(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面等を参照して、本発明の実施形態について説明する。
(第1実施形態)
[装置構成]
第1実施形態の監視装置1の構成について説明する。
図1は、第1実施形態の監視装置1のブロック図である。
図2は、第1実施形態の筋活動検出部2を説明する図である。
図1に示すように、監視装置1は、咀嚼筋(被検部)の筋活動を監視する装置である。
監視装置1は、筋活動検出部2、音声出力部3、表示部4、記憶部5、制御部6を備える。
なお、本発明でいうコンピュータとは、記憶装置、制御装置等を備えた情報処理装置をいい、監視装置1は、記憶部5、制御部6等を備えた情報処理装置であり、本発明のコンピュータの概念に含まれる。
監視装置1は、上記ハードウェアを備えれば、どのように構成してもよい。例えば、監視装置1は、音声出力部3、表示部4、記憶部5、制御部6を備える筐体に、筋活動検出部2を接続した一体型の専用の装置であってもよい。また、監視装置1は、音声出力部3、表示部4、記憶部5、制御部6を備える汎用のパーソナルコンピュータ等に、筋活動検出部2を接続したシステムであってもよい。
【0014】
筋活動検出部2は、例えば、被検者Pの咀嚼筋(被検部)の筋電位を検出する装置である。
図2に示すように、筋活動検出部2は、耳掛け部2a、電極2b〜2fを備える。
耳掛け部2aは、被検者Pの耳に引っ掛けるケースである。
電極2b〜2fは、電極2b〜2e、アース電極2fを備える。電極2b〜2fは、電気ケーブルで耳掛け部2aに接続される。
図2(b)に示すように、被検者Pが顎を動かすために利用する筋肉(咀嚼筋)は、側頭筋P1、咬筋P2である。
電極2b,2cは、側頭筋P1に対応した皮膚表面に装着される。電極2d,2eは、咬筋P2に対応した皮膚表面に装着される。アース電極2fは、基準電位を検出するために、側頭筋P1、咬筋P2以外の皮膚表面(耳たぶ等)に装着される。
なお、実施形態では、側頭筋P1の筋電位に基づいて筋活動を監視したが、これに限定されず、咬筋P2又は両方(側頭筋P1、咬筋P2)に基づいて監視してもよい。
また、筋活動検出部2は、被検者Pの咀嚼筋の活動を検出できるものであれば、いずれの形態でもよく、例えば、歪みセンサ、電位センサ、荷重センサ、圧力センサ、距離センサ、加速度センサ、速度センサ、変位センサ、音圧センサ等を用いることができる。実施形態では、これらのなかから、筋電位を検出する形態を選択したが、その他のセンサを用いても、そのセンサの出力信号に対応した情報処理をすることにより、本発明を実現できる。
【0015】
音声出力部3は、スピーカである。
表示部4は、液晶表示装置等の表示装置である。
これら音声出力部3、表示部4は、筋活動の状態を報知する報知部である。報知部は、これらに限定されず、例えば、ランプの発光部等でもよい。発光部の場合には、点滅、発光色等によって、筋活動の状態を報知できる。
【0016】
記憶部5は、監視装置1の動作に必要なプログラム、情報等を記憶するためのハードディスク、半導体メモリ素子等の記憶装置である。
記憶部5は、監視プログラム5aを備える。
監視プログラム5aには、筋活動の状態を判定する判定情報が組み込まれている。
監視プログラム5aの詳細は、後述する。
【0017】
制御部6は、監視装置1を統括的に制御するための制御装置であり、例えば、CPU(中央処理装置)等から構成される。制御部6は、記憶部5に記憶された各種プログラムを適宜読み出して実行することにより、前述したハードウェアと協働し、本発明に係る各種機能を実現している。
制御部6は、取得制御部6a、判定制御部6bを備える。
取得制御部6aは、筋活動検出部2から出力された筋電位y(
図4等参照)をデータ処理することにより、判定制御部6bが処理可能な筋活動測定データに変換する。後述するように、筋活動測定データは、一般に行われているように、筋電位yを積分処理した筋電積分値Yi(
図4等参照)を利用するが、これに限定されない。例えば、筋活動測定データは、筋電位yをそのまま利用してもよい。
判定制御部6bは、筋電積分値Yiに基づいて、筋活動の状態を判定する。
制御部6の詳細な処理は、後述する。
【0018】
[事前処理]
事前処理について説明する。
事前処理は、予め事前被検者の筋活動を測定して、監視装置1に判定情報を設定するための処理である。
なお、実施形態では、判定情報を設定するための被検者を、監視装置1での被検者Pと識別するめために、事前被検者という。
事前処理は、監視装置1とは別の事前測定装置を利用して行う。事前測定装置は、筋活動検出部2と同様な筋活動検出部を、パーソナルコンピュータ(以下、「PC」という)等に接続した装置である。
【0019】
図3は、第1実施形態の事前処理を説明するフローチャートである。
図4は、第1実施形態の事前処理における噛み締め状態の測定結果を示すグラフである。
図4(a)は、筋電図である。
図4(b)は、筋電位の振幅を絶対値化したグラフである。
図4(c)は、積分筋電図である。
図5は、第1実施形態の事前処理における咀嚼状態の測定結果を示すグラフである。
図5(a)〜
図5(c)は、それぞれ
図4(a)〜
図4(c)に対応する図である。
図6は、第1実施形態の事前処理のデータ解析を説明するグラフである。
【0020】
事前処理では、20才代の2人の事前被検者に筋活動をしてもらい、その筋電位を分析した。筋活動状態は、以下の9通りである(2人で合計18回)。
・噛みしめ状態(継続筋活動状態):弱、中、強、最大(4通り)
・ガム咀嚼状態:弱、中、強(3通り)
・瞬き状態(1通り)
・会話状態(1通り)
【0021】
(事前被検者のデータ取得)
上記各状態の電位を、
図3のフローチャートに従って分析した。
ここでは、噛み締め状態(
図4)を例に説明する。
ステップS(以下、単に「S」という)1において、コンピュータの制御部は、筋活動検出部の出力に応じて筋電位yを取得し、筋電図を作成する(
図4(a))。
S2において、制御部は、筋電位yの絶対値|y|を算出する(
図4(b))。
S3において、制御部は、積分筋電図を作成する(
図4(c)参照)。
積分筋電図は、測定時間を0.1s(秒)間隔で分割してn個の区間に分割し、各区間の筋電積分値Yi(i=1〜n)を算出した。例えば、噛みしめ状態が4s間であれば、測定時間は、n=40個の区間に分割される。
S4において、制御部は、(式1)を用いてYiの総和を算出し、また、(式2)を用いてYi
2の総和を算出する。
【0023】
S5において、制御部は、(式3)を用いてYiの総和平均(相加平均)を算出し、また、(式4)を用いて標準偏差σを算出する。
【0025】
S6において、制御部は、(式5)を用いて変動係数C.Vを算出する。
【0027】
S7において、制御部は、筋電積分値Yiの総和平均及び変動係数C.Vを、グラフにプロットする(
図6)。
S8において、制御部は、噛みしめ状態の測定を終了する。
【0028】
コンピュータの制御部は、上記処理を、事前被検者2人、計18回について行い、筋電積分値Yiの総和平均及び変動係数C.Vを、
図6のグラフ上にプロットする。
【0029】
(事前被検者のデータ解析)
図6に示すように、グラフは、筋電積分値Yiの総和平均が50μV・sの判定線L1、変動係数C.Vが50%の判定線L2を境界にして3つの領域A1〜A3に分けることができる。そして、概ね、3つの領域A1〜A3には、以下3つの筋活動状態がそれぞれ配される。
・領域A1:噛みしめ状態(弱、中、強、最大)
・領域A2:咀嚼状態(弱、中、強)
・領域A3:瞬き・会話状態(瞬き状態又は会話状態)
【0030】
このような結果は、以下の理由によると考えられる。
図4に示すように、噛みしめ状態は、咀嚼筋が継続して筋活動した状態である。このため、筋電積分値Yiの総和平均が大きくなり、かつ、変動係数C.Vが小さくなる。変動係数C.Vは、ばらつきの大きさを示すからである。このため、噛み締め状態は、領域A1に配される。
なお、噛みしめ状態は、咀嚼筋が継続して筋活動した状態であり、歯ぎしりの筋活動状態に似ている。このため、実施形態では、噛みしめ状態(継続筋活動状態)は、歯を噛み締めた状態だけではなく、歯ぎしりした状態を含むものとする。
図5に示すように、咀嚼状態は、筋活動された状態が間欠的に、つまり、一定時間間隔で繰り返される。このため、筋電積分値Yiの総和平均が噛み締め状態よりも小さくなり、かつ、変動係数C.Vが大きくなる。このため、咀嚼状態は、領域A2に配される。
瞬き・会話状態は、噛み締め状態及び咀嚼状態よりも筋力が小さいので、筋電積分値Yiの総和平均が噛み締め状態及び咀嚼状態よりも小さくなる。かつ、瞬き・会話状態は、筋活動が間欠的に繰り返される間隔が咀嚼状態よりも短いので、変動係数C.Vが咀嚼状態よりも小さくなる。このため、瞬き・会話状態は、領域A3に配される。
【0031】
以上を考慮して、監視装置1の監視プログラム5aには、筋活動が行われた際の上記3つの状態を判定するために、筋活動の判定情報を2つ設定した。1つは、筋電積分値Yi(筋活動データ)が50μV・sである。もう1つは、変動係数C.Vが50%である。
このように、本実施形態は、事前被検者の筋活動を統計的に分析し、その結果を監視プログラム5aに反映させて、監視装置1が後述するような実際の被検者Pの筋活動を監視するようになっている。
また、事前処理では、強弱を含め複数の筋活動を測定している。このため、監視装置1は、これらの分析結果を利用して、事前被検者に関わらず、低年齢から高年齢を含む他の被検者に対しても、筋活動を精度よく監視できるようになっている。
【0032】
なお、監視プログラム5aは、筋活動の監視中に、「筋電積分値Yi>50μV・s(開始判定値)」を満たした場合に、上記3つの筋活動の判定に関する処理を実行するように設定した。「筋電積分値Yi≦50μV・s」の場合は、筋活動が殆んど行われていない状態であり、筋活動状態ではない安静状態だからである。この判定基準は、一般的に50〜60μV・sであることが公知であり、本実施形態は、50μV・sを採用した。
従って、監視装置1は、被検者Pの筋活動を監視することにより、上記3つの状態(噛みしめ状態、咀嚼状態、瞬き・会話状態)に安静状態を加えた4つの状態を判定できる。
【0033】
[被検者Pの筋活動監視処理]
被検者Pの筋活動監視処理について説明する。
図7は、第1実施形態の筋活動監視処理を説明するフローチャートである。
図8は、第1実施形態の被検者Pに対する筋活動監視処理における積分筋電図である。
図8(a)は、噛みしめ状態である。
図8(b)は、咀嚼状態である。
被検者Pは、筋活動検出部2を取り付けた状態で、筋活動をリアルタイムで監視される。監視は、上記事前処理の解析結果を反映して作成された監視プログラム5aに従って行われる。
S51からS53において、監視装置1の取得制御部6aは、筋活動検出部2の出力に基づいて、S1からS3と同様な処理を行い、筋電積分値Yを取得する。取得制御部6aは、一連の処理が終了する(S61)まで、S51からS53の処理を継続する。
【0034】
S54において、監視装置1の判定制御部6bは、一次判定を行う。
一次判定は、筋活動状態であるか、安静状態であるかを判定する処理である。判定制御部6bは、「筋電積分値Yi>50μV・s」を満たすか否かを判定する。判定制御部6bは、満たす場合には(S54:YES)、S55に進み、一方、満たさないと判定した場合には(S54:NO)、S54aに進む。
判定制御部6bは、この一次判定を行うことにより、その結果(S54:YES)をきっかけに、S55に進んで、上記3つの筋活動状態を判定を開始できる。
【0035】
S54aにおいて、判定制御部6bは、安静状態である判定する。判定制御部6bは、表示部4に「安静状態」等と表示して被検者Pに報知する。そして、判定制御部6bは、S54からの処理を繰り返す。
【0036】
S55に進む場合は、筋活動状態と判定された場合である(S54:YES)。そこで、判定制御部6bは、上記3つの筋活動状態の判別の判定に関する処理を開始する。
S55において、判定制御部6bは、一次判定(S54:YES)の後0.1s経過してから、3s間の測定時間において、筋電積分値Yiを算出する(
図8参照)。判定制御部6bは、筋電積分値Yiの2乗Yi
2についても同様に算出する。また、判定制御部6bは、上記(式1)、(式2)を用いて、筋電積分値Yiの総和、筋電積分値Yiの2乗Yi
2の総和についても算出する。
【0037】
0.1s経過してから算出する理由は、立ち上がり時のデータを除いて、判定精度を向上するためである。
また、この測定時間を3s間にする理由は、筋活動を判定するには、筋電積分値Yiが20個以上(つまり2s以上)が好ましいからである。また、例えば、咀嚼状態では、咀嚼間隔を考慮すると、2sよりも小さいと、咀嚼1回分のデータが取得できない可能性があるからである(
図8(b)参照)。一方、測定時間が4sを超えると、歯ぎしり等の場合には、噛みしめ状態が終わってしまう可能性がある。
従って、この測定時間は、2s以上4s以内が好適であり、本実施形態では、3s間に設定した。
【0038】
S56(平均値算出処理)において、判定制御部6bは、上記式(式3)、(式4)を用いて、測定時間3s間の筋電積分値Yiの総和平均、標準偏差σを算出する。
S57(変動係数算出処理)において、判定制御部6bは、上記(式5)を用いて、変動係数C.Vを算出する。
【0039】
S58において、判定制御部6bは、二次判定を行う。
二次判定は、「筋電積分値Yiの総和平均≧50μV・s」を満たすか否かを判定する。つまり、二次判定は、
図6のグラフにおいて、筋活動状態が、判定線L1を境界にして「A1:噛みしめ状態、A2:咀嚼状態」及び「A3:瞬き・会話状態」のうちいずれに配されるかを判定する。
判定制御部6bは、満たすと判定した場合には(S58:YES)、S59に進み、一方、満たさないと判定した場合には(S58:NO)、S58aに進む。
【0040】
S58aにおいて、判定制御部6bは、被検者Pの筋活動状態が、
図6のグラフにおいて、判定線L2よりも下側に配されるので、「A3:瞬き・会話状態」であると判定する。判定制御部6bは、表示部4に「瞬き・会話状態」等と表示して被検者Pに報知する。そして、判定制御部6bは、S54からの処理を繰り返す。
【0041】
S59において、判定制御部6bは、三次判定(継続筋活動判定処理)を行う。
三次判定は、「変動係数C.V≦50%」を満たすか否かを判定する。つまり、三次判定は、
図6のグラフにおいて、筋活動状態が、判定線L2を境界にして、「A1:噛みしめ状態」及び「A2:咀嚼状態」のうちいずれに配されるかを判定する。
判定制御部6bは、満たすと判定した場合には(S59:YES)、S60に進み、一方、満たさないと判定した場合には(S59:NO)、S59aに進む。
【0042】
S59aに進む場合は、筋活動状態が、
図6のグラフにおいて、判定線L1よりも上側に配され(S58(二次判定):YES)、かつ、判定線L2よりも右側に配される(S59(三次判定):NO)場合である。
このため、S59aにおいて、判定制御部6bは、「A2:咀嚼状態」であると判定する。判定制御部6bは、表示部4に「咀嚼状態」等と表示して被検者Pに報知する。そして、判定制御部6bは、S54からの処理を繰り返す。
【0043】
S60に進む場合は、被検者Pの筋活動状態が、
図6のグラフにおいて、判定線L1よりも上側に配され(S58(二次判定):YES)、かつ、判定線L2よりも左側に配される(S59(三次判定):YES)場合である。
このため、S60において、判定制御部6bは、「A1:噛みしめ状態」であると判定する。そして、判定制御部6bは、表示部4に「噛みしめ状態」等と表示して被検者Pに報知する。
なお、噛みしめ状態は、被検者Pが歯ぎしり等である場合には、歯を食いしばった状態であり、好ましくない。このため、判定制御部6bは、表示部4への出力に加えて、音声出力部3を制御して警告音を出力して、被検者Pに対して確実に報知する。
S61において、制御部6は、一連の処理を終了する。
【0044】
以上説明したように、本実施形態の監視装置1は、事前被検者の筋活動の統計的分析結果が反映されることにより、実際に筋活動を監視する被検者Pの最大筋力等のデータを取得することなく、噛みしめ状態を判定できる。
また、監視装置1は、一次判定、二次判定、三次判定を行うので、噛みしめ状態だけでなく、安静状態、咀嚼状態、瞬き・会話状態についても判定できる。これにより、筋活動をより詳細に分類して判定できる。
【0045】
なお、監視装置1が、例えば一体型である場合には、事前処理は、設計者等の作業者によって、監視装置1の開発、設計時等に行われる。そして、監視装置1は、事前処理を反映した設定を含む監視プログラム5aが既に組み込まれた状態で、市場に提供される。このため、利用者は、閾値を設定することなく監視装置1を使用でき、筋活動を監視できるので利便性がよい。
また、監視装置1が、例えば汎用のPCを利用する場合には、市場に提供された監視プログラム5aをPCにインストールすればよく、一体型と同様に利便性がよい。
【0046】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
なお、以下の説明及び図面において、各実施形態で同様の機能、処理を果たす部分には、同一の符号又は末尾(下1桁又は2桁)に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
第2実施形態以降は、主な装置構成が前述した第1実施形態と同様であり、判定制御部の処理のみが異なる。
【0047】
[事前処理]
事前処理について説明する。
図9は、第2実施形態の事前処理のデータ解析を説明するグラフである。
(事前被検者のデータ解析)
図9に示すように、第2実施形態では、第1実施形態の
図6に示す筋活動を、2つの状態に分類した。
・噛み締め状態:噛み締め状態(弱、中、強、最大)
・咀嚼・会話・瞬き状態:咀嚼状態(弱、中、強)、瞬き状態又は会話状態
【0048】
図9に示すグラフは、判定線L21を境界にして2つの領域A21,A22に分けることができる。領域A21には、噛み締め状態が配され、一方、A22には、咀嚼・会話・瞬き状態が配される。
【0049】
判定線L21は、筋電積分値Yiの総和平均を判別分析することにより、判別係数aによって定義できる。この、判別係数aは、筋電積分値Yiの総和平均、変動係数C.Vを含む式であらわすことができる。
【0051】
以上を考慮して、第2実施形態の監視装置は、筋活動が行われた際の上記2つの状態を判定するために、判別係数aによる判定式「a>0」を筋活動の判定情報に設定した。
【0052】
[被検者の筋活動監視処理]
被検者の筋活動監視処理について説明する。
図10は、第2実施形態の筋活動監視処理を説明するフローチャートである。
S51からS57の処理は、第1実施形態と同様である。
【0053】
S258において、判定制御部(
図1に示す判定制御部6b参照)は、筋電積分値Yiの総和平均、変動係数C.Vを上記(式21)に適用して、判別係数aを算出する。
S259において、判定制御部は、二次判定(継続筋活動判定処理)を行う。
二次判定は、噛みしめ状態であるか、咀嚼・会話・瞬き状態であるかを判定する処理である。
二次判定は、算出した判別係数aが「a>0」を満たす否か、つまり、判別係数aが正の値であるか否かを判定する。すなわち、二次判定は、
図9のグラフにおいて、判定線L21を境界にして、「A21:噛みしめ状態」及び「A22:咀嚼・会話・瞬き状態」のうちいずれに配されるかを判定する。
判定制御部は、満たすと判定した場合には(S259:YES)、S60に進み、一方、満たさないと判定した場合には(S259:NO)、S259aに進む。
【0054】
S259aに進む場合は、被検者の筋活動状態が、
図9のグラフにおいて、判定線L21よりも下側に配される場合(S258(二次判定):NO)である。
このため、S259aにおいて、判定制御部は、「A22:咀嚼・会話・瞬き状態」であると判定する。判定制御部は、表示部(
図1に示す表示部4参照)に「咀嚼・会話・瞬き状態」等と表示して、第1実施形態と同様な報知処理を行う。そして、判定制御部は、S54からの処理を繰り返す。
【0055】
S60に進む場合は、被検者の筋活動状態が、
図9のグラフにおいて、判定線L21よりも上側に配される場合(S259(二次判定):YES)である。
このため、S60において、判定制御部は、「A21:噛みしめ状態」であると判定し、第1実施形態と同様な報知処理を行う。
【0056】
以上説明したように、本実施形態の監視装置は、判別係数aによる判定式を用いるので、簡単な処理によって筋活動を監視できる。
【0057】
(第3実施形態)
第3実施形態以降は、筋電積分値Yと、筋活動の継続時間に基づいて、被検者の筋活動を監視するものである。
[事前処理]
図11は、第3実施形態の事前処理を説明するフローチャートである。
図12は、第3実施形態の事前処理における噛み締め状態、咀嚼状態の積分筋電図である。
図13、
図14は、第3実施形態の事前処理のデータ解析を説明するグラフである。
【0058】
事前処理では、第1実施形態と同様に、事前被検者に筋活動をしてもらい、その筋電位を分析した。筋活動状態は、以下の通りであり、それぞれ複数回測定した。
・噛みしめ状態(継続筋活動状態:噛みしめた状態又は歯ぎしりした状態)
・咀嚼状態(間欠筋活動状態)
・会話状態
【0059】
(事前被検者のデータ取得)
上記各筋活動状態を、
図11のフローチャートに従って分析した。
S1〜3は、第1実施形態と同様である。コンピュータの制御部は、一連の処理が終了するまで(S308)、S1〜S3を継続する。
【0060】
S304において、制御部は、「Yi>60μV・s」を満たすか否かを判定する(
図12参照)。この処理は、第1実施形態のS54と同様に、筋活動状態であるか否を判定するものである。なお、本実施形態では、判定基準50〜60μV・sのうち、60μV・sを採用した。
制御部は、満たすと判定した場合には(S304:YES)、S305に進み、一方、満たさないと判定した場合には(S304:NO)、S304の処理を繰り返す。
【0061】
S305において、制御部は、「Yi>60μV・s」の状態が終わるまでの時間、つまり、「Yi>60μV・s」の状態を維持する継続時間tを計測する。
例えば、
図12(a)の噛みしめ状態であればt=7s程度であり、
図12(b)の咀嚼状態であればt=0.3s程度である。
S306において、制御部は、筋電積分値Yiの総和平均を算出する。算出式は、第1実施形態の(式1)を用いる。
S307において、制御部は、筋電積分値Yiの総和平均、継続時間tを、
図13のグラフにプロットする。
【0062】
制御部は、上記処理を、事前被検者の各筋活動について行い、それぞれ、筋電積分値Yiの総和平均、継続時間tを、
図13のグラフにプロットする。
【0063】
(事前被検者のデータ解析)
図13のグラフは、継続時間t=1.3sの判定線L31を境界にして2つの領域A31,A32に分けることができる。そして、2つの領域A31,A32には、以下2つの筋活動状態がそれぞれ配される。
・領域A31:噛みしめ状態
・領域A32:咀嚼状態、会話状態
【0064】
このような結果は、以下の理由によると考えられる。
図12に示すように、噛み締め状態は、筋肉が継続して筋活動した状態である。このため、1回の継続時間が「t>1.3s」というように長くなる。一方、咀嚼状態、会話状態は、筋肉が間欠的に繰り返して活動した状態である。このため、1回の継続時間が「t≦1.3s」というように短くなる。
従って、筋活動状態は、まず、継続時間t=1.3sの判定線L31によって、2つの状態(「噛み締め状態」、「咀嚼状態、会話状態」)のうちいずれであるかを判定できる。
【0065】
さらに、咀嚼状態、会話状態のいずれであるか判定するために、
図13のグラフに基づいて
図14のグラフを作成した。グラフは、コンピュータを用いて作成しても、解析を行う作業者が作成してもよい。
図14のグラフは、筋電積分値Yiの総和平均が80μV・sの判定線L32を境界にして2つの領域A33,A34に分けることができる。そして、2つの領域A33,A34には、以下3つの筋活動状態がそれぞれ配される。
・領域A33:咀嚼状態
・領域A34:会話状態
このような結果は、咀嚼状態、会話状態ともに筋活動が間欠的に繰り返し活動した状態であるものの、咀嚼状態の方が会話状態よりも1回当たりの筋力が大きいためと考えられる。
【0066】
以上を考慮して、本実施形態の筋活動監視装置の監視プログラムには、筋活動が行われた際の上記3つの状態を判定するために、筋活動の判定情報を2つ設定した。1つは、1回の継続時間t(判定継続時間)が1.3sである。もう1つは、筋電積分値Yiの総和平均が80μV・sである。
このように、本実施形態は、事前被検者の筋活動の継続時間を分析し、その結果を監視プログラムに反映させる。
【0067】
[被検者の筋活動監視処理]
被検者の筋活動監視処理について説明する。
図15は、第3実施形態の筋活動監視処理を説明するフローチャートである。
図16は、第3実施形態の被検者に対する筋活動監視処理における積分筋電図である。
図16(a)は、噛みしめ状態である。
図16(b)は、咀嚼状態である。
S51からS53は、第1実施形態と同様である。
S354において、筋活動監視装置の判定制御部(
図1の判定制御部6b参照)は、一次判定を行う。
一次判定は、第1実施形態と同様に、筋活動状態であるか、安静状態であるかを判定する処理である。
【0068】
S355において、判定制御部は、筋活動状態であると判定して、上記3つの筋活動状態の判別の判定に関する処理を開始する。
判定制御部は、「筋電積分値Yi>60μV・s」を維持する継続時間tの計測を開始する。
S356において、判定制御部は、上記(式3)を用いて、筋電積分値Yiの総和平均を算出する。
S357において、判定制御部は、二次判定(継続筋活動判定)を行う。
二次判定は、「筋電積分値Yi>60μV・s」の継続時間tが「t>1.3s」を満たすか否かを判定する。つまり、二次判定は、
図13のグラフにおいて、筋活動状態が、判定線L31を境界にして「A31:噛みしめ状態」及び「A32:咀嚼状態、会話状態」のうちいずれに配されるかを判定する。
判定制御部は、満たすと判定した場合には(S357:YES)、S60に進み、一方、満たさないと判定した場合には(S357:NO)、S358に進む。
【0069】
この処理では、判定制御部は、1.3s間「筋電積分値Yi>60μV・s」の状態が継続された時点で(S357:YES)、S60に進み、一方、1.3s待たずに「筋電積分値Yi≦60μV・s」となった時点で(S357:NO)、S358に進む。
図16(a)に示すように、例えば、噛みしめ状態の場合には、1.3s間「筋電積分値Yi>60μV・s」の状態が継続されるので(S357:YES)、1.3s経過時にS60に進む。
図16(b)に示すように、一方、咀嚼状態の場合には、1.3s待たずに「筋電積分値Yi≦60μV・s」となるので、その時点で(S357:NO)、S358に進む。会話状態の場合も、同様である。
【0070】
S358(間欠筋活動判別処理)において、判定制御部は、三次判定を行う。
三次判定は、「筋電積分値Yiの総和平均≧80μV・s」を満たすか否かを判定する。
S358に進む場合は、
図13の「A32:咀嚼状態又は会話状態」に配される場合である。そこで、三次判定は、
図14のグラフにおいて、筋活動状態が、判定線L31を境界にして「A32:咀嚼状態」、「A33:噛みしめ状態」のうちいずれに分類されるかを判定する。
【0071】
なお、前述したように、1.3s待たずに「筋電積分値Yi≦60μV・s」となれば(S357:NO)、S358に進む。このため、咀嚼状態等において、被検者が1回の筋活動を行えば、判定制御部は、S358に進むことになる。このため、判定制御部は、咀嚼状態等の各筋活動を判定でき、被検者の筋活動のより詳細な解析(咀嚼間隔や、咀嚼1回当たりの筋力等)に役立てることができる。また、この解析は、筋活動検出部からの出力を記憶部に記憶しておけば、後にコンピュータ等で行うこともできる。
【0072】
判定制御部は、「筋電積分値Yiの総和平均≧80μV・s」を満たすと判定した場合には(S358:YES)、S358aに進み、一方、満たさないと判定した場合には(S358:NO)、S358bに進む。
【0073】
S358aにおいて、判定制御部は、被検者の筋活動状態が、
図14のグラフにおいて、判定線L32よりも上側に配されるので、「A33:咀嚼状態」であると判定する。判定制御部は、第1実施形態と同様な報知処理を行う。そして、判定制御部は、S354からの処理を繰り返す。
【0074】
S358bにおいて、判定制御部は、被検者の筋活動状態が、
図14のグラフにおいて、判定線L32よりも下側に配されるので、「A34:会話状態」であると判定する。判定制御部は、第1実施形態と同様な報知処理を行う。そして、判定制御部は、S354からの処理を繰り返す。
【0075】
以上説明したように、本実施形態の監視装置は、第1実施形態と同様に、被検者の最大筋力等を取得することなく、噛みしめ状態を判定でき、また、安静状態、咀嚼状態、会話状態についても判定できる。さらに、咀嚼状態において、より詳細な解析(咀嚼間隔等)を行うことができる。
【0076】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について説明する。
[事前処理]
事前処理について説明する。
図17は、第4実施形態の事前処理のデータ解析を説明するグラフである。
(事前被検者のデータ解析)
図17に示すように、第4実施形態では、第3実施形態の
図13に示す筋活動を、以下の2つの状態に分類した。
・噛み締め状態
・咀嚼・会話状態(咀嚼状態又は会話状態)
【0077】
図17に示すグラフは、判定線L41を境界にして2つの領域A41,A42に分けることができる。領域A41には、噛み締め状態が配され、一方、領域A42には、咀嚼・会話状態が配される。
【0078】
判定線L41は、筋電積分値Yiの総和平均を判別分析することにより、判別係数eによって定義できる。この、判別係数eは、筋電積分値Yiの総和平均、継続時間tを含む判定式であらわすことができる。
【0080】
以上を考慮して、第4実施形態の監視装置は、筋活動が行われた際の上記2つの状態を判定するために、判別係数eによる判定式「e>0」を筋活動の判定情報に設定した。
【0081】
[被検者の筋活動監視処理]
被検者の筋活動監視処理について説明する。
図18は、第4実施形態の筋活動監視処理を説明するフローチャートである。
S51からS356の処理は、第3実施形態と同様である。
【0082】
S457おいて、判定制御部(
図1に示す判定制御部6b参照)は、筋電積分値Yiの総和平均、継続時間tを上記(式41)に適用して、判別係数eを算出する。
S458において、判定制御部は、二次判定(継続筋活動判定処理)を行う。
二次判定は、噛みしめ状態であるか、咀嚼・会話状態であるかを判定する処理である。二次判定は、算出した判別係数eが「e>0」を満たすか否かを判定する。つまり、二次判定は、
図17のグラフにおいて、判定線L41を境界にして、「A41:噛みしめ状態」及び「A42:咀嚼・会話状態」のうちいずれに配されるかを判定する。
判定制御部は、満たすと判定した場合には(S458:YES)、S60に進み、一方、満たさないと判定した場合には(S458:NO)、S458aに進む。
【0083】
S458aに進む場合は、被検者の筋活動状態が、
図17のグラフにおいて、判定線L41よりも下側に配される場合(S458(二次判定):NO)である。
このため、S458aにおいて、判定制御部は、「A42:咀嚼・会話状態」であると判定する。判定制御部は、第1実施形態と同様な報知処理を行う。そして、判定制御部は、S354からの処理を繰り返す。
【0084】
S60に進む場合は、被検者の筋活動状態が、
図17のグラフにおいて、判定線L41よりも上側に配される場合(S458(二次判定):YES)である。このため、判定制御部は、「A41:噛みしめ状態」であると判定し、第1実施形態と同様な報知処理を行う。
【0085】
以上説明したように、本実施形態の監視装置は、筋電積分値Yiの総和平均、継続時間tを含む判定式を用いるので、簡単な処理によって筋活動を監視できる。
【0086】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について説明する。
[事前処理]
事前処理について説明する。
図19、
図20は、第5実施形態の事前処理のデータ解析を説明するグラフである。
図21は、第5実施形態の筋活動監視処理を説明するフローチャートである。
第5実施形態は、第3実施形態から判定情報の1つを変更した。判定情報の1つは、第3実施形態では、筋電積分値Yiの総和平均であったのに対して、第5施形態では、筋電積分値Yiの総和ΣYiに変更した。
第3実施形態の処理では、噛みしめ状態の場合、その三次判定(
図15のS354:YES〜S357:YES参照)は、1.3sで終了する。このため、噛みしめ状態の場合には、筋電積分値Yiの総和平均の代わりに、筋電積分値Yiの総和ΣYiを用いて判定できると考えられる。
【0087】
そのため、第5施形態では、以下の点を、第3実施形態から変更した。
(1)
図19、
図20に示すように、データ解析のグラフは、縦軸を、筋電積分値Yiの総和ΣYiにした。
なお、各プロットの左右方向(継続時間t)の位置は、変化しない。このため、
図19の判定線L51は、第3実施形態の
図13の判定線L31と同様である。
(2)
図20に示す判定線L52は、「ΣYi=100μV・s」の線である。これは、前述したように、第3実施形態では噛みしめ状態の場合の三次判定が1.3sで終了するので、筋電積分値Yiの総和ΣYiの場合には、「ΣYi=80μV・s×1.3≒100μV・s」と算出できるからである。
【0088】
(3)
図21に示すように、監視処理では、S556において、筋電積分値が「Yi>60μV・s」を満たす間、ΣYiを算出した。ΣYiは、(式1)を適用すればよい。
この場合、噛みしめ状態において、「Yi>60μV・s」が1.3s間継続されれば、i=1〜13になる。また、咀嚼状態等において、「Yi>60μV・s」が例えば、0.8s間継続されれば、i=1〜8になる。
(4)
図21に示すように、S558(間欠筋活動分類処理)において、判定制御部は、「ΣYi≧100μV・s」を満たすか否かを判定する。
判定制御部は、満たすと判定した場合には(S558:YES)、
図20の判定線L52の上側の「A53:咀嚼状態」に配される状態であるので、S558aに進んで、咀嚼状態と判定し、第1実施形態と同様な報知処理を行う。
一方、判定制御部は、満たさないと判定した場合には(S558:NO)、
図20の判定線52の下側の「A54:会話状態」に配される状態であるので、S558bに進んで、会話状態と判定し、第1実施形態と同様な報知処理を行う。
【0089】
以上説明したように、本実施形態の監視装置は、筋電積分値Yiの総和ΣYiを用いて、第3実施形態と同様な効果を奏する。
【0090】
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態について説明する。
[事前処理]
事前処理について説明する。
図22は、第6実施形態の事前処理のデータ解析を説明するグラフである。
(事前被検者のデータ解析)
図22に示すように、第6実施形態では、第5実施形態の
図19に示す筋活動を、以下の2つの状態に分類した。
・噛み締め状態
・咀嚼・会話状態(咀嚼状態又は会話状態)
【0091】
図22に示すグラフは、判定線L61を境界にして2つの領域A61,A62に分けることができる。領域A61には、噛み締め状態が配され、一方、領域A62には、咀嚼・会話状態が配される。
判定線L61は、筋電積分値Yiの総和ΣYiを判別分析することにより、判別係数jによって定義できる。この、判別係数jは、筋電積分値Yiの総和ΣYi、継続時間tを含む判定式であらわすことができる。
【0093】
以上を考慮して、第6実施形態の監視装置は、筋活動が行われた際の上記2つの状態を判定するために、判別係数jによる判定式「j>0」を筋活動の判定情報に設定した。
【0094】
[被検者の筋活動監視処理]
被検者の筋活動監視処理について説明する。
図23は、第6実施形態の筋活動監視処理を説明するフローチャートである。
S51からS556の処理は、第5実施形態と同様である。
【0095】
S657において、判定制御部(
図1に示す判定制御部6b参照)は、筋電積分値Yiの総和ΣYi、継続時間tを上記(式61)に適用して、判別係数jを算出する。
S658において、判定制御部は、二次判定(継続筋活動判定処理)を行う。
二次判定は、噛みしめ状態であるか、咀嚼・会話状態であるかを判定する処理である。
二次判定は、算出した判別係数jが「j>0」を満たすか否かを判定する。つまり、二次判定は、
図22のグラフにおいて、判定線L61を境界にして、「A61:噛みしめ状態」及び「A62:咀嚼・会話状態」のうちいずれに配されるかを判定する。
判定制御部は、満たすと判定した場合には(S658:YES)、S60に進み、一方、満たさないと判定した場合には(S658:NO)、S658aに進む。
【0096】
S658aに進む場合は、被検者の筋活動状態が、
図22のグラフにおいて、判定線L61よりも下側に配される場合(S658(二次判定):NO)である。
このため、S658aにおいて、判定制御部は、「A62:咀嚼・会話状態」であると判定する。判定制御部は、表示部(
図1に示す表示部4参照)に「咀嚼・会話状態」等と表示して被検者に報知する。そして、判定制御部は、S554からの処理を繰り返す。
【0097】
S60に進む場合は、被検者の筋活動状態が、
図22のグラフにおいて、判定線L1よりも上側に配され(S658(二次判定):YES)場合である。
このため、S60において、判定制御部は、「A61:噛みしめ状態」であると判定し、第1実施形態と同様な処理を行う。
【0098】
以上説明したように、本実施形態の監視装置は、筋電積分値Yiの総和ΣYi、継続時間tを含む判定式を用いるので、簡単な処理によって筋活動を監視できる。
【0099】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、後述する変形形態のように種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。また、実施形態に記載した効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、実施形態に記載したものに限定されない。なお、前述した実施形態及び後述する変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。
【0100】
(変形形態)
(1)本実施形態において、監視装置は、筋活動検出部の出力に基づいて、被検者の筋活動をリアルタイムで監視する例を示したが、これに限定されない。例えば、筋活動検出部の出力を記憶データとして記憶装置に記憶しておき、監視装置が、この記憶データを後に解析するものであってもよい。
この場合には、被検者に筋活動検出部を装着し、その出力を記憶すればよい。この場合には、例えば、就寝中の筋活動を、事後に解析したりできる。また、この場合には、記憶データを解析する監視装置自体は、監視プログラムがインストールされていればよいので、筋活動検出部等の装置は不要である。
【0101】
(2)本実施形態において、監視装置は、被検者の咀嚼筋の筋活動を監視する例を示したが、これに限定されない。監視装置は、例えば、他の筋肉の監視をしてもよい。