特許第6095310号(P6095310)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6095310
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】硬化性白色樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   C09D 4/02 20060101AFI20170306BHJP
   H05K 1/03 20060101ALI20170306BHJP
   C08F 2/44 20060101ALI20170306BHJP
   C08F 292/00 20060101ALI20170306BHJP
【FI】
   C09D4/02
   H05K1/03 610J
   H05K1/03 610R
   C08F2/44 A
   C08F292/00
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-213478(P2012-213478)
(22)【出願日】2012年9月27日
(65)【公開番号】特開2014-65855(P2014-65855A)
(43)【公開日】2014年4月17日
【審査請求日】2015年9月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】390005223
【氏名又は名称】株式会社タムラ製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100167852
【弁理士】
【氏名又は名称】宮城 康史
(72)【発明者】
【氏名】谷口 裕亮
(72)【発明者】
【氏名】岡本 吉生
【審査官】 久保田 英樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−197155(JP,A)
【文献】 特開2003−015292(JP,A)
【文献】 特開2007−115816(JP,A)
【文献】 特開2000−356762(JP,A)
【文献】 特開2007−034213(JP,A)
【文献】 特開2012−212039(JP,A)
【文献】 特開2010−117702(JP,A)
【文献】 特開昭63−152604(JP,A)
【文献】 特開2002−371236(JP,A)
【文献】 特開2011−158628(JP,A)
【文献】 特開昭57−131221(JP,A)
【文献】 特開2002−356514(JP,A)
【文献】 特開2009−173755(JP,A)
【文献】 特開2011−132276(JP,A)
【文献】 特開平05−202146(JP,A)
【文献】 米国特許第04221697(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 4/00−201/10
C08F 2/00− 2/60
C08L 1/00−101/14
H05K 1/03
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)シリル基を有さず、分子中に(メタ)アクリル基を1つ以上有する化合物、
(B)光重合開始剤、
(C)(A)成分100質量部に対して20〜40質量部の、エチレン性不飽和結合を有するシランカップリング剤、および
(D)酸化チタンを含有し、
上記(A)成分が、分子中に2以上の(メタ)アクリル基を有する化合物を50重量%以上含み、ITO電極の保護膜用であることを特徴とする硬化性白色樹脂組成物。
【請求項2】
(C)シランカップリング剤が、(メタ)アクリル基を含有することを特徴とする、請求項1に記載の硬化性白色樹脂組成物。
【請求項3】
(D)酸化チタンが、ルチル型酸化チタンであることを特徴とする、請求項1または2に記載の硬化性白色樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1〜3いずれかに記載の硬化性白色樹脂組成物による硬化膜を有するITO電極。
【請求項5】
請求項記載のITO電極を備えたタッチパネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に関し、特に、銅、銀電極などの各種電極の保護を目的とした活性エネルギー線硬化型の組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子部品等における各種電極の外気(湿気)からの保護剤(保護コート)としては、熱硬化系、紫外線硬化系及び室温硬化系の樹脂組成物が広く知られている。例えば、熱硬化系の樹脂組成物としては特公平1−19834号公報に開示されているようなエポキシ樹脂系樹脂組成物があり、また、紫外線硬化系の樹脂組成物としては特開昭60−103343号公報に開示されているようなアクリル系樹脂組成物がある。
【0003】
ところが、これらの樹脂組成物のうち、熱硬化系の樹脂組成物では、硬化処理に際して長時間の加熱を要するために、作業性が悪く、また他の部材への悪影響が懸念される。
紫外線硬化系の樹脂組成物では、硬化速度が早く、低温で硬化できるという利点があるものの、硬化収縮が大きいために密着性が悪く、硬化物に歪みが残りクラックが発生したり、耐水性が悪いという欠点がある。室温硬化系の樹脂組成物では、硬化設備が必要でなく、安価であるという利点があるものの、硬化に長時間を要すること、さらには硬化させる場所を確保する必要があり、作業性が悪いという欠点がある。
【0004】
これに対し、上述した各種欠点を克服し得る樹脂組成物として、紫外線硬化系の樹脂組成物の中でも特に低硬化収縮を特徴とする光カチオン触媒を使用した樹脂組成物が提案されている(特公平2−30326号、特開平5−186755号公報参照)。しかしながら、かかる樹脂組成物では、金属電極上で用いると、光カチオン触媒が原因と思われる金属電極の腐食が生じ易いという新たな問題が生じる。
【0005】
一方で、フラットパネルのモジュール等に代表されるように、外部電極のファインパターン化が進行する今日では、その電極は、ガラス基板上にフォトリソ法にて狭ピッチにパターン化された焼成銀ペーストにて作成されている。このとき保護膜には、保護という機能以外にも、表面平滑性、耐溶剤性、密着性という重要な特性が要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公平1−19834号公報
【特許文献2】特公平2−30326号広報
【特許文献3】特開平5−186755号公報参
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明は、上述したような実情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、紫外線硬化系の樹脂組成物が有する利点を具えつつ、基材に対する密着性に優れ、かつ、表面平滑性、耐溶剤に優れた硬化膜を実現し得る樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、以下の構成を採用した。
(1)(A)シリル基を有さず、分子中に(メタ)アクリル基を1つ以上有する化合物、(B)光重合開始剤、(C)(A)成分100質量部に対して20〜40質量部の、エチレン性不飽和結合を有するシランカップリング剤、および(D)酸化チタンを含有し、上記(A)成分が、分子中に2以上の(メタ)アクリル基を有する化合物を50重量%以上含み、ITO電極の保護膜用であることを特徴とする硬化性白色樹脂組成物。
(2)(C)シランカップリング剤が、(メタ)アクリル基を含有することを特徴とする、(1)に記載の硬化性白色樹脂組成物。
(3)(D)酸化チタンが、ルチル型酸化チタンであることを特徴とする、(1)または(2)に記載の硬化性白色樹脂組成物。
(4)(1)〜(3)いずれかに記載の硬化性白色絶縁樹脂組成物を用いて得られる配線板。
(5)(1)〜(3)いずれかに記載の硬化性白色樹脂組成物による硬化膜を有するITO電極。
(6)(5)記載のITO電極を備えたタッチパネル。
【発明の効果】
【0009】
本発明の硬化性白色絶縁樹脂組成物によれば、基材に対する密着性に優れ、かつ、表面平滑性、耐溶剤に優れた硬化膜を実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施形態に即して詳細に説明する。
[硬化性白色絶縁樹脂組成物]
本発明にかかる硬化性白色絶縁樹脂組成物は、(A)シリル基を有さず、分子中に(メタ)アクリル基を1つ以上有する化合物、(B)光重合開始剤、(C)(A)成分100質量部に対して20〜40質量部の、エチレン性不飽和結合を有するシランカップリング剤、および(D)酸化チタンを含有し、上記(A)成分が、(A)成分の全体に対して、分子中に2以上の(メタ)アクリル基を有する化合物を50重量%以上含むことを特徴とする。
【0011】
(A)シリル基を有さず、分子中に(メタ)アクリル基を1つ以上有する化合物としては、分子中に2以上の(メタ)アクリル基を有する化合物を50重量%以上含むものであれば特に制限はない。
【0012】
分子中に(メタ)アクリル基を1つ有する化合物としては、特に制限はないが、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート並びにフェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジルアクリレート、フェノールアクリレート等の芳香環含有アクリルモノマー;N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、及びN−イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等のN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリロニトリルなどがあげられる。これらは、一種を単独で使用してもよいが、複数を組み合わせて使用してもよい。
【0013】
分子中に(メタ)アクリル基を2つ以上有する化合物としては、特に制限はないが、(メタ)アクリル基を1分子あたり2〜6個有する化合物が好ましく、2〜4個有する化合物がより好ましい。
【0014】
このような化合物としては、例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールアジペートジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエンジメタノールジアクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性燐酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸アルキレンオキサイド変性ジアクリレート、イソシアヌル酸アルキレンオキサイド変性トリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA型エチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA型プロピレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレートカプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の反応性希釈剤が挙げられる。アルキレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートにおけるオキシアルキレン基としては、例えば、炭素数2〜10(好ましくは2〜4)のオキシアルキレン基があげられる。この様なものとしては、例えばエチレンオキサイド変性トリメチロールプリパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどがあげられる。
【0015】
各(A)成分の粘度(25℃)としては、塗工時の作業性を考慮すると、好ましくは3〜1000Pa・s、より好ましくは3〜500Pa・s、さらに好ましくは3〜300Pa・sの範囲である。言うまでもなく、25℃粘度が1000Pa・sを上回る(A)成分を併用することも可能である。1000Pa・sを上回る粘度を有する(A)成分を用いることにより、硬化皮膜の柔軟性・耐クラック性を向上させることができる。ただし、良好な作業性を考慮すると、1000Pa・sを上回る粘度を有する(A)成分の含有量は、(A)成分全体に対して、好ましくは0〜30質量部、さらに好ましくは0〜15質量部の範囲である。25℃粘度が1000Pa・sを上回る(A)成分としては、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等、通常公知の成分を用いることができる。
【0016】
組成物全体に占める(A)成分合計の含有量としては、特に制限はないが、良好な硬化性を実現するためには、好ましくは30質量%〜90質量%、さらに好ましくは35質量%〜80質量%の範囲である。
【0017】
(B)光重合開始剤としては、一般的に使用されるものであれば特に限定されず、例えば、オキシム系開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−2−(ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p−フェニルベンゾフェノン、4,4′−ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロルベンゾフェノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−ターシャリーブチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等のフォスフィンオキサイド系開始剤等が挙げられる。これらを単独または組み合わせて用いることができる。光重合開始剤の使用量は、少量の場合、作業中の露光時間を要し、多量の場合、熱硬化中の揮発分が多くなり、乾燥炉内を汚染するおそれがあることから、(A)成分100質量部に対して、5〜30質量部、さらには8〜25質量部が好ましい。
(C)シランカップリング剤としては、エチレン性不飽和結合を有するものであれば特に制限はなく、通常公知のシランカップリング剤を使用することが可能である。
【0018】
代表的なものとしては、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサン、γ−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、アリルジメチルクロロシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルフェニルジクロロシラン、ビニルジメチルアセトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、ビニルトリメトキシシラン、(メタ)アクリルオキシエチルジメチル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライドなどがあげられる。シランカップリング剤は、単独で用いてもよく、複数のものを組み合わせて使用してもよい。
【0019】
(C)シランカップリング剤の含有量としては、(A)成分100質量部に対して、20〜40質量部の範囲である。係る範囲を下回ると、ガラスに対する密着性が低下し、係る範囲を超えると表面平滑性が低下するおそれがある。
【0020】
(D)酸化チタンとしては、酸化チタンは、硬化物を白色化するためのものであり、例えば、アナターゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタンを挙げることができる。アナターゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタンいずれも使用できるが、アナターゼ型酸化チタンは、ルチル型酸化チタンと比較して白色度は高いものの、光触媒活性を有するので、白色硬化性樹脂組成物中の樹脂の変色を引き起こすことがある。ルチル型酸化チタンは、光触媒活性をほとんど有さないので硬化物の変色を防止できる。
【0021】
ルチル型酸化チタンの粒子の平均粒径は特に限定されないが、例えば、0.01〜1μmである。また、ルチル型酸化チタン粒子の表面処理剤も特に限定されない。ルチル型酸化チタンには、例えば、富士チタン工業(株)製「TR−600」、「TR−700」、「TR−750」、「TR−840」、石原産業(株)製「R−550」、「R−580」、「R−630」、「R−820」、「CR−50」、「CR−60」、「CR−90」、「CR−93」、チタン工業(株)製「KR−270」、「KR−310」、「KR−380」、テイカ(株)製「JR−1000」、「JR−805」, 「JR−806」等を使用することができる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。酸化チタンの配合量は、(A)成分100質量部に対して30〜800質量部であり、白色度と解像性とのバランスの点から、好ましくは35〜500質量部であり、白色度と解像性とのバランスをより向上させる点から、特に好ましくは40〜300質量部である。
【0022】
本発明の樹脂組成物には、上記の成分に加えて、難燃剤、溶剤、硬化触媒及びその他各種の添加剤を配合することができる。
【0023】
難燃剤としては、特に制限は無いが、リン系難燃剤が好適である。リン系の難燃剤は、例えば、トリス(クロロエチル)ホスフェート、トリス(2,3−ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(2−クロロプロピル)ホスフェート、トリス(2,3−ブロモプロピル)ホスフェート、トリス(ブロモクロロプロピル)ホスフェート、2,3−ジブロモプロピル−2,3−クロロプロピルホスフェート、トリス(トリブロモフェニル)ホスフェート、トリス(ジブロモフェニル)ホスフェート、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェートなどの含ハロゲン系リン酸エステル;トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェートなどのノンハロゲン系脂肪族リン酸エステル;トリフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、ジクレジルフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、イソプロピルフェニルジフェニルホスフェート、ジイソプロピルフェニルフェニルホスフェート、トリス(トリメチルフェニル)ホスフェート、トリス(t−ブチルフェニル)ホスフェート、ヒドロキシフェニルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェートなどのノンハロゲン系芳香族リン酸エステル;トリスジエチルホスフィン酸アルミニウム、トリスメチルエチルホスフィン酸アルミニウム、トリスジフェニルホスフィン酸アルミニウム、ビスジエチルホスフィン酸亜鉛、ビスメチルエチルホスフィン酸亜鉛、ビスジフェニルホスフィン酸亜鉛、ビスジエチルホスフィン酸チタニル、テトラキスジエチルホスフィン酸チタン、ビスメチルエチルホスフィン酸チタニル、テトラキスメチルエチルホスフィン酸チタン、ビスジフェニルホスフィン酸チタニル、テトラキスジフェニルホスフィン酸チタンなどのホスフィン酸の金属塩、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイド(以下HCA)、HCAとアクリル酸エステルの付加反応生成物、HCAとエポキシ樹脂の付加反応生成物、HCAとハイドロキノンの付加反応生成物等のHCA変性型化合物、ジフェニルビニルホスフィンオキサイド、トリフェニルホスフィンオキサイド、トリアルキルホスフィンオキサイド、トリス(ヒドロキシアルキル)ホスフィンオキサイド等のホスフィンオキサイド系化合物等が挙げられる。これらのうち、環境負荷を抑える点から、ノンハロゲン系のリン酸エステル、ホスフィン酸の金属塩、HCA変性型化合物、ホスフィンオキサイド系化合物が好ましく、少量にて、難燃性だけではなく、耐ブリードアウト性、耐変色性に優れる点からホスフィン酸の金属塩が特に好ましい。リン系の難燃剤の使用量は、樹脂(A)100質量部に対して3〜30質量部であり、十分な難燃性を確保しつつ硬化膜の機械的強度の低下を確実に抑える点から、4〜20質量部が好ましい。
【0024】
溶剤としては、有機溶剤が好適であり、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサン等のケトン類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メタノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール等のアルコール類、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素類、石油エーテル、石油ナフサ等の石油系溶剤、セロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類、カルビトール、ブチルカルビトール等のカルビトール類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート等の酢酸エステル類等を挙げることができる。溶剤の使用量は、良好な平滑性と粘度を実現するため、樹脂(A)100質量部に対して、0〜10質量部、特に0〜5質量部の範囲が好ましい。
【0025】
硬化触媒としては、三フッ化ホウ素−アミンコンプレックス、ジシアンジアミド(DICY)及びその誘導体、有機酸ヒドラジド、ジアミノマレオニトリル(DAMN)及びその誘導体、メラミン及びその誘導体、グアナミン及びその誘導体、アミンイミド(AI)並びにポリアミン等があげあれる。硬化触媒の使用量は、(A)100質量部に対して0.1〜5質量部が好適であり、好ましくは1〜5質量部である。
【0026】
また、本発明では、必要に応じて、さらに、種々の添加成分、例えば、消泡剤、分散剤、体質顔料、無機イオンキャッチャー等を適宜配合することができる。消泡剤には、公知のものを使用でき、例えば、シリコーン系、炭化水素系、アクリル系等を挙げることができる。分散剤には、シラン系、チタネート系、アルミナ系等のカップリング剤が挙げられる。体質顔料は、硬化膜の物理的強度を上げるためのものであり、例えば、シリカ、硫酸バリウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、タルク、マイカ等を挙げることができる。無機イオンキャッチャーとしては、リン酸ジルコニウム系化合物等を挙げることができる。これら各種添加剤の配合量は、合計で、(A)100質量部に対して、0.1〜30質量部、特に0.1〜10質量部の範囲が好ましい。
【0027】
上記のようにして得られた本発明の感光性樹脂組成物を光硬化させる場合には、例えば銅箔をエッチングして形成した回路パターンを有するフレキシブル配線板上に、スクリーン印刷法、スプレーコート法等の方法を用いて所望の厚さに塗布し、その上から紫外線を照射させることにより、フレキシブル配線板上に目的とする硬化膜を形成させることができる。
【0028】
本発明の感光性樹脂組成物による硬化膜は、基板、特にフレキシブル基板のソルダーレジストとして好適に使用できるほか、例えばITO(Indium Tin Oxide:インジウムスズ酸化物)電極、銀(銀電極・銀配線)、及び有機導電膜の保護膜としても好適に使用することができる。
【実施例】
【0029】
以下、本発明を実施例に則してより詳細に説明する。なお、実施例では、特段の記載がない限り、配合量は質量部で示されている。
【0030】
(評価試験片作製)
実施例および比較例の各配合物をディゾルバーで混合分散させて、樹脂組成物を調製した。そして、ガラス基板を用いて評価試験片を以下の手順により作製した。
【0031】
表面処理:脱脂処理(イソプロピルアルコール)
スクリーン印刷
DRY膜厚:5〜10μm
露光装置:UV露光機アイグラフィック社製UB093−5AM
(評価試験)
ガラス密着性:ガラス基板上の硬化塗膜に関し、JIS K5400に基づき、密着性を評価した。
【0032】
表面平滑性:ガラス基板上の硬化塗膜の表面平滑性を目視にて評価した。
【0033】
耐溶剤性:ガラス基板上の硬化塗膜を、25℃イソプロピルアルコールに30分間浸漬後、セロハンテープによるピール試験を行い、塗膜の状態を目視にて評価した。
【0034】
絶縁性:櫛形テストパターン(線幅100μm、線間100μm)上に、上記の試験片作成工程に準じて硬化塗膜を形成し、温度85℃、湿度85%の雰囲気中で直流50V印加して1000時間放置後の試験片に関して、絶縁抵抗値を測定した。
【0035】
結果を表1〜表3にまとめた。
【表1】
【表2】
【表3】

(備考)
アロニックス M−220:ポリプロピレングリコールジアクリレート(東亞合成)
HDDA:1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(ダイセル・サイテック)
ライトエステル1,4BG:1,4-ブタンジオールジメタクリレート(共栄社化学)
ライトエステル1,9ND:1,9-ノナンジオールジメタクリレート(共栄社化学)
KAYARAD R-684:ジシクロペンタジエンジメタノールジアクリレート(日本化薬)
ビスコート#160:ベンジルアクリレート(大阪有機化学)
Miramer M140:フェノールアクリレート(Miwon)
イルガキュア184:1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン(BASF)
ダロキュア1173:2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン(BASF)
イルガキュア754:オキシフェニル酢酸、2-[2-オキソ-2-フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステルとオキシフェニル酢酸、2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチルエステルの混合物(BASF)
KBM-5103:3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業)
KBM-503:3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業)
CR-80:ルチル型酸化チタン(石原産業)
CR-93:ルチル型酸化チタン(石原産業)
LUCIRIN TPO:2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド(BASF)
Irgacure 819:ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド(BASF)
ME-P8:[2−(9,10−ジヒロロキシ−9−オキサ−10−オキサイド−10−ホスファフェナントレン−10−イル)メチルコハク酸ビス−(2−ヒドロキシエチル)−エステル重合体]2)ホスホニトリル系難燃剤(三光(株))
EBECRYL 3708:エポキシアクリレート(ダイセル・サイテック)
Miramer PE2310:エポキシアクリレート(Miwon)
Miramer PE250:エポキシアクリレート(Miwon)
EBECRYL 8405:ウレタンアクリレート(ダイセル・サイテック)
アロニックス M-1200:ウレタンアクリレート(東亞合成)
AH-600:フェニルグリシジルエーテルアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー(共栄社化学)
UVX-189:ビニル系重合物(楠本化成)
ポリフロー No.90:アクリルポリマー(共栄社化学(株))
BYK-361N:アクリルポリマー(ビックケミー・ジャパン(株))
BYK-307:ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとポリエーテルの混合物(ビックケミー・ジャパン(株))
EDGAC:ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(神港有機化学工業(株))