(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に本発明の実施形態について詳細に説明する。
なお、以下の説明において、特に断りがない限り、上下の位置関係は、通常の設置位置(
図1)を基準に説明する。
【0022】
本発明の第1実施形態のラッチ錠1は、
図1のように、通常のラッチ錠と同様、扉の自由端側の端面に縦姿勢で取り付けられるものである。
また、本発明の第1実施形態のラッチ錠1は、扉の開閉に寄与する開閉機構(駆動機構)と、扉の施解錠に寄与する施解錠機構(駆動機構)を内蔵している。すなわち、ラッチ錠1は、従来のラッチ錠と同様の、ハンドルの回転に伴ってラッチボルト3(扉用係合片)がフロント9から出没する動作(開閉動作)に加えて、鍵によってラッチボルト3が自由に移動する解錠姿勢と、ラッチボルト3の移動を制限する施錠姿勢を切り替える動作(施解錠動作)が可能である。
【0023】
ラッチ錠1は、
図3のように、錠ケース2と、ラッチボルト3と、ハブ部材5と、圧縮バネ6と、補助伝達部材7と、施錠部材8と、フロント9を有している。
【0024】
錠ケース2は、
図2,
図3のように、第1錠ケース10と、第2錠ケース11から形成されており、第1錠ケース10と第2錠ケース11が一体化されて形成されている。
第1錠ケース10と第2錠ケース11はともに樹脂製であり、射出成形によって成形されている。具体的には、第1錠ケース10及び第2錠ケース11は、ポリアセタール(POM)で形成されている。
【0025】
第1錠ケース10は、
図5のように略四角形状の本体部15と、本体部15の前面側の辺から立設されたフロント取り付け部16と、後面側の辺から立設された後面側立壁部17と、上面側の辺から立設された上面側立壁部18と、下面側の辺から立設された下面側立壁部19を有している。
【0026】
本体部15には、
図5,
図6のように複数の逃がし孔22,23が設けられている。具体的には、本体部15と後面側立壁部17との接続部位の近傍に逃がし孔22が設けられており、後述する第1誘導部50の近傍に逃がし孔23が設けられている。
【0027】
フロント取り付け部16は、
図4のようにフロント9を取り付ける部位である。
【0028】
後面側立壁部17は、
図5,
図6のように前後方向lにフロント取り付け部16と対向する部位であり、複数の第1係合部20を有している。本実施形態の後面側立壁部17は、2つの第1係合部20(20a,20b)を有している。
第1係合部20は、後述する第2錠ケース11の第2係合部91,92(
図7参照)と係合可能であって、対となる部位である。具体的には、第1係合部20は、
図5のように横断面の形状が略三角形状をした突起(係合片)である。
第1係合部20a,20bは、所定の間隔を空けて配されている。本実施形態の第1係合部20a,20bは後面側立壁部17の上下方向h(縦方向)の両端部近傍に位置している。すなわち、一方の第1係合部20aは、上面側立壁部18の近傍に位置しており、他方の第1係合部20bは下面側立壁部19の近傍に位置している。
また、第1係合部20は、後面側立壁部17の左右方向w(横方向)の一方の端部(第2錠ケース11側端部)に位置している。そして、第1係合部20は、後面側立壁部17の中央側から先端側(第2錠ケース11側)に向かうにつれて下り傾斜している。
【0029】
また、後面側立壁部17は、
図6のように第1錠ケース10の内側(空間96側)に向かって突出した突出部21を有している。
突出部21は、上下方向hに延びた突条であり、第2錠ケース11の突出部83(
図7参照)と一体となって1つの係合部を形成する部位である。突出部21は、施錠時に施錠用挿入部材71の一方の施錠用係合片78(
図3参照)と係合可能となっている。
【0030】
後面側立壁部17は、
図5のように第2錠ケース11の固定突起88(
図7参照)と嵌合可能な固定穴32が設けられている。固定穴32は、後面側立壁部17の張出方向先端面から基端側(本体部15側)に向けて延びた有底穴である。
【0031】
上面側立壁部18は、
図5のように、第1係合部25を有している。第1係合部25は、後述する第2錠ケース11の第2係合部93(
図7参照)と係合可能であって、対となる部位である。具体的には、第1係合部25は、縦断面の形状が略三角形状をした突起である。
第1係合部25は、前後方向lの中間部位に位置している。具体的には、第1係合部25は、前後方向lにおいて、中央よりもフロント取り付け部16側に位置している。より詳細には、第1係合部25は、上面側立壁部18のフロント取り付け部16との接続部位から、上面側立壁部18の前後方向lの長さの1/3以内の領域に設けられている。
第1係合部25は、上面側立壁部18の左右方向w(横方向)の一方の端部(第2錠ケース11側端部)に位置している。そして、第1係合部25は、上面側立壁部18の中央側から先端側(第2錠ケース11側)に向かうにつれて下り傾斜している。
【0032】
下面側立壁部19は、
図5,
図6のように第1係合部26を有している。第1係合部26は、後述する第2錠ケース11の第2係合部94(
図7参照)と係合可能であって、対となる部位である。具体的には、第1係合部26は、上面側立壁部18の第1係合部25と同様、縦断面の形状が略三角形状をした突起である。
第1係合部26は、第1係合部25と上下方向hに対応する位置に設けられている。すなわち、第1係合部26は、前後方向lの中間部位に位置している。具体的には、第1係合部26は、前後方向lにおいて、中央よりもフロント取り付け部16側に位置しており、より詳細には、第1係合部26は、下面側立壁部19のフロント取り付け部16との接続部位から、下面側立壁部19の前後方向lの長さの1/3以内の領域に設けられている。
第1係合部26は、下面側立壁部19の左右方向w(横方向)の一方の端部(第2錠ケース11側端部)に位置している。そして、第1係合部26は、下面側立壁部19の中央側から先端側(第2錠ケース11側)に向かうにつれて下り傾斜している。
【0033】
第1錠ケース10の内側に注目すると、第1錠ケース10は、
図5,
図6のようにラッチボルト3の退出路を形成するラッチボルト収容部35を有している。ラッチボルト収容部35は、断面形状が略「コ」字状の枠体であり、フロント取り付け部16と接続されている。すなわち、ラッチボルト収容部35は、ラッチボルト3の大部分を収容可能な収容空間40を形成している。収容空間40は、本体部15から立設した壁部である、上方立壁部37と、下方立壁部38、後方立壁部39のそれぞれによって囲まれた空間である。
ラッチボルト収容部35は、第1錠ケース10の上下方向h中央に位置している。また、ラッチボルト収容部35は、前後方向lにおいて略中央まで延びている。
【0034】
上方立壁部37には、
図5,
図6のように解錠時及び施錠時において、施錠部材8の施錠用ハブ部材70の姿勢を維持する状態維持部36(弾性部材)が接続されている。具体的には、状態維持部36は、上方立壁部37の一部であって、かつ、後述する上部リブ30よりも後方側の部位(固定部14)に接続されている。
状態維持部36は、
図5のように、一枚の板状体が複数回屈曲して形成された板ばねであって、正面視すると、波状となっている。すなわち、状態維持部36は、一枚の板状体が、斜め上方向に略「U」字状に交互に複数回折り返された形状をしている。
【0035】
状態維持部36の幅w(横方向の長さ)は、上方立壁部37の幅(横方向の長さ)よりも小さく、上方立壁部37に対して片持ち状に支持されている。
また、状態維持部36の幅w(横方向の長さ)は、錠ケース2の厚さ方向wと略一致する方向を向いている。なお、本実施形態では、状態維持部36の幅wは、錠ケース2の厚さ方向wと一致する方向を向いている。
【0036】
状態維持部36の自由端側(上方立壁部37の接続部位である固定部14と反対側端部)には、施錠用ハブ部材70の接続部73(
図9参照)と接続可能な伝達部34(自由部)を有している。伝達部34は、状態維持部36の先端から横方向w外側に突出した円柱状の突起である。
状態維持部36は、全体が固定部14と伝達部34との間の直線距離が伸縮する方向に変形可能となっている。具体的には、状態維持部36は、ラッチ錠を組み立てた際に、斜め上方に向けた付勢力を有している。この付勢力は、鉛直成分(上下方向成分)の分力と水平方向成分(前後方向)の分力からなる。
【0037】
下方立壁部38に目を移すと、下方立壁部38は、
図5のように、後方立壁部39の中間部から後方に向けて張り出した張出部49を有している。張出部49の張出方向端部には、ハブ部材5の一部を横方向w外側(第1錠ケース10の外側)に導く第1誘導部50が形成されている。
具体的には、第1誘導部50は、本体部15の逃がし孔23にハブ部材5の片方のハブ突出片56(
図9参照)を導く部位である。より詳細には、第1誘導部50は、
図5のようにテーパー面を有した突起であり、横断面が略三角形状をしている。内側(第2錠ケース11側)から外側(本体部15側)に向けて下り傾斜している。そして、第1誘導部50の傾斜面の延長上に逃がし孔23が位置している。
【0038】
後方立壁部39は、
図5のように、ラッチボルト3のラッチ本体41の軸部44を挿通可能な切り欠き部45を有している。切り欠き部45は、平面視すると「U」字状の切り欠きである。
【0039】
第1錠ケース10は、
図5のように、本体部15から第2錠ケース11の本体部80側に向かって突出したリブ27を複数備えている。本実施形態では、本体部15の内面に対して直交する方向(横方向w)に延びたリブ27を複数有している。
具体的には、リブ27には、上下方向hに延びた上下リブ28と、前後方向lに延びた前後リブ29がある。
【0040】
上下リブ28は、
図5のように、ラッチボルト収容部35を挟んで第1錠ケース10を縦断している。すなわち、上下リブ28は、上面側立壁部18から上方立壁部37を結ぶ上部リブ30と、下面側立壁部19から下方立壁部38を結ぶ下部リブ31から形成されている。上部リブ30は、第1係合部25と内外方向(上面側立壁部18の部材厚方向)の反対側の部位に接続されている。下部リブ31は、第1係合部26と内外方向の反対側の部位に接続されている。下部リブ31の後方側の面には、圧縮バネ6を取り付け可能な取り付け部24を有している。
【0041】
前後リブ29は、フロント取り付け部16と上下リブ28を接続するように延びたリブである。前後リブ29は、上部リブ30及び下部リブ31の中間部にそれぞれ接続されている。具体的には、前後リブ29は、上部リブ30及び下部リブ31の中央よりも内側(ラッチボルト収容部35側)に位置している。
【0042】
第1錠ケース10は、
図5のように、補助伝達部材7の伝達軸部66の移動方向を規制する伝達用ガイド溝51を有している。伝達用ガイド溝51は、前方から後方に向かって斜め上方に向いている。
伝達用ガイド溝51は、前後方向lにおいて、後方立壁部39と後面側立壁部17の間の略中央に位置しており、かつ、上下方向hにおいて、上方立壁部37とほぼ同じ高さかやや高い位置に形成されている。
また、第1錠ケース10は、伝達用ガイド溝51の上縁に沿って本体部15から隆起した隆起部33が形成されている。
隆起部33は、解錠状態において、施錠用ハブ部材70の接続部73と当接する部位であり、施錠用ハブ部材70の動きを規制する部位である。
【0043】
また、第1錠ケース10は、
図6のように施錠用挿入部材71の施錠用突起部76(
図9参照)の移動方向を規制する施錠用ガイド溝52を有している。施錠用ガイド溝52は、上下方向hに延びており、ほぼ上方立壁部37の高さからラッチボルト3の高さまで延びている。
【0044】
第2錠ケース11に目を移すと、第2錠ケース11は、
図8のように略四角形状の本体部80と、後面側の辺から立設された後面側立壁部81を有している。
本体部80は、組み立て時に第1錠ケース10の張出部49(
図5参照)に対応する位置に本体部80の内側面から立設された立設部82が設けられている。
立設部82の後方端部には、
図8のようにハブ部材5の一部を外側方向に導く第2誘導部90が形成されている。具体的には、第2誘導部90は、本体部80の逃がし孔85にハブ部材5の片方のハブ突出片57(
図3参照)を導く部位である。より詳細には、第2誘導部90は、テーパー面を有した突起であり、横断面が略三角形状をしている。第2誘導部90は、内側(第1錠ケース10側)から外側に向けて下り傾斜している。そして、第2誘導部90の傾斜面の延長上に逃がし孔85が位置している。
【0045】
本体部80は、
図7のように第1錠ケース10の第1係合部20a,20b,25,26のそれぞれに係合可能な第2係合部91,92,93,94を有している。第2係合部91,92,93,94は、各第1係合部20a,20b,25,26を個々に囲む様に係合可能な部位である。
【0046】
また、後面側立壁部81は、
図7のように、第2錠ケース11の内側(前方)に向かって突出した突出部83を有している。
突出部83は、上下方向に延びた突条であり、第1錠ケース10の突出部21と一体となって1本の係合部を形成する部位である。突出部83は、施錠時に施錠用挿入部材71の一方の施錠用係合片79(
図3参照)と係合可能となっている。
後面側立壁部81は、
図7のように横方向wに延伸した突起であって第1錠ケース10の後面側立壁部17の固定穴32(
図5参照)に嵌合可能な固定突起88が設けられている。すなわち、固定突起88は、後面側立壁部81の張出方向先端面から同方向に突出した円柱状の突起である。
【0047】
第2錠ケース11は、
図7,
図8のように補助伝達部材7の伝達軸部67の移動方向を規制する伝達用ガイド溝86を有している。伝達用ガイド溝86は、第1錠ケース10の伝達用ガイド溝51と同一形状をしており、斜め上方に向いている。伝達用ガイド溝86は、組み立て時において、第1錠ケース10の伝達用ガイド溝51と対面する位置に位置している。
また、第2錠ケース11は、伝達用ガイド溝86の上縁に沿って本体部80から隆起した隆起部95が形成されている。すなわち、隆起部95は、ラッチ錠1を組み立てた際に、第1錠ケース10の隆起部33と対面する位置に位置している。
【0048】
第2錠ケース11は、施錠用挿入部材71の施錠用突起部77の移動方向を規制する施錠用ガイド溝87を有している。施錠用ガイド溝87は、第1錠ケース10の施錠用ガイド溝52と同一形状をしており、上下方向hに延びている。施錠用ガイド溝87は、組み立て時において、第1錠ケース10の施錠用ガイド溝52(
図6参照)と対面する位置に位置している。
【0049】
本体部80には、
図7,
図8のように複数の逃がし孔84,85が設けられている。具体的には、
図7のように本体部80と後面側立壁部81との接続部位の近傍に逃がし孔84が設けられており、
図8のように第2誘導部90の近傍に逃がし孔85が設けられている。
【0050】
ラッチボルト3に目を移すと、ラッチボルト3は、公知のラッチボルトであり、
図3のように、ラッチ本体41と、ねじりバネ42によって形成されている。
【0051】
ハブ部材5は、ハンドルの動きに合わせて、ラッチボルト3を移動させる動力伝達部材である。すなわち、ハンドルから受ける回転力をラッチボルト3の出没の駆動力に変換する部材である。
ハブ部材5は、
図3のように、ハンドルの軸部を挿入可能なハンドル用挿入孔55を有しており、ハンドル用挿入孔55を回転軸として周方向に回転可能となっている。
【0052】
また、ハブ部材5は、
図3,
図9のように、圧縮バネ6の付勢力を受ける受け部60と、補助伝達部材7に力を伝達させる腕部58,59を有している。
受け部60の近傍には、受け部60を間に挟むように設けられたハブ突出片56,57を有している。具体的には、ハブ突出片56,57は、所定の間隔を空けて互いに平行となっており、その内側に受け部60が位置している。そして、ハブ部材5は、ハブ突出片56,57の間に圧縮バネ6の先端を挿通可能となっている。
腕部58,59は、ハンドル用挿入孔55から離れる方向に突出しており、ハブ突出片56,57に対して周方向にずれた位置にある。
腕部58,59は幅方向(左右方向)に所定の間隔を空けて互いに平行となっており、腕部58,59の間にラッチボルト3の軸部44(
図3参照)を挿通可能となっている。
【0053】
圧縮バネ6は、
図3のように、公知の円錐バネであり、組み立て時において、下部リブ31から離反する方向にハブ部材5の受け部60を付勢する部材である。
【0054】
補助伝達部材7は、
図3,
図9のように、ハブ部材5の腕部58,59から受ける押圧力をラッチボルト3に伝達する部材である。
補助伝達部材7は、ラッチボルト3の座板43と当接可能な当接片64,65を複数有している。当接片64,65は、幅方向(横方向)所定の間隔を空けて配されており、当接片64,65間にラッチボルト3の軸部44が挿通可能となっている。
【0055】
また、補助伝達部材7は、
図3,
図9のように横方向両外側に突出した伝達軸部66,67を有している。伝達軸部66,67は、円柱状の突起であって、横方向に同一直線上に並んでおり、互いに離反する方向に延びている。
伝達軸部66は、第1錠ケース10の伝達用ガイド溝51(
図5参照)に挿入可能となっており、伝達軸部67は、第2錠ケース11の伝達用ガイド溝86(
図7参照)に挿入可能となっている。
また、伝達軸部66,67は、
図3,
図9のように当接片64,65と反対側の位置に位置している。具体的には、伝達軸部66,67は、後述する解錠姿勢を基準として、補助伝達部材7の上下方向の下端部近傍に設けられており、当接片64,65は補助伝達部材7の上端部近傍に設けられている。
【0056】
施錠部材8は、
図3,
図9のように、施錠用ハブ部材70(操作片)と、施錠用挿入部材71(固定部材)から形成されている。
施錠用ハブ部材70は、外部から操作可能な部材であり、鍵を挿入可能な鍵受け部72と、状態維持部36の伝達部34と接続される接続部73と、施錠用挿入部材71を軸支可能な施錠用軸部74を有している。
接続部73は、具体的には、状態維持部36の伝達部34を挿入可能な穴である。
施錠用軸部74は、施錠用ハブ部材70の回転軸となる部位であって、施錠用挿入部材71の施錠用軸穴75に挿入可能な円柱状の突起である。
接続部73と施錠用軸部74は、鍵受け部72を中心として周方向にずれた位置にある。
【0057】
施錠用挿入部材71は、施錠時にラッチボルト3と第1錠ケース10の後面側立壁部17との間に介在する部材であり、ラッチボルト3の退避を防止する部材である。
施錠用挿入部材71は、
図9のように施錠用軸穴75と、施錠用突起部76,77と、施錠用係合片78,79を有している。
【0058】
施錠用軸穴75は、施錠用挿入部材71の施錠用軸部74を挿入可能な穴である。
施錠用突起部76は、第1錠ケース10の施錠用ガイド溝52に挿入可能な円柱状の突起であり、施錠用ガイド溝52内をスライド可能となっている。
施錠用突起部77は、第2錠ケース11の施錠用ガイド溝87に挿入可能な円柱状の突起であり、施錠用ガイド溝87内をスライド可能となっている。
施錠用係合片78,79は、施錠時におけて第1錠ケース10と第2錠ケース11の一体性を高める部位である。施錠用係合片78,79は、幅方向に所定の間隔を空けて平行に配されており、その内側に第1錠ケース10の突出部21と第2錠ケース11の突出部83を重なった状態で挿入可能となっている。
【0059】
フロント9は、
図3のように、公知のフロントであり、ラッチボルト3の頭部を出没可能な貫通孔47を有している。
【0060】
続いて、扉の開閉動作に伴うラッチ錠1の各姿勢における各部材の位置関係について説明する。
すなわち、ラッチボルト3がフロント9から突出した姿勢(以下、突出姿勢ともいう)とラッチボルト3がフロント9から退避した姿勢(以下、退避姿勢ともいう)を切り替える動作(開閉動作)におけるラッチ錠1の各部材の位置関係について説明する。
【0061】
まず、説明の都合上、突出姿勢におけるラッチ錠1(通常の設置位置)の位置関係について説明する。
ラッチ錠1は、
図2に示されるように、フロント取り付け部16にフロント9が取り付けられている。
扉の開閉に寄与する開閉機構について注目すると、ラッチ錠1は、
図10に示されるように、第1錠ケース10の取り付け部24に圧縮バネ6が取り付けられており、ハブ部材5の受け部60が後方に向けて付勢されている。すなわち、ハブ部材5は、ハンドル用挿入孔55を中心とした周方向に付勢されており、腕部58,59は、後方立壁部39の後面を前方に向けて押圧している。腕部58,59は、補助伝達部材7の当接片64,65の前面と接触している。また、補助伝達部材7の伝達軸部66は、
図11のように第1錠ケース10の伝達用ガイド溝51に挿入されており、最下部に位置している。一方、補助伝達部材7の伝達軸部67は、第2錠ケース11の伝達用ガイド溝86に挿入されており、最下部に位置している。
【0062】
ラッチボルト3側では、ラッチ本体41は、
図10のようにラッチボルト3のねじりバネ42の復元力によって前方に押し出されている。ラッチ錠1は、座板43によって、補助伝達部材7の当接片64,65の後面が前方に押圧されている。すなわち、補助伝達部材7の当接片64,65は、ラッチ本体41の座板43と後方立壁部39によって前後方向に挟まれている。
そして、ラッチ錠1は、錠ケース2の内部であって、ラッチボルト3の座板43と後面側立壁部17との間には、空間96が形成されている。すなわち、ラッチボルト3の座板43の後方には、ラッチ本体41が進入可能な空間96が形成されている。
【0063】
施錠に寄与する施錠機構に注目すると、状態維持部36の伝達部34は、施錠用ハブ部材70の接続部73に挿入されている。状態維持部36は、
図10のように施錠用ハブ部材70の接続部73を第1錠ケース10の隆起部33に押しつけている。言い換えると、状態維持部36は、施錠用ハブ部材70の接続部73を後方に向けて付勢しており、施錠用ハブ部材70の接続部73は隆起部33によって堰止めされている。
【0064】
施錠用ハブ部材70の施錠用軸部74は、施錠用挿入部材71の施錠用軸穴75に挿入されている。施錠用挿入部材71の施錠用突起部76は、
図11のように第1錠ケース10の施錠用ガイド溝52内に挿入されており、施錠用ガイド溝52の最上部に位置している。同様に、施錠用突起部77は、第2錠ケース11の施錠用ガイド溝87内に挿入されており、施錠用ガイド溝87の最上部に位置している。
【0065】
ここで、第1錠ケース10と第2錠ケース11の関係について注目すると、ラッチ錠1は、
図2のように第1錠ケース10に第2錠ケース11が覆い被さって一体化されている。具体的には、第1錠ケース10の第1係合部20a,20b,25,26は、
図2のように、第2錠ケース11の第2係合部91,92,93,94と係合している。第2錠ケース11の後面側立壁部81の固定突起88は、第1錠ケース10の後面側立壁部17の固定穴32に嵌挿されている。
このように、ラッチ錠1は、樹脂製の第1錠ケース10と第2錠ケース11がビス等の締結要素を用いずに一体化されている。そのため、安価であるとともに、容易に組み立てることができる。
【0066】
続いて、ハンドルを回転させて突出姿勢から退避姿勢に変更する。
具体的には、ハンドルの回転によって、ハブ部材5は、ハンドル用挿入孔55を中心として周方向に回動させる。
このとき、ハブ部材5の受け部60は、
図12のように圧縮バネ6を前方に向けて押圧しており、圧縮バネ6が縮んだ状態となっている。また、腕部58,59は、補助伝達部材7の当接片64,65の前面を押圧している。
【0067】
補助伝達部材7は、ハブ部材5の回動に伴う腕部58,59の押圧を受けて、
図13のように第1錠ケース10の伝達用ガイド溝51及び第2錠ケース11の伝達用ガイド溝86に沿って斜め上方に移動する。
【0068】
補助伝達部材7は、伝達軸部66,67が伝達用ガイド溝51及び伝達用ガイド溝86の最上部に移動した後、さらに押圧力(ハンドルが回転すると)が加わると、伝達用ガイド溝51,86の端部で伝達軸部66,67を中心として周方向に回転する。
このときの回転方向は、ハブ部材5の回転方向と逆方向になっている。補助伝達部材7の回転に伴い、当接片64,65によって、ラッチボルト3の座板43が後方に向けて押圧される。そのため、
図12のように、ラッチ本体41がねじりバネ42の付勢力に反して退避し、ラッチ錠1は、退避姿勢をとる。
【0069】
突出姿勢から退避姿勢の変更過程では、ハブ部材5のハブ突出片56は、
図14のように第1錠ケース10の第1誘導部50の壁面に沿って逃がし孔23に近接する方向に導かれる。一方、ハブ部材5のハブ突出片57は、第2錠ケース11の第2誘導部90の壁面に沿って逃がし孔85に近接する方向に導かれる。すなわち、逃がし孔23,85によって、ハブ部材5のハブ突出片56,57の先端部の外側方向への広がり力を緩和させている。また、ハブ部材5のハブ突出片56,57が逃がし孔23,85に導かれるにつれて、ハブ部材5のハブ突出片56,57によって第1誘導部50及び第2誘導部90が互いに近接する方向に押圧されていく。すなわち、退避姿勢においては、ラッチ錠1は、ハブ部材5のハブ突出片56,57によって、
図14のように第1誘導部50及び第2誘導部90が挟持されており、第1錠ケース10と第2錠ケース11の一体強度が補強されている。
【0070】
退避姿勢から突出姿勢への変更動作については、逆動作であること以外は同様であるため、説明を省略する。
【0071】
続いて、鍵の開閉動作に伴うラッチ錠1の各姿勢における各部材の位置関係について説明する。
説明の都合上、解錠状態から施錠状態に切り替える動作に伴う各部材の位置関係について説明する。
【0072】
図10で示される解錠状態のラッチ錠1は、上記した突出姿勢のラッチ錠1と同様の状態であるため、説明を省略する。
【0073】
解錠状態のラッチ錠1の鍵受け部72に鍵を挿入し、回転させて施錠する。
このとき、鍵の回転に伴い、施錠用ハブ部材70が鍵受け部72を中心として周方向に回転する。すなわち、施錠用ハブ部材70は、施錠角度(
図15)から解錠角度(
図17)まで回動する。
施錠用ハブ部材70の接続部73側に注目すると、接続部73は、鍵受け部72を中心として周方向に回転し、接続部73の一部が第1錠ケース10の上面側立壁部18の内壁に当接する(
図15→
図17)。
また、接続部73の移動に伴って、第1錠ケース10の状態維持部36は、上方立壁部37との接続部位を中心として周方向に回転し、付勢する方向が変更される。
すなわち、状態維持部36は、解錠状態では、接続部73を第1錠ケース10の隆起部33に押しつける方向に付勢しているが、施錠状態では、接続部73を第1錠ケース10の上面側立壁部18に押しつける方向に付勢している。
【0074】
施錠用軸部74に注目すると、施錠用軸部74は、鍵受け部72を中心として周方向に回転し、
図16のように、施錠用軸部74が中央側(ラッチボルト3側)に移動する。
施錠用軸部74の移動に伴って、施錠用挿入部材71は、施錠用突起部76,77が第1錠ケース10の施錠用ガイド溝52及び第2錠ケース11の施錠用ガイド溝87に導かれ、
図17のように下方に移動する。そして、施錠用挿入部材71は、ラッチボルト3の後方に位置する空間96内に進入する。
そのため、ラッチ本体41は、施錠用挿入部材71の存在によって空間96内に移動できず、ラッチボルト3がフロント9から退避できない施錠状態となる。
【0075】
また、このとき、
図18のように、施錠用係合片78,79の間に、突出部21,83が重なって進入しており、突出部21,83は、施錠用係合片78,79によって挟持されている。すなわち、施錠用挿入部材71の施錠用係合片78,79によって、第1錠ケース10と第2錠ケース11の一体強度が補強されている。
また、施錠用係合片78は、第1錠ケース10の突出部21の壁面に沿って逃がし孔22に導かれており、施錠用係合片78の先端部の外側方向への広がり力が緩和されている。施錠用係合片79は、第2錠ケース11の突出部83の壁面に沿って逃がし孔85に導かれており、施錠用係合片79の先端部の外側方向への広がり力が緩和されている。
【0076】
解錠姿勢から施錠姿勢に切り替える際の状態維持部36周辺の力の関係について説明する。
状態維持部36は、解錠姿勢において、
図19(a)のように斜め上方に付勢力が働いている。すなわち、状態維持部36の付勢力は、上下方向成分(鉛直方向成分)の分力Fyと前後方向成分(水平方向成分)の分力Fxを有している。解錠姿勢における状態維持部36の付勢力F1は、前後方向成分の分力Fxが上下方向成分の分力Fyよりも大きくなっている。言い換えると、施錠用ハブ部材70の接続部73を後方に付勢する力が大きく働いており、施錠用ハブ部材70は、鍵受け部72を中心として前方側に回転しにくくなっている。そのため、ラッチ錠1は、外力が働かない限り、解錠姿勢から変更されない。
【0077】
解錠姿勢から施錠姿勢に切り替える場合、状態維持部36は、外力(施錠用ハブ部材70の回転力)を加えることになるが、状態維持部36が所定の姿勢になるまでの間では、施錠用ハブ部材70は、鍵受け部72を中心として前方側に回転しにくくなっており、状態維持部36が所定の姿勢を超えて施錠姿勢に近づくと、施錠用ハブ部材70は、鍵受け部72を中心として前方側に回転しやすくなる。詳説すると、解錠姿勢から施錠姿勢に向かうにつれて、状態維持部36の角度が変化し、状態維持部36の付勢力の上下方向成分の分力Fyと前後方向成分の分力Fxの力関係が変化していく。そして、
図19(b)のように状態維持部36の付勢力F2の上下方向成分の分力Fyと前後方向成分の分力Fxが等しくなった状態(思案点)を超えると、上下方向成分の分力Fyと前後方向成分の分力Fxの力関係が逆転し、施錠姿勢に切り替わる方向に付勢力が働く。つまり、ラッチ錠1は、解錠姿勢から状態維持部36が最も圧縮状態となる思案点を通過して、施錠姿勢に向かう。
【0078】
そして、施錠姿勢になると、状態維持部36は、
図19(c)のように斜め上方に付勢力が働く。すなわち、状態維持部36の付勢力は、上下方向成分の分力Fyと前後方向成分の分力Fxを有している。施錠姿勢における状態維持部36の付勢力F3は、上下方向成分の分力Fyが前後方向成分の分力Fxよりも大きくなっている。言い換えると、施錠用ハブ部材70の接続部73を上方に付勢する力が大きく働いており、施錠用ハブ部材70は、鍵受け部72を中心として後方側に回転しにくくなっている。そのため、ラッチ錠1は、外力が働かない限り、施錠姿勢から変更されない。
【0079】
本発明のラッチ錠1によれば、錠ケース2と状態維持部36が樹脂製であって、一体的に成形されているため、従来の金属製の錠ケースに比べて、低コストで形成することができる。また、部品点数を減らすことができるとともに、錠ケースから外れることがなく、組み立てやすい。
【0080】
本発明のラッチ錠1によれば、ハブ部材5の回転力を、補助伝達部材7を介してラッチボルト3に伝えており、ハブ部材5の回転方向と補助伝達部材7の回転方向を逆方向にすることによって、補助伝達部材7を介さない場合に比べて、ハンドルの回転角度を小さくすることに成功している。そのため、容易に扉の開閉を行うことが可能である。
【0081】
上記した実施形態では、ハブ部材5の回転力を、補助伝達部材7を介してラッチボルト3に間接的に伝えたが、本発明はこれに限定されるものではなく、ハブ部材5から直接的にラッチボルト3に伝えてもよい。
【0082】
上記した実施形態では、施錠姿勢において、錠ケース2と施錠用挿入部材71が係合する構成としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、解錠姿勢において、錠ケース2と施錠用挿入部材71が係合する構成としてもよい。
【0083】
上記した実施形態では、退避姿勢において、錠ケース2とハブ部材5が係合する構成としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、突出姿勢において、錠ケース2とハブ部材5が係合する構成としてもよい。
【0084】
上記した実施形態では、状態維持部36をラッチボルトの駆動機構に適応した例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、状態維持部をデッドボルトの駆動機構や、プッシュプル錠の駆動機構、鎌錠の駆動機構に適応してもよい。