特許第6095292号(P6095292)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6095292
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 13/00 20060101AFI20170306BHJP
【FI】
   B60C13/00 G
【請求項の数】7
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-172209(P2012-172209)
(22)【出願日】2012年8月2日
(65)【公開番号】特開2014-31093(P2014-31093A)
(43)【公開日】2014年2月20日
【審査請求日】2015年6月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】東洋ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084146
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100100170
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 厚司
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】島 一郎
【審査官】 馳平 裕美
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−058119(JP,A)
【文献】 特開2002−059714(JP,A)
【文献】 特開平08−132830(JP,A)
【文献】 特開2013−173512(JP,A)
【文献】 特開平10−230714(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 1/00〜19/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレッド部と、該トレッド部と連続する一対のサイド部と、該サイド部と連続する一対のビード部と、前記トレッド部および前記一対のサイド部を介し前記一対のビード部に跨って円環状に設けられたカーカス層と、該カーカス層のタイヤ径方向外側の前記トレッド部に設けられたベルトとを備える空気入りタイヤにおいて、
前記ベルトのタイヤ回転軸方向の端部と前記ビード部上端の間の領域をフレックスゾーンとし、前記タイヤ回転軸と平行な子午線断面における前記フレックスゾーンのタイヤ内面の長さをペリフェリ長さ(PERI)とした場合、
前記カーカス層の外側の、前記ペリフェリ長さ方向に等分割した前記フレックスゾーンの各領域に、補強部を設け、
前記ベルトに近接した前記補強部を前記ベルトのタイヤ回転軸方向の端部と間隔をあけて配置し、かつ前記補強部同士を互いに間隔をあけて配置し、
前記フレックスゾーンの分割数は2であり、前記補強部の数は2であり、
前記ビード部上端に近接した前記補強部は、タイヤ幅が最大となる最大幅部を含むように配置され、
前記ビード部上端に近接した前記補強部と前記ビード部上端との間隔は、前記ビード部上端に位置する前記フレックスゾーンの厚さの半分以上の長さであることを特徴とする空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記等分割位置の両側の前記各領域に配置された互いに近接する前記補強部間の間隔は前記等分割位置の前記フレックスゾーンの厚さ以上の長さであり、
前記ベルトに近接した前記補強部と前記ベルトのタイヤ回転軸方向の端部との間隔は、前記ベルトのタイヤ回転軸方向の端部に位置する前記フレックスゾーンの厚さの半分以上の長さであることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記補強部は1つの前記補強部と異なる材料からなる前記補強部を有することを特徴とする請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】
前記ビード部に近接する前記補強部のモジュラスは、前記ベルトに近接する前記補強部のモジュラスより高いことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項5】
前記補強部のモジュラスは4.0〜10.0MPaであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項6】
前記ペリフェリ長さ方向の前記補強部の長さをLとした場合、0.1×PERI≦L≦0.35×PERIであることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項7】
前記補強部の厚みは0.5〜1.0mmであることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気入りタイヤに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の地球環境保護に関する意識の高まりと共に、従来より車両の燃費性能の向上に対する取り組みが行なわれてきており、タイヤの転がり抵抗を低減する必要がある。従来よりタイヤの転がり抵抗を低減する為には、タイヤ転動時のエネルギ−の減少が必要で、エネルギー寄与が高いとされるタイヤトレッド部においては、耐摩耗性等の他特性が著しく損なわれない範囲で転がり抵抗に適したゴムを使用したり、トレッドのベース部に上記ゴムを埋設する等、トレッド部のゴム質の面から転がり抵抗の低減が図られている。また、トレッドベルト端部に生じるエネルギーを減少せしめるタイヤ構造・形状についての検討・提案がなされている。
【0003】
タイヤ転がり抵抗の低減の為の各種手法により、タイヤの転がり抵抗性能の改善が進みつつあるが、近年においては、更なる転がり抵抗の低減を達成するタイヤが必要となっている。更なるタイヤのゴム物性の変更は、タイヤの耐磨耗性能や運動性能に少なからず影響を及ぼし、他性能とのバランス面に問題を生じる可能性があり、低転がり性能を達成し得る、新たなタイヤ構造の提案が必要である。転がり抵抗に関連する、タイヤにおけるエネルギー損失の主領域は路面と接触するトレッド領域であり、接地する事によって生じる接地端部の極所歪や、接地面全体で発生するワイピング変形による歪がエネルギー損失との寄与が高く、トレッド領域の変形抑制のために曲率の大きい形状が採用される。
【0004】
特許文献1には、インナーライナーのタイヤ内側またはカーカスプライとインナーライナーとの間に、左右一対の制振ゴム層が配置された空気入りタイヤが開示されている。該タイヤの左右一対の制振ゴム層は騒音を低下させるために設けられており、転がり抵抗の低減については考慮されていない。
【0005】
特許文献2には、ベルト層の軸方向端部の径方向内側からビード部の径方向外側にかけての領域の少なくとも1箇所に補強層が配設された空気入りタイヤが開示されている。該タイヤでは、転がり抵抗については考慮されているものの、複数の補強層の配置について考慮されていない。したがって、転がり抵抗の低減に関する条件の最適化について検討の余地がある。
【0006】
特許文献3には、サイドウォール部のカーカスの内面に沿いタイヤ最大巾領域よりも半径方向外方又は内方で延在する補強ゴム層が設けられた空気入りタイヤが開示されている。該タイヤでは、補強ゴム層の材質、厚さ、配置位置などを特定することにより、転がり抵抗への犠牲を最小限に止める、或いは若干の転がり抵抗の低減を達成しながら、操縦安定性とロードノイズ性能とを向上する。したがって、同文献では、転がり抵抗の低減は、積極的に改善されていない。
【0007】
特許文献4には、カーカス層のタイヤ幅方向外側に配設され、ビード部のタイヤ幅方向外側を形成する第1サイドゴムと、該第1サイドゴムに接合されて第1サイドゴムのタイヤ径方向外側に配設され、サイド部のタイヤ幅方向外側を形成する第2サイドゴムとを備える空気入りタイヤが開示されている。該タイヤでは、路面の凹凸からの衝撃に対する衝撃吸収性と横方向の振れに対する収斂性とを向上させて走行時の安定性が向上されるが、転がり抵抗の低減については考慮されていない。
【0008】
特許文献5には、タイヤ径方向において、ビード部のビードコアの下端からの高さに基づいて3つの領域を設定し、各領域の体積率90%以上を占める部分のショアA硬度が所定の値に設定された空気入りタイヤが開示されている。該タイヤでは、操縦安定性及び乗心地性を阻害せずに、ロードノイズが低減されるが、転がり抵抗の低減については考慮されていない。
【0009】
特許文献6には、タイヤのバットレス部からタイヤ最大幅点を超える領域に至るまでの間に該ラジアルカーカスに沿う少なくとも一層のサイド補強層を有する空気入りタイヤが開示されている。該タイヤでは、踏面からの振動の伝達を抑制しかつサイドの振動を低減するために、複数の補強層が配置されており、転がり抵抗の低減については考慮されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2000−127709号公報
【特許文献2】特開2002−59715号公報
【特許文献3】特開2002−301912号公報
【特許文献4】特開2006−51872号公報
【特許文献5】特開2005−53354号公報
【特許文献6】特開平05−58119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、タイヤ接地時のトレッド部変形によりトレッドショルダー部に局所的に生じる接地圧の増大を低減または接地圧分布を均一化してタイヤの転がり抵抗を低減することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するための手段として、本発明の空気入りタイヤは、トレッド部と、該トレッド部と連続する一対のサイド部と、該サイド部と連続する一対のビード部と、前記トレッド部および前記一対のサイド部を介し前記一対のビード部に跨って円環状に設けられたカーカス層と、該カーカス層のタイヤ径方向外側の前記トレッド部に設けられたベルトとを備える空気入りタイヤにおいて、前記ベルトのタイヤ回転軸方向の端部と前記ビード部上端の間の領域をフレックスゾーンとし、前記タイヤ回転軸と平行な子午線断面における前記フレックスゾーンのタイヤ内面の長さをペリフェリ長さ(PERI)とした場合、前記カーカス層の外側の、前記ペリフェリ長さ方向に等分割した前記フレックスゾーンの各領域に、補強部を設け、前記ベルトに近接した前記補強部を前記ベルトのタイヤ回転軸方向の端部と間隔をあけて配置し、かつ前記補強部同士を互いに間隔をあけて配置し、前記フレックスゾーンの分割数は2であり、前記補強部の数は2であり、前記ビード部上端に近接した前記補強部は、タイヤ幅が最大となる最大幅部を含むように配置され、前記ビード部上端に近接した前記補強部と前記ビード部上端との間隔は、前記ビード部上端に位置する前記フレックスゾーンの厚さの半分以上の長さである
【0013】
この構成によれば、フレックスゾーンに、補強部と、補強部が設けられていない部分すなわち柔軟性を有する部分とからなる柔剛柔構造を付与することができる。そして、ベルトに近接した補強部をベルトのタイヤ回転軸方向の端部と間隔をあけて配置しているので、トレッド部を柔軟性を有する部分を介して前記剛性を有する部分と連結することができる。これにより、フレックスゾーンの剛性を高めつつ、該フレックスゾーンとトレッド部とを前記柔軟性を有する部分を介して連結することができる。すなわち、タイヤに、一定の剛性と柔軟性を付与することができる。これにより、トレッド部を路面に平行に移動させてフレックスゾーンを変形させることができるとともに、フレックスゾーンの変形に起因してトレッド部の端部のみに変形が生じることを回避することができる。
【0014】
前記フレックスゾーンの分割数は2であり、前記補強部の数は2である。この構成によれば、フレックスゾーンの上方部分および下方部分のそれぞれに、剛性を有する部分を設けることができる。したがって、フレックスゾーンの上方部分および下方部分のそれぞれにおいて剛性を確保することができる。
【0016】
前記等分割位置の両側の前記各領域に配置された互いに近接する前記補強部間の間隔は前記等分割位置の前記フレックスゾーンの厚さ以上の長さであり、前記ベルトに近接した前記補強部と前記ベルトのタイヤ回転軸方向の端部との間隔は、前記ベルトのタイヤ回転軸方向の端部に位置する前記フレックスゾーンの厚さの半分以上の長さであることが好ましい。この構成によれば、補強部間の間隔が所定の間隔となるように補強部を配置することで、トレッド部を路面に平行に移動させてフレックスゾーンを変形させることができるとともに、フレックスゾーンの変形に起因してトレッド部の端部のみに変形が生じることを回避することができるタイヤを構成できる。
【0017】
前記補強部は1つの前記補強部と異なる材料からなる前記補強部を有することが好ましい。この構成によれば、フレックスゾーンの剛性および柔軟性の調整の幅を拡げることができる。
【0018】
前記ビード部に近接する前記補強部のモジュラスは、前記ベルトに近接する前記補強部のモジュラスより高いことが好ましい。この構成によれば、補強部の長さが同じである場合、ベルトに近接する補強部に対してビード部に近接する補強部の剛性を高めることができる。また、補強部の剛性を一定にする場合、ベルトに近接する補強部に対してビード部に近接する補強部の長さを短くすることができる。
【0019】
前記補強部のモジュラスは4.0〜10.0MPaであることが好ましい。
【0020】
前記ペリフェリ長さ方向の前記補強部の長さをLとした場合、0.1×PERI≦L≦0.35×PERIであることが好ましい。
【0021】
前記補強部の厚みは0.5〜1.0mmであることが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、フレックスゾーンに、補強部と補強部が設けられていない部分すなわち柔軟性を有する部分とからなる柔剛柔構造を付与し、ベルトに近接した補強部をベルトのタイヤ回転軸方向の端部と間隔をあけて配置しているので、トレッド部を路面に平行に移動させてフレックスゾーンを変形させることができるとともに、フレックスゾーンの変形に起因してトレッド部の端部のみに変形が生じることを回避することができる。これにより、タイヤ接地時のトレッド部変形によりトレッドショルダー部に局所的に生じる接地圧の増大を低減または接地圧分布を均一化してタイヤの転がり抵抗を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第1実施形態の空気入りタイヤのタイヤ回転軸と平行な子午線断面を示す図。
図2】本発明の第2実施形態の空気入りタイヤのタイヤ回転軸と平行な子午線断面を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0025】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態の空気入りタイヤ(以下、タイヤという。)10のタイヤ回転軸(図示せず)と平行な子午線断面を示す。タイヤ10は、トレッド部11と、該トレッド部11と連続する一対のサイド部12と、該サイド部12と連続する一対のビード部13と、トレッド部11および一対のサイド部12を介し一対のビード部13に跨って円環状に設けられたカーカス層14とを備えている。トレッド部11の外周面には、複数の主溝24が周方向に形成されている。トレッド部11の複数の主溝24のうち、タイヤ幅方向の最も外側に位置する主溝24より外側のトレッド部11の領域は、トレッドショルダー部25である。
【0026】
カーカス層14のタイヤ径方向外側のトレッド部11には、タイヤ周方向に配置されるように一定幅を有する2枚のベルト15が設けられている。サイド部12は、タイヤ幅が最大となる最大幅部16を有している。ビード部13は、リング状のビードコア17を有している。ビードコア17は、タイヤ径方向内側のビード部13に配置されるように、カーカス層14によりタイヤ10の幅方向の内側から外側に巻かれている。タイヤ径方向外側のビード部13には、ビードフィラー18が配置されている。ビード部13は、リム(図示せず)に止着される。カーカス層14は、ビードコア17を巻き込むように折り返されてサイド部12の近傍で終端されている。
【0027】
ベルト15のタイヤ回転軸方向の端部とビード部13上端の間の領域は、フレックスゾーンを構成する。該フレックスゾーンは、前記タイヤ回転軸(図示せず)と平行な子午線断面における前記フレックスゾーンのタイヤ内面の長さをペリフェリ長さ(PERI)とした場合、ペリフェリ長さ方向に2分割された各領域A,Bを有している。カーカス層14の外側の前記フレックスゾーンの各領域A,Bには、補強部(補強ゴム)19,20が設けられている。補強部19は、領域Aにベルト15のタイヤ回転軸方向の端部と間隔をあけて配置されている。補強部20は、領域Bにビード部13上端と間隔をあけて配置されている。また、補強部19,20は、互いに間隔をあけて配置されている。
【0028】
補強部19,20は、前記ペリフェリ長さ方向の長さをL1,L2とした場合、0.1×PERI≦L1≦0.4×PERI、0.1×PERI≦L2≦0.4×PERIを満たすように形成されている。0.1×PERI≦L1≦0.35×PERI、0.1×PERI≦L2≦0.35×PERIであることが望ましい。補強部19,20の厚さは、それぞれT1,T2である。T1およびT2は、それぞれ0.5〜1.0mmである。
【0029】
前記2分割位置の両側の各領域A,Bに配置された互いに近接する補強部19,20間の間隔は前記2分割位置の前記フレックスゾーンの厚さE以上の長さである。ベルト15に近接した補強部19とベルト15のタイヤ回転軸方向の端部との間隔は、ベルト15のタイヤ回転軸方向の端部に位置する前記フレックスゾーンの厚さDの半分以上の長さである。ビード部13上端に近接した補強部20とビード部13上端との間隔は、ビード部13上端に位置する前記フレックスゾーンの厚さFの半分以上の長さである。補強部19,20は、グリーンタイヤ製造時に配置される。
【0030】
この構成によれば、フレックスゾーンに補強部19,20を配置することにより、フレックスゾーンの曲げ変形に対する剛・柔の変化をもたせることが可能で、タイヤ接地時に補強ゴムを配置しない領域が変形を生じることにより、トレッド部11が路面に対し、平行に変形しやすい特性を有する。トレッド部11の形状をフラット化した場合に生じるトレッドショルダー部25の主溝24に隣接した領域で局所的に増大した接地圧をタイヤ幅方向に分散することも可能である。そして、転がり抵抗に寄与の大きいトレッド部11の接地圧分布を均一化する効果が高い。
すなわち、本発明によれば、フレックスゾーンに、補強部19,20と、補強部が設けられていない部分すなわち柔軟性を有する部分とからなる柔剛柔構造を付与することができる。そして、ベルト15に近接した補強部19をベルト15のタイヤ回転軸方向の端部と間隔をあけて配置しているので、トレッド部11を柔軟性を有する部分を介して前記剛性を有する部分と連結することができる。これにより、フレックスゾーンの剛性を高めつつ、該フレックスゾーンとトレッド部11とを前記柔軟性を有する部分を介して連結することができる。すなわち、タイヤ10に、一定の剛性と柔軟性を付与することができる。これにより、タイヤ10が転動して、接地面と接触するトレッド部11に力が加わると、トレッド部11を路面に平行に移動させてフレックスゾーンを変形させることができるとともに、フレックスゾーンが変形した場合、該変形はトレッド部11と連続する前記柔軟性を有する部分に伝達され吸収されるので、トレッド部11の端部のみに変形が生じることを回避することができる。これにより、タイヤ接地時のトレッド部変形によるトレッドショルダー部25に局所的に生じる接地圧の増大を低減または接地圧分布を均一化してタイヤの転がり抵抗を低減できる。
【0031】
(第2実施形態)
図2は、本発明の第2実施形態の空気入りタイヤ10のタイヤ回転軸(図示せず)と平行な子午線断面を示す。本実施形態において、第1実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付して説明を省略する。
【0032】
前記フレックスゾーンは、ペリフェリ長さ方向に3分割された各領域A,B,Cを有している。カーカス層14の外側の前記フレックスゾーンの各領域A,B,Cには、補強部21,22,23が設けられている。補強部21は、領域Aにベルト15のタイヤ回転軸方向の端部と間隔をあけて配置されている。補強部23は、領域Cにビード部13上端と間隔をあけて配置されている。また、補強部21,23の間のフレックスゾーンの領域Bには、補強部21,23のそれぞれに対して間隔をあけて補強部22が配置されている。
【0033】
補強部21,22間の間隔は、領域Aと領域Bの分割位置の前記フレックスゾーンの厚さE以上の長さである。補強部22,23間の間隔は、領域Bと領域Cの分割位置の前記フレックスゾーンの厚さF以上の長さである。ベルト15に近接した補強部21とベルト15のタイヤ回転軸方向の端部との間隔は、ベルト15のタイヤ回転軸方向の端部に位置する前記フレックスゾーンの厚さDの半分以上の長さである。ビード部13上端に近接した補強部23とビード部13上端との間隔は、ビード部13上端に位置する前記フレックスゾーンの厚さGの半分以上の長さである。補強部21,22,23は、グリーンタイヤ製造時に配置される。
【0034】
第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0035】
(実施例)
評価のベースとなるタイヤとして空気入りラジアルタイヤ(195/65R15 91S、リムサイズ:15×6J、PERI=80mm)を使用した。以下に示す条件で、比較例1〜2、および実施例1〜16について、トレッドショルダー部の歪、およびトレッドショルダー部の歪分散、および転がり抵抗を評価した。トレッドショルダー部の歪、およびトレッドショルダー部の歪分散は、接地圧画像解析装置を用いて算出した接地圧力分布に基づき、比較例1を100として指数化した。転がり抵抗は、ISO28580(JIS D4243)に準じて行ったドラム走行試験にて測定し、比較例1を100として指数化した。それらを表1および2に示した。トレッドショルダー部の歪を指数化した値は、小さいほど最大接地圧が小さいことを示す。トレッドショルダー部の歪分散を指数化した値は、小さいほど均一化されていることを示す。転がり抵抗を指数化した値は、小さいほど転がり抵抗が小さいことを示す。なお、接地圧画像解析装置による条件は、空気圧=230kPa、荷重=4.5kNである。ドラム走行試験の条件は、ドラム径=1.7m、キャンバー角=0°、空気圧=230kPa、速度=80km/h、荷重=4.5kNである。
【0036】
【表1】
【0037】
(比較例1)
表1に示すように、比較例1では、フレックスゾーンのカーカス層14の外側に何も配置されていない(補強層((補強部)数0の)タイヤを使用した。このタイヤにおけるトレッドショルダー部の歪、トレッドショルダー部の歪み分散、および転がり抵抗をそれぞれ100とし、基準値とした。
【0038】
(比較例2)
比較例2では、フレックスゾーンのカーカス層14の外側に補強層が1箇所配置されたタイヤを使用した。サイドゴムの厚さDは6mmであり、長さL1は25mmである。補強層のモジュラスMD1は、5(MPa)である。補強層の厚みTは0.5(mm)である。このタイヤにおけるトレッドショルダー部の歪は95であり、トレッドショルダー部の歪み分散は105であり、転がり抵抗は100であった。
【0039】
実施例1〜7では、フレックスゾーンのカーカス層14の外側の分割エリアA(40mm),B(40mm)の2箇所に補強層19,20が配置されたタイヤを使用した。D、E、Fの位置におけるサイドゴムの厚みは、それぞれ6、4、5(mm)である。
【0040】
実施例1〜7では、補強層幅L1,L2、補強層モジュラスMD1,MD2、および補強層厚みT1,T2のそれぞれの値は以下のとおりである。
【0041】
(実施例1)
L1=25(mm)
L2=25(mm)
MD1=5(MPa)
MD2=5(MPa)
T1=0.5(mm)
T2=0.5(mm)
このタイヤにおけるトレッドショルダー部の歪は96であり、トレッドショルダー部の歪分散は95であり、転がり抵抗は95であった。
【0042】
(実施例2)
L1=25(mm)
L2=15(mm)
MD1=10(MPa)
MD2=5(MPa)
T1=1.0(mm)
T2=0.5(mm)
このタイヤにおけるトレッドショルダー部の歪は98であり、トレッドショルダー部の歪分散は99であり、転がり抵抗は98であった。
【0043】
(実施例3)
L1=15(mm)
L2=25(mm)
MD1=5(MPa)
MD2=10(MPa)
T1=0.5(mm)
T2=1.0(mm)
このタイヤにおけるトレッドショルダー部の歪は97であり、トレッドショルダー部の歪分散は96であり、転がり抵抗は96であった。
【0044】
(実施例4)
L1=25(mm)
L2=15(mm)
MD1=5(MPa)
MD2=10(MPa)
T1=0.5(mm)
T2=1.0(mm)
このタイヤにおけるトレッドショルダー部の歪は97であり、トレッドショルダー部の歪分散は97であり、転がり抵抗は96であった。
【0045】
(実施例5)
L1=25(mm)
L2=15(mm)
MD1=10(MPa)
MD2=5(MPa)
T1=0.5(mm)
T2=1.0(mm)
このタイヤにおけるトレッドショルダー部の歪は98であり、トレッドショルダー部の歪分散は98であり、転がり抵抗は98であった。
【0046】
(実施例6)
L1=15(mm)
L2=25(mm)
MD1=5(MPa)
MD2=10(MPa)
T1=1.0(mm)
T2=0.5(mm)
このタイヤにおけるトレッドショルダー部の歪は97であり、トレッドショルダー部の歪分散は97であり、転がり抵抗は96であった。
【0047】
(実施例7)
L1=15(mm)
L2=25(mm)
MD1=10(MPa)
MD2=5(MPa)
T1=1.0(mm)
T2=0.5(mm)
このタイヤにおけるトレッドショルダー部の歪は98であり、トレッドショルダー部の歪分散は97であり、転がり抵抗は97であった。
【0048】
【表2】
【0049】
表2に示すように、実施例8〜16では、フレックスゾーンのカーカス層14の外側の分割エリアA(26.7mm),B(26.7mm),C(26.7mm)の3箇所に補強層が配置されたタイヤを使用した。D、E、F、Gの位置におけるサイドゴムの厚みは、それぞれ6、4、4,5(mm)である。
【0050】
各実施例8〜16では、補強層幅L1,L2,L3、補強層モジュラスMD1,MD2,MD3、および補強層厚みT1,T2,T3のそれぞれの値は以下のとおりである。
【0051】
(実施例8)
L1=15(mm)
L2=15(mm)
L3=15(mm)
MD1=5(MPa)
MD2=5(MPa)
MD3=5(MPa)
T1=0.8(mm)
T2=0.8(mm)
T3=0.8(mm)
このタイヤにおけるトレッドショルダー部の歪は97であり、トレッドショルダー部の歪分散は96であり、転がり抵抗は96であった。
【0052】
(実施例9)
L1=20(mm)
L2=15(mm)
L3=10(mm)
MD1=10(MPa)
MD2=7(MPa)
MD3=5(MPa)
T1=1.0(mm)
T2=0.8(mm)
T3=0.5(mm)
このタイヤにおけるトレッドショルダー部の歪は99であり、トレッドショルダー部の歪分散は99であり、転がり抵抗は99であった。
【0053】
(実施例10)
L1=20(mm)
L2=10(mm)
L3=20(mm)
MD1=10(MPa)
MD2=5(MPa)
MD3=10(MPa)
T1=1.0(mm)
T2=0.5(mm)
T3=1.0(mm)
このタイヤにおけるトレッドショルダー部の歪は99であり、トレッドショルダー部の歪分散は100であり、転がり抵抗は99であった。
【0054】
(実施例11)
L1=10(mm)
L2=15(mm)
L3=20(mm)
MD1=5(MPa)
MD2=7(MPa)
MD3=10(MPa)
T1=0.5(mm)
T2=0.8(mm)
T3=1.0(mm)
このタイヤにおけるトレッドショルダー部の歪は98であり、トレッドショルダー部の歪分散は97であり、転がり抵抗は97であった。
【0055】
(実施例12)
L1=10(mm)
L2=20(mm)
L3=10(mm)
MD1=5(MPa)
MD2=10(MPa)
MD3=5(MPa)
T1=0.5(mm)
T2=1.0(mm)
T3=0.5(mm)
このタイヤにおけるトレッドショルダー部の歪は99であり、トレッドショルダー部の歪分散は100であり、転がり抵抗は99であった。
【0056】
(実施例13)
L1=20(mm)
L2=15(mm)
L3=10(mm)
MD1=5(MPa)
MD2=7(MPa)
MD3=10(MPa)
T1=0.5(mm)
T2=0.8(mm)
T3=1.0(mm)
このタイヤにおけるトレッドショルダー部の歪は98であり、トレッドショルダー部の歪分散は98であり、転がり抵抗は98であった。
【0057】
(実施例14)
L1=20(mm)
L2=15(mm)
L3=10(mm)
MD1=10(MPa)
MD2=7(MPa)
MD3=5(MPa)
T1=0.5(mm)
T2=0.8(mm)
T3=1.0(mm)
このタイヤにおけるトレッドショルダー部の歪は99であり、トレッドショルダー部の歪分散は99であり、転がり抵抗は99であった。
【0058】
(実施例15)
L1=10(mm)
L2=15(mm)
L3=20(mm)
MD1=5(MPa)
MD2=7(MPa)
MD3=10(MPa)
T1=1.0(mm)
T2=0.8(mm)
T3=0.5(mm)
このタイヤにおけるトレッドショルダー部の歪は98であり、トレッドショルダー部の歪分散は98であり、転がり抵抗は98であった。
【0059】
(実施例16)
L1=10(mm)
L2=15(mm)
L3=20(mm)
MD1=10(MPa)
MD2=7(MPa)
MD3=5(MPa)
T1=1.0(mm)
T2=0.8(mm)
T3=0.5(mm)
このタイヤにおけるトレッドショルダー部の歪は99であり、トレッドショルダー部の歪分散は98であり、転がり抵抗は98であった。
【0060】
以上のように、比較例1のタイヤのトレッドショルダー部の歪およびトレッドショルダー部の歪分散を共に100とした場合、補強層数が1である比較例2のタイヤでは、トレッドショルダー部の歪の値は95となり、100未満の良好な値を示しているものの、トレッドショルダー部の歪分散の値は105となり、比較例1のタイヤのそれと比較して性能が低下している。比較例2のタイヤの転がり抵抗の値は100であり、比較例2のタイヤの性能は、比較例1のタイヤの性能と同等であり改善されていない。
【0061】
一方、補強層数が所定間隔で2つ設けられた実施例1〜7および補強層数が所定間隔で3つ設けられた実施例8〜16のタイヤでは、トレッドショルダー部の歪およびトレッドショルダー部の歪分散それぞれの値は、全て、少なくとも一方が100未満であり、他方も100以下であり、比較例1のタイヤのそれらと比較して性能が向上している。また、実施例1〜16のタイヤの転がり抵抗の値も100未満であり、実施例1〜16のタイヤの性能は、比較例1のタイヤの性能に対して向上している。したがって、実施例1〜16のタイヤでは、フレックスゾーンのカーカス層14の外側に少なくとも2つの補強部19〜23を所定間隔で設けることにより、タイヤ接地時のトレッド部11変形によるトレッドショルダー部25に局所的に生じる接地圧の増大を低減または接地圧分布を均一化してタイヤ10の転がり抵抗を低減できる。
【符号の説明】
【0062】
10 空気入りタイヤ
11 トレッド部
12 サイド部
13 ビード部
14 カーカス層
15 ベルト
16 最大幅部
17 ビードコア
18 ビードフィラー
19,20,21,22,23 補強部
24 主溝
25 トレッドショルダー部
図1
図2