【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は上述の課題に鑑みてなされたものであり、その第1の局面は次のように規定される。即ち、
ユーザの視界において実像に重畳してオブジェクトに関する情報を表示するヘッドマウントディスプレイであって、
前記ユーザが第1の状態のときに、該ヘッドマウントディスプレイの表示画面に表示すべきオブジェクトに関する第1の情報を保存する第1のレイヤと、該ユーザが第2の状態のときに、該表示画面に表示すべきオブジェクトに関する第2の情報を保存する第2のレイヤとを保存する地図データベースと、
前記ユーザの状態を特定するユーザ状態特定部と、
前記特定された状態に基づいて、前記第1のレイヤあるいは前記第2のレイヤのいずれかのレイヤを選択するレイヤ選択部と、
前記選択されたレイヤに基づいて、前記表示画面への表示を制御する表示制御部と、
を備える、ヘッドマウントディスプレイ。
【0006】
このように規定される第1の局面のヘッドマウントディスプレイ(以下、HMDともいう)によれば、HMDの表示画面に表示するためのオブジェクトに関する情報を、ユーザの状態に応じてレイヤ別に保存する地図データベースを備える。そして、該地図データベースから、特定されたユーザの状態に対応するレイヤを選択し、該選択されたレイヤに基づいて上記オブジェクトにアノテーションを重畳表示させる。このようなHMDによれば、アノテーションを表示するに際し、特定されたユーザの状態に応じて対応するレイヤを参照して該当するアノテーションを読み出せば良い。このため、アノテーション表示にかかる処理の負荷を低減することができる。また、特定されたユーザの状態に基づいて上記レイヤを選択するため、ユーザの利便性も損なうことがない。
【0007】
上記オブジェクトとは、ユーザに対して案内を行うための対象物をいい、例えば、施設や建造物、景勝地等が挙げられる。
上記アノテーションとは、上記オブジェクトに対する注釈であって、コンピュータで作成される付加情報である。このようなアノテーションは、テキスト、アイコン、アニメーション等種々の態様で上記オブジェクトに重畳表示される。当該アノテーションとして、例えば、オブジェクトの名称、広告、特徴、ユーザ投稿等を挙げることができる。
上記ユーザの状態としては、ユーザ位置の高さ、ユーザ位置の高さの変化、ユーザの移動速度、ユーザの視線の仰俯角が挙げられる。また、他の例としては、性別や年齢等の属性情報、移動目的等としても良い。
【0008】
ユーザが地表に位置する場合に比べて、高所に位置する場合の視界範囲は広範である。例えば、タワー等の高所からは、山や川などの景勝地も一望できるが、同時に地表に位置する店舗も視界に入る。この場合に、山や川に対してアノテーションを表示するのと同様に、当該視界に入った店舗についてまでアノテーションを表示すると、ユーザに煩わしさを与えることとなる。
そこで、この発明の第2の局面は次のように規定される。即ち、
第1の局面に規定のヘッドマウントディスプレイにおいて、前記第1のレイヤは第1の高さに適した第1の情報を保存し、前記第2のレイヤは第2の高さに適した第2の情報を保存し、
前記ユーザ状態特定部は、前記ユーザの高さを特定し、
前記レイヤ選択部は、前記特定された高さに対応するレイヤを選択する。
【0009】
このHMDでは、ユーザの高さに応じて、表示に適したアノテーションを表示することができる。ユーザの高さによっては、ユーザが当該位置に存在する目的が異なる場合がある。したがって、当該高さに適したアノテーションの種類、アノテーションの数を考慮すれば、よりユーザの便宜となる。例えば、ユーザ高さが低い場合には通勤や買物、ユーザ高さが高い場合には観光等であると推認できる。この目的の違いをレイヤに反映させるべく、当該HMDにおいては、例えば、第1のレイヤとしての低層レイヤには、施設や建造物の名称、周辺スーパーの広告やカフェのクーポン、洋服屋のセール情報等に関する情報を保存し、第2のレイヤとしての高層レイヤには、観光名所の名称や、山や川等景勝地の名称等に関する情報を保存する。このように高さに応じたレイヤを備えれば、アノテーションを表示する際、ユーザの高さを参照して対応するレイヤを選択し、該レイヤに保存された情報に基づいてアノテーションを表示することが可能となる。ユーザ高さに応じたレイヤを参照してアノテーションを表示するため、表示されるアノテーションの数が制限されて処理負荷が低減されるとともに、ユーザの所望するアノテーションを表示することができ便宜である。
【0010】
上記ユーザの高さが同じであっても、その高さの変化によっては、ユーザが表示を欲するアノテーションも異なる。すなわち、高層ビルのエレベータ等で上昇しながら外景を見ている場合と、下降しながら外景を見ている場合には、同じ高さであっても、ユーザの関心の対象となるオブジェクトは異なる。例えば、ユーザが上昇している場合にはより遠くの、あるいはより高いオブジェクトに関心が移る一方、下降している場合にはより近く、より周辺のオブジェクトに関心が移る。
そこで、この発明の第3の局面は次のように規定される。即ち、
第2の局面に規定のヘッドマウントディスプレイにおいて、前記ユーザ状態特定部は、前記ユーザの高さの変化を特定し、
前記レイヤ選択部は、前記特定された高さの変化に応じたレイヤを選択する。
【0011】
ここで、前記レイヤ選択部は、前記ユーザ状態特定部が前記ユーザの高さが上方へ変化していることを特定したとき、前記ユーザの現在高さに対応するレイヤより高い高さに対応するレイヤを選択し、前記ユーザの高さが下方へ変化していることを特定したとき、前記ユーザの現在高さに対応するレイヤより低い高さに対応するレイヤを選択することとできる(第4の局面)。
このHMDでは、ユーザの高さに加えて、その高さの変化に応じたユーザの上記オブジェクトへの関心の移行を考慮して、当該関心の移行に基づき先取り的に適当なアノテーションを表示することができる。
【0012】
この発明の第5の局面は次のように規定される。即ち、
第1の局面に規定のヘッドマウントディスプレイにおいて、前記第1のレイヤは第1の移動速度に適した第1の情報を保存し、前記第2のレイヤは第2の移動速度に適した第2の情報を保存し、
前記ユーザ状態特定部は、前記ユーザの移動速度を特定し、
前記レイヤ選択部は、前記特定された移動速度に対応するレイヤを選択する。
【0013】
このHMDでは、ユーザの移動速度に応じて、表示に適したアノテーションを表示することができる。上記ユーザの高さと同様、ユーザの移動速度によっても、ユーザの移動目的が異なる場合がある。したがって、当該移動速度に適したアノテーションの種類、アノテーションの数を考慮すれば、よりユーザの便宜となる。例えば、一定範囲内のアノテーションの数が同じであれば、移動速度が速いほどより多くのアノテーションが表示されることとなり、ユーザにとって煩わしい場合がある。また、移動速度の違いは、ユーザの移動目的の指標となる。例えば、移動速度が遅い場合には通勤や買物、移動速度が速い場合には観光等その目的を推認することができる。この移動目的の違いにより、例えば、表示するアノテーションの種類を選別することができる。移動目的が観光であるのに、周辺スーパーの広告を表示するのは、ユーザにとって煩雑だからである。
【0014】
ユーザの位置が同じであっても、該ユーザの視線の仰俯角によっては、ユーザが表示を欲するアノテーションも異なる。すなわち、ユーザの視線が仰角である場合には、より遠くの、あるいはより高いオブジェクトが関心の対象となる一方、視線が俯角である場合には、より近く、より周辺のオブジェクトが関心の対象となる。
この発明の第6の局面は次のように規定される。即ち、
第2〜第5のいずれかの局面に規定のヘッドマウントディスプレイにおいて、前記ユーザ状態特定部は、前記ユーザの視線の仰俯角を特定し、
前記レイヤ選択部は、前記特定された仰俯角に基づいて前記レイヤを選択する。
このHMDでは、ユーザの視線の仰俯角を考慮して、該ユーザの関心の対象となるオブジェクトのアノテーションを表示することが可能となる。
【0015】
また、この発明の第7の局面は次のように規定される。即ち、
ユーザの視界において実像に重畳してオブジェクトに関する情報を表示するヘッドマウントディスプレイの制御方法であって、
前記ユーザが第1の状態のときに、該ヘッドマウントディスプレイの表示画面に表示すべきオブジェクトに関する第1の情報を保存する第1のレイヤと、該ユーザが第2の状態のときに、該表示画面に表示すべきオブジェクトに関する第2の情報を保存する第2のレイヤとを地図データベースに保存する保存ステップと、
ユーザの状態特定部が、前記ユーザの状態を特定するユーザ状態特定ステップと、
レイヤ選択部が、前記特定された状態に基づいて、前記第1のレイヤあるいは前記第2のレイヤのいずれかのレイヤを選択するレイヤ選択ステップと、
表示制御部が、前記選択されたレイヤに基づいて、前記表示画面への表示を制御する表示制御ステップと、
を備える、制御方法。
このように規定される第7の局面の発明によれば、第1の局面と同等の効果を奏する。
【0016】
この発明の第8の局面は次のように規定される。即ち、
第7の局面に規定の制御方法において、前記第1のレイヤは第1の高さに適した第1の情報を保存し、前記第2のレイヤは第2の高さに適した第2の情報を保存し、
前記ユーザ状態特定ステップでは、前記ユーザの高さを特定し、
前記レイヤ選択ステップでは、前記特定された高さに対応するレイヤを選択する。
このように規定される第8の局面の発明によれば、第2の局面と同等の効果を奏する。
【0017】
この発明の第9の局面は次のように規定される。即ち、
第8の局面に規定の制御方法において、前記ユーザ状態特定ステップでは、前記ユーザの高さの変化を特定し、
前記レイヤ選択ステップでは、前記特定された高さの変化に応じたレイヤを選択する。
このように規定される第9の局面の発明によれば、第3の局面と同等の効果を奏する。
【0018】
この発明の第10の局面は次のように規定される。即ち、
第9の局面に規定の制御方法において、前記レイヤ選択ステップでは、前記ユーザ状態特定ステップで前記ユーザの高さが上方へ変化していることを特定したとき、前記ユーザの現在高さに対応するレイヤより高い高さに対応するレイヤを選択し、前記ユーザの高さが下方へ変化していることを特定したとき、前記ユーザの現在高さに対応するレイヤより低い高さに対応するレイヤを選択する。
このように規定される第10の局面の発明によれば、第4の局面と同等の効果を奏する。
【0019】
この発明の第11の局面は次のように規定される。即ち、
第7の局面に規定の方法において、前記第1のレイヤは第1の移動速度に適した第1の情報を保存し、前記第2のレイヤは第2の移動速度に適した第2の情報を保存し、
前記ユーザ状態特定ステップでは、前記ユーザの移動速度を特定し、
前記レイヤ選択ステップでは、前記特定された移動速度に対応するレイヤを選択する。
このように規定される第11の局面の発明によれば、第5の局面と同等の効果を奏する。
【0020】
この発明の第12の局面は次のように規定される。即ち、
第8〜第11のいずれかの局面に規定の方法において、前記ユーザ状態特定ステップでは、前記ユーザの視線の仰俯角を特定し、
前記レイヤ選択ステップでは、前記特定された仰俯角に基づいて前記レイヤを選択する。
このように規定される第12の局面の発明によれば、第6の局面と同等の効果を奏する。
【0021】
更に、この発明の第13の局面は次のように規定される。即ち、
ユーザの視界において実像に重畳してオブジェクトに関する情報を表示するヘッドマウントディスプレイを制御するためのコンピュータプログラムであって、コンピュータを、
前記ユーザが第1の状態のときに、該ヘッドマウントディスプレイの表示画面に表示すべきオブジェクトに関する第1の情報を保存する第1のレイヤと、該ユーザが第2の状態のときに、該表示画面に表示すべきオブジェクトに関する第2の情報を保存する第2のレイヤとを地図データベースに保存する保存手段と、
前記ユーザの状態を特定するユーザ状態特定手段と、
前記特定された状態に基づいて、前記第1のレイヤあるいは前記第2のレイヤのいずれかのレイヤを選択するレイヤ選択手段と、
前記選択されたレイヤに基づいて、前記表示画面への表示を制御する表示制御手段、
として機能させる、コンピュータプログラム。
このように規定される第13の局面の発明によれば、第1の局面と同等の効果を奏する。
【0022】
この発明の第14の局面は次のように規定される。即ち、
第13の局面に規定のコンピュータプログラムにおいて、前記第1のレイヤは第1の高さに適した第1の情報を保存し、前記第2のレイヤは第2の高さに適した第2の情報を保存し、
前記ユーザ状態特定手段は、前記ユーザの高さを特定し、
前記レイヤ選択手段は、前記特定された高さに対応するレイヤを選択する。
このように規定される第14の局面の発明によれば、第2の局面と同等の効果を奏する。
【0023】
この発明の第15の局面は次のように規定される。即ち、
第14の局面に規定のコンピュータプログラムにおいて、前記ユーザ状態特定手段は、前記ユーザの高さの変化を特定し、
前記レイヤ選択手段は、前記特定された高さの変化に応じたレイヤを選択する。
このように規定される第15の局面の発明によれば、第3の局面と同等の効果を奏する。
【0024】
この発明の第16の局面は次のように規定される。即ち、
第15の局面に規定のコンピュータプログラムにおいて、前記レイヤ選択手段は、前記ユーザ状態特定手段が前記ユーザの高さが上方へ変化していることを特定したとき、前記ユーザの現在高さに対応するレイヤより高い高さに対応するレイヤを選択し、前記ユーザの高さが下方へ変化していることを特定したとき、前記ユーザの現在高さに対応するレイヤより低い高さに対応するレイヤを選択する。
このように規定される第16の局面の発明によれば、第4の局面と同等の効果を奏する。
【0025】
この発明の第17の局面は次のように規定される。即ち、
第13の局面に規定のコンピュータプログラムにおいて、前記第1のレイヤは第1の移動速度に適した第1の情報を保存し、前記第2のレイヤは第2の移動速度に適した第2の情報を保存し、
前記ユーザ状態特定手段は、前記ユーザの移動速度を特定し、
前記レイヤ選択手段は、前記特定された移動速度に対応するレイヤを選択する。
このように規定される第17の局面の発明によれば、第5の局面と同等の効果を奏する。
【0026】
この発明の第18の局面は次のように規定される。即ち、
第14〜第17のいずれかの局面に規定のコンピュータプログラムにおいて、前記ユーザ状態特定手段は、前記ユーザの視線の仰俯角を特定し、
前記レイヤ選択手段は、前記特定された仰俯角に基づいて前記レイヤを選択する。
このように規定される第18の局面の発明によれば、第6の局面と同等の効果を奏する。
【0027】
第13〜第18のいずれかの局面に規定されるコンピュータプログラムを記録する記録媒体が第19の局面として規定される。