特許第6095318号(P6095318)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6095318削減量算出装置及びそのセンサ異常検出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6095318
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】削減量算出装置及びそのセンサ異常検出方法
(51)【国際特許分類】
   F24D 17/00 20060101AFI20170306BHJP
【FI】
   F24D17/00 U
   F24D17/00 S
【請求項の数】8
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-223132(P2012-223132)
(22)【出願日】2012年10月5日
(65)【公開番号】特開2014-74565(P2014-74565A)
(43)【公開日】2014年4月24日
【審査請求日】2015年9月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145908
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信雄
(74)【代理人】
【識別番号】100136711
【弁理士】
【氏名又は名称】益頭 正一
(72)【発明者】
【氏名】守谷 和行
【審査官】 渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−064649(JP,A)
【文献】 特開平08−327146(JP,A)
【文献】 特開平11−316029(JP,A)
【文献】 特開平05−106836(JP,A)
【文献】 特開平06−004147(JP,A)
【文献】 特開2007−010242(JP,A)
【文献】 特開2009−092330(JP,A)
【文献】 特開2009−216352(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24D 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給される水を加熱して予熱温水とする太陽熱温水器と、供給される水及び前記太陽熱温水器から供給される予熱温水の少なくとも一方を加熱する給湯器と、を有する太陽熱給湯システムに用いられ、前記太陽熱温水器の加熱によって前記給湯器における加熱の際に削減できた削減量を算出する削減量算出装置であって、
前記太陽熱温水器により加熱される前の水温を検出する第1温度センサと、
前記太陽熱温水器により加熱されて当該太陽熱温水器から需要者側に伸びる配管内に供給された予熱温水の温度を検出する第2温度センサと、
前記太陽熱温水器から需要者側に伸びる配管内に供給された予熱温水の流量を検出する流量センサと、
前記第1温度センサ、前記第2温度センサ及び前記流量センサからの信号値に基づいて、前記削減量を算出する削減量算出手段と、
前記流量センサにより流量が検出されない状態が規定時間継続した場合において、前記第1温度センサにより検出された水温と前記第2温度センサにより検出された予熱温水の温度との温度差が所定温度を超えるとき、前記第1及び前記第2温度センサの少なくとも一方が異常であると判断する異常判断手段と、を備え、
前記異常判断手段は、前記流量センサにより流量が検出されない状態の開始時点における第2温度センサにより検出された予熱温水の温度が高くなるほど、前記所定温度が大きくなるように調整する
ことを特徴とする削減量算出装置。
【請求項2】
供給される水を加熱して予熱温水とする太陽熱温水器と、供給される水及び前記太陽熱温水器から供給される予熱温水の少なくとも一方を加熱する給湯器と、を有する太陽熱給湯システムに用いられ、前記太陽熱温水器の加熱によって前記給湯器における加熱の際に削減できた削減量を算出する削減量算出装置であって、
前記太陽熱温水器により加熱される前の水温を検出する第1温度センサと、
前記太陽熱温水器により加熱されて当該太陽熱温水器から需要者側に伸びる配管内に供給された予熱温水の温度を検出する第2温度センサと、
前記太陽熱温水器から需要者側に伸びる配管内に供給された予熱温水の流量を検出する流量センサと、
前記第1温度センサ、前記第2温度センサ及び前記流量センサからの信号値に基づいて、前記削減量を算出する削減量算出手段と、
前記流量センサにより流量が検出されない状態が規定時間継続した場合において、前記第1温度センサにより検出された水温と前記第2温度センサにより検出された予熱温水の温度との温度差が所定温度を超えるとき、前記第1及び前記第2温度センサの少なくとも一方が異常であると判断する異常判断手段と、を備え、
前記異常判断手段は、前記流量センサにより流量が検出されない状態の開始時点における第2温度センサにより検出された予熱温水の温度が高くなるほど、前記規定時間が長くなるように調整する
ことを特徴とする削減量算出装置。
【請求項3】
供給される水を加熱して予熱温水とする太陽熱温水器と、供給される水及び前記太陽熱温水器から供給される予熱温水の少なくとも一方を加熱する給湯器と、を有する太陽熱給湯システムに用いられ、前記太陽熱温水器の加熱によって前記給湯器における加熱の際に削減できた削減量を算出する削減量算出装置であって、
前記太陽熱温水器により加熱される前の水温を検出する第1温度センサと、
前記太陽熱温水器により加熱されて当該太陽熱温水器から需要者側に伸びる配管内に供給された予熱温水の温度を検出する第2温度センサと、
前記太陽熱温水器から需要者側に伸びる配管内に供給された予熱温水の流量を検出する流量センサと、
前記第1温度センサ、前記第2温度センサ及び前記流量センサからの信号値に基づいて、前記削減量を算出する削減量算出手段と、
前記流量センサにより流量が検出されない状態が規定時間継続した場合において、前記第1温度センサにより検出された水温と前記第2温度センサにより検出された予熱温水の温度との温度差が所定温度を超えるとき、前記第1及び前記第2温度センサの少なくとも一方が異常であると判断する異常判断手段と、
前記流量センサにより流量が検出されない状態が規定時間継続した場合における前記第1温度センサにより検出された水温と前記第2温度センサにより検出された予熱温水の温度との温度差を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段により記憶された複数の温度差に基づいて前記所定温度を算出する所定温度算出手段と、
を備えることを特徴とする削減量算出装置。
【請求項4】
前記異常判断手段は、前記第1温度センサにより検出された水温が前記第2温度センサにより検出された予熱温水の温度を規定温度以上上回る場合、前記第1及び前記第2温度センサの少なくとも一方が異常であると判断する
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の削減量算出装置。
【請求項5】
供給される水を加熱して予熱温水とする太陽熱温水器と、供給される水及び前記太陽熱温水器から供給される予熱温水の少なくとも一方を加熱する給湯器と、を有する太陽熱給湯システムに用いられ、前記太陽熱温水器により加熱される前の水温を検出する第1温度センサと、前記太陽熱温水器により加熱されて当該太陽熱温水器から需要者側に伸びる配管内に供給された予熱温水の温度を検出する第2温度センサと、前記太陽熱温水器から需要者側に伸びる配管内に供給された予熱温水の流量を検出する流量センサとの信号値に基づいて、前記太陽熱温水器の加熱により前記給湯器によって前記予熱温水を加熱する際に削減できた削減量を算出する削減量算出装置のセンサ異常検出方法であって、
前記流量センサにより流量が検出されない状態が規定時間継続した場合において、前記第1温度センサにより検出された水温と前記第2温度センサにより検出された予熱温水の温度との温度差が所定温度を超えるとき、前記第1及び前記第2温度センサの少なくとも一方が異常であると判断する異常判断工程を備え
前記異常判断工程では、前記流量センサにより流量が検出されない状態の開始時点における第2温度センサにより検出された予熱温水の温度が高くなるほど、前記所定温度が大きくなるように調整する
ことを特徴とする削減量算出装置のセンサ異常検出方法。
【請求項6】
供給される水を加熱して予熱温水とする太陽熱温水器と、供給される水及び前記太陽熱温水器から供給される予熱温水の少なくとも一方を加熱する給湯器と、を有する太陽熱給湯システムに用いられ、前記太陽熱温水器により加熱される前の水温を検出する第1温度センサと、前記太陽熱温水器により加熱されて当該太陽熱温水器から需要者側に伸びる配管内に供給された予熱温水の温度を検出する第2温度センサと、前記太陽熱温水器から需要者側に伸びる配管内に供給された予熱温水の流量を検出する流量センサとの信号値に基づいて、前記太陽熱温水器の加熱により前記給湯器によって前記予熱温水を加熱する際に削減できた削減量を算出する削減量算出装置のセンサ異常検出方法であって、
前記流量センサにより流量が検出されない状態が規定時間継続した場合において、前記第1温度センサにより検出された水温と前記第2温度センサにより検出された予熱温水の温度との温度差が所定温度を超えるとき、前記第1及び前記第2温度センサの少なくとも一方が異常であると判断する異常判断工程を備え
前記異常判断工程は、前記流量センサにより流量が検出されない状態の開始時点における第2温度センサにより検出された予熱温水の温度が高くなるほど、前記規定時間が長くなるように調整する
ことを特徴とする削減量算出装置のセンサ異常検出方法。
【請求項7】
供給される水を加熱して予熱温水とする太陽熱温水器と、供給される水及び前記太陽熱温水器から供給される予熱温水の少なくとも一方を加熱する給湯器と、を有する太陽熱給湯システムに用いられ、前記太陽熱温水器により加熱される前の水温を検出する第1温度センサと、前記太陽熱温水器により加熱されて当該太陽熱温水器から需要者側に伸びる配管内に供給された予熱温水の温度を検出する第2温度センサと、前記太陽熱温水器から需要者側に伸びる配管内に供給された予熱温水の流量を検出する流量センサとの信号値に基づいて、前記太陽熱温水器の加熱により前記給湯器によって前記予熱温水を加熱する際に削減できた削減量を算出する削減量算出装置のセンサ異常検出方法であって、
前記流量センサにより流量が検出されない状態が規定時間継続した場合において、前記第1温度センサにより検出された水温と前記第2温度センサにより検出された予熱温水の温度との温度差が所定温度を超えるとき、前記第1及び前記第2温度センサの少なくとも一方が異常であると判断する異常判断工程と、
前記流量センサにより流量が検出されない状態が規定時間継続した場合における前記第1温度センサにより検出された水温と前記第2温度センサにより検出された予熱温水の温度との温度差を記憶する記憶工程と、
前記記憶工程において記憶された複数の温度差に基づいて前記所定温度を算出する所定温度算出工程と、
を備えることを特徴とする削減量算出装置のセンサ異常検出方法。
【請求項8】
前記異常判断工程では、前記第1温度センサにより検出された水温が前記第2温度センサにより検出された予熱温水の温度を規定温度以上上回る場合、前記第1及び前記第2温度センサの少なくとも一方が異常であると判断する
ことを特徴とする請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の削減量算出装置のセンサ異常検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、削減量算出装置及びそのセンサ異常検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化の影響から二酸化炭素の排出量削減が求められている。特に、住宅におけるエネルギー消費量は増加の傾向にあり、住宅から排出される二酸化炭素量の削減が急務の課題となっている。
【0003】
そこで、太陽熱温水器を利用した太陽熱給湯システムが提案されている。太陽熱温水器は、太陽熱の利用により湯水を加熱するものであり、これにより化石燃料等の消費量を抑えて二酸化炭素排出量の削減を図っている。
【0004】
また、太陽熱給湯システムの利用により削減された二酸化炭素量や燃料費等を算出して表示する削減量算出装置が提案されている。この装置によれば、削減された二酸化炭素量や燃料費等を算出して積算表示するため、ユーザに削減目標を達成できたなどを提示できることとなり、二酸化炭素量の削減に励むように仕向けることができる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−279144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、特許文献1に記載の装置では、削減された二酸化炭素量や燃料費等の削減量を算出するために、温度センサや流量センサを備えている。しかし、経年劣化や衝撃などにより温度センサに断線、ショート及び精度劣化などの異常が発生した場合には正確な削減量を算出できなくなってしまう。
【0007】
本発明はこのような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、温度センサの異常を検出することが可能な削減量算出装置、及びそのセンサ異常検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の削減量算出装置は、供給される水を加熱して予熱温水とする太陽熱温水器と、供給される水及び太陽熱温水器から供給される予熱温水の少なくとも一方を加熱する給湯器と、を有する太陽熱給湯システムに用いられ、太陽熱温水器の加熱によって給湯器における加熱の際に削減できた削減量を算出するものであって、太陽熱温水器により加熱される前の水温を検出する第1温度センサと、太陽熱温水器により加熱されて当該太陽熱温水器から需要者側に伸びる配管内に供給された予熱温水の温度を検出する第2温度センサと、太陽熱温水器から需要者側に伸びる配管内に供給された予熱温水の流量を検出する流量センサと、第1温度センサ、第2温度センサ及び流量センサからの信号値に基づいて、削減量を算出する削減量算出手段と、流量センサにより流量が検出されない状態が規定時間継続した場合において、第1温度センサにより検出された水温と第2温度センサにより検出された予熱温水の温度との温度差が所定温度を超えるとき、第1及び第2温度センサの少なくとも一方が異常であると判断する異常判断手段と、を備え、異常判断手段は、流量センサにより流量が検出されない状態の開始時点における第2温度センサにより検出された予熱温水の温度が高くなるほど、所定温度が大きくなるように調整することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の削減量算出装置のセンサ異常検出方法は、供給される水を加熱して予熱温水とする太陽熱温水器と、供給される水及び太陽熱温水器から供給される予熱温水の少なくとも一方を加熱する給湯器と、を有する太陽熱給湯システムに用いられ、太陽熱温水器により加熱される前の水温を検出する第1温度センサと、太陽熱温水器により加熱されて当該太陽熱温水器から需要者側に伸びる配管内に供給された予熱温水の温度を検出する第2温度センサと、太陽熱温水器から需要者側に伸びる配管内に供給された予熱温水の流量を検出する流量センサとの信号値に基づいて、太陽熱温水器の加熱により給湯器によって予熱温水を加熱する際に削減できた削減量を算出する方法であって、流量センサにより流量が検出されない状態が規定時間継続した場合において、第1温度センサにより検出された水温と第2温度センサにより検出された予熱温水の温度との温度差が所定温度を超えるとき、第1及び第2温度センサの少なくとも一方が異常であると判断する異常判断工程を備え、異常判断工程では、流量センサにより流量が検出されない状態の開始時点における第2温度センサにより検出された予熱温水の温度が高くなるほど、所定温度が大きくなるように調整することを特徴とする
【0010】
これらによれば、流量センサにより流量が検出されない状態が規定時間継続した場合において予熱温水の温度と水温との温度差が所定温度を超えるとき、第1及び第2温度センサの少なくとも一方が異常であると判断する。ここで、流量が検出されず予熱温水が需要者側に供給されない場合には、配管内の水や予熱温水は配管内に留まり外気温度等の影響を受けて或る温度に収束する傾向がある。このため、流量が検出されず予熱温水が需要者側に供給されない状態が規定時間継続した場合には、両センサの検出温度の差は所定温度以下となり、所定温度を超える場合は、センサ異常であると判断することができる。従って、温度センサの異常を検出することができる。さらに、流量が検出されない状態の開始時点における第2温度センサにより検出された予熱温水の温度が高くなるほど、所定温度が大きくなるように調整する。ここで、予熱温水の温度が高く、或る温度への収束に時間が掛かる場合には、或る程度の時間が経過しても両センサにより検出される温度の差は大きくなる傾向にある。よって、予熱温水の温度が高くなるほど、所定温度が大きくなるように調整することにより、センサ異常の判断について誤判断の可能性を減じることができる。
【0011】
また、本発明の削減量算出装置は、供給される水を加熱して予熱温水とする太陽熱温水器と、供給される水及び太陽熱温水器から供給される予熱温水の少なくとも一方を加熱する給湯器と、を有する太陽熱給湯システムに用いられ、太陽熱温水器の加熱によって給湯器における加熱の際に削減できた削減量を算出するものであって、太陽熱温水器により加熱される前の水温を検出する第1温度センサと、太陽熱温水器により加熱されて当該太陽熱温水器から需要者側に伸びる配管内に供給された予熱温水の温度を検出する第2温度センサと、太陽熱温水器から需要者側に伸びる配管内に供給された予熱温水の流量を検出する流量センサと、第1温度センサ、第2温度センサ及び流量センサからの信号値に基づいて、削減量を算出する削減量算出手段と、流量センサにより流量が検出されない状態が規定時間継続した場合において、第1温度センサにより検出された水温と第2温度センサにより検出された予熱温水の温度との温度差が所定温度を超えるとき、第1及び第2温度センサの少なくとも一方が異常であると判断する異常判断手段と、を備え、異常判断手段は、流量センサにより流量が検出されない状態の開始時点における第2温度センサにより検出された予熱温水の温度が高くなるほど、規定時間が長くなるように調整することを特徴とする
【0012】
また、本発明の削減量算出装置のセンサ異常検出方法は、供給される水を加熱して予熱温水とする太陽熱温水器と、供給される水及び太陽熱温水器から供給される予熱温水の少なくとも一方を加熱する給湯器と、を有する太陽熱給湯システムに用いられ、太陽熱温水器により加熱される前の水温を検出する第1温度センサと、太陽熱温水器により加熱されて当該太陽熱温水器から需要者側に伸びる配管内に供給された予熱温水の温度を検出する第2温度センサと、太陽熱温水器から需要者側に伸びる配管内に供給された予熱温水の流量を検出する流量センサとの信号値に基づいて、太陽熱温水器の加熱により給湯器によって予熱温水を加熱する際に削減できた削減量を算出する方法であって、流量センサにより流量が検出されない状態が規定時間継続した場合において、第1温度センサにより検出された水温と第2温度センサにより検出された予熱温水の温度との温度差が所定温度を超えるとき、第1及び第2温度センサの少なくとも一方が異常であると判断する異常判断工程を備え、異常判断工程は、流量センサにより流量が検出されない状態の開始時点における第2温度センサにより検出された予熱温水の温度が高くなるほど、規定時間が長くなるように調整することを特徴とする
【0013】
これらによれば、流量センサにより流量が検出されない状態が規定時間継続した場合において予熱温水の温度と水温との温度差が所定温度を超えるとき、第1及び第2温度センサの少なくとも一方が異常であると判断する。ここで、流量が検出されず予熱温水が需要者側に供給されない場合には、配管内の水や予熱温水は配管内に留まり外気温度等の影響を受けて或る温度に収束する傾向がある。このため、流量が検出されず予熱温水が需要者側に供給されない状態が規定時間継続した場合には、両センサの検出温度の差は所定温度以下となり、所定温度を超える場合は、センサ異常であると判断することができる。従って、温度センサの異常を検出することができる。さらに、流量が検出されない状態の開始時点における第2温度センサにより検出された予熱温水の温度が高くなるほど、規定時間が長くなるように調整する。ここで、予熱温水の温度が高い場合には、或る温度への収束に長期の時間を要してしまう。よって、予熱温水の温度が高くなるほど、規定時間が長くなるように調整することにより、センサ異常の判断について誤判断の可能性を減じることができる。
【0014】
また、本発明の削減量算出装置は、供給される水を加熱して予熱温水とする太陽熱温水器と、供給される水及び太陽熱温水器から供給される予熱温水の少なくとも一方を加熱する給湯器と、を有する太陽熱給湯システムに用いられ、太陽熱温水器の加熱によって給湯器における加熱の際に削減できた削減量を算出するものであって、太陽熱温水器により加熱される前の水温を検出する第1温度センサと、太陽熱温水器により加熱されて当該太陽熱温水器から需要者側に伸びる配管内に供給された予熱温水の温度を検出する第2温度センサと、太陽熱温水器から需要者側に伸びる配管内に供給された予熱温水の流量を検出する流量センサと、第1温度センサ、第2温度センサ及び流量センサからの信号値に基づいて、削減量を算出する削減量算出手段と、流量センサにより流量が検出されない状態が規定時間継続した場合において、第1温度センサにより検出された水温と第2温度センサにより検出された予熱温水の温度との温度差が所定温度を超えるとき、第1及び第2温度センサの少なくとも一方が異常であると判断する異常判断手段と、流量センサにより流量が検出されない状態が規定時間継続した場合における第1温度センサにより検出された水温と第2温度センサにより検出された予熱温水の温度との温度差を記憶する記憶手段と、記憶手段により記憶された複数の温度差に基づいて所定温度を算出する所定温度算出手段と、を備えることを特徴とする
【0015】
また、本発明の削減量算出装置のセンサ異常検出方法は、供給される水を加熱して予熱温水とする太陽熱温水器と、供給される水及び太陽熱温水器から供給される予熱温水の少なくとも一方を加熱する給湯器と、を有する太陽熱給湯システムに用いられ、太陽熱温水器により加熱される前の水温を検出する第1温度センサと、太陽熱温水器により加熱されて当該太陽熱温水器から需要者側に伸びる配管内に供給された予熱温水の温度を検出する第2温度センサと、太陽熱温水器から需要者側に伸びる配管内に供給された予熱温水の流量を検出する流量センサとの信号値に基づいて、太陽熱温水器の加熱により給湯器によって予熱温水を加熱する際に削減できた削減量を算出する方法であって、流量センサにより流量が検出されない状態が規定時間継続した場合において、第1温度センサにより検出された水温と第2温度センサにより検出された予熱温水の温度との温度差が所定温度を超えるとき、第1及び第2温度センサの少なくとも一方が異常であると判断する異常判断工程と、流量センサにより流量が検出されない状態が規定時間継続した場合における第1温度センサにより検出された水温と第2温度センサにより検出された予熱温水の温度との温度差を記憶する記憶工程と、記憶工程において記憶された複数の温度差に基づいて所定温度を算出する所定温度算出手段と、を備えることを特徴とする
【0016】
これらによれば、流量センサにより流量が検出されない状態が規定時間継続した場合において予熱温水の温度と水温との温度差が所定温度を超えるとき、第1及び第2温度センサの少なくとも一方が異常であると判断する。ここで、流量が検出されず予熱温水が需要者側に供給されない場合には、配管内の水や予熱温水は配管内に留まり外気温度等の影響を受けて或る温度に収束する傾向がある。このため、流量が検出されず予熱温水が需要者側に供給されない状態が規定時間継続した場合には、両センサの検出温度の差は所定温度以下となり、所定温度を超える場合は、センサ異常であると判断することができる。従って、温度センサの異常を検出することができる。さらに、流量が検出されない状態が規定時間継続した場合の温度差を記憶し、複数の温度差から所定温度を算出するため、例えば日当たりが悪い場所や良い場所、温暖地や寒冷地などのように、環境が異なる場合であっても適切な所定温度を設定することができる。
【0017】
また、本発明の削減量算出装置において、異常判断手段は、第1温度センサにより検出された水温が第2温度センサにより検出された予熱温水の温度を規定温度以上上回る場合、第1及び第2温度センサの少なくとも一方が異常であると判断することが好ましい
【0018】
また、本発明の削減量算出装置のセンサ異常検出方法において、異常判断工程では、第1温度センサにより検出された水温が第2温度センサにより検出された予熱温水の温度を規定温度以上上回る場合、第1及び第2温度センサの少なくとも一方が異常であると判断することが好ましい。
【0019】
これらによれば、水温が予熱温水の温度を規定温度以上上回る場合、第1及び第2温度センサの少なくとも一方が異常であると判断する。ここで、第1温度センサは水温を検出し、第2温度センサは予熱温水の温度を検出することから、これらセンサの検出温度は或る範囲に収まる傾向がある。そして、その傾向からすると、水温が予熱温水の温度を規定温度以上上回ることはなく、上回る場合にはセンサ異常であると判断することができる。従って、温度センサの異常を検出することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、温度センサの異常を検出することが可能な削減量算出装置、及びそのセンサ異常検出方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本実施形態に係る削減量算出装置を含む太陽熱給湯システムの構成図である。
図2】本実施形態に係る表示演算部を示す構成図である。
図3】本実施形態に係る異常判断手段による第1及び第2温度センサの異常検出の原理を示す図である。
図4】本実施形態に係る削減量算出装置の第1及び第2温度センサの異常検出方法を示すフローチャートである。
図5】本実施形態に係る削減量算出装置の第1及び第2温度センサの異常検出方法を示すフローチャートであって、異常判断処理を示している。
図6】本実施形態に係る削減量算出装置の第1及び第2温度センサの異常検出方法を示すフローチャートであって、所定温度の設定処理を示している。
図7】本実施形態に係る削減量算出装置の第1及び第2温度センサの異常検出方法を示すフローチャートであって、所定温度及び規定時間の調整処理を示している。
【発明を実施するための形態】
【0022】
まず、本実施形態に係る削減量算出装置を説明するのに先立って、太陽熱給湯システム1を説明する。図1は、本実施形態に係る削減量算出装置を含む太陽熱給湯システムの構成図である。太陽熱給湯システム1は、水道管11と、冷水管12と、温水管13と、混合水管14と、加熱水管15とを備えている。さらに、太陽熱給湯システム1は、太陽熱温水器2と、混合弁3と、給湯器4とを備えている。
【0023】
水道管11は、台所、洗面所、風呂、トイレ等の住宅用水道器具の各々に水を供給するものである。また、水道管11は、分岐されており、分岐箇所に冷水管12が接続されている。冷水管12は、水道管11を介して流れてくる冷水を太陽熱温水器2まで導くものである。
【0024】
太陽熱温水器2は、集熱器21と熱媒配管22と貯湯槽23とを有している。集熱器21は、日当たりの良い住宅等の屋根などに設置され太陽熱を取り込んで熱媒を温めるものである。また、熱媒配管22は、集熱器21と貯湯槽23とを接続するものであり内部に熱媒が流れる構成となっている。熱媒は熱媒配管22を介して集熱器21と貯湯槽23とを循環する。貯湯槽23は、冷水管12からの冷水を導入すると共に、熱媒配管22を通じて流れてくる暖められた熱媒により冷水を加熱して予熱温水とし、貯湯しておくものである。
【0025】
温水管13は、貯湯槽23からの予熱温水を給湯器4側に供給するための配管である。この温水管13の終端には混合弁3が設置されており、温水管13からの予熱温水は混合弁3の温水流入口31から混合弁3に供給される。また、冷水管12は接続点Aにて分岐しており、冷水管12からの冷水は混合弁3の冷水流入口32を介して混合弁3に供給可能となっている。混合弁3は、上記の如く流入する予熱温水と冷水とを混ぜて混合水とするものである。
【0026】
混合水管14は、混合弁3の混合水流出口33と給湯器4とを接続する配管であり、混合水はこの配管14を介して混合弁3から給湯器4に供給される。なお、本実施形態において混合弁3は、混合水の温度が所定の温度となるように、温水と冷水との混合割合を自動的に調整する自動温度調節機能付湯水混合弁であるが、混合弁3の構成はこれに限られるものではない。
【0027】
給湯器4は、例えば、ガスバーナと熱交換器とを備えており、利用者等によって定められた温度の加熱水(即ち、湯)を生成するものである。この給湯器4は、住宅に設けられた給湯器用リモコン等と接続されており、給湯器用リモコン等から受信する制御信号に基づいて、例えば、電源オン、電源オフ、及び、生成する湯の温度が設定される。
【0028】
加熱水管15は、給湯器4と給湯側であるシャワー口等とを接続する配管である。給湯器4にて暖められた加熱水は、この加熱水管15を介して利用者等に供給されることとなる。
【0029】
以上の構成により、太陽熱給湯システム1は、水道管11からの冷水を、太陽熱を利用した太陽熱温水器2によって予熱温水とし、これを給湯器4に供給するので給湯器4にて使用される燃料費や排出される二酸化炭素量等を削減することができる。
【0030】
次に、本実施形態に係る削減量算出装置5について説明する。削減量算出装置5は、太陽熱温水器2の利用によって削減されたガス料金や二酸化炭素排出量を積算表示するものであって、第1温度センサ51と、第2温度センサ52と、流量センサ53と、演算表示部55とを備えている。
【0031】
第1温度センサ51は、冷水管12に配置され、太陽熱温水器2により加熱される前の水温、すなわち冷水の温度を検出するものである。第2温度センサ52は、温水管13に配置され、太陽熱温水器2により加熱されてから給湯器4に供給されるまでの配管内(すなわち温水管13内)の予熱温水の温度を検出するものである。流量センサ53は、温水管13に配置され、太陽熱温水器2から給湯器4に供給された予熱温水の流量を検出するものである。
【0032】
表示演算部55は、各種演算処理及び表示処理を行うものであって、詳細には図2に示す構成となっている。図2は、本実施形態に係る表示演算部55を示す構成図である。
【0033】
図2に示すように、表示演算部55は、マイクロプロセッサ(MPU)55aを備えている。MPU55aは、予め定められたプログラムに従って動作するものであり、CPU55a1と、ROM55a2と、RAM55a3とを備えている。
【0034】
CPU55a1は、予め定めたプログラムに従って各種の処理や制御などを実行するものである。ROM55a2は、CPU51aにて実行するプログラム等を格納した読み出し専用のメモリである。RAM55a3は、各種のデータを格納すると共にCPU51aの処理作業に必要なエリアを有する読み出し書き込み自在のメモリである。
【0035】
また、本実施形態においてROM51a2には、太陽熱温水器2の利用により削減された燃料費や二酸化炭素量を算出するためのプログラムが格納されている。このため、このプログラムを実行するCPU55a1は、削減された燃料費や二酸化炭素量を算出する削減量算出手段として機能することとなる。
【0036】
さらに、削減量算出装置5は、メモリ部55bと、表示部55cと、インタフェース部55dとを備えている。
【0037】
メモリ部55bは、電力供給が断たれた場合でも、格納された各種データの保持が可能な記録媒体であり、CPU55a1の処理作業に必要な各種格納エリアを有する電気的消去/書き換え可能なメモリ(EEPROM)等が用いられる。
【0038】
表示部55cは、LCD、LED等が用いられ、例えば、削減量算出装置5の本体部に利用者等が目視可能に設けられている。この表示部55cは、削減量算出手段により算出された削減熱量、削減二酸化炭素量、及び削減燃料費等の各種表示を行う。なお、本実施形態において表示部55cは、野外に設置された削減量算出装置5の本体部に設けられているが、これに限らず、宅内に設けられてもよい。
【0039】
インタフェース部55dは、第1〜第3温度センサ51,52,54や流量センサ53と電気的に接続されており、各種センサ51〜54とMPU55aとの交信を可能としたものである。
【0040】
加えて、本実施形態においてROM51a2には、第1温度センサ51及び第2温度センサ52に異常が発生したかを検出するためのプログラムが格納されている。このため、このプログラムを実行するCPU55a1は、第1温度センサ51及び第2温度センサ52の異常を検出する異常判断手段として機能することとなる。
【0041】
次に、異常判断手段による第1及び第2温度センサ51,52の異常検出の原理について図1を参照して説明する。まず、第1温度センサ51は、冷水管12に配置され、太陽熱温水器2により加熱される前の水温を検出する。このため、水温は季節によって異なるものの、大凡0℃〜30℃となる。これに対して、第2温度センサ52は、温水管13に配置され、予熱温水の温度を検出する。ここで、予熱温水の温度は季節によっても異なり、且つ、需要者側での予熱温水の使用時には貯湯槽23内の温かい予熱温水が供給される場合と長時間予熱温水が使用されず温水管13に予熱温水が留まる場合とで異なるものの、大凡30℃〜80℃となる。なお、太陽熱温水器2は、予熱温水の温度が80℃となると熱媒の循環を停止させるため、予熱温水の温度の上限は80℃となる。
【0042】
このように、第1温度センサ51と第2温度センサ52とにより検出される温度は或る程度決まっており、第1温度センサ51の検出温度T1≦第2温度センサ52の検出温度T2となる傾向がある。より詳細には、日当たりの違いによって、第1温度センサ51の検出温度T1>第2温度センサ52の検出温度T2となることがあるため、両者の温度は、第1温度センサ51の検出温度T1≦第2温度センサ52の検出温度T2+規定温度(日当たり分の温度)となる傾向がある。よって、CPU55a1は、第1温度センサ51の検出温度T1>第2温度センサ52の検出温度T2+規定温度となった場合、第1温度センサ51と第2温度センサ52との少なくとも一方に異常があると判断することができる。
【0043】
さらに、本実施形態に係る異常判断手段は、以下のようにして、第1及び第2温度センサ51,52の異常を検出する。まず、流量センサ53により流量が検出されない状態が規定時間継続したかを判断する。そして、規定時間継続した場合に、第1温度センサにより検出された水温と第2温度センサ52により検出された予熱温水の温度との温度差が所定温度を超えるとき、第1及び第2温度センサ51,52の少なくとも一方が異常であると判断する。
【0044】
図3は、本実施形態に係る異常判断手段による第1及び第2温度センサ51,52の異常検出の原理を示す図である。まず、流量センサ53により流量が検出されない状態とは、予熱温水が需要者側に供給されず、冷水管12及び温水管13内にそれぞれ冷水と予熱温水とが留まっている状態といえる。
【0045】
このような場合、図3に示すように、留まる冷水の温度T1は季節等によっても異なるが上昇すると共に予熱温水の温度T2は低下して、両温度T1,T2は或る温度に収束する傾向にある。なお、収束先の温度は、外気温、日当たりなどから決まる。
【0046】
そして、流量センサ53により流量が検出されない状態が或る程度の時間T1継続すると、両者の温度差は所定温度ΔTとなる。このような傾向から、第2実施形態では、流量センサ53により流量が検出されない状態が規定時間継続した場合において、温度差が所定温度ΔTを超えるとき、第1及び第2温度センサ51,52の少なくとも一方が異常であると判断する。
【0047】
さらに、ROM55a2には、上記の規定時間及び所定温度ΔTを調整するためのプログラムが格納されている。このため、CPU55a1(異常判断手段)は、規定時間及び所定温度ΔTを調整する手段として機能することとなる。
【0048】
具体的に説明すると、流量センサ53により流量が検出されない状態の開始時点において第2温度センサ52により検出された予熱温水の温度が高いと、収束先である或る温度付近に到達し難くなり、或る程度の時間が経過しても両センサにより検出される温度の差は大きい可能性がある。よって、異常判断手段は、開始時点の予熱温水の温度が高くなるほど、所定温度ΔTを大きくする。
【0049】
また、同様に流量センサ53により流量が検出されない状態の開始時点において第2温度センサ52により検出された予熱温水の温度が高いと、或る温度への収束に長期の時間を要してしまう。よって、異常判断手段は、開始時点の予熱温水の温度が高くなるほど、規定時間を長くする。
【0050】
なお、本実施形態では開始時点の予熱温水の温度に応じて、所定温度ΔT及び規定時間の双方を調整するが、これに限らず、いずれか一方のみを設定するようにしてもよい。
【0051】
加えて、RAM55a3は、流量センサ53により流量が検出されない状態が規定時間継続した場合における第1温度センサ51により検出された水温と第2温度センサ52により検出された予熱温水の温度との温度差を記憶する記憶手段として機能する。さらには、ROM55a2には、記憶手段により記憶された複数の温度差に基づいて所定温度ΔTを算出するプログラムが記憶されている。このため、このプログラムを実行するCPU55a1は、所定温度ΔTを算出する所定温度算出手段として機能することとなる。
【0052】
ここで、例えば削減量算出装置5の設置時においては、第1及び第2温度センサ51,52に異常が発生しているとは考えにくい。このため、記憶手段は、初期的に得られる上記温度差を順次記憶していく。そして、所定温度算出手段は、複数の温度差の統計値(例えば平均値や最頻値など)を算出し、算出した統計値を所定温度ΔTとしたり、統計値+X℃(Xは任意の正の数)を所定温度ΔTとしたりする。これにより、例えば日当たりが悪い場所や良い場所、温暖地や寒冷地などのように、環境が異なる場合であっても適切な所定温度を設定することができるからである。
【0053】
なお、記憶された複数の温度差から所定温度ΔTを設定する処理は、削減量算出装置5の設置時に限らず、所定時間毎など、設置時以外に行われてもよい。
【0054】
次に、本実施形態に係る削減量算出装置5のセンサ異常検出方法の詳細についてフローチャートを参照して説明する。図4は、本実施形態に係る削減量算出装置5の第1及び第2温度センサ51,52の異常検出方法を示すフローチャートである。
【0055】
図4に示すように、まずCPU55a1、すなわち異常判断手段は、第1及び第2温度センサ51,52から信号値を読み込む(S1)。次いで、異常判断手段は、第1温度センサ51により検出された水温が第2温度センサ52により検出された予熱温水の温度+規定温度を上回るか否かを判断する(S2)。
【0056】
上回らないと判断した場合(S2:NO)、異常判断手段は、第1及び第2温度センサ51,52が正常であると判断し(S3)、図4に示す処理は終了する。
【0057】
一方、上回ると判断した場合(S2:YES)、異常判断手段は、第1及び第2温度センサ51,52の少なくとも一方が異常であると判断する(S4)。そして、CPU55a1は、例えば表示部55cに警告表示を行う(S5)。その後、図4に示す処理は終了する。
【0058】
図5は、本実施形態に係る削減量算出装置5の第1及び第2温度センサ51,52の異常検出方法を示すフローチャートであって、異常判断処理を示している。
【0059】
図5に示すように、まずCPU55a1、すなわち異常判断手段は、流量センサ53により流量が検出されない状態であるか否かを判断する(S11)。具体的に異常判断手段は、流量センサ52からの信号に基づいて流量がゼロであるか否かを判断することとなる。なお、流量ゼロか否かに限らず、略ゼロ以下であるか否かを判断してもよい。すなわち微小流量に関しては流量センサ53により流量が検出されない状態であると判断してもよい。
【0060】
流量がゼロでないと判断した場合(S11:NO)、図5に示す処理は終了する。一方、流量がゼロであると判断した場合(S11:YES)、異常判断手段は、流量ゼロの状態が規定時間継続したか否かを判断する(S12)。
【0061】
規定時間継続していないと判断した場合(S12:NO)、図5に示す処理は終了する。規定時間継続したと判断した場合(S12:YES)、異常判断手段は、第1及び第2温度センサ51,52の検出温度T1,T2の差が所定温度ΔT以下であるか否かを判断する(S13)。
【0062】
所定温度ΔT以下であると判断した場合(S13:YES)、異常判断手段は、第1及び第2温度センサ51,52が正常であると判断する(S14)。そして、記憶手段は、検出温度T1,T2の差を記憶し(S15)、図5に示す処理は終了する。
【0063】
一方、所定温度ΔT以下でないと判断した場合(S13:NO)、異常判断手段は、第1及び第2温度センサ51,52の少なくとも一方が異常であると判断する(S16)。そして、CPU55a1は、例えば表示部55cに警告表示を行う(S17)。その後、図5に示す処理は終了する。
【0064】
図6は、本実施形態に係る削減量算出装置5の第1及び第2温度センサ51,52の異常検出方法を示すフローチャートであって、所定温度ΔTの設定処理を示している。
【0065】
まず、図6に示すように、所定温度算出手段は、温度差の情報が記憶手段に所定個数以上記憶されているか否かを判断する(S21)。所定個数以上記憶されていないと判断した場合(S21:NO)、所定個数以上記憶されたと判断されるまで、この処理が繰り返される。
【0066】
一方、所定個数以上記憶されたと判断した場合(S21:YES)、所定温度算出手段は、記憶手段に記憶された所定個数以上の温度差の統計値(例えば平均値)を算出する(S22)。そして、所定温度算出手段は、ステップS22にて算出した統計値から所定温度ΔTを設定する(S23)。
【0067】
その後、記憶手段は、所定個数以上の温度差のデータを消去し(S24)、図6に示す処理は終了する。そして、このようにして得られた所定温度ΔTは図5に示すステップS13の処理の所定温度ΔTとして採用されることとなる。
【0068】
なお、ステップS24では所定個数以上の温度差のデータを消去しているが、これに限らず、例えば記憶手段内に必ず所定個数の温度差データが記憶されているようにするために、新たな温度差データが取得される毎に、最も古い温度差データを消去するようにしてもよい。また、所定期間毎に消去を行ってもよいし、種々の変更が可能である。
【0069】
図7は、本実施形態に係る削減量算出装置5の第1及び第2温度センサ51,52の異常検出方法を示すフローチャートであって、所定温度ΔT及び規定時間の調整処理を示している。
【0070】
まず、図7に示すように、異常判断手段は、流量センサ53により流量が検出されない状態であるか否かを判断する(S31)。なお、この処理は図5に示したステップS11と同様である。
【0071】
流量がゼロでないと判断した場合(S31:NO)、流量がゼロであると判断されるまで、この処理が繰り返される。一方、流量がゼロであると判断した場合(S31:YES)、異常判断手段は、第2温度センサ52からの信号に基づいて予熱温水の温度T2を検出する(S32)。
【0072】
そして、異常判断手段は、ステップS32にて検出した温度T2に基づいて、所定温度ΔT及び規定時間の調整を行う(S33)。このとき、異常判断手段は、温度T2が高くなるほど、所定温度ΔT(詳細には図6のステップS23にて設定された所定温度ΔT)が大きくなるように調整し、規定時間が長くなるように調整する。その後、図7に示す処理は終了する。
【0073】
なお、調整については、例えばROM55a2に所定温度ΔTと温度T2との相関を示す演算式やマップ等を記憶しておき、これらに基づいて調整すればよい。規定時間についても同様である。
【0074】
このようにして、本実施形態に係る削減量算出装置5及びそのセンサ異常検出方法によれば、流量センサ53により流量が検出されない状態が規定時間継続した場合において予熱温水の温度と水温との温度差が所定温度ΔTを超えるとき、第1及び第2温度センサ51,52の少なくとも一方が異常であると判断する。ここで、流量が検出されず予熱温水が需要者側に供給されない場合には、配管12,13内の水や予熱温水は配管12,13内に留まり外気温度等の影響を受けて或る温度に収束する傾向がある。このため、流量が検出されず予熱温水が需要者側に供給されない状態が規定時間継続した場合には、両センサ51,52の検出温度T1,T2の差は所定温度ΔT以下となり、所定温度ΔTを超える場合は、センサ異常であると判断することができる。従って、温度センサ51,52の異常を検出することができる。
【0075】
また、水温が予熱温水の温度+規定温度を上回る場合、第1及び第2温度センサ51,52の少なくとも一方が異常であると判断する。ここで、第1温度センサ51は水温を検出し、第2温度センサ52は予熱温水の温度を検出することから、これらセンサ51,52の検出温度は或る範囲に収まる傾向がある。そして、その傾向からすると、水温が予熱温水の温度を上回ることはなく、上回る場合にはセンサ異常であると判断することができる。従って、温度センサ51,52の異常を検出することができる。
【0076】
また、流量が検出されない状態の開始時点における第2温度センサ52により検出された予熱温水の温度が高くなるほど、所定温度ΔTが大きくなるように調整する。ここで、予熱温水の温度が高く、或る温度への収束に時間が掛かる場合には、或る程度の時間が経過しても両センサ51,52により検出される温度の差は大きくなる傾向にある。よって、予熱温水の温度が高くなるほど、所定温度ΔTが大きくなるように調整することにより、センサ異常の判断について誤判断の可能性を減じることができる。
【0077】
また、流量が検出されない状態の開始時点における第2温度センサ52により検出された予熱温水の温度が高くなるほど、規定時間が長くなるように調整する。ここで、予熱温水の温度が高い場合には、或る温度への収束に長期の時間を要してしまう。よって、予熱温水の温度が高くなるほど、規定時間が長くなるように調整することにより、センサ異常の判断について誤判断の可能性を減じることができる。
【0078】
また、流量が検出されない状態が規定時間継続した場合の温度差を記憶し、複数の温度差から所定温度ΔTを算出するため、例えば日当たりが悪い場所や良い場所、温暖地や寒冷地などのように、環境が異なる場合であっても適切な所定温度ΔTを設定することができる。
【0079】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよい。
【0080】
例えば、本実施形態において太陽熱温水器2は、貯湯槽23に蓄えられた冷水を熱媒により加熱するものであるが、これに限らず、水道管11からの冷水を集熱器21まで導いて冷水を加熱するものであってもよい。また、太陽熱温水器2は、集熱器21と貯湯槽23とを備えるものに限らず、貯湯槽23を備えない一体型の太陽熱温水器2であってもよい。
【0081】
また、本実施形態に係る削減値算出装置5はセンサ異常時に表示部55cに警告表示を行う構成であるが、これに限らず、音声警告を行ってもよいし、ガス管理センター等に通信により通知する構成であってもよい。
【0082】
また、本実施形態では太陽熱温水器2により加熱された予熱温水が給湯器4に供給される太陽熱給湯システム1を例に説明したが、これに限らず、太陽熱温水器2から給湯器4を介することなく直接需要者側に供給される太陽熱給湯システムに適用されてもよい。さらには、太陽熱温水器2により加熱された予熱温水を給湯器4を介して供給すると共に、直接需要者側に供給する双方の機能を備えた太陽熱給湯システムに適用されてもよい。
【0083】
加えて、本実施形態に係る太陽熱給湯システム1においては、混合弁3を1つ備えているが、弁はこれに限らず複数備えていてもよい。さらには、混合弁3以外の弁を備えていてもよい。また、給湯器4は、追炊き機能を備えるものなど、上記に示したものに限られるものではない。
【符号の説明】
【0084】
1 太陽熱給湯システム
11 水道管
12 冷水管
13 温水管
14 混合水管
15 加熱水管
2 太陽熱温水器
21 集熱器
22 熱媒配管
23 貯湯槽
3 混合弁
31 温水流入口
32 冷水流入口
33 混合水流出口
4 給湯器
5 削減値算出装置
51 第1温度センサ
52 第2温度センサ
53 流量センサ
55 表示演算部
55a MPU
55a1 CPU
55a2 ROM
55a3 RAM
55b メモリ部
55c 表示部
55d インタフェース部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7