特許第6095230号(P6095230)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6095230
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】時計用指針車の付勢構造
(51)【国際特許分類】
   G04B 35/00 20060101AFI20170306BHJP
   G04C 3/00 20060101ALI20170306BHJP
【FI】
   G04B35/00 A
   G04C3/00 E
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-22302(P2014-22302)
(22)【出願日】2014年2月7日
(65)【公開番号】特開2015-148546(P2015-148546A)
(43)【公開日】2015年8月20日
【審査請求日】2015年10月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115773
【氏名又は名称】リズム時計工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】加部 浩
【審査官】 藤田 憲二
(56)【参考文献】
【文献】 実開平05−047889(JP,U)
【文献】 実開昭57−097286(JP,U)
【文献】 特開2000−162334(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 13/02,19/02,29/02,35/00
G04C 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
指針が取り付けられ且つケースに対面する指針車を軸方向に付勢する時計用指針車の付勢構造であって、
前記指針車における前記ケースに対面する部分に複数設けられ、前記指針の位置検出に使用される位置検出用孔部を含む透孔と、
透孔内に、周方向に向かって円弧状に突出する前記指針車と一体の舌状片からなり、その解放された先端に摺動部を有する複数の押えバネ部と、
前記ケースにおける前記押えバネ部に対面する部分に設けられ、前記摺動部に対面する環状の平面とその径方向外側端から軸方向に立ち上がる環状の周面とを有し、前記指針車を軸方向に付勢するために前記摺動部が前記平面に当接する環状段部と、からなり、
前記透孔内における径方向内側に寄った部分に前記押えバネ部が位置し、該押えバネ部の径方向外側に前記位置検出用孔部が位置し、前記環状段部の周面が前記位置検出用孔部の径方向内側に位置することを特徴とする時計用指針車の付勢構造。
【請求項2】
前記摺動部には凸部が設けられ、該凸部は前記環状段部の周面によって径方向への移動が規制された状態で前記環状段部の平面を周方向に摺動する請求項1記載の時計用指針車の付勢構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指針が取り付けられる指針車を軸方向に付勢する時計用指針車の付勢構造に関するものであり、特に、電波による時刻信号を得ることで時刻を自動修正する電波時計における指針車の付勢構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、指針表示を行う時計では、指針のブレを抑制し、安定した運針を行うために、バネが設けられた座金からなる金属製の押えバネを、指針を駆動する秒針車や時針車等の歯車と同軸に配設していた。この押えバネは、そのバネ性によって歯車を軸方向に付勢することで押えて、時針車等のガタを無くし、運針を安定させるものであった。
【0003】
また、部品点数及びコストを削減するため、上記押えバネを秒針車等の歯車と一体に形成した構造もあった(例えば、特許文献1、図4及び特許文献2、図8参照)。
【0004】
更に、時刻信号に基づいて時刻を自動修正する時計においても、上記と同様に押えバネを秒針車と一体に形成することが提案されていた(特許文献3、図6図7参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平3−99389号公報
【特許文献2】実用新案登録第2594493号公報
【特許文献3】特許第3625253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
時刻を自動修正する時計においては、上記従来技術のように秒針車等の歯車と押えバネとを一体に形成するだけでなく、押えバネ部分を形成するために穿設される透孔等を指針位置検出にも使用することが望ましいと考えられていた。しかしながら、現在用いられる歯車はプラスチックからなり、その一部に形成される押えバネ部分が変形する可能性もある。このように押えバネ部分が変形すると、指針位置検出部分の位置が変わり、正確に指針位置を検出できなくなるという問題があった。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、上記従来技術の問題点を解決し、時針車等の指針車に一体に形成した押えバネ部の変形を防いで、指針車の回転を精度よく保つことができる時計用指針車の付勢構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の時計用指針車の付勢構造は、指針が取り付けられ且つケースに対面する指針車を軸方向に付勢する時計用指針車の付勢構造であって、前記指針車における前記ケースに対面する部分に複数設けられ、前記指針の位置検出に使用される位置検出用孔部を含む透孔と、該透孔内に、周方向に向かって円弧状に突出する前記指針車と一体の舌状片からなり、その解放された先端に摺動部を有する複数の押えバネ部と、前記ケースにおける前記押えバネ部に対面する部分に設けられ、前記摺動部に対面する環状の平面とその径方向外側端から軸方向に立ち上がる環状の周面とを有し、前記指針車を軸方向に付勢するために前記摺動部が前記平面に当接する環状段部と、からなり、前記透孔内における径方向内側に寄った部分に前記押えバネ部が位置し、該押えバネ部の径方向外側に前記位置検出用孔部が位置し、前記環状段部の周面が前記位置検出用孔部の径方向内側に位置するものである。
【0009】
また、この時計用指針車の付勢構造における前記摺動部には凸部が設けられ、該凸部は前記環状段部の周面によって径方向への移動が規制された状態で前記環状段部の平面を周方向に摺動するものとなっている

【発明の効果】
【0010】
本発明の時計用指針車の付勢構造では、指針車に押えバネ部を一体に形成すると共に、その押えバネ部先端の摺動部が当接して摺動する環状段部をケースに設けているので、押えバネ部が環状段部によって径方向への移動が規制された状態で摺動することになる。そのため、押えバネ部の変形を防ぐことができ、指針車の回転を長期にわたって精度よく保つことができる。
【0011】
また、時刻の自動修正時に指針位置を指針車から検出する電波時計に使用した場合、上記のように押えバネ部の変形を防いで指針車の回転を精度よく保つことができるので、押えバネ部を形成するために指針車に形成される透孔等を指針位置の検出に使用しても、検出精度が低下することがない。従って、指針位置検出専用に指針車等に孔等を設ける必要がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る時計用指針車の付勢構造を示す電波時計用ムーブメントの要部断面図である。
図2図1に示す指針車の正面図である。
図3図2に示す指針車の断面図である。
図4図2に示す指針車の背面図である。
図5図1に示す第3のケースの背面図である。
図6図5に示す第3のケースの断面図である。
図7図1に示す時針車の付勢構造部分を示す要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1に示す電波時計用ムーブメントにおいて、ケース4は、指針駆動機構を時計背面側から覆う第1のケース1と、第1のケース1内にて指針駆動機構を時計背面側から支持する中板等の第2のケース2と、指針駆動機構を時計前面側から支持する下板等の第3のケース3と、により構成されている。
【0014】
本実施形態における指針駆動機構内の指針車は、時針車5、分針車6及び秒針車7からなり、本実施形態ではこれらの指針車を軸方向に付勢するための押えバネ部5bを時針車5に設けている。即ち、図2乃至図4に示すように、時針車5における第3のケース3に対面する部分には略円弧状の透孔5aが所定の間隔を以て3つ形成されている。この透孔5a内には、周方向に向かって円弧状に突出する舌片状の押えバネ部5bがそれぞれ設けられている。本実施形態においては、透孔5a内における径方向内側に寄った部分に押えバネ部5bが位置し、その径方向外側に透孔5aの位置検出用孔部5cが位置するように設定している。押えバネ部5bは、その解放された先端が軸方向にバネ性を持ち、その先端にある摺動部5fには第3のケース3に向かって突き出すように凸部5dが設けられている。
【0015】
時針車5を支持する第3のケース3には、図1図5図6及び図7に示すように、時針車5の筒状の軸部5eが挿通されるスリーブ状の貫通部3aが設けられており、その縁部分に環状段部3bが設けられている。この環状段部3bは、時針車5の押えバネ部5bに対面する位置に設けられており、押えバネ部5bの摺動部5fに対面する環状の平面3cと、その径方向外側端から軸方向に立ち上がる環状の周面3dを有している。
【0016】
本実施形態では、上記構成からなる時針車5の押えバネ部5bと第3のケース3の環状段部3bにより時針車5を軸方向に付勢する構造が構成されている。この押えバネ部5bと環状段部3bとの係合状態及び互いの作用は以下のようになる。図1及び図7に示すように、時針車5等の指針駆動機構をケース4内に組み込むと、時針車5の押えバネ部5bと第3のケース3の環状段部3bが対面する。このときに、押えバネ部5bの解放された先端にある摺動部5fの凸部5dは環状段部3bの平面3cに当接し、押えバネ部5bの弾力を以て平面3cを押圧する。このときの押えバネ部5bの押圧力の反作用により、時針車5はその軸方向に付勢される。そして、時針車5が回転すると、その回転に伴って押えバネ部5bの凸部5dは環状段部3bの平面3cを押圧しながら摺動する。
【0017】
仮に、押えバネ部5bが変形すると、押えバネ部5bの摺動部5fが径方向にずれることが予測される。本実施形態の場合、押えバネ部5bが径方向内側に配置されていることから径方向内側へのズレは極めて少なく、時針車5の回転にほぼ影響がない。しかし、径方向外側には透孔5aの位置検出用孔部5cが設けられているため、径方向外側へのズレは大きくなる。そこで本実施形態では、仮に押えバネ部5bが変形して摺動部5fが径方向外側に移動しようとしても、押えバネ部5bの摺動部5fあるいは凸部5dが環状段部3bの周面3dに当接するので、押えバネ部5bの径方向外側への移動が規制され、時針車5の回転と付勢の精度を保つことができる。また、このように押えバネ部5bの径方向への移動を規制することで、押えバネ部5bの変形を未然に防ぐことができる。特に、製造後の落下や、指針位置の検出の際の高速回転に伴う遠心力による変形の防止に有効である。
【0018】
尚、本実施形態の時針車5を用いた指針位置の検出は、次のように行われる。図1に示すように、第3のケース3には、LED等の発光素子8とフォトトランジスタ等の受光素子9が搭載された回路基板10が取り付けられており、その発光素子8と受光素子9に対向するように導光体11が第1のケース1に取り付けられている。発光素子8と導光体11との間には、時針車5、分針車6、秒針車7等が位置し、それらに透孔5a、6a、7aがそれぞれ設けられている。発光素子8から照射された光は、透孔5a、6a、7aを透過し、導光体11により導光されて受光素子9に照射されるように設定されている。また、図2に示すように、透孔5aの位置検出用孔部5cの間には、広狭所定幅の位置検出用遮光部5gが設けられている。この位置検出用孔部5cと位置検出用遮光部5gが位置検出部となって位置検出が行われる。
【0019】
発光素子8から照射された光は、透孔5a、6a、7aを透過して導光体11に達し、導光体11により導光されて受光素子9に達する場合と、時針車5の回転により位置検出用遮光部5gによって遮られる場合がある。このように受光素子9に光が達した場合と遮られた場合におけるオンオフそれぞれの間隔から、時針車5に取り付けられた時針の位置を検出する。尚、分針車6、秒針車7に関しても同様に位置検出することが可能である。
【0020】
本実施形態においては、前述したように押えバネ部5bの変形により透孔5aの位置がずれることがないので、時針車5が時針車5の押えバネ部5bを形成するための透孔5aの一部分を位置検出用孔部5cとして指針位置の検出にも用いることができ、指針位置検出用に他の孔を設ける必要がなくなる。特に、指針位置検出用の他の孔を設ける場合には、変形しない場所に設けることが必要になり、歯車を大きくして変形しない場所を確保する等、構造が大型化することになる。このため、透孔5aの一部分を位置検出用孔部5cとして用いることで、小型化を図ることができる。
【0021】
尚、本実施形態においては時針車5に押えバネ部5bを設け、第3のケース3に環状段部3bを設けたが、秒針車7に押えバネ部を設け、ケース4内のフレーム12等に環状段部を形成することもできる。
【符号の説明】
【0022】
1 第1のケース
2 第2のケース
3 第3のケース
3a 貫通部
3b 環状段部
3c 平面
3d 周面
4 ケース
5 時針車
5a 透孔
5b 押えバネ部
5c 位置検出用孔部
5d 凸部
5e 軸部
5f 摺動部
5g 位置検出用遮光部
6 分針車
6a 透孔
7 秒針車
7a 透孔
8 発光素子
9 受光素子
10 回路基板
11 導光体
12 フレーム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7