(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6095291
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】加熱式回転基板支持体を有するウエハ処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20170306BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20170306BHJP
【FI】
H01L21/68 N
H01L21/31 B
【請求項の数】8
【外国語出願】
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-168882(P2012-168882)
(22)【出願日】2012年7月12日
(65)【公開番号】特開2013-21336(P2013-21336A)
(43)【公開日】2013年1月31日
【審査請求日】2015年5月25日
(31)【優先権主張番号】13/181,791
(32)【優先日】2011年7月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510283650
【氏名又は名称】エーエスエム インターナショナル エヌ. ヴェー.
【氏名又は名称原語表記】ASM International N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】特許業務法人 武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デ リッデル,クリス ヘー.エム.
(72)【発明者】
【氏名】ボーンストラ,クラース ペー.
(72)【発明者】
【氏名】オーステルラケン,テオドルス ヘー.エム.
(72)【発明者】
【氏名】ラフェンホルスト,バレント イェー.テー.
【審査官】
中田 剛史
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−218040(JP,A)
【文献】
特開2001−156005(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
H01L 21/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板処理装置(1)であって、
基板支持体アセンブリ(30)を備え、
前記基板支持体アセンブリ(30)は、
基板または基板担持体(24)をその上に支持するための外側の支持面(34)を画成する基板支持体(32)と、
前記基板支持体(32)の内部に配設され、前記支持面(34)の真下に前記支持面(34)にほぼ平行に延在する放熱部(54)を備えたヒータ(50)と、
を備え、
前記基板支持体(32)は、
前記支持面(34)が前記ヒータ(50)の前記放熱部(54)に対して回転可能であるように、前記支持面(34)を貫通延在する回転軸(L)の周りに回転可能に取り付けられ、
前記基板支持体アセンブリ(30)は、
前記半導体基板処理装置(1)の反応空間(14)を密閉するためのドアプレート(42)を含む基部アセンブリをさらに備え、
前記基板支持体(32)は、
前記基部アセンブリに対して前記回転軸(L)の周りの前記基板支持体の回転を容易にする第1の軸受(44a)を介して、前記基部アセンブリ(42)に接続され、
前記ヒータ(50)は、
前記回転軸(L)に対して回転不能に取り付けられ、
前記ヒータに対する前記回転軸(L)の周りの前記基板支持体の回転を容易にする第2の軸受(44b)を介して、前記基板支持体(32)に接続され、
前記基板支持体(32)は、
底壁(36a)と、ジャケット形側壁(36b)と、天壁(36c)とを含み、
好ましくは、略円筒の容器(36)を画成するために前記底壁(36a)と、前記ジャケット形側壁(36b)と、前記天壁(36c)とは相互に連結され、
前記天壁(36c)の外面は、
前記基板支持体の前記支持面(34)を画成し、
前記容器(36)は、
前記ヒータ(50)の少なくとも前記放熱部(54)を収容し、
前記底壁(36a)は、
下方に突出して前記底壁を貫通延在する通路(37a)を画成する駆動軸(37)を備え、
前記第1の軸受(44a)は、
前記第2の軸受(44b)と水平になるように、前記駆動軸(37)の外周に係合し、
前記第2の軸受(44b)は、
前記駆動軸(37)の内周に係合し、
前記容器の前記底壁(36a)と前記ヒータ(50)の前記放熱部(54)との間に配設される断熱材(38)が少なくとも部分的に充填され、
前記断熱材(38)は、
前記ヒータ(50)と固定された定置関係で配設され、
前記半導体基板処理装置(1)は、
前記底壁(36a)に隣接してはいるが前記底壁(36a)から離れた前記容器(36)内の位置に配設された支持板(39)をさらに備え、
前記支持板(39)は、
前記支持板から下方に突出して、前記容器(36)の前記底壁(36a)から突出した前記駆動軸(37)と同軸に、前記駆動軸(37)内を通る支持軸(39a)を備え、
前記断熱材(38)は、
前記支持板(39)の上に支持されることを特徴とする装置(1)。
【請求項2】
前記第1の軸受および前記第2の軸受は円形の同軸球溝を画成するころ軸受であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ヒータ(50)は、
エネルギーを前記放熱部(54)に伝達するために前記放熱部(54)に接続され、かつ前記放熱部(54)から前記断熱材(38)を介して前記支持軸(39a)内まで延在する接続部(52)を含み、
前記ヒータの前記接続部(52)は前記断熱材(38)に埋め込まれ、
前記ヒータの前記放熱部(54)は前記断熱材(38)の上に載っていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記断熱材(38)は、前記容器(36)と定置関係で配設されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記容器(36)の前記底壁(36a)から突出した前記駆動軸(37)は、
前記回転軸(L)に沿って前記断熱材(38)を貫通延在する細長い中空軸(40)と位置合わせされ、
前記ヒータ(50)は、
エネルギーを前記放熱部(54)に伝達するための接続部(52)を含み、
前記接続部(52)は前記放熱部(54)に接続して前記放熱部(54)を支持するために前記駆動軸の内側から前記中空軸(40)を通って自由に延在することを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記ヒータ(50)の前記放熱部(54)は、
独立に制御可能な発熱帯を少なくとも2つ備え、前記発熱帯は前記支持面(34)のそれぞれ異なる部分の下に延在することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記半導体基板処理装置(1)は、
縦型加熱炉であり、前記反応空間(14)を画成する反応室(12)と、前記基板支持体アセンブリ(30)を少なくとも部分的に前記反応室に収容しうる開口部(22)とをさらに備え、
前記基板支持体アセンブリが収容された状態において、その上に支持された基板(28)または基板担持体(24)は前記反応空間内に収容され、前記基板支持体アセンブリ(30)は前記開口部(22)をほぼ密閉するようになっていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の半導体基板処理装置(1)を設けるステップと、
少なくとも1つの基板(28)を設け、前記少なくとも1つの基板を、場合によっては基板担持体(24)を介して、前記基板支持体(32)の前記支持面(34)の上に支持するステップと、
同時に
前記ヒータの前記放熱部(54)に放熱させるように前記ヒータ(50)を加熱することと、
前記基板支持体(32)の前記支持面(34)の上に支持されている前記少なくとも1つの基板(28)をその下の前記ヒータの前記放熱部(54)に対して回転させるように、前記基板支持体(32)をその回転軸(L)の周りに回転させることと、
を行うステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体処理の分野に関し、より具体的には、加熱式回転基板支持体を備えた半導体処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
縦型バッチ炉内での複数の半導体ウエハの同時処理は、ウエハボートに積み重ねられた全てのウエハのそれぞれの表面領域全体をほぼ同じプロセス条件に如何にさらすかという問題を提起する。このようなプロセス条件の1つは、プロセスガスへの曝露である。この曝露の均一性を促進するために、縦型炉は、ウエハに接触するプロセスガス流における不均一性を平均化するように、処理中にウエハボートを回転させるボート回転機構を一般に備えている。別のプロセス条件は、ウエハの温度である。一バッチ分の全ての基板にわたって均一な処理結果を得るために、当該バッチの各ウエハは、プロセスチャンバの側壁とプロセスチャンバの天壁とに近接して配設された加熱手段によって、好ましくは共通の温度にほぼ均一に加熱されうる。特にウエハボート内の上方のウエハについては、ウエハ間温度均一性は一般に大きな問題ではないが、(炉の構造における非対称性に起因する)ウエハ内温度均一性は上記のボートの回転によって向上されうる。ただし、縦型バッチ炉においては、ウエハボート内の下方の基板の温度を制御し難いことが分かっている。その原因の一部は、下方の基板は炉の相対的に低温の下方ドアゾーンの近くにあるという事実である。この基板位置の影響を緩和するために、ウエハボートを下から支持する台座に、下方のウエハを加熱するための追加の加熱手段を設けうる。このような加熱手段は当該バッチの全ウエハにわたってウエハ間温度均一性を向上させうるが、加熱手段、および/またはこれらの加熱手段によって生じる熱プロファイル、に不均一性があると、下方のウエハのウエハ内温度均一性に影響を及ぼしうる。
【0003】
この問題を克服するために、特許文献1は、定置式台座に対してウエハボートを回転させるための磁気結合式ウエハ回転システムを縦型炉に設けることを示唆している。この回転機構は、台座の内部に鉛直に延在する駆動軸を含む。この駆動軸の下端は回転電動機に磁気的に結合される一方で、駆動軸の上端は台座の頂部にあり、支持体に磁気的に結合される。この支持体は、ウエハボートに接続され、それ自体が台座上に支持されている。したがって、電動機の回転運動は、駆動軸(の下端)に磁気的に伝達され、駆動軸(の上端)からウエハボートの支持体に伝達されうる。使用時、下方の基板の温度に及ぼされうる発熱体における不均一性の影響を平均化するように、ボートは台座に対して回転されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2004/008491号(デュボア(Dubois)ら)
【特許文献2】米国特許出願公開第2010/0224130号(スミス(Smith)ら)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
注目すべきことに、特許文献1は、台座とボートとの間の軸受機構について言及していない。このような軸受機構は、ウエハ回転機構に必須の構成要素であると理解されている。さらに、特に、軸受機構は、軸受を汚損し侵食してその寿命を著しく短縮しうる化学反応体を多く含みうる炉の高温処理環境に置かれうるという理由で、軸受機構は重要な構成要素である。したがって、特許文献1は、上記の問題に対して推論的な非現実解を開示しているに過ぎない。
【0006】
従って、本発明の目的は、基板を支持する基板支持体に組み込まれた発熱体(によって生じた熱プロファイル)における不均一性にも拘らず、1つ以上の基板の均一加熱を可能にする半導体基板処理装置および方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このため、本発明第1の態様は、半導体基板処理装置に関する。本装置は、基板または基板担持体をその上に支持するための外側支持面を画成する基板支持体を備えた基板支持体アセンブリと、基板支持体の内部に配設され、支持面の真下に支持面とほぼ平行に延在する放熱部を備えたヒータとを含む。基板支持体は、支持面がヒータの放熱部に対して回転可能であるように、前記支持面を貫通延在する回転軸周りに回転可能に取り付けられる。
【0008】
本発明の第2の態様は、方法に関する。本方法は、本発明の第1の態様による半導体処理装置を設けるステップを含む。本方法は、少なくとも1つの基板を設け、前記少なくとも1つの基板を基板支持体の支持面上に、場合によっては基板担持体を介して、支持するステップをさらに含む。本方法は、(i)ヒータの放熱部から熱を放散させるようにヒータを加熱すること、および(ii)基板支持体の支持面上に支持された少なくとも1つの基板をその真下のヒータの放熱部に対して回転させるように、基板支持体をその回転軸周りに回転させること、を同時に行うステップをさらに含む。
【0009】
本発明による方法および装置は、ヒータが組み込まれた、またはヒータを内部に備えた、回転可能な基板支持体を含む基板支持体アセンブリを特徴とする。基板支持体とその上に(直接、または基板担持体を介して)支持された基板とは、ヒータに対して基板支持体の回転軸を中心として回転させられうる。このような回転は、ヒータ(の熱プロファイル)における不均一性の影響を平均化し、支持されている基板の基板内温度均一性を促進する。本発明による装置および方法は、各種の半導体処理装置、特に回転可能な基板支持体またはサセプタを備えた縦型加熱バッチ炉および単一基板処理装置、に適用されうる。後者のタイプの装置の一例については、特許文献2を参照されたい。
【0010】
特許文献1の上記縦型バッチ炉に比べ、本願明細書で開示される装置は明らかな改良を提示する。上記のように、特許文献1の課題の1つは、定置式ヒータを備えた定置式台座に対してウエハボートを回転させることである。このため、ボートと台座との間に軸受を配設する必要があり、軸受は炉の反応空間内に置かれる。したがって、軸受はウエハボート内の(下方の)基板と基本的に同じプロセス条件にさらされ、その動作に悪影響が及ぼされることになる。提案される装置においては、基板支持体または台座自体が回転可能であるため、基板支持体の支持面とその上に載置された基板担持体との間に軸受を必要としない。代わりに、本装置は基板支持体と固定された世界との間での回転を可能にする軸受を利用しうるが、この軸受は反応空間の外側に良好に配設されうる。
【0011】
本装置の好適な一実施形態において、ヒータは基板支持体の回転軸に対して回転不能に取り付けられうる。すなわち、ヒータは、装置が完全に組み立てられて稼働可能な状態においては、回転軸を中心として回転不能である(以下で明らかになるように、回転不能に取り付けられるヒータは、本装置が部分的に組み立てられた非稼働状態では回転可能に取り付けられたように事実上見えることもある)。回転不能または定置式ヒータ構成は、装置の構成を一般に単純化する。例えば、電気ヒータの場合は、ヒータと電源間の接続のための高出力の滑り/ワイパー式電気接触子を使用する必要性を取り除く。代わりに、固定された耐摩耗性の接続部が使用されうる。したがって、回転不能に取り付けられたヒータは、構成がより簡単でより経済的であり、その寿命中の信頼性がより高く、保守感応性がより低い。
【0012】
しかしながら、回転不能に取り付けられるヒータ構成は、考えられる唯一の構成ではない。例えば、本装置の別の実施形態では、ヒータを、好ましくは基板支持体の回転軸周りに、回転可能に取り付けることも可能であるが、本装置は、動作中、ヒータと基板支持体とがほぼ同じゼロ以外の角速度を有することができないように構成されうる。すなわち、ヒータは、使用中、基板支持体の角速度より大きいか小さい角速度、すなわち基板支持面とヒータとの間の相対運動を事実上意味する角速度、でのみ回転するように適合されうる。このため、ヒータの回転は、例えば、歯車機構または伝動装置によって、あるいは流体(抵抗)結合を介して、基板支持体の回転に結合されうる。あるいは、ヒータは基板支持体とは独立に、すなわちこの2つの部分の間に力/回転運動を伝達する機械的結合なしに、駆動されうる。
【発明の効果】
【0013】
本発明による加熱式回転基板支持体を有するウエハ処理装置によれば、基板支持体または台座自体が回転可能であるため、基板支持体の支持面とその上に載置された基板担持体との間に軸受を必要としない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】内部に収容されたヒータの周りを回転可能な基板支持体を有する基板支持体アセンブリを備えた、本発明による縦型加熱バッチ炉の第1の例示的実施形態の一部分の概略側断面図である。
【
図2】
図1に示されている縦型加熱炉の基板支持体アセンブリの拡大側断面図である。
【
図3】内部に収容されたヒータの周りを回転可能な基板支持体を有する基板支持体アセンブリを備えた、本発明による縦型加熱バッチ炉の第2の例示的実施形態の一部分の概略断面斜視図である。
【
図4】
図3に示されている縦型加熱炉の概略側断面図である。
【
図5】
図3および
図4に示されている縦型バッチ炉の基板支持体アセンブリの拡大側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明を限定するためではなく例示を目的とした添付図面と組み合わせた本発明の特定の諸実施形態の詳細な説明を以下に記載するが、ここからは、本発明の上記および他の特徴および利点が十分に分かるであろう。
【0016】
図1および
図2は、本発明による縦型加熱バッチ炉1の第1の例示的実施形態の下方部分を側断面図で模式的に示す。
図3〜5は、本発明による縦型加熱炉1の第2の、一代替例示的実施形態の下方部分を断面斜視図および側断面図で模式的に示す。両実施形態の構成をそれぞれの図面を参照して以下に概説する。
【0017】
一般に、以下に説明する基板支持体アセンブリ30は別として、本発明による縦型加熱炉1は従来設計のものでもよい。縦型加熱炉1は、例えば単管式(または、図示されていない二重管式)でもよく、略ベルジャー形状の反応管10を備えうる。反応管10は、略管状、例えば円形または多角形、の断面形状を有し、中心軸Lに沿って延在しうる。製造材料に関して、反応管10は、石英、炭化珪素、珪素、または別の適した耐熱材料で製造されうる。反応管10は、その内部で基板を処理可能な、例えば熱アニールまたは堆積処理にかけることができる、反応空間14を画成する反応室12の境界を画定しうる。電源(図示せず)から給電される電気抵抗発熱コイル18など、反応空間14内に収容された基板を加熱するための加熱手段によって反応管10を取り囲みうる。加熱手段18は、反応管10を取り囲む断熱スリーブ16に固定されうる。反応管10は、その下方開放端において、ウエハボート24を反応室12に搬入および/または搬出しうる中心炉開口部22を画成する、一般にはステンレス鋼製の、フランジ20上に支持されうる。
【0018】
ウエハボート24は、基板支持体の支持面34または基板支持体アセンブリ30の台座32に不動に取り付けられうる。ウエハボート24は従来設計のものでもよく、複数の半導体ウエハ28を保持するために鉛直方向に距離を置いて配置された同数のスロット26を備えうるが、各図にはそのうちの1つのみが図示されている。
【0019】
処理中にウエハボート24の回転を可能にするために、ウエハボート24がその上に配設される基板支持体32は、炉1の中心軸L周りに回転可能に取り付けられうる。ウエハボート24内の下方の基板28の加熱を容易にするように、基板支持体アセンブリ30は、支持面34の真下、基板支持体32の内部に少なくとも部分的に延在するヒータ50をさらに備えうる。ヒータ50に対して基板支持体32を回転させることによってヒータ(の熱プロファイル)における不均一性の影響を平均化するために、基板支持体アセンブリ30は、基板支持体32のその回転軸L周りの回転が基板支持面34とヒータ50との間の相対運動を引き起こすように、構成されうる。このような構成は、次に順番に説明する
図1〜2および
図3〜5の代替実施形態によってそれぞれ例示されているように、さまざまな方法で行われうる。
【0020】
最初に
図1〜2の実施形態の構成に言及する。基板支持体32は、回転軸Lを中心とする円筒容器36を備えうる。容器36は、ほぼ平坦な底壁36aと、シリンダジャケット形状の側壁36bと、ほぼ平坦な天壁36cとを備えうる。これらの壁は、容器36を形成するために、相互に連結されうる。天壁36cは、外側の上向き支持面34を提供しうる。回転軸Lは、支持面34に対して好ましくは直角に、支持面34を貫通延在しうる。
【0021】
底壁36aと天壁36cとの間に延在する容器36の本体は、カンタル(Kanthal)社のフィブロタル(Fibrothal(登録商標))、例えばフィブロタルF17(Fibrothal F17)、などの断熱材38を少なくとも部分的に充填しうる内部空間を画成しうる。断熱材38は、ドアプレート42とフランジ20の両方に対して遮熱材として機能し、炉1の下部からの熱損失の低減に役立ちうる。
【0022】
断熱材38を容器36の底壁36aに直接載せなくてもよく、代わりに容器36の底壁36aのすぐ上に底壁36aから離して容器36内に配設された支持板39上に支持してもよい。この「浮き構造」を可能にするために、容器36の底壁36aは、回転軸Lを中心とする、ほぼシリンダジャケット形状の中空駆動軸37を備えうる。駆動軸37は、底壁36aから下方に突出し、底壁36aを貫通する通路37aを画成しうる。同様に、支持板39も、支持板39から下方に突出するほぼシリンダジャケット形状の支持軸39aを備えうる。支持軸39aは、駆動軸37と同軸に延在し、支持板39を貫通する通路を画成しうる。軸受44
aが駆動軸37と支持軸39aとの間に、軸受44bが駆動軸37の内周に係合し(または駆動軸通路37aの内部に少なくとも配設され)、さらに支持軸39aの外周に係合するように、配設されうる。軸受44bは支持板39を担持または支持し、軸受44b周りの容器36の回転を容易にしうる。
【0023】
円筒容器36は、基板支持体アセンブリ30の基部アセンブリに接続されて支持されうる。この基部アセンブリは、炉1のドアプレートまたはシールキャップ42を含みうる。円筒容器36は、この基部アセンブリ42に軸受44aを介して回転可能に取り付けられうる。軸受44aは、軸受44bのように、何れか適した種類でよく、例えば転がり、流体、または磁気軸受でもよい。両軸受44a、44bは、好ましくは、同軸の円形球溝を画成する回転軸受にしうる。軸受44aが基板支持体32のほぼ下方に配設されて、支持面34上に支持された基板28がさらされるプロセス雰囲気から軸受44aが遮蔽されるように、軸受44aは好ましくは容器36の下端(すなわち、基板支持面34から遠位の端)に接続されうる。図示の実施形態において、軸受44aは容器36の底壁36aから突出した駆動軸37の外周に係合する。したがって、円筒容器36は、(軸受44aを介して)ドアプレート42と(軸受44bを介して)支持板39の両方に対して回転されうる。
【0024】
上記のように、基板支持体32はヒータまたは発熱体50をさらに収容しうる。一般に、ヒータ50は、基板支持体32の内部で所望の熱を放散/発生させるように構成された放熱/発熱部54と、エネルギーを基板支持体32の外部から放熱部54に伝達するために放熱部54に接続する接続部52とを備える。ヒータ50は、適した種類であれば如何なるものでもよい。例えば、ヒータ50は、例えば加熱された流体の循環または伝導によって、熱を基板支持体32内に伝達するように構成されうる。ただし、好適な一実施形態においては、ヒータ50は電気抵抗ヒータにしうる。
【0025】
図1〜2の実施形態では、電気抵抗ヒータ50が断熱材38に対して固定された定置関係で配設されている。ヒータの放熱部54は、電気抵抗発熱螺旋体を1つ以上含みうる。この発熱螺旋体は、容器の天壁36cの真下に天壁36cにほぼ平行に天壁36cに隣接する(例えば容器の天壁36cからの距離が25cm以内、好ましくは10cm以内の)平面に、中心軸Lから見て半径方向外側に延在する。放熱部54は、その上に支持されているウエハボート24内の(下方の)ウエハ28の加熱をそれぞれの表面全体にわたって可能にするように、好ましくは支持面34の面積とほぼ等しい面積にわたって延在しうる。
【0026】
下方のウエハの温度均一性をさらに最適化するために、ヒータ50は独立に制御可能な発熱帯を複数画成しうる。各発熱帯は、基板支持面34の一部の下のみに延在するヒータ50の(部分)放熱部、例えば1つの電気抵抗発熱螺旋体、に対応付けられうる。第1の発熱帯を、例えば、支持面34の中心領域の下に延在させ、第2の発熱帯を支持面34の外側領域の下に延在させうる。別の実施形態において、第1の発熱帯は支持面34の接線方向に延在する第1の領域にわたって延在し、第2の発熱帯は支持面34の接線方向に延在する第2の領域にわたって延在しうる。
【0027】
支持のために、容器36に設けられた断熱材38の上にヒータ50の放熱部52を載せてもよい。ヒータ50の接続部52は、放熱部52の螺旋体への電気リードおよび放熱部52の螺旋体からの電気リードを、対応付けられた各発熱帯の独立制御を可能にするために、好ましくは螺旋体ごとに一対提供しうる。接続部52は発熱螺旋体の中心で放熱部54に接続し、発熱螺旋体の中心から中心軸Lに沿って下方に、その内部に埋め込まれうる断熱材38を貫通して支持板39の支持軸39a内にまで延在しうる。そこで、接続部52は、支持軸39aの下端に固定的に組み込まれうるプラグ56に取り付けられるか、または終端しうる。ヒータ50の接続部52は、放熱/発熱しないことが好ましいことがあることを理解されたい。
【0028】
上記では、基部アセンブリは、炉1のドアプレート42を含むものとして紹介された。実際には、基部アセンブリは、可動ローダまたは支持アーム(図示せず)をさらに備えうる。ローダアームは、ドアプレート42と基板支持体32とを一緒に支持するために、また処理開始時における炉1の反応室12内への基板支持体32の上昇および処理終了時における炉1の反応室12からの基板支持体32の下降を可能にするために、ドアプレート42の下方に配設されうる。ローダアームは、支持軸39aの下端を、ヒータ50の接続部52の下端に組み込まれたプラグ56と共に、受け入れるように構成された中心ソケットを備えうる。このソケットは、受け入れたプラグ56の回転軸L周りの回転を防止する拘束装置として機能するように構成されうることが好ましい。したがって、ドアプレート42がローダアーム上に支持されると、ドアプレート42と支持板39とは固定された定置関係で保持されうる一方で、基板支持体32はドアプレート42と支持板39との間に回転可能に取り付けられうる。基板支持体32の円筒容器36をその回転軸Lを中心として回転させるために、基部アセンブリは、ローダアームに組み込まれうる電動機駆動部をさらに含みうる。電動機駆動部は、円筒容器36とその上に支持されたウエハボート24とを一緒に回転させるように、円筒容器36の駆動軸37に係合しうる。炉1の基部アセンブリとその他の回転不能に取り付けられた、支持板39、断熱材38、およびヒータ50を含む、固定構造部分とは、基板支持体32の回転中、静止していることになる。
【0029】
次に、基板支持体アセンブリ30の一代替実施形態を示す
図3〜5を参照する。この第2の例示的実施形態が
図1〜2の実施形態と異なる点は、断熱材38が基板支持体32の容器36に対して静的関係にある点である。このため、以下に説明するように、ヒータ50を自己支持型にする必要がある。
【0030】
図3〜5の実施形態において、底壁36aと天壁36cとの間に延在する容器36の本体は、2つの本体部分を画成しうる。第1の本体部分は、天壁36cに隣接し、ヒータ50の放熱部54を受け入れる内部空間を画成しうる。第2の本体部分は、底壁に隣接し、断熱材38を少なくとも部分的に充填しうる環状の内部空間を回転軸Lの周囲に画成しうる。炉1の第2の実施形態には断熱材38を支持するための支持板39が含まれないことは
図3〜5から明らかであろう。代わりに、断熱材38と容器36の底壁36cとが固定された定置関係になるように、断熱材38は容器36の底壁36cに直接載る。すなわち、容器36が回転されると、断熱材38は容器36と共に動く。
【0031】
容器36をヒータ50に対して回転させるために、容器36は、第1の本体部分から、第2の本体部分とその中に設けられた断熱材38とを貫通し、容器36の底壁36aから突出した駆動軸37の中心通路37aに沿って延在する中空軸40を画成しうる。
【0032】
この場合も、ヒータ50は接続部52と放熱部54とを備えうる。接続部52は、第1の、下端と第2の、上端とを有する細長い、または直線、形状を有しうる。接続部52の下端は、駆動軸37の中心通路37の内側にあって軸受44bを介して駆動軸37に接続されて駆動軸37を支持しうるプラグ56に取り付けられうる。接続部52は、プラグ56から中空軸40を通って上方に自由に延在しうる。接続部54の第2の、上端が軸40から離れた箇所で、接続部54の第2の、上端は放熱部54に接続されうる。この場合も、放熱部54はほぼ平坦であり、支持面34の真下において支持面34に平行に隣接する平面に延在し、好ましくは支持面34の面積にほぼ等しい面積に及びうる。
図3〜5の実施形態のヒータ50は、プラグ56へのその軸受接続は別として、ヒータ50の位置または構成の維持を保証するための外部からの物理的支持が皆無であるという意味において自己支持型である。特にヒータ50は、回転可能に取り付けられた基板支持体32の容器36の内側の断熱材に機械的に接触しない。
【0033】
図1〜2の第1の実施形態のように、ドアプレート42はローダアーム(図示せず)上に支持されうる。ローダアームは、プラグ56を拘束的に収容するように構成されたソケットを備えうる。ローダアームが所定位置にあるとき、その電動機は、例えば駆動軸37に設けられた駆動軸隆起部の凹部37bを介して、基板支持体32の駆動軸37に係合して駆動軸37を駆動することによって、基板支持体32とその上に支持されたウエハ28とを、加熱手段18とヒータ50の放熱部54との両方に対して回転させ、これにより加熱手段18とヒータ50の放熱部54の加熱プロファイルにおける不均一性がウエハに及ぼしうる影響を平均化しうる。
【0034】
本発明の例示的実施形態を部分的に添付図面を参照して説明してきたが、本発明はこれらの実施形態に限定されないことを理解されたい。当業者は、図面、開示、および添付の特許請求の範囲を検討されることによって、開示されている実施形態の複数の変形例を理解でき、特許請求されている本発明の実施の際に実現できるであろう。
【0035】
この点に関して、本発明の用途は縦型加熱炉に限定されないことに留意されたい。例えば、特許文献2には、回転基板支持体を使用して単一基板を処理するための装置が記載されている。開示されたこの装置は、基板支持体アセンブリが内部に配設されたチャンバを備えている。この基板支持体アセンブリは、支持面を有する基板支持体と、支持面の真下に配設されたヒータとを備えている。基板支持体には軸が結合され、基板支持体に回転運動をもたらすために電動機が回転子を介してこの軸に結合されている。基板支持体の回転がヒータに同じ回転を引き起こすように、ヒータは基板支持体(の内部)に強固に一体化されているため、基板支持面上に支持された基板は、処理中、ヒータに対して回転または別様の動きをすることはない。したがって、ヒータによって温度場に不均一性が生じると、基板内の温度分布に望ましくないばらつきを引き起こしうる。この問題を克服するために、特許文献2の単一基板処理装置に本発明を適用しうることは明らかであろう。
【0036】
この明細書全体にわたって「1つの実施形態(”one embodiment”)」または「一実施形態(”an embodiment”)」への言及は、その実施形態に関して記載されている特定の特徴、構造、または特性が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、この明細書全体にわたってさまざまな箇所に出現する「1つの実施形態において」または「一実施形態において」という句は、全てが必ずしも同じ実施形態に言及しているとは限らない。さらに、1つ以上の実施形態の特定の特徴、構造、または特性は、明示的には記載されていない新しい実施形態を形成するために何れか適した方法で組み合わせられうる。
【符号の説明】
【0037】
1 縦型加熱処理炉/反応炉
10 反応管
12 反応室
14 反応空間
16 断熱スリーブ
18 電気抵抗コイル
20 フランジ
22 中心炉開口部
24 ウエハボート
26 ウエハ収容スロット
28 ウエハ
30 基板支持体アセンブリ
32 基板支持体/台座
34 支持面
36 円筒容器
36a 容器の底壁
36b 容器の側壁、
36c 容器の天壁
37 容器の駆動軸
37a 容器の駆動軸を通る軸方向通路
37b 容器の駆動軸を通る半径方向通路
38 断熱材
39 支持板
39a 支持軸
40 断熱材を通る中空軸
42 ドアプレート
44a ドアプレートと容器との間の軸受
44b 容器とヒータブッシングとの間の軸受
46 弾性Oリング
50 ヒータ
52 ヒータの接続部
54 ヒータの放熱/発熱部
56 プラグ
L 中心軸