(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、露光装置では、光照射装置の照度を変化させることにより様々なレジストの感度特性に対応することができる。露光量は、照度と時間の積によって算出されるため、照度または時間を変更することで、適切な露光量を得ることができるが、被露光物によっては、低照度で露光する必要があり、照度を自在に変更することができない超高圧大型水銀灯光源では、照度を変更して適切な露光量を得るため、従来、減光(ND)フィルタ等を用いて、低照度を実現している。この場合、無駄な消費電力が発生してしまい、また、NDフィルタ等の光学部品が必要となっていた。特許文献2では、ランプの一部を点灯させて露光することは記載されているが、定照度運転を狙ったものであり、消費電力を抑えることを意図したものでなく、また、どのように複数のランプを点灯・消灯させるのかについては記載されていない。
【0007】
また、特許文献1及び2では、ランプを交換する際には、ランプを1つずつ交換する必要があり、ランプ交換に時間がかかり装置を停止させる時間(ダウンタイム)が長くなる。ダウンタイムを無くすことを目的とした技術として、特許文献3のような露光運転中にランプを交換できる構成が公開されているが、作業者の交換時間自体は、個別交換であるため長いことに変わりはない。
【0008】
また、特許文献1及び3では、ランプを支持する支持体の光出射側の面が球面に沿って形成されているので、ランプの数を増加した場合には、該球面の表面積が増大し、精度の良い曲面加工が困難であるという問題がある。
【0009】
また、水銀ランプから照射された紫外線は、照明光学系を通過することでコリメーション角を持った平行光になるが、鏡面で反射したり、レンズを透過したりすることによって、透過、吸収は波長ごとに異なるため、紫外線の分光特性が変化する。
【0010】
被露光材料である、フォトレジストは波長436nmのg線以下に露光感度を持っており、特に液晶カラーフィルタに使用されるネガ型のフォトレジストでは、最近、その中心露光感度がi線(365nm)以下の波長となっている場合が多い。
【0011】
大型の超高圧水銀ランプでは、ガラスの面積が増加するため、放電によって発生した紫外線がガラスを通過する際、短波長側がガラスに吸収されてしまい、露光に必要な波長成分が少なくなる現象が生じている。また、露光光の分光特性は、使用しているランプの分光比率に依存するため、自由に波長ごとの強度比を変更することができなかった。このため、フォトレジストの露光感度に応じてランプを交換する必要があった。
【0012】
一方、特許文献4のような小型のランプを使用した場合には、ガラスの面積が小さいため、短波長側の吸収が小さく、また、内圧の異なるランプを備えた2種以上のランプユニットを目的の数だけ選択的に発光させることで、最適な露光条件で露光させている。しかしながら、特許文献4には、どのように最適な露光条件となるようにランプを選択するのかについての具体的な記載がない。
【0013】
本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、そ
の目的は、光源部の交換時間及び装置のダウンタイムを短縮することができ
、必要な照度に応じて、消費電力を抑えることができるとともに、光源部を容易に制御することができる露光装置用光照射装
置を提供することにある
。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
(1) 発光部と該発光部から発生された光に指向性をもたせて射出する反射光学系をそれぞれ含む複数の光源部と、
所定数の前記光源部をそれぞれ取付可能な複数のカセットと、
該複数のカセットを取り付け可能な支持体と、
前記複数の光源部の点灯又は消灯を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記各カセット内における前記所定数の光源部が略回転対称に点灯するように制御し、且つ、前記複数のカセットの前記所定数の光源部が同一の点灯パターンで略回転対称に同時に点灯するように制御することで、前記全ての光源部が略回転対称に点灯し、
前記制御部は、前記カセット内の所定数の光源部のうち、点灯する前記光源部の数が異なる複数の点灯パターン群を備えるとともに、該各点灯パターン群は、前記光源部が略回転対称に点灯する複数の点灯パターンをそれぞれ有し、
前記各光源部の点灯時間をカウントするタイマをさらに備え、
前記制御部は、所望の照度に応じて、前記複数の点灯パターン群のいずれかを選択するとともに、該選択された点灯パターン群のうち、前記光源部の点灯時間に基づいて前記点灯パターンを選択し、
前記制御部は、前記選択された点灯パターン群のうち、点灯時間の最も少ない前記光源部を含む前記点灯パターンを選択することを特徴とする露光装置用光照射装置。
(2) 発光部と該発光部から発生された光に指向性をもたせて射出する反射光学系をそれぞれ含む複数の光源部と、
所定数の前記光源部をそれぞれ取付可能な複数のカセットと、
該複数のカセットを取り付け可能な支持体と、
前記複数の光源部の点灯又は消灯を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記各カセット内における前記所定数の光源部が略回転対称に点灯するように制御し、且つ、前記複数のカセットの前記所定数の光源部が同一の点灯パターンで略回転対称に同時に点灯するように制御することで、前記全ての光源部が略回転対称に点灯し、
前記制御部は、前記カセット内の所定数の光源部のうち、点灯する前記光源部の数が異なる複数の点灯パターン群を備えるとともに、該各点灯パターン群は、前記光源部が略回転対称に点灯する複数の点灯パターンをそれぞれ有し、
前記各光源部の点灯時間をカウントするタイマをさらに備え、
前記制御部は、所望の照度に応じて、前記複数の点灯パターン群のいずれかを選択するとともに、該選択された点灯パターン群のうち、前記光源部の点灯時間に基づいて前記点灯パターンを選択し、
前記所望の照度が、前記複数の点灯パターン群により得られる照度と異なるとき、前記所望の照度に近い照度が得られる点灯パターン群を選択するとともに、前記点灯する光源部に供給する電圧又は電力を調整し、
全ての前記カセットの前記点灯する光源部の電圧又は電力を等しく調整すると、前記所望の照度からずれてしまう場合には、互いに点対称に配置された前記カセットの前記光源部の電圧又は電力が等しくなるように調整しつつ、前記カセットの位置に応じて前記光源部の電圧又は電力を異ならせることを特徴とする露光装置用光照射装置。
(3) 発光部と該発光部から発生された光に指向性をもたせて射出する反射光学系をそれぞれ含む複数の光源部と、
所定数の前記光源部をそれぞれ取付可能な複数のカセットと、
該複数のカセットを取り付け可能な支持体と、
前記複数の光源部の点灯又は消灯を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記各カセット内における前記所定数の光源部が略回転対称に点灯するように制御し、且つ、前記複数のカセットの前記所定数の光源部が同一の点灯パターンで略回転対称に同時に点灯するように制御することで、前記全ての光源部が略回転対称に点灯し、
前記制御部は、前記カセット内の所定数の光源部のうち、点灯する前記光源部の数が異なる複数の点灯パターン群を備えるとともに、該各点灯パターン群は、前記光源部が略回転対称に点灯する複数の点灯パターンをそれぞれ有し、
前記各光源部の点灯時間をカウントするタイマをさらに備え、
前記制御部は、前記各光源部の点灯時間、及び点灯時に供給された電圧又は電力に基づいて前記複数の光源部の残存寿命を計算し、
前記制御部は、所望の照度に応じて、前記複数の点灯パターン群のいずれかを選択するとともに、該選択された点灯パターン群のうち、前記光源部の残存寿命に基づいて前記点灯パターンを選択し、
前記所望の照度が、前記複数の点灯パターン群により得られる照度と異なるとき、前記所望の照度に近い照度が得られる点灯パターン群を選択するとともに、前記点灯する光源部に供給する電圧又は電力を調整し、
全ての前記カセットの前記点灯する光源部の電圧又は電力を等しく調整すると、前記所望の照度からずれてしまう場合には、互いに点対称に配置された前記カセットの前記光源部の電圧又は電力が等しくなるように調整しつつ、前記カセットの位置に応じて前記光源部の電圧又は電力を異ならせることを特徴とする露光装置用光照射装置
。
なお、「照度」とは、1cm
2の面積が1秒間に受けるエネルギー[mW/cm
2]を
いう。
【発明の効果】
【0015】
本発明の露光装置用光照射装
置によれば、所定数の光源部を1つのカセットに取り付けユニット化して管理することで、ランプ交換時間及び装置のダウンタイムを短縮することができる。
また、カセットを用いることで、支持体に大きな曲面加工を行うことなく、全ての光源を単一の曲面上に配置することができる。
【0016】
また、本発明の露光装置用光照射装
置によれば、制御部は、各カセット内における所定数の光源部が略回転対称に点灯するように制御したので、必要な照度に応じて消費電力を抑えて露光することができ、カセット毎の制御のため、基板の大きさ(世代)の変更やランプ灯数に関係なく、ランプの点灯を容易に制御することができる。
【0017】
また、複数のカセットの所定数の光源部の各ランプが同一の点灯パターンで略回転対称に点灯するように制御することで、支持体内の全ての光源部が略回転対称に点灯する。これにより、露光面の照度分布を変化することなく、照度を変化させることができる。
【0018】
さらに、本発明の露光装置用光照射装
置によれば、制御部は、各カセット内における所定数の光源部のうち、略回転対称となる位置の光源部を交互に点灯するように制御したので、必要な照度に応じて消費電力を抑えて露光することができ、カセット毎の制御のため、基板の大きさ(世代)の変更やランプ灯数に関係なく、ランプの点灯を容易に制御することができる。
【0019】
また、複数のカセットの所定数の光源部が同一の点灯パターンで同時に点灯するように制御することで、全ての光源部のうち、略回転対称となる位置の光源部が交互に点灯する。これにより、露光面の照度分布を変化することなく、照度を変化させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の光照射装置、露光装置及び露光方法に係る各実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0026】
(第1実施形態)
図1及び
図2に示すように、第1実施形態の分割逐次近接露光装置PEは、マスクMを保持するマスクステージ10と、ガラス基板(被露光材)Wを保持する基板ステージ20と、パターン露光用の光を照射する照明光学系70と、を備えている。
【0027】
なお、ガラス基板W(以下、単に「基板W」と称する。)は、マスクMに対向配置されており、このマスクMに描かれたパターンを露光転写すべく表面(マスクMの対向面側)に感光剤が塗布されている。
【0028】
マスクステージ10は、中央部に矩形形状の開口11aが形成されるマスクステージベース11と、マスクステージベース11の開口11aにX軸,Y軸,θ方向に移動可能に装着されるマスク保持部であるマスク保持枠12と、マスクステージベース11の上面に設けられ、マスク保持枠12をX軸,Y軸,θ方向に移動させて、マスクMの位置を調整するマスク駆動機構16と、を備える。
【0029】
マスクステージベース11は、装置ベース50上に立設される支柱51、及び支柱51の上端部に設けられるZ軸移動装置52によりZ軸方向に移動可能に支持され(
図2参照。)、基板ステージ20の上方に配置される。
【0030】
図3に示すように、マスクステージベース11の開口11aの周縁部の上面には、平面ベアリング13が複数箇所配置されており、マスク保持枠12は、その上端外周縁部に設けられるフランジ12aを平面ベアリング13に載置している。これにより、マスク保持枠12は、マスクステージベース11の開口11aに所定のすき間を介して挿入されるので、このすき間分だけX軸,Y軸,θ方向に移動可能となる。
【0031】
また、マスク保持枠12の下面には、マスクMを保持するチャック部14が間座15を介して固定されている。このチャック部14には、マスクMのマスクパターンが描かれていない周縁部を吸着するための複数の吸引ノズル14aが開設されており、マスクMは、吸引ノズル14aを介して図示しない真空式吸着装置によりチャック部14に着脱自在に保持される。また、チャック部14は、マスク保持枠12と共にマスクステージベース11に対してX軸,Y軸,θ方向に移動可能である。
【0032】
マスク駆動機構16は、マスク保持枠12のX軸方向に沿う一辺に取り付けられる2台のY軸方向駆動装置16yと、マスク保持枠12のY軸方向に沿う一辺に取り付けられる1台のX軸方向駆動装置16xと、を備える。
【0033】
Y軸方向駆動装置16yは、マスクステージベース11上に設置され、Y軸方向に伸縮するロッド16bを有する駆動用アクチュエータ(例えば、電動アクチュエータ等)16aと、ロッド16bの先端にピン支持機構16cを介して連結されるスライダ16dと、マスク保持枠12のX軸方向に沿う辺部に取り付けられ、スライダ16dを移動可能に取り付ける案内レール16eと、を備える。なお、X軸方向駆動装置16xも、Y軸方向駆動装置16yと同様の構成を有する。
【0034】
そして、マスク駆動機構16では、1台のX軸方向駆動装置16xを駆動させることによりマスク保持枠12をX軸方向に移動させ、2台のY軸方向駆動装置16yを同等に駆動させることによりマスク保持枠12をY軸方向に移動させる。また、2台のY軸方向駆動装置16yのどちらか一方を駆動することによりマスク保持枠12をθ方向に移動(Z軸回りの回転)させる。
【0035】
さらに、マスクステージベース11の上面には、
図1に示すように、マスクMと基板Wとの対向面間のギャップを測定するギャップセンサ17と、チャック部14に保持されるマスクMの取り付け位置を確認するためのアライメントカメラ18と、が設けられる。これらギャップセンサ17及びアライメントカメラ18は、移動機構19を介してX軸,Y軸方向に移動可能に保持され、マスク保持枠12内に配置される。
【0036】
また、マスク保持枠12上には、
図1に示すように、マスクステージベース11の開口11aのX軸方向の両端部に、マスクMの両端部を必要に応じて遮蔽するアパーチャブレード38が設けられる。このアパーチャブレード38は、モータ、ボールねじ、及びリニアガイド等からなるアパーチャブレード駆動機構39によりX軸方向に移動可能とされて、マスクMの両端部の遮蔽面積を調整する。なお、アパーチャブレード38は、開口11aのX軸方向の両端部だけでなく、開口11aのY軸方向の両端部に同様に設けられている。
【0037】
基板ステージ20は、
図1及び
図2に示すように、基板Wを保持する基板保持部21と、基板保持部21を装置ベース50に対してX軸,Y軸,Z軸方向に移動する基板駆動機構22と、を備える。基板保持部21は、図示しない真空吸着機構によって基板Wを着脱自在に保持する。基板駆動機構22は、基板保持部21の下方に、Y軸テーブル23、Y軸送り機構24、X軸テーブル25、X軸送り機構26、及びZ−チルト調整機構27と、を備える。
【0038】
Y軸送り機構24は、
図2に示すように、リニアガイド28と送り駆動機構29とを備えて構成され、Y軸テーブル23の裏面に取り付けられたスライダ30が、装置ベース50上に延びる2本の案内レール31に転動体(図示せず)を介して跨架されると共に、モータ32とボールねじ装置33とによってY軸テーブル23を案内レール31に沿って駆
動する。
【0039】
なお、X軸送り機構26もY軸送り機構24と同様の構成を有し、X軸テーブル25をY軸テーブル23に対してX方向に駆動する。また、Z−チルト調整機構27は、くさび状の移動体34,35と送り駆動機構36とを組み合わせてなる可動くさび機構をX方向の一端側に1台、他端側に2台配置することで構成される。なお、送り駆動機構29,36は、モータとボールねじ装置とを組み合わせた構成であってもよく、固定子と可動子とを有するリニアモータであってもよい。また、Z−チルト調整機構27の設置数は任意である。
【0040】
これにより、基板駆動機構22は、基板保持部21をX方向及びY方向に送り駆動するとともに、マスクMと基板Wとの対向面間のギャップを微調整するように、基板保持部21をZ軸方向に微動且つチルト調整する。
【0041】
基板保持部21のX方向側部とY方向側部にはそれぞれバーミラー61,62が取り付けられ、また、装置ベース50のY方向端部とX方向端部には、計3台のレーザー干渉計63,64,65が設けられている。これにより、レーザー干渉計63,64,65からレーザー光をバーミラー61,62に照射し、バーミラー61、62により反射されたレーザー光を受光して、レーザー光とバーミラー61,62により反射されたレーザー光との干渉を測定して基板ステージ20の位置を検出する。
【0042】
図2及び
図4に示すように、照明光学系70は、複数の光源部73を備えた光照射装置80と、複数の光源部73から射出された光束が入射されるインテグレータレンズ74と、各光源部73のランプ71の点灯と消灯の切り替えを含む電圧制御可能な光学制御部76と、インテグレータレンズ74の出射面から出射された光路の向きを変える凹面鏡77と、複数の光源部73とインテグレータレンズ74との間に配置されて照射された光を透過・遮断するように開閉制御する露光制御用シャッター78と、を備える。なお、インテグレータレンズ74は、照度分布を一様にする光学系であり、フライアイレンズでもよいし、ロッドインテグレータレンズでもよい。なお、インテグレータレンズ74と露光面との間には、DUVカットフィルタ、偏光フィルタ、バンドパスフィルタが配置されてもよく、また、凹面鏡77には、ミラーの曲率を手動または自動で変更可能なデクリネーション角補正手段が設けられてもよい。
【0043】
図4〜
図6に示すように、照明光学系70の光照射装置80は、分光特性がそれぞれ同じである、発光部としての超高圧水銀ランプ71と、このランプ71から発生された光に指向性をもたせて射出する反射光学系としての反射鏡72と、をそれぞれ含む複数の光源部73と、複数の光源部73のうち、所定数の光源部73をそれぞれ取り付け可能な複数のカセット81と、複数のカセット81を取り付け可能な支持体82と、を備える。発光部としては、超高圧水銀ランプ71の代わりに、ハロゲンランプやLEDなどが適用されてもよい。
【0044】
なお、照明光学系70において、160Wの超高圧水銀ランプ71を使用した場合、第6世代のフラットパネルを製造する露光装置では374個の光源部、第7世代のフラットパネルを製造する露光装置では572個の光源部、第8世代のフラットパネルを製造する露光装置では、774個の光源部が必要とされる。但し、本実施形態では、説明を簡略化するため、
図4に示すように、α方向に3段、β方向に2列の計6個の光源部73が取り付けられたカセット81を3段×3列の計9個配した、54個の光源部73を有するものとして説明する。なお、カセット81や支持体82は、光源部73の配置をα、β方向に同数とした正方形形状も考えられるが、α、β方向に異なる数とした長方形形状が適用される。また、本実施形態の光源部73では、反射鏡72の開口部72bが略正方形形状に形成されており、四辺がα、β方向に沿うように配置されている。
【0045】
各カセット81は、所定数の光源部73を支持する光源支持部83と、光源支持部83に支持された光源部73を押さえて、該光源支持部83に取り付けられる凹状のランプ押さえカバー(カバー部材)84と、を備えた略直方体形状に形成されており、それぞれ同一構成を有する。
【0046】
光源支持部83には、光源部73の数に対応して設けられ、光源部73からの光を発光する複数の窓部83aと、該窓部83aのカバー側に設けられ、反射鏡72の開口部72a(又は、反射鏡72が取り付けられる反射鏡取り付け部の開口部)を囲うランプ用凹部83bと、が形成される。また、該窓部83aの反カバー側には、複数のカバーガラス85がそれぞれ取り付けられている。なお、カバーガラス85の取り付けは任意であり、設けられなくてもよい。
【0047】
各ランプ用凹部83bの底面は、光源部73の光を照射する照射面(ここでは、反射鏡72の開口面72b)と、光源部73の光軸Lとの交点pが、各α、β方向において単一の曲面、例えば、球面r上に位置するように、平面又は曲面(本実施形態では、平面)に形成される。
【0048】
ランプ押さえカバー84の底面には、光源部73の後部に当接する当接部86が設けられており、各当接部86には、モータやシリンダのようなアクチュエータ、ばね押さえ、ねじ止め等によって構成されるランプ押さえ機構87が設けられている。これにより、各光源部73は、反射鏡72の開口部72aを光源支持部83のランプ用凹部83bに嵌合させ、ランプ押さえカバー84を光源支持部83に取り付け、ランプ押さえ機構87によって光源部73の後部を押さえつけることで、カセット81に位置決めされる。従って、
図5(c)に示すように、カセット81に位置決めされた所定数の光源部73の光が照射する各照射面から、所定数の光源部73の光が入射されるインテグレータレンズ74の入射面までの各光軸Lの距離が略一定となる。また、光源支持部83とランプ押さえカバー84との間の収納空間内では、隣接する光源部73の反射鏡72の背面72cは直接対向しており、光源部73、ランプ押さえ機構87等以外には該収納空間内の空気の流れを遮るものがなく、良好な空気の流動性が与えられる。
【0049】
なお、ランプ押さえ機構87は、当接部86毎に設けられてもよいが、
図7に示すように、ランプ押さえカバー84の側壁に形成されてもよい。この場合にも、当接部86は、各光源部73に個々に設けられてもよいが、2つ以上の光源部73の後部に当接するようにしてもよい。
【0050】
また、支持体82は、複数のカセット81を取り付ける複数のカセット取り付け部90を有する支持体本体91と、該支持体本体91に取り付けられ、各カセット81の後部を覆う支持体カバー92と、を有する。
【0051】
図8に示すように、各カセット取り付け部90には、光源支持部83が臨む開口部90aが形成され、該開口部90aの周囲には、光源支持部83の周囲の矩形平面が対向する平面90bを底面としたカセット用凹部90cが形成される。また、支持体本体91のカセット用凹部90cの周囲には、カセット81を固定するためのカセット固定手段93が設けられており、本実施形態では、カセット81に形成された凹部81aに係合されて、カセット81を固定する。
【0052】
なお、
図9に示すように、カセット81は、カセット固定手段93によって固定される際、傾けておいてカセット取り付け部90に組み付けたほうが、光源部73が倒れにくく組み付けやすい。
【0053】
α方向或いはβ方向に並ぶカセット用凹部90cの各平面90bは、各カセット81の全ての光源部73の光を照射する照射面と、光源部73の光軸Lとの交点pが、各α、β方向において単一の曲面、例えば、球面r上に位置するように(
図10参照。)、所定の角度γで交差するように形成される。
【0054】
従って、各カセット81は、これら光源支持部83を各カセット取り付け部90のカセット用凹部90cに嵌合させて位置決めした状態で、カセット固定手段93をカセット81の凹部81aに係合させることで、支持体82にそれぞれ固定される。そして、これら各カセット81が支持体本体91に取り付けられた状態で、該支持体本体91に支持体カバー92が取り付けられる。従って、
図10に示すように、各カセット81に位置決めされた全ての光源部73の光が照射する各照射面と、全ての光源部73から照射される光のうち、略80%〜100%の光が入射されるインテグレータレンズ74の入射面までの各光軸Lの距離も略一定となる。
【0055】
なお、
図8に示すようなカセット固定手段93の代わりに、
図11に示すように、カセット81の対向する二辺に貫通孔83cまたは側面に臨む溝部を設け、カセット固定手段としての円柱部材93aを、貫通孔83cを介して支持体本体91の凹部91bに挿入することで、カセット81が固定されてもよい。なお、貫通孔やカセット固定手段は、対向する二辺の中間部に設けられているが、例えば、カセット81の四隅に設けられてもよい。また、カセット固定手段は、円柱部材93aの代わりに、多角形部材であってもよく、それに応じて貫通孔83cや凹部91bの形状を変更すればよい。また、
図11に示すようなカセット固定手段は、
図8に示すカセット固定手段93と共に用いることができる。
【0056】
或いは、
図12(a)に示すように、カセット81の四隅にカセット固定手段としての円柱突起93bまたは多角形突起を設け、
図12(b)に示すように、支持体本体91側に形成された穴部または溝部91cと嵌合させてアライメントするようにしてもよい。または、
図13(a)に示すように、カセット81の対向する二辺にホゾ93cを形成し、
図13(b)に示すように、支持体本体91側に形成された穴部または溝部91dと嵌合させてアライメントするようにしてもよい。なお、ホゾ93cは、組付け性から二辺に設けられることが好ましいが、
図13(a)の一点鎖線に示すように、ホゾ93cは、残りの対向する二辺にも設けられても良い。また、
図12(a)に示す円柱突起93bや
図13(a)に示すホゾ93cを支持体本体91側に設け、穴部や溝部をカセット81側に設ける構成であってもよい。さらに、
図12(a)及び
図13(a)に示すカセット固定手段も、
図8に示すカセット固定手段93と共に用いることができる。
【0057】
また、
図14に示すように、各カセット81の光源部73には、ランプ71に電力を供給する点灯電源95及び制御回路96が個々に接続されており、各光源部73から後方に延びる各配線97は、各カセット81に設けられた少なくとも一つのコネクタ98に接続されてまとめられている。そして、各カセット81のコネクタ98と、支持体82の外側に設けられた光学制御部76との間は、他の配線99によってそれぞれ接続される。これにより、光学制御部76は、各ランプ71の制御回路96に制御信号を送信し、各ランプ71の点灯又は消灯、及び該点灯時にランプ71に供給する電圧を制御する電圧制御を行う。
なお、各光源部73の点灯電源95及び制御回路96は、カセット81に集約して設けられてもよいし、カセットの外部に設けられてもよい。また、ランプ押さえカバー84の当接部86は、各光源部73からの各配線97と干渉しないように形成されている。
【0058】
さらに、
図15に示すように、ランプ71毎にヒューズ94aを含む寿命時間検出手段94を設けて、タイマ96aによって点灯時間をカウントし、定格の寿命時間が来た段階でヒューズ94aに電流を流してヒューズ94aを切断する。従って、ヒューズ94aの切断の有無を確認することで、ランプ71を定格の寿命時間使用しているかどうかを検出することができる。なお、寿命時間検出手段94は、ヒューズ94aを含むものに限定されるものでなく、ランプ交換のメンテナンス時にランプ71を定格の寿命時間使用したかが一目でわかるようなものであればよい。例えば、ランプ71毎にICタグを配置して、ICタグによってランプ71を定格の寿命時間使用したかどうか確認できるもの、或いは、ランプ71の使用時間が確認できるようにしてもよい。
【0059】
また、
図14では、点灯電源95及び制御回路96は、各光源部73毎に設けているが、複数の光源部73毎に1つ設けるようにし、カセット81内の光源部73を所定数ずつ纏めて管理するようにしてもよい。例えば、
図16に示すようなカセット81内に24個の光源部73を有する場合、4個の光源部73毎に点灯電源95及び制御回路96を設けて、4個の光源部73を同期して制御するようにしてもよい。
【0060】
また、光照射装置80の各光源部73、各カセット81、及び支持体82には、各ランプ71を冷却するための冷却構造が設けられている。具体的に、
図6に示すように、各光源部73のランプ71と反射鏡72が取り付けられるベース部75には、冷却路75aが形成されており、カセット81の各カバーガラス85には、一つ又は複数の貫通孔85aが形成されている。また、カセット81のランプ押さえカバー84の底面には、複数の排気孔(連通孔)84aが形成され(
図5(c)参照。)、支持体82の支持体カバー92にも、複数の排気孔92aが形成されている(
図4(c)参照。)。また、各排気孔92aには、支持体82の外部に形成されたブロアユニット(強制排気手段)79が排気管79aを介して接続されている。従って、ブロアユニット79によって支持体82内のエアを引いて排気することで、カバーガラス85の貫通孔85aから吸引された外部のエアが、矢印で示した方向へランプ71と反射鏡72との間の隙間Sを通過し、光源部73のベース部75に形成された冷却路75aへ導かれて、エアにより各光源部73の冷却を行っている。
【0061】
なお、強制排気手段としては、ブロアユニット79に限定されるものでなく、ファン、インバータ、真空ポンプ等、支持体82内のエアを引くものであればよい。また、ブロアユニット79によるエアの排気は、後方からに限らず、上方、下方、左方、右方のいずれの側方からでもよい。例えば、
図17に示すように、支持体の側方に接続された複数の排気管79aをダンパー79bを介してブロアユニット79にそれぞれ接続するようにしてもよい。
【0062】
また、ランプ押さえカバー84に形成される排気孔84aは、
図5(c)に示すように底面に複数形成されてもよいし、
図18(a)に示すように底面の中央に形成されてもよく、
図18(b)、(c)に示すように長手方向、短手方向の側面に形成されてもよい。また、排気孔84aの他、ランプ押さえカバー84の開口縁から切欠いた連通溝を形成することで、光源支持部83とランプ押さえカバー84との間の収納空間と外部とを連通してもよい。
なお、ランプ押さえカバー84は、複数のフレームにより構成される骨組構造とし、該フレームに連通孔や連通溝が形成されたカバー板を別途取り付けることで、連通孔や連通溝を構成するようにしてもよい。
【0063】
さらに、支持体本体91の周縁には、水冷管(冷却用配管)91aが設けられており、水ポンプ69によって水冷管91a内に冷却水を循環させることでも、各光源部73を冷却している。なお、水冷管91aは、
図4に示すように、支持体本体91内に形成されてもよいし、支持体本体91の表面に取り付けられても良い。また、上記排気式の冷却構造と水冷式の冷却構造は、いずれか一つのみ設けられてもよい。また、水冷管91aは、
図4に示すような配置に限定されるものでなく、
図19(a)及び
図19(b)に示すように水冷管91aを全てのカセット81の周囲を通るように配置、又は、全てのカセット81の周囲の一部を通るようにジグザグに配置して、冷却水を循環させてもよい。
【0064】
このように構成された露光装置PEでは、照明光学系70において、露光時に露光制御用シャッター78が開制御されると、超高圧水銀ランプ71から照射された光が、インテグレータレンズ74の入射面に入射される。そして、インテグレータレンズ74の出射面から発せられた光は、凹面鏡77によってその進行方向が変えられるとともに平行光に変換される。そして、この平行光は、マスクステージ10に保持されるマスクM、さらには基板ステージ20に保持される基板Wの表面に対して略垂直にパターン露光用の光として照射され、マスクMのパターンPが基板W上に露光転写される。
【0065】
ここで、光源部73を交換する際には、カセット81毎に交換される。各カセット81では、所定数の光源部73が予め位置決めされ、且つ、各光源部73からの配線97がコネクタ98に接続されている。このため、交換が必要なカセット81を支持体82の光が出射される方向とは逆方向から取り外し、新しいカセット81を支持体82のカセット用凹部90bに嵌合させて支持体82に取り付けることで、カセット81内の光源部73のアライメントを完了する。また、コネクタ98に他の配線99を接続することで、配線作業も完了するので、光源部73の交換作業を容易に行うことができる。また、カセット交換の際には装置を止める必要がある。理由としては、カセット81には複数のランプ(9個以上)が配置されており、カセット一つ一つが露光面での照度分布に大きく寄与するためである。しかしながら、前述したように複数のカセット81を交換する場合であっても作業が容易で且つ交換時間自体も短くすることができるため、有用な方法である。
【0066】
また、カセット81の光源支持部83が、所定数の光源部73の光が照射する各照射面と、所定数の光源部の光が入射されるインテグレータレンズ74の入射面までの各光軸Lの距離が略一定となるように形成され、支持体82の複数のカセット取り付け部90は、全ての光源部73の光が照射する各照射面と、全ての光源部73から照射される光のうち、略80〜100%の光が入射されるインテグレータレンズ74の入射面までの各光軸Lの距離が略一定となるように形成されている。このため、カセット81を用いることで、支持体82に大きな曲面加工を行うことなく、全ての光源部73の照射面を単一の曲面上に配置することができる。
【0067】
具体的に、支持体82の複数のカセット取り付け部90は、カセット81の光源支持部83が臨む開口部90aと、光源支持部83の周囲に形成された平面部と当接する平面90bと、をそれぞれ備え、所定の方向に並んだ複数のカセット取り付け部90の各平面90bは、所定の角度で交差しているので、カセット取り付け部90が簡単な加工で、所定数の光源部73の光が照射する各照射面と、インテグレータレンズ74の入射面までの各光軸Lの距離が略一定となるように形成することができる。
【0068】
また、支持体82のカセット取り付け部90は、平面90bを底面とした凹部90cに形成され、カセット81は、カセット取り付け部90の凹部90cに嵌合されるので、カセット81を支持体82にがたつきなく固定することができる。
【0069】
また、カセット81は、光源支持部83に支持された所定数の光源部73を囲った状態で、光源支持部83に取り付けられるランプ押さえカバー84を有し、光源支持部83とランプ押さえカバー84との間の収納空間内において、隣接する光源部73の反射鏡72の背面72cは直接対向しているので、収納空間内において良好な空気の流動性が与えられ、各光源部73を冷却する際に、収納空間内のエアを効率的に排気することができる。
【0070】
また、ランプ押さえカバー84には、収納空間とランプ押さえカバー84の外部とを連通する連通孔84aが形成されているので、簡単な構成でカセット81の外部へエアを排気することができる。
【0071】
さらに、支持体82には、各光源部73を冷却するため、冷却水が循環する水冷管91aが設けられているので、冷却水によって各光源部73を効率的に冷却することができる。
【0072】
また、各光源部73の光が照射する各照射面に対して後方及び側方の少なくとも一方から支持体82内のエアを強制排気するブロアユニット79を有するので、支持体82内のエアを循環させることができ、各光源部73を効率的に冷却することができる。
【0073】
また、露光する品種(着色層、BM、フォトスペーサ、光配向膜、TFT層等)、または同品種でのレジストの種類によっては必要な露光量が異なるため、
図20に示すように、支持体82の複数のカセット取り付け部90にカセット81をすべて取り付ける必要がない場合がある。この場合には、カセット81が配置されないカセット取り付け部90には、蓋部材89が取り付けられ、蓋部材89には、カバーガラス85の貫通孔85aと同じ径で、同じ個数の貫通孔89aが形成される。これにより、外部のエアが、カバーガラス85の貫通孔85aに加え、蓋部材89の貫通孔89aからも吸引される。従って、カセット81がすべてのカセット取り付け部90に取り付けられない場合であっても、蓋部材89を配置することでカセット81がすべてのカセット取り付け部90に配置された場合と同様の空気の流動性が与えられ、光源部73の冷却が行われる。
なお、各光源部73を確実に冷却するため、すべてのカセット取り付け部90にカセット81または蓋部材89が取り付けられていない状態では、光照射装置80を運転できないようにロックしてもよい。
【0074】
なお、上記実施形態では、説明を簡略化するため、α方向に3段、β方向に2列の計6個の光源部73が取り付けられたカセット81を例に挙げたが、実際にはカセット81に配置される光源部73は8個以上であり、
図21(a)及び(b)に示されるような配置で点対称又は線対称でカセット81に取り付けられる。即ち、光源部73をα方向、β方向で異なる数として配置しており、カセット81の光源支持部83に取り付けられた最外周に位置する光源部73の中心を四辺で結んだ線が長方形形状をなす。また、各カセット81が取り付けられる支持体82のカセット取り付け部90は、
図22に示すように互いに直交するα、β方向に配置される各個数n(n:2以上の正の整数)を一致させて長方形形状に形成されている。ここで、この長方形形状は後述するインテグレータエレメントの各レンズエレメントの縦横毎の入射開口角比に対応させ、カセットの行数、列数を同数とした場合が最も効率が良いが異数でも良い。
【0075】
ここで、インテグレータレンズ74の各レンズエレメントのアスペクト比(縦/横比)は、露光領域のエリアのアスペクト比に対応して決定されている。また、インテグレータレンズの各々のレンズエレメントは、その入射開口角以上の角度から入射される光を取り込むことができない構造となっている。つまり、レンズエレメントは長辺側に対して短辺側の入射開口角が小さくなる。このため、支持体82に配置された光源部73全体のアスペクト比(縦/横比)を、インテグレータレンズ74の入射面のアスペクト比に対応した長方形形状の配置とすることで、光の使用効率が良好となる。
【0076】
このように構成された分割逐次近接露光装置PEでは、必要な照度に応じて、光学制御部76によって各光源部73のランプ71をカセット81毎に点灯、消灯、または電圧制御することにより照度を変化させる。即ち、光学制御部76は、各カセット81内における所定数の光源部73のランプ71が点対称に点灯するように制御するとともに、複数のカセット81の所定数の光源部73のランプ71が同一の点灯パターンで点対称に点灯するように制御することで、支持体82内の全ての光源部73が点対称に点灯する。例えば、
図23(a)は、各カセット81の100%のランプ71(本実施形態では、24個)を点灯させる場合を示し、
図23(b)は、各カセット81の全てのランプ71の75%(本実施形態では、18個)を点灯させる場合を示し、
図23(c)は、各カセット81の全てのランプ71の50%(本実施形態では、12個)を点灯させる場合を示し、
図23(d)は、各カセット81の全てのランプ71の25%(本実施形態では、6個)を点灯させる場合を示している。これにより、露光面の照度分布を変化することなく、照度を変化させることができ、また、カセット毎に同時制御のため、基板の大きさ(世代)の変更やランプ灯数に関係なく、ランプ71の点灯を容易に制御することができる。
【0077】
また、光学制御部76は、全点灯の場合は別として、所望の照度に応じて点灯するランプ71の数がそれぞれ異なる、カセット81内の各光源部73のランプ71の点灯又は消灯を点対称に制御する複数(本実施形態では、4つ)の点灯パターンをそれぞれ有する複数(本実施形態では、3つ)の点灯パターン群を有する。具体的に、
図24(a)に示すように、カセット81内の75%のランプ71を点灯する第1のパターン群は、A1〜D1の4つのパターンを有する。また、
図24(b)に示すように、カセット81内の50%のランプ71を点灯する第2のパターン群は、A2〜D2の4つのパターンを有する。さらに、
図24(c)に示すように、カセット81内の25%のランプ71を点灯する第3のパターン群は、A3〜D3の4つの点灯パターンを有する。これら各点灯パターンA1〜D1、A2〜D2、A3〜D3はすべてカセット81内のランプ71が点対称に点灯するように設定されている。なお、
図23及び
図24において、光源部73に網掛けをいれたものは消灯したランプ71を示している。
【0078】
そして、光学制御部76は、所望の照度に応じて、第1〜第3点灯パターン群のいずれかの点灯パターン群を選択するとともに、選択された点灯パターン群のうちのいずれかの点灯パターンが選択される。この点灯パターンの選択は、選択された点灯パターン群の複数の点灯パターンを所定のタイミングで複数のカセット81同時に順に切り替えるようにしてもよい。あるいは、該選択は、各光源部73のランプ71の点灯時間に基づいて、具体的には、点灯時間の最も少ない点灯パターンを選択するようにしてもよい。このような点灯パターンの切り替えや選択により、ランプの点灯時間を均一にすることができる。
【0079】
なお、点灯時間の最も少ない点灯パターンとは、点灯時間の最も少ない光源部73のランプ71を含む点灯パターンとしてもよいし、点灯すべき光源部73のランプ71の点灯時間の合計が最も少ない点灯パターンであってもよい。さらに、光学制御部76は、各光源部73のランプ71の点灯時間、及び点灯時に供給された電圧に基づいて各光源部73のランプ71の残存寿命を計算し、該残存寿命に基づいて点灯パターンを選択するようにしてもよい。さらに、残存寿命が短いランプ71を含む点灯パターンを避けるように、点灯パターンを切り替えるようにしてもよい。
【0080】
また、所望の照度が、第1〜第3の点灯パターン群により得られる照度と異なるとき、所望の照度に近い照度が得られる点灯パターン群を選択するとともに、点灯する光源部73のランプ71に供給する電圧を定格以上又は定格以下に調整する。例えば、所望の照度が100%点灯時の60%の照度である場合には、50%点灯の点灯パターン群のいずれかの点灯パターンを選択し、該点灯する光源部73のランプ71の電圧を上げることで与えられる。
【0081】
さらに、全てのカセット81の点灯するランプ71の電圧を等しく調整すると所望の照度からずれてしまう場合には、点対称に配置された位置の各カセット81のランプ71の電圧は等しくなるように調整しつつ、カセット81の位置に応じて異なる電圧を印加するようにしてもよい。具体的には、
図23において、周囲に位置する各カセット81のランプ71の電圧は等しく調整しつつ、中央に位置するカセット81のランプの電圧を、周囲に位置する各カセット81のランプ71の電圧と異なるように調整する。これにより、露光面の照度分布を変化することなく、所望の照度に微調整することが可能である。
【0082】
また、一部のカセット81のみを、新しいランプ71を備えたカセット81に交換した場合には、残りのカセット81のランプ71の点灯に併せて交換したカセット81のランプ71を点対称に点灯させる。その際、新しいカセット81のランプ71から出射される照度は残りのカセット81のランプ71から出射される照度よりも強い傾向がある。このため、点対称に配置された位置の各カセット81のランプ71から出射される照度が均一となるように、新しいカセット81の各ランプ71の電圧を下げるように調整する。
【0083】
従って、本実施形態によれば、必要な照度に応じて、所望のランプ71だけを点灯することで、消費電力を抑え、また、NDフィルタ等の光学部品が不要となり、コストダウンを図ることができるとともに、点対称にランプ71を点灯又は消灯することで、露光面の照度分布低下を防止することができる。さらに、カセット毎に点対称にランプ71を点灯又は消灯するので、基板の大きさ(世代)の変更やランプ灯数に関係なく、ランプ71の点灯を容易に制御することができる。
【0084】
また、制御部76は、カセット内の所定数の光源部73のうち、点灯する光源部73のランプ71の数が異なる複数の点灯パターン群を備えるとともに、各点灯パターン群は、光源部73のランプ71が点対称に点灯する複数の点灯パターンA1〜D1、A2〜D2、A3〜D3をそれぞれ有するので、点灯パターンを切り替えて使用することで、カセット81内の各ランプ71の点灯時間を均一化することができる。これにより、各光源部73のランプ71の使用頻度に偏りが無くなり、カセット81の交換までの間隔が長くなり、光源部73の交換による装置のダウンタイムを短縮することができる。
【0085】
さらに、各光源部のランプ71の点灯時間をカウントするタイマ96aをさらに備え、光学制御部76は、所望の照度に応じて、複数の点灯パターン群のいずれかを選択するとともに、選択された点灯パターン群のうち、光源部73の点灯時間に基づいて点灯パターンを選択するようにしたので、カセット81内の各ランプ71の点灯時間を均一化することができる。
【0086】
加えて、所望の照度が、複数の点灯パターン群により得られる照度と異なるとき、前記所望の照度に近い照度が得られる点灯パターン群を選択するとともに、点灯する光源部に供給する電圧を調整するようにしたので、点灯パターンに関わらず、照度を任意に設定することができる。
【0087】
なお、ランプ71の点灯又は消灯する制御としては、図示しない照度計で測定された実照度と予め設定された適正照度とを比較することによって実照度の過不足を判定するとともに、実照度の過不足を解消するようにランプ71の電圧を上げるように、制御回路96または光学制御部76を制御してもよい。
【0088】
また、本実施形態において、フィルタ等の光学部品を用いる場合には、フィルタによって低下する照度分布を改善するようにランプ71の電圧又は電力を上げるようにすればよい。
さらに、本実施形態では、光学制御部76は、ランプ71に供給する電圧を制御するようにしたが、電力を制御するようにしてもよい。
【0089】
なお、本実施形態では、各カセット81内における所定数のランプ71が点対称に点灯し、支持体82内における全てのランプ71が点対称に点灯する場合を示したが、後述の実施形態も含め、本発明は、各カセット81内における所定数のランプ71が略回転対称に点灯する場合、さらに、支持体82内における全てのランプ71が略回転対称に点灯する場合にも、本実施形態と同様の効果を奏する。また、回転対称に点灯とは、360度/n度回転させた際に、回転前の点灯パターンと重なる位置のランプ71が点灯することを意味するが、本発明は、カセット81内や支持体82内でのランプ71の配列によって若干点灯箇所がずれている場合も略回転対称(180度回転する場合は略点対称)に点灯する場合も含まれる。
【0090】
加えて、本実施形態では、光学制御部76は、各カセット81内における所定数のランプ71が略回転対称に点灯するようにカセット81毎に制御しているが、
図25(a)及び(b)に示すように、カセット81毎に、互いに等しい数のランプ71ずつ略回転対称(ここでは、点対称)となる位置のランプ71を交互に点灯するように制御し、かつ、各カセット81の所定数のランプ71を同一の点灯パターンで同時に点灯するように制御することで、全てのランプ71のうち、略回転対称となる位置のランプ71を交互に点灯する。これにより、露光面の照度分布を変化することなく、照度を変化させることができ、露光ムラを防止することができる。
また、この場合の略回転対称となる位置のランプ71を交互に点灯するとは、回転対称となる位置のランプ71と若干ずれている箇所のランプ71を交互に点灯する場合も含まれる。
【0091】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態として、第1実施形態の分割逐次近接露光装置PEを用いた露光方法について説明する。なお、本実施形態の露光装置は、第1実施形態の露光装置と基本的構成を同一とするため、同一部分又は相当部分には同一符号を付し、説明を省略する。
【0092】
上記実施形態の分割逐次近接露光装置PEは、光照射装置80の照度を変化させることにより様々なレジストの感度特性に対応することができる。露光量は、照度と時間の積によって算出されるため、照度または時間を変更することで、適切な露光量を得ることができるが、タクトタイム短縮のため時間は短く設定されており、さらなる時間による変更は難しい。このため、照度を変更して適切な露光量を得るため、通常、減光(ND)フィルタ等を用いて、低照度を実現している。この場合、無駄な消費電力が発生してしまい、また、NDフィルタ等の光学部品が必要となっていた。
【0093】
そこで、本実施形態では、必要な照度に応じて、光学制御部76によって各光源部73のランプ71を個別に点灯、消灯、または電圧制御することにより照度を変化させる。例えば、各ランプ71の電圧を定格以下に電圧制御することで、照度を変化させてもよく、ランプ71の一部を消灯することにより照度を変化させてもよい。また、ランプ71を点灯又は消灯により照度を制御する場合には、配置されているランプ71を線対称或いは点対称に点灯させることにより、露光面の照度分布を変化することなく、照度を変化させることができる。
【0094】
具体的には、
図26(a)及び(b)に示すように、カセット81内のランプ71毎に線Aに対して線対称にランプ71を点灯又は消灯させるようにしてもよく、
図27(a)に示すように、カセット81内のランプ71を全て点灯又は消灯するように線Aに対して線対称にカセット毎にランプ71を点灯又は消灯させるようにしてもよい。なお、
図27(b)に示すように、カセット81毎に線Bに対してランプ71を線対称又は点Qに対してランプ71を点対称に点灯又は消灯するようにしてもよい。また、α、β方向に配置されるカセット81の個数が偶数の場合には、
図28(a)及び(b)に示すように、カセット81毎に点Qに対してランプ71を点対称に点灯又は消灯するようにしてもよい。なお、
図26〜
図28中、光源部73に網掛けを入れたものは消灯したランプ71を示している。
【0095】
従って、本実施形態によれば、必要な照度に応じて、必要最低限のランプ71を点灯することで、消費電力を抑え、また、NDフィルタ等の光学部品が不要となり、コストダウンを図ることができるとともに、線対称又は点対称にランプ71を点灯又は消灯することで、露光面の照度分布低下を防止することができる。なお、ランプ71は、点対称を含む回転対称に点灯又は消灯するように制御することで、露光面の照度分布低下を防止する効果を奏する。即ち、所定の点を中心に1回転させたときに、点灯箇所が一致するような点灯・消灯制御であればよく、例えば、縦横等しい個数で正方形形状にランプ71が配置されているような場合に、90度回転させたときに、点灯箇所が一致するような場合を含む。
【0096】
なお、ランプ71の点灯又は消灯する制御としては、図示しない照度計で測定された実照度と予め設定された適正照度とを比較することによって実照度の過不足を判定するとともに、実照度の過不足を解消するようにランプ71を点灯し、或いは消灯するように、制御回路96または光学制御部76を制御してもよい。さらに、露光時間をカウントし、予め設定された適正照度を維持するように、露光タイミングによって各ランプ71を点灯又は消灯するように制御してもよい。
【0097】
また、本実施形態では、必要最低限のランプ71を点灯して、フィルタ等の光学部品を不要とすることができるが、フィルタを用いる場合には、フィルタによって低下する照度分布を改善するようにランプ71を点灯すればよい。
【0098】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態として、光照射装置80のランプ71の点灯又は消灯する制御方法の一例について
図29を参照して説明する。なお、本実施形態の露光装置は、第1実施形態の露光装置と基本的構成を同一とするため、同一部分又は相当部分には同一符号を付し、説明を省略する。
【0099】
本実施形態では、
図29に示すように、同期して点灯/消灯できるランプ71において、点灯するランプ71の領域を時間で管理し、露光動作中、または、非露光動作中(例えば、基板ローディング中やショット間)に所定のタイミングで該領域を順次変化させる。また、この場合にも、第1実施形態と同様、露光面の照度分布が変化しないように、カセット81内のランプ71毎に点Qに対してランプ71を点対称に点灯又は消灯する。これにより、一様な照度を維持しながら、ランプ71の使用頻度が偏ることなく点灯・消灯を容易に管理できる。また、前記所定のタイミングは、シャッターが閉まっているタイミングが好ましく、該領域は線対称であっても良い。
【0100】
なお、各超高圧水銀灯であるランプ71は、通電すると徐々に照度を上げて点灯状態、又は通電を遮断すると徐々に照度を下げて消灯状態となる。このため、例えば
図29(a)から
図29(b)の状態に移行する際に、点灯制御されたランプ71と消灯制御されたランプ71が共に点灯しているタイミングが実際に存在する。従って、このような移行過程の照度を考慮して点灯・消灯タイミングを制御してもよく、或いは、図示しないシャッターを用いてランプ71の点灯・消灯を切替えてもよい。
【0101】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態として、露光装置用光照射装置及びその点灯制御方法、並びに露光装置及び露光方法を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施形態の露光装置は、第1実施形態の露光装置と基本的構成を同一とするため、同一部分又は相当部分には同一符号を付し、説明を省略する。
【0102】
図30に示すように、本実施形態では、凹面鏡77の一部には、開口77aが形成されており、開口77aの後方には、g線、h線、i線、j線、k線等における各波長の照度を測定する各照度計279が設置されている。
【0103】
また、
図31および32に示すように、カセット81には、所望のランプ71に対応する前面に、波長カットフィルタ286が配置されている。波長カットフィルタ286としては、ローパスフィルタ、ハイパスフィルタ、バンドパスフィルタのいずれであってもよく、所望の波長の強度を落とすND(減光)フィルタであってもよい。なお、波長カットフィルタ286は、点対称に設置することが好ましく、この実施形態では、上段の6個のランプと下段の6個のランプに取り付けられている(
図31および32の斜線部分)。これにより、カセット81には、分光特性が異なる2種類の光源部73が構成される。以下、波長カットフィルタ286が取り付けられた光源部73をフィルタ付き光源部73A、波長カットフィルタ286を有しない光源部73をフィルタ無し光源部73Bと称す。
【0104】
また、光学制御部76では、フィルタ付き光源部73Aとフィルタ無し光源部73Bの各分光特性、特に、各波長のピーク高さをあらかじめ測定しておき、データベースとして保存しておく。なお、光源部73A,73Bは、ランプ71を使用し続けると分光特性が変化するので、露光を行っていない状態で、各光源部73A,73Bの各波長における照度を測定しておく。
【0105】
このように構成された光照射装置80では、照度計279で測定した結果を元に、データベースを参照し、各光源部73A,73Bの点灯するランプ71のパワー、個数を決定する。ここで、点灯するランプ71の個数が多い場合には、ランプ71の消し方が略回転対称でなくとも露光面照度分布には影響が小さいが、点灯するランプ71の個数が少ない場合、例えば、216灯のランプ71の50%程度を消灯するような場合には、ランプ71の消し方が略回転対称でないと露光面照度分布が悪くなる可能性がある。このため、
図31に示すように、フィルタ付き光源部73A、フィルタ無し光源部73Bは、それぞれ略回転対称(ここでは、点対称)となるようにランプ71を点灯することが好ましい。
【0106】
水銀ランプ71から出射される光は、一般的にインコヒーレント光であり、インテグレータレンズ74、反射鏡77などからなる照明光学系を通過して露光面に到達したとき、その強度は、波長ごとに和として与えられる。フィルタ付き光源部73Aとフィルタ無し光源部73Bを設けることにより、各波長における分光強度比をある程度コントロールすることができる。
【0107】
ここで、分光特性の異なる2種類のランプを用いた場合と、分光特性の同じランプに波長カットフィルタを設けた場合とで、照度の測定試験を行った。具体的に、分光特性の異なる2種類のランプを用いた試験では、4灯の第1のランプを用いた場合、該第1のランプより短波長側の強度が強い4灯の第2のランプを用いた場合、2灯の第1のランプ及び2灯の第2のランプを用いた場合で照度を測定した。また、波長カットフィルタを設ける試験では、4灯の第2のランプを使用し、波長カットフィルタを取り付けない場合、波長カットフィルタを2灯のランプに取り付けた場合、波長カットフィルタを4灯のランプに取り付けた場合で照度を測定した。2種類のランプを用いた場合の結果を表1に、波長カットフィルタを設けた場合の結果を表2に示す。
【0108】
なお、本試験で使用される照度計としては、ウシオ電機株式会社製の紫外線積算光量計UIT−250と、受光部に365nm測定用受光器UVD−S365,313nm測定用受光器UVD−S313を使用し、これら受光部で200mm×200mmの露光面の中心部におけるi線(365nm)とj線(313nm)の強度を測定した。
【0109】
この結果、表1及び表2に示すように、DUVフィルタの個数を変更することで、ランプの種類を変更する場合と同様に、各波長における強度を変更できることがわかる。
【0112】
上記したように、本実施形態の露光装置用光照射装置80及び露光装置PEによれば、ランプ71と反射鏡72を含む所定数の光源部73と、所定数の光源部73の光がインテグレータレンズ74の入射面に入射されるように、光源部73を支持するカセット81と、を備え、所定数の光源部73は、分光特性が異なる2種類の光源部73によって構成される。これにより、光源部73を交換せず、波長ごとの強度を自在に設定することができる。特に、所定数の光源部73の各ランプ71は、分光特性が同じであり、所定数の光源部73は、その一部に波長カットフィルタ286を配置することで、分光特性が異なる2種類の光源部73を構成している。これにより、光源部73を交換せず、また、分光特性の異なる光源部を用いることなく、波長ごとの強度を自在に設定することができる。
【0113】
また、カセット81を複数備えるとともに、全ての光源部73の光がインテグレータレンズ74の入射面に入射されるように、複数のカセット81が取り付けられる支持体82をさらに備えることで、ランプ71をユニット化して管理でき、ランプ71の交換時間及び装置のダウンタイムを短縮し、且つ、ランプ71の取り付け部品に大きな曲面加工を行わずに、全ての光源部73を単一の曲面上に配置することができる。
【0114】
さらに、本実施形態の露光装置用光照射装置の点灯制御方法及び露光方法によれば、光照射装置80は、上述した複数の光源部73と、複数のカセット81と、支持体82に加え、インテグレータレンズ74の下流側に配置され、各波長に対応した照度を計測する照度計279と、各ランプ71の点灯・消灯、及び照度を制御する光学制御部76と、を備える。そして、光学制御部76は、照度計279で計測された各波長に対応した照度に基づいて、所定の波長において所望の照度が得られるように、カセット81内の各光源部73を制御する。これにより、必要なランプ71を点灯させて、露光に必要な波長成分における強度を自在に設定することができ、ランプ71の寿命を延ばすことができる。
【0115】
なお、上記実施形態では、1種類の波長カットフィルタ286を用いて分光特性の異なる2種類の光源部73A,73Bを構成しているが、
図33(a)及び(b)に示すように、2種類の波長カットフィルタ286a,286bを用いて分光特性の異なる3種類の光源部73A1,73A2,73Bを構成するようにしてもよい。例えば、3種類の光源部73A1,73A2,73Bを、
図33(a)に示すように8:8:8で構成してもよく、
図33(b)に示すように、10:10:4で構成してもよい。これらの場合にも、3種類の光源部73A1,73A2,73Bを点対称に構成することが好ましく、また、光学制御部76によって
図33(a)のランプ71を消灯させる場合には、
図33(c)の網掛け部分に示すように点対称に消灯させればよい。
【0116】
また、上記実施形態では、光照射装置80は、所定数の光源部73をそれぞれ有する複数のカセット81を支持体82に取り付けて使用されているが、光照射装置80がカセット81単体で構成される場合も、本実施形態の効果を奏する。
【0117】
また、上記実施形態では、波長カットフィルタ286を用いることで、分光特性が異なる複数種類の光源部73を構成し、インテグレータレンズ74の下流側に配置され、各波長に対応した照度を計測する照度計279と、各ランプ71の点灯・消灯、及び照度を制御する制御部76と、を備え、制御部76が、照度計279で計測された各波長に対応した照度に基づいて、各波長における所望の照度が得られるように、カセット81内の各光源部73を制御しているが、本発明は、分光特性が異なる複数種類のランプ71によって複数種類の光源部73を構成した場合を含み、同様の効果を奏することができる。
【0118】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態に係る近接スキャン露光装置について、
図34〜
図39を参照して説明する。
【0119】
近接スキャン露光装置101は、
図37に示すように、マスクMに近接しながら所定方向に搬送される略矩形状の基板Wに対して、パターンPを形成した複数のマスクMを介して露光用光Lを照射し、基板WにパターンPを露光転写する。即ち、該露光装置101は、基板Wを複数のマスクMに対して相対移動しながら露光転写が行われるスキャン露光方式を採用している。なお、本実施形態で使用されるマスクのサイズは、350mm×250mmに設定されており、パターンPのX方向長さは、有効露光領域のX方向長さに対応する。
【0120】
近接スキャン露光装置101は、
図34及び
図35に示すように、基板Wを浮上させて支持すると共に、基板Wを所定方向(図において、X方向)に搬送する基板搬送機構120と、複数のマスクMをそれぞれ保持し、所定方向と交差する方向(図において、Y方向)に沿って千鳥状に二列配置される複数のマスク保持部171を有するマスク保持機構170と、複数のマスク保持部171の上部にそれぞれ配置され、露光用光Lを照射する照明光学系としての複数の照射部180と、複数の照射部180と複数のマスク保持部171との間にそれぞれ配置され、照射部180から出射された露光用光Lを遮光する複数の遮光装置190と、を備える。
【0121】
これら基板搬送機構120、マスク保持機構170、複数の照射部180、及び、遮光装置190は、レベルブロック(図示せず)を介して地面に設置される装置ベース102上に配置されている。ここで、
図35に示すように、基板搬送機構120が基板Wを搬送する領域のうち、上方にマスク保持機構170が配置される領域をマスク配置領域EA、マスク配置領域EAに対して上流側の領域を基板搬入側領域IA、マスク配置領域EAに対して下流側の領域を基板搬出側領域OAと称す。
【0122】
基板搬送機構120は、装置ベース102上に他のレベルブロック(図示せず)を介して設置された搬入フレーム105、精密フレーム106、搬出フレーム107上に配置され、エアで基板Wを浮上させて支持する基板保持部としての浮上ユニット121と、浮上ユニット121のY方向側方で、装置ベース102上にさらに他のレベルブロック108を介して設置されたフレーム109上に配置され、基板Wを把持すると共に、基板WをX方向に搬送する基板駆動ユニット140と、を備える。
【0123】
浮上ユニット121は、
図36に示すように、搬入出及び精密フレーム105,106,107の上面から上方に延びる複数の連結棒122が下面にそれぞれ取り付けられる長尺状の複数の排気エアパッド123(
図35参照),124及び長尺状の複数の吸排気エアパッド125a,125bと、各エアパッド123,124,125a,125bに形成された複数の排気孔126からエアを排出するエア排出系130及びエア排出用ポンプ131と、吸排気エアパッド125a,125bに形成された吸気孔127からエアを吸引するためのエア吸引系132及びエア吸引用ポンプ133と、を備える。
【0124】
また、吸排気エアパッド125a,125bは、複数の排気孔126及び複数の吸気孔127を有しており、エアパッド125a,125bの支持面134と基板Wとの間のエア圧をバランス調整し、所定の浮上量に高精度で設定することができ、安定した高さで水平支持することができる。
【0125】
基板駆動ユニット140は、
図35に示すように、真空吸着により基板Wを把持する把持部材141と、把持部材141をX方向に沿って案内するリニアガイド142と、把持部材141をX方向に沿って駆動する駆動モータ143及びボールねじ機構144と、フレーム109の上面から突出するように、基板搬入側領域IAにおけるフレーム109の側方にZ方向に移動可能且つ回転自在に取り付けられ、マスク保持機構170への搬送待ちの基板Wの下面を支持する複数のワーク衝突防止ローラ145と、を備える。
【0126】
また、基板搬送機構120は、基板搬入側領域IAに設けられ、この基板搬入側領域IAで待機される基板Wのプリアライメントを行う基板プリアライメント機構150と、基板Wのアライメントを行う基板アライメント機構160と、を有している。
【0127】
マスク保持機構170は、
図35及び
図36に示すように、上述した複数のマスク保持部171と、マスク保持部171毎に設けられ、マスク保持部171をX,Y,Z,θ方向、即ち、所定方向、交差方向、所定方向及び交差方向との水平面に対する鉛直方向、及び、該水平面の法線回りに駆動する複数のマスク駆動部172と、を有する。
【0128】
Y方向に沿って千鳥状に二列配置される複数のマスク保持部171は、上流側に配置される複数の上流側マスク保持部171a(本実施形態では、6個)と、下流側に配置される複数の下流側マスク保持部171b(本実施形態では、6個)と、で構成され、装置ベース2のY方向両側に立設した柱部112(
図34参照。)間で上流側と下流側に2本ずつ架設されたメインフレーム113にマスク駆動部172を介してそれぞれ支持されてい
る。各マスク保持部171は、Z方向に貫通する開口177を有すると共に、その周縁部下面にマスクMが真空吸着されている。
【0129】
マスク駆動部172は、メインフレーム113に取り付けられ、X方向に沿って移動するX方向駆動部173と、X方向駆動部173の先端に取り付けられ、Z方向に駆動するZ方向駆動部174と、Z方向駆動部174に取り付けられ、Y方向に駆動するY方向駆動部175と、Y方向駆動部175に取り付けられ、θ方向に駆動するθ方向駆動部176と、を有し、θ方向駆動部176の先端にマスク保持部171が取り付けられている。
【0130】
複数の照射部180は、
図38及び
図39に示すように、筐体181内に、第1実施形態と同様に構成される光照射装置80A、インテグレータレンズ74C、光学制御部76、凹面鏡77、及び、露光制御用シャッター78、を備えると共に、光源部73Aと露光制御用シャッター78間、及びインテグレータレンズ74Cと凹面鏡77間に配置される平面ミラー280,281,282を備える。なお、凹面鏡77または折り返しミラーとしての平面ミラー282には、ミラーの曲率を手動または自動で変更可能なデクリネーション角補正手段が設けられてもよい。
【0131】
光照射装置80Aは、超高圧水銀ランプ71と反射鏡72とをそれぞれ含む、例えば、4段2列の8個の光源部73を含むカセット81Aを直線状に3個並べた支持体82Aを有している。第1実施形態と同様、カセット81Aでは、8個の光源部73が支持された光源支持部83にランプ押さえカバー84を取り付けることで、8個の光源部73の光が照射する各照射面と、8個の光源部73の光が入射されるインテグレータレンズ74Cの入射面までの各光軸Lの距離が略一定となるように、光源部73が位置決めされる。また、
図39に示すように、支持体82Aの複数のカセット取り付け部90に各カセット81Aが取り付けられることで、全ての光源部73の光が照射する各照射面と、該光源部73の光が入射されるインテグレータレンズ74の入射面までの各光軸Lの距離が略一定となるように、各カセット81Aが位置決めされる。なお、各光源部73からの配線の取り回しや、支持体内の冷却構造は、第1実施形態と同様に構成されており、またランプ71の点灯制御方法も第1実施形態と同様である。
【0132】
複数の遮光装置190は、
図36に示すように、傾斜角度を変更する一対の板状のブラインド部材208,209を有し、ブラインド駆動ユニット192によって一対のブラインド部材208,209の傾斜角度を変更する。これにより、マスク保持部171に保持されたマスクMの近傍で、照射部180から出射された露光用光Lを遮光するとともに、露光用光Lを遮光する所定方向における遮光幅、即ち、Z方向から見た投影面積を可変とすることができる。
【0133】
なお、近接スキャン露光装置101には、マスクMを保持する一対のマスクトレー部(図示せず)をY方向に駆動することで、上流側及び下流側マスク保持部171a,171bに保持されたマスクMを交換するマスクチェンジャー220が設けられると共に、マスク交換の前に、マスクトレー部に対して浮上支持されるマスクMを押さえつけながら、位置決めピン(図示せず)をマスクMに当接させることでプリアライメントを行うマスクプリアライメント機構240が設けられている。
【0134】
さらに、
図36に示すように、近接スキャン露光装置101には、レーザー変位計260、マスクアライメント用カメラ(図示せず)、追従用カメラ(図示せず)、追従用照明273等の各種検出手段が配置されている。
【0135】
次に、以上のように構成される近接スキャン露光装置101を用いて、基板Wの露光転写について説明する。なお、本実施形態では、下地パターン(例えば、ブラックマトリクス)が描画されたカラーフィルタ基板Wに対して、R(赤)、G(緑)、B(青)のいずれかのパターンを描画する場合について説明する。
【0136】
近接スキャン露光装置101は、図示しないローダ等によって、基板搬入領域IAに搬送された基板Wを排気エアパッド123からのエアによって浮上させて支持し、基板Wのプリアライメント作業、アライメント作業を行った後、基板駆動ユニット140の把持部材141にてチャックされた基板Wをマスク配置領域EAに搬送する。
【0137】
その後、基板Wは、基板駆動ユニット140の駆動モータ143を駆動させることで、レール142に沿ってX方向に移動する。そして、基板Wがマスク配置領域EAに設けられた排気エアパッド124及び吸排気エアパッド125a,125b上に移動させ、振動を極力排除した状態で浮上させて支持される。そして、照射部180内の光源から露光用光Lを出射すると、かかる露光用光Lは、マスク保持部171に保持されたマスクMを通過し、パターンを基板Wに露光転写する。
【0138】
また、当該露光装置101は追従用カメラ(図示せず)やレーザー変位計260を有しているので、露光動作中、マスクMと基板Wとの相対位置ズレを検出し、検出された相対位置ズレに基づいてマスク駆動部172を駆動させ、マスクMの位置を基板Wにリアルタイムで追従させる。同時に、マスクMと基板Wとのギャップを検出し、検出されたギャップに基づいてマスク駆動部172を駆動させ、マスクMと基板Wのギャップをリアルタイムで補正する。
【0139】
以上、同様にして、連続露光することで、基板W全体にパターンの露光を行うことができる。マスク保持部171に保持されたマスクMは、千鳥状に配置されているので、上流側或いは下流側のマスク保持部171a,171bに保持されるマスクMが離間して並べられていても、基板Wに隙間なくパターンを形成することができる。
【0140】
また、基板Wから複数のパネルを切り出すような場合には、隣接するパネル同士の間に対応する領域に露光用光Lを照射しない非露光領域を形成する。このため、露光動作中、一対のブラインド部材208,209を開閉して、非露光領域にブラインド部材208,209が位置するように、基板Wの送り速度に合わせて基板Wの送り方向と同じ方向にブラインド部材208,209を移動させる。
【0141】
従って、本実施形態のような近接スキャン露光装置においても、光源部73を交換する際には、カセット81毎に交換される。各カセット81では、所定数の光源部73が予め位置決めされ、且つ、各光源部73からの配線97がコネクタ98に接続されている。このため、交換が必要なカセット81Aを支持体82Aのカセット用凹部90bに嵌合させ支持体82Aに取り付けることで、カセット81内の光源部73のアライメントを完了する。また、コネクタ98に他の配線99を接続することで、配線作業も完了するので、光源部73の交換作業を容易に行うことができる。
【0142】
なお、
図41に示すように、本実施形態の光照射装置80Aにおいても、第4実施形態と同様、所定数の光源部73の各ランプ71は、分光特性が同じであり、所定数の光源部73は、その一部に波長カットフィルタ286を配置することで、分光特性が異なる2種類の光源部73を構成してもよい。
【0143】
具体的には、
図40及び41に示すように、ランプ71と反射鏡72を含む所定数の光源部73と、所定数の光源部73の光がインテグレータレンズ74の入射面に入射されるように、光源部73を支持するカセット81と、を備え、所定数の光源部73の各ランプ71は、分光特性が同じであり、所定数の光源部73は、その一部に波長カットフィルタ286を配置することで、分光特性が異なる2種類の光源部73を構成する。また、凹面鏡77の一部には、開口77aが形成されており、開口77aの後方には、g線、h線、i線、j線、k線等における各波長の照度を測定する各照度計279が設置されている。
【0144】
このような構成としたことにより、ランプ71を交換せず、また、分光特性の異なる光源部を用いることなく、波長ごとの強度を自在に設定することができる。
【0145】
尚、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。
【0146】
例えば、本実施形態のランプ押さえカバー84は、凹状のボックス形状としたが、これに限定されず、当接部によって光源部を位置決め固定できるものであれば、例えば、メッシュ形状であってもよい。また、各光源部73を光源支持部83に嵌合してさらに固定するようにした場合には、ランプ押さえカバー84を設けないで構成することも可能である。
また、支持体カバー92の形状も照明光学系70の配置に応じて、任意に設計可能である。
【0147】
また、カセット81に配置される光源部73を8個以上とし、支持体82に配置される全光源部は8個〜約800個とする。800個程度であれば、実用性及び効率が良くなる。さらに、支持体82に装着されるカセット81の数は全体の光源部73の数の5%以下とすることが好ましく、この場合には、1つのカセット81に配置される光源部73の数が5%以上となる。
【0148】
さらに、
図25(a)及び(b)では、同一サイズのカセット81を用いて略回転対称となる位置のランプを交互に点灯する説明したが、異なるサイズのカセット81を用いて、カセット81における略回転対称となる位置のランプ71を交互に点灯するようにしてもよい。小型のサイズのカセット81に組み込まれたランプ71は、大型のカセット81に組み込まれたランプ71に比べて、ランプ71の数が少ないので、周囲から受ける発熱量が少なく、小型のサイズのカセット81に組み込まれたランプ71の寿命が長くなる。また、異なるサイズのカセット81を用いて、全てのランプ71において略回転対称となる位置のランプ71を交互に点灯制御することが好ましい。
【0149】
また、例えば、上記実施形態では、露光装置として分割逐次近接露光装置と走査式近接露光装置とを説明したが、これに限定されず、本発明は、ミラープロジェクション式露光装置、レンズ投影式露光装置、密着式露光装置にも適用することができる。また、本発明は、一括式、逐次式、走査式等のいずれの露光方法にも適用することができる。
【0150】
さらに、本発明の支持体は、上記実施形態のような支持体本体91と支持体カバー92とを有する支持体82によって構成されることが好ましいが、各カセット81に取り付けられた各光源部73の光がインテグレータレンズ74の入射面に実質的に向くようにアライメントされるものであればよく、支持体本体のみによって構成されてもよいし、また、骨組構造のような枠体からなる支持体本体のみによって構成されてもよい。
例えば、
図42に示すように、支持体82は前面を開放するように形成され、支持体82に設けられた各カセット取り付け部90を凹部(カセット81の矩形状の後方縁部と対向する断面L字状の切り欠き)によって形成し、カセット固定手段によって各カセット81を前方から固定するような構造であってもよい。また、この場合において、強制排気手段79によって支持体82内のエアを排気する場合には、
図18(a)に示すように、排気孔84aはランプ押さえカバー84の底面に形成されることが好ましい。
また、支持体のカセット取り付け部90の構成も任意であり、上記実施形態の
図8に示すように、開口部90aの周囲に設けられたカセット用凹部90cによって形成されてもよいが、
図43に示すように、光源支持部83の前面周囲に設けられた凸状の係合部83cとカセット取り付け部90に周囲に亘って設けられた凹状の被係合部90dとを係合させることによって取り付けるようにしてもよい。
【0151】
本出願は、2010年2月5日出願の日本特許出願2010−024326、2010年8月27日出願の日本特許出願2010−191288、2010年10月7日出願の日本特許出願2010−227689及び2011年1月26日出願の日本特許出願2011−014268に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。