特許第6095297号(P6095297)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6095297
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】積層シート用接着剤
(51)【国際特許分類】
   C09J 175/04 20060101AFI20170306BHJP
   C09J 133/14 20060101ALI20170306BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20170306BHJP
【FI】
   C09J175/04
   C09J133/14
   C09J11/06
【請求項の数】3
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2012-184804(P2012-184804)
(22)【出願日】2012年8月24日
(65)【公開番号】特開2014-43476(P2014-43476A)
(43)【公開日】2014年3月13日
【審査請求日】2015年8月10日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】391047558
【氏名又は名称】ヘンケルジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【弁理士】
【氏名又は名称】森住 憲一
(74)【代理人】
【識別番号】100138885
【弁理士】
【氏名又は名称】福政 充睦
(72)【発明者】
【氏名】山田 泰史
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 祥子
(72)【発明者】
【氏名】釜井 教義
(72)【発明者】
【氏名】池田 仁志
【審査官】 吉岡 沙織
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−039025(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/029733(WO,A1)
【文献】 米国特許第04537934(US,A)
【文献】 国際公開第2009/031598(WO,A1)
【文献】 特開2011−116916(JP,A)
【文献】 特開2006−321238(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/030522(WO,A1)
【文献】 特開2013−115085(JP,A)
【文献】 特開2013−249327(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J
B32B
H01L 31/04−049
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクリルポリオールとイソシアネート化合物との混合で得られるウレタン樹脂と、シラン化合物とを含み、複数のフィルムを貼り合わせるための積層シート用接着剤であって、
シラン化合物はグリシジル系シラン化合物を含み、
アクリルポリオールは、重合性単量体が重合することによって得られ、
該重合性単量体は、水酸基を有する単量体およびその他の単量体を含み、
その他の単量体はアクリロニトリルを含み、
イソシアネート化合物は、キシリレンジイソシアネートおよびヘキサメチレンジイソシアネートから選ばれる少なくとも1種を含む、積層シート用接着剤。
【請求項2】
(A)アクリルポリオールに由来する水酸基に対する、キシリレンジイソシアネートおよびヘキサメチレンジイソシアネートに由来するイソシアネート基との当量比(NCO/OH)が1.0〜3.0である請求項1に記載の積層シート用接着剤。
【請求項3】
キシリレンジイソシアネートはモノマーであり、ヘキサメチレンジイソシアネートはイソシアヌレート体である請求項1または2に記載の積層シート用接着剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層シート用接着剤に関する。
【背景技術】
【0002】
防壁材、屋根材、太陽電池パネル材、窓材、屋外フローリング材、照明保護材、自動車部材、及び看板等の屋外材料は、構成材料として、複数のフィルムが接着剤で貼り合わされた積層体(又は積層シート)を有する。積層体を構成するフィルムとして、例えば、アルミニウム、銅、及び鋼等の金属でできている金属箔、金属板及び金属蒸着フィルム、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、フッ素樹脂、及びアクリル樹脂等のプラスチックでできているプラスチックフィルム等を例示できる。
【0003】
図1に示すように、積層シート10は複数のフィルム11及び12の積層体であり、フィルム11及び12は接着剤13を介して積層される。
積層体は長期にわたって屋外に曝されるので、積層シート用接着剤には優れた耐久性能が要求される。積層シート用接着剤の中でも、特に太陽光を電力に変換する太陽電池用途の接着剤には、通常の積層シート用接着剤よりも高いレベルの耐久性能が望まれる。
図3に示すように、太陽電池用途の場合バックシートと称される積層シート10は、封止材20、太陽電池セル30、ガラス板40と一緒に太陽電池モジュール1を構成する。
【0004】
太陽電池モジュール1は、長期間に渡って屋外に曝されるので、高温および多湿状態で、太陽光に対して十分な耐久性が要求される。特に、接着剤13の性能が低いと、フィルム11がフィルム12から剥がれ、積層シート10の外観が損なわれる。従って、太陽電池モジュール製造用の積層シート用接着剤には、高温に長期間暴露されてもフィルムが剥離しないことが要求される。
【0005】
積層シート用接着剤の一例として、特許文献1〜3は、太陽電池保護シートを製造するためのウレタン系接着剤を開示する。
特許文献1は、アクリルポリオールから合成された積層シート用ウレタン接着剤が太陽電池バックシート用接着剤として好ましいことを開示する(特許文献1請求項1及び[0048]等参照)。
特許文献2は、アクリルウレタン樹脂が基材シート上に形成された太陽電池モジュール用保護シートを開示する(特許文献2請求項1及び図1〜3等参照)。
特許文献3は、アクリルポリオールにイソシアネート硬化剤を配合して接着剤を製造し(特許文献3表1、表2参照)、これらの接着剤で太陽電池バックシートを作製することを開示する(特許文献3[0107]等参照)。
【0006】
特許文献1〜3は、耐加水分解性やラミネート強度の優れた接着剤を用いて太陽電池バックシートを作製することで、太陽電池モジュールの外観不良を防止できることを教示する。しかし、太陽電池バックシート用接着剤に求められる耐久性能は、年々高くなっており、これらの文献の接着剤が需要者の高い要求を十分に満たしているとはいい難い。
【0007】
太陽電池バックシートは、一般的に適度な粘度を有する接着剤をフィルムに塗布し、乾燥後にフィルムを積層し(ドライラミネート法)、その積層体を数日間養生することで製造される。従って、太陽電池バックシート用接着剤には、ラミネート時におけるフィルムへの初期接着性が優れることも要求される。
【0008】
太陽電池モジュールは、屋外の高温多湿状態で使用されるので、バックシート(積層シート)を構成する複数のフィルムが剥がれる可能性がある。特に、フッ素樹脂系フィルムは、接着剤を用いて他の各種基材と接着させることが困難であり、長期にわたり屋外に暴露されると、接着剤とフッ素樹脂系フィルムとの間の接着強度が大きく低下することがある。さらに、近年、シリコンや無機化合物材料を用いた太陽電池よりも生産コストの安い有機系太陽電池の開発が進められている。有機系太陽電池は、着色性や柔軟性を有し得るという特徴があるので、太陽電池バックシートを構成するフィルムとして透明なフィルムが使用される傾向がある。従って、太陽電池バックシート用接着剤には、長期間、剥離強度を維持することに加え、色差変化が小さく、耐候性が著しく優れることも要求される。
【0009】
従って、太陽電池バックシート用接着剤には、より高いレベルでの耐加水分解性、初期接着性、耐候性が求められ、フッ素樹脂系フィルムの接着に用いる場合、接着剤の接着性低下を抑制することが急務である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2011−105819号公報
【特許文献2】特開2010−238815号公報
【特許文献3】特開2010−263193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、かかる課題を解決するためにされたもので、その課題は、プラスチックフィルム(特にフッ素樹脂系フィルム)を用いて積層体(積層シート)を製造する際、硬化速度がある程度速く、フィルムへの初期接着性に優れ、高温下で長期的な耐加水分解性に優れ、かつ、耐候性に優れる積層シート用接着剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
発明者は、鋭意研究を重ねた結果、驚くべきことに、ウレタン樹脂の原料として特定のポリオールと特定のイソシアネート化合物を用い、さらに、特定のシラン化合物をカップリング剤として添加すると、硬化速度がある程度早く、フィルムへの初期接着性及び高温下で長期的な耐加水分解性に優れ、かつ、耐候性にも優れる積層シート用接着剤が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0013】
即ち、本発明は、一の要旨において、アクリルポリオールとイソシアネート化合物との混合で得られるウレタン樹脂と、シラン化合物とを含む積層シート用接着剤であって、
シラン化合物はグリシジル系シラン化合物を含み、
アクリルポリオールは重合性単量体が重合することによって得られ、該重合性単量体は水酸基を有する単量体およびその他の単量体を含み、その他の単量体はアクリロニトリルを含み、
イソシアネート化合物は、キシリレンジイソシアネートおよびヘキサメチレンジイソシアネートから選ばれる少なくとも1種を含む、積層シート用接着剤を提供する。
【0014】
本発明は、一の態様として、アクリルポリオールに由来する水酸基に対し、キシリレンジイソシアネートおよびヘキサメチレンジイソシアネートに由来するイソシアネート基の当量比(NCO/OH)が、1.0〜3.0である積層シート用接着剤を提供する。
本発明は、好ましい態様として、キシリレンジイソシアネートがモノマーであり、ヘキサメチレンジイソシアネートがイソシアヌレート体である積層シート用接着剤を提供する。
【0015】
本発明は、他の要旨として、上記のいずれかに記載の積層シート用接着剤を製造するためのアクリルポリオールを含む原料であって、アクリルポリオールは重合性単量体が重合することで得られ、該重合性単量体は水酸基を有する単量体およびその他の単量体を含み、その他の単量体はアクリロニトリルを含む積層シート用接着剤を製造するためのアクリルポリオールを含む原料を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る積層シート用接着剤は、アクリルポリオールとイソシアネート化合物との混合で得られるウレタン樹脂と、シラン化合物とを含む積層シート用接着剤であって、シラン化合物はグリシジル系シラン化合物を含み、アクリルポリオールは重合性単量体が重合することによって得られ、該重合性単量体は水酸基を有する単量体およびその他の単量体を含み、その他の単量体はアクリロニトリルを含み、イソシアネート化合物は、キシリレンジイソシアネートおよびヘキサメチレンジイソシアネートから選ばれる少なくとも1種を含むので、
硬化速度がある程度早く、フィルムへの初期接着性及び高温下で長期的な耐加水分解性に優れ、かつ、耐候性にも優れる。
【0017】
本発明に係る積層シート用接着剤は、アクリルポリオールに由来する水酸基に対し、キシリレンジイソシアネートおよびにヘキサメチレンジイソシアネート由来するイソシアネート基の当量比(NCO/OH)が、1.0〜3.0である場合、ある程度早い硬化速度が保たれ、フィルムへの初期接着性、耐加水分解性及び耐候性がさらに向上し、より好ましい。
本発明に係る積層シート用接着剤は、キシリレンジイソシアネートがモノマーであり、ヘキサメチレンジイソシアネートがイソシアヌレート体である場合、ある程度早い硬化速度が保たれ、フィルムへの初期接着性、耐加水分解性及び耐候性が著しく向上し、総合性能に優れ、特に好ましい。
【0018】
本発明に係る積層シート用接着剤を製造するためのアクリルポリオールを含む原料は、(A)アクリルポリオールは重合性単量体が重合することで得られ、該重合性単量体が水酸基を有する単量体およびその他の単量体を含み、その他の単量体がアクリロニトリルを含むので、イソシアネート化合物と反応すると、硬化速度がある程度早く、初期接着性および耐加水分解性に優れ、かつ、耐候性にも優れたウレタン樹脂を生成し、屋外材料用接着剤として好ましい、特に、太陽電池バックシート用接着剤として有用な積層シート用接着剤を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】積層シートの一実施形態を示す断面図である。
図2】積層シートの別の実施形態を示す断面図である。
図3】屋外材料(例えば、太陽電池モジュール)の一実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係る積層シート用接着剤は、アクリルポリオールとイソシアネート化合物を混合することによって得られるウレタン樹脂と、シラン化合物とを含む。
ウレタン樹脂は、アクリルポリオールとイソシアネート化合物を混合することで、反応して得られるポリマーであって、ウレタン結合を有する。アクリルポリオールの水酸基がイソシアネート基と反応する。
アクリルポリオールは、重合性単量体の付加重合で得られ、重合性単量体は「水酸基を有する単量体」および「その他の単量体」を含む。
【0021】
「水酸基を有する単量体」は、水酸基とエチレン性二重結合を有するラジカル重合性単量体であり、本発明が目的とする積層シート用接着剤を得ることができる限り特に制限されるものではない。水酸基を有する単量体は、例えば、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを含み、1種類のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを単独で使用しても、2種以上のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを組み合わせて使用してもよい。また、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート以外の水酸基を有する単量体とを併用してもよい。
【0022】
「ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート」として、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート等を例示できるが、これらに限定されるものではない。
「ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート以外の水酸基を有する重合性単量体」として、例えば、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等を例示できる。
【0023】
「その他の単量体」は、水酸基を有する単量体以外の「エチレン性二重結合を有するラジカル重合性単量体」であって、アクリルニトリルを含み、本発明が目的とする積層シート用接着剤を得ることができる限り特に制限されるものではない。その他の単量体は、更に、(メタ)アクリル酸エステルを含んでもよい。その他の単量体は、アクリロニトリル及び(メタ)アクリル酸エステル以外のエチレン性二重結合を有するラジカル重合性単量体を更に含んでもよい。
【0024】
「(メタ)アクリル酸エステル」は、例えば、(メタ)アクリル酸とモノアルコールとの縮合反応で得ることができ、エステル結合を有する。たとえエステル結合を有しても、水酸基を有する単量体は、(メタ)アクリル酸エステルに含まない。具体的には、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、グリシジル(メタ)アクリレート等を例示できる。この「アルキル基」には、鎖状アルキル基も環状アルキル基も含まれる。
【0025】
本発明においては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートから選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートから選択される少なくとも1種を含むことがより好ましい。
「アクリロニトリルおよび(メタ)アクリル酸エステル以外のエチレン性二重結合を有するラジカル重合性単量体」として、例えば、(メタ)アクリル酸、スチレン、ビニルトルエン等を例示できるが、これらに限定されるものではない。
【0026】
「アクリロニトリル」とは化学式:CH=CH−CNで表される化合物であり、アクリルニトリル、アクリル酸ニトリル、シアン化ビニルとも呼ばれる。
アクリロニトリルの含有量は、重合性単量体100重量部当たり、1〜40重量部であることが好ましく、5〜35重量部であることがより好ましく、5〜25重量部であることが特に好ましい。アクリロニトリルの含有量が上記範囲にあることによって、塗工適性、フィルムへの初期接着性および高温下での接着性(耐加水分解性)のバランスにより優れる太陽電池バックシート用接着剤が得られる。
【0027】
尚、本明細書においては、アクリル酸及びメタクリル酸を総称して「(メタ)アクリル酸」ともいい、「アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル」を総称して「(メタ)アクリル酸エステル」又は「(メタ)アクリレート」ともいう。
【0028】
重合性単量体の重合は、本発明が目的とする積層シート用接着剤を得られる限り、その重合方法は特に限定されるものではないが、例えば、通常の溶液重合の方法を使用して、有機溶媒中で適宜触媒等を用いて、上述の重合性単量体をラジカル重合することで行うことができる。ここで「有機溶媒」とは重合性単量体を重合するために用いることができ、重合反応後の積層シート用接着剤としての特性に実質的に悪影響を与えないものであれば特に限定されるものではない。そのような溶媒として、例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒並びにそれらの組み合わせを例示することができる。
【0029】
重合性単量体を重合させる際の反応温度、反応時間、有機溶媒の種類、単量体の種類及び濃度、攪拌速度、並びに重合開始剤の種類および濃度等の重合反応条件は、目的とする接着剤の特性等によって、適宜選択され得るものである。
「重合開始剤」とは、少量の添加によって重合性単量体の重合を促進させることができる化合物であって、有機溶媒中で使用可能なものが好ましい。重合開始剤としては、過硫酸アンモニウム、t−ブチルペルオキシベンゾエート、2,2−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)及び、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を例示することができる。
【0030】
本発明における重合では、分子量を調節するために、連鎖移動剤等を適宜用いることができる。「連鎖移動剤」として、当業者に周知の化合物を使用できる。例えば、n−ドデシルメルカプタン(nDM)及びラウリルメチルメルカプタン、メルカプトエタノール等のメルカプタン類を例示できる。
【0031】
上述のように重合性単量体を重合させることによりアクリルポリオールが得られる。アクリルポリオールの重量平均分子量は、接着剤の塗工適性の観点から、20万以下であることが好ましく、5000〜10万であることがより好ましい。尚、重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)による測定値を、ポリスチレン標準で換算して得られた分子量である。具体的には、下記のGPC装置及び測定方法を用いて測定し、換算して得られる分子量である。GPC装置は、東ソー社製のHCL−8220GPCを用い、検出器として、RIを用いる。GPCカラムとして、東ソー社製のTSKgel SuperMultipore HZ−Mを2本用いる。試料をテトラヒドロフランに溶解して、流速を0.35ml/min、カラム温度を40℃にて流して、測定値を得る。標準物質として単分散分子量のポリスチレンを使用して検量線を作成し、これを用いて測定値の換算を行い、目的とするMwを得る。
【0032】
アクリルポリオールのガラス転移温度は、使用する単量体の種類とその質量分率を調整することにより、設定することができる。アクリルポリオールのガラス転移温度は、各単量体から得られる単独重合体(ホモポリマー)のガラス転移温度とアクリルポリオール中で使用される単独重合体の質量分率から、下記の計算式(i)を用いて求めることができる。この計算によって求められるガラス転移温度を目安にして単量体組成を決定することが好ましい。
(i):1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+・・・+Wn/Tgn
[前記式(i)中、Tgはアクリルポリオールのガラス転移温度を示し、W1、W2、・・・Wnは各単量体の質量分率を示し、Tg1、Tg2、・・・Tgnは対応する各単量体の単独重合体のガラス転移温度を示す。]
【0033】
尚、単独重合体のTgは、文献に記載されている値を用いることができる。そのような文献として、例えば、以下の文献を参照できる:三菱レーヨン社のアクリルエステルカタログ(1997年度版);北岡協三著、「新高分子文庫7、塗料用合成樹脂入門」、高分子刊行会、1997年発行、第168〜169頁;及び「POLYMER HANDBOOK」第3版第209〜277頁、John Wiley & Sons, Inc. 1989年発行。
【0034】
本明細書では、下記の単量体の単独重合体のガラス転移温度は以下のとおりとする。
メチルメタクリレート:105℃
n−ブチルアクリレート:−54℃
エチルアクリレート:−20℃
メタクリル酸2−ヒドロキシエチル:55℃
アクリル酸2-ヒドロキシエチル:−15℃
グリシジルメタクリレート:41℃
アクリロニトリル:130℃
スチレン:105℃
【0035】
本発明において、アクリルポリオールのガラス転移温度は、フィルムへの初期接着性の観点から、−20℃〜20℃であることが好ましく、−15℃〜20℃であることがより好ましく、−10℃〜15℃であることが特に好ましい。アクリルポリオールのガラス転移温度が上記範囲にある場合、本発明の積層シート用接着剤は、凝集力がより低下し難く、初期接着性により優れ、耐加水分解性もより維持することができる。
【0036】
アクリルポリオールの水酸基価は、0.5〜45mgKOH/gであることが好ましく、1〜40mgKOH/gであることがより好ましく、3〜30mgKOH/gであることが特に好ましい。アクリルポリオールの水酸基価が上記範囲にある場合、初期接着性や、高温下での接着性および耐加水分解性に、より優れた積層シート用接着剤を得ることができる。特に、本発明の積層シート用接着剤で複数のフィルムを積層し、太陽電池バックシートを作製した場合、フィルムと接着剤とが、より剥離し難くなる。
【0037】
本明細書で水酸基価とは、樹脂1gをアセチル化するとき、水酸基と結合した酢酸を中和するために要する水酸化カリウムのmg数を示す。
本発明では具体的には、水酸基価は、下記式(ii)で算出される。
(ii):水酸基価=(水酸基を有する(メタ)アクリレートの重量/水酸基を有する(メタ)アクリレートの分子量)×水酸基を有する(メタ)アクリレート単量体1モルに含まれる水酸基のモル数×KOHの式量×1000/アクリルポリオールの重量
【0038】
本発明に係るイソシアネート化合物は、キシリレンジイソシアネートおよびヘキサメチレンジイソシアネートから選ばれる少なくとも1種を含み、本発明が目的とする接着剤を得られる限り、他のイソシアネート化合物を含んでよく、特に制限されることはない。本発明に係るイソシアネート化合物は、トリメチロールプロパンアダクト体、イソシアヌレート体、ビュレット体、アロファネート体およびイソシアネートモノマーから選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
イソシアネート化合物がこれらの化合物を含む場合、積層シート用接着剤は、耐加水分解性が著しく向上し、高温多湿下で長期にわたる使用にもより耐えうる。
【0039】
イソシアネート化合物は、主に「芳香環を有さないイソシアネート」、「芳香環を有するイソシアネート」に大別される。
芳香環を有さないイソシアネートとして、「脂肪族イソシアネート」及び「脂環式イソシアネート」が挙げられる。
【0040】
脂肪族イソシアネートとは、鎖状の炭化水素鎖を有し、その炭化水素鎖にイソシアネート基が直接結合している化合物であって、環状の炭化水素鎖を有さない化合物をいう。
脂環式イソシアネートとは、環状の炭化水素鎖を有し、鎖状の炭化水素鎖を有してよい化合物である。イソシアネート基は、環状の炭化水素鎖と直接結合しても、有し得る鎖状の炭化水素鎖と直接結合してもよい。
【0041】
脂肪族イソシアネートとして、例えば、1,4−ジイソシアナトブタン、1,5−ジイソシアナトペンタン、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、1,6−ジイソシアナト−2,2,4−トリメチルヘキサン、2,6−ジイソシアナトヘキサン酸メチル(リジンジイソシアネート)等を例示できる。
【0042】
脂環式イソシアネートとして、例えば、5−イソシアナト−1−イソシアナトメチル−1,3,3−トリメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート)、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(水添キシリレンジイソシアネート)、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン(水添ジフェニルメタンジイソシアネート)、1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン等を例示できる。
【0043】
芳香環を有するイソシアネート(以下、芳香族イソシアネート)とは、芳香環を有していれば良く、イソシアネート基がその芳香環と直接結合している必要はない。尚、芳香環は、二つ以上のベンゼン環が縮環していてもよい。
芳香族イソシアネートとして、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイゾシアネート(XDI)等を例示できる。これらのイソシアネート化合物は、単独で又は組み合わせて使用することができる。
【0044】
キシリレンジイソシアネート(OCN−CH−C−CH−NCO)は、芳香環を有するので、イソシアネート基が芳香環に直接結合していなくても、芳香族イソシアネートに該当する。
【0045】
本発明において、イソシアネート化合物は、養生後のフィルムへの初期接着性、硬化時間および耐加水分解性を向上させる観点から、脂肪族イソシアネートとしてヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)及び芳香族イソシアネートとして、キシリレンジイソシアネート(XDI)から選ばれる少なくとも一種を含む。XDIおよびHDIの双方を含むことがより好ましい。
HDIはイソシアヌレート体、XDIはモノマーであることがより好ましい。
【0046】
本発明において、イソシアネート化合物は、養生後のフィルムへの初期接着性、硬化時間および耐加水分解性を向上させる観点から、更に、脂環式イソシアネートとしてイソホロンジイソシアネート、芳香族イソシアネートとして、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、から選ばれる少なくとも一種を含んでもよい。
【0047】
本発明に係るウレタン樹脂は、アクリルポリオールと、イソシアネート化合物を反応させることで得ることができる。反応は、既知の方法を用いることができ、通常、アクリルポリオールと、イソシアネート化合物を混合することで行うことができる。混合方法は、本発明に係るウレタン樹脂を得ることができる限り、特に限定されるものではない。
本発明では、アクリルポリオールに由来する水酸基に対し、キシリレンジイソシアネート及びヘキサメチレンジイソシアネート由来するイソシアネート基の当量比(NCO/OH)は、1.0〜3.0であることが好ましく、1.0〜2.5であることがより好ましく、1.5〜2.5であることが特に好ましい。この当量比(NCO/OH)が1.0〜3.0である場合、ある程度早い硬化速度が保たれ、フィルムへの初期接着性、耐加水分解性及び耐候性がさらに向上し、より好ましい。
【0048】
本発明の積層シート用接着剤はシラン化合物を含む。シラン化合物は、エポキシ系シラン化合物の一種であるグリシジル系シラン化合物を含む。
グリシジル系シラン化合物は、下記式(1)で示されるグリシドキシ基を含むシラン化合物である。
【化1】
【0049】
「グリシジル系シラン化合物」は、グリシドキシ基を有する化合物をいい、具体的には、例えば、3−グリシドキシプロピルメチルジイソプロポキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルジエトキシシラン等を例示できる。
これらのグリシジル系シラン化合物は、単独で又は組み合わせて用いることができる。
【0050】
本発明に係る積層シート用接着剤では、グリシジル系シラン化合物として、特に、3−グリシドキシプロピルトリアルコキシシランが好ましい。3−グリシドキシプロピルトリアルコキシシラン化合物としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランが挙げられる。
3−グリシドキシプロピルトリアルコキシシラン化合物としては、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランが本発明の実施形態として最適である。
【0051】
グリシジル系シラン化合物は、シランカップリング剤として作用するものが好ましい。シランカップリング剤とは、有機物とケイ素から構成される化合物で、1つの分子中に有機物との反応や相互作用が期待できる、アミノ基、エポキシ基、メタクリル基、ビニル基及びメルカプト基等の有機官能基「Y」と、メトキシ基、エトキシ基及びメチルカルボニルオキシ基等の加水分解性基「OR」の両者を併せ持ち、通常では非常に結びつきにくい有機材料と無機材料を結ぶことができる化合物をいう。
【0052】
従って、グリシジル系シラン化合物であって、シランカップリング剤として作用する化合物とは、有機官能基「Y」としてグリシドキシ基を有する官能基を含むシランカップリング剤を意味する。本発明の積層シート用接着剤は、グリシジル系シラン化合物を含むことによって、初期接着性および耐加水分解性がより向上し、特に、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)とポリエチレンテレフタレート(PET)との初期接着性により優れる。
【0053】
グリシジル系シラン化合物の配合方法は、目的とする接着剤が得られる限り特に制限されるものではなく、例えば、グリシジル系シラン化合物は、予めアクリルポリオールに配合されても良いし、アクリルポリオールとイソシアネート化合物とを混合して得られるウレタン樹脂に後添加されても良い。グリシジル系シラン化合物は、イソシアネート化合物と反応してウレタン樹脂に結合した状態で積層シート用接着剤に含まれても良いし、未反応のまま積層シート用接着剤に含まれていても良い。
【0054】
グリシジル系シラン化合物は、その他のシラン化合物と併用されても差支えない。
「その他のシラン化合物」としては、例えば、エポキシシクロヘキシル系シラン化合物、(メタ)アクリロキシアルキルトリアルコキシシラン化合物、(メタ)アクリロキシアルキルアルキルアルコキシシラン化合物、ビニルトリアルコキシシラン化合物、ビニルアルキルアルコキシシラン化合物、メルカプトシラン化合物及びイソシアヌレートシラン化合物を用いることができるが、これらのシラン化合物のみに限定されることはない。
【0055】
「エポキシシクロヘキシル系シラン化合物」は、エポキシ系シラン化合物の一種であり、下記式(2)で示される3,4−エポキシシクロヘキシル基を有する化合物である。
【化2】
【0056】
「エポキシシクロヘキシル系シラン化合物」として、具体的には、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等を例示できる。
「(メタ)アクリロキシアルキルトリアルコキシシラン化合物」として、例えば、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルトリメトキシシラン等を例示できる。
【0057】
「(メタ)アクリロキシアルキルアルキルアルコキシシラン化合物」として、例えば、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルエチルジエトキシシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルメチルジメトキシシラン等を例示できる。
「ビニルトリアルコキシシラン化合物」として、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルジメトキシエトキシシラン、ビニルトリ(メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリ(エトキシメトキシ)シラン等が例示できる。
【0058】
「ビニルアルキルアルコキシシラン化合物」として、例えば、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルエチルジ(メトキシエトキシ)シラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルジエチル(メトキシエトキシ)シラン等を例示できる。
「メルカプトシラン化合物」として、例えば、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等を例示できる。
「イソシアヌレートシラン化合物」として、例えば、トリス(3−(トリメトキシシリル)プロピル)イソシアヌレート等を例示できる。
【0059】
本発明の積層シート用接着剤は、長期耐候性を向上させる目的で紫外線吸収剤を含有してよい。紫外線吸収剤として、ヒドロキシフェニルトリアジン系化合物および市販の他の紫外線吸収剤を使用することができる。「ヒドロキシフェニルトリアジン系化合物」とは、トリアジン誘導体の一種であり、トリアジン誘導体の炭素原子にヒドロキシフェニル誘導体が結合したものであり、例えば、BASF株式会社から市販されている、チヌビン400、チヌビン405、チヌビン479、チヌビン477及びチヌビン460(いずれも商品名)等を例示できる。
【0060】
積層シート用接着剤は、更に、ヒンダードフェノール系化合物を含有していてもよい。「ヒンダードフェノール系化合物」とは、一般にヒンダードフェノール系化合物とされるものであり、本発明が目的とする積層シート用接着剤を得られる限り、特に制限されるものではない。
ヒンダードフェノール系化合物は、市販されているものを使用することができる。ヒンダードフェノール系化合物として、例えば、BASF社から市販されている。IRGANOX1010、IRGANOX1035、IRGANOX1076、IRGANOX1135、IRGANOX1330及びIRGANOX1520(いずれも商品名)等を例示できる。ヒンダードフェノール系化合物は、酸化防止剤として接着剤に添加され、例えば、ホスファイト系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤等と組み合わせて使用してもよい。
【0061】
本発明の積層シート用接着剤は、更に、ヒンダードアミン系化合物を含んでいてもよい。「ヒンダードアミン系化合物」とは、一般にヒンダードアミン系化合物とされるものであり、本発明が目的とする積層シート用接着剤を得られる限り、特に制限されるものではない。
ヒンダードアミン系化合物は、市販されているものを使用することができる。ヒンダードアミン系化合物として、例えば、BASF社から市販されているチヌビン765、チヌビン111FDL、チヌビン123、チヌビン144、チヌビン152、チヌビン292及びチヌビン5100(いずれも商品名)等を例示できる。ヒンダードアミン系化合物は、光安定剤として接着剤に添加され、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾエート系化合物等と組み合わせて使用することができる。
【0062】
本発明に係る積層シート用接着剤は、目的とする積層シート用接着剤を得ることができる限り、更にその他の成分を含むことができる。
「その他の成分」を、積層シート用接着剤に添加する時期は、目的とする積層シート用接着剤が得られる限り、特に制限されるものではない。その他の成分は、例えば、ウレタン樹脂を合成する際に、アクリルポリオール及びイソシアネート化合物と一緒に添加しても良く、また、まずアクリルポリオールとイソシアネート化合物とを反応させてウレタン樹脂を合成した後に添加してもよい。
【0063】
「その他の成分」として、例えば、粘着付与樹脂、顔料、可塑剤、難燃剤、ワックス等を例示することができる。
「粘着付与樹脂」として、例えば、スチレン系樹脂、テルペン系樹脂、脂肪族石油樹脂、芳香族石油樹脂、ロジンエステル、アクリル樹脂及びポリエステル樹脂(ポリエステルポリオールを除く)等を例示できる。
【0064】
「顔料」として、例えば、酸化チタン及びカーボンブラック等を例示できる。
「可塑剤」として、例えば、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジイソノニルアジペート、ジオクチルアジペート及びミネラルスピリット等を例示できる。
「難燃剤」として、例えば、ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、アンチモン系難燃剤及び、金属水酸化物系難燃剤等を例示できる。
「ワックス」として、パラフィンワックスやマイクロクリスタリンワックス等のワックスが好ましい。
【0065】
本発明に係る積層シート用接着剤の粘度は、回転粘度計(TOKIMEC社製BM型)等を用いて測定される。固形分40%での溶液粘度が4,000mPa・s以上ある場合、接着剤の塗工適性が低下し得、粘度を下げるためにさらに溶剤を加える等を行うと、低い固形分濃度で塗工することとなるので、積層シート用接着剤の生産性を低下させる可能性がある。
【0066】
本発明の積層シート用接着剤は、上述のウレタン樹脂およびシラン化合物、場合によっては添加可能な紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤及び/又はその他の成分を混合することによって製造することができる。混合方法は、本発明が目的とする積層シート用接着剤を得ることができる限り、特に限定されるものではない。成分を混合する順序等についても、特に限定されるものではない。本発明に係る積層シート用接着剤は、特別な混合方法及び特別な混合順序等を要することなく製造することができる。そして得られた積層シート用接着剤は、高温下で長期にわたって優れた耐加水分解性を維持し、フィルムへの初期接着性の双方に優れる。
【0067】
従って、本発明の積層シート用接着剤で複数の被着体を貼り合わせて積層シートを作製し、得られた積層シートは様々な屋外材料を製造するために用いられる。
本発明の屋外材料としては、防壁材、屋根材、太陽電池モジュール、窓材、屋外フローリング材、照明保護材、自動車部材、看板等が挙げられる。これらの屋外材料は、被着体として、複数のフィルムが貼り合わされた積層シートを含む。フィルムとしては、プラスチック基材に金属が蒸着されたフィルム(金属蒸着フィルム)、金属が蒸着されていないフィルム(プラスチックフィルム)がある。
【0068】
積層シート用接着剤のうち、太陽電池モジュールを製造する接着剤には特に高いレベルの養生後のフィルムへの初期接着性及び硬化速度、更に、高温下で長期的な耐加水分解性が要求される。本発明の積層シート用接着剤は、高温下で長期にわたる耐加水分解性に優れるので、太陽電池バックシート用接着剤として好適である。
【0069】
太陽電池バックシートを作製する際には、本発明の積層シート用接着剤をフィルムに塗布する。塗布は、グラビアコート、ワイヤーバーコート、エアナイフコート、ダイコート、リップコート、コンマコートなどの様々な塗布方法を用いて行うことができる。本発明の積層シート用接着剤が塗布された複数のフィルムを貼り合わせて、太陽電池バックシートが完成する。
【0070】
本発明の太陽電池バックシートの一の形態を図1〜3に例示するが、本発明はこれらの形態に限定されるものではない。
図1は、本発明の積層シートの一形態である太陽電池バックシートの断面図である。太陽電池バックシート10は、2枚のフィルムとその間の積層シート用接着剤13から形成されており、2枚のフィルム11及び12は、積層シート用接着剤13によって貼り合わされている。フィルム11及び12は、同一の材料であっても、異なる材料であってもよい。図1では、2枚のフィルム11及び12が貼り合わされているが、3枚以上のフィルムが貼り合わされていてもよい。
【0071】
本発明に係る積層シート(太陽電池バックシート)の他の形態を図2に示す。図2では、フィルム11と屋外ウレタン接着剤13との間に、薄膜(又は箔膜)11aが形成されている。例えば、フィルム11が、プラスチックフィルムである場合、フィルム11の表面に、金属薄膜11aが形成されている形態を示す。金属薄膜11aは、プラスチックフィルム11の表面に、例えば蒸着によって形成することができ、この金属薄膜11aが形成されたフィルム11とフィルム12を、積層シート用接着剤13を介して貼り付けて、図2に係る太陽電池バックシートを得ることができる。
【0072】
プラスチックフィルムに蒸着する金属として、例えば、アルミニウム、鋼及び銅等を例示できる。プラスチックフィルムに蒸着加工を施すことで、フィルムにバリア性を付与することができる。蒸着材料としては、酸化珪素や酸化アルミニウムが用いられる。基材のプラスチックフィルム11は、透明でも、白や黒等に着色されていてもよい。
フィルム12として、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、フッ素樹脂、アクリル樹脂から成るプラスチックフィルムが用いられるが、耐熱性、耐候性及び剛性、絶縁性等を付与するためにポリエチレンテレフタレートフィルムやポリブチレンテレフタレートフィルムを用いることが特に好ましい。フィルム11及び12は、透明でも、着色されても良い。
フィルム11の蒸着薄膜11aとフィルム12とは、本発明の積層シート用接着剤13を用いて貼り付けられるが、フィルム11及び12は、ドライラミネート法によって積層されることが多い。
【0073】
図3は、本発明の屋外材料の一形態である太陽電池モジュールの一例の断面図を示す。図3では、太陽電池モジュール1は、ガラス板40、エチレン酢酸ビニル樹脂(EVA)等の封止材20、一般に複数の太陽電池セル30を接続して所望の電圧を発生するもの、バックシート10を重ね合わせて、スペーサ50でこれらの部材10、20、30及び40を固定して、得ることができる。
バックシート10は、上述したように、複数のフィルム11及び12の積層体なので、ウレタン接着剤13には、バックシート10が、たとえ長期間屋外に曝されても、フィルム11及び12が剥離しないことが要求される。
【0074】
太陽電池セル30は、シリコンを用いて製造されることが多いが、色素を含んだ有機樹脂を用いて製造されることもある。その場合、太陽電池モジュール1は、有機系(色素増感)太陽電池モジュールとなる。有機系(色素増感)太陽電池には着色性が要求されるので、太陽電池バックシート10を構成するフィルム11及び12として透明フィルムが使用されることが多い。従って、太陽電池バックシート用接着剤13には、長期間屋外で曝されたとしても、色差変化が極めて小さく、耐候性に優れていることが要求される。
【0075】
本発明の主な態様を以下に示す。
1.アクリルポリオールとイソシアネート化合物との混合で得られるウレタン樹脂と、シラン化合物とを含む積層シート用接着剤であって、シラン化合物はグリシジル系シラン化合物を含み、アクリルポリオールは、重合性単量体が重合することによって得られ、該重合性単量体は、水酸基を有する単量体およびその他の単量体を含み、その他の単量体はアクリロニトリルを含み、イソシアネート化合物は、キシリレンジイソシアネートおよびヘキサメチレンジイソシアネートから選ばれる少なくとも1種を含む、積層シート用接着剤。
2.(A)アクリルポリオールに由来する水酸基に対する、キシリレンジイソシアネートおよびヘキサメチレンジイソシアネートに由来するイソシアネート基との当量比(NCO/OH)が1.0〜3.0である上記1に記載の積層シート用接着剤。
3.キシリレンジイソシアネートはモノマーであり、ヘキサメチレンジイソシアネートはイソシアヌレート体である上記1または2に記載の積層シート用接着剤。
4.上記1〜3のいずれかに記載の積層シート用接着剤を製造するためのアクリルポリオールを含む原料であって、アクリルポリオールは、重合性単量体が重合することで得られ、該重合性単量体は、水酸基を有する単量体およびその他の単量体を含み、その他の単量体はアクリロニトリルを含む、積層シート用接着剤を製造するためのアクリルポリオールを含む原料。
【実施例】
【0076】
以下、本発明を実施例及び比較例を用いて説明するが、これらの例は、本発明を説明するためのものであり、本発明を何ら限定するものではない。
【0077】
<アクリルポリオールの合成>
合成例1(A1)アクリルポリオール
攪拌翼、温度計、及び還流冷却管を備えた四つ口フラスコに、酢酸エチル(和光純薬((株)製)100gを仕込み、約80℃で還流させた。このフラスコ内に、重合開始剤として2,2−アゾビスイソブチロニトリルを1g加え、表1に示す量の単量体の混合物を1時間30分かけてフラスコ内に連続的に滴下した。さらに2時間加熱した後、不揮発分(固形分)が50.0重量%の(A1)アクリルポリオールの溶液を得た。
(A1)アクリルポリオールを合成するために使用した重合性単量体の組成及び得られたアクリルポリオールA1の物性を表1に示す。
【0078】
合成例2〜8
合成例1において、(A1)アクリルポリオールを合成するために用いた単量体等の組成を表1に示すように変更したことを除いて、合成例1と同様の方法を用いて、(A2)アクリルポリオール〜(A’7)アクリルポリオール及び(A’8)アクリルポリマー(水酸基を含まない)を得た。得られたアクリルポリオール及びアクリルポリマーの物性を表1に示す。
【0079】
表1に示す重合性単量体及びその他の成分を以下に示す。
・メチルメタクリレート(MMA):和光純薬(株)製
・ブチルアクリレート(BA):同上
・エチルアクリレート(EA):同上
・グリシジルメタクリレート(GMA):同上
・アクリロニトリル(AN):同上
・2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA):同上
・2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA):同上
・スチレン(St):同上
・2,2−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN):大塚化学(株)製
【0080】
【表1】
重合性単量体の組成を示す値は、重量部である。
【0081】
<アクリルポリオール及びアクリルポリマーのガラス転移温度(Tg)の算出>
(A1)〜(A’8)のTgは、各ポリオール及びポリマーの原料である“重合性単量体”の単独重合体(ホモポリマー)のガラス転移温度を用いて、上述の式(i)を用いて計算した。
メチルメタクリレート等の各々のホモポリマーのTgは、文献値を用いた。
【0082】
<積層シート用接着剤の製造>
実施例及び比較例で使用した積層シート用接着剤の原料を以下に記載する。
(A)アクリルポリオール
表1に記載した(A1)〜(A6)に対応する。
(A’)アクリルポリオール’
アクリルポリオール’は、表1に記載の(A’7)に対応する。
アクリルポリマー(水酸基を有さない)は、表1記載の(A’8)に対応する。
【0083】
(B)シラン化合物
(B1)3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製 KBM−403(商品名))
(B2)3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(東レ・ダウコーニング社製 Z−6041(商品名))
(B3)3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン(東レ・ダウコーニング社製 Z−6044(商品名))
(B’4)2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(信越化学工業社製 KBM−303(商品名))
(B’5)ビニルトリアセトキシシラン(東レ・ダウコーニング社製 Z−6075(商品名))
(B’6)3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング社製 SZ−6030(商品名))
【0084】
(C)イソシアネート化合物
(C1)<脂肪族> ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)のイソシアヌレート体 (SBU社製 スミジュールN3300(商品名)、NCO含有量=21.8重量%)
(C2)<芳香族> キシリレンジイソシアネート(XDI)モノマー (三井化学社製 タケネート500(商品名)、NCO含有量=44.7重量%
(C3)<芳香族> キシリレンジイソシアネート(XDI)アダクト体 (三井化学社製 タケネートD−110N(商品名)、NCO含有量=15.3重量%
(C’4)<芳香族> 4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)(日本ポリウレタン社製 ミリオネートMT(商品名) NCO含有量=33.6重量%)
(C’5)<芳香族> トリレンジイソシアネート(TDI)のTMPアダクト体 (SBU社製 デスモジュール L75(商品名) NCO含有量=18.0重量%)
【0085】
尚、アクリルポリオールとイソシアネート化合物が反応することでウレタン樹脂が得られる。
下記の実施例1〜18及び比較例1〜8の積層シート用接着剤は、上記成分を混合して製造された。接着剤の詳細な組成は表2〜4に示す。それらの製造工程は、実施例1の工程に従った。得られた積層シート用接着剤は、以下に記載した試験によって評価した。
【0086】
実施例1
<積層シート用接着剤の製造>
表2に示すように、93.1gの(A1)アクリルポリオール[186.2gの(A1)アクリルポリオールの酢酸エチル溶液(固形分50.0重量%)]に、(B1)グリシジル系シラン化合物2.8g((A1)アクリルポリオール固形分100%に対して3.0%)を混合し、その後(C1)イソシアネート化合物2.8gと(C2)イソシアネート化合物1.3gを添加して混合した。さらに、これらの混合物に酢酸エチルを添加し、固形分30重量%の接着剤溶液を調製した。この調製液を積層シート用接着剤として、以下の試験を行った。
【0087】
<接着剤塗布PETシート、積層物1の製造>
先ず、実施例1の積層シート用接着剤を透明ポリエチレンテレフタレート(PET)シート(三菱化学ポリエステルフィルム社製のO300EW36(商品名))に固形分重量が10g/mとなるように塗布し、80℃で10分間乾燥させ、接着剤塗布PETシートを得た。
その後、接着剤塗布PETシートの接着剤塗布面に、厚さ50μmの表面処理透明ポリオレフィンフィルム(フタムラ化学社製のリニアローデンシティフィルム LL-XUMN#30(商品名))の表面処理された面を被せ、平面プレス機(神藤金属工業社製のASF−5(商品名))を用いて、圧締圧1.0MPa 50℃で30分間、両フィルムをプレスした。プレスされた両フィルムを50℃で7日間養生し、ポリオレフィンフィルム/接着剤/PETシートからなる積層物1を得た。
【0088】
<積層物2の製造>
上述の接着剤塗布PETシートの接着剤塗布面に、厚さ30μmの表面処理白色ポリフッ化ビニリデンフィルム(アルケマ社製のKynarフィルム(商品名))の表面処理された面を被せ、平面プレス機(神藤金属工業社製のASF−5(商品名))を用いて、圧締圧1.0MPa 50℃で30分間、両フィルムをプレスした。プレスされた両フィルムを50℃で7日間養生し、ポリフッ化ビニリデンフィルム(PVDF)/接着剤/PETシートからなる積層物2を得た。
【0089】
<耐候性評価用皮膜の製造>
実施例1の積層シート用接着剤をスライドガラス(3mm×50mm×150mm)上に固形分重量が10g/mとなるように塗布し、50℃で7日間養生し、耐候性評価用皮膜を得た。
【0090】
<評価>
太陽電池バックシート用接着剤の評価を以下の方法で行った。評価結果を、表2〜4に示した。
1.硬化速度の評価(プレッシャークッカー試験(PCT試験:pressure cooker test)後の外観)
50℃で3日間養生した積層物1について、加圧蒸気を用いた促進評価法で硬化速度を評価した。
積層物1をA5サイズに切り出し、ハイプレッシャークッカー(ヤマト科学社製 オートクレーブSP300(商品名))を用いて評価した。121℃、1.4MPaで湿熱状態を100時間継続させ、ポリエチレンフィルムの浮き、剥がれを目視にて観察した。評価基準は以下のとおりである。
○:フィルムの浮き、剥がれなし
×:フィルムの浮き、剥がれが発生
【0091】
2.積層物1に関する初期接着性の測定
積層物1を15mm幅に切り出し、引っ張り強度試験機(オリエンテック社製のテンシロンRTM-250(商品名))を用いて、室温環境下、引っ張り速度100mm/min、180°剥離試験を行い、接着剤の初期接着性を評価した。評価基準は以下のとおりである。
◎:剥離強度が10N/15mm以上または材料破壊
○:剥離強度が6N/15mm以上 10N/15mm未満
×:剥離強度が6N/15mm未満
本明細書において、「材料破壊」とは、基材である「ポリオレフィン」又は「PET」が破壊されたことを意味する。従って、接着剤自身の強度は、更に高いことを意味する。
【0092】
3.積層物1に関する耐加水分解性評価
積層物1を恒温恒湿槽に入れ、85℃、85%RH雰囲気下の湿熱状態で、3000時間保持した。その後、積層物1に関する初期接着性測定と同様の剥離試験を行ない、接着剤の耐加水分解性を評価した。
◎:剥離強度が10N/15mm以上または材料破壊
○:剥離強度が6N/15mm以上 10N/15mm未満
×:剥離強度が6N/15mm未満
【0093】
4.積層物2に関する初期接着性の測定
積層物2を15mm幅に切り出し、引っ張り強度試験機(オリエンテック社製のテンシロンRTM-250(商品名))を用いて、ASTM D1876−61試験に準じ、室温環境下、荷重速度300mm/minのT型剥離試験を行い、接着剤の初期接着性を評価した。評価基準は以下のとおりである。
◎:剥離強度が5(N/15mm)以上 または材料破壊
○:剥離強度が3(N/15mm)以上 5(N/15mm)未満 (材料破壊なし)
×:剥離強度が3(N/15mm)未満 (材料破壊なし)
【0094】
5.積層物2に関する耐加水分解性評価
積層物2を恒温恒湿槽に入れ、85℃、85%RH雰囲気下の湿熱状態で、3000時間保持した。その後、積層物2に関する初期接着性測定と同様の剥離試験を行ない、接着剤の耐加水分解性を評価した。
◎:剥離強度が5(N/15mm)以上 または材料破壊
○:剥離強度が3(N/15mm)以上 5(N/15mm)未満 (材料破壊なし)
×:剥離強度が3(N/15mm)未満 (材料破壊なし)
【0095】
6.耐候性評価
耐候性評価用皮膜をUV照射試験機(岩崎電気社製 アイスーパーUVテスターW131(商品名))にセットし、照度1000W/m、60℃、50%RH雰囲気下の条件で100時間の照射を行った。色差計にて照射前後の色差(Δb)を測定し、黄変度に基づいて、接着剤の耐候性を評価した。評価基準は以下のとおりである。
◎:Δbが5未満
○:Δbが5〜10
×:Δbが10より大きい
【0096】
【表2】
【0097】
【表3】
【0098】
【表4】
【0099】
表2〜4に示すように、実施例1〜18の積層シート用接着剤は、硬化速度がある程度早く、フィルムへの初期接着性、耐加水分解性および耐候性に優れる。実施例の積層シート用接着剤は、厳しい環境下に曝されても、接着性が低下せず、黄変することもない。従って、本発明の積層シート用接着剤は、高いレベルでの耐久性が要求される太陽電池バックシート用接着剤としても充分にその役割を全うできる。
【0100】
これに対し、比較例1〜8の積層シート用接着剤は、硬化速度、フィルムへの初期接着性、耐加水分解性、耐候性のいずれかが実施例の積層シート用接着剤よりも劣る。
比較例1の積層シート用接着剤は、シラン化合物を含まないので、基材表面の濡れ性が低下し、積層物2(PVDF/PET)に関する初期接着性、耐加水分解性が劣る。
【0101】
比較例2の積層シート用接着剤は、添加されたシラン化合物はエポキシ基を有するがグリシジル系シラン化合物でないので密着性が低下し、積層物1(PE/PET)に関する耐加水分解性が低下する。
比較例3及び4の積層シート用接着剤は、添加されたシラン化合物がグリシジル系シラン化合物でないので、PVDF基材表面との密着性に劣り、積層物2に関する耐加水分解性が低下する。
【0102】
比較例5及び6の積層シート用接着剤は、HDIもXDIも含まず、MDIやTDIを含むので、UV(紫外線)に対する耐光変色性が低下する。更に、積層物2に関する初期接着性、耐加水分解性も低下する。
【0103】
比較例7の積層シート用接着剤は、アクリルポリオール(A’7)がアクリロニトリルを含まない。よって、接着剤自体の凝集力が低下し、PCT試験後の外観や積層物2(PVDF/PET)に関する接着性、耐加水分解性が劣る。
比較例8の積層シート用接着剤は、アクリルポリマー(A’8)が水酸基を有さないため、ウレタン結合が形成されず、接着剤として機能しない。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明は、積層シート用接着剤を提供する。本発明に係る積層シート用接着剤は、フィルムへの初期接着性及び硬化速度に優れ、更に、高温下で長期的な耐加水分解性に優れるため、厳しい環境に対する耐久性が著しく高くなり、さらには耐候性にも優れるので、太陽電池バックシート用接着剤として好適である。
【符号の説明】
【0105】
1 太陽電池モジュール
10 バックシート
11 フィルム
11a 蒸着薄膜
12 フィルム
13 接着剤層
20 封止材(EVA)
30 太陽電池セル
40 ガラス板
50 スペーサ
図1
図2
図3