊技機の抽選では、それら複数の抽選テーブルの中から1つが設定され、この設定された抽選テーブルに基づいて抽選による当たり/ハズレの判定がなされる。複数の抽選テーブルのうちどれを使用するかに関する設定を変更することを、設定の変更(以下、「設定変更」と記す)と称している。
【0052】
従来、例えばスロットマシンのような遊技機では、設定値(通常1〜6)を変更する場合、遊技機の扉を開け、メイン基板10に設けられた設定変更スイッチSSWのキースイッチに設定変更キーを挿入して当該キースイッチをオンにした状態で遊技機の電源を投入して設定変更可能な状態にし、設定変更スイッチSSWの設定変更ボタン(押ボタン)を1回押下するごとに、7セグメント表示器などに表示される設定値がインクリメントされて1〜6までの値を循環的に変化させ、所望する設定値が表示器に表示されたところでスタートスイッチを操作することで、所望する設定値を確定させている。
【0053】
現在の設定値が何であるか参照するための処理(設定参照手順)も用意されている。電源オンの状態で設定変更スイッチSSWの設定変更キースイッチをオンにする。そして設定変更ボタン(押ボタン)を押すことで設定参照可能な状態になる。この設定参照状態においては、メイン基板10は、記憶されている設定値を液晶パネル又は7セグ表示器などに表示する。設定変更キースイッチをオフにすると設定参照状態から抜けて通常遊技状態になる。
【0054】
乱数判定処理では、スタートスイッチ134からのスタート信号に基づいて、遊技毎に乱数発生手段(図示せず)から乱数値(抽選用乱数)を取得し、取得した乱数値について前記抽選テーブルを参照して役に当選したか否かを判定する。
【0055】
抽選フラグ設定処理では、乱数判定処理の結果に基づいて、当選したと判定された役の抽選フラグを非当選状態(第1のフラグ状態、オフ状態)から当選状態(第2のフラグ状態、オン状態)に設定する。2種類以上の役が重複して当選した場合には、重複して当選した2種類以上の役のそれぞれに対応する抽選フラグが当選状態に設定される。抽選フラグの設定情報は、記憶手段(RAM)に格納される。
【0056】
入賞するまで次回以降の遊技に当選状態を持ち越し可能な抽選フラグ(持越可能フラグ)と、入賞の如何に関わらず次回以降の遊技に当選状態を持ち越さずに非当選状態にリセットされる抽選フラグ(持越不可フラグ)とが用意されていることがある。この場合、前者の持越可能フラグが対応づけられる役としては、レギュラーボーナス(RB)およびビッグボーナス(BB)があり、それ以外の役(例えば、小役、リプレイ)は後者の持越不可フラグに対応づけられている。すなわち抽選フラグ設定処理では、内部抽選でレギュラーボーナスに当選すると、レギュラーボーナスの抽選フラグの当選状態を、レギュラーボーナスが入賞するまで持ち越す処理を行い、内部抽選でビッグボーナスに当選すると、ビッグボーナスの抽選フラグの当選状態を、ビッグボーナスが入賞するまで持ち越す処理を行う。このときメイン基板10は、内部抽選機能により、レギュラーボーナスやビッグボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技でも、レギュラーボーナスおよびビッグボーナス以外の役(小役およびリプレイ)についての当否を決定する内部抽選を行っている。すなわち抽選フラグ設定処理では、レギュラーボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技において、内部抽選で小役あるいはリプレイが当選した場合には、既に当選しているレギュラーボーナスの抽選フラグと内部抽選で当選した小役あるいはリプレイの抽選フラグとからなる2種類以上の役に対応する抽選フラグを当選状態に設定し、ビッグボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技において、内部抽選で小役あるいはリプレイが当選した場合には、既に当選しているビッグボーナスの抽選フラグと内部抽選で当選した小役あるいはリプレイの抽選フラグとからなる2種類以上の役に対応する抽選フラグを当選状態に設定する。
【0057】
回胴制御手段1300は、遊技者がスタートスイッチ134の押下操作(回転開始操作)によるスタート信号に基づいて、第1回胴〜第3回胴をステッピングモータにより回転駆動して、第1回胴〜第3回胴の回転速度が所定速度(約80rpm:1分間あたり約80回転となる回転速度)に達した状態において回転中の回胴にそれぞれ対応する3つのストップボタン140の押下操作(停止操作)を許可する制御を行うとともに、ステッピングモータにより回転駆動されている第1回胴〜第3回胴を抽選フラグの設定状態(内部抽選の結果)に応じて停止させる制御を行う。
【0058】
また、回胴制御手段1300は、3つのストップボタン140に対する押下操作(停止操作)が許可(有効化)された状態において、遊技者が3つのストップボタン140を押下することにより、その回胴停止信号に基づいて、リールユニット203のステッピングモータへの駆動パルス(モータ駆動信号)の供給を停止することにより、第1回胴〜第3回胴の各回胴を停止させる制御を行う。
【0059】
すなわち、回胴制御手段1300は、3つのストップボタン140の各ボタンが押下される毎に、第1回胴〜第3回胴のうち押下されたボタンに対応する回胴の停止位置を決定して、決定された停止位置で回胴を停止させる制御を行っている。具体的には、記憶手段(ROM)に記憶されている停止制御テーブル(図示せず)を参照して3つのストップボタンの押下タイミングや押下順序等(停止操作の態様)に応じた第1回胴〜第3回胴の停止位置を決定し、決定された停止位置で第1回胴〜第3回胴を停止させる制御を行う。
【0060】
ここで停止制御テーブルでは、ストップボタン140の作動時点における第1回胴〜第3回胴の位置(押下検出位置)と、第1回胴〜第3回胴の実際の停止位置(または押下検出位置からの滑りコマ数)との対応関係が設定されている。滑りコマ数とは、回胴停止時にゲーム表示部から視認できる特定の図柄を基準位置としたときのストップボタン140の操作から対応する回胴の回転停止までの間に当該基準位置を通過する図柄の数をいう。回胴制御手段1300は、各ストップボタン140の操作から190ms以内という条件下で各回胴を停止させるため、滑りコマ数は0以上4以下の範囲内となっている(ただし、80回転/分、図柄数=21個の条件において)。抽選フラグの設定状態に応じて、第1回胴〜第3回胴の停止位置を定めるための停止制御テーブルが用意されることもある。
【0061】
前述のように、回胴制御手段1300は、回胴が1回転する毎にインデックスセンサ159で検出される基準位置信号に基づいて、回胴の基準位置(リールインデックスによって検出されるコマ)からの回転角度(ステップモータの回転軸の回転ステップ数)を求めることによって、現在の回胴の回転状態を監視することができるようになっている。すなわち、メイン基板10は、ストップボタン140の作動時における回胴の位置を、回胴の基準位置からの回転角度を求めることにより得ることができる。
【0062】
回胴制御手段1300は、いわゆる引き込み処理と蹴飛ばし処理とを回胴を停止させる制御として行っている。引き込み処理とは、抽選フラグが当選状態に設定された役に対応する図柄が有効な入賞判定ライン上に停止するように(当選した役を入賞させることができるように)回胴を停止させる制御処理である。一方蹴飛ばし処理とは、抽選フラグが非当選状態に設定された役に対応する図柄が有効な入賞判定ライン上に停止しないように(当選していない役を入賞させることができないように)回胴を停止させる制御処理である。すなわち本実施形態の遊技機では、上記引き込み処理及び蹴飛ばし処理を実現させるべく、抽選フラグの設定状態、ストップボタン140の押下タイミング、押下順序、既に停止している回胴の停止位置(表示図柄の種類)などに応じて各回胴の停止位置が変化するように停止制御テーブルが設定されている。このように、メイン基板10は、抽選フラグが当選状態に設定された役の図柄を入賞の形態で停止可能にし、一方で抽選フラグが非当選状態に設定された役の図柄が入賞の形態で停止しないように第1回胴〜第3回胴を停止させる制御を行っている。
【0063】
本実施形態の遊技機では、第1回胴〜第3回胴が、ストップボタン140が押下された時点から190ms以内に、押下されたストップボタンに対応する回転中の回胴を停止させる制御状態に設定されている。すなわち回転している各回胴の停止位置を決めるための停止制御テーブルでは、ストップボタン140の押下時点から各回胴が停止するまでに要するコマ数が0コマ〜4コマの範囲(所定の引き込み範囲)で設定されている。
【0064】
入賞判定手段1400は、第1回胴〜第3回胴の停止態様に基づいて、役が入賞したか否かを判定する処理を行う。具体的には、記憶手段(ROM)に記憶されている入賞判定テーブルを参照しながら、第1回胴〜第3回胴の全てが停止した時点で入賞判定ライン上に表示されている図柄組合せが、予め定められた役の入賞の形態であるか否かを判定する。
【0065】
入賞判定手段1400は、その判定結果に基づいて、入賞時処理を実行する。入賞時処理としては、例えば、小役が入賞した場合にはホッパ81を駆動してメダルの払出制御処理が行われるか、あるいはクレジットの増加され(規定の最大枚数例えば50枚まで増加され、それを超えた分だけ実際にメダル払い出される)、リプレイが入賞した場合にはリプレイ処理が行われ、ビッグボーナスやレギュラーボーナスが入賞した場合には遊技状態を移行させる遊技状態移行制御処理が行われる。
【0066】
払出制御手段1500は、遊技結果に応じたメダルの払い出しに関する払出制御処理を行う。具体的には、小役が入賞した場合に、役毎に予め定められている配当に基づいて遊技におけるメダルの払出数を決定し、決定された払出数に相当するメダルを、ホッパ駆動部80でホッパ81を駆動して払い出させる。この際に、ホッパ81に内蔵される図示しないモータに電流が流れることになる。
【0067】
メダルのクレジット(内部貯留)が許可されている場合には、ホッパ81によって実際にメダルの払い出しを行う代わりに、記憶手段(RAM)のクレジット記憶領域(図示省略)に記憶されているクレジット数(クレジットされたメダルの数)に対して払出数を加算するクレジット加算処理を行って仮想的にメダルを払い出す処理を行う。
【0068】
リプレイ処理手段1600は、リプレイが入賞した場合に、次回の遊技に関して遊技者の所有するメダルの投入を要さずに前回の遊技と同じ準備状態に設定するリプレイ処理(再遊技処理)を行う。リプレイが入賞した場合には、遊技者の手持ちのメダル(クレジットメダルを含む)を使わずに前回の遊技と同じ規定投入数のメダルが自動的に投入状態に設定される自動投入処理が行われ、遊技機が前回の遊技と同じ入賞判定ラインを有効化した状態で次回の遊技における回転開始操作(遊技者によるスタートスイッチ134の押下操作)を待機する状態に設定される。
【0069】
リプレイ処理手段1600は、所定条件下で内部抽選におけるリプレイの当選確率を変動させる制御を行うことがある。例えば、ストップボタン140の操作によって回胴を停止させた際に所定の出目が表示されるとリプレイの当選確率が変動する。リプレイの抽選状態として、リプレイが内部抽選の対象から除外されるリプレイ無抽選状態、リプレイの当選確率が約1/7.3に設定されるリプレイ低確率状態、およびリプレイの当選確率が約1/6に設定されるリプレイ高確率状態という複数種類の抽選状態を設定可能とされている。
【0070】
エラー処理部1700は、図示しない扉開閉検知センサ、メダルセンサS1及びS2及びメダル検出部82の出力に基づき遊技機のエラー判定を行い、エラーと判定したときにその旨を報知するとともに、遊技機を所定の状態(例えば、操作を受け付けない状態)にする。
【0071】
図示しない扉開閉検知センサは、前扉130(上扉130U、下扉130L)が閉じられたことを検知するセンサであり、例えばマイクロスイッチや接点などの電気的スイッチである。当該スイッチは前扉130(上扉130U、下扉130L)が閉じられたときに、前扉130(上扉130U、下扉130L)の裏側にスイッチの作用部が当接することでオン(又はオフ)になり、前扉130(上扉130U、下扉130L)が開放されると作用部が離れてオフ(又はオン)になるものである。扉開閉検知センサは、フォトインタラプタのような光学式のものでもよい。メダルセンサS1及びS2及びメダル検出部82については前述した。
【0072】
エラー処理部1700は、具体的には次のような動作を行う。
・図示しない扉開閉検知センサの出力に基づき前扉130(上扉130U、下扉130L)の開放を検知したとき、エラー処理を行う。
・メダルセンサS1及びS2の出力に基づきメダルの逆流(センサS1とS2の検知順序が反対になったこと)、メダル滞留(センサS1とS2の検知時間が予め定められた閾値よりも長いこと)などを検知したとき、エラー処理を行う。
・メダル検出部82の出力に基づきメダル詰まり(メダル検出部82の検知時間が予め定められた閾値よりも長いこと)、ホッパーエンプティ(ホッパ駆動部80を動作させているにもかかわらずメダル検出部82がメダルを検知しない)などを検知したとき、エラー処理を行う。
【0073】
エラー処理部1700は、上記のようにエラーと判定したときにその旨を報知するとともに、遊技機を所定の状態(エラー状態)にするが、この状態は図示しないリセットスイッチにより解除される。リセットスイッチは、例えば電源部205のパネルに設けられる。
【0074】
なお、サブ基板20で生じるエラーもある。このエラーでは遊技不能状態にはならないが、サブ基板20自身の処理によりエラーが生じたことを液晶パネルなどにより報知することができる。当該エラーは例えば不正なコマンドを受信したとき(暗号化されたコマンドが正しく復号化できなかったときを含む)に発生し、当該エラーは上記リセットスイッチにより解除される(メイン基板10からサブ基板20へリセットコマンドが送られる)。
【0075】
また、メイン基板10は、通常状態、ボーナス成立状態、およびボーナス状態の間で遊技状態を移行させる制御を行うことがある(遊技状態移行制御機能)。遊技状態の移行条件は、1の条件が定められていてもよいし、複数の条件が定められていてもよい。複数の条件が定められている場合には、複数の条件のうち1の条件が成立したこと、あるいは複数の条件の全てが成立したことに基づいて、遊技状態を他の遊技状態へ移行させることができる。
【0076】
通常状態は、複数種類の遊技状態の中で初期状態に相当する遊技状態で、通常状態からはボーナス成立状態への移行が可能となっている。ボーナス成立状態は、内部抽選でビッグボーナスあるいはレギュラーボーナスに当選したことを契機として移行する遊技状態である。ボーナス成立状態では、通常状態における内部抽選でビッグボーナスが当選した場合、ビッグボーナスが入賞するまでビッグボーナスに対応する抽選フラグが当選状態に維持され、通常状態における内部抽選でレギュラーボーナスが当選した場合、レギュラーボーナスが入賞するまでレギュラーボーナスに対応する抽選フラグが当選状態に維持される。ボーナス状態では、ボーナス遊技によって払い出されたメダルの合計数により終了条件が成立したか否かを判断し、入賞したボーナスの種類に応じて予め定められた払出上限数を超えるメダルが払い出されると、ボーナス状態を終了させて、遊技状態を通常状態へ復帰させる。
【0077】
リールユニット203は、3つの回胴40a〜40cを備えるが、3つの回胴40a〜40cそれぞれにひとつづつステッピングモータ155a〜155cが取り付けられている。ステッピングモータ155は、回転子(ロータ)として歯車状の鉄心あるいは永久磁石を備え、固定子(ステータ)として複数の巻線(コイル)を備え、電流を流す巻線を切り替えることによって回転動作させるものである。すなわち、固定子の巻線に電流を流して磁力を発生させ、回転子を引きつけることで回転するものである。回転軸を指定された角度で停止させることが可能なことから、スロットマシンの回胴の回転駆動に使用されている。複数の巻線がひとつの相を構成する。相の数として、例えば、2つ(二相)、4つ(4相)、5つ(5相)のものもある。
【0078】
ステッピングモータは、各相の巻線への電流の与え方を変えることにより、特性を変えることができる(励磁モードが変わる)。二相型については次の通りである。
【0079】
・一相励磁
常に巻線一相のみに電流を流す。位置決め精度は良い。
【0080】
・二相励磁
二相に電流を流す。一相励磁の約2倍の出力トルクが得られる。位置決め精度は良く、停止したときの静止トルクが大きいため、停止位置を確実に保持できる。
【0081】
・一−二相励磁
一相と二相を交互に切り替えて電流を流す。一相励磁・二相励磁の場合のステップ角度の半分にすることができるので、滑らかな回転を得られる。
【0082】
なお、ステッピングモータを「駆動する」とは、当該モータを上記励磁により回転させることとともに、所望の位置で停止させその位置を保持するために各相を励磁することも含むものとする。
【0083】
スロットマシンの回胴40a〜40cの駆動に関して、例えば、4相の基本ステップ角度1.43度のステッピングモータを使用し、パルスの出力方法として一−二相励磁を採用している。
【0084】
10CGは、サブ基板20へ送るコマンドを送信するコマンド送信部である。このコマンドには、当選役の情報に関するコマンド、メダル投入枚数やクレジット枚数(貯留枚数)の情報に関するコマンドなどがある。コマンド送信部10CGは、具体的には、メイン基板10に搭載されたROMに予め書き込まれたプログラムをCPUが実行することで実現される。コマンド送信については、後に説明を加える。
【0085】
<サブ基板>
サブ基板20には、液晶パネルLCD1及びLCD2、LED(LED基板)202B及び202L、スピーカSP、低音スピーカSPL、ソレノイドSN、モータMU及びML、センサSENU及びSENL、スイッチSWが接続されている。LED202B、202Lは、データを取得し保持するラッチと電飾であるLEDを内蔵している(LEDは基板の外部に設けられることもある)。これらの構成要素は、サブ基板20により制御されるものであり、映像、光、音響、可動体の動作により演出を行う出力装置、あるいは、可動体の動作を検知するための入力装置または遊技者による操作を受け付ける入力装置である。
【0086】
サブ基板20は、液晶パネルLCD1及びLCD2を制御するためのビデオコントローラ(VDC)、スピーカSP、低音スピーカSPLを駆動して音響を発生させるためのサウンドコントローラ、ソレノイドSN、モータMU及びMLを駆動するための駆動回路を内蔵している。
【0087】
上述した液晶パネルなどの構成要素は、低音スピーカSPLを除き、スロットマシン筐体120に内蔵される機種固有ブロックBB、上扉130Uに対応して設けられる上扉ブロックBU、下扉130Lに対応して設けられる下扉ブロックBLの3つのいずれかに区別されて設けられる。
【0088】
図3の例では、機種固有ブロックBBはソレノイドSN及びLED202Bを含み、上扉ブロックBUは、液晶パネルLCD1、モータMU及びこれによる可動体の動作を検知するセンサSENUを含み、下扉ブロックBLは、液晶パネルLCD2、スピーカSP、LED202L、モータML、これによる可動体の動作を検知するセンサSENL、カーソルキーなどのスイッチSWを含む。なお、液晶パネルLCD2全体がモータMLにより若干前後に移動可能に構成され、液晶パネルLCD2が前に出た状態で遊技者がこれを押すという操作が可能な場合がある。この場合、下扉ブロックBLのスイッチSWは液晶パネルLCD2の押下を検知するスイッチを含む。
【0089】
<メイン基板からサブ基板へのコマンド伝送>
サブ基板20はメイン基板10からコマンドをうけ、これに従って演出等の処理を行う。コマンドの流れはメイン基板10からサブ基板20への一方のみであり、逆にサブ基板20からメイン基板10へコマンド等が出されることはない。
【0090】
サブ基板20は、メイン基板10からのコマンドに従い、例えば、予め定められた画面を液晶パネルLCD1、LCD2に表示させるためのコマンド(表示コマンド、描画コマンド)を生成する。例えば、アニメーションなどにより演出を行う際には、多数のコマンドを連続的に次々と送信する。
【0091】
図3において、20CRは、メイン基板10から受けたコマンドを受信するコマンド受信部である。コマンド受信部20CRは、具体的には、サブ基板20に搭載されたROMに予め書き込まれたプログラムをCPUが実行することで実現される。
【0092】
上記コマンドとして、サブ基板20側のソフトウエアで当選内容を示唆する演出を行うためのものがある。例えば、下記ATのように、出玉を得るための示唆を液晶パネルに表示して遊技者の操作の便宜の提供(アシスト)を図っている。当該示唆は常時出されるわけではなく、特定の場合に出される。
【0093】
遊技機は、液晶パネル、スピーカや表示ランプ等からなる演出表示装置を備える。この演出表示装置はサブ基板20により制御され、遊技者に入賞等を報知したり、いわゆるアシストタイム(AT)において、一定ゲーム間に特定の小役を台自体が何らかのアクションを伴ってユーザに教えたりするためのものである。(アシストタイム(AT):特定の小役が成立しても遊技者がリールの図柄を揃えないと払い戻しがない。小役による払い出しを確実にするために、ビッグボーナス終了後(もしくは成立時)あるいはその他の任意の契機にアシストタイムを抽選し、これに当選すると一定ゲーム間は特定の小役を揃えさせるための操作を何らかのアクションを伴って遊技者に教えるという機能)
【0094】
コマンド受信部20CRは、メイン基板10から受けたコマンドを受信する。例えば、シリアルデータとして受けたコマンドを直列−並列変換器(シフトレジスタ)に入力し、一定のデータ(例えば8ビット)ごとに出力する。この出力されたデータがコマンドとしてサブ基板20のCPUに渡され、解釈・実行される。
【0095】
次に、メイン基板10における遊技処理について図4を参照して説明を加える。
一般的に、遊技機において、メダルの投入(クレジットの投入)に始まり、払い出しが終了するまで(又はクレジット数の増加が終了するまで)が一遊技である。一遊技が終了するまでは次回の遊技に進めないという決まりがある。
【0096】
先ず、規定枚数のメダルが投入されることでスタートスイッチ134が有効になり、図4の処理が開始される。
【0097】
ステップS1において、スタートスイッチ134が操作されることにより、スタートスイッチ134がONとなる。そして、次のステップS2に進む。
【0098】
ステップS2において、メイン基板10により抽選処理が行われる。そして、次のステップS3に進む。
【0099】
ステップS3において、第1リール〜第3リールの回転が開始する。そして、次のステップS4に進む。
【0100】
ステップS4において、ストップボタン140が操作されることにより、ストップボタン140がONとなる。そして、次のステップS5に進む。
【0101】
ステップS5において、第1リール〜第3リールのうち押下されたストップボタン140に対応するリールについて回転停止処理が行われる。そして、次のステップS6に進む。
【0102】
ステップS6において、三個のリールに対応するストップボタン140の操作が行われたか否かが判定される。そして、三個のリールに対応する3つのストップボタン140すべての操作が行われたと判定された場合、次のステップS7に進む。
【0103】
ステップS7において、抽選フラグ成立中に当該抽選フラグに対応する入賞図柄が有効入賞ライン上に揃ったか否か、すなわち、入賞が確定したか否かが判定される。そして、入賞が確定したと判定された場合、次のステップS8に進む。なお、入賞が確定しなかったときは、抽選フラグが成立していてもメダルの払い出しは行われない。
【0104】
ステップS8において、入賞図柄に相当するメダルが払い出される。
【0105】
メダルの投入からステップS8の実行完了までが、一遊技である。ステップS8の待機処理が終了すると、処理はフローチャートの最初に戻る。言い換えれば、次の遊技が可能な状態になる(次遊技へ移行する)。
【0106】
図5(a)は、発明の実施の形態に係る遊技機の音響発生系統のブロック図である。
【0107】
20は、図3に示したサブ基板であるが、発明の実施の形態に係る遊技機を説明するために書きなおしたものである。
【0108】
SCは、スピーカ(音響装置)SPから音響を発生させる音響制御部である。音響制御部SCは、サブ基板20からの指令に基づき所定の音響(音声、音楽、効果音など)をスピーカSPから出力させる。
【0109】
音響制御部SCは、例えばスピーカ基板201に内蔵されるか、又は、サブ基板20に内蔵されている。サブ基板20のCPUと一体に構成されてもよい。
【0110】
音響制御部SCは電子回路を備えるものであり、ひとつ又は複数の半導体集積回路(IC)からなるサウンドチップと呼ばれるものである。音響制御部SCは、再生命令、停止命令、音量変化命令など複数の命令に従い、音響を再生する。サブ基板20は、音響制御部SCに対して、それらの命令を所定間隔空けて(例えば16.7ms単位で)送ることができる。音響制御部SCには、次のような不具合(バグ)が存在している。
【0111】
特定の命令(以下、不具合に関する命令について「コマンド」と記すことがある)の組み合わせにおいて音響制御部の一部のチャンネル(レイヤー)が反応しなくなり動作を停止し、音響を発生しないという状態に陥ることがある。このバグは、例えば次のような特定のコマンドの組み合わせで生じる。
【0112】
(1)「音声一時停止命令」を与えた直後から所定時間(10ms)以内に「音声再生命令」を与える。
【0113】
(2)「音声再生命令」を与えた直後から所定時間(10ms)以内に「音声一時停止解除命令」を与える。
【0114】
バグを発生させる特定のコマンドの組み合わせを構成する複数のコマンドのうち、先に実行されるコマンドを「先行特定コマンド」と記し、これに続くコマンドを「縦続特定コマンド」と記すことがある。(1)の例では、「音声一時停止命令」が「先行特定コマンド」であり、「音声再生命令」が「縦続特定コマンド」である。(2)の例では、「音声再生命令」が「先行特定コマンド」であり、「音声一時停止解除命令」が「縦続特定コマンド」である。バグとなる特定のコマンドの組み合わせは、それらの順序も関係しており、順序が逆であるとバグによる動作停止は発生しないことがある。すなわち、バグによる音響制御部のチャンネル動作停止の条件は、「先行特定コマンド」「縦続特定コマンド」がこの順番で読み出され、かつ、これらの間隔が所定時間(10ms)以内であること、である。
【0115】
このバグの影響は、音響が発生しないという重大なものであり、しかもこの不具合の発生頻度は高く、遊技に係る演出の品質を大きく低下させてしまう。これを回避するために、発明の実施の形態に係る遊技機においては、以下に説明するような回避手段を採用した。
【0116】
図5(a)において、20Cは、遊技に係る所定の契機で実行され、スピーカ(音響装置)SPから所定の音響を発生させ、又は音響を停止させるための複数の命令を予め記憶する命令記憶部である。命令記憶部20Cは、例えばサブ基板20に設けられているROMに設けられている。
【0117】
20Sは、予め定められた特定の命令(先行特定コマンド)及びこれに続く命令(縦続特定コマンド)の読み出しを検知するための情報を予め記憶する特定コマンドテーブルである。特定コマンドテーブル20Sは、例えばサブ基板20に設けられているROMに設けられている。「特定の命令などの読み出しを検知するための情報」は、例えば「命令」そのものである。この場合、監視手段20Fが、命令記憶部20Cから読み出された命令を特定コマンドテーブル20Sの命令(コマンド)と直接比較して読み出された命令が特定コマンドであるかどうか判断する。あるいは、当該「情報」は特定コマンドを特徴付けるデータ(ビットパターンなど)である。この場合、監視手段20Fが、読み出された命令のビットパターンを特定コマンドテーブル20Sのビットパターンと比較する。特定コマンドが特定のアドレスにのみ記憶されているのであれば、当該アドレスを当該「情報」とすることもできる。
【0118】
20Fは、特定コマンドテーブル20Sの情報に基づき命令記憶部20Cから読み出された命令を監視する監視手段である。「情報」を読み出された命令又は命令を特徴づける情報と比較することにより監視する。「情報」がアドレスであれば当該アドレスへのアクセスを監視する。詳しくは後述するが、監視手段20Fは、先行特定コマンドが読み出され、この後に縦続特定コマンドが読み出され、かつ、先行特定コマンドと縦続特定コマンドの読み出し間隔が予め定められた時間内であるとき、回避手段20Aを動作させる。
【0119】
20Aは、監視手段20Fの監視結果に基づき所定の処理を行い音響制御部SCの不具合を回避する回避手段である。「回避」とは、「先行特定コマンド」及び「縦続特定コマンド」を、バグの回避が可能な命令に置換することである。置換された命令が音響制御部SCに与えられる。詳しくは後述するが、回避手段20Aは、先行特定コマンドの読み出した後に予め定められたインターバルを挿入するウエイト処理を行う。
【0120】
図5(b)は、特定コマンドテーブル20Sの内容を示す。不具合を生じさせるコマンドの組み合わせ、すなわち「先行特定コマンド」及び「縦続特定コマンド」とその順序を記憶している。図5(b)の組み合わせ−Aは上記(1)の例に対応し、組み合わせ−Bは上記(2)の例に対応する。これは例示であり、説明の便宜上簡略化している。図示以外の命令を含むものであってもよい。
【0121】
図6は、音響制御部SCの内部ブロック図である。
【0122】
SC1は、少なくともひとつのサウンドデータ(例えばWAV)を予め記憶しているサウンドデータ記憶部である。なお、サウンドデータ記憶部SC1を、音響制御部SCの外部に設けるようにしてもよい。この場合、音響制御部SCとは別個独立の記憶部(ROM)を設け、これをサウンドデータ記憶部SC1とする。
【0123】
SC2−1乃至SC2−4は、前記サウンドデータに基づきそれぞれ音響信号を発生する複数の再生部である。各再生部SC2−1乃至SC2−4が発生する音響信号は互いに異なるものである。
【0124】
SC3は、前記複数の音響信号を合成してひとつの合成音響信号を出力する合成部である。図6は4つのレイヤーのサウンドデータを合成してひとつにする装置を示している。合成部SC3はデジタル回路又はアナログ回路で構成される。その入力がデジタル信号のときはデジタル回路、例えば加算器で構成される。その入力がアナログ信号のときはアナログ回路、例えば増幅器(演算増幅器による加算回路)で構成される。合成部SC3の出力はスピーカSPへ送られる。
【0125】
SC4は、再生部SC2−1乃至SC2−4を制御する再生制御部である。
【0126】
図6に示すように、音響制御部SCはそれぞれ独立に音響を発生できる複数のチャンネル(レイヤー)を備えるが、いずれかのチャンネルで発生した上記不具合は、他のチャンネルに影響を与えない。
【0127】
図7は、発明の実施の形態に係る音響制御処理のフローチャートである。図7は、ひとつのレイヤーについての処理を示している。
【0128】
ST10:サブ基板20のCPUが、命令記憶部20Cから命令を読み出す。
【0129】
ST11:監視手段20Fが、サブ基板20のCPUが命令記憶部20Cから読み出した命令を監視し、当該命令が先行特定コマンドであるかどうか判断する。先行特定コマンドであれば(YES)、ST12に進む。先行特定コマンドでなければ(NO)、ST15に進む。
【0130】
ST12:監視手段20Fが、サブ基板20のCPUが命令記憶部20Cから次に読み出した命令を監視し、当該命令が縦続特定コマンドであるかどうか判断する。縦続特定コマンドであれば(YES)、ST13に進む。縦続特定コマンドでなければ(NO)、ST15に進む。
【0131】
ST13:監視手段20Fが、先行特定コマンドと縦続特定コマンドの間隔が、予め定められた時間(例えば10ms)以内であるかどうか判断する。当該時間以内であれ(YES)、ST14に進み回避手段20Aを動作させる。そうでなければ(NO)、ST15に進む)。
【0132】
ST11〜ST13により、先行特定コマンドと縦続特定コマンドがこの順番で読み出され、かつ、先行特定コマンドと縦続特定コマンドの読み出し間隔が予め定められた時間内であるときにのみ、つまりバグが発生する場合に限り回避手段20Aを動作させることができる。なお、バグが発生する場合には常に回避手段20Aを動作させるが、バグが発生しない場合にも回避手段20Aを動作させることがあってもよい(例えばST13を省く)。
【0133】
ST14:回避手段20Aが、先行特定コマンドの読み出しの後にウエイト処理を行い、先行特定コマンドと縦続特定コマンドの間にインターバルを挿入する。インターバルの長さは、バグが発生しない程度である。例えば、先行特定コマンドと縦続特定コマンドの間隔が10ms以内であるとバグが発生するのであれば、インターバルは10ms以上であればよい。図7の処理が割り込みにより実行され、その周期が一定(16.7ms)である場合は、ST13の処理は、当該割り込みにおける処理を一旦終了し、次の割込処理で命令を実行するようにすればよい。
【0134】
ST15:サブ基板20のCPUが命令(コマンド)を音響制御部SCへ送り、実行させる。
【0135】
図9は、図7の処理の説明図である。図9(a)は、図7による回避処理の対象となるケースを示す。すなわち、音声一時停止命令(先行特定コマンド)と音声再生命令(縦続特定コマンド)がこの順番で読み出されている。しかも、音声一時停止命令(先行特定コマンド)と音声再生命令(縦続特定コマンド)の読み出し間隔が予め定められた時間内である(図9(a)では間隔がゼロ)。
【0136】
図9(a)のケースでは図7のST11、ST12、ST13いずれでもYESとなり、回避手段20Aが動作する。この結果、図9(b)のように音声一時停止命令(先行特定コマンド)と音声再生命令(縦続特定コマンド)の間にインターバルが挿入される。これによりバグが発生しなくなる。
【0137】
図9(c)は、図7による回避処理の対象とならないケースを示す。音声一時停止命令(先行特定コマンド)と音声再生命令(縦続特定コマンド)がこの順番で読み出されているが、その間隔が予め定められた時間(10ms)よりも長いのでバグは発生せず、インターバルを挿入する必要がない。
【0138】
発明の実施の形態によれば、バグが発生するケースにおいて回避手段によりインターバルを挿入するのでバグの発生を抑制することができ、遊技機の商品価値が低下することがないようにできる。
【0139】
図8は、発明の実施の形態に係る音響制御処理の他のフローチャートである。
【0140】
ST10:サブ基板20のCPUが、命令記憶部20Cから命令を読み出す。
【0141】
ST20:監視手段20Fが、サブ基板20のCPUが命令記憶部20Cから読み出した命令を監視し、当該命令の種類を判定する。すなわち、当該命令が先行特定コマンド、縦続特定コマンド、その他のコマンドのいずれであるかを判定する。先行特定コマンドであればST21に進み、図示しないタイマーを起動して計時を開始する。その後、ST15に進む。縦続特定コマンドであればST22に進む。その他のコマンドであればST15に進む。
【0142】
ST22:監視手段20Fが、タイマーが計時中であるかどうか判定する。計時中であれば(YES)、今回の命令が縦続特定コマンドであり、その前が先行特定コマンドであることを意味し、バグ発生の可能性があるのでST23に進み、さらに判定を行う。計時中でなければ(NO)、バグ発生の可能性はないからST15に進む。
【0143】
ST23:監視手段20Fが、タイマーの計時時間を調べる。図9(c)のように計時時間が所定時間以内でなければ、例えば10msを超えていれば(NO)、バグ発生の可能性はない。何もせずにST24に進む。計時時間が所定時間以内であれば(YES)、ST14に進み回避手段20Aを動作させる。
【0144】
ST20〜ST23により、先行特定コマンドと縦続特定コマンドがこの順番で読み出され、かつ、先行特定コマンドと縦続特定コマンドの読み出し間隔が予め定められた時間内であるときにのみ、つまりバグが発生する場合に限り回避手段20Aを動作させることができる。なお、バグが発生する場合には常に回避手段20Aを動作させるが、バグが発生しない場合にも回避手段20Aを動作させることがあってもよい。
【0145】
ST14:回避手段20Aが、先行特定コマンドの読み出しの後にウエイト処理を行い、先行特定コマンドと縦続特定コマンドの間にインターバルを挿入する。インターバルの長さは、バグが発生しない程度である。例えば、先行特定コマンドと縦続特定コマンドの間隔が10ms以内であるとバグが発生するのであれば、インターバルは10ms以上であればよい。図8の処理が割り込みにより実行され、その周期が一定(16.6ms)である場合は、ST13の処理は、当該割り込みにおける処理を一旦終了し、次の割込処理で命令を実行するようにすればよい。
【0146】
ST24:監視手段20Fが、タイマーをリセット(停止)させる。
【0147】
ST15:サブ基板20のCPUが命令(コマンド)を音響制御部SCへ送り、実行させる。
【0148】
図8の処理によれば、バグが発生するケースにおいて回避手段によりインターバルを挿入するのでバグの発生を抑制することができ、遊技機の商品価値が低下することがないようにできる。
【0149】
図7及び図8の処理は、バグが発生する場合には常に回避手段20Aを動作させるものであったが、バグ発生の可能性があるが、バグが発生しない場合も含めて回避手段20Aを動作させるようにもできる。
【0150】
図10は、図7の縦続特定コマンドの判定、及び、特定コマンド間の間隔の判定を省略した処理を示す。図10のST10、ST11、ST14、ST15は、図7の同じ符号の各処理と同じであるので、その説明は省略する。特定コマンドテーブル20Sは縦続特定コマンドの情報を記憶しておく必要はない。
【0151】
図12は、図10の処理の説明図である。図12(a)は、図10による回避処理の対象となるケースを示す。すなわち、音声一時停止命令(先行特定コマンド)が読み出される全ての場合が対象になる。縦続のコマンドの種類、命令間の間隔は関係がない。
【0152】
図12(a)のケースでは図7のST11でYESとなり、回避手段20Aが動作する。この結果、図12(b)のように音声一時停止命令(先行特定コマンド)と他の任意のコマンドの間にインターバルが挿入される。これによりバグが発生しなくなる。
【0153】
図11は、図8の縦続特定コマンドの判定を省略した処理を示す。図10のST10、ST14、ST15、ST21、ST22、ST23、ST24は、図8の同じ符号の各処理と同じであるので、その説明は省略する。
【0154】
図11のST20は、読み出された命令が先行特定コマンドか、これ以外かを判別する。すなわち、先行特定コマンドが読み出される全ての場合が対象になる。
【0155】
図11では命令間の間隔を判定しているので、図12(c)のように計時時間が所定時間以内でなければ(ST23でNO)、バグ発生の可能性はないから何もせずにST24に進む。計時時間が所定時間以内であれば(YES)、ST14に進み回避手段20Aを動作させる。
【0156】
図10及び図11の処理によれば、バグ発生の可能性があるケースにおいて回避手段によりインターバルを挿入するのでバグの発生を抑制することができ、遊技機の商品価値が低下することがないようにできる。
【0157】
図10及び図11は、図7及び図8とは異なりバグが発生しないケースにおいてもインターバルを挿入する。これは本来不要であり、無駄であるとも言える。しかし、コマンド実行が若干遅延する点以外、インターバルの挿入による影響はなく、反面、処理が簡単になるというメリットがある。サブ基板20のCPUの負荷が大きく処理能力に余裕がないような場合には図10及び図11を採用することができる。
【0158】
以上の説明において遊技機としてスロットマシンを例に挙げたが、本発明の実施の形態はパチンコ機のような他の遊技機にも適用できる。
【0159】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0160】
20 サブ基板(処理部)
20A 回避手段
20C 命令記憶部
20F 監視手段
20S 特定コマンドテーブル
SC 音響制御部
SP スピーカ(音響装置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12